(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158642
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231023BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231023BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 621H
G09G3/20 621K
G09G3/20 641A
G09G3/20 641C
G09G3/20 611A
G02F1/133 580
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052874
(22)【出願日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】111114645
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522436558
【氏名又は名称】アイリス オプトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IRIS OPTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3F.-3, No. 160, Sec. 1, Guiren 13th Rd., Guiren Dist., Tainan City 711010, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,チェン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,チ-チャン
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZE40
2H193ZH18
2H193ZH34
2H193ZH35
2H193ZH53
2H193ZH54
2H193ZJ20
2H193ZQ17
2H193ZR12
5C006AA15
5C006AA16
5C006AF62
5C006FA04
5C006FA19
5C006FA46
5C006FA47
5C006FA52
5C080AA10
5C080DD26
5C080DD27
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】本発明は、最大駆動電圧を低減する複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法に関する。コレステリック液晶表示装置は、表示パネル、温度感知装置および液晶駆動ユニットを含む。液晶駆動ユニットは、表示パネルの温度が有効温度範囲を下回ったことを温度感知装置が感知すると、DDSタイミングモードで表示パネルを駆動し、表示パネルの温度が有効温度範囲を上回ったことを温度感知装置が感知すると、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動する。
【効果】これにより、環境温度の変化による消費電力の増加の問題を解決し、より良い表示階調を実現することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大駆動電圧を低減するための複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置であって、
画面を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの温度を感知する温度感知装置と、
前記表示パネルを駆動する電圧を出力して前記画面を表示する液晶駆動ユニットと、を備え、
前記液晶駆動ユニットは、前記表示パネルの温度が有効温度範囲を下回ったことを前記温度感知装置が感知すると、DDS(Dynamic driving scheme)タイミングモードで前記表示パネルを駆動し、前記表示パネルの温度が前記有効温度範囲を上回ったことを前記温度感知装置が感知すると、PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで前記表示パネルを駆動することを特徴とするコレステリック液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶駆動ユニットは、前記表示パネルの温度が臨界温度範囲を下回ったことを前記温度感知装置が感知すると、前記PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで前記表示パネルを駆動し、前記臨界温度範囲は前記有効温度範囲より低いである、請求項1に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項3】
