(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158649
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】歩行型作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/08 20060101AFI20231023BHJP
A01B 33/02 20060101ALI20231023BHJP
B62D 51/06 20060101ALI20231023BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A01B33/08 Z
A01B33/08 A
A01B33/02 Z
B62D51/06 C
B62D49/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065034
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022068367
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】592242327
【氏名又は名称】日本フレックス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】小川 司
(72)【発明者】
【氏名】松田 幸一郎
【テーマコード(参考)】
2B033
【Fターム(参考)】
2B033AA06
2B033AB11
2B033AC04
2B033CA02
2B033CA22
2B033CA40
(57)【要約】
【課題】旋回時の操縦を容易にすると共に操作を簡略化した歩行型作業機を提供する。
【解決手段】エンジン11と、被操作装置Aと、旋回の際に第1状態から第2状態へ操作されると共に受け付けた操作を機械的に被操作装置へ伝達する第1操作機構B1と、エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作を受け付けると共に受け付けた操作を機械的にエンジンへ伝達する第2操作機構B2と、第1操作機構B1と第2操作機構B2とを機械的に連動させる連動機構Cと、を備える。連動機構Cは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
被操作装置と、
旋回の際に第1状態から第2状態へ操作されると共に受け付けた操作を機械的に前記被操作装置へ伝達する第1操作機構と、
前記エンジンの回転数の上昇操作及び下降操作を受け付けると共に受け付けた操作を機械的に前記エンジンへ伝達する第2操作機構と、
前記第1操作機構と前記第2操作機構とを機械的に連動させる連動機構と、を備え、
前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更するように構成されている歩行型作業機。
【請求項2】
前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更した後、前記第2操作機構が前記上昇操作されることを許容する状態となるように構成されている請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項3】
前記連動機構は、前記第1操作機構が受けた操作に応じて移動する第1部材と、前記第2操作機構の受けた操作に応じて移動する第2部材と、を備え、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が移動するときに、前記第1部材が前記第2部材を移動させて、前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更するように構成されている請求項2に記載の歩行型作業機。
【請求項4】
前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が前記第2部材を移動させた後に、前記第1部材を前記第2部材から離間させて、前記上昇操作に応じて前記第2部材が移動することを許容する状態となるように構成されている請求項3に記載の歩行型作業機。
【請求項5】
前記連動機構は、前記第1部材の移動を案内する第1案内機構を備え、
前記第1案内機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたときに前記第1部材を第1経路に沿って第1位置から第2位置へ移動させ、前記第1操作機構が前記第1状態へ操作されたときに前記第1部材を第2経路に沿って前記第2位置から前記第1位置へ移動させるように構成され、
前記第1経路は、前記第1部材が前記第2部材に接触可能な経路であり、
前記第2経路は、前記第1部材が前記第2部材に接触不能な経路である請求項4に記載の歩行型作業機。
【請求項6】
前記連動機構は、前記第2部材の第3経路に沿った移動を案内する第2案内機構を備え、
前記第3経路は、前記第1案内機構の前記第1経路に沿って延びる経路である請求項5に記載の歩行型作業機。
【請求項7】
前記連動機構は、前記第1操作機構が受けた操作に応じて移動する第1部材と、前記第2操作機構の受けた操作に応じて移動する第2部材と、第3部材と、を備え、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が移動するときに、前記第1部材が前記第3部材を移動させると共に前記第3部材が前記第2部材を移動させて、前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更するように構成されている請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項8】
前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が前記第3部材を移動させると共に前記第3部材が前記第2部材を移動させた後に、前記上昇操作に応じて前記第2部材及び前記第3部材が移動することを許容する許容機構を備える請求項7に記載の歩行型作業機。
【請求項9】
前記第1操作機構は、人為操作される第1人為操作具と、前記第1人為操作具が受け付けた操作を前記被操作装置へ伝達する第1伝達機構と、を備え、
前記第2操作機構は、人為操作される第2人為操作具と、前記第2人為操作具が受け付けた操作を前記エンジンへ伝達する第2伝達機構と、を備え、
前記連動機構は、前記第1人為操作具と前記第2伝達機構とを機械的に連動させる請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項10】
PTO軸又は作業装置への動力伝達を入切する、前記被操作装置としての作業クラッチと、
前記エンジンから前記作業クラッチへの動力伝達を入切する主クラッチと、を備え、
前記作業クラッチは、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成されている請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項11】
左右の走行装置と、
左右の前記走行装置の差動を規制可能である、前記被操作装置としてのデフ機構と、を備え、
前記デフ機構は、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて差動を規制しない状態になるように構成されている請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項12】
左右の走行装置と、
左右の前記走行装置への動力伝達を入切する、前記被操作装置としてのサイドクラッチと、を備え、
前記サイドクラッチは、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成されている請求項1に記載の歩行型作業機。
【請求項13】
1つの前記第1操作機構と、
PTO軸又は作業装置への動力伝達を入切する、前記被操作装置としての作業クラッチと、
前記エンジンから前記作業クラッチへの動力伝達を入切する主クラッチと、
左右の走行装置と、
左右の前記走行装置の差動を規制可能である、前記被操作装置としてのデフ機構と、を備え、
前記作業クラッチは、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成され、
