(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158764
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】皮膚組織創傷癒合模倣材
(51)【国際特許分類】
A61L 15/32 20060101AFI20231024BHJP
A61L 17/08 20060101ALI20231024BHJP
A61L 15/60 20060101ALI20231024BHJP
A61L 15/40 20060101ALI20231024BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231024BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20231024BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231024BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231024BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20231024BHJP
C07K 14/78 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
A61L15/32 310
A61L17/08
A61L15/60 100
A61L15/40 100
A61P17/02
C12Q1/02
B33Y10/00
B33Y80/00
C12N5/071
C07K14/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068737
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】利根川 朝人
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C081
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ61
4B063QR48
4B063QR77
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4B065BC46
4B065BD50
4B065CA33
4B065CA44
4B065CA46
4C081AA12
4C081CD12
4C081CD34
4C081DA12
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA40
4H045EA34
4H045EA50
(57)【要約】
【課題】創部で肉芽を模倣した組織が産生される皮膚組織創傷癒合模倣材を提供する。
【解決手段】
細胞とコラーゲンのゲルを含む皮膚組織創傷癒合模倣材であり、当該皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である。皮膚組織創傷癒合模倣材において、(コラーゲンの平均濃度[mg/mL]×2)+log(単位体積当たりの細胞の数[cells/mL])が9.3以上29.0以下であってもよい。皮膚組織創傷癒合模倣材において、細胞が線維芽細胞を含んでいてもよい。皮膚組織創傷癒合模倣材が、コラーゲンの濃度が異なる複数の領域を含み、複数の領域の少なくとも一部におけるコラーゲンの濃度が0.1mg/mLから0.5mg/mLであり、複数の領域の少なくとも他の一部におけるコラーゲンの濃度が2mg/mLから8mg/mLであってもよい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞とコラーゲンのゲルを含む皮膚組織創傷癒合模倣材であって、
当該皮膚組織創傷癒合模倣材における前記コラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である、皮膚組織創傷癒合模倣材。
【請求項2】
(前記コラーゲンの平均濃度[mg/mL]×2)+log(単位体積当たりの前記細胞の数[cells/mL])
が、9.3以上29.0以下である、請求項1に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材。
【請求項3】
前記細胞が線維芽細胞を含む、請求項1に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材。
【請求項4】
前記皮膚組織創傷癒合模倣材が、前記コラーゲンの濃度が異なる複数の領域を含み、前記複数の領域の少なくとも一部における前記コラーゲンの濃度が0.1mg/mLから0.5mg/mLであり、前記複数の領域の少なくとも他の一部における前記コラーゲンの濃度が2mg/mLから8mg/mLである、請求項1に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材。
【請求項5】
細胞とコラーゲンのゲルを含む皮膚組織創傷癒合模倣材であって、当該皮膚組織創傷癒合模倣材における前記コラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である皮膚組織創傷癒合模倣材を用意することと、
前記皮膚組織創傷癒合模倣材を切断することと、
前記皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位どうしを接触させることと、
前記切断部位どうしの癒合を観察することと、
を含む、皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法。
【請求項6】
前記切断部位どうしの癒合を観察することにおいて、前記皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばした際の断裂の有無又は程度を観察する、請求項5に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法。
【請求項7】
