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特開2023-158750炭素取引システム、炭素取引プログラム、及び炭素管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158750
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】炭素取引システム、炭素取引プログラム、及び炭素管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20231024BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068714
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】522158971
【氏名又は名称】工藤 武彦
(71)【出願人】
【識別番号】522158982
【氏名又は名称】笹尾 隆
(71)【出願人】
【識別番号】522158199
【氏名又は名称】鈴木 康明
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 武彦
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引における利便性を向上すること可能な炭素取引システムを提供する。
【解決手段】農地3に貯留されたバイオマス由来の炭素5の取引を管理する管理サーバー72と、炭素を取引するためのユーザー端末11、13と、を備え、管理サーバー72は、農地3に貯留された炭素5の貯留量を含む炭素貯留情報を炭素5の取引情報と関連付けて管理し、ユーザー端末11、13は、管理サーバー72から炭素貯留情報を取得して地図62上で炭素5を貯留している農地3を選択可能に表示し、地図62上で選択された農地3に貯留している炭素5の取引要求の入力を受け付け、入力された炭素5の取引要求の取引要求情報を炭素5の取引のために管理サーバー72に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引を管理する管理サーバーと、
前記炭素を取引するためのユーザー端末と、を備え、
前記管理サーバーは、
前記農地に貯留された前記炭素の貯留量を含む炭素貯留情報を前記炭素の取引情報と関連付けて管理し、
前記ユーザー端末は、
前記管理サーバーから前記炭素貯留情報及び前記取引情報を取得して地図上で前記炭素を貯留している前記農地を選択可能に表示し、
前記地図上で選択された前記農地に貯留している前記炭素の取引要求の入力を受け付け、
前記入力された前記炭素の取引要求の取引要求情報を前記炭素の取引のために前記管理サーバーに送信する、
炭素取引システム。
【請求項2】
請求項1の炭素取引システムであって、
前記ユーザー端末は、前記炭素貯留情報に基づき前記地図上で前記農地の土質情報を表示する、
炭素取引システム。
【請求項3】
請求項1の炭素取引システムであって、
前記炭素は、前記農地に散布されるバイオ炭であり、
前記炭素の貯留量は、前記バイオ炭の散布量である、
炭素取引システム。
【請求項4】
請求項3の炭素取引システムであって、
前記炭素貯留情報は、前記バイオ炭の生成から前記農地への散布までの記録を含む、
炭素取引システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項の炭素取引システムであって、
前記管理サーバーは、前記炭素貯留情報に対して発行された非代替トークンの取引情報を前記炭素の取引情報に含めて管理する、
炭素取引システム。
【請求項6】
請求項5の炭素取引システムであって、
前記管理サーバーは、前記非代替トークンに対して発行された複数の分割非代替トークン毎に取引を可能とする、
炭素取引システム。
【請求項7】
請求項6の炭素取引システムであって、
前記非代替トークンの取引情報をブロック化し、該ブロックを用いてブロックチェーンを形成するノードを備えた、
炭素取引システム。
【請求項8】
請求項4の炭素取引システムであって、
前記管理サーバーは、前記バイオ炭の生成から前記農地への散布までの作業に関与した障害者の作業時間を含む作業情報を前記作業時間の取引情報と関連付けて管理し、
前記ユーザー端末は、前記管理サーバーから前記作業情報及び前記取引情報を取得し、前記地図上で前記作業に関与した場所を選択可能に表示し、
前記地図上で選択された前記作業に関与した場所での前記作業時間の取引要求の入力を受け付け、
前記入力された前記作業時間の取引要求の取引要求情報を前記作業時間の取引のために前記管理サーバーに送信する、
炭素取引システム。
【請求項9】
請求項8の炭素取引システムであって、
前記管理サーバーは、前記作業情報に対して発行された非代替トークンの取引情報を前記作業時間の取引情報として管理する、
炭素取引システム。
【請求項10】
管理サーバーで管理する農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引を行うためのユーザー端末の炭素取引プログラムであって、
前記ユーザー端末のコンピューターに、
前記炭素の取引情報と関連付けて管理され前記農地に貯留された前記炭素の貯留量炭素貯留情報及び前記取引情報を前記管理サーバーから取得する貯留情報取得機能と、
前記取得した炭素貯留情報及び前記取引情報に基づいて地図上で前記炭素を貯留している前記農地を選択可能に表示する表示処理機能と、
前記地図上で選択された前記農地に貯留している前記炭素の取引要求情報の入力を受け付ける取引要求機能と、
前記入力された前記炭素の取引要求の取引要求情報を前記炭素の取引のために前記管理サーバーに送信する取引要求送信機能と、
を実現させる、
炭素取引プログラム。
【請求項11】
農地に貯留されたバイオマス由来の炭素のユーザー端末での取引を管理する管理サーバーの炭素管理プログラムであって、
前記管理サーバーのコンピューターに、
前記農地に貯留された前記炭素の貯留量を含む炭素貯留情報を前記炭素の取引情報と関連付けて管理する炭素管理機能を実現させ、
前記炭素管理機能は、前記ユーザー端末上で前記農地を地図上で選択可能に表示するために、前記ユーザー端末に前記炭素貯留情報及び前記取引情報を送信する、
炭素管理プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農地に貯留された炭素を取引するための炭素取引システム、炭素取引プログラム、及び炭素管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
農地においては、堆肥等のバイオマスを土壌に投入すると、その一部が微生物の作用により難分解性の炭素に変換されて、土壌中に貯留されることが知られている(農地炭素貯留)。バイオマス中の炭素は、全て大気中の二酸化炭素に由来するため、農地炭素貯留を進めることにより、大気中の二酸化炭素濃度を低減させることが可能となる。
【0003】
近年では、バイオマスからバイオ炭を生産し、これを農地へ施用することで、土質の改良を図ると同時に炭素を貯留することも行われている。このバイオ炭の農地施用による炭素の貯留量は、J-クレジット制度において、クレジットとして認証され、取引することでカーボンオフセットに利用することができる。
【0004】
しかし、J-クレジット制度のシステム下では、クレジットの取引が複雑で限られた期間にのみ可能であるため、ユーザーにとって利便性が低く、農地に貯留された炭素の自由な取引が阻害されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/climate/biochar/attach/pdf/top-2.pdf
