(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158681
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
F25D19/00 550B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068590
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】安部 航
(72)【発明者】
【氏名】市場 元康
(72)【発明者】
【氏名】西村 晃一
(57)【要約】
【課題】本開示は、機械室の凝縮器の放熱能力の向上を図る冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本開示における冷蔵庫は、機械室に圧縮機とコンデンサと機械室ファンと、機械室ファンの運転で発生する気流をガイドするガイド部材とを備えた冷蔵庫であって、ガイド部材によってガイドされた気流がコンデンサを通って熱交換するように、ガイド部材はコンデンサと密着しないように配置している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室に圧縮機とコンデンサと機械室ファンと、前記機械室ファンの運転で発生する気流をガイドするガイド部材とを備えた冷蔵庫であって、
前記ガイド部材によってガイドされた気流が前記コンデンサを通って熱交換するように、前記ガイド部材は前記コンデンサと密着しないように配置したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記コンデンサの外側縁部と対向して配置し、前記コンデンサの外側縁部と機械室壁面部および機械室を塞ぐ機械室カバーとの間隙で、少なくとも寸法がもっとも大きい間隙に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記コンデンサは前記機械室ファンの運転で発生する気流の上流側にあり、前記ガイド部材は前記機械室ファンと前記コンデンサとの間にあり、前記ガイド部材の上流側端部は少なくとも前記コンデンサの下流側端部にかかって配置していることを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記ガイド部材は前記コンデンサと前記機械室ファンとをガイドして形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記機械室ファンに保持されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記コンデンサはマイクロチャネルコンデンサであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記機械室の側壁に開口部を形成したことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記機械室は、冷蔵庫の上部後方に配置していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記機械室は、冷蔵庫の下部後方に配置していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫の機械室に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機械室の凝縮器の熱伝達効率が向上した冷蔵庫を開示する。この冷蔵庫の機械室は、機械室を後方から塞ぐ蓋部と、凝縮器としてマイクロチャンネルコンデンサと、蓋部と凝縮器との間隙を埋める遮蔽部材と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、機械室の凝縮器の放熱能力の向上を図る冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫は、機械室に圧縮機とコンデンサと機械室ファンと、機械室ファンの運転で発生する気流をガイドするガイド部材とを備えた冷蔵庫であって、
ガイド部材によってガイドされた気流がコンデンサを通って熱交換するように、ガイド部材はコンデンサと密着しないように配置している。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫は、コンデンサの放熱能力の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1における冷蔵庫のZ方向から見た背面斜視図
【
図3】実施の形態1における冷蔵庫のX方向から見た要部断面図
【
図4】実施の形態1における冷蔵庫のZ方向の別角度から見た背面斜視図
【
図5】実施の形態1における冷蔵庫のY方向から見た要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
(冷蔵庫の全体構成)
図1は冷蔵庫の全体構成を説明する縦断面図である。
【0011】
図1において、本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1は金属製の外箱2と、硬質樹脂製の内箱3と、前記外箱2および内箱3の間に断熱材を充填発泡した発泡断熱材4とで構成してあり、仕切板5、6等によって複数の貯蔵室が上下に仕切形成してある。また、前記冷蔵庫本体1の各貯蔵室は冷蔵庫本体1と同様の断熱構成を採用した回動式の扉7或いは引出し式の扉8、9、10で開閉自在としてある。
【0012】
