(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158635
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】補助フィルム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231023BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65D85/86 400
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045115
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】111114674
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512306818
【氏名又は名称】輝能科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROLOGIUM TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6-1, Ziqiang 7th Rd., Zhongli Dist., Taoyuan City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ス-ナン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,チェン-チ
(72)【発明者】
【氏名】ス,フン-リァン
(72)【発明者】
【氏名】リン,チ-ユァン
(72)【発明者】
【氏名】シァオ,チ-ルン
(72)【発明者】
【氏名】ス,ミン-ユエ
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096BA15
3E096BB05
3E096CA19
3E096DA14
3E096EA02X
3E096FA03
3E096FA10
3E096FA19
3E096FA30
3E096GA05
5F131AA04
5F131BA53
5F131CA12
5F131CA32
5F131CA49
5F131EC52
5F131EC62
5F131EC72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本体と、本体の第1の表面上に形成された複数の微細構造体とを含む補助フィルム及びデバイス表面を保護する保護フィルムの貼り付けにより、デバイスが汚染されたり損傷が発生することを防止するシステムを提供する。
【解決手段】基板2の予め保護された表面4に取り付けられる補助フィルム1において、微細構造体14は、本体10上に形成される第1の表面12上に凹凸外観を含み、第1の表面の周囲までそれぞれ延在する2つの端部を有する。複数の微細構造体の一方の端部は、第1の表面の第1のエッジ122まで延在し、他方の端部は、第1の表面の第2のエッジまで延在している。補助フィルムが、基板の予め保護された表面に取り付けられると、微細構造体および基板の表面は、基板からの本体の分離効率を増加させ、かつ、全体的なプロセス時間を減少させるために、いくつかの開放空気流路を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の予め保護された表面に取り付けるための補助フィルムであって、
第1の表面を有する本体と、
前記第1の表面上に凹凸外観を形成するために前記第1の表面上に形成された複数の微細構造体と、
を含み、
前記補助フィルムの前記第1の表面が、前記基板の前記予め保護された表面に取り付けられると、前記第1の表面と前記予め保護された表面との間に、前記第1の表面の周囲まで延在する複数の開放空気流路が形成されることを特徴とする、補助フィルム。
【請求項2】
前記第1の表面上の前記凹凸外観の算術平均粗さは、0.1~0.5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の補助フィルム。
【請求項3】
前記複数の微細構造体は、V字形またはU字形であることを特徴とする、請求項1に記載の補助フィルム。
【請求項4】
前記複数の微細構造体は、異なる形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の補助フィルム。
【請求項5】
前記複数の微細構造体は、前記第1の表面上に不均等に分布していることを特徴とする、請求項1に記載の補助フィルム。
【請求項6】
予め保護された表面を有する基板と、前記基板の前記予め保護された表面に取り付けるための補助フィルムとを備えたシステムであって、前記補助フィルムは、
第1の表面を有する本体と、
前記第1の表面上に凹凸外観を形成するために前記第1の表面上に形成された複数の微細構造体と、
