(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158690
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ビタミンB2含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20231024BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20231024BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/60
A23L2/00 F
A23L2/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068610
(22)【出願日】2022-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】儘田 大
(72)【発明者】
【氏名】福士 万由
(72)【発明者】
【氏名】白水 健太
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC02
4B117LC03
4B117LC04
4B117LE05
4B117LE10
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK13
4B117LK16
4B117LL04
4B117LP14
4B117LP16
4B117LP18
(57)【要約】
【課題】
ビタミンB2類、マルトデキストリン、及びイソマルツロースを含有した飲料において、ビタミンB2の含量低下を抑制した飲料を提供することを目的とする。さらに、ビタミンB2類、マルトデキストリン、及びイソマルツロースを含有した飲料において、ビタミンB2類由来の不快臭を緩和した、飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】
a)リボフラビン換算で0.0011~0.01w/w%のビタミンB2類、及び、b)15w/w%以上のマルトデキストリン、及び、c)イソマルツロースを含有することを特徴とする飲料、さらに、d)0.00025~0.0025w/w%のビタミンB1類を含有することを特徴とする飲料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)リボフラビン換算で0.0011~0.01w/w%のビタミンB2、その誘導体、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンB2類、b)15w/w%以上のマルトデキストリン、及び、c)イソマルツロースを含有することを特徴とする飲料。
【請求項2】
c)イソマルツロースの濃度が0.1~10w/w%である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
a)ビタミンB2類がリボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、及びリボフラビンリン酸エステルナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
液状又はゲル状である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項5】
pHが2~7である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項6】
d)0.00025~0.0025w/w%のビタミンB1、その誘導体、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンB1類を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項7】
d)ビタミンB1類がチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン、ラウリル硫酸チアミン、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンB2類を含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
マルトデキストリンは一般的に、澱粉分解物の加水分解の程度を示すデキストロース当量(DE)が10~20の糖質であり、小腸での吸収が比較的速く、摂取後に速やかにエネルギー源となりうることが知られており、イソマルツロースは、別名パラチノース(登録商標)ともいい、グルコ-スがフルクト-スにα- 1,6グルコシル結合することによって構成された二糖であり、消化吸収が穏やかであることから、持続性のエネルギー源となりうることが知られている。
【0003】
また、ビタミンのうち、ビタミンB1およびその誘導体又はそれらの塩(以下、「ビタミンB1類」という)は、グルコース代謝と分岐アミノ酸代謝などに関与し、疲労回復などの様々な薬効が知られている水溶性ビタミンであり、ビタミンB2およびその誘導体又はそれらの塩(以下、「ビタミンB2類」という)は、TCA回路、電子伝達系、脂肪酸のβ酸化等のエネルギー代謝に関与し、エネルギー産生に関与する水溶性ビタミンである。
近年、運動時などのエネルギー補給を目的とした清涼飲料水(ゼリー飲料を含む)として、エネルギー源となる糖質であるマルトデキストリンやイソマルツロース、エネルギー産生に寄与するビタミンBを含む製品が流通・販売されている。
【0004】
今までにビタミンB2類、及び生薬由来成分、及びポリビニルピロリドンを配合する内服液剤のビタミンB2類の含量低下を、没食子酸プロピルを配合することにより、改善できる技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、ビタミンB2類とマルトデキストリンとイソマルツロースを含む飲料の開発を行う過程で、ビタミンB2類の安定性が課題となった。さらに、ビタミンB2類由来の不快臭の発生が問題となった。
