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  • 特開-センサを同軸上に内蔵した金型装置 図1A
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  • 特開-センサを同軸上に内蔵した金型装置 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158618
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】センサを同軸上に内蔵した金型装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20231023BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20231023BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G01L5/00 L
B29C45/26
B29C45/76
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022141143
(22)【出願日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】111114574
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】506255902
【氏名又は名称】中原大學
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】陳 夏宗
(72)【発明者】
【氏名】張 詠翔
(72)【発明者】
【氏名】梁 雁翔
(72)【発明者】
【氏名】丁 郁宏
【テーマコード(参考)】
2F051
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
2F051AA12
2F051BA01
2F051BA07
4F202AP03
4F202AP05
4F202AQ01
4F202CA11
4F202CB01
4F202CM03
4F206AP034
4F206AP054
4F206AQ01
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM04
4F206JP11
4F206JQ81
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金型内の同位置で温度および圧力を検知モジュールにより同時に計測し、かつ金型装置の製造コストを削減するように構成された金型装置を提供する。
【解決手段】金型と、支持構造と、検知モジュールとを備える金型装置を提供する。金型110はキャビティ112を有する。検知モジュールは温度センサ132と圧力センサ136とを備える。温度センサは検知部と当接部とを有する。検知部は金型内に位置し、キャビティ内のある位置に対応し、当接部は支持構造内に位置している。圧力センサは支持構造内に配され、当接部に対応する。当接部はキャビティ内の前記位置の圧力によって圧力センサに当接するように構成される。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有する金型と、
支持構造と、
検知モジュールであって、
検知部と当接部とを有する温度センサであって、前記検知部が前記金型内に位置し、前記キャビティ内の所定位置に対応し、前記当接部が前記支持構造内に位置する温度センサと、
前記支持構造内に配され前記当接部に対応する圧力センサであって、前記当接部が、前記キャビティ内の前記所定位置の圧力によって前記圧力センサに当接するように構成される圧力センサと、
を備える検知モジュールと、
を備える金型装置。
【請求項2】
前記温度センサが光ファイバ温度センサである請求項1に記載の金型装置。
【請求項3】
前記温度センサが前記金型および前記支持構造内で移動軸に沿って移動可能に配され、前記圧力センサが前記移動軸上に位置している、請求項1に記載の金型装置。
【請求項4】
前記検知部および前記当接部が、それぞれ前記移動軸上の前記温度センサの2つの反対側の端に位置している、請求項3に記載の金型装置。
【請求項5】
前記圧力センサが検知突起を有し、前記検知突起が前記当接部から加わる当接力を受けるように構成される、請求項1に記載の金型装置。
【請求項6】
前記検知突起が前記当接部に対向し、前記当接部により当接されるように構成される、請求項5に記載の金型装置。
【請求項7】
前記検知突起が前記当接部とは反対側に向き、前記当接部が前記圧力センサに当接することにより前記支持構造に当接するように構成される、請求項5に記載の金型装置。
【請求項8】
前記金型装置が保護構造をさらに備え、前記保護構造が前記当接部を覆っている、請求項1に記載の金型装置。
【請求項9】
前記保護構造の硬度が38HRCより高い、請求項8に記載の金型装置。
【請求項10】
