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特開2023-158650エアコンプレッサのシリンダ内のピストン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158650
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】エアコンプレッサのシリンダ内のピストン
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/10 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
F04B39/10 M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065272
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】111114736
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512278618
【氏名又は名称】已久工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
(72)【発明者】
【氏名】周 承賢
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC02
3H003CB02
3H003CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアコンプレッサのシリンダ内で上下動ストロークを行うことができるピストンを提供する。
【解決手段】本発明は、エアコンプレッサのシリンダのピストンを提供し、特にピストンヘッドに吸気封止プレートが取り付けられたエアコンプレッサに取り付けられるピストンであり、前記ピストンヘッドの平坦板面と前記吸気封止プレートとの間に隙間を形成して、ピストンの吸気道が流通していることにより、シリンダ内の圧力と周囲の大気とのバランスを取り、エアコンプレッサが再度起動された後、ピストンの上動ストローク時に妨げられずよりスムーズになり、シリンダ内でピストンが往復運動するときにより効率的な圧縮を維持することができ、また使用安全性と使用寿命の延長を兼ね備え、簡易に快速に要気体充填物内に気体を充足させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターに連動され、シリンダ内で上下の往復運動を行うピストンを有するエアコンプレッサのシリンダ内のピストンであり、
前記ピストンのピストンヘッド上に上下に貫通する吸気道を設け、前記ピストンの前記ピストンヘッドの頂部は平坦板面を形成し、前記ピストンヘッドの前記吸気道の外縁の前記平坦板面上には前記平坦板面の水平面高さから突出する少なくとも一つの凸体が設けられ、前記ピストンヘッドの前記平坦板面上には吸気封止プレートが設けられ、前記吸気封止プレートが前記平坦板面上に設けられた前記凸体に接触して、前記吸気封止プレートと前記平坦板面との間に隙間を存在させ、エアコンプレッサが動作を終了した後、前記シリンダ内に残留する圧縮空気を前記隙間から排出することができ、圧縮行程が起動開始または静止状態から改めて起動するたびに、前記ピストンが上動ストローク動作時に妨げられず、高電流サージが瞬間的に発生し、車両電源及びエアコンプレッサ本体が損傷することを回避し、前記凸体が前記平坦板面から垂直方向に突出して高さを有することにより、前記ピストンと前記吸気封止プレートの両者の間に前記隙間を形成し、前記凸体は、前記吸気封止プレートが覆う前記平坦板面の範囲内に設けられ、前記隙間は前記シリンダ内の残圧を排出することを特徴とする、エアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項2】
少なくとも一つの前記凸体は複数の凸体を含み、複数の前記凸体の形状は同一でも異なっていてもよく、複数の前記凸体の体積は同一でも異なっていてもよい、請求項1に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項3】