前記デフ機構は、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて差動を規制しない状態になるように構成されている請求項1から9のいずれか1項に記載の歩行型作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩行型管理機が開示されている。オペレータは、操縦ハンドルを持って歩行型管理機を操縦すると共に、走行する歩行型管理機と共に歩行する。操縦ハンドルの右側に、作業クラッチを入切操作するための作業クラッチレバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場にて歩行型管理機により農作業が行われる際、直進と旋回とが交互に行われる。例えば、オペレータが、圃場の長辺に平行に歩行型管理機を直進させながら耕耘作業を行う。圃場の端に到達すると、オペレータは、次の畝の作業を行うために、歩行型管理機を旋回させる。その際、オペレータは、作業クラッチレバーを操作して作業クラッチを切り、耕耘装置を停止させる。
【0005】
直進しながら耕耘作業を行うときには、出力を高めるために、エンジンは回転数が高い状態となる。従って、走行の速度も高くなる。一方、旋回の際には走行の速度が低い方が操縦し易い。スロットルレバーによりエンジンの回転数を操作することができる。しかし、旋回の際に作業クラッチレバーとスロットルレバーの両方を操作するのは煩雑である。
この点で、従来の歩行型管理機には改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、旋回時の操縦を容易にすると共に操作を簡略化した歩行型作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する手段として、本発明の歩行型作業機は、エンジンと、被操作装置と、旋回の際に第1状態から第2状態へ操作されると共に受け付けた操作を機械的に前記被操作装置へ伝達する第1操作機構と、前記エンジンの回転数の上昇操作及び下降操作を受け付けると共に受け付けた操作を機械的に前記エンジンへ伝達する第2操作機構と、前記第1操作機構と前記第2操作機構とを機械的に連動させる連動機構と、を備え、前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記の特徴によれば、第1操作機構が第2状態へ操作されると、その操作が被操作装置へ伝達されると共に、第2操作機構が下降操作された状態へ変更されるので、エンジンの回転数が下降する。従って、旋回時にエンジン回転数の操作を行う必要がなく、エンジンの回転数が低下して旋回が容易になる。すなわち、旋回時の操縦が容易になると共に操作が簡略化される。
【0009】
また上記の特徴によれば、第1操作機構と第2操作機構とが機械的に連動されるので、高価な電子部品等が不要となり、歩行型作業機の製造コストの増加を抑制しつつ、旋回時のエンジンの回転数の下降が確実に実現され好ましい。
【0010】
本発明において、前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更した後、前記第2操作機構が前記上昇操作されることを許容する状態となるように構成されていると好ましい。
【0011】
上記の特徴によれば、第1操作機構の操作によりエンジンの回転数が低下した後、第2操作機構の操作によりエンジン回転数の上昇が可能となるので、オペレータの操作に応じて旋回の速度を増加させることができ、作業効率を向上することができる。
【0012】
本発明において、前記連動機構は、前記第1操作機構が受けた操作に応じて移動する第1部材と、前記第2操作機構の受けた操作に応じて移動する第2部材と、を備え、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が移動するときに、前記第1部材が前記第2部材を移動させて、前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更するように構成されていると好ましい。
【0013】
上記の特徴によれば、第1部材が第2部材を移動させることにより第2操作機構が下降操作された状態へ変更されるので、エンジンの回転数の下降操作が確実に実現される。
【0014】
本発明において、前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が前記第2部材を移動させた後に、前記第1部材を前記第2部材から離間させて、前記上昇操作に応じて前記第2部材が移動することを許容する状態となるように構成されていると好ましい。
【0015】
上記の特徴によれば、第1部材が第2部材から離間することにより第2部材の移動が許容されるので、エンジン回転数の下降後の上昇操作の許容が確実に実現できる。
【0016】
本発明において、前記連動機構は、前記第1部材の移動を案内する第1案内機構を備え、前記第1案内機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたときに前記第1部材を第1経路に沿って第1位置から第2位置へ移動させ、前記第1操作機構が前記第1状態へ操作されたときに前記第1部材を第2経路に沿って前記第2位置から前記第1位置へ移動させるように構成され、前記第1経路は、前記第1部材が前記第2部材に接触可能な経路であり、前記第2経路は、前記第1部材が前記第2部材に接触不能な経路であると好ましい。
【0017】
上記の特徴によれば、第1案内機構により第1部材の移動が案内される。旋回時に第1操作機構が第2状態へ操作されたときは、第1部材は第1経路に沿って移動し、第1部材が第2部材を移動させる。これにより、第2操作機構が下降操作された状態へ変更され、エンジン回転数が下降する。一方、第1操作機構が第1状態へ操作されたときは、第1部材は第2経路に沿って移動するので、第1部材は第2部材を移動させない。すなわち上記の特徴によれば、旋回時の被操作装置の操作、エンジンの回転数の下降操作、及びその後の上昇操作の許容が、機械的な連動により確実に実現される。
【0018】
本発明において、前記連動機構は、前記第2部材の第3経路に沿った移動を案内する第2案内機構を備え、前記第3経路は、前記第1案内機構の前記第1経路に沿って延びる経路であると好ましい。
【0019】
上記の特徴によれば、第2部材が移動する第3経路が、第1部材を案内する第1経路に沿っているので、第1部材による第2部材の移動が確実に行われる。
【0020】
本発明において、前記連動機構は、前記第1操作機構が受けた操作に応じて移動する第1部材と、前記第2操作機構の受けた操作に応じて移動する第2部材と、第3部材と、を備え、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が移動するときに、前記第1部材が前記第3部材を移動させると共に前記第3部材が前記第2部材を移動させて、前記第2操作機構を前記下降操作された状態へ変更するように構成されていると好ましい。
【0021】
上記の特徴によれば、第1部材が第3部材を移動させ、その第3部材が第2部材を移動させるので、第1部材と第2部材との連動が確実に行われる。従って、第2操作機構が下降操作された状態へ確実に変更され、エンジンの回転数の下降が確実に実現される。
【0022】
本発明において、前記連動機構は、前記第1操作機構が前記第2状態へ操作されたことに応じて前記第1部材が前記第3部材を移動させると共に前記第3部材が前記第2部材を移動させた後に、前記上昇操作に応じて前記第2部材及び前記第3部材が移動することを許容する許容機構を備えると好ましい。
【0023】
上記の特徴によれば、第1操作機構の操作によりエンジンの回転数が低下した後、許容機構により、第2操作機構の上昇操作に応じて第2部材及び第3部材の移動が許容されるので、エンジンの回転数の上昇が可能となる。すなわち、オペレータの操作に応じて旋回の速度を増加させることが可能となり、作業効率を向上することができる。
【0024】
本発明において、前記第1操作機構は、人為操作される第1人為操作具と、前記第1人為操作具が受け付けた操作を前記被操作装置へ伝達する第1伝達機構と、を備え、前記第2操作機構は、人為操作される第2人為操作具と、前記第2人為操作具が受け付けた操作を前記エンジンへ伝達する第2伝達機構と、を備え、前記連動機構は、前記第1人為操作具と前記第2伝達機構とを機械的に連動させると好ましい。
【0025】