【0007】
すなわち、本発明は、ビタミンB2類、マルトデキストリン、及びイソマルツロースを含有した飲料において、ビタミンB2類の含量低下を抑制した飲料を提供することを目的とする。さらに、ビタミンB2類、マルトデキストリン、及びイソマルツロース飲料において、ビタミンB2類由来の不快臭を緩和した、飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、意外なことにビタミンB2類、マルトデキストリン、及びイソマルツロースを含有した飲料において、ビタミンB2類とマルトデキストリンを特定の濃度以上配合すると、ビタミンB2類の含量低下を抑制した飲料を提供できることを見出し、本発明を完成した。
さらに、ビタミンB2類とマルトデキストリンを特定濃度以上含有し、かつイソマルツロースを含有する飲料に、ビタミンB1類を特定濃度配合すると、ビタミンB2類由来の不快臭を緩和した飲料を提供できることを見出し、本発明を完成した。
かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
(1)a)リボフラビン換算で0.0011~0.01w/w%のビタミンB2、その誘導体、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンB2類、及び、b)15w/w%以上のマルトデキストリン、及び、c)イソマルツロースを含有することを特徴とする飲料、
(2)c)イソマルツロースの濃度が0.1~10w/w%である、(1)に記載の飲料、
(3)a)ビタミンB2類がリボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、及びリボフラビンリン酸エステルナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である、(1)~(2)に記載の飲料、
(4)液状、又はゲル状である、(1)~(3)のいずれかに記載の飲料
(5)pHが2.0~5.0である(1)~(4)のいずれかに記載の飲料、
(6)d)0.00025~0.0025w/w%のビタミンB1、その誘導体、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種のビタミンB1類を含有することを特徴とする、(1)~(5)のいずれかに記載の飲料、
(7)d)ビタミンB1類がチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン、ラウリル硫酸チアミン、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である、(6)に記載の飲料、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ビタミンB2類、マルトデキストリン、及びイソマルツロースを含有した飲料において、ビタミンB2類の含量低下を抑制した飲料を提供することが可能となった。
さらに、ビタミンB2類由来の不快臭を緩和した飲料を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明におけるビタミンB2類とは、ビタミンB2若しくはその誘導体又はそれらの塩であり、食品、医薬部外品、医薬品などに通常使用されるものであれば、特に限定されない。本発明におけるビタミンB2類とは、例えば、リボフラビン、リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド及びそれらの塩などを挙げることができる。本発明におけるビタミンB2類は、公知の方法により製造できるものであり、市販品であるDSM(株)製のリボフラビンやリボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、岩城製薬(株)製のリボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム等を用いることができる。ビタミンB2類のうち、好ましいものとしては、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウムである。本発明におけるビタミンB2類の含有量は、飲料中にリボフラビンとして0.0011w/w%以上であり、好ましくは0.0011w/w%~0.01w/w%、より好ましくは0.0011w/w%~0.005w/w%である。
【0011】
本発明におけるマルトデキストリンとは、デキストロース当量(DE)が10~20程度であり、食品、医薬部外品、医薬品などに通常使用されるものであれば、特に限定されない。本発明におけるマルトデキストリンは、公知の方法により製造できるものであり、市販品である松谷化学工業(株)製のTK-16(DE16~19)やパインデックス#2(DE10~12)等を用いることができる。本発明におけるマルトデキストリンの含有量は、飲料中に15w/w%以上であり、好ましくは15w/w%~30w/w%で、より好ましくは15w/w%~25w/w%である。
【0012】
本発明におけるイソマルツロースとは、別名パラチノース(登録商標)ともいい、グルコ-スがフルクト-スにα- 1,6グルコシル結合することによって構成された二糖で、甘味料として用いられるものであれば、特に制限されない。本発明におけるイソマルツロースは、公知の方法により製造できるものであり、市販品である三井製糖(株)製の結晶パラチノースPST-Nや粉末パラチノースPST-NP等を用いることができる。本発明におけるイソマルツロースの含有量は、特に制限されるものではないが、本発明の効果の点から、飲料中に0.01w/w%以上配合するのが好ましく、好ましくは0.01w/w%~10w/w%で、より好ましくは0.5w/w%~10w/w%で、さらに好ましくは0.5w/w%~5w/w%ある。