前記ピストンヘッドの前記頂部の片側には、分けて配置された2つの固定ピン、2つの前記固定ピンの間に介在する位置決め凸壁を含むT形凸ブロックが設けられ、前記ピストンヘッドの前記頂部の他方側には、リミットフックが設けられ、前記リミットフックは前記吸気封止プレートのふり幅高さを制限して、前記吸気封止プレートの過度な曲げ角度及び過度に高い反復頻度を回避し、前記吸気封止プレートの使用寿命を効果的に保護し、少なくとも一つの前記凸体は複数の凸体を含み、前記ピストンヘッドは前記T型凸ブロック及び前記リミットフックを中心線として両側の前記平坦板面にそれぞれ複数の前記凸体を設け、複数の前記凸体は対称に設けられ、前記凸体は線状型であり、前記凸体は、前記平坦板面の前記水平高さよりも高いが、前記リミットフックに設けられた直立柱の高さよりも低く、前記吸気封止プレートの一端は前記平坦板面の前記固定ピンに固定される、請求項1に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項4】
ピストンロッドが前記ピストンヘッドから下方に延び、前記ピストンロッドの上端には大気と連通可能な通気道が設けられ、前記吸気道と前記通気道は互いに連通され、前記ピストンヘッドの外周縁に気密リングが取り付けられており、前記気密リングは前記エアコンプレッサの動作中に前記ピストン及び前記シリンダの内面での気密の持続を実現する、請求項3に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項5】
前記ピストンヘッド上の前記リミットフックは前記直立柱と横柱を含み、前記直立柱は前記吸気封止プレートの開閉経路を提供するので、前記エアコンプレッサのパワーの大きさに応じて、前記直立柱の長さおよび前記横柱の設計を調整して、前記吸気封止プレートの開く高さを調整することができる、請求項3に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項6】
前記吸気封止プレートは、その内周に実体的に非完全円形の環状内空領域が穿たれており、前記吸気封止プレートは外環ピースプレートと内円ピースプレートの2つの部分に細分され、前記外環ピースプレートと前記内円ピースプレートは相互連結箇所でネック部が形成され、前記吸気封止プレートには前記ネック部に近い前記外環ピースプレートに貫通された貫通孔が設けられており、前記ピストンヘッドは前記貫通孔に対応する位置に前記リミットフックが設けられて前記貫通孔と嵌合し、前記ピストンヘッド上の2つの前記固定ピンに相対して前記吸気封止プレート上には2つの円孔が分離して設けられ、前記吸気封止プレートの2つの前記円孔が前記ピストンヘッドの2つの前記固定ピンにそれぞれ位置決めされ、また同時に前記ピストンヘッドのT型凸ブロックが前記吸気封止プレートの前記外環ピースプレートの外縁に当接することにより、前記T型凸ブロックの前記位置決め凸壁が前記吸気封止プレートの前記外環ピースプレートの外縁の凹状スロットに嵌合収納されるため、前記吸気封止プレートが前記ピストンヘッドに堅牢に位置決めされ、前記T型凸ブロックの位置決め凸壁が前記吸気封止プレートの凹状スロットに緊密に嵌合されるため、AIロボットによる組立作業時に、識別が容易であり、逆取り付けや逆置きが発生することがなく、製品の組立効率にメリットがある、請求項5に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項7】
前記平坦板面上には少なくとも1つの固定ピンが設けられ、前記凸体の形状は、柱体、半円体、直方体または三角体とすることができ、前記凸体は前記吸気道と少なくとも1つの前記固定ピンの間に位置し、前記吸気封止プレートは前記ピストンヘッドの前記平坦板面上に設けられ、その一端は前記平坦板面の前記固定ピンに固定され、前記吸気封止プレートと前記ピストンヘッドの前記平坦板面との間に前記隙間を形成する状態で、前記凸体は前記ピストンヘッド上の前記吸気封止プレートと接触し、前記吸気道の流通により前記シリンダ内の圧力と外部の大気圧とのバランスを取る、請求項1に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項8】
前記平坦板面上に設けられた前記凸体の位置は、前記吸気道と前記固定ピンの間に位置するのではなく、前記固定ピンに対して前記吸気道の他方側に設けられる、請求項7に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【請求項9】
