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特開2023-158679折畳み扉装置及び下桟との間の隙間を塞ぐ方法
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  • 特開-折畳み扉装置及び下桟との間の隙間を塞ぐ方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158679
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】折畳み扉装置及び下桟との間の隙間を塞ぐ方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/18 20060101AFI20231024BHJP
   E05D 15/26 20060101ALI20231024BHJP
   E06B 3/48 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E06B7/18 C
E05D15/26
E06B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068587
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220929
【氏名又は名称】株式会社TOKO
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】野口 友宏
【テーマコード(参考)】
2E015
2E034
2E036
【Fターム(参考)】
2E015AA01
2E015BA06
2E015DA02
2E015FA02
2E034JA02
2E034JB01
2E034JC02
2E034JC03
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036EB02
2E036FA04
2E036FB01
2E036GA02
2E036HB31
(57)【要約】
【課題】 枠体に装着された折畳み扉において、伸長した場合に下桟との間を塞ぐことが出来る回転シール体を回転可能に軸支した折畳み扉装置の提供。
【解決手段】 回転シール体11は所定断面をして長手方向へ延びる本体12、本体12の先端側にはゴム質などで弾性変形する弾性体13を取付け、副継手10にはロッドを設け、該ロッドを押下げるならば水平に配置した回転シール体11が回転して垂直方向を向いて先端の弾性体13がガイド溝19の内側面に当接することが出来るようにしている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に装着された折畳み扉であって、伸長した場合に下桟との間に形成される隙間を塞ぐことが出来る回転シール体を備えた折畳み扉装置において、該回転シール体は所定の断面を有して長手方向へ延びる板状の本体、本体の先端側には圧縮変形する弾性体を取付け、また回転シール体には持ち上げられてほぼ水平に保持されるバネを備え、
副継手にはロッドを設け、ロッドを押下げるならばほぼ水平に配置した上記回転シール体が軸部を中心として回転し、垂直下方を向いて先端の弾性体がガイド溝の内側面に当接することが出来るようにしたことを特徴とする折畳み扉装置。
【請求項2】
折畳み扉を2枚のパネルで構成した折畳み扉装置。
【請求項3】
枠体に装着されて下端に回転シール体を備えた折畳み扉が伸長して間口を閉じた場合に、下桟との間に形成される隙間を塞ぐ方法において、
副継手に設けたロッドを押下げるならば、上記回転シール体は90°回転して先端の弾性体がガイド溝の内側面に当接し、上記隙間を塞ぐことが出来るようにしたことを特徴とする折畳み扉下端と下桟との隙間を塞ぐ方法。











【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み扉が装着される枠体を構成する下桟上面をフラット面で形成した折畳み扉装置、及び下桟と折畳み装置の間の隙間を塞ぐ方法に関するものである。ここで、回転シール体が装着される対象物は上記折畳み扉に限定はしない。
【背景技術】
【0002】
間口を開閉する装置として複数枚の扉を連結して構成した折畳み扉や折戸が多用されている。
ところで、折畳み扉の扉(パネル)継手部の中で、折畳み操作の際にレールから張り出さない主継手部上端には吊車が取付けられて上桟のレールに吊設され、下端にはスライダーが突出して下桟に設けているガイド溝に沿って移動することが出来る。そして、伸長して閉じた場合にはロック棒が突出してガイド溝へ嵌入し、折畳み扉が開かないようにロックされる。
