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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158761
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/08 20060101AFI20231024BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20231024BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20231024BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20231024BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B63B25/08 B
B63B11/04 B
B63B25/16 A
B63H21/38 C
F02M21/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068733
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 恒一
(72)【発明者】
【氏名】久間 康充
(72)【発明者】
【氏名】勝部 誠
(57)【要約】
【課題】配管を二重構造とする部分の長さを抑えて低コスト化を図りつつ、ガスの漏洩を有効に抑える。
【解決手段】船舶は、船体と、液化ガスを貯留する燃料タンクと、船体内に設けられ、燃料タンクから供給される液化ガスを燃料とする燃焼装置を収容する機関室と、船体の外部から船体内または船体上に液化ガスを供給する外部配管が接続可能な接続口を有したバンカリングステーションと、バンカリングステーションに接するように設けられた気密区画を形成する管理室本体、管理室本体内におけるガスの漏洩を検知するガス漏洩センサ、及び管理室本体内の換気を行う換気装置を有するガス管理室と、一端が接続口に接続され、他端が燃料タンクに接続される配管と、を備え、配管は、バンカリングステーションから管理室本体内に直接導入されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
液化ガスを貯留する燃料タンクと、
前記船体内に設けられ、前記燃料タンクから供給されるガスを燃料とする燃焼装置を収容する機関室と、
前記船体の外部から前記船体内または前記船体上に前記液化ガスを供給する外部配管が接続可能な接続口を有したバンカリングステーションと、
前記バンカリングステーションに接するように設けられた気密区画を形成する管理室本体、前記管理室本体内における前記ガスの漏洩を検知するガス漏洩センサ、及び前記管理室本体内の換気を行う換気装置を有するガス管理室と、
一端が前記接続口に接続され、他端が前記燃料タンクに接続される配管と、を備え、
前記配管は、前記バンカリングステーションから前記管理室本体内に直接導入されている
船舶。
【請求項2】
前記ガス管理室は、前記燃料タンクと前記配管の他端との接続部を囲うタンクコネクションスペースを形成する
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記燃料タンクは、前記船体内に形成された貨物区画に収容され、
前記タンクコネクションスペースは、前記船体の上甲板の下側に形成されている
請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記燃料タンクは、前記船体の上甲板上に配置され、
前記タンクコネクションスペースは、前記上甲板上で前記燃料タンクの下側に形成されている
請求項2に記載の船舶。
【請求項5】
前記ガス管理室は、前記船体の上甲板の下側に形成され、
前記管理室本体の少なくとも一部は、前記上甲板を用いて形成されている