前記平坦板面上の中央箇所に固定ピンが設けられ、前記平坦板面の円周辺縁に隣接する箇所には間隔を開けて円環に配列され、かつ前記ピストンヘッドの上下端を貫通する複数の吸気道が設けられ、前記平坦板面上には円心を中心点として円心外縁にさらに環状形凸体が設けられ、前記環状形凸体は前記円環に配列された前記吸気道と前記固定ピンの間に位置し、前記吸気封止プレートは前記ピストンヘッドの前記平坦板面の前記固定ピン上に位置決めされることができ、前記吸気封止プレートと前記ピストンヘッドの前記平坦板面との間に隙間を形成するように、前記環状形凸体が前記ピストンヘッド上の前記吸気封止プレートと接触する、請求項1に記載のエアコンプレッサのシリンダ内のピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンプレッサの技術分野に関し、特に、エアコンプレッサのシリンダ内で上下動ストロークを行うことができるピストンに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンプレッサの主な構造は、シリンダ内でピストンが往復式の圧縮動作を行うようモーターで駆動し、圧縮された空気をシリンダからエアストレージベースに送り、エアストレージベース上のマニホールドに接続される軟性導管により要気体充填物上に送り込むものであり、公知のピストンは、ピストンヘッドに上下に貫通された通気道が設けられ、シリンダ内と外界環境の空気を流通させ、ピストンヘッドの頂面には通気道上に覆うように吸気封止プレートが設けられ、エアコンプレッサが停止状態のとき、前記吸気封止プレートがピストンヘッドの通気道を密閉し、エアコンプレッサが静止状態から改めて起動するたびに、ピストンヘッドの円形の周辺に設けられた気密リング及び吸気封止プレートがピストンヘッドの通気道を密封して形成される気密性により、シリンダ内に残る残圧によりピストン推進時の抵抗が増加されて、高電流サージの作用を起こさせ、従来の車両電源は使用時に高電流サージによりヒューズ焼損を起こして動作が停止する、さらには現在の環境保護を念頭に置いた電気自動車の発展の趨勢において、スマートカーのマイクロコンピュータシステムの電力使用時の保護メカニズムの要求により、高電流サージの発生時に即時電源出力を遮断し、エアコンプレッサの動作が停止され、機能を失ってしまう。そこで、本発明者は、エアコンプレッサが停止状態にあるとき、前記ピストンヘッドの頂面と吸気封止プレートとの間に隙間を形成し、エアコンプレッサが動作終了後に、この隙間から吸気道及び通気道を介してシリンダ内に残留した圧縮空気を排出させることにより、シリンダ内の圧力と周囲の大気とのバランスを取り、エアコンプレッサが再起動した後、ピストンの上動ストロークが妨げられず、瞬間的な高電流サージの発生を回避するようにし、ピストンのシリンダ内での往復運動時にスムーズな圧縮効果が増加し、また使用安全性と使用寿命の延長を兼ね備え、簡易に快速に要気体充填物内に気体を充足させることができ、エアコンプレッサが如何なる圧力で停止しても容易に起動することができ、さらには従来の車両電源において高電流サージにより起こるヒューズ焼損が起こらない、或いはスマートカーのマイクロコンピュータシステムの電力使用の保護メカニズムで要求される高電流サージ発生時の電源出力の即時遮断によるエアコンプレッサ動作停止による機能喪失を起こすことがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアコンプレッサの動作が完了すると、シリンダ内に残った圧縮空気を吸気道と通気道を通して前記隙間から排出することができ、シリンダ内の圧力と周囲の大気とのバランスを取り、エアコンプレッサが改めて起動した際にピストンの上動ストロークが妨げられない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主な目的は、エアコンプレッサのシリンダ内のピストンの提供であり、特に前記ピストンのピストンヘッド頂部に上下に貫通する吸気道を設け、前記吸気道の外縁は前記ピストンヘッドの頂面で平坦板面を形成し、前記平坦板面上には少なくとも一つの高さを有する凸体が設けられ、前記吸気封止プレートと前記ピストンヘッドの平坦板面との間に隙間を形成する状態で、前記凸体とピストンヘッドに固定された吸気封止プレートとが互いに接触し、前記吸気道は流通しているため、シリンダ内の圧力と外部の大気圧とのバランスを取り、前記ピストンが静止状態にあるとき、シリンダ内に残存する残圧を排出することができる。
【0005】