【非特許文献2】https://japancredit.go.jp/market/sell/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引における利便性が低かった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引を管理する管理サーバーと、前記炭素を取引するためのユーザー端末と、を備えた炭素取引システムを提供する。前記管理サーバーは、前記農地に貯留された前記炭素の貯留量を含む炭素貯留情報を前記炭素の取引情報と関連付けて管理する。前記ユーザー端末は、前記管理サーバーから前記炭素貯留情報及び前記取引情報を取得して地図上で前記炭素を貯留している前記農地を選択可能に表示し、前記地図上で選択された前記農地に貯留している前記炭素の取引要求の入力を受け付け、前記入力された前記炭素の取引要求の取引要求情報を前記炭素の取引のために前記管理サーバーに送信する。
【0008】
本発明の第2の態様は、管理サーバーで管理する農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引を行うためのユーザー端末の炭素取引プログラムを提供する。炭素取引プログラムは、前記ユーザー端末のコンピューターに、前記炭素の取引情報と関連付けて管理され前記農地に貯留された前記炭素の貯留量を含む炭素貯留情報及び前記取引情報を前記管理サーバーから取得する貯留情報取得機能と、前記取得した炭素貯留情報及び前記取引情報に基づいて地図上で前記炭素を貯留している前記農地を選択可能に表示する表示処理機能と、前記地図上で選択された前記農地に貯留している前記炭素の取引要求情報の入力を受け付ける取引要求機能と、前記入力された前記炭素の取引要求の取引要求情報を前記炭素の取引のために前記管理サーバーに送信する取引要求送信機能と、を実現させる。
【0009】
本発明の第3の態様は、農地に貯留されたバイオマス由来の炭素のユーザー端末での取引を管理する管理サーバーの炭素管理プログラムを提供する。炭素管理プログラムは、前記管理サーバーのコンピューターに、前記農地に貯留された前記炭素の貯留量を含む炭素貯留情報を前記炭素の取引情報と関連付けて管理する炭素管理機能を実現させ、前記炭素管理機能は、前記ユーザー端末上で前記農地を地図上で選択可能に表示するために、前記ユーザー端末に前記炭素貯留情報及び前記取引情報を送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、農地に貯留された炭素の取引における利便性を向上することができ、自由な取引に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施例1に係る炭素取引システムの概略構成を示す全体図である。
図2図2は、図1の炭素取引システムの炭化拠点の拠点制御装置を示すブロック図である。
図3図3は、図1の炭素取引システムの炭素の貯留拠点のユーザー端末を示すブロック図である。
図4図4は、図3のユーザー端末上での地図の表示例である。
図5図5は、図1の炭素取引システムの炭素を取引するユーザー端末を示すブロック図である。
図6図6は、図1の炭素取引システムの管理サーバーを示すブロック図である。
図7図7は、実施例1に係る分割非代替トークンを示す概念図である。
図8図8は、実施例1の炭素取引システムによる炭情報管理を示すフローチャートである。
図9図9は、実施例1の炭素取引システムによる炭素貯留情報管理を示すフローチャートである。
図10図10は、実施例1の炭素取引システムによる炭素取引を示すフローチャートである。
図11図11は、実施例1のブロックチェーン作成を示すフローチャートである。
図12図12は、本発明の実施例2に係る炭素取引システムの管理サーバーを示すブロック図である。
図13図13は、本発明の実施例3に係る炭素取引システムの貯留拠点のユーザー端末を示すブロック図である。
図14図14は、本発明の実施例3に係る炭素取引システムの炭素を取引するユーザー端末を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
農地に貯留されたバイオマス由来の炭素の取引における利便性を向上するという目的を、ユーザー端末の地図上での農地の選択を通じて炭素の取引を可能とする炭素取引システムにより実現した。
【0013】
炭素取引システム1は、農地3に貯留されたバイオマス由来の炭素5の取引を管理する管理サーバー72と、炭素を取引するためのユーザー端末11、13と、を備えている。管理サーバー72は、農地3に貯留された炭素5の貯留量を含む炭素貯留情報を炭素5の取引情報と関連付けて管理する。ユーザー端末11、13は、管理サーバー72から炭素貯留情報及び取引情報を取得して、地図62上で炭素5を貯留している農地3を選択可能に表示し、地図62上で選択された農地3に貯留している炭素5の取引要求の入力を受け付け、入力された炭素5の取引要求の取引要求情報を炭素5の取引のために管理サーバー72に送信する。
【0014】
ユーザー端末11、13は、炭素貯留情報に基づき、地図62上で農地3の土質情報を表示してもよい。
【0015】
炭素5は、農地3に散布されるバイオ炭5aであり、炭素5の貯留量は、バイオ炭5aの散布量であってもよい。
【0016】
この場合において、管理サーバー72は、バイオ炭5aの生成から農地3への散布までの記録を管理するのが好ましい。
【0017】
管理サーバー72は、炭素貯留情報に対して発行された非代替トークンの取引情報を炭素5の取引情報に含めて管理してもよい。
【0018】
管理サーバー72は、分割非代替トークンに対して発行された複数の分割非代替トークン毎に取引を可能としてもよい。
【0019】
炭素取引システム1は、炭素5の取引情報をブロック化し、このブロックを用いてブロックチェーンを形成するノード74を備えてもよい。
【0020】
管理サーバー72は、バイオ炭5aの生成から農地3への散布までの作業に関与した障害者の作業時間を含む作業情報を作業時間の取引情報と関連付けて管理してもよい。この場合、ユーザー端末11、13は、管理サーバー72から作業情報及び取引情報を取得し、地図62上で作業に関与した場所を選択可能に表示し、地図62上で選択された作業に関与した場所での作業時間の取引要求の入力を受け付け、入力された作業時間の取引要求の取引要求情報を作業時間の取引のために管理サーバー72に送信する。
【0021】
この場合、管理サーバー72は、作業情報に対して発行された非代替トークンの取引情報を作業時間の取引情報に含めて管理してもよい。
【0022】
管理サーバー72で管理する農地3に貯留されたバイオマス由来の炭素5の取引を行うためのユーザー端末11、13の炭素取引プログラムは、ユーザー端末11、13のコンピューターに、貯留情報取得機能と、表示処理機能と、取引要求機能と、取引要求送信機能とを実現させる。
【0023】
貯留情報取得機能は、炭素5の取引情報と関連付けて管理され、農地3に貯留された炭素5の貯留量を含む炭素貯留情報及び取引情報を管理サーバー72から取得する。表示処理機能は、取得した炭素貯留情報に基づいて、地図62上で炭素5を貯留している農地3を選択可能に表示する。取引要求機能は、地図62上で選択された農地3に貯留している炭素5の取引要求の入力を受け付ける。取引要求送信機能は、入力された炭素5の取引要求の取引要求情報を炭素5の取引のために管理サーバー72に送信する。
【0024】
農地3に貯留されたバイオマス由来の炭素のユーザー端末11、13での取引を管理する管理サーバー72の炭素管理プログラムは、管理サーバー72のコンピューターに、炭素管理機能を実現させる。炭素管理機能は、農地3に貯留された炭素5の貯留量を含む炭素貯留情報を炭素5の取引情報と関連付けて管理する。炭素管理機能は、ユーザー端末11、13上で農地3を地図62上で選択可能に表示するために、ユーザー端末11、13に炭素貯留情報及び取引情報を送信する。
【実施例0025】
