(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158626
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】車両のブーストモード制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/18 20120101AFI20231023BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231023BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20231023BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231023BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231023BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231023BHJP
【FI】
B60W30/18
B60W50/14
B60W50/10
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201232
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0047280
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 智 源
【テーマコード(参考)】
3D241
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA26
3D241BA60
3D241CD07
3D241CD27
3D241CD28
3D241DA02Z
3D241DA12Z
3D241DA18Z
3D241DA69Z
3D241DB02Z
3D241DD12Z
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA00
5H125CA01
5H125CA10
5H125CD02
5H125EE05
5H125EE08
5H125EE09
5H125EE27
5H125EE42
5H125EE44
5H125EE49
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運転者が最大限能動的にブースト運転を遂行することができる車両のブーストモード制御方法を提供する。
【解決手段】運転者のブーストモードオンの入力がある場合、制御器により、ブースト運転を実施することができるブーストモードに進入する段階と、ブーストモードに進入した状態で車両運転中の実時間運転状態変数情報を取得する段階と、取得した実時間運転状態変数情報によってブースト待機時間を増減させて可変させる段階と、ブーストモードが解除される場合、制御器により、可変されたブースト待機時間を車両の表示装置に表示する段階と、表示装置に表示されるブースト待機時間を時間の経過につれて徐々に減少するように表示する段階と、を含み、ブースト待機時間は、ブーストモードの解除の後、ブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用のために待機しなければならない時間であることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者のブーストモードオン(on)の入力がある場合、制御器により、ブースト運転を実施することができるブーストモードに進入する段階と、
前記制御器により、前記ブーストモードに進入した状態で車両運転中の実時間運転状態変数情報を取得する段階と、
前記制御器により、前記取得した実時間運転状態変数情報によってブースト待機時間を増減させて可変させる段階と、
前記ブーストモードが解除される場合、前記制御器により、前記可変されたブースト待機時間を車両の表示装置に表示する段階と、
前記制御器により、前記表示装置に表示されるブースト待機時間を時間の経過につれて徐々に減少するように表示する段階と、を含み、
前記ブースト待機時間は、前記ブーストモードの解除の後、前記ブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用のために待機しなければならない時間であることを特徴とする車両のブーストモード制御方法。
【請求項2】
前記制御器により、前記ブーストモードの解除の後、前記表示されるブースト待機時間が0になるまで全部経過したかを判断する段階と、
前記ブースト待機時間が全部経過した状態で運転者のブーストモードオン(on)の入力がある場合、前記制御器により、ブーストモードに再進入する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項3】
前記制御器により、前記ブーストモードに進入した後、所定のブースト持続可能時間が全部経過した場合、前記ブーストモードを解除する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項4】
前記ブースト待機時間を増減させて可変させる段階で、
前記制御器は、前記ブーストモードに進入した状態でブースト運転を実際に実施する場合にのみ前記ブースト待機時間を増加させるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項5】
前記制御器は、前記ブーストモードに進入した状態で前記ブースト運転を実際に実施する場合にのみ前記ブースト待機時間を所定の増加値または増加率で増加させるように設定され、
前記ブースト運転は、車両を駆動する駆動装置を含む車両の駆動系が運転点マップの定格出力を超える運転点で作動する運転状態であり、
前記制御器で、前記増加値または増加率は、前記運転点マップに予め設定された定格運転点の上限値または下限値に対して現在の運転点が超過するトルク超過量に相応する値に決定されることを特徴とする請求項4に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項6】
前記制御器は、前記ブーストモードに進入した状態で前記ブースト運転を実際に実施していないうちには前記ブースト待機時間を増減なしに維持するように設定されることを特徴とする請求項4に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項7】
前記ブーストモードに進入した後からブーストモードの解除時までブースト運転を実施しなかった場合には、前記制御器により、前記ブーストモードの解除の後、ブーストモードにすぐ再進入してブースト運転をすぐ再使用することができることを特徴とする請求項4に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項8】
前記制御器は、直前のブーストモードでの運転状態変数情報または直前のブーストモードでのブースト運転使用量情報を用いて後続のブーストモードに再進入するためのブースト待機時間の初期値を決定するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項9】
前記制御器は、運転者が直前のブーストモードでブースト運転を実施し、前記直前のブーストモードでのブースト運転使用量によるブースト持続可能時間が予め決定された設定の時間以下に減少した場合、前記ブースト待機時間の初期値を所定の時間だけ増加させることを特徴とする請求項8に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項10】
前記制御器は、前記直前のブーストモードでの運転状態変数情報として、直前のブースト運転の使用が終了した時点を基準に、それ以前の設定時間の間のWOT(Wide Open Throttle)持続時間または回生トルク積分値によって、前記ブースト待機時間の初期値を決定することを特徴とする請求項8に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項11】