冷蔵庫本体1内に形成した貯蔵室は、最上部の冷蔵室11と、冷蔵室11の下に設けた温度帯切り替え可能な切替室12と、切替室12の横に設けた製氷室(図示しない)と、切替室12および製氷室と最下部の野菜室13との間に設けた冷凍室14で構成している。そして、前記冷蔵室11には複数の棚板が設けてあり、その下部には冷却温度帯を可変できるパーシャル/チルド室15が設けてある。
【0013】
またパーシャル/チルド室15の後方には冷蔵室11を冷却する冷蔵室冷却器16と、冷蔵室冷却器16で生成した冷気を強制循環させる冷蔵室ファン17が配置している。
【0014】
また冷蔵庫本体1の上部後方には機械室18が配置し、機械室18内に冷凍サイクルを構成する圧縮機19が備えられている。
【0015】
また冷凍室14の後方には、冷凍室14、製氷室、切替室12、および野菜室13を冷却する冷凍室冷却器20が冷凍室背面壁によって区画されて配置し、冷凍室冷却器20の上方に冷凍室ファン21が配置している。
【0016】
(機械室の構成)
図2は機械室18の要部斜視図で、機械室18を覆う機械室カバー22を外した状態を示している。
【0017】
機械室カバー22は機械室18の天面部と背面部を覆い、X方向で見た時に、断面略L字状のカバーで形成されている。
【0018】
機械室18には、冷凍サイクルを構成する、圧縮機19と、圧縮機19と配管23で接続されるコンデンサ24と、冷媒の流路を切替える三方弁25とが配置している。
【0019】
コンデンサ24として、マイクロチャネルコンデンサが配置している(以下、マイクロチャネルコンデンサ24)。
【0020】
圧縮機19とマイクロチャネルコンデンサ24との間には、機械室ファン26が配置している。
【0021】
マイクロチャネルコンデンサ24は、1本の扁平管35をZ軸方向に蛇行し、Y軸方向に複数段折り返して形成し、折り返した扁平管35の間に放熱フィン33を形成している。扁平管35の内部は、複数の冷媒流路が形成されており、扁平管35の一端側には円筒状の入口側ヘッダ31が水平方向に延在して形成され、他端側には円筒状の出口側ヘッダ32が水平方向に延在して形成されている。
【0022】
扁平管35内部に形成された複数の冷媒流路は入口側ヘッダ31に連通し、入口側ヘッダ31は圧縮機19の冷媒吐出配管19aと接続する接続配管23に接続している。
【0023】
マイクロチャネルコンデンサ24の外郭にはガイド部材27が配置している。マイクロチャネルコンデンサ24の外周縁部は、扁平管35またはプレート40で構成されていて、
図3で、マイクロチャネルコンデンサ24の上部に金属製の上部プレート40aが、下部に下部プレート40bが形成されている。
【0024】
そして、マイクロチャネルコンデンサ24は上部プレート40aとガイド部材27との間に空間部34が確保できるようにガイド部材27と一体に凸部27aが形成されている。下部プレート40bが機械室18の底面に載置されて、マイクロチャネルコンデンサ24が配置している。
【0025】
図2、
図3のように、機械室ファン26の外郭ケーシング26aと、マイクロチャネルコンデンサ24の外郭は略矩形状に形成されており、マイクロチャネルコンデンサ24の外郭は機械室ファン26のケーシング26aよりも大きく形成されている。
【0026】
ガイド部材27はマイクロチャネルコンデンサ24と密着しないように空間部34を形成して配置するガイド部27aと保持部27bとで形成されている。
【0027】
図3は
図2のX方向の断面図であり、マイクロチャネルコンデンサ24の外周縁部と対向する庫内側機械室壁面部28との間隙、およびマイクロチャネルコンデンサ24の外周縁部と対向する機械室カバー22との間隙で、少なくとも間隙の寸法が最も大きい部分にガイド部27aを形成している。
【0028】
図3のように、マイクロチャネルコンデンサ24を庫内側機械室壁面部28との間隙が機械室カバー22との間隙よりも小さくなるように配置している。
【0029】
そしてマイクロチャネルコンデンサ24の外周縁部と対向する機械室カバー22との間隙がもっとも大きいので、マイクロチャネルコンデンサ24の外側縁部と機械室カバー22との間にガイド部27aを略L字状に形成し、マイクロチャネルコンデンサ24を覆っている。
【0030】
図4のように、ガイド部27aはマイクロチャネルコンデンサ24を覆ってガイドする部分と機械室ファン26を覆って保持固定する保持部27bとで形成され、保持部27bは機械室ファン26の矩形状のケーシング26aの全周を覆って形成され、ケーシング26aを全周で挟み込んで固定され、ガイド部27aはマイクロチャネルコンデンサ24には接触または密着しないで、ガイド部27aとマイクロチャネルコンデンサ24との間に空間部34を形成して支持されている。
【0031】
また機械室ファン26を運転することで、マイクロチャネルコンデンサ24から圧縮機19に向かって流れる気流が発生する。マイクロチャネルコンデンサ24の上流側となる機械室18の側壁には側壁吸込み開口部29が形成され、圧縮機19の下流側となる機械室18の側壁には側壁吐出開口部30が形成されている。
【0032】
また機械室カバー22にはカバー吸込み開口部22aが形成されており、ガイド部27aの風上側縁端部よりも風上側にカバー吸込み開口部22aが形成されている。
【0033】
上記のように、ガイド部材27は機械室ファン26の気流がマイクロチャネルコンデンサ24を効率よく通過するようにガイド部27aが気流をガイドして導くものであり、ガイド部27aの上流側にある上流側端部は、マイクロチャネルコンデンサ24の外郭をX軸方向に覆って形成され、少なくともマイクロチャネルコンデンサ24の外郭の下流側端部24aにかかって配置していればよい。
【0034】
