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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158748
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/06 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
F16K15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068711
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝原 翔
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA02
3H058BB29
3H058CA04
3H058CC02
3H058CD04
(57)【要約】
【課題】構造が単純で耐久性が高く組立てを自動化しやすい逆止弁を提供する。
【解決手段】逆止弁1は、第1開口部12と軸受け部22が設けられた弁ケース2と、弁部31と軸部32を有する弁体3と、弁部31を第1開口部12を塞ぐ方向に付勢するスプリング4と、を有する。軸部32は、先端部側の円柱状部32aと、根元部側の多角柱状部32bと、を有する。軸受け部22は第1開口部12から遠い側に円柱状部32aに対して面接触して支持する円形孔部22aが設けられ、近い側に多角柱状部32bに対して面接触して支持する多角形孔部22bが設けられている。閉弁状態において円柱状部32aが円形孔部22aに摺動可能に嵌合し、開弁状態において弁軸CA方向の所定の範囲で多角柱状部32bが多角形孔部22bに摺動可能に嵌合するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁であって、
上流側の弁口と該弁口の対向する位置に軸受けが設けられた弁ケースと、弁部と軸部を有し傘状をした弁体と、前記軸部が前記軸受けに軸線方向に摺動可能に挿入された状態で前記弁口に対して前記弁部を塞ぐ方向に付勢するスプリングと、を有し、
前記軸部は先端側が円形断面の円柱状部とされ根元側が前記円柱状部の外径と同一又は該外径より大きい内接円を有する多角形断面の多角柱状部とされており、
前記軸受けは前記弁口から遠い側に前記円柱状部に対して面接触して支持する円形孔部が設けられ、前記弁口に近い側に前記多角柱状部に対して面接触して支持する多角形孔部が設けられており、
前記弁部が前記弁口を閉じた閉弁状態において前記円柱状部が前記円形孔部に嵌合し、前記弁部が前記弁口を開いた開弁状態における前記軸線方向の所定の範囲で前記多角柱状部が前記多角形孔部に嵌合するように構成されている逆止弁。
【請求項2】
請求項1において、
前記軸部の前記多角柱状部の断面は六角形以上の多角形である逆止弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記軸部の前記多角柱状部の前記円柱状部の側の端面コーナ部は面取りが施されている逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁に関する。詳しくは、水栓等の内部に配置されるリフト式の逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓等の内部における逆流の可能性のある個所には逆止弁が配設されている。かかる逆止弁において、弁口を下流側の弁室から閉塞する弁体と、弁体の弁軸を進退自在に支持する軸受けとを具備するものがある。このような逆止弁は、開弁時に水流によって弁体が弁軸を中心に回転し異音を発生するおそれがあるので回転を防止する機構が織り込まれることがある。特許文献1に開示された実施例1の逆止弁においては、弁体の弁軸が断面四角形の角軸とされ、これが嵌合する軸受けの軸受孔も同様に角軸が軸方向に摺動可能に面接触する断面四角形の角孔とされることで回転を阻止している。また、特許文献1に開示された実施例2の逆止弁においては、弁軸は円柱状で軸受は円筒状に形成されているが、軸受けの弁口と対向する端面には凹凸が円周方向に連続する被係合部が設けられ、弁体には、弁軸の基端部側の端面に被係合部にかみ合う係合部が形成された大径部が設けられている。