上記の特徴によれば、第1人為操作具と第2伝達機構とが機械的に連動されるので、旋回時のエンジンの回転数の下降が確実に実現される。
【0026】
本発明において、PTO軸又は作業装置への動力伝達を入切する、前記被操作装置としての作業クラッチと、前記エンジンから前記作業クラッチへの動力伝達を入切する主クラッチと、を備え、前記作業クラッチは、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成されていると好ましい。
【0027】
上記の特徴によれば、人為操作具の操作により、エンジンの回転数の低下制御、及び作業クラッチの切り操作の両方を実現できるので、歩行型作業機の操作が簡略化される。また、エンジン回転数の低下及び作業装置(又はPTO軸)の停止により、旋回を容易に行うことができる。
【0028】
本発明において、左右の走行装置と、左右の前記走行装置の差動を規制可能である、前記被操作装置としてのデフ機構と、を備え、前記デフ機構は、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて差動を規制しない状態になるように構成されていると好ましい。
【0029】
上記の特徴によれば、人為操作具の操作により、エンジンの回転数の低下制御、及びデフ機構の差動規制の解除の両方を実現できるので、歩行型作業機の操作が簡略化される。
また、エンジン回転数の低下及び差動規制の解除により、旋回を容易に行うことができる。
【0030】
本発明において、左右の走行装置と、左右の前記走行装置への動力伝達を入切する、前記被操作装置としてのサイドクラッチと、を備え、前記サイドクラッチは、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成されていると好ましい。
【0031】
上記の特徴によれば、人為操作具の操作により、エンジンの回転数の低下制御、及びサイドクラッチの切り操作の両方を実現できるので、歩行型作業機の操作が簡略化される。
また、エンジン回転数の低下及びサイドクラッチの切断により、旋回を容易に行うことができる。
【0032】
本発明において、1つの前記第1操作機構と、PTO軸又は作業装置への動力伝達を入切する、前記被操作装置としての作業クラッチと、前記エンジンから前記作業クラッチへの動力伝達を入切する主クラッチと、左右の走行装置と、左右の前記走行装置の差動を規制可能である、前記被操作装置としてのデフ機構と、を備え、前記作業クラッチは、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成され、前記デフ機構は、前記第1操作機構が前記第2状態への操作を受け付けたことに応じて差動を規制しない状態になるように構成されていると好ましい。
【0033】
上記の特徴によれば、1つの人為操作具の操作により、エンジンの回転数の低下制御、作業クラッチの切り操作、及びデフ機構の差動規制の解除の全てを実現できるので、歩行型作業機の操作が大いに簡略化される。また、エンジン回転数の低下、作業装置(又はPTO軸)の停止、及び差動規制の解除により、旋回を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図4】旋回レバーが切り位置にあるときの連動機構を示す図である。
【
図5】旋回レバーが入り位置へ操作されたときの連動機構を示す図である。
【
図6】旋回レバーが入り位置へ到達したときの連動機構を示す図である。
【
図7】旋回レバーが切り位置へ操作されたときの連動機構を示す図である。
【
図8】第1案内機構及び第2案内機構を示す図である。
【
図10】旋回レバーが切り位置にあるときの連動機構を示す図である。
【
図11】旋回レバーが入り位置へ操作されたときの連動機構を示す図である。
【
図13】旋回レバーが入り位置へ操作されたときの連動機構を示す図である。
【
図14】許容機構を備える連動機構について、旋回レバーが切り位置にある状態を示す図である。
【
図15】許容機構を備える連動機構について、旋回レバーが入り位置へ操作された状態を示す図である。
【
図16】許容機構を備える連動機構について、スロットルレバーが操作され許容機構が動作した状態を示す図である。
【
図17】許容機構を備える連動機構について、旋回レバーが切り位置にある状態を示す図である。
【
図18】許容機構を備える連動機構について、旋回レバーが入り位置へ操作された状態を示す図である。
【
図19】許容機構を備える連動機構について、スロットルレバーが操作され許容機構が動作した状態を示す図である。
【
図20】動力伝達系統及び操作系統を示す図である。
【
図21】動力伝達系統及び操作系統を示す図である。
【
図22】許容機構を備える連動機構について、旋回レバーが切り位置にある状態を示す図である。
【
図23】許容機構を備える連動機構について、旋回レバーが入り位置へ操作された状態を示す図である。
【
図24】許容機構を備える連動機構について、第1部材が移動してスロットルレバーの操作が許容された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る歩行型作業機の一例である歩行型管理機の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0036】
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、歩行型管理機の作業走行時における前進側の進行方向(
図1,2における矢印FR参照)が「前」、後進側への進行方向(
図1,2における矢印BK参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(
図2における矢印RH参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(
図2における矢印LH参照)が「左」である。
【0037】
〔全体構成〕
図1に示すように、歩行型管理機の走行機体には、機体フレーム1の一部を構成するエンジンフレーム10上に、駆動源となるエンジン11が搭載されている。
【0038】
エンジンフレーム10の後方側に、エンジンフレーム10とともに機体フレーム1を構成するミッションケース2が一体に連結されている。エンジン11とミッションケース2はベルト伝動機構12を介して動力伝達可能に連動連結されている。
【0039】
ミッションケース2は、下方に延出された前部ケース2Aと、斜め後方下方に延出された後部ケース2Bとを備えて二股状に形成されている。
【0040】
前部ケース2Aの下部に、車軸20を介して、左右の走行装置13が支持されている。
本実施形態では、走行装置13は車輪である。走行装置13が、クローラ走行装置など、他の形態の装置であってもよい。
【0041】
後部ケース2Bに、駆動軸21を介して、作業装置14が支持されている。本実施形態では、作業装置14はロータリ耕耘装置である。作業装置14が、畝立て機や播種機など、他の形態の装置であってもよい。
【0042】
エンジン11の動力は、ベルト伝動機構12を経てミッションケース2の内部のギヤ変速機構(図示せず)へ伝達される。ベルト伝動機構12は、クラッチ操作アーム12aによって動力伝達を入切可能に構成されている。このベルト伝動機構12とクラッチ操作アーム12aによって、走行駆動系及び作業駆動系への動力伝達を断続する主クラッチ31(
図3)が構成されている。
【0043】
ミッションケース2の内部には、作業クラッチ32、走行クラッチ33、及びデフ機構34が備えられている(
図3参照)。主クラッチ31からの動力が、分岐されて、作業クラッチ32及び走行クラッチ33へ伝達される。
【0044】
作業クラッチ32は、作業装置14への動力伝達を入切する。走行クラッチ33は、デフ機構34を介した走行装置13への動力伝達を入切する。デフ機構34は、左右の走行装置13の差動を規制可能である。作業クラッチ32及びデフ機構34は、後述する被操作装置Aの一例である。
【0045】
ミッションケース2の上部から斜め後方上方に向けて主変速レバー15が延出されている。この主変速レバー15を操作することにより、走行装置13の変速操作及び正逆転操作、並びに作業装置14の正逆転操作を行うことができる。
【0046】
ミッションケース2の後部から機体後方に向けて操縦ハンドル16が延出されている。
操縦ハンドル16の右側部分に旋回レバー17、停止スイッチ18、及びスロットルレバー19が配設されている。操縦ハンドル16の後端側にクラッチレバー3が配設されている。