前記運転状態変数情報は、駆動系温度、駆動系速度及びトルク、駆動系パワー、駆動系耐久度、及びバッテリーSOC(state of charge)のうちの一つまたは二つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項12】
前記ブースト待機時間を増減させて可変させる段階で、前記制御器は、現在のバッテリーSOCが予め設定されたバッテリーSOC領域内にある場合、ブースト待機時間を後続のブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用が不可であることを示す値に決定することを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項13】
前記運転状態変数情報は、運転者の加速ペダル入力値及びブレーキペダル入力値のうちの一つまたは二つであることを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項14】
前記制御器に、入力装置を介して運転者によって選択可能な複数のブーストモードが設定され、
前記複数のブーストモードは、定格出力に対して超過可能なブースト量を示す値であるブースト幅、及び前記ブースト待機時間の初期値が異なるように設定されたモードであることを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項15】
前記複数のブーストモードは、
前記ブースト幅及びブースト待機時間の初期値が予め設定されたそれぞれの可用範囲内で最小値と最大値との間の値に設定される第1ブーストモードと、
前記ブースト幅及びブースト待機時間の初期値が前記設定されたそれぞれの可用範囲内でいずれも最小値に設定される第2ブーストモードと、
前記ブースト幅及びブースト待機時間の初期値が前記設定されたそれぞれの可用範囲内でいずれも最大値に設定される第3ブーストモードと、を含むことを特徴とする請求項14に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項16】
前記制御器で、車両仮想変速機能のオン状態及びオフ状態によって、後続のブーストモードへの再進入のためのブースト待機時間の初期値が異なるように決定されることを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【請求項17】
前記ブースト待機時間を増減させて可変させる段階で、前記制御器は、前記可変されるブースト待機時間を前記表示装置に実時間で表示するようにすることを特徴とする請求項1に記載の車両のブーストモード制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のブースト制御方法に関し、より詳しくは、運転者にとって最大限能動的にブースト運転を遂行することができ、これにより車両ブースト機能の商品価値を向上できる車両のブーストモード制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のパフォーマンス(performance)やファンドライビング(fun-driving)を重要視する運転者が増えている。このような要求に応えて動力性能を一時増大させる走行モード、すなわちブーストモード(boost mode)を具現することができる高性能車両が販売されている。一般に、ブーストモードでの走行が可能な車両において、運転者は車両加速のための運転操作の際、ステアリングホイールなどに付着されたボタンを押してブーストモードに進入することができる。ブーストモードに進入すると、運転者が運転操作によって車両のブースト運転及び作動を遂行する。
【0003】
車両には駆動装置の定格諸元があるが、ブーストモードではこのような定格諸元を少し上回る性能を一時具現することができるようにすることで、駆動系の損傷を防止しながらも車両の加速性能を最大化することができる。ブーストモードに進入すると、車両を駆動する駆動装置(エンジン、モーターなどの動力装置)の最高出力を瞬間的に高めることができ、一定の時間(例えば、10秒)内に出力を所定の最高出力まで増大させることができる。
【0004】
一方、駆動系の損傷を防止しながら加速性能を最大化することができるブーストモードが車両に適用されているが、駆動系の耐久性確保のために、実際にはブースト運転の持続可能時間などを保守的に運営する場合が多い。すなわち、駆動装置の側面で、事実上ブースト運転をもっと長く持続して使うことができると言っても、予め決められた単一の条件、例えば所定の持続可能時間条件のみを考慮してブースト運転を中止させる場合が発生することがある。これは、ブースト運転をもっと長い時間の間に使うことができるにもかかわらず、駆動系の耐久性確保などの理由で、保守的に設定したブースト持続可能時間を超えては使うことができないように車両性能を制限することである。
【0005】
このように、従来技術の限界は、ブースト機能の持続可能時間を駆動系の耐久性確保の次元で保守的に設定したので、車両の加速性能及び商品性を最大化することができないことにある。ブースト運転関連時間の効率的な運営が要求されており、前記ブースト持続可能時間だけでなく、ブースト終了後からブースト再使用ができるまで待機しなければならないブースト待機時間に対しても効率的な運営が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題点を解決するために創出されたものであり、現在の駆動系状態情報及び運転者運転入力情報を共に反映してブースト待機時間を可変的に運営し、運転者にとって最大限能動的にブースト運転を遂行することができ、これにより車両ブースト機能の商品価値を向上できる車両のブーストモード制御方法を提供することにその目的がある。本発明の目的は以上で言及した目的に限定されず、言及しなかった他の目的は以下の記載によって本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者(以下、「当業者」という)に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車両のブーストモード制御方法は、運転者のブーストモードオン(on)の入力がある場合、制御器により、ブースト運転を実施することができるブーストモードに進入する段階と、前記制御器により、前記ブーストモードに進入した状態で車両運転中の実時間運転状態変数情報を取得する段階と、前記制御器により、前記取得した実時間運転状態変数情報によってブースト待機時間を増減させて可変させる段階と、前記ブーストモードが解除される場合、前記制御器により、前記可変されたブースト待機時間を車両の表示装置に表示する段階と、前記制御器により、前記表示装置に表示されるブースト待機時間を時間の経過につれて徐々に減少するように表示する段階と、を含み、前記ブースト待機時間は、前記ブーストモードの解除の後、前記ブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用のために待機しなければならない時間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による車両のブーストモード制御方法によれば、現在の駆動系状態情報及び運転者運転入力情報を共に反映してブースト待機時間を可変的に運営することで、運転者にとって最大限能動的にブースト運転を遂行することができ、よって車両ブースト機能の商品価値を極大化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明によるブーストモードを遂行するための装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明によるブーストモード制御過程を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例で、表示装置を介してブースト待機時間が表示される状態を例示する図である。