開弁状態のとき、この係合部が被係合部にかみ合うことで弁体の回転が抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-49778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のうち、実施例1においては、逆止弁を組立てる際、軸受けに弁軸を挿し込むに当たって周方向の位置合わせが必要であるため組立ての自動化がやりにくいという問題があった。また、実施例2については、軸方向のストロークを一定以上に保って弁体の回転を阻止しようと思うと係合部と被係合部の形状が複雑となりかみ合い時に係合部及び/又は被係合部が損傷を受けやすいという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、構造が単純で耐久性が高く組立てを自動化しやすい逆止弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、逆止弁であって、上流側の弁口と該弁口の対向する位置に軸受けが設けられた弁ケースと、弁部と軸部を有し傘状をした弁体と、前記軸部が前記軸受けに軸線方向に摺動可能に挿入された状態で前記弁口に対して前記弁部を塞ぐ方向に付勢するスプリングと、を有し、前記軸部は先端側が円形断面の円柱状部とされ根元側が前記円柱状部の外径と同一又は該外径より大きい内接円を有する多角形断面の多角柱状部とされており、前記軸受けは前記弁口から遠い側に前記円柱状部に対して面接触して支持する円形孔部が設けられ、前記弁口に近い側に前記多角柱状部に対して面接触して支持する多角形孔部が設けられており、前記弁部が前記弁口を閉じた閉弁状態において前記円柱状部が前記円形孔部に嵌合し、前記弁部が前記弁口を開いた開弁状態における前記軸線方向の所定の範囲で前記多角柱状部が前記多角形孔部に嵌合するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、弁体の軸部と弁ケースの軸受けの断面を円形と多角形とに軸方向で変化させるという単純な構造で、組立ての自動化を容易にできるとともに、逆止弁が開弁状態にあるとき弁体が弁軸を中心に回転して異音を発生することを抑制できる。具体的には、弁ケースに対して弁体を組み付けるときは、軸受けの円形孔部に弁体の円柱状部を嵌合させればよいので周方向に位置合わせする必要がなく自動化がしやすい。また、弁体の軸部と弁ケースの軸受けの断面を円形と多角形とに軸方向で変化させるという構造なので、単純で弁体や弁ケースが損傷を受けにくい耐久性の高いものとすることができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記軸部の前記多角柱状部の断面は六角形以上の多角形であることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、弁体が軸方向に移動して開弁状態となり軸部の多角柱状部が軸受けの多角形孔部に嵌合する際、多角形孔部に対する多角柱状部の回転角度が小さくて済むので、嵌合がスムーズに行われる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記軸部の前記多角柱状部の前記円柱状部の側の端面コーナ部は面取りが施されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、弁体が軸方向に移動して開弁状態となり軸部の多角柱状部が軸受けの多角形孔部に嵌合するのがより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である逆止弁を上流方向から見た斜視図である。
図2】上記実施形態における逆止弁を下流方向から見た斜視図である。
図3図2におけるIII-III矢視線断面図である。閉弁状態を示す。
図4】上記実施形態における逆止弁の蓋部を説明する図である。六角形と六角形に内接する円の図は、蓋部の軸受け部を軸方向に見た図である。
図5】上記実施形態における逆止弁の弁体を説明する図である。六角形と六角形に内接する円の図は、弁体の軸部を軸方向に見た図である。
