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特開2023-158627コアシェル分子篩及びその製造方法、吸音材料及びスピーカ
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  • 特開-コアシェル分子篩及びその製造方法、吸音材料及びスピーカ 図1
  • 特開-コアシェル分子篩及びその製造方法、吸音材料及びスピーカ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158627
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】コアシェル分子篩及びその製造方法、吸音材料及びスピーカ
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/40 20060101AFI20231023BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
C01B39/40
G10K11/162
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204655
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】202210405104.5
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 捷
(72)【発明者】
【氏名】王 和志
(72)【発明者】
【氏名】汪 中洋
【テーマコード(参考)】
4G073
5D061
【Fターム(参考)】
4G073BA17
4G073BA63
4G073BB48
4G073CZ13
4G073DZ08
4G073FA01
4G073FB30
4G073FC22
4G073FD01
4G073FD02
4G073FD21
4G073FD23
4G073GA01
4G073GA08
4G073GB10
4G073UA20
4G073UB60
5D061AA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高性能の吸音材料のためのコアシェル構造分子篩を提供する。
【解決手段】コアシェル構造分子篩は、メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩を核相として、核相のシリコンアルミニウム質量比は50~150であり、コアシェル構造分子篩は細孔構造を有する希土類金属改質ZSM-5分子篩をシェル層として、シェル層のシリコンアルミニウム質量比は300~800であり、シェル層は1~5wt%の希土類金属を含む。コアシェル構造分子篩のシェル層は高いシリコンアルミニウム比を有し、且つ希土類金属改質を経た後に耐水性が大きく向上するとともに、シェル層の細孔構造はVOCsがコアシェル構造分子篩の核相に入ることを効果的に制限するため、核相の分子篩は良好な活性を保持し、コアシェル構造分子篩製を含んで製造された吸音材料の耐水性及びVOCs性能を向上させることにより、吸音材料が充填されたスピーカは安定した音響性能を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェル構造分子篩であって、
前記コアシェル構造分子篩のシリコンアルミニウム質量比は、1~500であり、前記コアシェル構造分子篩は、メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩を核相として、前記核相のシリコンアルミニウム質量比は、50~150であり、前記コアシェル構造分子篩は、細孔構造を有する希土類金属改質ZSM-5分子篩をシェル層として、前記シェル層のシリコンアルミニウム質量比は、300~800であり、前記シェル層は、1~5wt%の希土類金属を含むことを特徴とするコアシェル構造分子篩。
【請求項2】
前記核相の結晶粒サイズは、200~1000nmであり、前記シェル層の厚さは、20~200nmであることを特徴とする請求項1に記載のコアシェル構造分子篩。
【請求項3】
前記希土類金属は、La又はCeを含むことを特徴とする請求項1に記載のコアシェル構造分子篩。
【請求項4】
コアシェル構造分子篩の製造方法であって、
水酸化ナトリウム、アルミニウム源、ケイ素源、テンプレート剤、希土類金属M化合物及び水を混合して前駆体混合液を得ることと、
前記前駆体混合液とメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩とを混合して均一に撹拌した後に水熱結晶化を行ってプレキャスト混合液を得ることと、
前記プレキャスト混合液を冷却して濾過した後、且つ脱イオン水でPHが中性になるまで洗浄した後に乾燥及び焼成を行い、コアシェル構造分子篩を得ることとを含むことを特徴とするコアシェル構造分子篩の製造方法。