前記温度センサがエジェクタピン型温度センサであり、前記支持構造がエジェクタプレート構造である、請求項1に記載の金型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は金型装置に関し、特に、センサを同軸上に内蔵した金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインモールド成形加工装置では、金型の温度または圧力の計測を1つのセンサで行っており、技術者または操作者は1カ所での圧力または温度データしか得ることができず、また、温度と圧力を同時に監視することはできない。既存の対応策は、圧力センサおよび温度センサを別々に金型内に設置することであるが、この方法ではセンサの数が増えるため金型製造工程および製造コストがともに増大してしまう。したがって、金型内の同位置で温度および圧力を同時に計測しつつも、金型の製造コストを削減することが、従来技術において解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、金型内の同位置で温度および圧力を検知モジュールにより同時に計測し、かつ金型装置の製造コストを削減するように構成された金型装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態に係る金型装置は、金型と、支持構造と、検知モジュールとを備える。金型はキャビティを有する。検知モジュールは温度センサと圧力センサとを備える。温度センサは検知部と当接部とを有する。検知部は金型内に位置し、キャビティ内のある位置に対応し、当接部は支持構造内に位置している。圧力センサは支持構造内に配され、当接部に対応する。当接部はキャビティ内の前記位置の圧力によって圧力センサに当接するように構成される。
【0005】
本開示の一実施形態において、温度センサは光ファイバ温度センサである。
【0006】
本開示の一実施形態において、温度センサは金型および支持構造内で移動軸に沿って移動可能に配され、圧力センサは前記移動軸上に位置している。
【0007】
本開示の一実施形態において、検知部および当接部はそれぞれ、移動軸上の温度センサの2つの反対側の端に位置している。
【0008】
本開示の一実施形態において、圧力センサは検知突起を有し、前記検知突起は当接部から加わる当接力を受けるように構成される。
【0009】
本開示の一実施形態において、検知突起は当接部に対向し、当接部により当接されるように構成される。
【0010】
本開示の一実施形態において、検知突起は当接部とは反対側に向き、当接部が圧力センサに当接することにより支持構造に当接するように構成される。
【0011】
本開示の一実施形態において、金型装置は保護構造をさらに備える。保護構造は当接部を覆っている。
【0012】
本開示の一実施形態において、前記保護構造の硬度は38HRCより高い。
【0013】
本開示の一実施形態において、温度センサはエジェクタピン型温度センサであり、支持構造はエジェクタプレート構造である。
【発明の効果】
【0014】
以上により、本開示の金型装置は、同軸上に配された温度センサおよび圧力センサにより、キャビティ内のどの位置でも温度および圧力を同時に計測する。これは製造や加工安定性の監視面で都合がよく、金型装置の製造コスト削減につながり、今後のスマート製造やスマート成形開発に役立つデータ供給源が得られる。
【0015】
上述の記載の理解をより深めるため、以下に図面を参照して実施形態を幾つか詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示の一実施形態に係る金型装置の概略図である。
【0017】
図1B図1Aの金型装置の一部の部材の概略図である。
【0018】
図2A】本開示の他の実施形態に係る金型装置の一部の部材を示す。
図2B】本開示の他の実施形態に係る金型装置の一部の部材を示す。
図2C】本開示の他の実施形態に係る金型装置の一部の部材を示す。
【0019】
図3】本開示の別の実施形態に係る金型装置の概略図である。
【0020】
図4図1Aの金型装置の断面図である。
【0021】
図5】本開示の別の実施形態に係る金型装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態の図面を参照し、本開示を詳述する。ただし、本開示は様々な形態で実施できるものであって、本明細書中で説明する実施形態に限定すべきではない。以下の説明では、同一または類似の部材には同一または類似の参照記号を付し、その説明を繰り返さない。
【0023】