を含み、
前記補助フィルムの前記第1の表面が、前記基板の前記予め保護された表面に取り付けられると、前記第1の表面と前記予め保護された表面との間に、前記第1の表面の周囲まで延在する複数の開放空気流路が形成されることを特徴とする、システム。
【請求項7】
前記基板の前記予め保護された表面は、前記基板の前記予め保護された表面に前記補助フィルムが取り付けられると前記第1の表面に接触する1つ以上のデバイスを含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記基板の前記予め保護された表面は、前記基板の前記予め保護された表面に前記補助フィルムが取り付けられると前記第1の表面に接触する2つ以上の異種のデバイスを含むことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記2つ以上の異種のデバイスのうちの1つは、シリカゲルを含むことを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記基板は、金属基板であることを特徴とすることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記基板は、スラブ型リチウム電池の電荷収集層であることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術が発展するにつれて、電子製品は、多様な製品を高効率および低コストで製造するために、高く統合された自動機械によって製造される。さらに、製造工程中に残された残留物が半製品を汚すことを回避すること、および、プロセススステーション間の輸送、切断、打ち抜き、またはオープンリール式大量生産を含む全ての製造工程を生き延びられるように十分な機械的強度を半製品が有することを確実にすることも望ましい。これらは現代の製造における主要な課題である。
【0002】
現在、知られている方法は、プロセスにおける汚れを回避するために、半製品の予め保護された表面に、剥離剤を有する補助フィルムを取り付けることである。補助フィルムは、半製品が自動製造工程を生き延びられるように十分な機械的強度を有することを支援することもできる。残念ながら、剥離剤は化学コーティング層であるため、半製品の予め保護された表面上のデバイスに対して、種々のレベルの汚れを誘発する。さらに、高い統合性および組立性の状態では、前記半製品の予め保護された表面上に異種の材料を有する構成要素が存在する。異種の材料は、補助フィルムへの種々の付着強度を有する。その結果、半製品に対して補助フィルムを除去する際に、構成要素の損傷が発生する可能性がある。
【0003】
したがって、本発明は、従来技術の上記問題点を解決するための新規な補助フィルムを提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、補助フィルムの表面上に複数の微細構造体を含む、補助フィルムを提供することである。前記複数の微細構造体は、前記補助フィルムの前記表面上に凹凸外観を含む。複数の微細構造体は、前記補助フィルムの前記表面の周囲まで延在する2つの端部を有する。補助フィルムが予め保護された基板の表面上に配置されると、複数の微細構造体および予め保護された基板の表面は、多数の開放空気流路を形成する。それによって、流体は、開放空気流路を介して基板と補助フィルムとの間の空間に入ることができる。微細構造体を有する補助フィルムは、基板からの分離性を高め、それゆえ、全体のプロセス時間を短縮することができる。
【0005】
上記の目的および有効性を達成するために、本発明は、本体と、本体の第1の表面上に形成され、不均等な表面を形成する複数の微細構造体とを含む、補助フィルムを提供する。複数の微細構造体は、補助フィルムの表面上に凹凸外観を含む。複数の微細構造体は、第1の表面の周囲まで延在する2つの端部を有する。本体の第1の表面が基板の予め保護された表面に取り付けられると、複数の微細構造体は、開放空気流路を形成するのに寄与する。開放空気流路を用いることにより、補助フィルムと基板との分離効率を高めることができる。それゆえ、製造工程の動作速度を向上させることができ、全体のプロセス時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の第1の実施形態による構造の概略図を示す。
【
図2A】本発明の第1の実施形態による拡大構造の概略図を示す。
【
図2B】本発明の第1の実施形態による構造の断面図を示す。
【
図2C】本発明の第1の実施形態による補助フィルムと基板との分離の模式図を示す。
【
図3】本発明の第2の実施形態による構造の概略図を示す。
【
図4】本発明の第2の実施形態による構造の拡大された断面図を示す。
【
図5】本発明の第4の実施形態による微細構造体の概略図を示す。
【
図6】本発明の第3の実施形態による微細構造体の概略図を示す。