【0013】
本発明におけるビタミンB1類とは、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれら塩であり、食品、医薬部外品、医薬品などに通常使用されるものであれば、特に限定されない。本発明におけるビタミンB1類とは、例えば、チアミン及びその塩、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン、ベンフォチアミン、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミン等のチアミン誘導体及びそれらの塩等が挙げられる。前記それらの塩としては硝酸塩、塩酸塩、ラウリル硫酸塩等が挙げられる。また、本発明におけるビタミンB1類は、公知の方法により製造できるものであり、市販品であるDSM(株)製のチアミン硝酸塩や、(株)タイショーテクノス製のラウリル硫酸チアミン、渡辺ケミカル(株)製のフルスルチアミン等を用いることをできる。ビタミンB1類のうち、好ましいものとしては、チアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン、ラウリル硫酸チアミンおよびそれらの塩であり、さらに好ましくは、チアミン、フルスルチアミン、ラウリル硫酸チアミンおよびそれらの塩である。本発明におけるビタミンB1類の含有量は、本発明の効果の点から飲料中に0.00025~0.0025w/w%が好ましく、より好ましくは0.00028w/w%~0.002w/w%である。
【0014】
本発明の飲料のpHは、常温で好ましくはpH2~7であり、風味及び微生物の繁殖を抑える観点から、さらに好ましくは、pH3~4である。上記のpHにするためのpH調整剤としては、食品、医薬部外品、医薬品などに通常使用されるpH調整剤を使用することができる。例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸等の有機酸及びそれらの塩、リン酸、塩酸等の無機酸およびそれらの塩、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。風味の観点から、好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、グルコン酸およびそれらの塩である。
【0015】
本発明の飲料には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分として、ビタミン(ビタミンB1類、ビタミンB2類を除く)、ミネラル、アミノ酸又はその塩、植物抽出物、乳酸菌、果汁等の成分を適宜に含有させることができる。さらに、本発明の飲料には、本発明の効果を損なわない範囲で、抗酸化剤、着色料、香料、矯味剤、界面活性剤、増粘剤、安定剤、保存料、甘味料、酸味料等の添加剤を適宜配合することもできる。
【0016】
本発明の飲料は、特に限定されるものではなく、例えば、液体飲料、ゼリー飲料、スムージー飲料、果汁や果肉を含む飲料やアイススラリーのような凍結飲料であっても良く、一般食品だけでなく、機能性表示食品や栄養機能食品、特定保健用食品もあり得る。また、液体飲料としては、健康飲料、清涼飲料、炭酸飲料、スポーツ・機能性飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、果実・野菜系飲料等があげられ、特に液体飲料、ゼリー飲料に有用である。また、そのまま飲用可能である点で、容器詰め飲料であることが好ましい。
【0017】
本発明の飲料を容器詰めとする場合、その容器は、特に限定されず、具体的には、ビン、缶、PETボトル、パウチ容器、紙パックなどが挙げられ、好ましくはビン、缶、PETボトル、パウチ容器である。容量についても特に限定されるものではないが、液体飲料の場合、具体的には、好ましくは30ml~500mlであり、より好ましくは50ml~300mlであり、さらに好ましくは100ml~200mlである。ゼリー飲料の場合、具体的には、10g~300gが好ましく、15g~200gがより好ましく、30g~200gがさらに好ましい。
【0018】
ゼリー飲料に配合する増粘剤またはゲル化剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、グルコマンナン、ペクチン、ゼラチン、メチルセルロース、アルギン酸又はその塩などが挙げられる。
【0019】
本発明の飲料は、常法により製造することができ、その方法は特に限定されるものではない。本発明の飲料を液体飲料とする場合、例えば、各成分をはかりとり、適量の精製水にて溶解、撹拌した後、必要に応じてpHを調整し、さらに精製水を加えて容量調整し、必要に応じてろ過処理や殺菌処理をし、容器に充填して、加熱殺菌をし、必要に応じて冷却する工程により製造することができる。好ましくは、原料の全部又は一部を90~130℃で1秒~5分間殺菌し、さらに10~40℃程度に冷却して製造するのがよい。殺菌には通常の殺菌機を用いればよく、例えば、プレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機、ジャケット付きタンク等を使用することができる。また、冷却には通常の冷却機を用いればよく、例えば、熱交換プレート、チューブラー式冷却機、ジャケット付きタンク等を使用することができる。
【0020】
また、本発明の飲料をゼリー飲料とする場合、例えば、各成分をはかりとり、適量の精製水に分散及び/又は溶解させた後、必要に応じて加熱、pHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過処理や加熱殺菌をし、容器に充填して、加熱殺菌をし、必要に応じて冷却する工程により製造することができる。
【実施例0021】