【0047】
旋回レバー17は、被操作装置Aである作業クラッチ32及びデフ機構34を操作するためのものであり、後述する第1操作機構B1の一部であり、第1人為操作具J1の一例である。
【0048】
旋回レバー17が切り位置(第1状態)にあるとき、作業クラッチ32は動力伝達する状態(クラッチ入り)であり、デフ機構34は走行装置13の差動を規制する状態(デフロック入り)である。
【0049】
旋回レバー17が入り位置(第2状態)にあるとき、作業クラッチ32は動力伝達しない状態(クラッチ切り)であり、デフ機構34は走行装置13の差動を規制しない状態(デフロック切り)である。
【0050】
停止スイッチ18は、エンジン11の停止操作用としてエンジン11の制御系に配線されている。
【0051】
スロットルレバー19は、エンジン11の回転数を操作するためのものであり、後述する第2操作機構B2の一部であり、第2人為操作具J2の一例である。本実施形態では、スロットルレバー19は、オペレータが手を離したとしても操作位置で保持されるように構成されている。なおスロットルレバー19が、オペレータが手を離すと自動的に初期位置に戻るように構成されてもよい。
【0052】
エンジン11から作業クラッチ32及び走行クラッチ33への動力伝達を入切する主クラッチ31が備えられている。クラッチレバー3は、主クラッチ31の入切操作用として主クラッチ31に接続されている。
【0053】
以上のように構成された歩行型管理機では、オペレータは、操縦ハンドル16を持って歩行型管理機を操縦すると共に、走行する歩行型管理機と共に歩行する。旋回は、オペレータが操縦ハンドル16を左右に向けて、歩行型管理機の走行方向を変化させることにより行われる。
【0054】
〔動力伝達系統及び操作系統〕
図3に、本実施形態の歩行型管理機の、動力伝達系統及び操作系統が示されている。
【0055】
動力伝達系統について説明する。作業装置14へのエンジン11からの動力伝達は、主クラッチ31及び作業クラッチ32を経由して行われる。走行装置13へのエンジン11からの動力伝達は、主クラッチ31、走行クラッチ33、及びデフ機構34を経由して行われる。
【0056】
操作系統について説明する。本実施形態の歩行型管理機は、旋回の際に第1状態から第2状態へ操作されると共に受け付けた操作を機械的に被操作装置Aへ伝達する第1操作機構B1と、エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作を受け付けると共に受け付けた操作を機械的にエンジン11へ伝達する第2操作機構B2と、第1操作機構B1と第2操作機構B2とを機械的に連動させる連動機構Cと、を備える。連動機構Cは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように構成されている。
【0057】
連動機構Cは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更した後、第2操作機構B2が上昇操作されることを許容する状態となるように構成されている。
【0058】
第1操作機構B1は、人為操作される第1人為操作具J1と、第1人為操作具J1が受け付けた操作を被操作装置Aへ伝達する第1伝達機構K1と、を備える。第2操作機構B2は、人為操作される第2人為操作具J2と、第2人為操作具J2が受け付けた操作をエンジン11へ伝達する第2伝達機構K2と、を備える。連動機構Cは、第1人為操作具J1と第2伝達機構K2とを機械的に連動させる。
【0059】
図3を参照しながら具体的に説明する。本実施形態では、第1操作機構B1の第1人為操作具J1は、旋回レバー17である。旋回レバー17は、歩行型管理機が旋回する際にオペレータによって切り位置(第1状態)から入り位置(第2状態)へ操作される。
【0060】
旋回レバー17が受け付けた操作を伝達する第1操作ワイヤ17a、第2操作ワイヤ17b、及び第3操作ワイヤ17cが設けられている。
【0061】
第1操作ワイヤ17a及び第2操作ワイヤ17bは、第1操作機構B1の第1伝達機構K1である。本実施形態では、「操作ワイヤ」は、固定されたアウタワイヤの内部をインナワイヤが進退して操作を伝達する形式の操作伝達機構である。
【0062】
第1操作ワイヤ17aは、旋回レバー17が受け付けた操作を機械的に作業クラッチ32へ伝達する。作業クラッチ32は、被操作装置Aの1つである。旋回レバー17が切り位置から入り位置へ操作されると、作業クラッチ32が、動力を伝達する状態から動力を伝達しない状態へ変化する(作動状態の変化)。そうすると、作業装置14が作動を停止する。
【0063】
第2操作ワイヤ17bは、旋回レバー17が受け付けた操作を機械的にデフ機構34へ伝達する。デフ機構34は、被操作装置Aの1つである。旋回レバー17が切り位置から入り位置へ操作されると、デフ機構34が、左右の走行装置13の差動を規制する状態から差動を規制しない状態へ変化する(作動状態の変化)。そうすると、左右の走行装置13の差動が許容され、オペレータが歩行型管理機を旋回させ易くなる。
【0064】
第3操作ワイヤ17cは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことを第2操作機構B2へ伝達する。すなわち、第3操作ワイヤ17cは連動機構Cの一部を構成する。第3操作ワイヤ17cの詳細については後述する。
【0065】
本実施形態では、第2操作機構B2の第2人為操作具J2は、スロットルレバー19である。スロットルレバー19は、エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作を受け付ける。
【0066】
スロットルレバー19が受け付けた操作をエンジン11へ伝達する第4操作ワイヤ19aが設けられている。第4操作ワイヤ19aは、第2操作機構B2の第2伝達機構K2である。第4操作ワイヤ19aは、スロットルレバー19から、連動機構Cを経由して、エンジン11まで延びている。
【0067】
〔連動機構〕
図4-7を参照しながら、連動機構Cについて説明する。なお以降の連動機構Cの説明において、部材の位置関係や移動方向を、図中に示される矢印X1、X2、Y1、Y2の方向で示す場合がある。
【0068】
本実施形態では、連動機構Cは、第1操作機構B1が受けた操作に応じて移動する第1部材D1と、第2操作機構B2の受けた操作に応じて移動する第2部材D2と、を備える。
図5に示されるように、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第1部材D1が移動するときに、第1部材D1が第2部材D2を移動させて、第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように、連動機構Cが構成されている。
【0069】
具体的に説明する。連動機構Cの主要部を内部に収容するケーシング40が設けられている。ケーシング40のX2側の端部に、第3操作ワイヤ17cのアウタワイヤが固定されている。第3操作ワイヤ17cのインナワイヤは、ケーシング40の内部に延びており、コイルバネ41によりX1側へ付勢されている。
【0070】
第1部材D1は、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに固定されており、旋回レバー17の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動する。詳しくは、第1部材D1は、第1案内機構E1によって、移動が案内される。本実施形態では、第1案内機構E1は、ケーシング40の壁面に形成された環状の溝である。
【0071】
第4操作ワイヤ19aのインナワイヤが、ケーシング40の内部をX1-X2方向に貫通している。
【0072】
第2部材D2は、第4操作ワイヤ19aのインナワイヤに固定されており、スロットルレバー19の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動する。すなわち、連動機構Cは、第2部材D2の第3経路F3(
図8)に沿った移動を案内する第2案内機構E2を備える。第4操作ワイヤ19aのインナワイヤが、第2案内機構E2である。第3経路F3については後述する。
【0073】
図4の状態では、旋回レバー17は切り位置(第1状態)にある。第1部材D1は、第1案内機構E1における最もX1側の位置(以下「第1位置G1」と称する。)にある。
【0074】
