(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158705
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】サスペンション要素部品評価装置
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20231024BHJP
G01M 17/10 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01M17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068640
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】306020818
【氏名又は名称】トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勇介
(72)【発明者】
【氏名】法輪 洋
(72)【発明者】
【氏名】横山 翔大
(72)【発明者】
【氏名】竹端 純一
(72)【発明者】
【氏名】田中 真司
(72)【発明者】
【氏名】毛木 飛鳥
(72)【発明者】
【氏名】森永 洋史
(72)【発明者】
【氏名】大神 憲一郎
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA11
2G024CA13
(57)【要約】
【課題】極微低速、微振動領域における高精度の動作をノイズ無く実現し、さらに、装置の剛性を高めて外力を加える種類の試験にも対応可能なサスペンション要素部品評価装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2本のシャフト部と、2本のシャフト部と平行に配置されリニアモータにより構成されるレール状昇降可動部と、2本のシャフト部及びレール状昇降可動部を備える装置本体部と、2本のシャフト部のそれぞれが挿通され、空気流入により摺動抵抗を低下させるエアベアリングを備えるブッシング部と、レール状昇降可動部と係合して摺動する可動子と、ブッシング部、可動子、及び被試験物を固定するステージ部を備える昇降部と、ブッシング部のエアベアリングへ空気を供給する空気供給部と、可動子の可動する方向と垂直となる向きの力を被検査物に加える外力付加部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本のシャフト部と、
前記2本のシャフト部と平行に配置されリニアモータにより構成されるレール状昇降可動部と、
前記2本のシャフト部及び前記レール状昇降可動部を備える装置本体部と、
前記2本のシャフト部のそれぞれが挿通され、空気流入により摺動抵抗を低下させるエアベアリングを備えるブッシング部と、
前記レール状昇降可動部と係合して摺動する可動子と、
前記ブッシング部、前記可動子、及び被試験物を固定するステージ部を備える昇降部と、
前記ブッシング部の前記エアベアリングへ空気を供給する空気供給部と、
前記可動子の可動する方向と垂直となる向きの力を前記被検査物に加える外力付加部と、を備える
ことを特徴とするサスペンション要素部品評価装置。
【請求項2】
前記昇降部に、前記2本のシャフト部のそれぞれを掴持するクランパ部が備えられる請求項1に記載のサスペンション要素部品評価装置。
【請求項3】
前記昇降部にリニアスケールが備えられる請求項1または2に記載のサスペンション要素部品評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサスペンション要素部品評価装置に関し、特にサスペンション要素部品に対して時間をかけて均等な押圧を繰り返しサスペンション要素部品の変形量を評価するための評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車体に装着されるサスペンション要素部品には、加わる負荷、荷重に基づいた正確な変化量の測定が、部品の精度において求められる。この場合、評価対象のサスペンション要素部品に対して荷重を加える機構として直動機構及び回転機構があり、ボールねじ、ボールベアリング、リニアガイド等の部品が使用される。これらに共通して使用される部品にあっては、回転球の動作に伴う転動の周期振動が振動ノイズとして加重センサに重畳されることがある。一般的な電動リニアサーボモータ(リニアアクチュエータ)の場合、回転から直動へ変換するためのボールねじの振動がノイズとなる。他に、油圧サーボモータの場合、油圧式静圧軸受での油圧脈動が、音、振動のノイズとして重畳する。