前記有効温度範囲の間に、特定の温度を有効温度として指定し、前記臨界温度範囲の間に、特定の温度を臨界温度として指定する、請求項1に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項4】
前記有効温度は摂氏30度であり、前記臨界温度は摂氏5度である、請求項3に記載のコレステリック液晶表示装置。
【請求項5】
画面を表示する表示パネルと、前記表示パネルの温度を感知する温度感知装置と、を備えるコレステリック液晶表示装置の最大駆動電圧を低減するための複合タイミングモードの液晶駆動ユニットであって、
前記表示パネルの温度が有効温度範囲を下回ったことを前記温度感知装置が感知すると、DDS(Dynamic driving scheme)タイミングモードで前記表示パネルを駆動するDDS駆動モジュールと、
前記表示パネルの温度が前記有効温度範囲を上回ったことを前記温度感知装置が感知すると、PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで前記表示パネルを駆動するPWM駆動モジュールと、を備え、
前記表示パネルを駆動する電圧を出力して前記画面を表示することを特徴とする液晶駆動ユニット。
【請求項6】
前記液晶駆動ユニットは、前記表示パネルの温度が臨界温度範囲を下回ったことを前記温度感知装置が感知すると、前記PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで前記表示パネルを駆動し、前記臨界温度範囲は有効温度範囲より低いである、請求項5に記載の液晶駆動ユニット。
【請求項7】
前記有効温度範囲の間に、特定の温度を有効温度として指定し、前記有効温度は摂氏30度であり、前記臨界温度範囲の間に、特定の温度を臨界温度として指定し、前記臨界温度は摂氏5度である、請求項5に記載の液晶駆動ユニット。
【請求項8】
前記液晶駆動ユニットは、タイミングコントローラ(Timing Controller、TCON)である、請求項5に記載の液晶駆動ユニット。
【請求項9】
画面を表示する表示パネルを備えるコレステリック液晶表示装置の最大駆動電圧を低減するための複合タイミングモードの駆動方法であって、
前記表示パネルの温度を取得するステップと、
取得した前記表示パネルの温度が有効温度範囲を下回ったことを前記温度感知装置が感知すると、DDS(Dynamic driving scheme)タイミングモードで前記表示パネルを駆動するステップと、
取得した前記表示パネルの温度が前記有効温度範囲を上回ったことを前記温度感知装置が感知すると、PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで前記表示パネルを駆動するステップと、を有することを特徴とする駆動方法。
【請求項10】
前記液晶駆動ユニットは、前記表示パネルの温度が臨界温度範囲を下回ったことを前記温度感知装置が感知すると、前記PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで前記表示パネルを駆動し、前記臨界温度範囲は有効温度範囲より低いである、請求項9に記載の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法に関する。特にDDSタイミングモードとPWMタイミングモードとのハイブリッド駆動で画面を表示する複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶表示装置(Cholesteric Liquid Crystal Display、Ch-LCD)は、双安定性を持ち、電力を消費せずに表示内容を維持できるため、温度センサーの表示装置や電子書籍、電子ペーパー、電子ホワイトボードなどの製品によく使われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コレステリック液晶表示装置において、画面を表示する部分は表示パネルと呼ばれ、DDS(Dynamic driving scheme)タイミングモードやPWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで表示パネルを駆動して画面を表示させるが、一般的な公知技術分野では、同じ装置において、表示パネルの駆動方法として一つのタイミングモードのみが選択される。
【0004】