【0003】
折畳み扉が装着される枠体の上下桟にはシール材を沿設したシール体が設けられ、閉じた折畳み扉の内面がシール体に当接することが出来、シール材を介して気密性及び水密性が確保される構造と成っている。
その為に、上記枠体の下桟上面はフラットでなく、内側(室内側)には上記シール体が起立していて、間口を閉じて伸長した折畳み扉の内面が当接することが出来るように成っている。これは、折畳み扉と下桟との気密性・水密性を保つ為に必要な形態として従来から採用されて来ている。
【0004】
ところが、近年ではバリアフリーと称されて床面に段差を設けることなく、車椅子が自由に動き易いようなフラットな床面が普及している。この考えは室内のみならず外部との仕切りとして用いられている折畳み扉装置としても例外ではなく、例えば、部屋の床面とベランダ面とを同一にすることで車椅子が自由にベランダへ移動することが出来る。
【0005】
この場合、部屋とベランダとの境界に段差のある下桟を設けるならば車椅子の移動が阻害されてしまう。しかし、フラットな下桟にすればシール体が無くなってしまい、その結果シール材を取付けることが出来ず、外から雨水が侵入すると共に外気との気密性が損なわれてしまう。
そこで、上記シール体を回転構造とし、間口を閉じる為に折畳み扉が伸長した場合にのみ起立するように構成した折畳み扉装置が知られている。
【0006】
特開2018-62750号に係る「折畳み扉装置及びそのシール体」は、下端に形成される隙間を塞ぐ為のシール体を備えた折畳み扉装置である。
すなわち、パネルの下端には軸を中心として回転することが出来、先端側が常に持ち上げられるように弾性力を付勢したシール体を備え、またパネルを連結する補助継手にはハンドル操作にて降下するロッドを有している。ロッドの降下に伴って上記シール体が回転して押し下げられ、その先端が下レールに圧接して折畳み扉下端に形成される隙間を塞ぐことが出来る。
【0007】
折畳み扉が折畳まれて間口が開口状態にある場合には、回転シール体は上昇して下桟はフラット面と成り、車椅子に乗って自由に通過することが出来る。そして、折畳み扉を伸長して間口を閉じた場合には、回転シール体が回転・降下して下桟に当接してシールすることが出来、外からの雨水の侵入を防止すると共に気密性が保たれる。
【0008】
図6は折畳み扉の下端に取付けた回転シール体を示し、(a)は回転シール体(イ)が上昇している場合、(b)は回転シール体(イ)が回転して降下している場合を表している。回転シール体(イ)は軸(ロ)を中心として回転可能に軸支され、折畳み扉(ハ)との間に取付けたバネ(ニ)によって持ち上げられ、(a)に示すように水平に保たれている。
【0009】
そして、補助継手に取付けているハンドルを操作にてロッドが降下するならば、該ロッドに押し下げられて(b)に示すように回転シール体(イ)は回転して下レール(ホ)に当接する。したがって、折畳み扉(ハ)と下レール(ホ)との間に形成される隙間(ヘ)は塞がれる。回転シール体(イ)の先端にはゴム片(ト)が取付けられて、下レール(ホ)に隙間なく密着することが出来る。
【0010】
ところで、回転シール体(イ)が降下することで隙間を塞ぐことが出来るが、下レール(ホ)には折畳み扉の下スライダーが移動する為のガイド溝が設けられ、該ガイド溝に雨水が溜まり、この雨水が室内側に溢れ出すといった問題が発生する。
図7は、上記ガイド溝に雨水が溜まっている場合であり、矢印(→)で示すように室内側へ溢れ出すことがある。
【0011】
一方、折畳み扉が伸長して間口を閉じた場合、ロッドが押し下げられて回転シール体(イ)が降下した際に、隣り合う回転シール体(イ)、(イ)間に僅かな隙間が生じ、気密性及び水密性を保つことが出来ない。
【特許文献1】特開2018-62750号に係る「折畳み扉装置及びそのシール体」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、折畳み扉が伸長して間口が閉じた場合に回転・降下するようにした回転シール体が存在していて、折畳み扉が折畳まれて間口が開口した際には回転シール体は上昇して床面はフラットになる。
しかし、下レール(下桟)に形成しているガイド溝に溜まる雨水が室内側へ漏れ出すといった問題、また隣り合う回転シール体間には隙間が形成される。
本発明が解決しようとする課題はこれらの問題点であり、ガイド溝に溜まる雨水が室内側へ溢れ出すことがないように、また隣り合う回転シール体との間に隙間を生じることがないようにした折畳み扉装置及び隙間を塞ぐ方法を提供する。