図1Aは本開示の一実施形態に係る金型装置の概略図である。部材説明を容易にするため、図中にXYZ座標軸を示している。図1Aにおいて、本実施形態の金型装置100aは、金型110と、支持構造120aと、検知モジュール130a1とを備える。図1Aでは金型110のキャビティ112を一点鎖線で略示しているが、キャビティ形状や配置はこれに限られない。支持構造120aは検知モジュール130a1を構造的に支持するように構成されている。検知モジュール130a1はキャビティ112内の温度および圧力の少なくとも1つを検知するように構成される。本実施形態における支持構造120aはエジェクタプレート構造140aであり、検知モジュール130a1は、金型装置100aのスペース効率を高めるために支持構造120a(エジェクタプレート構造140a)内に配されている。エジェクタプレート構造140aは一対のエジェクタプレート142aと複数のエジェクタピン144とを有する。一対のエジェクタプレート142aは金型110の外に配され、エジェクタピン144は一対のエジェクタプレート142aから金型110のキャビティ112に向かって延出している。エジェクタピン144は、キャビティ112内の(不図示の)部品をキャビティ112から押し出すように構成される。本実施形態の金型装置100aは射出成形加工に適しているが、これに限られない。
【0024】
図1Aに示すように、金型装置100aは2本のエジェクタピン144に対応する2つの検知モジュール130a1を有する。検知モジュール130a1の一部分は一対のエジェクタプレート142a内に配され、検知モジュール130a1の別の一部分はエジェクタピン144内に配されて、金型110のキャビティ112に向かって延出している。ここで、一方の検知モジュール130a1はキャビティ112の位置B1に向かって延び、位置B1の温度および圧力を計測する。他方の検知モジュール130a1はキャビティ112の別の位置B2に向かって延び、位置B2の温度および圧力を計測する。金型装置100aは、2つの検知モジュール130a1によって、それぞれ2つの位置B1、B2の温度および圧力を計測する。ここで、位置B1、B2はキャビティ112内のどの位置であってもよい。さらに、エジェクタプレート構造140aのエジェクタピン144の数は上述のものに限られず、検知モジュール130a1の数および配置も上述のものに限られない。使用者は、必要に応じて検知モジュール130a1を配置して、キャビティ112の複数の位置の温度および圧力を検知することができる。これは製造や加工安定性の監視面で都合がよく、金型装置100aの製造コスト削減につながり、今後のスマート製造やスマート成形開発に役立つデータ供給源が得られる。
【0025】
図1B図1Aの金型装置の一部の部材の概略図である。図1Bは、1つの検知モジュール130a1、支持構造120a、および金型110の配置関係を示す図1Aの部分断面図である。図1Bに示すように、検知モジュール130a1は温度センサ132と圧力センサ136とを備える。本実施形態の温度センサ132はエジェクタピン型温度センサである。温度センサ132は延伸構造133と当接部P2とを有する。延伸構造133は当接部P2から移動軸M1に沿って延びている。圧力センサ136および当接部P2は、支持構造120a(一対のエジェクタプレート142a)内の収容空間122内に配され(位置し)、延伸構造133はエジェクタピン144に配されて金型110に向かって延びている。温度センサ132の検知部P1が延伸構造133に配され金型110内に位置しており、検知部P1はキャビティ112内の位置B1に対応する。温度センサ132は検知部P1により、キャビティ112内の位置B1における温度を検知する。
【0026】
圧力センサ136は温度センサ132の当接部P2に対応する。ここで、温度センサ132は金型110および支持構造120a内で移動軸M1に沿って移動可能に設けられ、検知部P1および当接部P2がそれぞれ移動軸M1上の温度センサ132の2つの反対側の端に位置している。温度センサ132の検知部P1にキャビティ112の位置B1からの圧力が加わると、温度センサ132はこれに押されて移動軸M1に沿って圧力センサ136に向けて移動するように構成され、これにより温度センサ132の当接部P2が移動して圧力センサ136を押圧する。言い換えると、圧力センサ136は温度センサ132の移動により圧縮されて、位置B1において加わった圧力を計測する。
【0027】
特に、圧力センサ136および温度センサ132は同軸上(移動軸M1上)に配され、圧力センサ136の検知突起137もまた移動軸M1上に位置している。すなわち、圧力センサ136および温度センサ132は同軸上に内蔵されている。圧力センサ136は検知突起137が受けた圧力に基づき圧力を検知する。図1Bに示すように、本実施形態の検知突起137は、温度センサ132の当接部P2に対向し、当接部P2によって直接当接されるように構成されている。したがって、検知モジュール130a1は温度センサ132および圧力センサ136により、キャビティ112内の位置B1の温度および圧力を同時に計測するように構成されている。
【0028】