DDSタイミングモードとは、コレステリック液晶表示装置中のコレステリック液晶がHomoerotropic状態とTransient状態との間の転移速度が速いこと、およびFocal-conic状態とHomoerotropic状態との間のヒステリシス特性を利用して設計された三相駆動方法であり、三相駆動はそれぞれPreparation Phase、Selection PhaseおよびEvolution Phaseである。Preparation Phaseは、コレステリック液晶をHomoerotropic状態に転移する段階である。Selection Phaseは、Focal-conic状態(暗状態)またはPlanar状態(明状態)を選択する段階であり、明状態(Planar状態)を選択する場合はHomoerotropic状態に維持され、暗状態(Focal-conic状態)を選択する場合はTransient状態に維持される。Evolution Phaseは、高速駆動の目的を達成するために、Homoerotropic状態とFocal-conic状態との間の磁気ヒステリシス特性を利用してPlanar状態(明状態)またはFocal-conic状態(暗状態)に転移する。
【0005】
しかし、DDSタイミングモードで駆動すると、環境温度が高くなるほど駆動に必要な電圧が高くなり、消費電力が増加するだけでなく、駆動チップの最大駆動電圧をも高くする必要があるため、駆動チップの生産コストが高くなり、全体の材料コストが上昇する。
【0006】
また、高温環境下でDDSタイミングモードで駆動すると、表示される階調も少なくなり、表示の効果が低下する。DDSタイミングモードの駆動方式には、応答が速いという利点があるが、上記のような欠点はいずれも高温環境での作動に不利であることを示している。
【0007】
DDSタイミングモードでの温度と電圧の関連については、
図1、
図2および
図3を同時に参照してください。
図1は、摂氏0℃におけるSelection PhaseとEvolution Phaseの電圧と反射率の概略図である。
図2は、摂氏25℃におけるSelection PhaseとEvolution Phaseの電圧と反射率の概略図である。
図3は、摂氏35℃におけるSelection PhaseとEvolution Phaseの電圧と反射率の概略図である。
図1、
図2および
図3中の違う色のブロックは異なる反射率を表し、オレンジ色が濃いほどコレステリック液晶の明状態を示し、グレイレベルが高くなり、青色が濃いほどコレステリック液晶の暗状態を示し、グレイレベルが低くなる。
【0008】
図1から分かるように、0℃、Evolution Phaseの電圧が14ボルト(V)の場合は、最も多い階調が見られ、すなわちSelection Phaseの0ボルト(V)から20ボルト(V)までの範囲で、分布が最も多くて理想的な反射率が見られる。
図2から分かるように、25℃、Evolution Phaseの電圧が18ボルト(V)の場合は、最も多い階調が見られ、すなわちSelection Phaseの0ボルト(V)から20ボルト(V)までの範囲で、分布が最も多くて理想的な反射率が見られる。
図3から分かるように、35℃、Evolution Phaseの電圧が20ボルト(V)の場合は、最も多い階調が見られ、すなわちSelection Phaseの0ボルト(V)から20ボルト(V)までの範囲で、分布が最も多くて理想的な反射率が見られる。
【0009】
つまり、0℃におけるEvolution Phaseの理想電圧は14ボルト(V)、25℃におけるEvolution Phaseの理想電圧は18ボルト(V)、35℃におけるEvolution Phaseの理想電圧は20ボルト(V)であり、温度が高いほど駆動チップの最大駆動電圧が高くなり、コストの負担が大きくなる。
【0010】
したがって、DDSタイミングモードでコレステリック液晶表示装置を高温状態で駆動して画面を表示させると表示階調の低下や消費電力の増加などの問題を解決するために、理想な技術を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法を提供して、DDS(Dynamic driving scheme)およびPWM(Pulse-width Modulation)の複合タイミングモードで温度による消費電力増加の問題を解決し、より理想的な階調表示効果を示す。
【0012】
本発明は、最大駆動電圧を低減するための複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置に関し、コレステリック液晶表示装置は、表示パネルと、温度感知装置と、液晶駆動ユニットとを備える。
【0013】
表示パネルは画面を表示するためのものであり、温度感知装置は表示パネルの温度を感知するためのものであり、液晶駆動ユニットは電圧を出力して画面を表示するためのものである。また、液晶駆動ユニットはタイミングコントローラ(Timing Controller;TCON)を使用することができる。
【0014】