[炭素取引システム]
図1は、本発明の実施例1に係る炭素取引システムの概略構成を示す全体図である。
【0026】
炭素取引システム1は、農地3に貯留されたバイオマス由来の炭素5の取引を行わせるものであり、炭化拠点システム7と、管理システム9と、ユーザー端末11、13とで構成されている。
【0027】
本実施例において、農地3とは、農地法第2条に定める「農地」又は「採草放牧地」における鉱質の土壌をいう。農地3の一区画3a(図4参照)は、ユーザーが自己所有の農地3の範囲内で、任意に設定したものとする。なお、農地3の一区画3aは、さらに分割してそれぞれを農地3の一区画3aとし、或いは農地3の複数区画3aを結合して農地3の一区画3aとすることも可能である。
【0028】
取引の対象となる炭素5は、本実施例において農地3に散布又は施用されて貯留されたバイオ炭5aである。なお、バイオ炭5aは、バイオマスから生成された木竹由来の白炭、黒炭、竹炭、粉炭、オガ炭等であるが、家畜ふん尿由来、草本由来、もみ殻・稲わら由来、木の実由来、製紙汚泥・下水汚泥由来等の各種のバイオマスから生成することが可能である。また、炭素5は、バイオマス由来のものであればよく、バイオ炭5aの他、土壌に投入された堆肥等のバイオマスが変換されて炭素となったものも含む。
【0029】
本実施例のバイオ炭5aは、燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350度超の温度で焼成される。バイオ炭5aの原料は、国内産のものとする。また、バイオ炭5aの原料は、未利用の間伐材など他に利用用途がないものであり、塗料、接着剤等が含まれていないものとする。
【0030】
なお、バイオ炭5aは、農地炭素貯留用として要求される原料、製法によって生成されたものであればよい。また、バイオ炭5aは、農地3に貯留された状態で取引対象の炭素5となるが、農地3に貯留される前と変質等があるわけではない。これら農地3への貯留前後の状態を区別容易にするため、農地3に貯留される前の状態においてバイオ炭5aとし、農地3に貯留された後の状態において炭素5とする。
【0031】
炭素5の取引は、炭素取引システム1内で完結する場合の他、J-クレジット等の他システムとの連動によって行うことが可能である。他システムの連動の場合は、例えば、炭素取引システム1内での取引結果を、J-クレジットのシステムに送信して登録すればよい。本実施例では、炭素取引システム1内で完結する場合を例に説明する。
【0032】
[炭化拠点]
炭化拠点15には、炭化拠点システム7が構築されている。炭化拠点システム7は、炭化装置17と、拠点制御装置19とを備える。なお、炭化拠点15は、炭化装置17が設置されている拠点又は場所をいい、炭化プラント、ごみ処理プラント、農地等がある。本実施例において、炭化拠点15は、2つ図示しているが、3つ以上の多数であってもよい。また、図では、2つの炭化拠点15のうち、一方についてのみ詳細を示し、他方についての詳細を省略してある。
【0033】
炭化装置17は、投入されたバイオマス由来の原料からバイオ炭5aを焼成する装置である。炭化装置17には、周知のものを用いることが可能である。この炭化装置17は、ロードセル等の重量計21を備え、投入された原料や生成されたバイオ炭5aの重量を測定可能としている。
【0034】
本実施例の炭化装置17は、カメラ等の撮像装置23を備え、バイオ炭5aの原料の投入から生成までの画像や映像を撮像可能となっている。
【0035】
図2は、拠点制御装置19を示すブロック図である。
【0036】
拠点制御装置19は、炭化拠点15内の炭化装置17を制御、監視する、多機能携帯電話機、タブレット端末、パーソナルコンピューター、その他の情報処理装置である。この拠点制御装置19は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー25と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリーデバイス27、通信インターフェース29、及びユーザーインターフェース(以下、「UI」と称する。)31を備える。
【0037】
通信インターフェース29は、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、インターネット、電話回線網等のネットワーク33を介して他の情報処理装置やデバイスとの間で情報の送受信を可能とする通信デバイスをいう。
【0038】
UI31は、タッチパネル式のディスプレイ等の入出力装置やディスプレイ等の出力装置及びマウスパッドやキーボード等の入力装置で構成することができる。
【0039】
この拠点制御装置19は、炭化装置17に対してLANやBluetooth(登録商標)等の有線又は無線によって相互通信可能に接続されている。また、拠点制御装置19は、ネットワーク33を介して、管理サーバー72に相互通信可能に接続されている。
【0040】
かかる拠点制御装置19は、メモリーデバイス27内のプログラムをプロセッサー25で実行することにより、炭化制御監視部35と、炭情報送信部37とを備える。
【0041】
炭化制御監視部35は、炭化制御監視機能を実現し、炭化装置17を制御し、その稼働状況を監視する。これにより、拠点制御装置19は、炭化装置17に適切な炭化を行わせる。
【0042】
本実施例の炭化制御監視部35は、炭化装置17へのバイオマス由来の原料の投入量を取得し、重量変化によりバイオ炭5aの生成を制御、監視する。この炭化装置17の制御、監視により、生成されたバイオ炭5aの量(生成量)を取得する。
【0043】
なお、バイオ炭5aの原料の投入量及び生成量は、別途測定してもよい。この場合、焼成時間等によって単価を制御、監視すればよい。生成されたバイオ炭5aは、精煉度により基準を満たすか否かの検査を行うのが好ましい。精煉度は、図示しない木炭精煉計によりバイオ炭5aの表面の電気抵抗に基づいて行うことができる。
【0044】
炭情報送信部37は、炭情報送信機能を実現し、炭化制御監視部35で取得した原料の投入量及びバイオ炭5aの生成量の炭情報を拠点識別情報と共に管理サーバー72に送信する。
【0045】
炭情報は、バイオ炭5aの生成量だけでなく原料の投入量も含むことで、バイオ炭5aの原料と生成とを関連付けることができる。拠点識別情報は、炭素取引システム1の運営者等より事前に割り当てられたID等であり、拠点制御装置19に設定しておけばよい。
【0046】
本実施例の炭情報には、さらに撮像装置23で取得したバイオ炭5aの原料の投入から生成までを撮像した炭化画像情報が含まれる。これにより、バイオ炭5aの原料と生成とをより確実に関連付けることができる。
【0047】
なお、炭化画像情報に代えて、日本バイオ炭普及会等の認証機関による証明書の画像等の証明書情報を管理サーバー72に送信してもよい。また、炭化画像情報や証明書情報は、省略も可能である。
【0048】
炭情報の送信タイミングは、例えば、所定サイクル(1又は複数サイクル)、所定時間(1又は数時間)、所定日数(1又は数日等)の所定期間が経過したときとすることができる。1サイクルは、1又は所定回の炭化等である。なお、1回の炭化は、所定量の原料を炭化すること、或いは所定量のバイオ炭5aが生成されること等である。
【0049】
[貯留ユーザー端末]
貯留拠点39には、ユーザー端末11が備えられている。この貯留拠点39のユーザー端末11は、以下、「貯留ユーザー端末11」と称するが、識別する必要がない場合は単にユーザーと称する。なお、貯留ユーザー端末11は、同一ユーザーが所有する複数の農地3の複数の貯留拠点39に対し、一つ又は貯留拠点39の総数よりも少ない数としてもよい。この場合、複数の貯留拠点39の全部又は一部において、貯留ユーザー端末11を共用すればよい。
【0050】