請求項1から4の何れか一項に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンクと、タンクコネクションスペースと、燃料調整室と、を備える船舶の構成が開示されている。燃料タンクは、液化ガスを貯留する。燃料タンクに貯留された液化ガスは、船舶の航行のために使用される燃料として、エンジンや発電機、ボイラー等に供給される。タンクコネクションスペースは、燃料タンクに接続される配管、弁等との接続部を、気密に覆う防壁を備える。タクコネクションスペースは、燃料タンクに接続される配管等の接続部からガスが漏洩した場合に、漏洩したガスを防壁の内部に留める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-133855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなタンクコネクションスペースは、燃料タンクと配管等との接続部におけるガスの漏洩に備えて配置されている。一方、防壁に囲まれていない部分においては、万が一のガスの漏洩を抑えるため、配管を二重構造とすることが求められている場面が多い。しかしながら、配管を二重構造とするには、多大なコストが掛かる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、配管を二重構造とする部分の長さを抑えて低コスト化を図りつつ、ガスの漏洩を有効に抑えることができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、船体と、燃料タンクと、機関室と、バンカリングステーションと、ガス管理室と、配管と、を備える。前記燃料タンクは、液化ガスを貯留する。前記機関室は、前記船体内に設けられている。前記機関室は、燃焼装置を収容している。前記燃焼装置は、前記燃料タンクから供給されるガスを燃料とする。前記バンカリングステーションは、前記船体の外部から前記船体内または前記船体上に前記液化ガスを供給する外部配管が接続可能な接続口を有する。前記ガス管理室は、管理室本体、ガス漏洩センサ、換気装置を有する。前記管理室本体は、前記バンカリングステーションに接する気密区画を形成する。前記ガス漏洩センサは、前記管理室本体内における前記ガスの漏洩を検知する。前記換気装置は、前記管理室本体内の換気を行う。前記配管は、一端が前記接続口に接続され、他端が前記燃料タンクに接続される。前記配管は、前記バンカリングステーションから前記管理室本体内に直接導入されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の船舶によれば、配管を二重構造とする部分の長さを抑えて低コスト化を図りつつ、ガスの漏洩を有効に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る船舶の概略構成を示す側面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る船舶の平面図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る船舶の断面図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る船舶におけるガス管理室の構成を示す図である。
図5】本開示の第二実施形態に係る船舶の概略構成を示す側面図である。
図6】本開示の第二実施形態に係る船舶の平面図である。
図7】本開示の第二実施形態に係る船舶におけるガス管理室の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る船舶について、図1図7を参照して説明する。
<第一実施形態>
(船舶の全体構成)
図1図2に示すように、この実施形態の船舶1Aは、船体2と、燃料タンク10Aと、機関室Seと、バンカリングステーション20と、ガス管理室30Aと、を少なくとも備えている。船舶1Aの船種は、特定のものに限られない。船舶1Aの船種は、例えば、液化天然ガス(LNG)、二酸化炭素、アンモニア等の液化ガスの運搬船、バルクキャリア、フェリー、RORO船(Roll-on/Roll-off船)、PCTC(Pure Car & Truck Carrier)、客船等を例示できる。また、バンカリングステーション20は、図1に示す形状に限られない。
【0010】
図1図3に示すように、船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有している。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有している。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。船体2は、その内部に、上甲板5、内底板6を含む、複数層の甲板を備えている。上甲板5は、最上層に配置される全通甲板である。上甲板5は、外部に露出している。図1図2に示すように、上甲板5上には、上部構造7が設けられている。上部構造7は、船体2の船尾2b側の上甲板5上に形成されている。上部構造7は、居住区を有している。