液晶駆動ユニットは、表示パネルの温度が有効温度範囲を下回ったことを温度感知装置が感知すると、DDSタイミングモードで表示パネルを駆動し、表示パネルの温度が有効温度範囲を上回ったことを温度感知装置が感知すると、PWMタイミングモードで前記表示パネルを駆動する。また、液晶駆動ユニットは、表示パネルの温度が臨界温度範囲を下回ったことを温度感知装置が感知すると、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動する。臨界温度範囲は前記有効温度範囲より低いである。
【0015】
前記コレステリック液晶表示装置において、有効温度範囲の間に、特定の温度を有効温度として指定でき、前記臨界温度範囲の間に、特定の温度を臨界温度として指定できる。
【0016】
例えば、有効温度は摂氏30度であり、臨界温度は摂氏5度である。
【0017】
また、本発明はコレステリック液晶表示装置の最大駆動電圧を低減するための複合タイミングモードの液晶駆動ユニットであり、液晶表示装置はタイミングコントローラチップを採用することができる。
【0018】
前記コレステリック液晶表示装置は、画面を表示する表示パネルと、前記表示パネルの温度を感知する温度感知装置を備える。液晶駆動ユニットは、DDS駆動モジュールと、PWM駆動モジュールとをさらに備え、表示パネルを駆動する電圧を出力して画面を表示する。
【0019】
DDS駆動ユニットは、表示パネルの温度が有効温度範囲を下回ったことを温度感知装置が感知すると、DDSタイミングモードで表示パネルを駆動する。PWM駆動ユニットは、表示パネルの温度が有効温度範囲を上回ったことを温度感知装置が感知すると、PWMタイミングモードで前記表示パネルを駆動する。
【0020】
また、PWM駆動ユニットは、表示パネルの温度が臨界温度範囲を下回ったことを温度感知装置が感知すると、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動する。臨界温度範囲は前記有効温度範囲より低いである。
【0021】
高温では、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動するために必要な最大駆動電圧が低くなり、低温では、DDSタイミングモードで表示パネルを駆動するために必要な最大駆動電圧が低くなる。したがって、本発明の複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置および液晶駆動ユニットを採用すると、表示パネルを駆動して画面を表示するときの最大駆動電圧は極端に高くする必要がなくなり、駆動チップの購入コストを大幅に低減することができる。
【0022】
さらに説明すると、前記液晶駆動ユニットにおいて、有効温度範囲の間に特定の温度を有効温度として指定でき、例えば、有効温度は摂氏30度である。
【0023】
また、前記液晶駆動ユニットにおいて、臨界温度範囲の間に特定の温度を臨界温度として指定でき、例えば、臨界温度は摂氏5度である。
【0024】
本発明は、前記複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置や液晶駆動ユニットのほかに、複合タイミングモードの駆動方法であってもよい。複合タイミングモードの駆動方法は、コレステリック液晶表示装置の最大駆動電圧を低減するために使用され、コレステリック液晶表示装置は、画面を表示する表示パネルを備える。駆動方法は、以下のステップを含む。
【0025】
まず、表示パネルの温度を取得する必要があり、実際には上記の温度感知装置を用いて表示パネルの温度を検出することができる。
【0026】
取得した表示パネルの温度が所定の有効温度範囲より低い場合、DDSタイミングモードで表示パネルを駆動する必要があり、取得した表示パネルの温度が所定の有効温度範囲より高い場合、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動する必要がある。
【0027】
また、取得した表示パネルの温度が所定の臨界温度範囲より低い場合、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動する必要があり、臨界温度範囲は有効温度範囲より低いである。
【0028】
さらに、有効温度範囲および臨界温度範囲の間にそれぞれ特定の温度を有効温度および臨界温度として指定でき、例えば、有効温度は摂氏30度であり、臨界温度は摂氏5度である。
【0029】
高温では、PWMタイミングモードで表示パネルを駆動するために必要な最大駆動電圧が低くなり、低温では、DDSタイミングモードで表示パネルを駆動するために必要な最大駆動電圧が低くなる。したがって、本発明の複合タイミングモードの液晶駆動ユニットを駆動チップとして採用すると、コレステリック液晶表示装置および液晶駆動ユニットが表示パネルを駆動して画面を表示するときの最大駆動電圧は極端に高くする必要がなくなり、駆動チップの購入コストを大幅に低減することができる。