【0003】
加えて、電動リニアサーボモータでは軸受け、ボールねじ等の機械要素が応答性悪化の要因となっていた。油圧サーボモータでは作動油の弾性が応答性悪化の要因となっていた。従前の動作機構とその部品では、極微低速、微振動領域における高精度の動作が不可能であった。このため、負荷補償手段として空気圧駆動式のシリンダを使用する場合、負荷補償手段自体の機械特性、応答性が測定結果に影響を及ぼしかねない。
【0004】
また、従来の部品評価装置では、支持のための装置部材の剛性が不足しがちなため、軸受け等の装置の部位に破損が生じることから曲げ剛性の不足が指摘されている。これらの点を踏まえ、例えば、振動を発生させる駆動源と、駆動源により駆動される振動体と、振動体を摺動可能にガイドするガイド部とを備え、ガイド部に振動体の被ガイド部を空気圧で支持する空気軸受を設け、空気軸受に所定圧の圧縮空気を供給する空気供給手段を設けた振動発生機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存の部品評価装置の場合、依然として極微低速、微振動領域における高精度の動作への対応が不十分であった。また、装置の剛性不足のため、外力を加えた条件下の試験に不向きである。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みなされたものであり、極微低速、微振動領域における高精度の動作をノイズ無く実現し、さらに、装置の剛性を高めて外力を加える種類の試験にも対応可能なサスペンション要素部品評価装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、実施形態のサスペンション要素部品評価装置は、少なくとも2本のシャフト部と、2本のシャフト部と平行に配置されリニアモータにより構成されるレール状昇降可動部と、2本のシャフト部及びレール状昇降可動部を備える装置本体部と、2本のシャフト部のそれぞれが挿通され、空気流入により摺動抵抗を低下させるエアベアリングを備えるブッシング部と、レール状昇降可動部と係合して摺動する可動子と、ブッシング部、可動子、及び被試験物を固定するステージ部を備える昇降部と、ブッシング部のエアベアリングへ空気を供給する空気供給部と、可動子の可動する方向と垂直となる向きの力を被検査物に加える外力付加部を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、サスペンション要素部品評価装置の昇降部に、2本のシャフト部のそれぞれを掴持するクランパ部が備えられることとしてもよい。
【0010】
さらに、サスペンション要素部品評価装置の昇降部にリニアスケールが備えられることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のサスペンション要素部品評価装置によると、少なくとも2本のシャフト部と、2本のシャフト部と平行に配置されリニアモータにより構成されるレール状昇降可動部と、2本のシャフト部及びレール状昇降可動部を備える装置本体部と、2本のシャフト部のそれぞれが挿通され、空気流入により摺動抵抗を低下させるエアベアリングを備えるブッシング部と、レール状昇降可動部と係合して摺動する可動子と、ブッシング部、可動子、及び被試験物を固定するステージ部を備える昇降部と、ブッシング部のエアベアリングへ空気を供給する空気供給部と、可動子の可動する方向と垂直となる向きの力を被検査物に加える外力付加部を備えるため、極微低速、微振動領域における高精度の動作をノイズ無く実現し、さらに、装置の剛性を高めて外力を加える種類の試験にも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態のサスペンション要素部品評価装置の全体斜視図である。
【
図2】
図1のサスペンション要素部品評価装置の上方からの斜視図である。
【
図5】(A)従来の評価装置の昇降部の模式図、(B)実施形態の評価装置の昇降部の模式図である。
【