貯留拠点39は、炭素5を貯留している農地3を含む拠点又は場所をいう。本実施例において、貯留拠点39は、2つ図示しているが、通常3つ以上の多数が備えられる。この貯留拠点39は、カメラ等の撮像装置41を備え、バイオ炭5aの散布状況を撮像可能となっている。なお、図1において、2つの貯留拠点39の内、一方のみ詳細を示す。
【0051】
図3は、貯留ユーザー端末11を示すブロック図である。
【0052】
本実施例の貯留ユーザー端末11は、多機能携帯電話機、タブレット端末、パーソナルコンピューター、その他の情報処理装置であり、拠点制御装置19と同様、プロセッサー43、メモリーデバイス45、通信インターフェース47、及びUI49を備え、ネットワーク33を介して、管理サーバー72に相互通信可能に接続されている。また、ユーザー端末11は、無線等により撮像装置41に相互通信可能に接続されている。
【0053】
この貯留ユーザー端末11は、メモリーデバイス45内のプログラムをプロセッサー43で実行することにより、貯留情報送信部51、地図情報取得部53、貯留情報取得部55、炭情報取得部56、表示処理部57、取引入力部59、及び取引要求送信部61の機能部を備える。
【0054】
なお、これら機能部の一部又は全部は、異なるプロセッサーや情報処理装置によって機能させることも可能である。地図情報取得部53と、貯留情報取得部55、表示処理部57、取引入力部59、及び取引要求送信部61は、後述する炭素5を取引によって取得可能とするユーザー端末13(以下、「取引ユーザー端末13」と称する。)と共通する機能部である。
【0055】
貯留情報送信部51は、貯留情報登録機能を実現し、農地3の炭素5の貯留量を管理サーバー72に送信して取引対象として登録する。本実施例の貯留情報送信部51は、炭素5の貯留量を農地3の位置情報と共に炭素貯留情報として管理サーバー72に送信する。なお、位置情報に代えて農地識別情報であってもよい。
【0056】
農地識別情報は、各農地3を識別するID等である。農地識別情報は、炭素5を貯留するための農地3として管理サーバー72上に事前に登録された際に付与される。なお、事前に登録する農地3の情報(農地情報)としては、農地3の所有者(ユーザー識別情報、氏名、住所等)、位置、大きさ、範囲等である。この農地情報は、農地識別情報と関連付けて管理サーバー72に登録される。
【0057】
炭素5の貯留量としては、バイオ炭5aを農地3に散布する際の散布量を図示しない重量計や農機から取得すればよい。土壌に投入されたバイオマスが変換した炭素5の場合は、バイオマスの投入量から炭素5の貯留量を算出すればよい。この算出は、国内の農地土壌調査のデータ等に基づいて行うことが可能である。
【0058】
位置情報は、炭素5を貯留した農地3の座標又は住所であり、炭素5の貯留を行ったユーザーが貯留ユーザー端末11上で入力し、或いはGPS(Global Positioning System)を利用して取得される。以下において、炭素5の貯留を行ったユーザーを識別するために貯留ユーザーと称する。
【0059】
本実施例の炭素貯留情報には、炭素5の貯留量及び位置情報に加え、貯留日も含まれる。
【0060】
貯留ユーザー端末11上で位置情報を入力する場合は、後述する表示処理部57によりUI49に選択可能に表示された地図62上で農地3を選択することで位置情報を入力し、又は位置情報としての農地3の住所を入力すればよい。GPSを利用する場合は、LANやBluetooth(登録商標)等の通信により貯留ユーザー端末11と図示しない農機や重量計を接続し、農機や重量計から炭素5の散布量を受信したときのGPSの位置情報を農地3の位置情報とすればよい。
【0061】
本実施例の炭素貯留情報には、農地3の水素イオン濃度指数(以下、「PH」と称する。)、保水性、透水性等のバイオ炭5aの散布量によって変動する土質情報が含まれる。ただし、土質情報は、炭素貯留情報に含めずに適宜炭素貯留情報から算出するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施例の貯留情報送信部51は、バイオ炭5aの散布状況を示す画像や映像の散布画像情報を炭素貯留情報に含めて管理サーバー72に送信する。バイオ炭5aの散布画像情報は、撮像装置41から通信等により取得する。散布画像情報の取得タイミングは任意である。
【0063】
地図情報取得部53は、地図情報取得機能を実現し、農地3が登録されている地図情報を取得する。地図情報の取得は、地図情報取得部53がリクエストを管理サーバー72に送信し、これに応じて管理サーバー72から送信された地図情報を受信することで行うことが可能である。リクエストは、プログラムの起動時や地図62の表示範囲の変更の度等の適宜のタイミングで行うことが可能である。なお、地図情報は、貯留ユーザー端末11のメモリーデバイス45内に保持していてもよい。
【0064】
貯留情報取得部55は、貯留情報取得機能を実現し、炭素5の取引情報と関連付けて管理され、農地3に貯留された炭素5の貯留量を含む炭素貯留情報を管理サーバー72から取得する。
【0065】
炭素貯留情報の取得は、地図情報と同様にリクエストを管理サーバー72に送信し、これに応じて管理サーバー72から送信された炭素貯留情報を受信することで行うことが可能である。本実施例の貯留情報取得部55は、炭素貯留情報と共に炭素5の取引情報として後述するNFTの取引情報も取得する。ただし、NFTの取引情報の取得は省略することも可能である。リクエストは、地図情報取得部53のリクエストと共用し、又は貯留情報取得部55が独自に行ってもよい。
【0066】
炭情報取得部56は、炭化情報取得機能を実現し、バイオ炭5aの炭化情報を管理サーバー72から取得する。炭情報の取得は、地図情報と同様にリクエストを管理サーバー72に送信し、これに応じて管理サーバー72から送信された炭情報を取引情報と共に受信することで行うことが可能である。リクエストは、地図情報取得部53や貯留情報取得部55のリクエストと共用し、又は炭情報取得部56が独自に行ってもよい。
【0067】
表示処理部57は、表示処理機能を実現し、取得した地図情報及び炭素貯留情報並びに炭素5の取引情報に基づいて、地図62上で炭素5を貯留している農地3を選択可能に表示する。
【0068】
図62の表示は、貯留ユーザー端末11のUI49上で行われる。表示された地図62は、拡大縮小が可能であり、地図62の拡大縮小は、例えばユーザーの指によるピンチやマウス等の入力デバイスの操作によって行えばよい。農地3の選択は、ユーザーのタップやマウスによるクリック等で行えばよい。
【0069】
図4は、地図62の表示の一例を示す。なお、図4では、沖縄県の地図を例示している。また、図4では、吹き出しにより拡大した状態を概念的に示す。この拡大状態は、農地3を選択することで地図62に代えて或いは地図62と共に表示される。
【0070】
この拡大状態において、図4では、農地3をさらに複数の区分3aに分割した状態で選択可能となっている。区分3aの分割は、後述するNFTに対して発行された分割NFTに対応する。従って、分割NFTの発行に応じて農地3の区分3aの分割を行えばよい。農地3の区画3aは、所有者毎に模様による識別表示されている。
【0071】
また、本実施例では、炭素5を貯留していない農地3も、炭素5の貯留量を登録するために地図62上で選択可能とする。この場合、色分け等によって貯留の有無を表示するのが好ましい。
【0072】
表示処理部57は、農地3に対する炭素5の貯留量を表示する。炭素5の貯留量の表示は、地図62上の農地3に重ねて行い、或いは農地3の選択に応じたポップアップ表示等により行う。貯留量と共に取引可能量も表示してもよい。このとき、区分3a当たりの単位貯留量等を併せて表示するのが好ましい。
【0073】
この炭素5の貯留量の表示は、農地3に貯留されている炭素5を取引によって取得しようとするとき(貯留ユーザーが他人の炭素5を取得するとき)のみならず、貯留ユーザーが自己の農地3の炭素5の貯留量を確認するときにも有用である。