【0030】
したがって、本発明が提供する複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法は、表示パネルの温度を感知することによって、有効温度および臨界温度に基づいてDDSおよびPWMの複合タイミングモードで表示パネルを駆動することができ、さらに温度による消費電力増加の問題を解決し、より理想的な階調表示効果を示す。
【0031】
本発明の利点および精神については、以下の詳細な説明および図面によってさらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】は、従来技術における摂氏0℃のSelection PhaseおよびEvolution Phaseの電圧および反射率の概略図である。
【
図2】は、従来技術における摂氏25℃のSelection PhaseおよびEvolution Phaseの電圧および反射率の概略図である。
【
図3】は、従来技術における摂氏35℃のSelection PhaseおよびEvolution Phaseの電圧および反射率の概略図である。
【
図4】は、本発明の複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置の機能素子の概略図である。
【
図5】は、本発明のコレステリック液晶のPWMタイミングモードによるR-V曲線グラフである。
【
図6】は、本発明の複合タイミングモードの液晶駆動ユニットの概略図である。
【
図7】は、本発明の複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置の駆動方法のフローチャートである。
【
図8】は、本発明のDDSタイミングモードおよびPWMタイミングモードを異なる温度で動作させる場合の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置、液晶駆動ユニットおよび駆動方法に関し、異なるタイミングモードによって最大駆動電圧を低減する目的を達成する。以下、図面を参照してより詳しく説明する。
図4は、一実施形態における複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置30の機能素子の概略図である。本発明の一実施形態は、画面を表示させる最大駆動電圧を低減することができる複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置30であって、コレステリック液晶表示装置30は、表示パネル32と、温度感知装置34と、液晶駆動ユニット36とを備える。
【0034】
表示パネル32は、画面を表示する複数の画素マトリクスを有し、温度によって電圧に影響を与えるほか、温度および電圧によって応答速度やコントラスト、階調に影響を与えることができる。
【0035】
温度感知装置34は、表示パネル32の温度を感知するために用いられ、温度感知装置34によって表示パネル32の温度を検出されたあと、液晶駆動ユニット36は温度に応じて適切なタイミングモードで表示パネル32を駆動する。
【0036】
液晶駆動ユニット36は、前記の画面を表示するために、DDS(Dynamic driving scheme)タイミングモードあるいはPWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードによって、コレステロール液晶表示パネル32に列駆動電圧および行駆動電圧を出力することができる。また、液晶駆動ユニット36は、表示パネル32の温度が所定の有効温度範囲を下回ったことを温度感知装置34が感知すると、DDSタイミングモードで表示パネル32を駆動し、表示パネル32の温度が所定の有効温度範囲を上回ったことを温度感知装置34が感知すると、PWMタイミングモードで表示パネル32を駆動する。
【0037】
図5を参照する。
図5は、別の実施形態におけるコレステリック液晶のPWMタイミングモードによるR-V曲線グラフである。図中、Rは反射率、Vは電圧、示された4つの曲線はそれぞれ摂氏0℃、10℃、25℃および35℃における液晶駆動ユニット36の反射率と電圧の変化である。反射率が高い場合は明状態、低い場合は暗状態を示す。V1はPWMタイミングモードが明状態で作動する時に使用する電圧範囲であり、V2はPWMタイミングモードが暗状態で作動する時に使用する電圧範囲である。図式から分かるように、摂氏0℃の場合、暗状態の時の電圧は約25ボルト(V)と高く、摂氏35℃の場合、暗状態の時の電圧は約17ボルト(V)と低い。したがって、PWMタイミングモードでは温度が低いほど必要電圧が高くなり、温度が高くほど必要電圧が低くなることが確認できる。
【0038】
図5の結果を
図1~