第1部材D1が第1位置G1にあるとき、第1部材D1と第2部材D2とは接触し得ない。従って、第2部材D2はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0075】
図5に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作されると、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1がX2方向へ移動する。このとき、第1部材D1は第1案内機構E1に案内されて、少しY1側へ移動した状態でX2方向へ移動する。
【0076】
第1部材D1のX2方向への移動の間に、第1部材D1が第2部材D2と接触して、第2部材D2をX2方向へ移動させる。スロットルレバー19が何れの操作位置にあっても、すなわち第2部材D2が何れの位置にあっても、第2部材D2は
図5に実線で示される位置に移動される。第2部材D2は第4操作ワイヤ19aに固定されているので、第2部材D2のX2方向への移動により、スロットルレバー19が下降操作された状態へ変更される。
【0077】
図6に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)まで操作されると、第1部材D1は、第1案内機構E1における最もX2側の位置(以下「第2位置G2」と称する。)まで移動する。第2位置G2の近傍で、第1部材D1は少しY2側へ移動し、第2部材D2から離間する。
【0078】
第1部材D1が第2位置G2にあるとき、第1部材D1と第2部材D2とは接触し得ない。従って、第2部材D2はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0079】
すなわち、連動機構Cは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第2操作機構B2を下降操作された状態(
図5)へ変更した後、第2操作機構B2が上昇操作されることを許容する状態(
図6)となるように構成されている。詳しくは、連動機構Cは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第1部材D1が第2部材D2を移動させた後(
図5)に、第1部材D1を第2部材D2から離間させて、上昇操作に応じて第2部材D2が移動することを許容する状態(
図6)となるように構成されている。
【0080】
図7に示されるように、旋回レバー17が切り位置(第1状態)へ操作されると、コイルバネ41に引かれて、第1部材D1が第1位置G1までX1方向へ移動する。このとき、第1部材D1は第1案内機構E1に案内されて、少しY2側へ移動した状態でX1方向へ移動する。
【0081】
第1部材D1のX1方向への移動においては、第1部材D1はY2寄りの経路を通るので、第1部材D1は第2部材D2と接触しない。従って、第2部材D2は移動せず、スロットルレバー19の操作状態は変化しない。また、第2部材D2はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0082】
〔第1案内機構〕
図8を参照しながら、第1案内機構E1による第1部材D1の案内について説明する。
上述の通り、第1案内機構E1はケーシング40の壁面に形成された溝であり、その溝に、第1部材D1の側面に設けられたボスD1aが入り込んだ状態となっている。第1部材D1が溝に沿って移動することにより、第1部材D1が第1案内機構E1に案内される。
【0083】
旋回レバー17が切り位置(第1状態)にあるとき(
図4の状態)、第1部材D1(ボスD1a)は最もX1側の位置(第1位置G1)にある。
【0084】
旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ向けて操作されると(
図5)、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1(ボスD1a)がX2方向へ移動する。X2方向へ移動したボスD1aは、
図8に示される溝の内壁42に接触すると、傾斜する内壁42に導かれてY1寄りの方向へ移動する。
【0085】
続いてボスD1aは、内壁43に沿ってX2方向へ進む。このとき、第1部材D1は第2部材D2と接触して、第2部材D2をX2方向へ移動させる。
【0086】
ボスD1aが内壁43のX2側の端に到達すると、ボスD1aはY2側へ移動し、第1部材D1が第2部材D2から離間する。
【0087】
そしてボスD1aは、旋回レバー17が切り位置(第1状態)へ到達したときに、最もX2側の位置(第2位置G2)へ到達する。
【0088】
以上述べた、旋回レバー17が切り位置へ操作されたときに第1部材D1が通る経路が、第1経路F1である。第1案内機構E1は、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたときに第1部材D1を第1経路F1に沿って第1位置G1から第2位置G2へ移動させるように構成されている。
【0089】
ここで、第2部材D2が第2案内機構E2(第3操作ワイヤ17cのインナワイヤ)によって案内される第3経路F3は、第1案内機構E1の第1経路F1に沿って延びる経路である。これにより、第1部材D1と第2部材D2との接触、及び第1部材D1による第2部材D2の移動が実現される。第1経路F1は、第1部材D1が第2部材D2に接触可能な経路である。ここで図示例のように、第3経路F3が、第1案内機構E1の第1経路F1の直線部分に沿って延びる経路であると更に好ましい。
【0090】
旋回レバー17が切り位置(第1状態)へ向けて操作されると(
図7)、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤの移動と共に、コイルバネ41に引かれて、第1部材D1(ボスD1a)がX1方向へ移動する。X1方向へ移動したボスD1aは、
図8に示される溝の内壁44に接触すると、傾斜する内壁44に導かれてY2寄りの方向へ移動する。
【0091】
続いてボスD1aは、内壁45に沿ってX1方向へ進む。このとき、第1部材D1は第2部材D2と離間しており、第2部材D2を移動させない。
【0092】
ボスD1aが内壁45のX1側の端に到達すると、ボスD1aはY1側へ移動する。
【0093】
そしてボスD1aは、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ到達したときに、最もX1側の位置(第1位置G1)へ到達する。
【0094】
以上述べた、旋回レバー17が入り位置へ操作されたときに第1部材D1が通る経路が、第2経路F2である。第1案内機構E1は、第1操作機構B1が第1状態へ操作されたときに第1部材D1を第2経路F2に沿って第2位置G2から第1位置G1へ移動させるように構成されている。
【0095】
ここで、第2部材D2が第2案内機構E2(第3操作ワイヤ17cのインナワイヤ)によって案内される第3経路F3は、第1案内機構E1の第2経路F2と大きく離間している。第2経路F2を通る第1部材D1は、第2部材D2に接触し得ない。すなわち、第2経路F2は、第1部材D1が第2部材D2に接触不能な経路である。
【0096】
以上説明した第1実施形態の歩行型管理機は、1つの第1操作機構B1(旋回レバー17)の操作により、2つの被操作装置A(作業クラッチ32及びデフ機構34)の作動状態が変化すると共に、第2操作機構B2(スロットルレバー19)が下降操作された状態へ変更され、エンジン11の回転数が低下するように構成されている。
【0097】
〔第1実施形態の変形例〕
以降の説明では、上述の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。また、同様の構成については同じ符号を付す。
【0098】
(1)
図9に、連動機構Cの変形例が示されている。本例の連動機構Cにおいては、第4操作ワイヤ19aが、ケーシング40の内壁40aに沿ってY1側に曲げられた状態で配置される。第3操作ワイヤ17cのインナワイヤ及びコイルバネ41が、X1-X2方向よりもY1側へ斜めに傾いた方向へ延びるように配置される。第1案内機構E1の形状が第1実施形態と若干異なる。その余の構成及び動作は、第1実施形態と同様である。
【0099】