【0011】
図1に示すように、船体2内には、複数の区画Sが形成されている。複数の区画Sは、船体2内の船首尾方向FAに配置されている。船体2内には、船首尾方向FAに間隔をあけて形成された複数の区画壁11が形成されている。一対の舷側3A,3Bの間において、内底板6と上甲板5との間の空間は、複数の区画壁11によって船首尾方向FAに区切られている。船体2内が、複数の区画壁11によって船首尾方向FAに区切られることで、複数の区画Sが形成されている。本実施形態において、複数の区画Sとして、船首尾方向FAに7つの区画S1~S7が配置されている。
【0012】
複数の区画S1~S7のうち、船首尾方向FAで最も船尾2b側に位置する区画S1は、機関室Seとされている。機関室Seとしての区画S1内には、燃焼装置15が収容されている。燃焼装置15は、燃料タンク10Aから供給される燃料としてのガスを燃焼させる。本実施形態において、燃焼装置15は、例えば、主機、及び補機である。主機としての燃焼装置15は、船舶1Aを航行させる推進力を発揮する。主機としての燃焼装置15は、船体2の船尾2bの外部に設けられたスクリュー8を回転駆動させる。補機としての燃焼装置15は、船舶1A内で使用される動力や蒸気を発生する。本実施形態では、補機としての燃焼装置15は、例えば、発電機(図示せず)を駆動させるための発電機用エンジンを例示できる。燃焼装置15としては、例えば、船体2内で用いる蒸気を発生させるボイラー、ガスタービン、レシプロエンジン等を用いることができる。
【0013】
機関室Seの上側には、燃料調整室45が配置されている。燃料調整室45は、燃料タンク10Aから供給されるガスを調整する調整機器45mを備えている。調整機器45mは、例えば、燃料タンク10Aから供給される液化ガスを気化させて燃焼装置15に供給する。調整機器45mとしては、例えば、液化ガスを気化させるために用いられる、気化器、ポンプ、圧縮機等やガスを加圧する圧縮機を例示できる。燃料調整室45は、気密構造とされ、換気装置(図示せず)によって室内の換気がなされる。換気装置は、例えば、1時間に30回以上、燃料調整室45内の空気を換気するように設定されている。また、燃料調整室45には、ガス漏洩センサ(図示せず)が設けられている。ガス漏洩センサによって燃料調整室45内の雰囲気に所定濃度以上のガスが検知された場合、ガス漏洩センサは、検知信号を換気装置のコントローラに出力するようになっており、検知信号を受けた換気装置のコントローラは、警報を発令する。
【0014】
複数の区画S1~S7のうち、機関室Seとしての区画S1と、最も船首2a側の区画S7とを除いた他の区画S2~S6は、船舶1Aで運搬する貨物を収容する、いわゆる貨物区画Scとされている。
【0015】
燃料タンク10Aは、燃焼装置15の燃料となる液化ガス、例えばアンモニアを貯留する。燃料タンク10Aは、船体2に設けられている。本実施形態において、燃料タンク10Aは、船体2内に設けられている。燃料タンク10Aは、貨物区画Scとしての区画S2~S6のいずれか一つに収容されている。本実施形態では、燃料タンク10Aは、例えば、区画S3に収容されている。
【0016】
図3に示すように、区画S3は、例えば、一対の舷側3A,3Bの間で、内底板6と、上甲板5とに囲まれている。燃料タンク10Aの上部には、一対の上部傾斜板18A,18Bが設けられている。これら一対の上部傾斜板18A,18Bのうちの一方の上部傾斜板18Aは、一方の舷側3Aから船幅方向Dwの内側に向かって斜め上方に傾斜して延びて上甲板5に接続されている。他方の上部傾斜板18Bは、他方の舷側3Bから船幅方向Dwの内側に向かって斜め上方に傾斜して延びて上甲板5に接続されている。
【0017】
燃料タンク10Aの下部には、一対の下部傾斜板19A,19Bが設けられている。これら一対の下部傾斜板19A,19Bのうちの一方の下部傾斜板19Aは、一方の舷側3Aから船幅方向Dwの内側に向かって斜め下方に傾斜して延びて内底板6に接続されている。他方の下部傾斜板19Bは、他方の舷側3Bから船幅方向Dwの内側に向かって斜め下方に傾斜して延びて内底板6に接続されている。
【0018】