【
図4】本発明の実施例で、ブースト待機時間を決定して可変させるための運転点マップ及びその利用方法を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施例で、ブースト待機時間を決定して可変させるための運転点マップ及びその利用方法を説明するための図である。
【
図6】駆動系要素の運転点で、駆動系トルクによってブースト待機時間が増加する状態を例示する図である。
【
図7】駆動系要素の運転点で、駆動系トルクによってブースト待機時間が増加する状態を例示する図である。
【
図8】駆動系要素の運転点で、駆動系トルクによってブースト待機時間が増加する状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。実施例で提示する特定の構造や機能の説明は本発明の概念による実施例を例示するもので、本発明の概念による実施例は多様な形態に実施可能である。また、本明細書で説明する実施例によって本発明が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物及び代替物を含むものと理解されなければならない。一方、本発明で、第1及び/または第2などの用語使うことができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的で使われる。例えば、本発明の概念から逸脱しない範囲内で、第1構成要素または第2構成要素と名付けることができる。ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接続」される場合、その他の構成要素に直接的に連結または接続できるが、中間に他の構成要素が存在することもできる。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているかまたは「直接接触」している場合、中間に他の構成要素が存在しない。構成要素との関係を説明するための他の表現、すなわち「~の間に」及び「すぐ~の間に」または「~に隣接する」及び「~に直接隣接する」などの表現も同様である。明細書全般にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。本明細書で使用する用語は実施例を説明するものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は、文句で特に言及しない限り、複数型も含む。明細書で使用する「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作及び/または素子が一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0012】
本発明は、車両運転状況によってブースト利用のための待機時間(ブースト待機時間)を算出し、運転者にブーストモード利用のための情報として提供する。本発明は、実時間車両運転情報である現在の駆動系状態情報及び運転者運転入力値を反映してブースト待機時間を算出及び可変させることができる。すなわち、ブースト待機時間が現在の駆動系状態情報及び運転者運転入力値によって減少するか増加するなど、実時間で可変することができる。
【0013】
車両の運転中にブーストモード進入状態でブースト運転が実際に実施される場合にのみブースト待機時間が減少することができ、ブーストモード進入状態と言ってもブースト運転が実際に実施されない場合、ブースト待機時間が増加することがある。また、運転者によってブーストモードに進入した後、ブースト運転が実施されるうち所定のブースト持続可能時間が全部経過すれば、ブースト運転が自動で終了し、同時にブーストモードが解除されることができる。
【0014】
前記のように、ブースト運転の終了及びブーストモード解除の後、後続のブーストモードへの再進入及びブースト運転のためには、ブースト運転終了及びブーストモード解除の後、ブースト運転を適正時間の間に中止させることが必要である。このようなブースト運転の中止は、車両を駆動するための駆動装置を含めて駆動に係わる駆動系部品及び装置の耐久性確保及び保護のために必要である。すなわち、ブースト運転の終了及びブーストモードの解除の後、ブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用のために、ブースト運転を終了した後、必ず中止させた状態に維持しなければならない休止期が必要であり、後続ブーストモードへの進入及びブースト運転の実施のために要求される休止期時間が前記ブースト待機時間と言える。
【0015】
前記ブースト待機時間は、ブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用のためにブースト運転を中止(休止)状態に維持及び待機しなければならない休止期時間と定義することができ、後続のブーストモードへの進入及びブースト運転の使用が可能になるまで残った待機時間と定義することができる。
【0016】
本発明で、このようなブースト待機時間を「ブースト再使用可能残余時間」または「クールタイム(cool time)」と言える。本発明で、「ブースト待機時間」、「ブースト再使用可能残余時間」、「クールタイム」はいずれも同じ意味として使われる。従来技術では、ブースト運転の終了及びブーストモードの解除の後、ブースト運転の再使用のために所定のブースト待機時間が設定され、予め決定された所定のブースト待機時間の間に待機した後、ブーストモードに進入してブースト運転を遂行することができる。
【0017】
一方、本発明は、ブースト待機時間(クールタイム)を可変的に運営することで、状況によって運転者がよりよくブースト運転を遂行することができるようにすることに目的がある。本発明は、車両駆動源、すなわちエンジンやモーターのように車両を駆動する駆動装置及びこれを含む駆動系内の他の装置及び部品に損傷が加わらない範囲内でブースト待機時間を最小化することを目標とし、よって車両駆動源に損傷を与える可能性がある因子、すなわち損傷因子を実時間で反映してブースト待機時間を算出する。
【0018】
本発明は、前記損傷因子によって基本的に与えられるブースト待機時間が可変的に調節される。損傷因子の増大によってブースト待機時間値が増加するかまたはその増加率が大きくなることもあり、反対に損傷因子の減少によってブースト待機時間値が減少することもある。もしくは、運転者がブーストモード進入のための入力(ブーストモードオンの入力、例えば、ボタンの操作)を遂行したがブースト運転の使用が必要でない場合、現在のブースト待機時間が0まで減少することもある。ブースト待機時間が0というのはブースト運転を即時使用することができる状態を意味する。
【0019】
図1は本発明によるブーストモードを遂行するための装置の構成を示すブロック図である。
図1は、車両において、ブーストモードの制御を遂行する装置要素に加え、入力装置20、表示装置50、車両走行の制御を遂行する装置要素、及び車両の駆動系を示している。図示のように、本発明によるブーストモードを遂行するための装置は車両に搭載及び設置されるものであり、車両運転情報を検出する運転情報検出部10、前記運転情報検出部10によって検出される車両運転情報に基づいて車両を駆動するためのトルク指令を生成及び出力する制御器30、及び前記制御器30が出力するトルク指令に応じて車両を駆動するように制御される駆動装置41を含む。
【0020】
前記運転情報検出部10は車両のブーストモードの制御及び遂行、及び車両の走行制御の遂行に必要な車両運転情報を検出する構成部であり、前記運転情報検出部10によって検出される実時間車両運転情報は制御器30に入力される。そして、本発明で、前記運転情報検出部10によって検出される車両運転情報は、運転者運転入力情報及び車両状態情報を含むことができる。前記運転情報検出部10は、運転者の加速ペダル操作による加速ペダル入力値を検出する加速ペダル検出部、及び運転者のブレーキペダル操作によるブレーキペダル入力値を検出するブレーキペダル検出部を含むことができる。