図2A図2Cはそれぞれ、本開示の他の実施形態に係る金型装置の一部の部材を示す。温度センサ132と圧力センサ136との配置を明瞭に示すため、一部の部材(例えばエジェクタピン144)は図2A図2Cの実施形態において図示を省略している。図1B図2Aを同時に参照すると、本実施形態の検知モジュール130bは上述の実施形態と同様であるが、両実施形態の違いは、本実施形態の検知突起137が温度センサ132の当接部P2とは反対側に向いている点であり、検知突起137は、当接部P2が圧力センサ136に当接することにより支持構造120aに当接するように構成されている。特に、検知突起137は支持構造120aの内面に対向し、圧力センサ136は検知突起137とは反対側に当接面138を有し、この当接面138が当接部P2に対向している。温度センサ132が圧力を受けて移動軸M1に沿って移動すると、当接部P2が当接面138に直接当接し、これにより検知突起137が支持構造120aの内面に直接当接する。言い換えれば、このとき検知突起137は支持構造120aの内面に実際に当接する。したがって、検知突起137が当接部P2によって直接的または間接的に当接されることで、圧力センサ136が圧力を検知できることが分かる。このため、本実施形態の検知モジュール130bは上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0029】
図1B図2Bを同時に参照すると、本実施形態の検知モジュール130cは上述の実施形態と同様であるが、両実施形態の違いは、本実施形態の金型装置は保護構造150aをさらに備え、この保護構造150aが温度センサ132の当接部P2を覆って、構造的に保護している点である。ここで、保護構造150aは略コの字型で当接部P2を覆っている。保護構造150aは支持構造120a内に配され、保護構造150aは温度センサ132と圧力センサ136との間に位置している。図2Bに示すように、温度センサ132、保護構造150a、および圧力センサ136は同軸上(移動軸M1上)に配され、保護構造150aは支持構造120a内で移動可能に配されて温度センサ132により押圧されるように構成されている。特に、温度センサ132が圧力を受けて移動すると、保護構造150aは温度センサ132の移動に伴って圧力センサ136に直接当接する。ここで、検知突起137は保護構造150aに対向しており、保護構造150aは検知突起137に直接当接する。検知突起137の配置がこれに限られないことは勿論である。例えば、図2Aに示すように、検知突起137が保護構造150aとは反対側を向いて(すなわち支持構造120aの内面に対向して)、検知突起137が支持構造120aの内面に直接当接してもよい。
【0030】
さらに、検知突起137で圧縮されることによる保護構造150aの変形を防ぐため、保護構造150aの硬度は検知突起137の硬度より高いものとされている。例えば、検知突起137の硬度が38HRCである場合、保護構造150aの硬度は38HRCより高い。検知突起137の硬度はこれに限られないことは言うまでもない。したがって、本実施形態の金型装置は上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0031】
図2B図2Cを同時に参照すると、本実施形態の検知モジュール130dおよび保護構造150bは上述の実施形態と同様であるが、両実施形態の違いは、本実施形態の保護構造150bが、移動軸M1に沿って圧力センサ136に向かって(すなわち温度センサ132とは反対方向に)延びる突起152を有している点である。保護構造150bは突起152を介して圧力センサ136に当接する。ここで、検知突起137は突起152に直接当接するが、本開示はこれに限定されない。例えば、図2Aに示すように、検知突起137が保護構造150bとは反対側を向いて(すなわち支持構造120aの内面に対向して)、検知突起137が支持構造120aの内面に直接当接してもよい。このため、本実施形態の保護構造150bは上述の実施形態の保護構造150aと同様の効果を奏する。勿論、保護構造150a、150bの構成は上述の実施形態に限られず、使用者は構造設計要件に従って保護構造150a、150bを設計すればよい。
【0032】
以上のように、温度センサ132および圧力センサ136は様々な方法で配置することができ、金型装置は保護構造150a、150bを備えることができる。図1Aに示す金型装置100aおよび検知モジュール130a1の配置は、図1B図2Cに示す検知モジュール130a1、130b、130cおよび130dの配置のうちの1つまたは複数の組み合わせであってもよい。
【0033】
特に、検知突起137および当接部P2は同一の移動軸M1上に位置し、検知突起137は圧力検知面に対応する。圧力検知面は検知突起137の配置に対応して様々である。圧力センサ136は当接部P2から加わる当接力を受けるように構成されているため、検知突起137は圧力検知面に当接する。例えば図1Bに示す実施形態では、圧力検知面S1は当接部P2の表面である。図2Aに示す実施形態では、圧力検知面S2は支持構造120aの内面である。図2Bに示す実施形態では、圧力検知面S3は保護構造150aの表面である。図2Cに示す実施形態では、圧力検知面S4は保護構造150bの突起152の表面である。したがって、検知モジュール130a1、130b、130c、および130dは、キャビティ112のどの位置B1でも同軸上で温度および圧力を計測することができる。