図4に示すように、バンカリングステーション20は、上甲板5上に配置されている。バンカリングステーション20は、接続口22を有している。接続口22は、外部から燃料タンク10Aに液化ガスを供給するための外部配管(図示せず)が着脱可能に接続できる。接続口22には、船体2の内側から、配管50の一端が接続されている。この配管50の他端は、燃料タンク10Aに接続されている。配管50は、外部配管を通して外部から供給される液化ガスを、燃料タンク10Aに供給する。また、接続口22には、返送配管(図示せず)の一端が接続されている。返送配管は、配管50を通して燃料タンク10Aに供給する際、燃料タンク10Aから押し出されるガスを船外に送り返す。図2に示すように、バンカリングステーション20は、例えば、一方の舷側3A側と、他方の舷側3B側のそれぞれに配置されている。
【0019】
図4に示すように、ガス管理室30Aは、管理室本体31Aと、ガス漏洩センサ32と、換気装置33と、を有している。管理室本体31Aは、バンカリングステーション20に接する気密区画を形成する。管理室本体31Aは、上甲板5の下側に形成されている。図1図2図4に示すように、本実施形態において、管理室本体31Aは、第一管理室本体34と、第二管理室本体35と、接続部36と、を有している。
【0020】
第一管理室本体34は、一方の舷側3A側のバンカリングステーション20に接する位置と、他方の舷側3B側のバンカリングステーション20に接する位置とを結ぶように船幅方向Dwに延びている。第一管理室本体34は、バンカリングステーション20に接する位置のそれぞれで、バンカリングステーション20に接している。図4に示すように、各バンカリングステーション20の接続口22に一端が接続された配管50は、それぞれ、上甲板5を貫通して、第一管理室本体34内に直接導入されている。
【0021】
図2に示すように、接続部36は、燃料タンク10Aの上部に配置されている。本実施形態において、接続部36は、第一管理室本体34の長手方向の中間部に配置されている。接続部36内で、配管50の他端が燃料タンク10Aに接続されている。各バンカリングステーション20に接する位置、から第一管理室本体34内に導入された配管50は、第一管理室本体34に沿って延び、接続部36内に導かれている。接続部36内で、配管50の他端が燃料タンク10Aに接続されている。また、接続部36内で、燃料供給配管51の一端が燃料タンク10Aに接続されている。
【0022】
図1に示すように、第二管理室本体35の一端は、一方の舷側3A側のバンカリングステーション20に接する位置で第一管理室本体34に接続されている。第二管理室本体35は、一方の舷側3A側のバンカリングステーション20に接する位置から、船首尾方向FAの船尾2b側に延びている。
【0023】
図4に示すように、第二管理室本体35の他端は、燃料調整室45に接している。一端が燃料タンク10Aに接続された燃料供給配管51は、第一管理室本体34から、第二管理室本体35を通じて、燃料調整室45内に導入されている。そして、燃料供給配管51は、区画壁11を貫通して、燃料調整室45内に導入されている。燃料供給配管51の他端は、燃料調整室45内で調整機器45mに接続されている。燃料供給配管51は、燃料タンク10A内のガスを調整機器45mに供給する。
【0024】
上記したように、管理室本体31Aを構成する第一管理室本体34、第二管理室本体35、及び接続部36は、それぞれ連通している。管理室本体31Aの接続部36内では、配管50と燃料供給配管51とが、燃料タンク10Aに接続されている。つまり、ガス管理室30Aの管理室本体31Aは、いわゆるタンクコネクションスペース41Aを実質的に形成している。
【0025】
管理室本体31Aは、船体2を構成する部材を少なくとも一部に用いて形成するのが好ましい。例えば、上甲板5の下側に形成される管理室本体31Aは、その上面を、上甲板5を用いて形成してもよい。管理室本体31Aは、上甲板5の下側に、例えば断面U字状、断面V字状の金属部材を接合することで形成できる。図3に示すように、例えば、船首尾方向FAに延びる第二管理室本体35は、上甲板5と、上部傾斜板18Aと、上甲板5と上部傾斜板18Aとの間に設けられた側板17とにより形成してもよい。
【0026】