図6図3に対応する半開弁状態を示す断面図である。
図7図3に対応する全開弁状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る逆止弁1について、図1図7を用いて説明する。逆止弁1は、図示しない水栓の中の水路内に配設されて用いられるものである。各図において、開弁時に水の流れる方向を水流Fとして矢印で表す。
【0014】
図1図3に示すように、逆止弁1は、略円筒状の弁ケース2と、弁ケース2の中に配置された弁体3と、弁ケース2と弁体3との間に配置された圧縮コイルばねであるスプリング4と、を有する。
【0015】
図1図3に示すように、弁ケース2は樹脂製で、水流Fの上流側に配置される略円筒状の本体部10と、本体部10の下流側開口部11を塞ぐように取付けられる略円板状の蓋部20と、を有する。
【0016】
本体部10は、水流Fの上流側端部において弁軸CAの方向から見て弁軸CAを中心とする円形の第1開口部12と、第1開口部12より下流側において弁軸CAの方向から見て弁軸CAを中心とする円形で第1開口部12より小径の第2開口部13と、を有する。さらに、本体部10は、第2開口部13より下流側において弁軸CAの方向から見て弁軸CAを中心とする円形で第1開口部12より小径で第2開口部13より大径の第3開口部14と、を有する。第1開口部12と第2開口部13の間は、弁軸CAを中心軸として頂点を下流側とした円錐の側面の一部として形成されている。第2開口部13と第3開口部14の間は、弁軸CAを中心軸として頂点を上流側とした円錐の側面の一部として形成されており、この部分が弁オーリング当接面15である。第3開口部14から弁軸CAに対して垂直に径方向に延びる面が上弁室面16である。上弁室面16から本体部10の下流側の開口部である下流側開口部11までの円柱状の部分が弁室Rである。弁室Rの側面部17と上弁室面16の交わる部分が弁軸CAの方向から見て弁軸CAを中心とする円形の側面上端部18である。本体部10の外径面Sにおける上流側で、弁軸CAの方向における第1開口部12と第3開口部14の間の部分には、外オーリング5を配置する外オーリング溝19が形成されている。本体部10の側面部17における下流側開口部11の近傍には、径方向内側に向かって突出する係合凸部17aが周方向に延びて設けられている。ここで、第1開口部12が、特許請求の範囲の「弁口」に相当する。また、弁軸CAの方向が、特許請求の範囲の「軸線方向」に相当する。
【0017】
図2図4に示すように、蓋部20は、外径が本体部10の外径と同一で弁軸CAを中心軸とする円筒部分21と、弁軸CAを中心軸として円筒部分21の内部に配置された円筒状の軸受け部22が、径方向に延びて弁軸CAを中心に等角度間隔で配設された3つの連結部23で連結された構造をしている。円筒部分21の径方向の厚みは、本体部10の外径面Sと側面部17との間の厚みの2倍程度に設定されている。また、円筒部分21の弁軸CA方向の寸法は、本体部10の弁軸CA方向の寸法の1/7程度とされている。円筒部分21の上流側端面の径方向内側部分には、上流方向(本体部10の方向)に向かって延びる略円筒状の係合部24が形成されている。係合部24の径方向の厚みは、円筒部分21の径方向の厚みの1/2程度とされ、係合部24の弁軸CA方向の寸法は、円筒部分21の弁軸CA方向の寸法と同程度とされている。係合部24の外径は、本体部10の側面部17の内径よりわずかに小さく設定され、係合部24の外径面における円筒部分21の側には径方向内側に向かって凹む係合凹部24aが形成されている。係合凹部24aは、本体部10に対して蓋部20を取付けたとき、係合凸部17aが嵌合して離脱を防止する部分である。
【0018】