【0034】
図3は本開示の別の実施形態に係る金型装置の概略図である。図1A図3を同時に参照すると、本実施形態の金型装置100bは上述の実施形態と同様であるが、両実施形態の違いは、本実施形態の支持構造120bはエジェクタプレート構造140bではない点である。一対のエジェクタプレート142bは貫通孔143を有し、検知モジュール130a2がこの貫通孔143を介してエジェクタプレート構造140b内に挿入される。支持構造120bは検知モジュール130a2の一端を覆って構造上これを保護し、検知モジュール130a2の他端は金型110のキャビティ112(点線で示す)内に延出し、キャビティ112の位置B3における温度および圧力を計測する。検知モジュール130a2の温度センサ132および圧力センサ136および/または保護構造150a、150bの配置は、図1B図2Cに示す検知モジュール130a1、130b、130cおよび130dの配置と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0035】
検知モジュール130a2の配置がこれに限られないことは勿論である。例えば、図示しない別の実施形態では、検知モジュール130a2はエジェクタプレート構造140bの外側に配され、検知モジュール130a2の金型110上への突出部がエジェクタプレート構造140bの金型110上への突出部と重ならないようになっている。図示しないまた別の実施形態では、金型装置100bが検知モジュール130a1と検知モジュール130a2の双方を有する。検知モジュール130a1、130a2および支持構造120a、120bは様々な方法で配置することができ、使用者は、必要に応じてこれらを配置することができる。
【0036】
図4図1Aの金型装置の断面図である。図4図1Aの線Aの断面図である。図1Aおよび図4を参照すると、高温に起因する温度センサ132(図1Bに示す)の損傷、および様々な加工における温度センサ132の利用可能性の制限を防ぐために、金型装置100aは冷却流路160を有し、検知モジュール130a1は冷却流路160に囲まれている。冷却流路160は、検知モジュール130a1の温度を下げるように構成された金型センサ冷却構造と考えることができる。より詳しくは、冷却流路160は、検知部P1(図1Aに示す)以外の温度センサ132の一部を囲み、温度センサ132を局所的に冷却することができる。したがって、温度センサ132はより高い金型温度にも耐えることができ、温度センサ132の様々な加工における利用可能性が向上する。ここで、温度センサ132は光ファイバ温度センサであり、受光ユニットLR(図1B図2Cに示す)を有する。受光ユニットLRは当接部P2に配され、検知部P1から温度信号を受信する。温度センサ132は光ファイバ温度センサであるため、検知部P1の温度信号は温度センサ132の局所的な温度低下の影響を受けず、温度センサ132により検知される温度が歪むことはない。
【0037】
図4に示すように、冷却流路160は支持構造120a(エジェクタプレート構造140aの一対のエジェクタプレート142a)内に位置し、温度センサ132の延伸構造133を囲っている。ここで、冷却流路160は流路161を有し、この流路161に導水口162および排水口164が設けられている。低熱の冷却液が導水口162から流路161内に流入し2つの延伸構造133と熱交換した後、高熱の冷却液が排水口164から流出する。流路161は略コの字型であり、2つの延伸構造133を同時に囲み冷却する。勿論、冷却流路160の流路161の構造や配設位置はこれに限られない。
【0038】
例えば、図示しない別の実施形態では、冷却流路160は2つの流路161を有し、これらが2つの延伸構造133をそれぞれ囲み冷却する。図示しない別の実施形態では、冷却流路160は支持構造120a、120b内に位置し、当接部P2および/または延伸構造133を覆う螺旋状の流路を有する。図示しない別の実施形態では、冷却流路160は、図2Bおよび図2Cに示す保護構造150a、150b内に位置し、温度センサ132の当接部P2を冷却する。使用者は構造上の設計要件に従って冷却流路160を構成し、温度センサ132の温度低下効果を得ることができ、これにより金型装置100aをより高温の加工にも使用することができ、様々な加工における金型装置100aの利用可能性が向上する。冷却流路160は金型110内に配されておらず、金型110の温度は冷却流路160の影響を受けないため、金型110が動作温度に達することを妨げられることはない。
【0039】
図5は本開示の別の実施形態に係る金型装置の概略図である。図5において、本実施形態の検知モジュール130eおよび保護構造150cは金型110内に配されている。特に、検知モジュール130eは保護構造150cに覆われ、冷却流路160は保護構造150c内に位置している。ここで、温度センサはエジェクタピン型温度センサでなくてもよい。本実施形態の検知モジュール130eおよび冷却流路160は上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0040】