図6】(A)従来の評価装置の速度及び位置の波形例のグラフ、(B)実施形態の評価装置の速度及び位置の波形例のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態のサスペンション要素部品評価装置は、評価対象のサスペンション要素部品(被検査物)に荷重を加え、当該サスペンション要素部品に生じる弾性変形、塑性変形等を評価、計測する装置である。評価対象のサスペンション要素部品は評価装置の所定位置に装着された後、当該評価装置は、目測不可能な程度の速度の極微低速、微振動領域において可動し、評価対象のサスペンション要素部品に対して荷重が加えられる。このため、サスペンション要素部品評価装置では、計測時の装置の構成部材に生じるごく僅かな振動、歪み等のノイズに起因して計測精度が低下するおそれがある。そこで、実施形態のサスペンション要素部品評価装置では、構成部材に起因するノイズの影響を極力低減した機構が採用されている。以降、各図に基づいて実施形態のサスペンション要素部品評価装置を説明する。
【0014】
図1は実施形態のサスペンション要素部品評価装置1の全体を表す斜視図、
図2は上方からの斜視図である。サスペンション要素部品評価装置1は、装置本体部10と、装置本体部10に装着される昇降部20を備える。なお、圧縮空気を供給する空気供給部(図示省略)もサスペンション要素部品評価装置1に含められる。
図1中の破線の部材は外力付加部40である。外力付加部40にはサスペンション要素部品(被検査物)の掴持部41が備えられる。実施形態の外力付加部40はエアシリンダ(図示省略)により駆動される。なお、
図2、
図3では外力付加部40は省略される。
【0015】
昇降部20は矩形の板面部27により構成され、板面部27の正面部26にステージ部21が接続されている。ステージ部21に評価対象のサスペンション要素部品(図示省略)が固定される。昇降部20の構成については後出の
図4にて詳述する。図中の符号30は空気流入部であり、後出の
図4にて詳述する。
【0016】
装置本体部10は台部11に形成された直方体状の部材であり、本体正面部15側に少なくとも2本のシャフト部12,12が左右対称に備えられる。図示では、シャフト部は2本としている。装置の大きさ等によりシャフト部は4本に拡張するようにしても良い。2本のシャフト部12,12のそれぞれは、各シャフト部の上下に取り付けられた本体支持部16により本体正面部15側に固定される。そして、本体正面部15側にシャフト部12,12と平行にレール状昇降可動部13が備えられる。
【0017】
レール状昇降可動部13にはリニアモータが採用される。リニアモータの場合、磁石の反発力により可動できるため、油圧または空気圧等は介在されず、また、ボールねじ等の機械要素が含まれないため、極めて可動時の抵抗は小さい。
図2の斜視図から理解されるように、レール状昇降可動部13は、垂直方向に平行に並ぶ4本のレール部13a,13b,13c,13dを備える。後出の
図4の可動子23がレール部の間に挿入される。4本のレール部への可動子の挿入については、
図4にて説明する。
【0018】
図3の斜視図は、サスペンション要素部品評価装置1において昇降部20を撤去した状態であり、装置本体部10の本体正面部15側を向けた状態を表す。シャフト部12,12は昇降部20の接続、さらにはサスペンション要素部品の評価試験を考慮した強度が考慮された円柱状物である。図示のとおり、左右一対の2本のシャフト部12,12の各上下端は4個の本体支持部16により本体正面部15側に固定される。
【0019】
実施形態では、レール状昇降可動部13(リニアモータ)は、均等な荷重により昇降部20を上下昇降させる。この必要性から、2本のシャフト部12,12が平行に配置された幅方向におけるシャフト部12,12同士の中間位置に、レール上昇降可動部13の全てのレール部が備えられる。なお、評価対象となるスペンション要素部品自体の重量を考慮して、レール状昇降可動部は2機(2箇所)以上に増設されてもよい。
【0020】
図4の斜視図は、昇降部20の板面部27について背面部25側を表す。昇降部20の背面部25側には、2本のシャフト部12,12のそれぞれが挿通されるブッシング部22が備えられる。ブッシング部22は昇降部20をシャフト部12に摺動自在に保持する部材である。また、シャフト部12の掴持のためのクランパ部24が備えられる。クランパ部24は昇降部20をシャフト部12に係止する部材である。実施形態では、1本のシャフト部12に上下2個のブッシング部22,22が備えられる(左右で計4個)。そして、上下2個のブッシング部22,22の間に上下2個のクランパ部24,24が備えられる(左右で計4個)。