図2図4に示すように、軸受け部22は、弁軸CAを中心軸とする略円筒状している。軸受け部22の外径は、円筒部分21の外径の1/3程度とされ、軸受け部22の弁軸CA方向の寸法は、円筒部分21の弁軸CA方向の寸法の3倍程度とされている。軸受け部22の下流側端面は、円筒部分21の下流側端面と同一平面上に配置されている。軸受け部22の内径部分は、下流側の弁軸CA方向の寸法の1/3程度の部分(円筒部分21の弁軸CA方向の寸法に対応する部分)は断面が円形の円形孔部22aとして形成されている。円形孔部22aの内径は、円筒部分21の外径の1/5程度であって、後述する弁体3の軸部32の円柱状部32aの外径よりわずかに小さく設定されている。軸受け部22の内径部分における上流側の弁軸CA方向の寸法の2/3程度の部分は、断面が内接円を円形孔部22aの断面の円と同径とする六角形の多角形孔部22bとして形成されている。多角形孔部22bの円形孔部22aの側の端部は、六角形の各頂部がC面取りされた面取部22cを設けた孔形状に形成されている。3つの連結部23は、それぞれ径方向に延びる四角柱状をしており、軸受け部22の外径面と円筒部分21の内径面とを、弁軸CA方向から見てそれぞれ120度の角度間隔で連結している。詳しくは、連結部23を弁軸CAを中心とする径方向に対し垂直に切った断面で、長軸方向が弁軸CAの延びる方向に一致した矩形状をしている。そして、連結部23の下流側端部面は円筒部分21の下流側端面と同一平面上に配置され、連結部23の上流側端部面は円筒部分21の上流側端面と同一平面上に配置されている。各連結部23の間の弁軸CAに対し垂直に切った断面が扇状で弁軸CAの方向に延びる空隙25は水の流路として機能する部分である。ここで、軸受け部22が、特許請求の範囲の「軸受け」に相当する。
【0019】
図3及び図5に示すように、弁体3は樹脂製で、略傘状の形状をしており、傘部分に相当する弁部31と、柄部分に相当する軸部32と、を有する。弁部31は、弁軸CAを中心として径の大きい大径部31aと、大径部31aより水流Fの上流側に配置され径の小さい小径部31bと、を有する。大径部31aの外径は、弁ケース2の側面部17の内径より若干小さく、弁軸CA方向の厚みは弁ケース2の円筒部分21の弁軸CA方向の寸法と同程度に設定されている。大径部31aの下流側(小径部31bと反対の側)には、スプリング4を位置決めするための、弁軸CAを中心軸とする円筒状の凸部31dが配設されている。小径部31bの外径は、弁ケース2の第2開口部13の内径より若干小さく設定され、上流側端部のコーナ部が面取りされている。小径部31bの外径部における大径部31a側端部には、弁オーリング6を挿入配置する弁オーリング溝31cが形成されている。
【0020】
軸部32は、弁軸CAを中心軸とする柱状をしており、軸方向の寸法は、弁ケース2の本体部10における側面部17の軸方向寸法より若干短く設定されている。軸部32は、軸方向の先端側で軸方向寸法の1/2程度の部分が断面が円形の円柱状部32aで、軸方向の根元側で軸方向寸法の1/2程度の部分が断面が六角形の多角柱状部32bである。多角柱状部32bの円柱状部32a側端部の各頂点部は、面取りが施された面取部32cとされている。多角柱状部32bにおける断面の六角形の内接円は、円柱状部32aにおける断面の円形と同径に設定されている。円柱状部32aの多角柱状部32bと反対側の端部におけるコーナ部には面取りが施されている。
【0021】
図3に示すように、弁ケース2と、弁体3と、スプリング4と、は次のように組み付けられる。弁ケース2の本体部10を、第1開口部12を下側(上流側)にして配置した状態で、弁体3を弁部31の側から下流側開口部11の中に挿入して、弁オーリング6を弁オーリング当接面15に当接させて配置する。そして、弁体3の大径部31aの上面の凸部31dの内側にスプリング4を載置する。この状態で、弁体3の軸部32における円柱状部32aを軸受け部22の内径部分に通すように蓋部20を上方(下流側)から移動させ、本体部10の側面部17に軸受け部22の係合部24の外径面部を当接させ、係合凸部17aを係合凹部24aに係合させる。このとき、スプリング4は、弁体3の大径部31aと蓋部20の3つの連結部23との間で圧縮され弁体3を下方向(上流方向)に付勢する。このとき、弁体3の円柱状部32aの先端側部分は弁ケース2の軸受け部22の円形孔部22aに弁軸CA方向に摺動可能に嵌合し、弁体3の多角柱状部32bは軸受け部22の多角形孔部22bに嵌合していない状態にある。この状態が閉弁状態である。
【0022】