【0074】
すなわち、貯留ユーザーは、自己の農地3に対する炭素5の貯留量を、地図62上で容易に確認し管理することが可能となる。また、本実施例では、炭素貯留情報に基づいて表示処理部57が農地3のPH、保水性、透水性等の土質情報も地図62上に表示する。従って、貯留ユーザーは、農地3の炭素5の貯留に基づく土質管理をも地図62上で容易に行うことが可能となる。
【0075】
なお、土質情報の表示は、炭素5の貯留量と同様、地図62上での色分けや数値を農地3に重ねて行い、或いは農地3の選択に応じてポップアップ表示等によって行えばよい。
【0076】
さらに、本実施例では、NFTの取引情報に基づいて、農地3上で炭素5の貯留量の内、自己所有分を他者所有分に対して識別表示する。他者所有分相互間においても、識別表示する。識別表示は、例えば、模様や色分けによって行えばよい。
【0077】
また、本実施例では、炭情報に基づいて地図62上に炭化拠点15が選択可能に表示される。炭化拠点15に対しては、炭素3と同様にバイオ炭5aの生成量を重ねて或いはポップアップ等により表示する。
【0078】
炭化拠点15の選択可能な表示は、農地3の選択可能な表示と併せて或いは切替えて別々に行うことが可能である。
【0079】
取引入力部59は、取引要求機能を実現し、地図62上で選択された農地3に貯留している炭素5の取引要求の入力を受け付ける。取引要求の入力は、炭素5の取引量、ユーザー識別情報、決済方法等の入力であり、UI49上でプルダウン式やテキスト入力によって行わせればよい。
【0080】
取引要求送信部61は、取引要求送信機能を実現し、入力された炭素5の取引要求の取引要求情報及び農地3の選択に基づく位置情報又は農地識別情報、又はバイオ炭5aの取引要求情報及び炭化拠点15の選択に基づく拠点識別情報をユーザーの識別情報と共に管理サーバー72に送信する。これら情報の送信は、例えばUI49上での送信ボタンの選択等に応じて行えばよい。
【0081】
[取引ユーザー端末]
図5は、取引ユーザー端末13を示すブロック図である。
【0082】
取引ユーザー端末13は、農地3に貯留された炭素5の取引を望むユーザー毎に備えられている。なお、図において、取引ユーザー端末13は、理解容易のために、1つのみ示しているが、通常2つ以上の多数が備えられる。以下において、炭素5の取引を望むユーザーを識別するために取引ユーザーと称するが、識別する必要がない場合は単にユーザーと称する。
【0083】
本実施例の取引ユーザー端末13は、貯留ユーザー端末11と同様に情報処理装置であり、プロセッサー65と、メモリーデバイス67、通信インターフェース69、及びUI71を備え、ネットワーク33を介して、管理サーバー72に相互通信可能に接続されている。
【0084】
この取引ユーザー端末13は、メモリーデバイス67内のプログラムをプロセッサー65で実行することにより、貯留ユーザー端末11と同一の地図情報取得部53、貯留情報取得部55、炭情報取得部56、表示処理部57、取引入力部59、及び取引要求送信部61を備える。このため、地図情報取得部53、貯留情報取得部55、炭情報取得部56、表示処理部57、取引入力部59、及び取引要求送信部61については、貯留ユーザー端末11の説明を引用し、貯留ユーザー端末11及び貯留ユーザーを、それぞれ取引ユーザー端末13及び取引ユーザーと読み替えて重複した説明を省略する。
【0085】
[管理システム]
管理システム9は、図1のように、管理サーバー72と、複数のノード74とをP2Pによる管理ネットワークで接続されて構成されている。なお、ノード74は、理解容易のために2つのみ示しているが、数に制限はない。
【0086】
図6は、管理システム9の管理サーバー72を示すブロック図である。
【0087】
管理サーバー72は、情報処理装置であり、農地3に貯留される前のバイオ炭5aの取引と農地3に貯留された後の炭素5の取引を管理する。ただし、バイオ炭5aの取引は、管理サーバー72以外のサーバーやシステムによって行うことも可能である。
【0088】
管理サーバー72は、拠点制御装置19と同様、プロセッサー73、メモリーデバイス75、及び通信インターフェース77を備え、メモリーデバイス75内のプログラムをプロセッサー73で実行することで、管理機能部78と、ノード機能部79とを備える。
【0089】
なお、管理機能部78及びノード機能部79は、それぞれ別々の情報処理装置であるサーバー、ノード、或いは同一装置内の別々のプロセッサーによって構成することも可能である。
【0090】
管理機能部78は、管理機能を実現し、バイオ炭5a、炭素5、及びトークンの管理を行う。この管理機能部78は、炭管理部80、炭素管理部81、トークン発行部82を機能部として備える。管理機能部78の各機能部は、専用のプロセッサー等によって構成してもよい。
【0091】
炭管理部80は、炭管理機能を実現し、炭情報をバイオ炭5aの取引情報に応じて管理する。具体的には、炭化拠点15から炭情報を取得すると、炭管理部80が、炭情報と共に取得される拠点識別情報と関連付けて炭情報をメモリーデバイス75内の管理機能部78用の記憶領域75a(管理機能記憶領域75a)に記憶すると共にノード機能部79に渡す。
【0092】
バイオ炭5aの取引要求情報を取得した場合、炭管理部80は、取引要求情報と共に取得される拠点識別情報に基づき管理機能記憶領域75aの関連する炭情報のバイオ炭5aの生成量から取引要求情報の取引量を減じ、且つ減じたバイオ炭5aの取引量を取引要求情報のユーザー識別情報に応じた貯留ユーザーに追加する。これら情報を、炭情報と共に貯留ユーザーのユーザー識別情報に関連付けてバイオ炭5aの取引情報として管理機能記憶領域75aに記憶する。併せて、炭管理部80は、これら情報をバイオ炭5aの取引情報としてノード機能部79に渡す。従って、炭素管理部81は、炭情報を取引情報に関連付けて管理する。
【0093】
なお、バイオ炭5aに対する決済は、周知手法で取引要求情報に基づいて適宜行われ、この決済に関する情報も取引情報に含まれる。決済は、別の決済システムや管理サーバー72で行うことが可能である。決済の詳細については、説明を省略する。
【0094】
炭素管理部81は、炭素管理機能を実現し、炭素管理部81は、ユーザー端末11、13上で農地3を地図62上で選択可能に表示するために、ユーザー端末11、13に炭素貯留情報及び取引情報を送信する。また、炭素管理部81は、炭素貯留情報を炭素5の取引情報に関連付けて管理する。
【0095】
炭素貯留情報を取得した場合、炭素管理部81は、炭素貯留情報をその位置情報から特定される農地3の農地識別情報を介してユーザー識別情報に関連付けてメモリーデバイス75内の管理機能記憶領域75aに記憶すると共にノード機能部79に渡す。
【0096】
また、炭素管理部81は、トークン発行部82に炭素貯留情報を渡し、これに応じてトークン発行部82から受領したトークンを炭素貯留情報の位置情報から特定される農地3の農地識別情報に関連付けて管理機能記憶領域75aに記憶し、且つノード機能部79に渡す。トークンは、非代替性トークン(以下、「NFT」と称する。)であり、貯留量に応じた財産的価値を付与するものである。
【0097】
NFTは、所定の貯留量毎に発行することで、価値を均等化して取引を行い易くすることができる。本実施例では、農地3に対して発行した1つのNFTに対して所定の貯留量毎に更に発行された複数の分割非代替トークン(以下、「分割NFT」と称する。)毎に取引を可能とする。この場合、分割NFTの元となるNFTの取引はできなくなる。
【0098】
図7に分割NFTを概念的に示す。図7では、格子状の一マスが一つの分割NFTである。なお、分割NFTの発行に代えて、貯留量を所定の貯留量で除した数だけ農地3にNFTを発行することも可能である。
【0099】