【0021】
ここで、加速ペダル検出部は加速ペダルに取り付けられ、運転者の加速ペダル操作状態による電気的信号を出力する通常のアクセル開度センサー(Accelerator Position Sensor、APS)である。ブレーキペダル検出部はブレーキペダルに取り付けられ、運転者のブレーキペダル操作状態による電気的信号を出力する通常のブレーキペダルセンサー(Brake Pedal Sensor、BPS)である。 ここで、前記車両運転情報のうちの運転者運転入力情報は、運転者の加速ペダル操作による運転入力値であって、前記加速ペダル検出部によって検出される加速ペダル入力値(APS値)、及び運転者のブレーキペダル操作による運転入力値であって、前記ブレーキペダル検出部によって検出されるブレーキペダル入力値(BPS値)を含む。
【0022】
これに加えて、運転情報検出部10は、車両駆動系の回転速度を検出する速度検出部をさらに含むことができる。この際、車両運転情報のうちの車両状態情報は、前記速度検出部によって検出される車両駆動系の回転速度(駆動系速度)を含む。本発明で、駆動系速度は駆動装置41の回転速度、すなわちモーターの回転速度(モーター速度)またはエンジンの回転速度(エンジン速度)であるか、駆動輪43の回転速度(駆動輪速度)であるか、図示しないドライブシャフト(drive shaft)の回転速度(ドライブシャフト速度)である。ここで、速度検出部はエンジン速度を検出する通常のエンジン回転数センサーであるかまたはモーターに設置された通常のレゾルバであるか、または駆動輪43に設置された通常のホイール速度センサーであるか、またはドライブシャフト速度を検出することができるセンサーである。
【0023】
そして、本発明で、運転情報検出部10は、駆動系温度を検出するための温度センサーをさらに含むことができる。ここで、実時間車両運転情報のうちの車両状態情報は駆動系温度をさらに含むことができる。前記駆動系温度は駆動系内の装置または部品の温度であり、これは前記温度センサーによって検出されることができる。前記駆動系温度は、車両駆動系の駆動装置41の温度、駆動系部品であるドライブシャフトの温度などであり得、温度センサーによって検出された温度の他に、他のセンサー検出情報や車両で収集された情報に基づいて推定される駆動系内の装置または部品の温度である。
【0024】
また、前記駆動系温度は電気自動車の電力電子(Power Electronic、PE)部品の温度である。ここで、電力部品は前記駆動装置41のモーターであるか、または前記モーターを駆動及び制御するためのインバーターである。また、実時間車両運転情報のうちの車両状態情報は、駆動系に係わる状態を示す駆動系状態変数であり、前記駆動系速度及び駆動系温度に加えて、駆動系トルク、駆動系パワー、駆動系耐久度、バッテリー充電状態(State of Charge、以下「バッテリーSOC」という)情報を含む。
前記駆動系トルクは制御器30で実時間車両運転情報から決定する運転者要求トルク(トルク指令)である。
【0025】
前記駆動系パワーは、駆動系速度及び駆動系トルクから得られる値、または運転者の加速ペダル入力値及び車速から駆動パワーマップによって求められる運転者要求パワー、または運転者のブレーキペダル入力値及び車速から制動パワーマップによって求められる運転者要求パワーなどである。その他に、前記駆動系パワーは、電動化車両で、モーター充放電パワーであるか、または電力電子(PE)部品(モーター、インバーターなど)に対する所定のパワー関連変数、車両制御または車両内装置の制御のためのパワー関連制御変数、または制御過程で決定される駆動系パワー関連変数などである。
【0026】
前記駆動系耐久度は駆動系内の装置または部品の耐久度を意味し、このような駆動系耐久度は、制御器30で車両の総走行距離または車両年式、または前記総走行距離または年式から決定される耐久度関連変数であるか、または制御器30で内部的に推定される駆動系の耐久状態情報である。本発明が属する技術分野で、車両制御または車両内装置の制御のために耐久状態情報を用いること、及び耐久状態を推定するための診断過程などが通常の技術者に知られており、このような耐久状態を推定するための診断過程は公知の技術事項であるので、診断過程などについての詳細な説明は省略する。
【0027】
前記バッテリーSOCはバッテリー制御器(Battery Management System、BMS)から受信される実時間バッテリー状態情報である。ここで、バッテリーは駆動装置41であるモーターにインバーターを媒介として充電及び放電可能に連結されたバッテリーであり、モーターの作動のための電力を供給するバッテリーである。本発明によるブーストモード制御において、ブースト運転関連時間を可変させるために、前記車両状態情報のうちの駆動系状態情報及び診断情報である、駆動系温度、駆動系速度及びトルク、駆動系パワー、駆動系耐久度、及びバッテリーSOCなどの情報のうちの一つまたは二つ以上を制御器30で選択的に用いることができる。
【0028】
そして、
図1には詳細に例示しなかったが、制御器30は、実時間車両運転情報に基づいてトルク指令を決定及び生成して出力する第1制御器、及び前記第1制御器が出力するトルク指令に応じて駆動装置41の作動を制御する第2制御器を含むことができる。前記第1制御器は、通常の車両で、車両運転情報に基づいてトルク指令を生成及び出力する上位制御器、例えば電気自動車の上位制御器である車両制御器(Vehicle Control Unit、VCU)であるか、ハイブリッド自動車の上位制御器であるハイブリッド制御器(Hybrid Control Unit、HCU)である。
【0029】
前記第2制御器は上位制御器である第1制御器と協同して制御を遂行する下位制御器であり、第1制御器から出力されるトルク指令を受信して駆動装置41の作動を制御する。前記第2制御器は、電気自動車で、インバーターを介してモーターを駆動させ、モーターの作動を制御する通常のモーター制御器(Motor Control Unit、MCU)であるか、またはエンジンを駆動及び制御する通常のエンジン制御器(Engine Control Unit、ECU)であるか、またはモーター制御器及びエンジン制御器の両者を意味することができる。
【0030】
本発明で、駆動装置41が出力するトルク及び回転力は、
図1に示すように、減速機、変速機、ドライブシャフト(図示せず)などの駆動系要素42を介して駆動輪43に伝達される。本発明で、第1制御器及び第2制御器は車両のブーストモード制御及び走行制御に関与する制御器である。このような複数の制御器の代わりに、本発明によるブーストモード制御過程、及びこれを含む走行制御過程が統合した単一の制御要素によっても遂行することができる。
【0031】
複数の制御器と単一の統合した制御要素を共に制御器と言え、この制御器によって本発明の制御過程を遂行することもできる。以下の説明で、制御器は第1制御器及び第2制御器を通称するものと言える。後述するように、本発明で、制御器30は、運転情報検出部10によって検出されるかまたはその他に車両で収集される実時間車両運転情報、特に前記車両状態情報(駆動系状態変数など)及び運転者運転入力情報(加速ペダル入力値などの運転入力値)によってブースト待機時間を可変的に決定及び運営する。
【0032】
前記入力装置20は運転者がブーストモードに進入するために操作することができるように車両に備えられるものであり、ブーストモードに進入するために操作することができるボタンを含むことができる。運転者が前記入力装置20のボタンを操作する場合、ボタンの操作による電気的信号が制御器30に入力され、よって制御器30がブーストモードに進入するための運転者入力を認知することができ、その後、制御器30の制御の下でブーストモードに進入することができる。