【0021】
ブッシング部22にはエアベアリングが採用される。エアベアリングの機構が採用されることにより、ブッシング部22への空気流入によりブッシング部22とシャフト部12との間の摺動抵抗は低下する。ブッシング部22への空気供給では、空気供給部(図示省略)により生成された圧縮空気が空気流入部30に送気され、同空気流入部30から個々のブッシング部22へ分岐されて供給される。エアベアリングの動作時(空気供給時)、ブッシング部22の内壁面からシャフト部12の表面は離間する状態が形成される。すなわち、シャフト部12の表面はブッシング部22の内壁面から噴出する空気により浮いて接点を持たない状態となる。よって、部材同士の接触のない極めて摩擦(摺動抵抗)の低い状態が生じる。
【0022】
同時に、図示の実施形態のように2本のシャフト部12,12のそれぞれは4個のブッシング部22により挿通されて保持されるため、昇降部20の板面部27の左右方向(シャフト部12との直交方向)の安定性が良好となる。
【0023】
ブッシング部22に隣接して設けられるクランパ部24は、シャフト部12に昇降部20を固定する部材であり、例えば、サスペンション要素部品評価装置1の可動停止時、または、スペンション要素部品の固定時等の昇降部20の動きを止める際に用いられる。クランパ部24は、電磁石によるソレノイド、またはエアクランパの機構が好ましく用いられる。実施形態では公知のエアクランパが採用される。
【0024】
空気供給部から空気流入部30へ流入した空気は、個々のクランパ部24へ分岐して供給される。サスペンション要素部品評価装置1の可動時には、クランパ部24のエアクランパに空気が流入して、シャフト部12を押圧しているピン(図示せず)がクランパ部24側へ後退しクランパ部24とシャフト部12との接触が解除される。結果、昇降部20は2本のシャフト部12,12に対して上下の昇降可能となる。なお、サスペンション要素部品評価装置1の停止時等では、クランパ部24のエアクランパへの空気流入は停止されてクランパ部24内のばね等の弾性力によりピンが前進してシャフト部12と接触して昇降部20の位置が固定される。
【0025】
実施形態の昇降部20では、左右に配置された4個のブッシング部22及び4個のクランパ部24の間に挟まれるように、レール状昇降可動部13(リニアモータ)と係合して摺動する可動子23が備えられる。可動子23は磁性を帯びた金属からなり、図示の実施形態では2本(2条)の可動子板部23a及び23bから構成される。可動子板部23aはレール状昇降可動部13のレール部13c,13dの間に挿入される。また、可動子板部23bはレール状昇降可動部13のレール部13a,13bの間に摺動自在に挿入される。むろん、可動子に含まれる可動子板部の数は実施形態の2本(2条)に限られず、3本以上の適宜とされる。可動子は、評価対象となるスペンション要素部品自体の重量が考慮されて設計される。
【0026】
レール状昇降可動部13のレール部13a,13b及びレール部13c,13d側の電磁石のより生じる磁界の移動に伴い、可動子23の可動子板部23a及び23bも移動する。そこで、レール状昇降可動部13の操作に追従して、可動子23を備えた昇降部20も昇降可能となる。
【0027】
実施形態の昇降部20では、背面部25側にリニアスケール28が装着される。リニアスケール28は主に本体支持部16と昇降部20との間の距離を計測する。リニアスケール28を通じて昇降部20の経時的な移動量が計測され、昇降部20の昇降移動の不具合等の有無が検出可能となる。
【0028】
図5は実施形態の昇降部20の改良点を示す模式図である。
図5(A)は従来の昇降部の例を示す。表示の昇降部20xには可動子23が備えられ、レール状昇降可動部13と係合している。この図示では、昇降部20xは、可動子23のみを介してレール状昇降可動部13と係合する。可動子23は摺動のためレール状昇降可動部13と僅かに間隙を有して係合する。そのため、昇降部20xではその上下の昇降動作の際、紙面の左右方向の曲げに脆弱である。特に、