図4に示すように、ガス漏洩センサ32は、管理室本体31A内におけるガスの漏洩を検知する。ガス漏洩センサ32は、管理室本体31A内の適宜箇所に配置されている。ガス漏洩センサ32は、管理室本体31A内に、互いに間隔をあけて複数配置されていてもよい。ガス漏洩センサ32は、管理室本体31A内の雰囲気に、所定濃度以上のガスが検知された場合、検知信号をコントローラ37に出力する。
【0027】
換気装置33は、管理室本体31A内の換気を行う。換気装置33は、例えば、1時間に30回、管理室本体31A内を換気できるよう、その換気風量等が設定されている。
【0028】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1Aでは、ガス管理室30Aが、バンカリングステーション20に接する気密区画を形成する管理室本体31Aを有している。一端がバンカリングステーション20の接続口22に接続され、他端が燃料タンク10Aに接続される配管50が、バンカリングステーション20から管理室本体31Aに直接導入されている。ガス管理室30Aは、ガス漏洩センサ32、及び換気装置33を備えている。管理室本体31A内は、換気装置33により、換気がなされている。このような管理室本体31A内に配管50を挿通させることで、配管50を必ずしも二重管とする必要がなくなる。したがって、配管50を二重構造とする部分の長さを抑えて低コスト化を図りつつ、ガスの漏洩を有効に抑えることができる。
【0029】
また、バンカリングステーション20から配管50が直接導入される管理室本体31Aは、タンクコネクションスペース41Aを実質的に形成することができる。
【0030】
また、燃料タンク10Aが船体2内の貨物区画Scに収容され、ガス管理室30Aが、上甲板5の下側に形成されたタンクコネクションスペース41Aを形成している。このような構成において、ガス管理室30Aの管理室本体31A内に、配管50を挿通させることで、配管50を二重構造とする部分の長さを抑えることができる。
【0031】
また、ガス管理室30Aが、上甲板5の下側に形成されることで、管理室本体31A内に挿通される配管50が、上甲板5上に露出することがない。したがって、荷役作業等の際に物品を上甲板5上に落下させる等しても、配管50が損傷するのを抑えることができる。また、管理室本体31Aの少なくとも一部が、上甲板5を用いて形成されている。これにより、配管50が挿通される管理室本体31Aを強固に形成することができる。
【0032】
<第二実施形態>
次に、本開示に係る船舶の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と燃料タンク10Bの配置、およびガス管理室30Bの構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図5図7に示すように、この実施形態の船舶1Bは、船体2と、燃料タンク10Bと、機関室Seと、バンカリングステーション20と、ガス管理室30Bと、を主に備えている。
【0033】
本実施形態において、燃料タンク10Bは、船体2の上甲板5上に設けられている。燃料タンク10Bは、上部構造7に対し、船首尾方向FAの船尾2b側に配置されている。
【0034】
ガス管理室30Bは、管理室本体31Bと、ガス漏洩センサ32と、換気装置33と、を有している。管理室本体31Bは、バンカリングステーション20に接する気密区画を形成する。管理室本体31Bは、上甲板5の下側に形成されている。本実施形態において、管理室本体31Bは、第一管理室本体34と、第二管理室本体38と、接続部39と、を有している。
【0035】
第一管理室本体34は、一方の舷側3A側のバンカリングステーション20に接する位置と、他方の舷側3B側のバンカリングステーション20に接する位置とを結ぶように船幅方向Dwに延びている。
【0036】
図6に示すように、第二管理室本体38の一端は、一方の舷側3A側のバンカリングステーション20に接する位置で第一管理室本体34に接続されている。第二管理室本体38は、一方の舷側3A側のバンカリングステーション20に接する位置から、船首尾方向FAの船尾2b側に延び、接続部39に接続されている。
【0037】
図7に示すように、接続部39は、燃料タンク10Bの下部に配置されている。接続部39は、上甲板5の上側に配置されている。接続部39は、上甲板5を貫通して、上甲板5の下側の第二管理室本体38に連通している。
また、第二管理室本体38の中間部は、燃料調整室45に接している。第二管理室本体38は、仕切壁13を挟んで燃料調整室45に接している。