図3の従来技術と比較すると、最大駆動電圧を低減するという目的を達成するために、本発明は液晶駆動ユニット36が温度が高い場合にPWM駆動モジュール44のPWMタイミングモードを採用し、温度が低い場合にDDS駆動モジュール42のDDSタイミングモードを採用するように設計することができる。
【0039】
上述のように、暗状態区間では高いコントラストを得られるため、暗状態区間は表示パネル32が必要とする理想的な使用範囲である。同じV2範囲内の電圧で比較すると、摂氏25℃および摂氏35℃は電圧が低いため、好ましい有効温度範囲であることがわかる。すなわち、コレステリック液晶表示装置30において、前記有効温度範囲は摂氏25℃から摂氏35℃の範囲であることが好ましい。また、発明者が実験を繰り返す結果、摂氏25℃から摂氏35℃はV2範囲における最も好ましい有効温度範囲であり、さらに摂氏30℃が相対的かつ理想的な温度である結論を得られた。
【0040】
要約すると、コレステリック液晶表示装置30において、有効温度範囲は摂氏25℃~35℃の範囲であってもよい。また、特定の温度を有効温度として指定することもできる。例えば、前述した相対的に好ましい有効温度は摂氏30℃であり、この場合の有効温度範囲は摂氏30℃~摂氏30℃の範囲である。
【0041】
図6を参照する。
図6は、別の実施形態における複合タイミングモードの液晶駆動ユニット36の概略図である。
図6に示すように、本発明の別の実施形態は、表示パネル32と温度感知装置34とを備えるコレステリック液晶表示装置30の最大駆動電圧を低減するための複合タイミングモードのコレステリック液晶駆動ユニット36であって、コレステリック液晶駆動ユニット36は、DDS駆動モジュール42およびPWM駆動モジュール44を備え、表示パネル32を駆動する電圧を出力して前記画面を表示する。
【0042】
DDS駆動モジュール42は、表示パネル32の温度が所定の有効温度範囲を下回ったことを温度感知装置34が感知すると、DDS(dynamic driving scheme)タイミングモードで表示パネル32を駆動する。PWM駆動モジュール44は、表示パネル32の温度が所定の有効温度範囲を上回ったことを温度感知装置34が感知すると、PWM(Pulse-width Modulation)タイミングモードで表示パネル32を駆動する。
【0043】
複合タイミングモードの液晶駆動ユニット36は、タイミングコントローラ(Timing Controller、TCON)チップを採用することができる。上述のように、コレステロール液晶駆動ユニット36における有効温度範囲は摂氏25℃~摂氏35℃の範囲であってもよい。さらに、上述の有効温度範囲の間に、特定の温度を有効温度として指定することもできる。例えば、有効温度は摂氏30℃であり、この場合の有効温度範囲は摂氏30℃~摂氏30℃の範囲である。
【0044】
図7を参照する。
図7は、別の実施形態における複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置30の駆動方法のフローチャートである。本実施形態は、複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置30や液晶駆動ユニット36のほかに、複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置30の駆動方法であってもよい。複合タイミングモードの駆動方法は、コレステリック液晶表示装置30を駆動するために使用され、コレステリック液晶表示装置30の最大駆動電圧を低減させる。コレステリック液晶表示装置30は、画面を表示する表示パネル32を備える。駆動方法は、以下のステップを含む。
【0045】
ステップ1(S01):まず、表示パネル32の温度を取得する必要があり、実際にはコレステリック液晶駆動ユニット36に使用するための表示パネル32温度を、温度感知装置34を用いて検出することができる。
【0046】
ステップ2(S02):次に、表示パネル32の温度を所定の有効温度範囲と比較する。
【0047】
ステップ3(S03):取得した表示パネル32の温度が所定の有効温度範囲より低い場合、DDSタイミングモードで表示パネル32を駆動する必要がある。
【0048】
ステップ4(S04):取得した表示パネル32の温度が所定の有効温度範囲より高い場合、PWMタイミングモードで表示パネル32を駆動する必要がある。
【0049】