(2)歩行型管理機が、1つの被操作装置Aに対応して1つの第1操作機構B1を備えるよう構成されてもよい。具体的には、作業クラッチ32を操作する操作具と、デフ機構34を操作する操作具と、を歩行型管理機が備えてもよい。歩行型管理機が複数の第1操作機構B1を備える場合、連動機構Cが、少なくとも1つの第1操作機構B1が第2状態への操作を受け付けたことに応じて,第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように構成されてもよい。また、連動機構Cが、全ての第1操作機構B1が第2状態への操作を受け付けたことに応じて,第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように構成されてもよい。
【0100】
〔第2実施形態〕
図10、
図11を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。
【0101】
本実施形態の歩行型管理機は、異なる形態の連動機構Cを備えている。連動機構Cは、第1操作機構B1が受けた操作に応じて移動する第1部材D1と、第2操作機構B2の受けた操作に応じて移動する第2部材D2と、第3部材D3と、を備える。第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第1部材D1が移動するときに、第1部材D1が第3部材D3を移動させると共に第3部材D3が第2部材D2を移動させて、第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように構成されている。第2実施形態の連動機構Cは、第1部材D1による第2部材D2の移動が、第3部材D3を介して実現される点で、第1実施形態と異なっている。
【0102】
具体的に説明する。連動機構Cの主要部を内部に収容するケーシング40が設けられている。ケーシング40のX2側の端部に、第3操作ワイヤ17cのアウタワイヤが固定されている。第3操作ワイヤ17cのインナワイヤは、ケーシング40の内部に延びている。
【0103】
第1部材D1は、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤの先端に固定されており、旋回レバー17の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動する。第1部材D1が、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤの先端の大径部であってもよい。
【0104】
第4操作ワイヤ19aのインナワイヤが、ケーシング40の内部をX1-X2方向に貫通している。
【0105】
第2部材D2は、第4操作ワイヤ19aのインナワイヤに固定されており、スロットルレバー19の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動する。
【0106】
第3部材D3は、X1-X2方向に移動可能な状態で、ケーシング40の内部に配置されている。
【0107】
第3操作ワイヤ17cのインナワイヤが、第3部材D3をX1-X2方向に貫通している。第1部材D1が、第3部材D3よりもX1側に位置している。第1部材D1は、第3部材D3の貫通孔よりも大径である。従って、第1部材D1がX2方向に移動するとき、第1部材D1に押されて、第3部材D3がX2方向に移動する。第1部材D1がX1方向に移動するとき、第3部材D3は移動しない。
【0108】
第4操作ワイヤ19aのインナワイヤが、第3部材D3をX1-X2方向に貫通している。第2部材D2が、第3部材D3よりもX2側に位置している。本実施形態では、
図10、
図11に示されるように、第3部材D3の貫通孔は大径部と小径部とを有する。第2部材D2は、大径部の内部に進入可能であり、かつ小径部を通過できないように構成されている。
【0109】
従って、第2部材D2がX1方向に移動するとき、第2部材D2に押されて、第3部材D3がX1方向に移動する。第2部材D2がX2方向に移動するとき、第3部材D3は移動しない。一方、第3部材D3がX2方向に移動するとき、第3部材D3に押されて、第2部材D2がX2方向に移動する。
【0110】
図10の状態では、旋回レバー17は切り位置(第1状態)にある。第1部材D1は、最もX1側の位置にある。このとき、第2部材D2及び第3部材D3はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0111】
図11に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作されると、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1がX2方向へ移動する。このとき、第3部材D3は、第1部材D1に押されて、X2方向に移動する。第2部材D2は、第3部材D3に押されて、X2方向へ移動する。スロットルレバー19が何れの操作位置にあっても、すなわち第2部材D2が何れの位置にあっても、第2部材D2は
図11に示される位置に移動される。第2部材D2は第4操作ワイヤ19aに固定されているので、第2部材D2のX2方向への移動により、スロットルレバー19が下降操作された状態へ変更される。
【0112】
図11の状態では、第1部材D1により第3部材D3の移動が阻害される。第3部材D3により第2部材D2の移動が阻害される。従って、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作された状態では、スロットルレバー19を上昇操作することが阻害される。
【0113】
〔第2実施形態の変形例〕
図12-13に、連動機構Cの変形例が示されている。本例の連動機構Cは、全体として、第1実施形態の連動機構Cに類似した形態である。本例の連動機構Cは、第1実施形態と異なり、第3部材D3を備える。また、第2部材D2の形態が、第1実施形態と異なる。第2部材D2及び第3部材D3の形態及び機能は、以下述べるとおり第2実施形態と類似している。
【0114】
第1部材D1は、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤの先端に固定されており、旋回レバー17の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動する。第1部材D1の形態及び機能は、第1実施形態と同一である。
【0115】
第2部材D2は、円柱状の部材であって、第4操作ワイヤ19aのインナワイヤにカシメ固定される。第2部材D2は、スロットルレバー19の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動する。
【0116】
第3部材D3は、X1-X2方向にスライド可能な部材であって、第4操作ワイヤ19aのインナワイヤに遊嵌される。すなわち、第4操作ワイヤ19aのインナワイヤが、第3部材D3をX1-X2方向に貫通している。第2部材D2が、第3部材D3よりもX2側に位置している。第3部材D3の貫通孔は大径部と小径部とを有する。第2部材D2は、大径部の内部に進入可能であり、かつ小径部を通過できないように構成されている。
【0117】
従って、第2部材D2がX1方向に移動するとき、第2部材D2に押されて、第3部材D3がX1方向に移動する。第2部材D2がX2方向に移動するとき、第3部材D3は移動しない(なお、第3部材D3が、第2部材D2と共にX2方向に移動するよう構成されてもよい)。
【0118】
第3部材D3がX2方向に移動するとき、第3部材D3に押されて、第2部材D2がX2方向に移動する。一方、第3部材D3がX1方向に移動するとき、第2部材D2はX1方向に移動しない。
【0119】
図13に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作されると、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1がX2方向へ移動する。このとき、第3部材D3は、第1部材D1に押されて、X2方向に移動する。第2部材D2は、第3部材D3に押されて、X2方向へ移動する。スロットルレバー19が何れの操作位置にあっても、すなわち第2部材D2が何れの位置にあっても、第2部材D2は
図13に示される位置に移動される。第2部材D2は第4操作ワイヤ19aに固定されているので、第2部材D2のX2方向への移動により、スロットルレバー19が下降操作された状態へ変更される。
【0120】
〔第3実施形態〕
図14-16を参照しながら、本発明の第3実施形態について説明する。