以下に、実施例等を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例では、マルトデキストリンは松谷化学工業(株)製のTK-16(DE18)、ビタミンB2類はDSM(株)製のリボフラビン、イソマルツロースは三井製糖(株)製の結晶パラチノースPST-N、ジェランガムはネイティブ型ジェランガムを用い、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物は食品添加物のものを用いた。
【0022】
<飲料の調製>
(比較例1)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液と、精製水にクエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物およびイソマルツロースを添加し、溶解させ、それぞれの濃度が1.0g/27g、0.5g/27g、5.0g/27gとなるようなクエン酸・イソマルツロース溶液を調製した。
次に、最終的な処方量になるようにリボフラビン溶液およびクエン酸・イソマルツロース溶液をはかりとり、マルトデキストリンを添加し、よく撹拌したのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液はスクリュー管(マルエム社製、No.6)に30mLずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、飲料(液体飲料)を調製した。
【0023】
(実施例1~3、比較例2、4、5)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液と、精製水にクエン酸一水和物およびクエン酸三ナトリウム二水和物、イソマルツロースを添加し、それぞれの濃度が1.0g/54g、0.5g/54g、5g/54gとなるようなクエン酸・イソマルツロース溶液を調製した。
次に、最終的な処方量になるようにリボフラビン溶液およびクエン酸・イソマルツロース溶液をはかりとり、必要に応じてマルトデキストリンを添加し、よく撹拌し、溶解させたのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液はスクリュー管(マルエム社製、No.6)に30mLずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、飲料(液体飲料)を調製した。
【0024】
(実施例4、5、比較例3)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液と、精製水にクエン酸一水和物およびクエン酸三ナトリウム二水和物を添加し、それぞれの濃度が1.0g/54g、0.5g/54gとなるようなクエン酸溶液を調製した。
次に、最終的な処方量になるようにリボフラビン溶液およびクエン酸溶液をはかりとり、マルトデキストリンを添加し、必要に応じてイソマルツロースを添加し、よく撹拌し、溶解させたのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液はスクリュー管(マルエム社製、No.6)に30mLずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、飲料(液体飲料)を調製した。
【0025】
(比較例4、5)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液と、精製水にクエン酸一水和物およびクエン酸三ナトリウム二水和物、イソマルツロースを添加し、溶解させ、それぞれの濃度が1.0g/27g、0.5g/27g、5.0g/27gとなるようなクエン酸・イソマルツロース溶液を調製した。
次に、最終的な処方量になるようにリボフラビン溶液およびクエン酸・パラチノース溶液をはかりとり、必要に応じてマルトデキストリンを添加し、よく撹拌し、溶解させたのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液はスクリュー管(マルエム社製、No.6)に30mLずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、飲料(液体飲料)を調製した。
【0026】
(実施例6、比較例6)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液と、精製水にクエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物およびイソマルツロースを添加し、溶解させ、それぞれの濃度が1.0g/27g、0.5g/27g、5.0g/27gとなるようなクエン酸・イソマルツロース溶液を調製した。
次に、0.36g/90gとなるように精製水にネイティブ型ジェランガムを添加し、分散させ、攪拌させながら100℃まで加熱をし、100℃で3分間、温度を維持し、ジェランガム溶液を調製した。調製したジェランガム溶液は、温度を70℃以上で維持したまま攪拌をさせておいた。
その後、最終的な処方量になるようにジェランガム溶液、リボフラビン溶液およびクエン酸・イソマルツロース溶液をはかりとり、必要に応じてマルトデキストリンを添加し、よく撹拌し、溶解させたのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液は透明なスタンディングパウチ(ヤマトマテリアル社製、Ibis 100-SP)に100gずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、その後水冷し、飲料(ゼリー飲料)を調製した。
【0027】