以上をまとめると、本開示の金型装置の検知モジュールにおいては、温度センサおよび圧力センサが同軸上(移動軸上)に配されているため、検知モジュールはキャビティ内のどの位置でも温度および圧力を同時に計測するように構成され、金型装置のセンサ設置コストおよび製造コストを削減することができる。ここで、温度センサおよび圧力センサは様々な方法で組み合わせることができる。特に、温度センサは金型および支持構造内で移動軸に沿って移動可能に配される。温度センサの検知部はキャビティ内の任意の位置における温度を検知し、温度センサの当接部に温度信号を送信する。温度センサにこの位置から圧力が加わると、温度センサの当接部は移動軸に沿って移動して圧力センサを圧縮し、この位置での圧力を検知する。圧力センサの検知突起および当接部は同一の移動軸上に位置し、検知突起は圧力検知面に対応する。圧力検知面は検知突起の配置によって様々である。例えば、検知突起が当接部に対向する場合、圧力検知面は当接部の表面である。検知突起が支持構造に対向する場合、圧力検知面は支持構造の内面である。さらに、金型装置は、温度センサと圧力センサとの間に配される保護構造を有することができ、この保護構造が当接部を保護する。保護構造は圧力センサに当接し、検知突起が当接部に対向している場合は、圧力検知面は当接部の表面である。保護構造の硬度は検知突起の硬度より高い。
【0041】
さらに、本開示の金型装置は冷却流路をさらに備え、温度センサの温度を冷却し高温による温度センサの損傷を防ぐ。冷却流路は支持構造および/または保護構造内に位置し、冷却流路は、温度センサの検知部以外を覆う部分と熱交換し、温度センサの温度を局所的に下げることができる。したがって、温度センサはより高い金型温度にも耐えることができ、温度センサの様々な加工における利用可能性が向上する。
【0042】
本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく本開示の実施形態に様々な改変および変形が可能であることは当業者に明らかであろう。以上に鑑みて、以下の請求の範囲およびその均等物の範囲内で行われる改変および変形は本開示に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の金型装置は、射出成形加工やスマート成形加工などの成形加工に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
100a、100b、100c:金型装置
110:金型
112:キャビティ
120a、120b:支持構造
122:収容空間
130a1、130a2、130b、130c、130d、130e:検知モジュール
132:温度センサ
133:延伸構造
136:圧力センサ
137:検知突起
138:当接面
140a、140b:エジェクタプレート構造
142a、142b:エジェクタプレート
143:貫通孔
144:エジェクタピン
150a、150b、150c:保護構造
152:突起
160:冷却流路
161:流路
162:導水口
164:排水口
A:線
B1、B2、B3:位置
LR:受光ユニット
M1:移動軸
P1:検知部
P2:当接部
S1、S2、S3、S4:圧力検知面
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有する金型と、
支持構造と、
検知モジュールであって、
検知部と当接部とを有する温度センサであって、前記検知部が前記金型内に位置し、前記キャビティ内の所定位置に対応し、前記当接部が前記支持構造内に位置する温度センサと、
前記支持構造内に配され前記当接部に対応する圧力センサであって、前記当接部が、前記キャビティ内の前記所定位置の圧力によって前記圧力センサに当接するように構成される圧力センサと、を備える検知モジュールと、
冷却流路と、を備え
前記温度センサが、光ファイバ温度センサであり、前記冷却流路によって取り囲まれる金型装置。
【請求項2】
前記温度センサが前記金型および前記支持構造内で移動軸に沿って移動可能に配され、前記圧力センサが前記移動軸上に位置している、請求項1に記載の金型装置。
【請求項3】
前記検知部および前記当接部が、それぞれ前記移動軸上の前記温度センサの2つの反対側の端に位置している、請求項に記載の金型装置。
【請求項4】
前記圧力センサが検知突起を有し、前記検知突起が前記当接部から加わる当接力を受けるように構成される、請求項1に記載の金型装置。
【請求項5】
前記検知突起が前記当接部に対向し、前記当接部により当接されるように構成される、請求項に記載の金型装置。
【請求項6】
前記検知突起が前記当接部とは反対側に向き、前記当接部が前記圧力センサに当接することにより前記支持構造に当接するように構成される、請求項に記載の金型装置。
【請求項7】
前記金型装置が保護構造をさらに備え、前記保護構造が前記当接部を覆っている、請求項1に記載の金型装置。
【請求項8】
前記保護構造の硬度が38HRCより高い、請求項に記載の金型装置。
【外国語明細書】