【0121】
本実施形態の歩行型管理機は、第2実施形態の連動機構Cを備え、更に許容機構Hを備えている。許容機構Hは、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第1部材D1が第3部材D3を移動させると共に第3部材D3が第2部材D2を移動させた後に、上昇操作に応じて第2部材D2及び第3部材D3が移動することを許容する。より詳しくは、許容機構Hは、上昇操作に応じて第1部材D1、第2部材D2、及び第3部材D3が移動することを許容する。
【0122】
具体的に説明する。第3操作ワイヤ17cのアウタワイヤの端部17dが、X1-X2方向に移動可能な状態で、ケーシング50の内部に収容されている。端部17dは、コイルバネ51によりX2方向へ付勢されている。ケーシング50は、ケーシング40に対して固定されている。これら端部17d、ケーシング50、及びコイルバネ51により、許容機構Hが構成されている。
【0123】
図14の状態では、旋回レバー17は切り位置(第1状態)にある。第1部材D1は、最もX1側の位置にある。このとき、第2部材D2及び第3部材D3はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0124】
図15に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作されると、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1がX2方向へ移動する。
【0125】
このとき、第3部材D3は、第1部材D1に押されて、X2方向に移動する。第2部材D2は、第3部材D3に押されて、X2方向へ移動する。スロットルレバー19が何れの操作位置にあっても、すなわち第2部材D2が何れの位置にあっても、第2部材D2は
図15に示される位置に移動される。第2部材D2は第4操作ワイヤ19aに固定されているので、第2部材D2のX2方向への移動により、スロットルレバー19が下降操作された状態へ変更される。
【0126】
図16に示されるように、スロットルレバー19が上昇操作されると、第4操作ワイヤ19aにより、第2部材D2、第3部材D3、及び第1部材D1にX1向きの力が作用する。そうすると、第1部材D1により第3操作ワイヤ17cのインナワイヤにX1向きの力が作用する。
【0127】
ここで第3操作ワイヤ17cのアウタワイヤの端部17dは、ケーシング50の内部においてX1方向に移動可能である。従って、第1部材D1に作用するX1向きの力の大きさがコイルバネ51の付勢力よりも大きくなると、
図16に示されるように、第3操作ワイヤ17cの全体が変形して、端部17d、アウタワイヤ、インナワイヤ、及び第1部材D1がX1方向に移動する。そうすると、第3部材D3、及び第2部材D2がX1方向に移動することができ、スロットルレバー19と第4操作ワイヤ19a、すなわち第2操作機構B2の上昇操作(及びその後の下降操作)が許容される。なお、第3操作ワイヤ17cの全体の変形により第1部材D1がX1方向に移動しても、旋回レバー17は入り位置(第2状態)のままであり、被操作装置A(作業クラッチ32及びデフ機構34)の作動状態は変更されない。
【0128】
〔第3実施形態の変形例〕(1)上述の第3実施形態では、第3操作ワイヤ17cのアウタワイヤにおける第1部材D1の側の端部17dを移動可能とする機構により、許容機構Hが構成された。これに代えて、第3操作ワイヤ17cのアウタワイヤにおける旋回レバー17の側の端部を移動可能とする機構により許容機構Hが構成されてもよい。
【0129】
(2)本例の歩行型管理機は、第3実施形態と異なる態様の許容機構Hを備えている。
【0130】
図17-19を参照しながら具体的に説明する。第3操作ワイヤ17cのインナワイヤにおける、旋回レバー17の側の端部17eが、ケーシング60の内部のスライド部材61に接続されている。スライド部材61は、ケーシング60の内部でX1-X2方向にスライド移動可能である。スライド部材61は、コイルバネ62によりX2方向に付勢されている。
【0131】
スライド部材61におけるY1側の端部に、爪部材63が配置されている。爪部材63は、スライド部材61に対してY1-Y2方向に移動可能である。爪部材63は、コイルバネ64によりY1方向に付勢されている。爪部材63は、スライド部材61からY1側へ突出した状態において、旋回レバー17の操作部位17fと接触可能である。
【0132】
これら端部17e、ケーシング60、スライド部材61、コイルバネ62、爪部材63、コイルバネ64、及び操作部位17fにより、本例の許容機構Hが構成されている。
【0133】
図17の状態では、旋回レバー17は切り位置(第1状態)にある。第1部材D1は、最もX1側の位置にある。このとき、第2部材D2及び第3部材D3はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0134】
図18に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作されると、操作部位17fが爪部材63及びスライド部材61をX1方向に移動させ、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤを引く。第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1がX2方向へ移動する。
【0135】
このとき、第3部材D3は、第1部材D1に押されて、X2方向に移動する。第2部材D2は、第3部材D3に押されて、X2方向へ移動する。スロットルレバー19が何れの操作位置にあっても、すなわち第2部材D2が何れの位置にあっても、第2部材D2は
図18に示される位置に移動される。第2部材D2は第4操作ワイヤ19aに固定されているので、第2部材D2のX2方向への移動により、スロットルレバー19が下降操作された状態へ変更される。
【0136】
図19に示されるように、スロットルレバー19が上昇操作されると、第4操作ワイヤ19aにより、第2部材D2、第3部材D3、及び第1部材D1にX1向きの力が作用する。そうすると、第1部材D1により第3操作ワイヤ17cのインナワイヤにX1向きの力が作用する。そうすると、第3操作ワイヤ17cの端部17e、スライド部材61、及び爪部材63にX2向きの力が作用する。
【0137】
ここで爪部材63はコイルバネ64の付勢力に抗してY2側へ移動可能である。従って、第3操作ワイヤ17cの端部17eに作用するX2方向の力が十分に大きくなると、
図19に示されるように、爪部材63がY2側へ移動し、スライド部材61及び端部17eがX2方向へ移動し、第1部材D1がX1方向に移動する。
【0138】
そうすると、第3部材D3、及び第2部材D2がX1方向に移動することができ、スロットルレバー19と第4操作ワイヤ19a、すなわち第2操作機構B2の上昇操作(及びその後の下降操作)が許容される。なお、第3操作ワイヤ17cの端部17eの移動により第1部材D1がX1方向に移動しても、旋回レバー17は入り位置(第2状態)のままであり、被操作装置A(作業クラッチ32及びデフ機構34)の作動状態は変更されない。
【0139】
なお、
図19の状態から旋回レバー17が切り位置(第1状態)へ操作されると、操作部位17fがX2側へ移動する。操作部位17fが爪部材63に接触すると、爪部材63がコイルバネ64の付勢力に抗してY2側へ移動する。操作部位17fが爪部材63よりもX2側へ移動し、
図17の状態へ戻る。
【0140】
〔第4実施形態〕
図20を参照しながら本発明の第4実施形態について説明する。
【0141】
本実施形態の歩行型管理機は、PTO軸14aを備える。エンジン11からの動力が、主クラッチ31及び作業クラッチ32を介して、PTO軸14aに伝達される。すなわち、作業クラッチ32が、PTO軸14aへの動力伝達を入切する。PTO軸14aに、作業装置14が接続される。
【0142】
〔第5実施形態〕
図21を参照しながら本発明の第5実施形態について説明する。
【0143】
本実施形態の歩行型管理機は、デフ機構34に替えて、サイドクラッチ91を備える。
サイドクラッチ91は、左右の走行装置13への動力伝達を入切する。詳しくは、サイドクラッチ91は、エンジン11からの動力伝達を、左右の走行装置13の夫々に対して独立して入切可能なように構成されている。サイドクラッチ91は、被操作装置Aの一例である。