炭素5の取引要求情報を取得した場合は、取引要求情報と共に取得した位置情報に対応する農地3の農地識別情報に関連付けられているNFTを炭素5の取引量に応じて現所有者の所持量から減じ、且つ減じた数のNFTを取引要求情報に含まれるユーザー識別情報に応じた取引ユーザーに移転する。このとき、農地識別情報及び貯留ユーザーのユーザー識別情報に関連付けられている炭素貯留情報と炭情報及びその取引情報とを取引ユーザーに関連付ける。
【0100】
この炭素貯留情報に関連するNFTの取引情報と炭情報及びこの炭情報の取引情報とを、炭素管理部81が炭素5の取引情報として管理機能記憶領域75aに記憶すると共にノード機能部79に渡す。これにより、炭素管理部81は、炭素貯留情報を取引情報に関連付けて管理する。
【0101】
なお、炭素5に対する決済は、バイオ炭5aと同様に取引要求情報に基づいて適宜行われ、この決済に関する情報も取引情報に含まれる。ユーザー端末11、13で入力される取引要求情報は、炭素5の取引量に代えてNFTの取引量としてもよい。ただし、炭素5の取引量とNFTの取引量は、一方を取引要求情報として入力する際に他方を併せて表示するのが好ましい。
【0102】
また、NFTによる炭素5の取引に代えて、炭素5の貯留量を直接取引することも可能である。ただし、農地3の炭素5の実際の貯留量は、取引によって変動しないため、炭素5の貯留量に対しNFTにより価値を付与して取引する方が好ましい。こうすることで、炭素5の貯留量の取引を容易にすると共に地図62上での表示のためのシステム上の処理も容易になる。
【0103】
トークン発行部82は、トークン発行機能を実現し、農地3に対して炭素5の貯留量に応じたNFTを発行する。なお、トークン発行部82は、専用のトークン発行サーバーで実現してもよい。
【0104】
NFTの発行では、トークン発行部82が、炭素貯留情報を受け取ると、炭素貯留情報の位置情報に応じた農地3に対して貯留量に応じたNFTを発行する。発行されたNFTは、炭素管理部81に渡される。NFTが所定の貯留量を超える貯留量に対して発行された場合、発行されたNFTに対して所定の貯留量毎の分割NFTを発行する。
【0105】
ノード機能部79は、情報記憶部83と、ブロック生成部85と、チェーン作成部87と、ブロードキャスト部89とを備える。
【0106】
情報記憶部83は、情報記憶機能を実現し、管理機能部78から受け取った情報をメモリーデバイス75内のノード機能部79用の記憶領域75b(ノード機能記憶領域75b)に記憶する。本実施例において、記憶される情報は、バイオ炭5aの生成から農地3への散布の情報、農地3での炭素5の貯留量の情報、及び炭素5に関する取引情報である。すなわち、炭情報、炭素貯留情報、及びこれらの取引情報がノード機能記憶領域75bに記憶される。
【0107】
ブロック生成部85は、ブロック生成機能を実現し、ノード機能記憶領域75b内の情報を所定のタイミングでブロック化する。なお、ブロック生成部85は、管理機能記憶領域75a内の情報をブロック化してもよい。この場合、ノード機能部79の情報記憶部83は不要となり、処理の迅速化や記憶容量の削減になる。或いは、管理機能記憶領域75aを省略することも可能である。この場合も、処理の迅速化や記憶容量の削減になる。
【0108】
ブロック化は、一般的なブロックチェーン技術を用いて行えばよい。すなわち、ブロック生成部85は、前のブロックのハッシュ値、Nonce、取引情報等を1つのブロックに格納した形態のブロックデータを生成する。
【0109】
チェーン作成部87は、チェーン作成機能を実現し、ブロック生成部85で生成されたブロックデータを時系列につないだデータ構造のブロックチェーンデータを生成する。生成されたブロックチェーンは、ノード機能記憶領域75bに記憶される。
【0110】
ブロードキャスト部89は、ブロードキャスト機能を実現し、生成されたブロックチェーンを複数のノード74にブロードキャストして保持させる。
【0111】
複数のノード74は、情報処理装置であり、ブロードキャストされたブロックチェーンを記憶、保持する。これにより、管理サーバー72と複数のノード74で共有して改ざん不能な分散台帳を構成する。
【0112】
この分散台帳により、バイオ炭5aの生成から農地3への散布(炭素5の貯留)並びに貯留された炭素5の取引の履歴が全て記録されており、真正な農地炭素貯留及びその取引に資することができる。これにより、農地3に対するバイオ炭5aの散布量の不正を抑制し、且つこの不正が抑制された散布量に対するNFTの取引の安全性を確保できる。
【0113】
なお、本実施例のブロックチェーンの形成は、管理サーバー72でのみ行い、ノード74は、単にブロックチェーンを共有するだけである。ただし、管理サーバー72及びノード74の何れか一つでブロックチェーンを形成し、その他に形成したブロックチェーンを共有させる構成としてもよい。
【0114】
[炭情報管理]
図8は、本実施例の炭素取引システムによる炭情報管理を示すフローチャートである。なお、本実施例では、バイオ炭5aを貯留ユーザー端末11の貯留ユーザーが取得する場合を例に説明する。
【0115】
ステップS1では、炭化拠点15の拠点制御装置19が炭情報を取得する。すなわち、拠点制御装置19の炭化制御監視部35は、炭化装置17へのバイオマス由来の原料の投入からバイオ炭5aの焼成までを重量変化により制御、監視する。結果として、原料の投入量及びバイオ炭の生成量が取得される。
【0116】
また、炭化制御監視部35は、バイオ炭5aの原料の投入から生成までの間、撮像装置23で撮像した画像情報を炭化画像情報として取得する。撮像は、例えば、原料の投入をトリガーに開始し、バイオ炭5aの取出しをトリガーに終了すればよい。
【0117】
ステップS2では、拠点制御装置19が炭情報を管理サーバー72に送信する。すなわち、拠点制御装置19の炭情報送信部37は、ステップS1で取得したバイオ炭5aの原料の投入量及び生成量並びに生成画像情報を炭情報として炭化拠点15の拠点識別情報と共に管理サーバー72に送信する。
【0118】
このとき、炭化拠点15では、例えば、炭情報及び拠点情報を示す二次元コード等の読み取り可能なコードをバイオ炭5aに刻印しておくことで、生成されたバイオ炭5aと炭情報とを関連付けることができる。
【0119】
ステップS3では、管理サーバー72で炭情報を登録する。登録に際しては、運営者等が炭情報を審査するのが好ましい。登録は、管理サーバー72の炭管理部80が、農地3への貯留対象となるバイオ炭5aの炭情報を拠点識別情報に関連付けて管理機能記憶領域75aに記録すると共にノード機能部79に渡す。ノード機能部79の処理は図11により別途説明する(以下、同じ。)。
【0120】
ステップS4では、管理サーバー72が貯留ユーザー端末11からバイオ炭5aの取引要求情報を取得したか否かを判断する。この判断は、管理サーバー72の炭管理部80で行えばよい。取引要求情報を取得した場合は、ステップS5へ移行し、そうでない限り、ステップS4を繰り返す。
【0121】
ステップS5では、管理サーバー72がバイオ炭5aの取引を管理する。この管理では、管理サーバー72の炭管理部80が、バイオ炭5aの取引要求情報を取得すると、取引要求情報と共に取得される拠点識別情報をキーに関連付けられた炭情報を管理機能記憶領域75aから検索する。
【0122】
そして、取引要求情報のバイオ炭5aの取引量を、検索された炭情報のバイオ炭5aの生成量から減じると共に取引要求情報のユーザー識別情報に応じたユーザーに追加して管理機能記憶領域75aに記憶する。
【0123】
このとき、バイオ炭5aの炭情報も併せてユーザー識別情報に関連付ける。そして、炭管理部80は、これら情報をバイオ炭5aの取引情報としてノード機能部79に渡す。
【0124】
[炭素貯留情報管理]