【0033】
また、前記入力装置20は、前記ボタンとは別個に運転者がブーストモードに対して設定するか選択することができるように備えられる別途の入力部をさらに含むことができる。前記別途の入力部も運転者によって入力される情報を制御器30に伝達するように構成され、これは表示装置50と統合した形態として構成されるタッチスクリーンなどであり得る。後述するように、本発明で、運転者は、前記入力装置20の入力部を介してブーストモードに対する設定値を入力または選択するかまたは複数のブーストモードのうちの一つを選択することができる。
【0034】
本発明で、ブーストモードはブースト運転が可能なモードであり、ブースト運転は駆動装置41で設定された定格出力を超える出力を出す車両運転状態と定義することができる。例えば、ブースト運転状態は、設定された出力制限値を解除して定格出力を超える出力を出すように駆動装置41であるエンジンまたはモーターが作動する状態であり得る。具体的な例として、ブースト運転状態は、定格出力を超えるように駆動装置41の出力を増大させるためにターボチャージャーを作動させてエンジンのブースト圧力を増大させるとともにエンジンの燃料噴射量を増加させる状態を含むことができる。
【0035】
通常の内燃機関自動車で、運転者が、入力装置20として、ブーストモードに進入するためのボタンを押すと、ターボチャージャーを作動させるターボブーストモードに進入するようになっており、これは本発明にも同様に適用可能である。前記表示装置50は現在のブーストモードについての情報を運転者に知らせるためのものであり、ブーストモードについての実時間情報、例えば現在のブースト可用状態またはブースト運転関連時間情報、ブースト作動状態を示す情報などを表示するように前記制御器30によって制御される。
【0036】
前記表示装置50は車両に設置された多様な表示装置のうちの少なくとも一つ以上であり得る。例えば、前記表示装置50は、運転者に情報を表示して提供することができるクラスター(cluster)のディスプレイ及びヘッドアップディスプレイ(Head-up Display、HUD)のうちの一つまたは二つである。
【0037】
以上で、
図1を参照して本発明によるブーストモード及びその制御を遂行するための装置の構成について説明したが、以下では、ブーストモードの遂行及び制御方法について説明する。
図2は本発明によるブーストモード制御過程を示すフローチャートである。
【0038】
図2に示すように、制御器で、直前のブーストモードでの運転状態変数情報または直前のブーストモードでのブースト運転使用量情報によってブースト待機時間の初期値(初期ブースト待機時間)を算出し(S11)、直前のブーストモードの車両運転中の運転状態変数を用いてブースト待機時間を可変させる(S12)。次いで、運転者によってブーストモードがオン(on)になれば(S13)、制御器は前記のように最終に決定されたブースト待機時間が経過したかを確認し(S14)、ブースト待機時間が全部経過したらブーストモードに進入する(S15)。もちろん、ブースト待機時間が全部経過しなかったらブーストモードへの進入及びブースト運転を禁止する。
【0039】
ブーストモードに進入した後には、運転者がブースト運転を実施することができ、ブースト運転を実施するのに伴ってブースト持続可能時間が徐々に消耗される。その後、制御器は、ブースト持続可能時間が0になるかを確認し(S16)、ブースト持続可能時間が0になれば、制御器30によってブースト運転及びブースト運転モードが終了する(S17)。本発明で、前記制御器30は、ブーストモードオン(on)状態(進入状態)でブースト持続可能時間が表示装置50に表示されるようにするとともに実時間で可変するブースト待機時間も表示装置50に表示されるようにすることができる。もしくは、前記制御器30は、ブーストモード解除の後にのみ現在のブースト待機時間が表示装置50に表示されるようにすることができる。この際、時間が経過するのに伴って一定の減少値または一定の減少率で減少するブースト待機時間が表示装置50に表示されるようにする。
【0040】
上述したように、本発明によるブーストモード制御過程は、車両で収集される実時間車両運転情報に基づいてブースト待機時間を決定する過程を含み、前記実時間車両運転情報として前述した車両状態情報(特に、駆動系状態変数)及び運転者運転入力情報によってブースト待機時間を可変させる特徴を有する。すなわち、本発明によるブーストモード制御過程は、ブースト待機時間を可変させる過程を含むことができる。本発明は、ブースト運転が終了し、ブーストモードが解除されたとき、常に一貫的なブースト待機時間を適用するものではなく、実時間で収集及び取得される車両運転情報によってブースト待機時間を可変させる。ここで、車両運転情報は、前述したように、運転者運転入力情報及び車両状態情報を含み、具体的には前記車両状態情報は前記駆動系状態変数を含むことができる。
【0041】
本発明で、ブースト待機時間を決定して可変させる因子のうちの運転者運転入力情報は運転者による運転入力値または設定値を含むことができ、具体的な例として、運転者加速意志を示す加速ペダル入力値を含むことができる。このように、運転者の加速意志及びそれ程度によってブースト待機時間が可変するようにすることができる。そして、本発明で、ブースト待機時間を決定及び可変させる因子のうちの車両状態情報は駆動系状態変数を含むことができる。ここで、駆動系状態変数は駆動系の状態を示す状態情報及び診断情報であり、駆動系温度、駆動系トルク及び速度、駆動系パワー、駆動系耐久度、バッテリーSOCなどを含む。
【0042】
以下では、ブースト待機時間可変方法についてより詳細に説明する。本発明の実施例で、運転者がブーストモードへの進入を望んでブーストモードに進入するための入力を実施したとき、例えば運転者がブーストモードに進入するためのボタンを操作したとき、制御器30によってブースト持続可能時間が表示装置50を介して表示される。また、本発明の実施例で、ブースト運転が終了し、ブーストモードが解除されれば、制御器30によってブースト待機時間が計算された後、表示装置50を介して表示される。
【0043】
本発明の実施例で、ブースト持続可能時間及びブースト待機時間は必ずしも「秒」や「分」のような時間単位と定義される必要はない。例えば、時間が棒グラフの長さまたはゲージの指針位置などのように概念的に表現及び定義されるものでありながら時間を定量的に運転者が認知することができるように示すものであれば、ブースト持続可能時間及びブースト待機時間を定義するのに用いることができる。
【0044】
図3は本発明の実施例で、表示装置50を介してブースト待機時間を表示する状態を例示した図であり、ブースト運転関連時間として前記ブースト待機時間を例示のように多様な方法で表示することができる。例えば、ブースト待機時間を数字Aで表示するか、直線または円形の棒グラフBで表示することができ、またはゲージの指針などで表示することができる。そして、ブースト持続可能時間もブースト待機時間と同様な方法で表示することができる。トラックレーシング(track racing)のような特定の車両運転条件ではブースト運転及びブースト作動を一貫的で反復的な状況に適用する場合が多いので、予測可能な初期ブースト待機時間(ブースト待機時間の初期値)を付与することが重要である。
【0045】
したがって、本発明は、ブーストの持続を終了した後から追後の再使用までかかる時間であるブースト待機時間(ブースト再使用可能残余時間、クールタイム)の初期値、すなわち初期ブースト待機時間を常に一貫的な値で付与するものではなく、車両運転情報によって可変的に決定して表示する方法を提示する。ここで、初期ブースト待機時間を1回のみで計算して運営することができる。初期ブースト待機時間を計算するにあたり、直前のブーストモードでの運転状態変数情報または直前のブーストモードでのブースト運転使用量情報を用いることができる。すなわち、制御器30が、直前のブーストモードでの運転状態変数情報または直前のブーストモードでのブースト運転使用量情報を用いて後続のブーストモードへの再進入のための初期ブースト待機時間を決定するようにする。