【0144】
操縦ハンドル16の左右の端部に、左右のサイドクラッチレバー92が配設される。サイドクラッチレバー92は、被操作装置Aであるサイドクラッチ91を操作するためのものであり、第1人為操作具J1の一例である。
【0145】
サイドクラッチレバー92が操作されない状態を入り位置(第1状態)とする。右(又は左)のサイドクラッチレバー92が入り位置にあるとき、サイドクラッチ91は右(又は左)の走行装置13へ動力伝達する状態(クラッチ入り)である。
【0146】
サイドクラッチレバー92が操作された状態を切り位置(第2状態)とする。右(又は左)のサイドクラッチレバー92が切り位置にあるとき、サイドクラッチ91は右(又は左)の走行装置13へ動力伝達しない状態(クラッチ切り)である。
【0147】
操作系統について説明する。本実施形態では、第1人為操作具J1はサイドクラッチレバー92である。左右何れかのサイドクラッチレバー92が、歩行型管理機が旋回する際にオペレータによって入り位置(第1状態)から切り位置(第2状態)へ操作される。
【0148】
サイドクラッチレバー92が受け付けた操作を伝達する第5操作ワイヤ92a、及び第6操作ワイヤ92bが設けられている。
【0149】
第5操作ワイヤ92aは、サイドクラッチレバー92が受け付けた操作を機械的にサイドクラッチ91へ伝達する。サイドクラッチ91は、被操作装置Aの1つである。右(又は左)のサイドクラッチ91が入り位置から切り位置へ操作されると、サイドクラッチ91が、右(又は左)の走行装置13に対して動力を伝達する状態から動力を伝達しない状態へ変化する(作動状態の変化)。そうすると、右(又は左)の走行装置13は駆動されず従動動作が可能な状態となる。第5操作ワイヤ92aは、第1伝達機構K1である。サイドクラッチレバー92及び第5操作ワイヤ92aにより、第1操作機構B1が構成されている。サイドクラッチ91は、第1操作機構B1が第2状態への操作を受け付けたことに応じて動力伝達を切るように構成されている。
【0150】
第6操作ワイヤ92bは、サイドクラッチレバー92が切り位置(第2状態)への操作を受け付けたことを第2操作機構B2へ伝達する。すなわち、第6操作ワイヤ92bは連動機構Cの一部を構成する。
【0151】
第6操作ワイヤ92bのインナワイヤは、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤと同様に、連動機構Cのケーシング40の内部に延びており、コイルバネ41によりX1側へ付勢されている。第6操作ワイヤ92bのインナワイヤに、上述した第1部材D1が固定されている。従って、第1部材D1はサイドクラッチレバー92の操作に伴ってX1方向又はX2方向に移動し、上述した実施形態と同様に第2部材D2(又は第3部材D3)を移動させる。
【0152】
従って、本実施形態の歩行型管理機の連動機構Cは、上述の実施形態と同様に、第1操作機構B1(サイドクラッチレバー92及び第5操作ワイヤ92a)と第2操作機構B2(スロットルレバー19及び第4操作ワイヤ19a)とを機械的に連動させるものであり、第1操作機構B1が第2状態へ操作されたことに応じて第2操作機構B2を下降操作された状態へ変更するように構成されている。
【0153】
〔第3実施形態の別の変形例〕
本例の歩行型管理機は、第3実施形態と異なる態様の許容機構Hを備えている。本例の許容機構Hは、上述した第3実施形態の変形例(2)の許容機構Hと類似している。以下、
図22-24を参照しながら、第3実施形態の変形例(2)との相違点を中心に説明する。
【0154】
本例では、ケーシング60は、溝60aを有する。溝60aにおけるX1側の部分は、X1側へ進むにつれてY2側へ曲がっている。溝60aにおけるX2側の部分は、X1-X2方向に沿って延びている。スライド部材61は、溝60aに沿って移動可能である。具体的には、スライド部材61の一部が溝60aに入り込んでいることにより、スライド部材61が溝60aに沿って移動する。
【0155】
端部17e、ケーシング60、溝60a、スライド部材61、コイルバネ62、爪部材63、コイルバネ64、及び操作部位17fにより、本例の許容機構Hが構成されている。
【0156】
図22の状態では、旋回レバー17は切り位置(第1状態)にある。第1部材D1は、最もX1側の位置にある。このとき、第2部材D2及び第3部材D3はX1方向及びX2方向に移動可能であり、スロットルレバー19の操作(エンジン11の回転数の上昇操作及び下降操作)が許容されている。
【0157】
図23に示されるように、旋回レバー17が入り位置(第2状態)へ操作されると、操作部位17fが爪部材63及びスライド部材61をX1方向に移動させ、第3操作ワイヤ17cのインナワイヤを引く。第3操作ワイヤ17cのインナワイヤに引かれて、第1部材D1がX2方向へ移動する。
【0158】
このとき、第3部材D3は、第1部材D1に押されて、X2方向に移動する。第2部材D2は、第3部材D3に押されて、X2方向へ移動する。スロットルレバー19が何れの操作位置にあっても、すなわち第2部材D2が何れの位置にあっても、第2部材D2は
図23に示される位置に移動される。第2部材D2は第4操作ワイヤ19aに固定されているので、第2部材D2のX2方向への移動により、スロットルレバー19が下降操作された状態へ変更される。
【0159】
なお、スライド部材61は、溝60aに導かれて、X1側への移動に伴って徐々にY2側へ移動する。これに伴い、爪部材63が操作部位17fに対してY2側へ移動する。
【0160】
爪部材63が更にY2側へ移動して操作部位17fから離間すると、
図24に示されるように、コイルバネ62の付勢力によりスライド部材61及び端部17eがX2側へ移動する。そうすると、第1部材D1がX1側へ移動する。
【0161】
図24の状態では、第3部材D3及び第2部材D2がX1方向に移動することができ、スロットルレバー19と第4操作ワイヤ19a、すなわち第2操作機構B2の上昇操作(及びその後の下降操作)が許容される。なお、第3操作ワイヤ17cの端部17eの移動により第1部材D1がX1方向に移動しても、旋回レバー17は入り位置(第2状態)のままであり、被操作装置A(作業クラッチ32及びデフ機構34)の作動状態は変更されない。
【0162】
なお、
図24の状態から旋回レバー17が切り位置(第1状態)へ操作されると、操作部位17fがX2側へ移動する。操作部位17fが爪部材63に接触すると、爪部材63がコイルバネ64の付勢力に抗してY2側へ移動する。操作部位17fが爪部材63よりもX2側へ移動し、
図22の状態へ戻る。
【0163】
〔他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、連動機構Cは、第1人為操作具J1と第2伝達機構K2とを機械的に連動させる。連動機構Cが連動させる対象は、第1伝達機構K1と第2人為操作具J2とであってもよいし、第1人為操作具J1と第2人為操作具J2とであってもよいし、第1伝達機構K1と第2伝達機構K2とであってもよい。
【0164】
(2)エンジン11が、電子制御燃料噴射装置を備えてもよい。電子制御燃料噴射装置は、アクチュエータによって燃料を強制的に燃焼シリンダ内へ噴射供給するものであって、気温等の外部環境の影響低減、エンジン11の作動の安定化、詳細な制御の実現等の利点がある。
【0165】
本形態の場合、第4操作ワイヤ19aの動きが電子的な制御装置に入力され、その制御状態が電子制御燃料噴射装置を制御するよう、歩行型管理機が構成されると好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、エンジンを備えた歩行型作業機に適用可能である。例えば、歩行型田植機、歩行型野菜移植機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0167】
11 :エンジン
13 :走行装置
14 :作業装置
14a :PTO軸
31 :主クラッチ
32 :作業クラッチ
34 :デフ機構
91 :サイドクラッチ
A :被操作装置
B1 :第1操作機構
B2 :第2操作機構
C :連動機構
D1 :第1部材
D2 :第2部材
D3 :第3部材
E1 :第1案内機構
E2 :第2案内機構
F1 :第1経路
F2 :第2経路
F3 :第3経路
G1 :第1位置
G2 :第2位置
H :許容機構
J1 :第1人為操作具
J2 :第2人為操作具
K1 :第1伝達機構
K2 :第2伝達機構