【請求項5】
前記アルミニウム源は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸塩のうちの一種又は複数種を含み、前記ケイ素源は、シリカゾル、ホワイトカーボン、正珪酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、前記テンプレート剤は、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド又はテトラプロピルアンモニウムブロミドを含み、前記希土類金属Mは、La又はCeを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記アルミニウム源は、Alを含み、前記ケイ素源は、SiOを含み、前記前駆体混合液における水酸化ナトリウム、Al、SiO、テンプレート剤、希土類金属M化合物、水のモル比は、順に[50~100]:[0.5~1.5]:800:[50~200]:[5~20]:[10000~20000]であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩と前記前駆体混合液におけるSiOの質量比は、[1~10]:1であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のコアシェル構造分子篩及び接着剤を含むことを特徴とする吸音材料。
【請求項9】
前記接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレンアクリル酸エステル、ポリスチレンブタジエン、ポリスチレン酢酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、前記吸音材料は、2~10wt%の前記接着剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の吸音材料。
【請求項10】
ハウジングと、前記ハウジング内に収容された発音単体とを有するスピーカであって、前記発音単体と前記ハウジングは、囲んでバックチャンバを形成し、前記バックチャンバ内には、請求項8に記載の吸音材料が充填されていることを特徴とするスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材料の分野に関し、特にスピーカに用いられるコアシェル構造分子篩を含有する吸音材料に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、ブルートゥースイヤホンなどの携帯型電子デバイスの発展に伴い、音質に対する人々の要求もますます高くなり、音質を向上させ、スピーカの発音効果を向上させるために、現在採用されている一般的な方法の1つは、スピーカのバックチャンバに吸音材料を入れて仮想バックチャンバの体積を増大させ、それにより音質を向上させることである。
【0003】
分子篩は、高比表面積材料として、スピーカのバックチャンバが振動する時にバックチャンバ内の空気を絶えずに吸着及び脱離することができ、それによりバックチャンバの体積を増大させる効果を間接的に達成し、スピーカのバックチャンバ内で一般的に使用される吸音材料である。しかし、アルミニウムの含有量が高い分子篩は、高湿度環境でアルミニウムの脱離を起こしやすく、分子篩の骨格構造を破壊し、それにより吸音材料の性能を低下させる。また、スピーカシステムは、長時間動作する時に少量の各種のVOCsを発散し、VOCsは、分子篩の孔路に入って孔路の閉塞を引き起こしやすく、又は分子篩面に吸着され、有効な吸着位置を占め、且つ一部のVOCsが吸着された後に脱離しにくく、分子篩に不可逆的な失活が発生し、吸音性能が低下する。
【0004】
したがって、上記問題を解決するために、新たなコアシェル構造分子篩及び該コアシェル構造分子篩を有する吸音材料を提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記欠点及び不足を解決するために、本発明は、活性が高いコアシェル構造分子篩及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、上記高活性のコアシェル構造分子篩を含有する吸音材料及び該吸音材料が充填されたスピーカを更に提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、コアシェル構造分子篩を提供し、前記コアシェル構造分子篩のシリコンアルミニウム質量比は、1~500であり、前記コアシェル構造分子篩は、メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩を核相として、前記核相のシリコンアルミニウム質量比は、50~150であり、前記コアシェル構造分子篩は、細孔構造を有する希土類金属改質ZSM-5分子篩をシェル層として、前記シェル層のシリコンアルミニウム質量比は、300~800であり、前記シェル層は、1~5wt%の希土類金属を含む。