図3に示す閉弁状態から水流Fの方向に水を流すと、水圧で弁体3が水流Fの方向に押されスプリング4を圧縮変形させることにより、図6に示す半開弁状態となる。このとき、弁体3の弁オーリング6は、弁ケース2の弁オーリング当接面15から離隔し、第2開口部13と小径部31bの隙間から弁室Rに流入した水は、空隙25を通って逆止弁1の外部に流れる。また、弁体3の軸部32における多角柱状部32bの円柱状部32a側の一部は、軸受け部22の多角形孔部22bに弁軸CA方向に摺動可能に嵌合することにより弁軸CAを中心として弁ケース2に対して回転することが止められている。多角柱状部32bが多角形孔部22bに嵌合していく際、面取部32cが嵌合をスムーズに行うのに寄与する。
【0023】
図6に示す半開弁状態から水流Fの方向に流す水の量が増えると、水圧で弁体3が水流Fの方向に押されスプリング4を圧縮変形させながら移動して、大径部31aの上面が軸受け部22の下端面に当接することで移動が止められ、図7に示す全開弁状態となる。この全開弁状態においては、弁体3の軸部32における多角柱状部32bは、すべて軸受け部22の多角形孔部22bに弁軸CA方向に摺動可能に嵌合し、弁軸CAを中心として弁ケース2に対して回転することが止められている。この状態で、第2開口部13と小径部31bの隙間から弁室Rに流入した水は、空隙25を通って逆止弁1の外部に流れる。この状態から、何らかの理由により水流が止まると、スプリング4の働きにより弁体3は図3の閉弁状態になり、空隙25から弁室Rを通って第1開口部12から弁ケース2の外に流れる水流Fと逆方向の水の流れが止められる。
【0024】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。逆止弁1は、弁ケース2に対して弁体3を組み付けるとき、本体部10の下流側開口部11から弁体3を弁部31の側から挿入し、弁オーリング6を弁オーリング当接面15に当接させた状態で、弁体3の円柱状部32aを軸受け部22の内径部分に通すように蓋部20を上方から本体部10に取付ければよい。このとき、弁体3の円柱状部32aの先端側部分に対し、弁ケース2の軸受け部22の円形孔部22aは周方向に位置合わせする必要がないので、弁ケース2に対する弁体3の組み付けを自動化しやすい。また、弁体3の軸部32の外径部分の断面と、弁ケース2の軸受け部22の内径部分の断面と、を軸方向に円形と多角形とに変えるという構造なので、単純で損傷を受けにくく耐久性の高いものとすることができる。
【0025】
また、弁体3の軸部32の多角柱状部32bの外径部分の断面と、弁ケース2の軸受け部22の多角形孔部22bの内径部分の断面と、は六角形であるので、弁体3が弁軸CA方向に移動して開弁状態となり軸部32の多角柱状部32bが軸受け部22の多角形孔部22bに嵌合するのが容易になる。さらに、軸部32の多角柱状部32bの円柱状部32aの側の端面コーナ部には面取部32cが設けられているので、弁体3が弁軸CA方向に移動して開弁状態となり軸部32の多角柱状部32bが軸受け部22の多角形孔部22bに嵌合するのがより容易になる。
【0026】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0027】
1.上記実施形態においては、弁体3の軸部32の多角柱状部32bの外径部分の断面と、弁ケース2の軸受け部22の多角形孔部22bの内径部分の断面と、を六角形とした。しかし、これに限らず、三角形、四角形、五角形、七角形等の多角形とすることもできる。弁体3の回転防止と多角形孔部22bへの多角柱状部32bの嵌合のしやすさのバランスを考慮すると六角形~八角形が適当である。
【0028】
2.上記実施形態においては、スプリング4を圧縮コイルばねとして構成したが、これに限らず、板バネやトーションばねを採用することもできる。
【0029】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 逆止弁、2 弁ケース、3 弁体、4 スプリング、10 本体部、11 下流側開口部、12 第1開口部(弁口)、20 蓋部、21 円筒部分、22 軸受け部(軸受け)、22a 円形孔部、22b 多角形孔部、31 弁部、32 軸部、32a 円柱状部、32b 多角柱状部、32c 面取部、CA 弁軸、F 水流、R 弁室、S 外径面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7