有効温度範囲は摂氏25℃~摂氏35℃の範囲であってもよい。また、有効温度範囲の間に、特定の温度を有効温度として指定することもできる。例えば、有効温度は摂氏30℃であり、この場合の有効温度範囲は摂氏30℃~摂氏30℃の範囲である。高温では、PWMタイミングモードで表示パネル32を駆動するために必要な最大駆動電圧が低くなり、低温では、DDSタイミングモードで表示パネル32を駆動するために必要な最大駆動電圧が低くなる。したがって、本発明の複合タイミングモードの液晶駆動ユニット36を駆動チップとして採用すると、コレステリック液晶表示装置30および液晶駆動ユニット36が表示パネル32を駆動して画面を表示するときの最大駆動電圧は極端に高くする必要がなくなり、駆動チップの購入コストを大幅に低減し、間接的に運用コストを削減することができる。
【0050】
図8を参照する。
図8は、別の実施形態におけるDDSタイミングモードおよびPWMタイミングモードを異なる温度で動作させる場合の比較図である。具体的には、1024×768の解像度を有する実際のコレステリック液晶表示装置30において、それぞれ摂氏-2度、摂氏0度、摂氏5度、摂氏25度および摂氏35度の場合、DDSタイミングモードあるいはPWMタイミングモードを採用するときに必要な電圧の比較図である。また、PWMタイミングモードの駆動フェーズ(Driving Phase)は、リセット(Reset)と、選択(Select)と、非選択(Non-Select)とを含み、リセットは40ミリ秒(ms)がかかり、選択は解像度の768行(row)のライン(line)ごとに4ミリ秒(ms)を消費する。DDSタイミングモードの駆動フェーズは、準備(Preparation)と、選択(Select)と、展開段階(Evolution)と、非選択(Non-Select)とを含み、準備は20ミリ秒(ms)がかかり、選択は解像度の768行(row)のライン(line)ごとに1ミリ秒(ms)を消費し、展開段階は10ミリ秒(ms)がかかる。各駆動フェーズの状態における電圧は異なり、単位をボルト(V)とする。
【0051】
表に示すように、温度が低い状態、例えば摂氏0度、より低い最大駆動電圧を求める場合、DDSタイミングモードの35ボルト(V)はPWMタイミングモードの44ボルト(V)より低いため、DDSタイミングモードで表示パネル32を駆動するほうが好ましい。温度が摂氏25度に上昇すると、DDSタイミングモードの最大駆動電圧は40ボルト(V)に上昇するが、このときのPWMタイミングモードの最大駆動電圧も40ボルト(V)であるため、DDSタイミングモードを切り替えることなく維持することができる。しかし、温度が摂氏35度に上昇すると、DDSタイミングモードの最大駆動電圧は46ボルト(V)、PWMタイミングモードの最大駆動電圧は36ボルト(V)になり、すなわち、摂氏35度のような高温では、PWMタイミングモードを採用して表示パネル32を駆動することによって、より低い最大駆動電圧を得られる。また、データ的には摂氏5度以下はDDSタイミングモードで駆動するのが好ましいが、摂氏-2度ではPWMタイミングモードしか使えないことが確定しているため、モードの切り替えが間に合わない恐れがある。したがって、摂氏5度以下になると直接PWMタイミングモードに切り替えるように調整する。全体的の温度変化において、理想的な駆動タイミングモードを色付きセルで示す。さらに、表から分かるように、DDSタイミングモードおよびPWMタイミングモードは摂氏25度で切り替えることができるという結論を得られる。
【0052】
発明者が実験を繰り返す結果、摂氏30度は有効温度として理想的な切り替え温度であり、それに対して、摂氏25度におけるDDSタイミングモードおよびPWMタイミングモードの最大駆動電圧はどちらも40ボルト(V)であるため、切り替えをしなくてもよい。また、摂氏30度を超えると、例えば摂氏35度の場合、DDSタイミングモードの最大駆動電圧はPWMタイミングモードの最大駆動電圧をはるかに超えたため、PWMタイミングモードに切り替える必要がある。
【0053】
要約すると、本発明が提供する複合タイミングモードのコレステリック液晶表示装置30、液晶駆動ユニット36および駆動方法は、表示パネル32の温度を感知することによって、有効温度および臨界温度に基づいてDDSおよびPWMの複合タイミングモードで表示パネル32を駆動することができ、さらに温度による消費電力増加の問題を解決する。また、高温環境におけるDDSタイミングモードの階調表示が悪くなるため、PWMタイミングモードに切り替えることで、必要な最大駆動電圧が低くなるだけでなく、より理想的な階調表示効果を示すことができる。
【0054】
以上の好ましい実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲を上述の好ましい実施形態に限定するのではなく、本発明の特徴と精神をより明確に記述することを意図している。その目的は、様々な変更および同等の構成を本発明の請求の範囲内に含まれることにある。
【符号の説明】
【0055】
30:コレステリック液晶表示装置
32:表示パネル
34:温度感知装置
40:液晶駆動ユニット
42:DDS駆動モジュール
44:PWM駆動モジュール