【0046】
ここで、運転状態変数情報はブースト待機時間を算出するのに必要な前記車両状態情報及び運転者運転入力情報である。具体的には、前記車両状態情報は、前記のように、駆動系状態変数を含むことができる。前記運転者運転入力情報は、加速ペダル入力値(APS値)及びブレーキペダル入力値(BPS値)のうちの一つまたは二つであり得る。また、直前のブーストモードでのブースト運転使用量情報として直前のブーストモードでのブースト持続可能時間が使われることができる。
【0047】
例えば、ブーストモードに進入するとき、例外的な状況を除いては可能な初期ブースト待機時間として20秒を、表示装置50を介して表示することで、ブーストモードについての実時間情報として運転者に提供するようにし、ブーストモードに進入した後、ブースト持続可能時間が経過及び終了した後には後続のブーストモードに再進入するために、新しい初期ブースト待機時間として10秒間待機しなければならないと仮定する。
【0048】
この場合、直前のブーストモードで運転者によってブーストモードに進入するための入力(例えば、ボタンの操作)がある後であっても実質的なブースト運転が実施されなかった場合(ブースト未使用の場合)には、後続のブーストモードに再進入するための初期ブースト待機時間が前記10秒ではなく0秒に短縮することができる。すなわち、ブーストモードへの進入のためのボタン操作があった後、運転者のブースト運転操作(ブースト運転のための運転者入力)がなければ、以後にブーストモードが解除された後、初期ブースト待機時間が表示装置50を介して0秒として表示されるようにすることができる。これは、ブースト運転をすぐ再使用することができることを運転者に知らせる。
【0049】
反対に、車両走行中にブーストモードに進入した後、運転者がブースト運転を維持することで、ブースト持続可能時間が予め決定された設定時間以下に減少すれば、運転者がブースト運転を相当量使用したと判断し、制御器30は、後続のブーストモードに再進入するための初期ブースト待機時間を所定の時間だけ増加させることができ、このとき、増加したブースト待機時間が表示装置50に表示されるようにすることができる。例として、制御器30は、運転者がブースト運転を前記のように相当量使用した後、ブースト運転の再使用のための初期ブースト待機時間を30秒に延ばすことができ、前記延ばされた30秒が表示装置50に初期ブースト待機時間として表示されるようにすることができる。
【0050】
このように、制御器30は、直前のブーストモードで運転者がブースト運転を実施してブースト持続可能時間が所定の設定時間以下に減少した場合、前記ブースト待機時間の初期値を所定の時間だけ増加させることができる。また、直前のブースト運転の使用が終了した時点を基準に、それ以前の設定時間の間の運転状態変数に基づいて初期ブースト待機時間を計算することもできる。この際、入力変数として使われる値のカウント(count)値または積分値を用いることができる。例えば、直前のブースト運転の使用が終了した時点を基準に、それ以前の1分間のWOT(Wide Open Throttle)持続時間または回生トルク積分値などを用いて、前記持続時間または回生トルク積分値などの算出値が大きいほど初期ブースト待機時間を増加することを考慮することができる。
【0051】
先に、ブースト運転の再使用が可能であるときまでの残余時間の初期値、すなわち初期ブースト待機時間(クールタイム)を1回のみで計算及び決定して表示することについて説明した。その後、初期値からブースト待機時間を実時間で計算して可変させることができる。ここで、ブースト待機時間を実時間で計算して可変させるために、以前のブーストモードでの運転状態変数ではなく、現在ブースト待機時間が消耗及び経過しているうちの運転状態変数を用いることができる。
【0052】
ここで、現在ブースト待機時間が消耗及び経過していると言うのはブースト待機時間が減少している状態であると言える。また、ブースト待機時間が消耗及び経過している状態はブースト運転の再使用のための待機状態、及びブースト運転の再使用のためにブースト運転が中止した状態(休止状態)であると言える。まず、本発明の実施例で、運転者の運転入力値によってブースト待機時間が可変するようにすることができる。ここで、可変因子としては、運転状態変数のうちの運転者運転入力値である加速ペダル入力値(APS値)及びブレーキペダル入力値(BPS値)を含むことができる。すなわち、加速ペダル入力値及びブレーキペダル入力値によってブースト待機時間を可変することができる。前記ブースト待機時間だけでなく、前述した初期ブースト待機時間(ブースト待機時間の初期値)も加速ペダル入力値及びブレーキペダル入力値によって計算及び可変するようにすることができる。
【0053】
一般に、電気自動車で、運転者による加速ペダル入力(操作)及びブレーキペダル入力(操作)によって車両の加速トルク(駆動トルク)及び回生トルクがモーターを介して印加されるので、モーター、インバーター、バッテリーなどの電力電子(Power Electronic、PE)部品が前記ペダル入力による負荷を受ける。したがって、負荷を受ける分だけブースト待機時間が増加しなければならなく、前記ペダル入力量が大きくペダル入力持続量が長いほどブースト待機時間が増加するように設定されなければならない。
【0054】
また、加速ペダル入力及びブレーキペダル入力がない場合、前述した電力電子部品に負荷がかからないので、ブースト待機時間を減少させるように可変させることができる。このために、制御器30は、運転者の運転入力値であるペダル入力値(APS値、BPS値)に相応する値だけブースト待機時間が増減するようにすることができる。ここで、制御器30でマップ(map)を用いることができ、運転者の運転入力値を入力として前記マップによってブースト待機時間の増減値または増減率を決定することができる。
【0055】
また、運転者運転入力値であるペダル入力値(APS値、BPS値)が0の場合にも、車両速度または設定値によってコースティング回生を実施する場合があり、クリープ(creep)の場合には、ペダル入力値が0の場合にも駆動力を発生させる。このように、制御器30の設定によって、前記ペダル入力値が0の場合にもモーターなどの電力電子(PE)部品の負荷が0になるものではないので、電力電子部品の負荷及びペダル入力値の両者を考慮してブースト運転関連時間を可変するようにすることが必要である。
【0056】
すなわち、前記マップに電力電子部品の負荷を考慮したペダル入力値によってブースト待機時間の増減値または増減率などの値を設定することができ、これにより負荷を考慮したペダル入力値によってブースト待機時間を可変させることができる。そして、制御器30に複数のブーストモードが設定されることができる。ここで、前記複数のブーストモードはブースト幅及び初期ブースト待機時間が互いに異なるモードである。本発明で、定格出力に対して超過可能なブースト量を示す値をブースト幅と定義する。すなわち、前記ブースト幅は定格出力を超えることができる出力量(前記ブースト量)を示す値と定義され、詳細にはブーストモードではない一般運転時の最大出力である定格出力が制御器30に設定された状態で前記定格出力に対する前記超過可能な出力量の比(%)と定義することができる。
【0057】
本発明で、制御器30には、ブーストモード別にブースト幅及び初期ブースト待機時間が予め設定されることができる。前記複数のブーストモードで、ブースト幅が大きいモードであるほどモード別初期ブースト待機時間がもっと長い時間に設定される。本発明の実施例で、複数のブーストモードは、デフォルトモードである第1ブーストモード、最小待機時間モードである第2ブーストモード、及び最大ブースト量モードである第3ブーストモードを含むことができる。前記第1ブーストモードはブースト幅及び初期ブースト待機時間が予め設定されたそれぞれの可用範囲内で最小値と最大値との間の値に設定されたモードであり、具体的には、ブースト幅及び初期ブースト待機時間がそれぞれの可用範囲内で最小値と最大値との間の中間値に設定されたモードであり得る。このような第1ブーストモードは制御器30でデフォルトモードとして使われることができる。