【
図7】本発明の前記各実施形態による構造の適用の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の構造および特性、ならびに有効性をさらに理解し、認識するために、本発明の実施形態の詳細な説明は、以下のように提供される。
【0008】
従来技術の上記の問題点を解決するために、本発明は、本体と、本体の第1の表面上に形成され、不均等な表面を提供する複数の微細構造体とを含む、補助フィルムを提供する。特に、前記複数の微細構造体は、前記本体の前記第1の表面上に凹凸外観を含む。複数の微細構造体は、第1の表面の周囲まで延在する2つの端部を有する。本体の第1の表面が基板の予め保護された表面に取り付けられると、複数の微細構造体は、複数の開放空気流路を形成するのに寄与する。開放空気流路により、補助フィルムと基板との分離効率を高めることができる。これにより、製造工程の動作速度を向上させることができ、全体のプロセス時間を短縮することができる。
【0009】
以下に、本発明の各実施形態による様々な補助フィルムを示す。
【0010】
本発明の第1の実施形態による構造の概略図を
図1に示す。図に示されるように、第1の実施形態は、基板2の予め保護された表面4に取り付けられることができる補助フィルム1を提供する。補助フィルム1は、本体10を含む。第1の実施形態によれば、本体10は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などの高分子材料から作られる。ただし、本実施形態は上記の例に限定されるものではない。
【0011】
図1および
図2Aを参照する。
図2Aは第1の実施形態による拡大構造の概略図を示し、
図1の拡大図である。図に示すように、基板2の予め保護された表面4に接するように構成された不均等な表面を形成するために、複数の微細構造体14(例えば、複数の溝)が、本体10の第1の表面12上に形成されている。複数の微細構造体14は、本体10の第1の表面12上に凹凸外観を含む。複数の微細構造体14は、第1の表面12の周囲まで延在する2つの端部を有する。本実施形態によれば、複数の微細構造体14の一方の端部は第1の表面12の第1のエッジ122まで延在し、複数の微細構造体14の他方の端部は第1の表面12の第2のエッジ124まで延在している。言い換えれば、複数の微細構造体14は、第1のエッジ122および第2のエッジ124を介して第1の表面12の内側に延在し、第1のエッジ122および第2のエッジ124は、第1の表面12の周囲である。図に示されるように、補助フィルム1が基板2の予め保護された表面4上に配置されると、基板2は複数の微細構造体14の上端側に接触し、基板2と複数の微細構造体14との間に複数の開放空気流路142を形成する。すなわち、基板2と補助フィルム1の本体10の第1の表面12との間には、複数の開放空気流路142が形成され、開放空気流路142が、第1の表面12の周囲まで延在している。
【0012】
図1、
図2A、
図2Bを参照する。
図2Bは、本発明の第1の実施形態による構造の断面図を示す。図に示すように、第1の実施形態によれば、基板2の予め保護された表面4は、1つ以上のデバイス3、例えば、電子デバイス、および/または化学的コーティングによって形成されたデバイスを含む。補助フィルム1が基板2上に配置されると、基板2上に配置されたデバイス3は、補助フィルム1の本体10の第1の表面12に接触する。特に、基板2上のデバイス3は、補助フィルム1上に形成された複数の微細構造体14に接触し、基板2と補助フィルム1との間に複数の開放空気流路142が形成される。そして、開放空気流路142は、本体10の第1の表面12の周囲まで延在している。本実施形態によれば、デバイス3は、電池モジュール、半導体チップ、バイオセンシング材料コーティング、またはシリカゲルコーティングとしてもよい。デバイス3が電池モジュールまたは半導体チップなどの電子デバイスである場合、基板2は、回路基板、例えばフレキシブル回路基板としてもよい。
【0013】
第1の実施形態によれば、複数の微細構造体14は本体10の第1の表面12上に凹凸外観を含み、複数の微細構造体14は、補助フィルム1が基板2上に取り付けられると、基板2と複数の微細構造体14との間に開放空気流路142を形成するように構成された複数の溝を第1の表面12上に含む。
【0014】
第1の実施形態では、複数の微細構造体14は、補助フィルム1と基板2との間に形成された開放空気流路142に入るように、流体、例えば空気を導くためのV字形の構造である。また、本実施形態によれば、複数の微細構造体14間の距離は、予め保護された表面4上に配置されたデバイス3および基板2の材料特性、並びに、特定の製造工程の他の要件、例えば、何らかの製造工程における補助フィルム1と基板2との貼り合わせ能力に応じて調整することができる。
【0015】
図1~
図2Cを参照する。