【0038】
バンカリングステーション20に接する位置から第二管理室本体38内に導入された配管50は、第二管理室本体38内を船尾2b側の接続部39に向けて第二管理室本体38に沿って延びている。接続部39内で、配管50の他端が燃料タンク10Bに接続されている。また、接続部39内で、燃料供給配管51の一端が燃料タンク10Bに接続されている。
【0039】
一端が燃料タンク10Bに接続された燃料供給配管51は、第二管理室本体38から、燃料調整室45内に導入されている。燃料供給配管51は、燃料調整室45内と第二管理室本体38内とを隔てる仕切壁13を貫通して、燃料調整室45内に導入されている。燃料供給配管51の他端は、燃料調整室45内で調整機器45mに接続されている。燃料供給配管51は、燃料タンク10B内のガスを調整機器45mに供給する。
【0040】
上記したように、管理室本体31Bを構成する第一管理室本体34、第二管理室本体38、及び接続部39は、一体に連通している。管理室本体31Bの接続部39内では、配管50と燃料供給配管51とが、燃料タンク10Bに接続されている。つまり、ガス管理室30Bの管理室本体31Bは、いわゆるタンクコネクションスペース41B、燃料調整室45の一部として実質的に形成している。
【0041】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1Bでは、燃料タンク10Bが上甲板5上に配置され、タンクコネクションスペース41B、燃料調整室45の一部として形成するガス管理室30Bが、上甲板5上で燃料タンク10Bの下側に形成されている。この場合、ガス管理室30Bの管理室本体31B内に、配管50を挿通させる。これにより、配管50を二重構造とする部分の長さを抑えることができる。
【0042】
また、上記第一実施形態と同様、ガス管理室30Bが、バンカリングステーション20に接する気密区画を形成する管理室本体31Bを有している。一端がバンカリングステーション20の接続口22に接続され、他端が燃料タンク10Bに接続される配管50は、バンカリングステーション20から管理室本体31Bに直接導入されている。ガス管理室30Bは、ガス漏洩センサ32、及び換気装置33を備えている。管理室本体31B内は、換気装置33により、換気がなされている。このような管理室本体31B内に配管50を挿通させることで、配管50を二重管とする必要がなくなる。したがって、配管50を二重構造とする部分の長さを抑えて低コスト化を図りつつ、ガスの漏洩を有効に抑えることができる。
【0043】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、ガス管理室30A,30Bは、燃料調整室45に接する構成としたがこれに限られない。ガス管理室30A,30Bは、燃料調整室45内に一体に連通する構成としてもよい。
【0044】
また、ガス管理室30A,30Bを、隔壁によって複数に分割するようにしてもよい。この場合、隔壁で複数に分割されたガス管理室30A,30Bのそれぞれに、ガス漏洩センサ32、及び換気装置33を備えることで、上記と同様の作用効果が得られる。
また、上記実施形態では、配管50の全体が、ガス管理室30A,30B内に配置されているようにしたが、例えば、上甲板5上に配置した燃料タンク10Bの上部又は側部に、タンクコネクションスペースを配置した場合等においては、上甲板5から上方に延びる配管50を、ガス管理室30Bの外部に露出させて配置することもできる。この場合、外部に露出する部分の配管50のみ、二重管構造とすればよい。また、上甲板5上に配置した燃料タンク10Bの上部に、タンクコネクションスペースを配置した場合、上述した管理室本体31A,31Bは、上記タンクコネクションスペースと離間している。この場合、管理室本体31A,31Bは、燃料調整室45の一部を構成する。つまり、本開示の管理室本体31A,31Bは、タンクコネクションスペースと燃料調整室45との少なくとも一方を形成している。
また、燃料調整室45は、上甲板5上に配置するようにしてもよい。
【0045】
<付記>
各実施形態に記載の船舶1A,1Bは、例えば以下のように把握される。
【0046】