(実施例7~10、比較例7)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液と、精製水に100mg/100gとなるようにチアミン硝酸塩を溶解させたチアミン溶液と、精製水にクエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、イソマルツロースおよびマルトデキストリンを添加し、溶解させ、それぞれの濃度が1.0g/108g、0.5g/108g、5.0g/108g、28.0g/108gとなるようなクエン酸・イソマルツロース・マルトデキストリン溶液を調製した。
次に、最終的な処方量になるようにリボフラビン溶液、チアミン溶液、クエン酸・イソマルツロース・マルトデキストリン溶液をはかりとり、よく撹拌させたのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液はスクリュー管(マルエム社製、No.6)に30mLずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、飲料(液体飲料)を調製した。
【0028】
(実施例11、12)
まず、10mg/100gとなるようにリボフラビンを精製水(温水)に溶解させたリボフラビン溶液を調製した。
次に、ネイティブ型ジェランガムとイソマルツロースを粉体混合し、それぞれの濃度が約0.36g/90gおよび約5.0g/90gとなるように精製水に添加し、分散させ、攪拌させながら100℃まで加熱をし、100℃で3分間、温度を維持した。その後、温度を70℃以上で維持したまま、マルトデキストリン、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、リボフラビン溶液を添加し、それぞれの濃度が28.0g/162g、1.0g/162g、0.5g/162g、2.0mg/162gとなるような共通溶液を調製した。なお、調製した共通溶液は、温度を70℃以上で維持したまま攪拌をさせておいた。
その後、最終的な処方量になるように共通溶液をはかりとり、必要に応じてチアミン硝酸塩を添加し、よく撹拌し、溶解させたのちに全量調整し、サンプル溶液を調製した。調製したサンプル溶液は透明なスタンディングパウチ(ヤマトマテリアル社製、Ibis 100-SP)に100gずつ充填し、85℃で20分間の殺菌を行い、その後水冷し、飲料(ゼリー飲料)を調製した。
【0029】
<試験例1:リボフラビンの残存率の算出>
表1~4に示す実施例1~6及び比較例1~6の飲料に関して、5℃暗所保管した飲料中のリボフラビン量と、遮光した状態で、65℃の恒温槽にて5日間保管したのち室温に戻し、遮光を外して、光試験機にてCIE標準光源D65で3000Luxにて15分間の光照射を行った飲料中のリボフラビン量を、それぞれHPLC(液体クロマトグラフィー)法を用いてn=3で測定した。5℃暗所保管した飲料中のリボフラビン量の平均値に対し、遮光した状態で、65℃の恒温槽にて5日間保管したのち室温に戻し、遮光を外して、光試験機にてCIE標準光源D65で3000Luxにて15分間の光照射を行った飲料中のリボフラビン量の平均値を、リボフラビンの残存率(%)として算出した。実施例1~6及び比較例1~6の算出結果を表1~4に示す。
【0030】
【0031】
表1で示すように、実施例1と比較例1とはリボフラビンの濃度が異なるだけであるが、実施例1は比較例1と比較してリボフラビンの残存率は顕著に高かった。また、比較例2、3と実施例1から、マルトデキストリンとイソマルツロースの両方を配合した実施例1の方がリボフラビンの残存率は顕著に高かった。
【0032】
【0033】
表2で示すように、リボフラビンの残存率はマルトデキストリンの量に依存して高まることが分かった。比較例4から、マルトデキストリンが低濃度だとかえってリボフラビンの残存率は低くなることが分かった。実施例1~3に示すように、マルトデキストリンの濃度が15w/w%以上の場合、リボフラビンの残存率は高かった。
【0034】
【0035】
表3で示す通り、イソマルツロースの濃度に依存して、リボフラビンの残存率が高くなることが分かった。
【0036】
【0037】
表4で示す通り、剤形がゼリーにおいても、マルトデキストリンを配合しない比較例6と比べて、マルトデキストリンを配合した実施例6のほうが、リボフラビンの残存率は顕著に高かった。また、剤形は液体よりもゼリーのほうが、リボフラビンの残存率の低下は顕著に抑制できた。したがって、剤形によらず、リボフラビンの残存率の低下が抑制できると考えられた。
【0038】
<試験例2:不快臭の評価>
表5、6の実施例7~12、及び比較例7の飲料の、室温での不快臭を評価した。
遮光した状態で、40℃75%RHの恒湿恒温槽にて5日間保管したのち室温に戻し、遮光を外して、光試験機にてCIE標準光源D65で3000Luxにて24時間の光照射を行った飲料を、表7に示す評価基準で、試験者3名で絶対評価した。
なお、飲料はそれぞれの試験者ごとに別のものを使用し、飲料(液体飲料)に関しては、スクリュー管から直接においをかいで評価し、飲料(ゼリー飲料)に関しては、プロマックスカップ(旭化成パックス製、EI―90D)に約25g注いだ状態でにおいをかいで評価し、各試験者の評価点の平均値を算出した。評価結果を表5、6に示す。
【0039】
【0040】
表5の実施例7と実施例8~10で示す通り、チアミン硝酸塩を配合しない実施例7よりも、チアミン硝酸塩を配合した実施例8~10のほうが、評価点が低くなり、不快臭を顕著に緩和していた。しかしながら、実施例7と比較例7に示す通り、チアミン硝酸塩の配合量が多すぎると、チアミン硝酸塩配合していないときの評価点と変わらなかった。したがって、特定の濃度以下のチアミン硝酸塩を配合することで、不快臭を顕著に緩和できると考えられた。
【0041】
【0042】
表6で示す通り、剤形がゼリーにおいても、チアミン硝酸塩を配合しない実施例11よりも、チアミン硝酸塩を配合する実施例12のほうが、評価点が低く、不快臭を顕著に緩和していた。また、剤形は液体よりもゼリーのほうが、不快臭を緩和できた。 したがって、剤形によらず、特定の濃度以下のチアミン硝酸塩を配合することで、不快臭を緩和できると考えられた。
【0043】