【0058】
また、前記第2ブーストモードは初期ブースト待機時間が前記設定された可用範囲内の最大値に設定されたモードであり、前記第3ブーストモードは定格出力に対して超過可能なブースト量を示すブースト幅が前記設定された可用範囲内の最大値に設定されたモードである。複数のブーストモードのうち、初期ブースト待機時間が可用範囲内の最大値に設定されたモードの場合、ブースト幅は可用範囲内の最小値に設定されることができ、反対にブースト幅が可用範囲内の最大値に設定されたモードの場合、初期ブースト待機時間が可用範囲内の最小値に設定されることができる。
【0059】
一例を挙げて説明すると、第1ブーストモードの場合、定格出力に対して超過出力量(ブースト量)10%までブースト運転が可能であり(ブースト幅10%)、初期ブースト待機時間が20秒に設定されることができる。ここで、第2ブーストモードの場合、定格出力に対して超過出力量(ブースト量)5%までのブースト運転が可能であり(ブースト幅5%)、初期ブースト待機時間が最小値である5秒に設定されることができる。また、第3ブーストモードの場合、定格出力に対して超過出力量(ブースト量)15%までのブースト運転が可能であり(ブースト幅15%)、初期ブースト待機時間が40秒に設定されることができる。
【0060】
このように、制御器30にブースト幅及び初期ブースト待機時間が互いに異なる複数のブーストモードが予め設定されて使われることができ、運転者は入力装置20を介して前記複数のブーストモードのうちの一つを選択することができる。以上で全部3個のブーストモードが設定される例を説明したが、これは例示的なものであるだけで、これによって本発明が限定されるものではなく、ブーストモードの個数は多様に変更可能である。
【0061】
例として、総3個のブーストモードを有するものに限定されるものではなく、初期ブースト待機時間が最小値であるブーストモード(最小待機時間モード)と、ブースト幅が最大値であるブーストモード(最大ブースト量モード)との間に、前記デフォルトモードとは別個に、初期ブースト待機時間またはブースト幅のうちの一つがそれぞれの最大値と最小値との間の値に設定される少なくとも1個以上のブーストモードがさらに設定されることができる。すなわち、4個または5個、またはそれ以上のブーストモードが設定されることができる。
また、制御器30におけるブーストモード別設定値において、最小待機時間モードと最大ブースト量モードとの間でそれぞれのブーストモードのブースト幅及び初期ブースト待機時間の設定値を運転者が入力装置20を介して所望の値として選択するか変更するようにすることができる。
【0062】
また、制御器30内にプリセットの形態として決定された個数のブーストモードが設定されて運用される代わり、運転者が入力装置20を介してブースト運転時のブースト幅及び初期ブースト待機時間をモード別に区分なしにそれぞれの最大値と最小値との間で連続的な値に可変させるようにすることができる。すなわち、ブースト運転の際の初期ブースト待機時間を運転者が入力装置20を介して最小値から連続的に増加させて設定することができるようにする。ここで、ブースト幅は初期ブースト待機時間の増減によって自動で可変するようにし、初期ブースト待機時間を増減させるとき、ブースト幅が所定の量または比で自動で増減するようにすることができる。例えば、初期ブースト待機時間が増加すると、その増加値または増加率に連動する値の増加値または増加率によってブースト幅が増加するようにすることができる。
【0063】
同様に、ブースト運転の際のブースト幅を設定するとき、運転者が入力装置20を介してブースト幅を最大値から連続的に減少させるようにすることができる。ここで、初期ブースト待機時間はブースト幅の増減によって自動で可変するようにし、ブースト幅を増減させるとき、初期ブースト待機時間が所定の量または比で自動で増減するようにすることができる。このように、運転者が入力装置20を介して制御器30のブースト運転の際の設定値を自分の所望値に任意に変更するようにすることができる。
【0064】
そして、本発明の実施例で、仮想変速機能のオン(on)/オフ(off)によってブーストモードの初期ブースト待機時間が2元化することができる。
電気自動車において、運転者が仮想変速機能をオン(on)にする場合、車両が走行するうちに車両運転情報に相応する仮想変速感を生成及び提供する方法が知られている。公知の仮想変速感生成のための制御方法で、仮想変速感を生成するために車両を駆動するモーターのトルク指令を補正するようになる。したがって、仮想変速機能を運転者がオン(on)にすると、仮想変速感生成のために駆動装置41であるモーターなどの電力電子(PE)部品の運転点が変更される。
【0065】
このような運転点変更が反映されるように、仮想変速機能オフ(off)の際のブースト運転関連時間と比較して、仮想変速機能オン(on)の際のブースト運転関連時間が異に適用されることができる。一般的には、仮想変速感生成効果のために仮想変速イベント及び時点によって実質的なブースト使用のオン(on)/オフ(off)が繰り返されるので、仮想変速機能を使う場合、仮想変速機能を使わないときに持続的に実質的なブーストを使う場合に比べて、ブースト待機時間が短縮する効果がある。
【0066】
したがって、仮想変速機能がオン(on)状態にあるとき、仮想変速機能のオフのときに比べて、初期ブースト待機時間を短くすることができる。例えば、仮想変速機能のオフ時の初期ブースト待機時間が30秒に設定されれば、仮想変速機能のオン時の初期ブースト待機時間が20秒に設定される。
【0067】
一方、先に駆動系状態変数によってブースト運転関連時間(ブースト待機時間)が可変することを説明した。すなわち、本発明で、駆動系温度、駆動系速度及びトルク、駆動系パワー、駆動系耐久度、バッテリーSOCなどに基づいてブースト運転関連時間を実時間で可変させることができる。これについてより詳細に説明する。
【0068】
ブースト運転関連時間の間にブースト待機時間が駆動系状態変数によって可変することができ、制御器30で、駆動系状態変数によって実時間で可変するブースト待機時間が表示装置50に表示されるようにすることができる。ここで、制御器30では、駆動系状態変数によって変化したブースト待機時間を実時間で算出するためにマップを用いることができる。前記マップは、駆動系状態変数に相応する値にブースト待機時間の増減値または増減率が設定されたマップである。
【0069】
すなわち、前記制御器30で、マップによって現在の駆動系状態に相当する増減値または増減率を決定することができる。前記マップによって増減値または増減率が決定されれば、前記制御器30は、現在のブースト待機時間から前記決定された増減値または増減率によって変化した新しいブースト待機時間を算出し、前記算出された新しいブースト待機時間が表示装置50に表示されるようにする。このように、表示装置50に表示されるブースト待機時間が実時間情報である駆動系状態変数によってずっと更新されるようにし、運転者が表示装置50に表示されるブースト待機時間を確認することができるようにする。
【0070】
駆動系状態変数のうちの駆動系温度に関連して、駆動系温度が正常範囲より高いか低い領域で負荷を印加すれば、駆動系の耐久度が低下することがある。よって、ブースト待機時間が駆動系温度によって可変するようにし、設定された正常範囲を外れた温度領域でブースト待機時間が増加することができるようにする。ここで、ブースト待機時間は、現在のブースト運転の終了及びブーストモードの解除の後に後続のブースト運転再使用及び後続のブーストモードへの再進入が可能なときまでの待機時間(ブースト休止期時間)である。