本発明のもう一つの主要な目的は、ピストンの構造を提供することであり、前記ピストンのピストンヘッド頂部の平坦板面には、高さを有し、前記平坦板面から突出する少なくとも1つの凸体が設けられており、複数の前記凸体は、前記平坦板面から垂直方向に突出し、高さを有し、前記ピストンヘッドと前記吸気封止プレートとの間に隙間を形成しさえすれば、異なる形状および異なる容積でもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の別の主要な目的は、ピストン構造を提供することであり、前記ピストンヘッドによって形成される隙間は、シリンダ内の残圧を排出するのに足るものであり、圧縮行程が起動開始または静止状態から改めて起動するたびに、シリンダ内の残圧によるピストン上昇推進時の抵抗増加による高電流サージ作用を防止することができ、エアコンプレッサが従来の車両電源に接続されて使用される際に、高電流サージによるヒューズ焼損による動作停止を回避することができる、或いは環境保護の電気自動車がマイクロコンピュータシステムの電力使用の保護メカニズムにより、高電流サージ発生時に電源出力が即時遮断されて、エアコンプレッサの動作が停止されて、機能を喪失することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のピストンの立体分解図である。
図2】本発明のピストンの斜視図である。
図3】本発明の吸気封止プレートが実装されたピストンの部分拡大斜視図である。
図4】本発明のピストンおよび吸気封止プレートの部分拡大図である。
図5】本発明のピストンの部分拡大断面図である。
図6】本発明の箱体に配置されたエアコンプレッサの模式図である。
図7】本発明のピストン下動ストローク動作時の圧縮空気流通の模式図である。
図8】本発明のピストンの上動ストローク動作時の部分拡大図である。
図9】本発明のピストンの別の斜視図である。
図10】本発明の別のピストンの下動ストローク動作時の圧縮空気流通の部分拡大図である。
図11】本発明の別のピストンの上動ストローク動作時の部分拡大図である。
図12】本発明の別のピストンの下動ストローク動作時の圧縮空気流通の部分拡大図である。
図13】本発明の別のピストン及び上動ストローク動作時の部分拡大図である。
図14】本発明の別のピストンの斜視図である。
図15】本発明の別のピストンの下動ストローク動作時の圧縮空気流通の部分拡大図である。
図16】本発明の別のピストン及び上動ストローク動作時の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、図6を参照すると、本発明のエアコンプレッサ10は箱体1内に配置でき、気体充填機能とすることができ、前記エアコンプレッサ10は、モーター12が固定された基板11、前記基板11に結合されたシリンダ13を含み、基板11は、エアコンプレッサ10の伝動機構14を設けることができ、伝動機構14はピストン2に連結され、モーター12の出力軸が伝達機構14のクランクシャフト141を連動して旋回動作を行うことにより、同時にピストン2を連動してシリンダ13内で上動および下動ストローク動作を行うことにより、圧縮空気を生成し、前記圧縮空気が、エアストレージベース15内に送り込まれ、気体輸送マニホールドの設置により、圧縮空気は圧力表示ゲージ16に進入し、圧力を表示し、気体輸送軟性管のジョイントにより、要気体充填物に気体充填を行う(図示せず)が、それはいずれも現在実施の使用状態であるので、細部の構造は図示せず、また詳細な説明も行わないことをここで釈明しておく。
【0009】
本発明の主な構造的特徴は、エアコンプレッサ10のピストン2のピストンヘッド21の頂部の平坦板面5に、高さを有し、前記平坦板面5から突出した少なくとも1つの凸体が設けられていることであり、複数の前記凸体は前記平坦板面5から垂直方向に突出して高さを有し、前記ピストンヘッド21と吸気封止プレート7の両者の間に隙間51を形成しさえすれば、前記凸体は異なる形状および異なる容積であってもよく、前記凸体は前記吸気封止プレート7により覆われる平坦板面5の範囲内に設けられ、前記隙間51は、シリンダ13内の残圧を排出するのに足るものであり、圧縮行程が起動開始または静止状態から改めて起動するたびに、シリンダ13内の残圧によるピストン上昇推進時の抵抗増加による高電流サージ作用を防止することができ、エアコンプレッサ10が従来の車両電源に接続されて使用される際に、高電流サージによるヒューズ焼損による動作停止を回避することができる、或いは環境保護の電気自動車がマイクロコンピュータシステムの電力使用の保護メカニズムにより、高電流サージ発生時に電源出力が即時遮断されて、エアコンプレッサ10の動作が停止されて、機能を喪失することを回避することができる。
【0010】