【0008】
好ましくは、前記核相の結晶粒サイズは、200~1000nmであり、前記シェル層の厚さは、20~200nmである。
【0009】
好ましくは、前記希土類金属は、La又はCeを含む。
【0010】
本発明は、コアシェル分子篩の製造方法を更に提供し、該コアシェル分子篩の製造方法は、
水酸化ナトリウム、アルミニウム源、ケイ素源、テンプレート剤、希土類金属M化合物及び水を混合して前駆体混合液を得ることと、
前記前駆体混合液とメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩とを混合して均一に撹拌した後に水熱結晶化を行ってプレキャスト混合液を得ることと、
前記プレキャスト混合液を冷却して濾過した後、且つ脱イオン水でPHが中性になるまで洗浄した後に乾燥及び焼成を行い、コアシェル構造分子篩を得ることとを含む。
【0011】
好ましくは、前記アルミニウム源は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸塩のうちの一種又は複数種を含み、前記ケイ素源は、シリカゾル、ホワイトカーボン、正珪酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、前記テンプレート剤は、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド又はテトラプロピルアンモニウムブロミドを含み、前記希土類金属Mは、La又はCeを含む。
【0012】
好ましくは、前記アルミニウム源は、Alを含み、前記ケイ素源は、SiOを含み、前記前駆体混合液における水酸化ナトリウム、Al、SiO、テンプレート剤、希土類金属M化合物、水のモル比は、順に[50~100]:[0.5~1.5]:800:[50~200]:[5~20]:[10000~20000]である。
【0013】
好ましくは、前記メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩と前記前駆体混合液におけるSiOの質量比は、[1~10]:1である。
【0014】
本発明は、吸音材料を更に提供し、該吸音材料は、上述したコアシェル構造分子篩及び接着剤を含む。
【0015】
好ましくは、前記接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレンアクリル酸エステル、ポリスチレンブタジエン、ポリスチレン酢酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、前記吸音材料は、2~10wt%の前記接着剤を含む。
【0016】
本発明は、スピーカを提供し、該スピーカは、ハウジングと、前記ハウジング内に収容された発音単体とを有し、前記発音単体と前記ハウジングは、囲んでバックチャンバを形成し、前記バックチャンバ内には、上述した吸音材料が充填されている。
【発明の効果】
【0017】
関連技術に比べて、本発明に係るコアシェル構造分子篩、吸音材料及びスピーカは、以下の有益な効果を有し、コアシェル構造分子篩のシェル層が高いシリコンアルミニウム比を有し、且つ希土類金属改質を経た後に耐水性が大きく向上するとともに、シェル層の細孔構造は、VOCsがコアシェル構造分子篩の核相に入ることを効果的に制限することができ、それにより核相の分子篩は良好な活性を保持することができ、前記コアシェル構造分子篩を含んで製造された吸音材料の耐水性及びVOCs性能を向上させるため、スピーカは安定した音響性能有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るスピーカの構造概略図である。
図2】本発明に係るコアシェル構造分子篩の製造フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確で、完全に説明し、明らかなように、記述される実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得ることができる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0020】
本発明のスピーカ100は、ハウジング1と、前記ハウジング1内に収容された発音単体2とを含み、前記発音単体2と前記ハウジング1は、囲んでバックチャンバ3を形成し、前記バックチャンバ内に吸音材料4が充填され、それにより、バックチャンバ3の仮想空間を増加させる。これにより、スピーカ100の低周波性能を向上させる。
【0021】
前記吸音材料4は、コアシェル構造分子篩及び接着剤を含む。
【0022】