【0071】
また、駆動系状態変数のうちの駆動系速度及びトルク、及び駆動系パワーは駆動系の負荷または出力に関連した状態変数である。まず、制御器30は、実時間駆動系速度及び駆動系トルク情報から駆動系運転点を実時間でモニタリングする。
【0072】
また、ブースト待機時間を可変させるために、制御器30で運転点マップを用いることができ、前記運転点マップは、駆動装置41の運転点を基準に、待機時間延長領域及び待機時間未延長領域が予め設定されたマップである。ここで、前記待機時間延長領域は実際にブースト運転が遂行されるブースト運転領域であり、前記待機時間未延長領域はブースト運転が遂行されない正常(non-boost)運転領域である。
【0073】
図4及び
図5は、本発明の実施例で、ブースト待機時間を決定して可変させるための運転点マップ及びその利用方法を説明するための図であり、例示した運転点マップで、正(+)のトルク領域は駆動トルク領域を示し、負(-)のトルク領域は回生トルク領域を示す。図示のように、運転点マップには定格運転点上限値及び定格運転点下限値が予め設定され、待機時間延長領域(ブースト運転領域)と待機時間未延長領域(正常運転領域)とが前記定格運転点上限値及び定格運転点下限値を境界として区分されるように設定される。
【0074】
図4及び
図5を参照すると、運転点マップで、定格運転点上限値及び定格運転点下限値が駆動系速度によって連続的に変化する駆動系トルク値に設定されることが分かる。ここで、待機時間延長領域及び待機時間未延長領域はそれぞれ駆動トルク領域及び回生トルク領域を含む。前記運転点マップは、制御器30に予め入力及び保存された状態でブースト待機時間を決定して可変させるのに用いられる。前記制御器30は、実時間駆動系速度及び駆動系トルクによって決定される運転点をモニタリングし、モニタリングされた現在の運転点に基づいて現在の駆動系状態が前記運転点マップで待機時間延長領域及び待機時間未延長領域のうちどの領域に相当するかを判断する。
【0075】
運転点マップの駆動トルク領域で、駆動系トルク(駆動トルク)が定格運転点上限値を超える領域が待機時間延長領域であり、運転点マップの回生トルク領域で、駆動系トルク(回生トルク)が定格運転点下限値未満である領域が待機時間延長領域である。駆動トルク及び回生トルクを区分せずに定義すると、駆動系トルクの絶対値が前記定格運転点上限値の絶対値または定格運転点下限値の絶対値を超える場合、待機時間延長領域に相当すると判断できる。
【0076】
前記制御器30は、運転点マップで現在の運転点が待機時間延長領域に位置すれば、現在の駆動系状態がブースト待機時間を延ばさなければならない状態であると判断し、ブースト待機時間を現在の運転点によって決定される増加値または増加率によって増加させる。前記制御器30で、前記ブースト待機時間の増加値または増加率は現在の駆動系トルクと定格運転点上限値または定格運転点下限値との差分値(定格トルク(出力)に対する超過量)に相応する値に決定されることができる。
【0077】
一方、前記制御器30は、現在の運転点が待機時間未延長領域に位置すれば、現在の駆動系状態がブースト待機時間を変化させない状態であると判断し、ブースト待機時間を変化させずに維持する。このように、制御器30は、駆動系要素の運転点を実時間でモニタリングし、現在の運転点が定格運転点範囲内にある場合にはブースト待機時間を増加させずに維持する。また、制御器30は、現在の運転点が定格運転点範囲を外れて実際にブースト運転が遂行される場合にのみブースト待機時間を増加させる。
【0078】
図6~
図8は駆動系要素の運転点のうち駆動系トルクによってブースト待機時間が増加する状態を例示する図である。ブースト運転は実際定格運転点範囲を外れた運転を意味し、ブースト運転がブーストモードでのみ遂行されると言えるが、実際ブースト運転の遂行が単純にボタンを操作して進入したブーストモードの状態と同じ意味ではない。すなわち、ブーストモードで実際ブースト運転が遂行されないこともある。また、「ブーストオン(on)」はブーストモードに進入するための運転者入力、すなわち運転者のボタン操作があることを意味し、「ブーストオフ(off)」は、ブースト持続可能時間が全部消耗されてブースト運転が終了し、ブーストモードが解除されたことを意味する。
【0079】
また、
図6~
図8は定格運転点上限値を点線で表示し、実時間駆動系トルクが定格運転点上限値以下のトルクの場合、ブーストモードに進入したと言っても定格運転点範囲内で運転が遂行されたものであるので、実際ブースト運転が遂行されなかったことを示す(正常運転)。図示のように、ブーストモードに進入した状態であると言っても定格運転点範囲を外れて実際ブースト運転が遂行された場合にのみブースト待機時間が延ばされる。ここで、ブースト待機時間は所定の増加率(勾配)によって増加することもでき、ブースト待機時間の増加率が例示の図面と違って、定格運転点上限値に対する駆動系トルク超過量に相応する値に決定されることもできる。
【0080】
図6~
図8を参照すると、ブーストオフ時点のブースト待機時間(クールタイム、ブースト再使用可能残余時間)がブーストオフ状態で次のブーストオン(ブースト再使用)が可能な時間及びブースト休止期時間であることを示す。
また、
図6はブーストモードに進入した後にブースト運転をずっと使ったとき、ブースト待機時間が速く増加して、ブーストオフ時点から長いブースト待機時間を経過する場合にのみブーストオン(ブースト再使用)が可能であることを示す。
【0081】
また、
図7はブーストモードに進入した後にブースト運転を間欠的に使ったとき、
図6のブースト運転持続使用時よりもブースト待機時間の延長が小さくなり、結局ブーストオフの時点でブースト待機時間がより短くなることができることを示す。また、
図8はブーストモードに進入した後にブースト運転を使わない場合、ブースト待機時間が増加せずに最小値(例えば、0)に維持されることにより、その後、運転者が望むとき、すぐブーストオン(ブースト再使用)が可能であることを示す。
【0082】
次に、駆動系耐久度に関連して、車両の年式または耐久状態もブースト待機時間に影響を与えるようにする方法を適用することができる。車両の総走行距離または年式、あるいは内部的に推定した耐久状態変数が存在すれば、これらの値から求められる駆動系耐久度を用いて、耐久度が低下した車両であるほどブースト待機時間を延ばすように設定することができる。また、バッテリーSOCに関連して、バッテリー寿命管理のためには、特定のSOC領域で出力量を制限しなければならない状況が発生する。このようなバッテリーの特性を考慮することができる。このために、バッテリーSOCの全体範囲を多数の領域に分けて複数のSOC領域を予め設定しておいた後、複数のSOC領域のうち現在のバッテリーSOCが属するSOC領域によってブースト待機時間を実時間で可変させることができる。
【0083】
また、現在のバッテリーSOCが予め設定されたバッテリーSOC領域内にある場合、制御器はブースト待機時間を無限大に設定することができる。ここで、予め設定されたバッテリーSOC領域はブースト運転が不可なバッテリーSOC領域であり得る。また、ブースト待機時間が無限大であることはブースト再使用が不可な状態、すなわち後続のブーストモードへの再進入及びブースト運転の再使用が不可な状態であることを意味する。 以上のように、本発明によるブーストモード制御方法について詳細に説明した。前述したように、本発明によるブーストモード制御は、車両の運転状態変数情報を用いてブースト待機時間を可変させることを含む。
【0084】
以上で本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いる当業者の多くの変形及び改良形態も本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10 運転情報検出部
20 入力装置
30 制御器
41 駆動装置
42 駆動系要素
43 駆動輪
50 表示装置