(1)第1の態様に係る船舶1A,1Bは、船体2と、液化ガスを貯留する燃料タンク10A,10Bと、前記船体2内に設けられ、前記燃料タンク10A,10Bから供給されるガスを燃料とする燃焼装置15を収容する機関室Seと、前記船体の外部から前記船体内または前記船体上に前記液化ガスを供給する外部配管が接続可能な接続口22を有したバンカリングステーション20と、前記バンカリングステーション20に接するように設けられた気密区画を形成する管理室本体31A,31B、前記管理室本体31A,31B内における前記ガスの漏洩を検知するガス漏洩センサ32、及び前記管理室本体31A,31B内の換気を行う換気装置33を有するガス管理室30A,30Bと、一端が前記接続口22に接続され、他端が前記燃料タンク10A,10Bに接続される配管50と、を備え、前記配管50は、前記バンカリングステーション20から前記管理室本体31A,31B内に直接導入されている。
【0047】
これにより、管理室本体31A,31B内を通る部分の配管50を二重管とする必要がなくなる。したがって、配管を二重構造とする部分の長さを抑えて低コスト化を図りつつ、ガスの漏洩を有効に抑えることができる。
【0048】
(2)第2の態様に係る船舶1A,1Bは、(1)の船舶1A,1Bであって、前記ガス管理室30A,30Bは、前記燃料タンク10A,10Bと前記配管50の他端との接続部を囲うタンクコネクションスペース41A,41Bを形成する。
【0049】
これにより、バンカリングステーション20から配管50が直接導入される管理室本体31A,31Bは、タンクコネクションスペース41A,41Bを実質的に形成する。
【0050】
(3)第3の態様に係る船舶1Aは、(2)の船舶1Aであって、前記燃料タンク10Aは、前記船体2内に形成された貨物区画Scに収容され、前記タンクコネクションスペース41Aは、前記上甲板5の下側に形成されている。
【0051】
これにより、燃料タンク10Aが船体2内の貨物区画Scに収容され、ガス管理室30Aが、上甲板5の下側に形成されたタンクコネクションスペース41Aを形成する場合、ガス管理室30Aの管理室本体31A内に、配管50を挿通させる。これにより、配管50を二重構造とする部分の長さを抑えることができる。
【0052】
(4)第4の態様に係る船舶1Bは、(2)の船舶1Bであって、前記燃料タンク10Bは、前記上甲板5上に配置され、前記タンクコネクションスペース41Bは、前記上甲板5上で前記燃料タンク10Bの下側に形成されている。
【0053】
これにより、燃料タンク10Bが上甲板5上に配置され、タンクコネクションスペース41Bが上甲板5上で燃料タンク10Bの下側に形成されている場合、タンクコネクションスペース41Bを形成するガス管理室30Bの管理室本体31B内に、配管50を挿通させる。これにより、配管50を二重構造とする部分の長さを抑えることができる。
【0054】
(5)第5の態様に係る船舶1A,1Bは、(1)から(4)の何れか一つの船舶1A,1Bであって、前記ガス管理室30A,30Bは、前記上甲板5の下側に形成され、前記管理室本体31A,31Bの少なくとも一部は、前記船体2を形成する部材により形成されている。
【0055】
これにより、ガス管理室30A,30Bが、上甲板5の下側に形成されることで、管理室本体31A,31B内に挿通される配管50が、上甲板5上に露出することもない。したがって、荷役作業等の際に物品を上甲板5上に落下させる等しても、配管50が損傷するのを抑えることができる。また、管理室本体31A,31Bの少なくとも一部が、上甲板5を用いて形成されている。これにより、配管50が挿通される管理室本体31A,31Bを強固に形成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1A,1B…船舶 2…船体 2a…船首 2b…船尾 3A,3B…舷側 4…船底 5…上甲板 6…内底板 7…上部構造 8…スクリュー 10A,10B…燃料タンク 11…区画壁 13…仕切壁 15…燃焼装置 17…側板 18A,18B…上部傾斜板 19A,19B…下部傾斜板 20…バンカリングステーション 22…接続口 30A,30B…ガス管理室 31A,31B…管理室本体 32…ガス漏洩センサ 33…換気装置 34…第一管理室本体 35、38…第二管理室本体 36,39…接続部 37…コントローラ 41A,41B…タンクコネクションスペース 45…燃料調整室 45m…調整機器 50…配管 51…燃料供給配管 S,S1~S7…区画 Sc…貨物区画 Se…機関室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7