図9は、本実施例の炭素取引システムによる炭素貯留情報管理を示すフローチャートである。本実施例では、貯留ユーザー端末の貯留ユーザーの農地3に貯留されている炭素5を取引ユーザー端末13の取引ユーザーが取得する場合を例に説明する。
【0125】
ステップS11では、貯留ユーザー端末11が炭素貯留情報を取得する。すなわち、貯留ユーザー端末11では、貯留情報送信部51がバイオ炭5aの農地3への散布量を図示しない重量計や農機から通信等によって取得する。
【0126】
このとき、貯留情報送信部51は、炭素5を貯留した農地3の位置情報を、GPSの位置情報又はUI71上でのユーザーの入力により取得する。
【0127】
なお、バイオ炭5aの散布量や位置情報の取得は、例えばバイオ炭5aに刻印された二次元コード等をバイオ炭5aを農機にセットする際に読み取ることで可能になるようにしてもよい。この場合、不正が介在し難くなり、炭素5の貯留量とバイオ炭5aの散布量とを一致させることができる。
【0128】
また、貯留情報送信部51は、バイオ炭5aの散布中、撮像装置41で撮像した画像情報を散布画像情報として取得する。撮像は、バイオ炭5aの散布の開始をトリガーに開始し、バイオ炭5aの散布の終了をトリガーに終了すればよい。
【0129】
ステップS12では、炭素貯留情報を貯留ユーザー端末11から管理サーバー72に送信する。すなわち、貯留ユーザー端末11では、貯留情報送信部51がステップS12で取得した農地3の炭素5の貯留量及び位置情報、貯留量から算出した土質情報並びに散布画像情報を炭素貯留情報として管理サーバー72に送信して取引対象としての登録を要求する。
【0130】
ステップS13では、管理サーバー72で炭素貯留情報を登録する。この登録の際は、管理サーバー72において、炭素貯留情報の炭素5の貯留量がバイオ炭5aの取引情報の取引量の範囲内か否かを判断するのが好ましい。
【0131】
炭素貯留情報の登録では、管理サーバー72の炭素管理部81が、炭素貯留情報に含まれる農地3への炭素5の貯留量を、炭素貯留情報に含まれる位置情報に対応する農地3の農地情報(農地識別情報)に関連付けて管理機能記憶領域75aに記録すると共にノード機能部79に渡す。
【0132】
このとき、農地情報に含まれる農地3の所有者情報(ユーザー識別情報)に、炭素貯留情報が関連付けられる。
【0133】
ステップS14では、管理サーバー72で炭素貯留情報に基づきNFTを発行する。すなわち、管理サーバー72のトークン発行部82は、登録された炭素貯留情報を受け取って、炭素貯留情報の貯留量に応じたNFTを発行する。
【0134】
発行されたNFTは、管理サーバー72の炭素管理部81が受け取り、農地識別情報に関連付けて管理機能記憶領域75aに記録すると共にノード機能部79に渡す。この発行されたNFTが所定の貯留量を超える貯留量に対して発行された場合、発行されたNFTに対して所定の貯留量毎の分割NFTが発行される。
【0135】
ステップS15では、管理サーバー72が取引ユーザー端末13から炭素5の取引要求情報を取得したか否かを判断する。この判断は、管理サーバー72の炭素管理部81で行えばよい。取引要求情報を取得した場合は、ステップS16へ移行し、そうでない限り、ステップS15を繰り返す。
【0136】
ステップS16では、管理サーバー72が炭素5の取引を管理する。この管理は、管理サーバー72の炭素管理部81が、炭素5の取引要求情報を取得すると、取引要求情報と共に取得される位置情報に対応する農地3を管理機能記憶領域75aから検索する。
【0137】
そして、検索された農地3の農地識別情報に関連付けられているNFTを炭素5の取引量に応じて減じ、且つ減じた数のNFTを取引要求情報に含まれるユーザー識別情報に応じた取引ユーザーに移転する。
【0138】
このとき、NFTの所有者であった貯留ユーザーのユーザー識別情報に関連付けられている炭情報及びバイオ炭5aの取引情報を取引ユーザーのユーザー識別情報に関連付け、NFTの取引情報と共に炭素5の取引情報として炭素管理部81が管理機能記憶領域75aに記憶すると共にノード機能部79に渡す。
【0139】
こうして本実施例では、農地3に貯留された炭素5をNFTによって容易に取引することができる。農地3の炭素5の実際の貯留量は、取引によって変動しないため、炭素5の貯留量に対しNFTにより価値を付与して取引することで利便性が高い。従って、農地3に貯留された炭素5の自由な取引に資することができる。
【0140】
しかも、農地3の炭素5の貯留量を含む炭情報自体に変化はなく、炭素5の貯留量の地図62上での表示処理も容易に行うことができる。
【0141】
さらに、NFTを適宜分割して各NFTの価値を均等化するため、NFTによって炭素5の貯留量を取引するようにしても、取引を行い易くすることができる。
【0142】
[炭素取引]
図10は、本実施例の炭素取引システムによる炭素取引を示すフローチャートである。
【0143】
ステップS21では、取引ユーザー端末13で地図情報及び炭素貯留情報を取得する。すなわち、取引ユーザー端末13は、プログラムの実行等に応じ、地図情報取得部53が地図情報を、貯留情報取得部55が炭素貯留情報及び炭素5の取引情報をそれぞれ管理サーバー72から取得する。
【0144】
ステップS22では、取引ユーザー端末13で地図62を表示して農地3の選択を受け付ける。すなわち、取引ユーザー端末13の表示処理部57は、ステップS21で取得した地図情報及び炭素貯留情報並びに炭素5の取引情報に基づき、UI71により地図62上に農地3を選択可能に表示する。
【0145】
このとき、農地3に対しては、重ねて或いは選択に応じたポップアップ等によって炭素5の貯留量を表示する。これにより、取引ユーザーは、農地3の炭素5の貯留量を地図62上で容易に確認して、取引対象を直観的に選別することができる。
【0146】
なお、貯留ユーザー端末11を用いる場合は、地図62上で自己の農地3の炭素5の貯留量を容易に確認することができる。この場合、炭素5の貯留量と共に土質情報も表示されるため、地図62上で農地3の土質を容易に確認することができ、土質管理を容易に行うことができる。
【0147】
ステップS23では、選択された農地3の炭素5の取引要求情報の入力を受け付ける。すなわち、取引ユーザー端末13の取引入力部59は、炭素5の取引量(NFTの取引量)、決済方法、ユーザー識別情報等の取引要求情報の入力をUI71上の入力欄等により受け付ける。
【0148】
ステップS24では、受け付けられた取引要求情報が管理サーバー72に送信される。この送信は、送信ボタン等の選択により行われる。その後は、上記ステップS15以降の処理によってNFTの取引が行われる。
【0149】
このように、本実施例では、取引ユーザー端末13(貯留ユーザー端末11)上で農地3に貯留された炭素5の取引を地図62上の農地3の選択を通じて直観的に且つ容易に行うことができ、炭素5の取引における利便性を向上することができる。結果として、農地3に貯留された炭素5の自由な取引に資することができる。
【0150】
[ブロックチェーン作成]
図11は、本実施例の情報のブロックチェーン作成を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、管理システム9のノード機能部79により実行される。
【0151】
ステップS31では、情報の取得が行われる。ここで取得される情報は、ノード機能部79の情報記憶部83が、管理機能部78から受け取った情報である。情報記憶部83は、受け取った情報をノード機能記憶領域75bに記憶する。なお、ステップS31は、ノード機能部79が管理機能部78から情報を受け取るたびに行われる。
【0152】
ステップS32では、情報のブロック化が行われる。すなわち、ノード機能部79のブロック生成部85が、所定のタイミングでノード機能記憶領域75bに記憶されている情報を集約してブロック化する。
【0153】