図2Cは、本発明の第1の実施形態による補助フィルムと基板との分離の模式図を示す。
図2Aに示すように、流体Aは、複数の微細構造体14の周囲の開口部から複数の開放空気流路142に流入する。開放空気流路142は複数の連通端部を有する開口部を有するので、流体Aは開放空気流路142に自由に出入りすることができる。複数の微細構造体14は基板2と補助フィルム1との総接触面積を減少させるのに寄与するので、補助フィルム1の基板2からの除去が容易になる。また、その空気を流すことにより、取り付け手順において基板2と補助フィルム1との間の圧力による真空のような吸引効果を効果的に回避することができ、したがって、基板2から補助フィルム1を容易に分離しうる。基板2上に配置されたデバイス3に影響を及ぼすことなく基板2から補助フィルム1を迅速に除去することができるので、生産ラインのプロセス速度を著しく向上させることができる。さらに、補助フィルム1の第1の表面12に剥離剤をコーティングする場合には、複数の微細構造体14が第1の表面12上に凹凸外観を有しているために基板2と補助フィルム1(および/または、基板2上に配置されたデバイス3)との間の接触面積が小さくなるので、基板2から補助フィルム1を除去するときに、デバイス3および基板2の上に残される剥離剤の残留物も減少する。これにより、デバイス3および/または基板2に対する剥離剤の汚れも減少する。
【0016】
図3および
図4を参照する。
図3は本発明の第2の実施形態による構造の概略図を示し、
図4は
図3における構造の拡大された断面図である。図に示されるように、第2の実施形態によれば、複数の微細構造体14は、U字形である。
【0017】
本発明の第3の実施形態による微細構造体の概略図を示す
図6を参照する。第3の実施形態によれば、実質的に同じ形状を有することに加えて、第1の表面12上に形成された複数の微細構造体14は、異なる形状を有してもよい。加えて、2つの隣接する微細構造体14間の距離は、異なっていてもよく、したがって、補助フィルム1の本体10の表面12上に、不均等に分布した微細構造体14を形成してもよい。例えば、
図5は、本発明の第4の実施形態による微細構造体の概略図を示す。
図5に示すように、第4の実施形態に係る複数の微細構造体14は、不規則で異なる形状を呈する。
【0018】
好ましい分離効率を達成するために、本発明の各実施形態による微細構造体14の好ましい算術平均粗さ(すなわち、第1の表面12上の凹凸外観の粗さ)は、0.1~0.5μmである。それにもかかわらず、これらの実施形態の好ましい算術平均粗さの値の範囲は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。
【0019】
本発明の各実施形態による構造の適用の概略図を示す
図7を参照する。図に示すように、補助フィルム1は、スラブ型リチウム電池などのバッテリ産業のオープンリール式大量生産にも適用してもよい。この適用において、例えば、基板2は、電荷収集層として作用する可撓性の金属基板としてもよい。補助フィルムを取り付けられた予め保護された表面は、異種のデバイスを含む。異種のデバイスは、例えば、活性材料パターン層5と、活性材料パターン層5を取り囲む接着剤フレーム層6とが挙げられる。接着剤フレーム層6の材料は、シリカゲルとすることができる。異種のデバイスは、補助フィルム1への異なる強度の接着を誘発してもよく、したがって、従来技術では、補助フィルムからの分離が劣るという結果をもたらす。本発明の各実施形態による補助フィルムは、開放空気流路のおかげで、問題点を効果的に解決することができる。
【0020】
要約すると、本発明は、本体と、本体の第1の表面上に形成され、不均等な表面を形成する複数の微細構造体とを含む、補助フィルムを提供する。複数の微細構造体は、第1の表面の周囲まで延在する2つの端部を有する。本体の第1の表面が基板の予め保護された表面に取り付けられると、複数の微細構造体は、補助フィルムと基板との間に開放空気流路を形成するのに寄与する。開放空気流路により、補助フィルムと基板との分離効率を高めることができる。これにより、製造工程の動作速度を向上させることができ、全体の製造時間を短縮することができる。本発明は、従来技術で遭遇する問題点を解決する。従来は、剥離フィルムの分離能力が不足しているため、剥離剤が基板上の電子デバイスに付着して最終的には剥離し、デバイスの損傷や汚れにつながるおそれがあった。その結果、生産歩留まりが低下し、したがって、余分なコストが誘発される。
【0021】
したがって、本発明は、その新規性、非自明性、および有用性ゆえに、法的要求に適合する。しかしながら、前述の説明は、本発明の実施形態としてのものに過ぎず、本発明の範囲および領域を限定するためには使用されるべきではない。本発明の特許請求の範囲に記載された形態、構造、特徴、または趣旨に対してなされた実質的に等価な変更または修正もまた、本発明に含まれる。