前記コアシェル構造分子篩のシリコンアルミニウム質量比は、1~500であり、前記コアシェル構造分子篩は、メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩を核相として、前記核相のシリコンアルミニウム質量比は、50~150であり、前記コアシェル構造分子篩は、細孔構造を有する希土類金属改質ZSM-5分子篩をシェル層とする。前記シェル層のシリコンアルミニウム質量比は、300~800であり、前記シェル層は、1~5wt%の希土類金属を含有する。具体的には、前記核相の結晶粒サイズは、200~1000nmであり、前記シェル層の厚さは、20~200nmである。
【0023】
本発明におけるコアシェル構造分子篩において、核相とするメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩上には、細孔構造を有する希土類金属改質ZSM-5分子篩のシェル層があり、該シェル層は、高いシリコンアルミニウム比を有し、且つ希土類金属改質され、耐水性が効果的に向上し、また、シェル層上の細孔構造は、VOCsがコアシェル構造分子篩の核相に入ることを効果的に制限することができ、それにより核相とする分子篩は、良好な活性を保持する。
【0024】
本発明に係る前記コアシェル構造分子篩の製造方法は、主に下記のステップ(1)~(5)を含み、
ステップ(1)では、アルミニウム源を水酸化ナトリウム溶液に溶解し、ケイ素源を添加して混合した後にテンプレート剤を添加し、最後に希土類金属M化合物を添加して均一に混合して前駆体混合液を得る。
ステップ(2)では、メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩を脱イオン水に加えて均一に混合してメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩溶液を得る。
ステップ(3)では、ステップ1で得られた前駆体混合液とステップ(2)でメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩溶液とを混合し、且つ50~70℃で均一に撹拌して混合液を得る。
ステップ(4)では、ステップ(3)で得られた混合液を反応釜に入れ、90~100℃で1~3日間水熱結晶化し、プレキャスト混合液を得る。
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られたプレキャスト混合液を冷却して濾過した後、脱イオン水でPHが中性になるまで繰り返して洗浄した後に乾燥及び焼成を行い、コアシェル構造分子篩を得る。
【0025】
ここで、ステップ(1)において、前記アルミニウム源は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸塩のうちの一種又は複数種を含み、前記ケイ素源は、シリカゾル、ホワイトカーボン、正珪酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、前記テンプレート剤は、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド又はテトラプロピルアンモニウムブロミドを含み、前記希土類金属Mは、La又はCeを含む。理解されるように、前記アルミニウム源は、Alを含有し、それは主にAlの供給源とされる。同様に、前記ケイ素源は、SiOを含有し、それは主にSiOの供給源とされる。したがって、ステップ(1)で前記前駆体混合液を製造する場合、水酸化ナトリウム、Al、SiO、テンプレート剤、希土類金属M化合物、水のモル比は、順に[50~100]:[0.5~1.5]:800:[50~200]:[5~20]:[10000~20000]である。
【0026】
ステップ(3)において、前記メソポーラス構造を有するZSM-5分子篩と前記前駆体混合液におけるSiOの質量比は、[1~10]:1である。
【0027】
上記方法によって製造されたコアシェル構造分子篩は、接着剤と共に原料として前記スピーカ100の前記バックチャンバ3に充填するための吸音材料4を製造することができ、その具体的な製造方法は、以下のとおりであり、
(a)前記コアシェル構造分子篩、脱イオン水、接着剤を秤量し、その質量比は、1:[0.6~1.5]:[0.02~0.10]である。
(b)上記原料を均一に混合し、懸濁液Aを得る。
(c)懸濁液Aを常温で2h撹拌し、懸濁液Bを得る。
(d)懸濁液Bを濾過網で濾過した後に濾過残渣を除去して吸音材料原液を得る。
【0028】
ここで、前記接着剤は、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレンアクリル酸エステル、ポリスチレンブタジエン、ポリスチレン酢酸エステルのうちの一種又は複数種を含み、前記吸音材料は、2~10wt%の前記接着剤を含む。
【0029】
前記吸音材料原液を吸音材料に成形する具体的な実施形態は、具体的な使用需要に応じて対応する成形方法を合理的に選択して前記吸音材料原液を処理して、最終形態の吸音材料を得ることができる。ここで、前記成形方法は、下記の4種類を含むが、それらに限定されるものではない。