本発明は、ピストンヘッド21の頂面に少なくとも1つの凸体を有するという技術的特徴を備えており、これについては、以下の実施形態で説明する。図1から図5を参照すると、本発明のエアコンプレッサ10のシリンダ13内のピストン2は、ピストンヘッド21とそれに連結されたピストンロッド4とを含み、前記ピストンヘッド21の頂部には上下に貫通する吸気道23が設けられており、ピストンヘッド21の頂面には平坦板面5が形成されており、前記ピストンヘッド21の頂部の片側には、2相に分離された固定ピン211、212、前記固定ピン211、212の間に介在する位置決め凸壁214を含むT形凸ブロック213が設けられ、前記ピストンヘッド21の頂部の他方側には、リミットフック22が設けられている。前記ピストンヘッド21は、T型凸ブロック213及びリミットフック22を中心線として両側の平坦板面5にそれぞれ凸体215、216を設けることができ、前記凸体215、216は対称に設けられることが好ましく、前記凸体215、216は線状型である。前記凸体215と216は、前記平坦板面5の水平高さよりも高いが、前記リミットフック22の直立柱221の高さよりも低く、前記ピストンヘッド21の外周縁に気密リング3が取り付けられており、前記気密リング3はエアコンプレッサ10の動作中にピストン2及びシリンダ13の内面での気密の持続を実現する。前記ピストンヘッド21から下方に延びるピストンロッド4は、前記ピストンロッド4の下端に円孔41を有し、伝動機構14内のクランクシャフト141と枢着され、前記ピストンロッド4の上端には大気と連通可能な通気道42が設けられ、前記吸気道23と通気道42は互いに連通される。吸気封止プレート7は前記ピストンヘッド21の平坦板面5上に設けられることができ、その一端は平坦板面5の固定ピン211、212に固定され、T型凸ブロック213の位置決め凸壁214は吸気封止プレート7の凹状スロット721に嵌合することができるので、現在のAIロボットによる組立作業時に、識別が容易であり、逆取り付けや逆置きが発生することがなく、製品の組立効率にメリットがある。図3に示すとおり、エアコンプレッサ10が停止状態にあるとき、前記吸気封止プレート7は平坦板面5上の2つの凸体215、216に接触し、吸気封止プレート7と平坦板面5の間に隙間51を存在させ、前記吸気道23は流通しているため、シリンダ13内の圧力と外部の大気圧とのバランスを取り、前記ピストン2が静止状態にあるとき、シリンダ13内に残存する残圧を排出することができる。
【0011】
図1及び図2を参照すると、本発明の吸気封止プレート7は、その内周に実体的に非完全円形の環状内空領域71が穿たれており、吸気封止プレート7は外環ピースプレート72と内円ピースプレート73の2つの部分に細分され、前記外環ピースプレート72と内円ピースプレート73は相互連結箇所でネック部74が形成され、前記吸気封止プレート7にはネック部74に近い外環ピースプレート72に貫通された貫通孔75が設けられており、前記ピストンヘッド21は前記貫通孔75に対応する位置に前記リミットフック22が設けられて前記貫通孔75と嵌合し、前述のピストンヘッド21上の2つの固定ピン211、212に相対して吸気封止プレート7上には円孔76、77が分離して設けられ、吸気封止プレート7の円孔76、77がピストンヘッド21の固定ピン211、212にそれぞれ位置決めされ、また同時に前記ピストンヘッド21のT型凸ブロック213が吸気封止プレート7の外環ピースプレート72の外縁に当接することにより、前記T型凸ブロック213の位置決め凸壁214が前記吸気封止プレート7の外環ピースプレート72の外縁の凹状スロット721に嵌合収納されるため、吸気封止プレート7がピストンヘッド21に堅牢に位置決めされ、前記吸気封止プレート7が逆に組み立てられるとピストン2の機能に悪影響を及ぼし、ピストン2の作業効率を低下させるため、前記T型凸ブロック213の位置決め凸壁214の構造は、前記吸気封止プレート7の組み立て作業中に組み立ての位置決め方向を識別する機能と持たせることができる。エアコンプレッサ10のピストン2は機器が停止した静止状態において、前記吸気封止プレート7の外環ピースプレート72は、前述のピストンヘッド21上の2つの凸体215、216と接触しており、図3から5に示すとおり、前記吸気封止プレート7と前記ピストンヘッド21の平坦板面5との間には隙間51が存在し、かつ吸気封止プレート7の内円ピースプレート73は、前記吸気道23および通気道42に対して開いた状態に維持され、ピストン2の吸気道23が流通しており、シリンダ13の圧力と周囲の大気とのバランスが取れるため、圧縮行程が起動開始または静止状態から改めて起動するたびに、前記ピストン2の上動ストローク時に妨げられることはなく(背圧抵抗がなく)、シリンダ13内のピストン2の往復運動時のスムーズな圧縮機能を維持することができ、従来の車両電源に接続されて使用される際に、高電流サージによるヒューズ焼損による動作停止を回避することができる、或いは環境保護の電気自動車がマイクロコンピュータシステムの電力使用の保護メカニズムにより、高電流サージ発生時に電源出力が即時遮断されて、エアコンプレッサ10の動作が停止されて、機能を喪失するなどを回避することができ、平坦板面5上に凸体を有する本発明の設計は、確実に優れた効果を有する。