図1に開示の外力付加部40が備えられる場合、可動子23の可動方向(図示紙面の上下方向)と垂直な方向(紙面の手前と奥の向き)に生じる力が、外力付加部40を通じて評価対象の被試験物であるサスペンション要素部品(図示省略)に加わる。そこで、可動子23がレール状昇降可動部13と接触して、摩擦を生じさせることになる。そうすると、たとえ、リニアモータ(コアレスリニアモータ)を使用して円滑な上下動の実現を図ろうとしても、不用意な摩擦の影響は回避しきれない。
【0029】
これに対し、
図5(B)は実施形態の昇降部20の例であり、可動子23とレール状昇降可動部13と係合していることに加え、レール状昇降可動部13の左右それぞれに2本のシャフト部12,12も備えられている。実施形態の昇降部20では、2本のシャフト部12,12はブッシング部22により支持される。そこで、実施形態の昇降部20は、
図5(A)の昇降部20xと異なり、仮に可動子23がレール状昇降可動部13を上下に昇降移動する際、可動子23の可動方向(図示紙面の上下方向)と垂直な方向(紙面の手前と奥の向き)に生じる力が、外力付加部40により評価対象の被試験物であるサスペンション要素部品(図示省略)に加わる外力が生じるとしても、2本のシャフト部12,12により、外力が可動子23に伝わりにくくなり、可動子23とレール状昇降可動部13との接触が回避されて摩擦は軽減可能となる。こうして、実施形態の昇降部20は左右方向の曲げに抵抗可能としている。さらに、ブッシング部22にエアベアリングが用いられているため、シャフト部12とブッシング部22との間の摺動抵抗は極力軽減される。
【0030】
実施形態の昇降部20は2本のシャフト部12,12を支持する構成である。可動子23がレール状昇降可動部13を上下に昇降移動する際に生じた外力により、可動子23がレール状昇降可動部13と接触して摩擦を生じさせるおそれは軽減される。また、ブッシング部22にエアベアリングが用いられるため、ブッシング部22自体が摩擦の原因とならないようにしている。従って、実施形態の昇降部20は、極めて摺動抵抗の少ない状態を維持して上下の昇降動作を実現することができる。
【0031】
図6のグラフは昇降部の動作により生じる速度波形及び位置波形の模式図である。図中、横軸は時間であり、速度波形の縦軸は速度であり、移動距離の縦軸は昇降部の最下からの位置である。なお、模式図であるため、縮尺は厳密ではない。
図6(A)は、例えば
図5(A)に示した昇降部20x、または既存のボールねじ等の機構を用いた装置の速度波形及び位置波形のグラフとなる。位置波形から見かけ上の位置の変化は比較的円滑に推移しており、特段問題ないように思われる。しかしながら、昇降動作時に生じる各所の摩擦の影響から速度波形に乱れが生じる。すなわち、本来均等な速度が所望されているにもかかわらず、昇降速度の乱れが回避できていなかった。
【0032】
続いて、
図6(B)は実施形態のサスペンション要素部品評価装置1における昇降部20の昇降状態の速度波形及び位置波形のグラフである。昇降動作の位置波形のグラフの動きと速度波形のグラフがほぼ連動した挙動となって現れている。また、機構、構成部品等の摩擦抵抗の影響が軽減されていることから、速度波形に乱れがなく円滑な動きが実現されている。
【0033】
一連の説明から理解されるように、実施形態のサスペンション要素部品評価装置にあっては、昇降動作の駆動系にリニアモータが使用されるため、機械要素による摩擦の影響が軽減される。また、昇降部を支持するシャフト部は2本一対で備えられるため、昇降部の動作時に左右方向から受ける外力、撓み変形の影響が軽減される。さらに、シャフト部に昇降部を保持させるブッシング部にエアベアリングが用いられることから、摺動抵抗の軽減が図られている。これらの構成が備えられるため、極微低速、微振動領域における高精度の昇降部の動作が円滑かつノイズ無く行われる。
【符号の説明】
【0034】
1 サスペンション要素部品評価装置
10 装置本体部
11 台部
12 シャフト部
13 レール状昇降可動部13
13a,13b,13c,13d レール部
15 本体正面部
16 本体支持部
20 昇降部
21 ステージ部
22 ブッシング部
23 可動子
23a,23b 可動子板部
24 クランパ部
25 背面部
26 正面部
27 板面部
28 リニアスケール
30 空気流入部
40 外力付加部
41 掴持部