また、回転シール体が装着される対象物は折畳み扉に限定せず、2枚の扉(パネル)で構成される折れ戸、及びその他の間口開閉装置を対象とすることが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る折畳み扉装置は、枠体に折畳み扉を装着して構成したものであり、基本構造は従来と共通する。そして、枠体の下桟(下レール)上面をフラット面として形成し、該下桟を挟む床面との間に段差がないように成っている。
下桟にはガイド溝が沿設されて、該ガイド溝には折畳み扉の下端に設けたスライダーが遊嵌してスライドすることで折畳み扉は伸縮することが出来るように成っている。
【0014】
折畳み扉が伸長した際に、下桟との間に形成される隙間を塞ぐ為に、回転シール体を折畳み扉の下端に取付けていて、この回転シール体を必要に応じて押し下げて降下させる構造としている。
すなわち、折畳み扉が伸長して閉じた場合に、回転シール体が回転・降下して下桟のガイド溝内側面に当接することで気密性及び水密性が保たれる。逆に回転シール体が上昇した場合には、下桟の上面はフラット面と成る。
ところで、本発明の回転シール体の材質は基本的に樹脂製又はアルミ製とし、必要に応じて補強材を内部に組み込んだ構造としている。
【0015】
回転シール体は板状の長尺材であって、一方側は折畳み扉の下端に軸支されて上下方向に揺動することが出来、先端側には圧縮変形することが出来るゴム質などの弾性体を設けている。
そして、回転シール体にはバネが取付けられ、バネ力の作用で常に上昇して折畳み扉下端には隙間が形成される。折畳み扉にはロッドが設けられ、ロッドが降下することで回転シール体は押し下げられて回転し、ほぼ垂直に起立して先端の弾性体はガイド溝の内側面に当接する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る折畳み扉はその下端に回転シール体を軸支しており、該回転シール体はロッドを押下げることで回転して下桟(下レール)との間に形成される隙間を塞ぐことが出来る。しかも、回転シール体はロッドに押し下げられて回転することで、ほぼ垂直を成すように降下してガイド溝の内側面に当接することが出来る。
したがって、折畳み扉と下桟との間に形成される室内側の隙間は完全に塞がれ、ガイド溝に溜まった雨水が室内側へ溢れ出すことはない。
【0017】
そして、回転シール体の先端には先端部材が取付けられていることで、該先端部材を介して隣り合う回転シール体間の隙間が塞がれる。
本発明の折畳み扉装置は下桟上面がフラット面であり、回転シール体が回転して上昇した状態では下桟はフラット面と成り、車椅子に乗って自由に通過することが出来る。回転シール体にはバネが取付けられていることで、ロッドが上昇するならば、バネ力が作用して回転シール体は上昇することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】折畳み扉装置の外観図であり、(a)は折畳み扉が伸長して間口が閉じた場合、(b)折畳み扉が折畳まれて間口が開口した場合。
図2】折畳み扉装置の下桟に取付ける回転シール体。
図3】折畳み扉の下端に取付けた回転シール体の動作を表した場合で、(a)は回転シール体が上昇して水平に倒れている状態、(b)は回転シール体が降下して垂直に起立している状態、(c)は降下するロッドによって押し上げられて先端のゴム片がガイド溝の内側面に当接している状態を夫々示している。
図4】隣り合う回転シール体の先端に先端部材を取付けた場合あり、先端部材が離れて間に隙間を有している場合。
図5】隣り合う回転シール体の先端に先端部材を取付けた場合あり、先端部材が近接している場合であり、一方の先端部材から延びるカバーが隙間を塞いでいる。
図6】折畳み扉の下端に回転シール体を取付けた従来の形態であり、(a)は回転シール体が上昇して水平とし、(b)は回転シール体が降下して先端のゴム片が下レールに当接している場合。
図7】ガイド溝に雨水が溜まっている場合。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係る折畳み扉装置の外観図を表し、(a)は折畳み扉1が伸長して間口2が閉じている場合、(b)は折畳み扉1が折畳まれて間口2が開口している場合である。
折畳み扉装置は四角形をした枠体3に折畳み扉1が装着されて伸長することで間口は閉じ、逆に折畳まれることで間口2は開口することが出来る。
【0020】
折畳み扉1は複数枚のパネル4,4・・・が継手を介して連結し、継手は主継手5,5・・・と副継手10,10・・・を有している。主継手5,5・・・の上端には吊車6,6・・・が取付けられ、吊車6,6・・・は枠体3を構成する上桟8に載って移動し、折畳み扉1は複数の吊車6,6・・・を介して吊下げられている。そして、主継手5,5・・・の下端にはスライダー7,7・・・が下方へ延び、スライダー7,7・・・は枠体3を構成している下桟9に設けているガイド溝に沿って移動することが出来る。