また、冷凍サイクルに接続された冷蔵室冷却器16または冷凍室冷却器20へ冷媒を流す流路を切替える三方弁25がマイクロチャネルコンデンサ24の上流側に設置されている。上流側に三方弁25を配置することで、冷媒の再加熱を抑制することができ、冷却効率を高めることができる。
【0035】
また、ガイド部27aを形成していない庫内側機械室壁面部28側は、略垂直に形成された庫内側機械室壁面部28がガイド部の機能となり、機械室カバー22と対向して、断面略L字状に形成されたガイド部27aの上端部が庫内側機械室壁面部28まで近接して延びて形成されることで、ガイド部27aと庫内側機械室壁面部28とで囲まれた内部領域にマイクロチャネルコンデンサ24を配置し、ガイド部27aと連続して接続された保持部27bで機械室ファン26の外周を保持しているので、機械室ファン26の運転で発生した気流は、ガイド部27aと庫内側機械室壁面部28とでガイドされてマイクロチャネルコンデンサ24に導くことができ、放熱能力の向上を図ることができる。
【0036】
また、庫内側機械室壁面部28とマイクロチャネルコンデンサ24との間に隙間を小さくするフォーム部材36を備えてもよい。
【0037】
上記のように、ガイド部27aは、機械室カバー22と対向位置にあるマイクロチャネルコンデンサ24の外郭のみを覆うように配置しているとしたが、庫内側機械室壁面部28と対向位置にあるマイクロチャネルコンデンサ24の外郭部もガイド部材27aで覆うようにしてもよい。
【0038】
これによってガイド部27aはマイクロチャネルコンデンサ24の外郭の底辺以外の3辺との間に空間部34を形成して覆っているので、庫内側機械室壁面部28側に寄せて設置するという配慮をすることなく設置することができ設計自由度を確保することができる。
【0039】
(動作)
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作と作用を説明する。
【0040】
機械室ファン26の運転により機械室カバー22に形成されたカバー吸込み開口部22aおよび側壁吸込み開口部29から吸い込まれた空気は、機械室ファン26のファンケーシングとマイクロチャネルコンデンサ24との間の空間をガイド部材27で覆ってカバーしているので、吸込み空気はすべてガイド部27aの内側にあるマイクロチャネルコンデンサ24側を通り、扁平管35に接触配置した放熱フィン33と熱交換する。
【0041】
熱交換した空気は、機械室ファン26の下流にある圧縮機19へ送風され、圧縮機19の冷却を行う。
【0042】
圧縮機19を冷却した空気は、側壁吐出開口部30や機械室カバーに備えた吐出開口部から機械室18の外側へ吐出される。
【0043】
またガイド部材27を形成することで、機械室ファン26の運転により発生する気流をマイクロチャネルコンデンサ24を通過するように導くことができるので、気流の風量を確保して、マイクロチャネルコンデンサ24の放熱フィン33を通過し放熱能力を向上することができる。
【0044】
またガイド部材27は、マイクロチャンネルコンデンサ24と密着しないように配置されているので、マイクロチャンネルコンデンサ24の外周部からの放熱を妨げることなく放熱能力を向上することができる。
【0045】
またガイド部27aは、マイクロチャネルコンデンサ24の外周縁部と対向する庫内側機械室壁面部28との間隙、およびマイクロチャネルコンデンサ24の外周縁部と対向する機械室カバー22との間隙で、少なくとも間隙の寸法が最も大きい部分に形成されていることで、機械室ファン26の運転により発生する気流をマイクロチャネルコンデンサ24へ効率的に導き、放熱フィン33を熱交換しない風量を減少させることができるので、放熱能力を向上することができる。
【0046】
また、ガイド部27aはマイクロチャネルコンデンサ24を覆ってガイドする部分と機械室ファン26を覆って保持固定する保持部27bとで形成されており、マイクロチャネルコンデンサ24を通過した風が機械室壁面方向へ流れることを抑制することで、気流の拡大による圧力損失を低減し、機械室の風量を増加させ放熱能力を向上させることができる。
【0047】
また空間部34の大きさは、隣り合う放熱フィン33の隙間寸法よりも大きく形成されている。また、図のように、機械室ファン26の投影面内に放熱フィン33が配置するようにマイクロチャネルコンデンサ24が配置しているので、ホコリが放熱フィン33に付着し、放熱フィン33が目詰まりになっても、気流は空間部34を通って、下流にある圧縮機19へ送風することができ、圧縮機19の冷却能力を維持することができる。
【0048】
また、ガイド部27aの上流側にある上流側端部は、マイクロチャネルコンデンサ24の外郭をX軸方向に覆って形成され、少なくともマイクロチャネルコンデンサ24の外郭の下流側端部24aにかかって配置することで、側壁吸込み開口部29やカバー吸込み開口部22aから取り込んだ空気をマイクロチャネルコンデンサ24に導いて放熱能力の向上を図ることができる。
【0049】
機械室18が冷蔵庫本体1の上部後方に配置する構成で説明したが、冷蔵庫本体1の下部後方に配置しても、上記と同様の構成にすることで放熱能力の向上を図るとともに、マイクロチャネルコンデンサ24の放熱フィン33にホコリが付着しても、圧縮機19の冷却能力を維持することができる。
□なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、コンデンサの放熱能力の向上を図る冷蔵庫に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 冷蔵庫本体
18 機械室
19 圧縮機
24 マイクロチャネルコンデンサ
26 機械室ファン
27 ガイド部材