(1)噴霧又は他の方式で造粒した後に乾燥させ、粒子状の吸音材料を得る。
(2)特定の金型で成形した後に乾燥させ、ブロック状の吸音材料を得る。
(3)前記吸音材料原液を多孔質材料、例えば有機フォーム、活性炭フォーム等の材料に担持することにより、乾燥した後にフォーム類の吸音材料を得る。
(4)塗布又は印刷の方式によって、シート状又はフィルム状の吸音材料を得る。
【0030】
以下に具体的な実施例及び対照群を参照して、前記コアシェル構造分子篩を含有する前記吸音材料の製造方法を更に具体的に説明する。
【0031】
実施例1
ステップ(1)では、硝酸アルミニウムを水酸化ナトリウム溶液に溶解し、シリカゾル、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びLaを添加し、混合して均一に撹拌して前駆体混合液を得て、上記原料において、水酸化ナトリウム、Al、SiO、C1229NO、La、水のモル比は、順に100:1:800:100:5:10000である。
ステップ(2)では、ステップ(1)におけるSiOとの質量比が10:1である結晶粒サイズが800μmのメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩を秤量し、脱イオン水に添加してメソポーラス構造を有するZSM-5分子篩溶液を調製した後にステップ(1)における前駆体混合液と60℃の水浴条件下で均一に撹拌して混合液を得る。
ステップ(3)では、上記混合液を反応釜に入れて90℃で72h水熱結晶化してプレキャスト混合液を得る。
ステップ(4)では、ステップ(3)で得られたプレキャスト混合液を冷却し、濾過して濾過盤を得て、前記濾過盤を脱イオン水でpHが中性になるまで繰り返して洗浄して固体を得る。
ステップ(5)では、ステップ(4)で得られた固体をマッフル炉に入れ、550℃で2h焼成し、コアシェル構造分子篩を得る。
ステップ(6)では、前記コアシェル構造分子篩、脱イオン水及び接着剤を秤量し、その質量比が1:1:0.05であり、混合して均一に撹拌して混合液を得る。
ステップ(7)では、上記混合液を造粒装置により均一な寸法の小液滴に分散させ、液滴が冷却塔に入った後に固体粒子に凍結される。
ステップ(8)では、上記固体粒子を-40℃の真空乾燥ボックスに入れて12h乾燥させ、乾燥した後の粒子を110℃のオーブンに入れて2h乾燥させ、得られた固体粒子は、即ち本発明に係るコアシェル構造分子篩を含有する吸音材料である。
【0032】
対照群1
本対照群と実施例1との相違点は、ステップ(6)に使用された分子篩が従来のZSM-5分子篩であり、そのシリコンアルミニウム比及び結晶粒サイズが実施例1における前記コアシェル構造分子篩と同じであり、後続の吸音材料の成形ステップが実施例1と同じである。
【0033】
実施例1及び対照群1における製造された吸音材料に対して試験を行い、具体的な内容は、以下のとおりである。
【0034】
音響測定
スピーカの共振周波数は、周波数依存性抵抗及びその位相、及びその対応するゼロクロス点を測定することにより決定される。0.5mlのバックチャンバ及び11mm*15mm*3mmの発音単体を有するスピーカをインピーダンスアナライザーに接続し、実施例1及び対照群1から直径が200~300μmの吸音材料をそれぞれ選別してスピーカのバックチャンバに充満させ、空のチャンバを比較してF0のオフセット値、即ちΔF0を算出する。
【0035】
高温高湿試験
本発明の前記実施例1及び対照群1は、初期性能をテストした後にいずれも85℃/85%rhの高温高湿タンクに配置して200h負荷動作させ、試験前後のΔF0を測定する。
【0036】
耐VOCs試験
本発明の実施例1及び対照群1で製造された吸音材料をスピーカのバックチャンバ内にそれぞれ配置し、VOCs雰囲気で48h動作し、VOCsが共存する前後のΔF0をテストし、前記VOCsは、イソオクチルアクリレート、トリメチロールプロパン、トリアクリレート及びフェニルエチル等のうちの一種又は複数種であってもよい。得られた試験結果を表1に示す。
【表1】
【0037】
表1の試験結果から分かるように、本発明に係るコアシェル構造分子篩で製造された吸音材料の耐高温高湿性能及び耐VOCs性能が顕著に向上する。
【0038】
従来の技術に比べて、本発明に係るコアシェル構造分子篩のシェル層は、高いシリコンアルミニウム比を有し、且つ希土類金属改質された後に耐水性が大きく向上するとともに、シェル層の細孔構造は、VOCsがコアシェル構造分子篩の核相に入ることを効果的に制限することができるため、核相の分子篩が良好な活性を保持することができ、前記コアシェル構造分子篩を含んで製造された吸音材料の耐水性及びVOCs性能を向上させるため、スピーカは、安定した音響性能有する。
【0039】
以上は本発明の実施形態に過ぎず、当業者であれば本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に含まれる。

図1
図2