【0021】
ここで、パネル4,4・・・を繋いでいる副継手10,10・・・は、折畳み扉1が折畳まれる際には枠体3の上桟8及び下桟9から外側へ張り出すことが出来る。
本発明の折畳み扉1の下端には回転シール体が取付けられ、該回転シール体が回転して降下することで伸長して間口2を閉じた折畳み扉1の下端と下桟9との間に形成される隙間を塞ぐことが出来る。
【0022】
図2は本発明に係る回転シール体11を表している実施例である。回転シール体11の本体12は一定断面をした細長い板状の部材であって、一方側の先端には細長い弾性体13が取付けられ、他方側には軸部14が設けられている。
上記軸部14は折畳み扉1の下端に設けている軸受け部に嵌って軸支され、回転シール体11は軸部14を中心として上下方向に回転する。
同図に示す上記弾性体13は、概略半円形断面をした中実体であるが、回転シール体11が回転して下桟に当接する場合に圧縮変形し易いように中空体とすることもある。
【0023】
図3は上記回転シール体11を折畳み扉1の下端に取付けた場合の動作を示している。 回転シール体11の上面15には係止溝16が形成され、この係止溝16にトーションバネ17が取付けられ、回転シール体11はトーションバネ17のバネ力にて持ち上げられ、図3(a)に示すように水平に保持されている。
したがって、折畳み扉1の下端には下桟9との間に隙間18が形成される。折畳み扉1が伸長して間口2が閉じられて場合、この隙間18を塞ぐ為に上記回転シール体11は回転して押し下げられ、図3の(b)のように成る。
【0024】
上記回転シール体11は、(a)に示す水平状態から90°回転して垂直下方を向き、先端に取付けたゴム質などの弾性体13は下桟9に設けているガイド溝19の内側面に当接する。この場合、中空体をした弾性体13は圧縮変形してガイド溝10の内側面20との間に隙間は生じない。
したがって、上記隙間18は完全に塞がれてガイド溝19に溜まった雨水21が室内側へ溢れて侵入することはない。
ところで、回転シール体11は折畳み扉1の下端に取付けられ、水平状態の回転シール体11は副継手10に取付けているロッドが降下することで、該ロッド下端によって押し下げられて垂直下方を向くことになる。
【0025】
図3(c)は副継手10に設けているロッド22が降下した場合であり、ロッド22が降下するならば、水平状態の回転シール体11はその上面15に当たって押圧され、回転して下方を向くことになる。
そして、ロッド22の側面には上下方向に延びるガイド片23が突出して形成され、このガイド片23によって回転シール体11の上面15が押圧されることで先端の弾性体13はガイド溝19の内側面20に完全密着する。
ロッド22が降下してガイド溝19に挿入するならば、折畳み扉1はロックされて折畳まれることはないが、折畳む際には上記ロッド22を持ち上げてガイド溝19から外す。
ロッド22が上昇するならば、回転シール体11は取付けているトーションバネのバネ力によって回転し、元の水平状態に戻される。
【0026】
図4は隣り合う回転シール体11a、11bが分離している場合を表している。回転シール体11aの先端には先端部材24aが取付けられ、他方の回転シール体11bの先端には先端部材24bを取付けている。そして一方の先端部材24aはカバー25を延ばしている。
先端部材24a、24bは軸穴26,26を形成し、この軸穴26,26に回転シール体11a、11bの軸部14,14が嵌って取付けられている。
【0027】
図5は隣り合う回転シール体11a、11bが折畳み扉1,1の下端に取付けられた場合であって、両先端部材24a、24bの間に隙間は生じない。すなわち、一方の先端部材24aから延びる上記カバー25は他の先端部材24bに跨り、その為に間に生じる隙間27を塞ぐことが出来る。
図5に示す回転シール体11a、11bは、上記図3に示すように回転して垂直下方を向いて起立し、先端の弾性体13,13はガイド溝19の内側面20に当接している状態である。したがって、隣り合う回転シール体11a、11bの間に生じる隙間は塞がれ、気密性及び水密性は保たれる。
【符号の説明】
【0028】
1 折畳み扉
2 間口
3 枠体
4 パネル
5 主継手
6 吊車
7 スライダー
8 上桟
9 下桟
10 副継手
11 回転シール体
12 本体
13 弾性体
14 軸部
15 上面
16 係止溝
17 トーションバネ
18 隙間
19 ガイド溝
20 内側面
21 雨水
22 ロッド
23 ガイド片
24 先端部材
25 カバー
26 軸穴
27 隙間



















図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7