ステップS33では、ブロックチェーンの作成が行われる。すなわち、ノード機能部79のチェーン作成部87が、ブロック化されたデータを時系列につないだブロックチェーンデータを生成する。
【0154】
ステップS34では、ノード機能部79のブロードキャスト部89が、ブロックチェーンを複数のノード74にブロードキャストして保存させると共に、自身のノード機能記憶領域75bに記憶する。これにより、ブロックチェーンがトークン管理サーバー72と複数のノード74で共有される。
【0155】
このようにして、本実施例では、バイオ炭5aの取引情報がブロック化され、真正な農地炭素貯留及びその取引に資することができる。特に、本実施例では、バイオ炭5aの生成及び散布(貯留)並びに炭素5の取引までの履歴が全てブロックチェーンにより記録されることになり、より確実に真正な農地炭素貯留及びその取引に資することができる。
【0156】
なお、ブロックチェーンは、省略することも可能である。この場合でも、管理サーバー72で管理する情報により真正な農地炭素貯留及びその取引に資することができる。ただし、ブロックチェーンを用いれば、バイオ炭5aの生成及び散布(貯留)並びに炭素5の取引までの履歴をより容易に管理することが可能となる。
【実施例0157】
図12は、本発明の実施例2に係る炭素取引システムの管理サーバーを示すブロック図である。なお、実施例2は、実施例1と基本構成が共通するため、対応する部分に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0158】
本実施例では、取引対象として農地3に貯留された炭素5に加え、バイオ炭5aの生成から農地3への散布までの作業に関与した障害者の作業時間も含めたものである。関与とは、バイオ炭5aの生成から農地3への散布までの作業を直接又は間接的に行うことである。
【0159】
本実施例では、管理サーバー72のプロセッサー73がメモリーデバイス75内のプログラムを実行することにより、管理機能部78が上記実施例1の機能部に加えて作業時間管理部93を備える。
【0160】
作業時間管理部93は、作業時間管理機能を実現し、バイオ炭5aの生成から農地3への散布までの作業に関与した障害者の作業時間を含む作業情報を取得し管理する。
【0161】
作業情報には、各障害者の作業時間及び作業に関与した場所として炭化拠点15や貯留拠点39の位置情報が含まれる。作業情報の取得は、炭化拠点15や貯留拠点39の勤怠管理システム等によって行うことが可能である。位置情報は、入出が記録された炭化拠点15や貯留拠点39等の位置情報とすればよい。
【0162】
作業時間管理部93での作業情報の取得に際しては、炭化拠点15や貯留拠点39において、炭化制御監視部35や貯留拠点の制御装置(図示せず)等が作業者情報を取得し、これが管理サーバー72に送信される。取得された作業情報は、炭化拠点15や貯留拠点39の拠点識別情報に関連付けて管理機能記憶領域75aに記憶され、且つノード機能部79に渡される。
【0163】
また、作業時間管理部93は、トークン発行部82に作業情報を渡し、作業情報の作業時間情報に応じて発行されたNFTをトークン発行部82から受領する。そして、作業時間管理部93は、受領したNFTを作業情報が関連付けられている拠点識別情報に関連付けて管理機能記憶領域75aに記憶し、且つノード機能部79に渡す。
【0164】
NFTは、所定の作業時間毎に発行することで、価値を均等化して取引を行い易くすることができる。本実施例では、炭化拠点15や貯留拠点39に対して発行した1つのNFTに対して所定の貯留量毎に更に発行された複数の分割非代替NFT毎に取引を可能とする。
【0165】
作業時間の取引要求情報を取得した場合は、取引要求情報と共に取得した位置情報に対応する拠点識別情報に関連付けられている作業時間のNFTを、作業時間の取引量に応じて現所有者の所持量から減じ、且つ減じた数のNFTを取引要求情報のユーザー識別情報に応じた取引ユーザーに移転する。このNFTの取引情報を、作業時間管理部93が作業時間の取引情報として管理機能記憶領域75aに記憶すると共にノード機能部79に渡す。
【0166】
なお、作業時間に対する決済は、バイオ炭5aと同様に取引情報に基づいて適宜行われ、この決済に関する情報も取引実施情報に含まれる。また、NFTによる炭素5の取引に代えて、作業時間を直接取引することも可能である。
【0167】
トークン発行部82は、炭化拠点15や貯留拠点39に対し障害者の作業時間に応じたNFTを発行する。すなわち、作業時間のNFTの発行では、トークン発行部82が、作業情報を受け取ると、作業情報の作業時間に応じた数のNFTを発行する。発行されたNFTは、作業時間管理部93に渡される。NFTが所定の作業時間を超える作業時間に対して発行された場合、発行されたNFTに対して所定の作業時間毎の分割NFTを発行する。
【0168】
取引ユーザー端末13は、表示処理部57が管理サーバー72から作業情報及び取引情報を取得し、地図62上で作業場所として炭化拠点15や貯留拠点39を選択可能に表示する。選択された作業場所には、重ねて又はポップアップ等により障害者の作業時間が表示される。
【0169】
また、取引ユーザー端末13の取引入力部59は、地図62上で選択された作業場所である炭化拠点15や貯留拠点39での作業時間の取引要求情報の入力を受け付ける。ここでは、作業時間の取引量及び決済方法、並びにユーザー識別情報等の取引に必要な情報を入力する。入力された取引要求情報は、取引要求送信部61により管理サーバー72に送信される。
【0170】
本実施例では、障害者の作業時間を炭素5と同様にして取引することができ、障害者の作業時間を取引することで障害者雇用に代替することができる。また、本実施例では、企業等に要求される障害者雇用を炭素5と同じシステムで容易に取引可能とすることができる。
【実施例0171】
図13は、本発明の実施例3に係る炭素取引システムの貯留ユーザー端末を示すブロック図である。図14は、同取引ユーザー端末を示すブロック図である。なお、実施例3は、実施例1と基本構成が共通するため、対応する部分に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0172】
本実施例では、拡張現実(AR)により農地3の炭素5の貯留量を表示可能としたものである。
【0173】
すなわち、本実施例では、図13及び図14のように、ユーザー端末11、13のプロセッサー43、65がメモリーデバイス45、67内のプログラムを実行することにより、上記実施例1の機能部に加えて撮像処理部95を備える。
【0174】
撮像処理部95は、ユーザー端末11、13に備えられた撮像部としてのカメラ97により撮像を行わせるものである。この撮像処理部95は、撮像した画像上に撮像されている農地3の炭素5の貯留量や取引可能量を重ねてUI49、71上に表示する。
【0175】
このために、貯留情報取得部55は、撮像開始時に炭素貯留情報を取得しておく。炭素貯留情報は、撮像を開始した時点の位置情報を貯留情報取得部55が管理サーバー72に送信して、位置情報に対応した農地3の炭素5の炭素貯留情報及び取引情報の送信を要求する。これに応じて管理サーバー72から受信した炭素貯留情報及び取引情報を貯留情報取得部55が取得する。なお、位置情報は、撮像開始に応じてGPS等によって取得すればよい。
【0176】
従って、本実施例では、農地3を撮像するだけで炭素5の貯留量や取引可能量を確認することができる。また、本実施例では、取引入力部59が撮像画像上で取引要求情報の入力を受け付ける。これにより、撮像した農地3に貯留されている炭素5をその場で取引することができる。
【符号の説明】
【0177】
1 炭素取引システム
3 農地
5 炭素
5a バイオ炭
11、13 ユーザー端末
63 地図
図1
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