ピストン2上動ストロークでは、図8に示すように、前記ピストンヘッド21の平坦板面5に吸気封止プレート7の内円ピースプレート73を貼り合わせ、吸気封止プレート7で吸気道23及び通気道42を閉じる。ピストン2の下動ストロークでは図7に示すように、前記吸気封止プレート7は外気の推力を受けて開き幅が大きくなる傾向にあるが,前記リミットフック22に設けられた横柱222によって制限され、吸気封止プレート7が無制限に開かれて、吸気封止プレート7の過度の使用により損傷する現象を回避できる。ピストン2が静止しているとき、前記吸気封止プレート7と前記ピストンヘッド21の頂面が開いた状態を維持していることを除き、前記吸気封止プレート7の前記貫通孔75は、前記リミットフック22の横柱222までで終了する。本発明のリミットフック22に設けられた直立柱221は、吸気封止プレート7の開閉経路を提供するので、エアコンプレッサ10のパワーに応じて、直立柱221の長さ(または高さ)および横柱222設計を調整して、吸気封止プレート7の初期高さを調整することができる。エアコンプレッサ10に接続された電源は、さまざまな状況でエアコンプレッサ10のプリセット基準電圧よりも高くなったり低くなったりする可能性があり、より高い電圧入力はエアコンプレッサ10モーター12の回転速度を相対的に高くし、前記ピストン2往復サイクル頻度も高くなり、前記吸気封止プレート7を下方から推し開く空気流速は速くなり勢いを増し、前記吸気封止プレート7も高く持ち上げられるほど曲げ角度が大きくなり、前記吸気封止プレート7の過度な曲げ角度及び過度に高い反復頻度はいずれも前記吸気封止プレート7の使用寿命を大幅に損なうことになり、エアコンプレッサ10の使用寿命も直接減少することになるので、リミットフック22を使用して吸気封止プレート7の振幅高さを制限し、前記吸気封止プレート7に過度の曲げ角度と過度に高い反復頻度を生じさせることを防止し、前記吸気封止プレート7の使用寿命を効果的に保護する。
【0012】
図9から図11を参照すると、本発明の別のピストン実施形態であり、前記ピストンのピストンヘッド6頂部には上下に貫通する吸気道61が設けられ、前記吸気道61の外縁は前記ピストン6の頂面で平坦板面62を形成し、前記平坦板面62上には少なくとも1つの固定ピン63と少なくとも1つの高さを有する凸体64が設けられ、前記凸体64の形状は、柱体、半円体、直方体、三角体などにすることができ、前記凸体64は前記吸気道61と少なくとも1つの固定ピン63の間に位置し、吸気封止プレート65は前記ピストンヘッド6の平坦板面62上に設けることができ、その一端は平坦板面62の固定ピン63に固定され、前記吸気封止プレート65と前記ピストンヘッド6の平坦板面62との間に隙間66を形成する状態で、前記凸体64は前記ピストンヘッド6に固定された吸気封止プレート65と接触し、前記吸気道61が流通しているためリンダ13内の圧力が外部の大気圧とバランスを取り、圧縮行程の開始ごと、または前記ピストンが静止状態のとき、シリンダ13に残った残圧を排出することができ、図11に示すように、ピストン上動ストロークでは前記ピストンヘッド6の平坦板面62上に前記吸気封止プレート65が貼り合わされ、前記吸気封止プレート65に前記吸気道61を閉じさせる。
【0013】
図12および図13に示すように、本発明の別のピストン実施形態では、図1および図9のピストン実施形態とは異なり、前記ピストンのピストンヘッド8の頂部には、上下に貫通する吸気道81が設けられ、前記吸気道81の外縁は前記ピストンヘッド8の頂面で平坦板面82を形成し、前記平坦板面82上には少なくとも1つの固定ピン83と少なくとも一つの高さを有する凸体84が設けられ、前記平坦板面82上に設けられた少なくとも1つの凸体84の位置は、前記吸気道81と固定ピン83の間に位置するのではなく、前記固定ピン83に対して前記吸気道81の他方側に設けられ、吸気封止プレート85は、前記ピストンヘッド8の平坦板面82に設けることができ、その一端は平坦板面82の固定ピン83に固定され、前記吸気封止プレート85と前記ピストンヘッド8の前記平坦板面82との間に隙間86を形成する状態で、前記凸体84が前記ピストンヘッド8に固定された吸気封止プレート85と接触し、前記吸気道81が流通しているためリンダ13内の圧力が外部の大気圧とバランスを取り、圧縮行程の開始ごと、または前記ピストンが静止状態のとき、シリンダ13に残った残圧を排出することができ、図13に示すように、ピストン上動ストロークでは、前記ピストンヘッド8の平坦板面82上に前記吸気封止プレート85が貼り合わされ、前記吸気封止プレート85に前記吸気道81を閉じさせる。
【0014】
図14から図16を参照すると、本発明の別のピストンの実施形態では、図1図9及び図12のピストンの実施形態とは異なり、前記ピストンのピストンヘッド9の頂部には平坦板面91が形成され、前記平坦板面91上には中央箇所に固定ピン92が設けられ、その平坦板面91の円周辺縁に隣接する箇所には複数の間隔を開けて円環に配列され、かつ前記ピストンヘッド9の上下端を貫通する吸気道93が設けられ、前記平坦板面91上には円心を中心点として円心外縁にさらに環状形凸体94が設けられ、凸体94は前記円環に配列された吸気道93と固定ピン92の間に位置し、吸気封止プレート95は前記ピストンヘッド9の平坦板面91の固定ピン92上に位置決めされることができ、前記吸気封止プレート95と前記ピストンヘッド9の前記平坦板面91との間に隙間96を形成する状態で、前記環状形凸体94が前記ピストンヘッド9上の吸気封止プレート95と接触し、前記吸気道93が流通しているためリンダ13内の圧力が外部の大気圧とバランスを取り、圧縮行程の開始ごと、または前記ピストンが静止状態のとき、シリンダ13に残った残圧を排出することができ、図16に示すように、ピストン上動ストロークでは、前記吸気封止プレート95に前記吸気道93を閉じさせ、図15に示すように、下動ストロークの動作及びピストンの静止時には、前記吸気封止プレート95は開いた状態であり、シリンダ13内のピストンヘッド9の上方の残圧を前記隙間96及び吸気道93から排出して、シリンダ13の圧力と外部の大気圧とのバランスを取ることができる。
【0015】
以上をまとめると、本発明のエアコンプレッサ10が停止状態にあるとき、前記ピストン2のピストンヘッド21の頂部の平坦板面5に設けられた、高さを有しかつ前記平坦板面5から突出する少なくとも一つの凸体は、前記平坦板面5から垂直方向に向けて突出し高さを有し、前記ピストンヘッド21と吸気封止プレート7との間に隙間51を形成してさえいれば、異なる形状及び異なる容積であってもよく、前記隙間51はシリンダ13内の残圧を排出するのに足るものであり、圧縮行程が起動開始または静止状態から改めて起動するたびに、シリンダ13内の残圧によるピストン2の上昇推進時の抵抗増加による高電流サージ作用を防止することができ、エアコンプレッサ10が従来の車両電源に接続されて使用される際に、高電流サージによるヒューズ焼損による動作停止を回避することができる、或いは環境保護の電気自動車がマイクロコンピュータシステムの電力使用の保護メカニズムにより、高電流サージ発生時に電源出力が即時遮断されて、エアコンプレッサ10の動作が停止されて、機能を喪失することを回避することができ、本発明の設計は明らかに新規性及び進歩性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、エアコンプレッサの技術分野に関し、特に、エアコンプレッサシリンダで上動ストロークと下動ストロークを行うことができるピストンに関する。
【符号の説明】
【0017】
1 箱体
10 エアコンプレッサ
11 基板
12 モーター
13 シリンダ
14 伝動機構
141 クランクシャフト
15 エアストレージベース
16 圧力表示ゲージ
2 ピストン
21 ピストンヘッド
211、212 固定ピン
213 T型凸ブロック
214 位置決め凸壁
215、216 凸体
22 リミットフック
221 直立柱
222 横柱
23 吸気道
3 気密リング
4 ピストンロッド
41 円孔
42 通気道
5 平坦板面
51 隙間
6 ピストンヘッド
61 吸気道
62 平坦板面
63 固定ピン
64 凸体
65 吸気封止プレート
66 隙間
7 吸気封止プレート
71 環状内空領域
72 外環ピースプレート
721 凹状スロット
73 内円ピースプレート
74 ネック部
75 貫通孔
76、77 円孔
8 ピストンヘッド
81 吸気道
82 平坦板面
83 固定ピン
84 凸体
85 吸気封止プレート
86 隙間
9 ピストンヘッド
91 平坦板面
92 固定ピン
93 吸気道
94 環状形凸体
95 吸気封止プレート
96 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】