前記皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばす際、前記皮膚組織創傷癒合模倣材の前記切断部位に対して一方の側を把持し、他方の側を牽引する、請求項6に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法。
【請求項8】
前記切断部位どうしの癒合を観察する前に、前記細胞の培地をカルシウムを含まない溶液に置換する、請求項5に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法。
【請求項9】
細胞とコラーゲンのゲルを含む皮膚組織創傷癒合模倣材であって、当該皮膚組織創傷癒合模倣材における前記コラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である皮膚組織創傷癒合模倣材を用意することと、
前記皮膚組織創傷癒合模倣材を切断することと、
前記皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位どうしを接触させることと、
前記切断部位に創傷治療剤を加えることと、
前記切断部位どうしの癒合を観察することと、
を含む、皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法。
【請求項10】
前記切断部位どうしの癒合を観察することにおいて、前記皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばした際の断裂の有無又は程度を観察する、請求項9に記載の皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法。
【請求項11】
前記皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばす際、前記皮膚組織創傷癒合模倣材の前記切断部位に対して一方の側を把持し、他方の側を牽引する、請求項10に記載の皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法。
【請求項12】
前記切断部位どうしの癒合を観察する前に、前記細胞の培地をカルシウムを含まない溶液に置換する、請求項9に記載の皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法。
【請求項13】
第1の濃度のコラーゲン溶液で格子状の骨格を形成することと、
前記格子状の骨格の隙間に、細胞を含み、前記第1の濃度より低い第2の濃度のコラーゲン溶液を充填することと、
前記第1の濃度のコラーゲン溶液と、前記第2の濃度のコラーゲン溶液をゲル化して皮膚組織創傷癒合模倣材を得ることと、
を含む皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法であって、
前記第1の濃度のコラーゲン溶液におけるコラーゲンの濃度が2mg/mL以上8mg/mL以下であり、
前記第2の濃度のコラーゲン溶液におけるコラーゲンの濃度が0.1mg/mL以上0.5mg/mL以下であり、
前記皮膚組織創傷癒合模倣材全体における前記コラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下となるよう、前記第1の濃度のコラーゲン溶液の体積と前記第2の濃度のコラーゲン溶液の体積が設定される、
皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法。
【請求項14】
前記皮膚組織創傷癒合模倣材全体における、
(前記コラーゲンの平均濃度[mg/mL]×2)+log(単位体積当たりの前記細胞の数[cells/mL])
が、9.3以上29.0以下となるよう、前記第1の濃度のコラーゲン溶液及び前記第2の濃度のコラーゲン溶液が調製される、請求項13に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法。
【請求項15】
前記細胞が線維芽細胞を含む、請求項13に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法。
【請求項16】
3Dプリントにより前記格子状の骨格を形成する、請求項13に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法。
【請求項17】
3Dプリントにより前記格子状の骨格の隙間に前記第2の濃度のコラーゲン溶液を充填する、請求項13に記載の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞工学に関し、皮膚組織創傷癒合模倣材に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷は出血凝固期、炎症期、増殖期、成熟期の4つの複雑な工程を経て治癒される。一般的な創傷治療では、炎症期から増殖期で生じる上皮化と癒合を適切に行うことが最も重要とされている。
【0003】
試験受託企業等で創傷治癒の有効性を評価する従来のモデルとして、単層細胞培養によるスクラッチアッセイがある。スクラッチアッセイにおいては、培養基材上で細胞がコンフルエントになるように単層培養した後、細胞からなる単層の表面の一部を引っ掻いて細胞が剥離した領域(疑似的な創部)を作製し、その後の培養に伴って創部で生じる細胞の被覆を評価する。しかし、スクラッチアッセイでは、細胞の遊走による上皮化のみを評価しており、創傷治癒における創部の癒合を評価できない。
【0004】
非特許文献1、2は、表面に細胞を播種したコラーゲンの一部をくり抜き、くり抜いた部分に細胞を含まないコラーゲン及びフィブリンを充填した培養基材を創傷治癒モデルとして作製したことを報告している。非特許文献1、2は、培養に伴う細胞の遊走から細胞による創傷床の被覆を再現するモデルを報告している。しかし、このモデルは細胞の遊走のみを評価しており、創傷治癒における創部の癒合を評価できない。また、実際の創傷では、細胞がコラーゲンを産生することにより肉芽が創部を充填するが、このモデルでは人為的にコラーゲンをくり抜いた部分に移植しており、肉芽の再現ができない。
【0005】
特許文献1は、指や顔などの人体の形状に沿って真皮細胞を含んだコラーゲン被膜した人工三次元モデルを作製したことを報告している。さらに、特許文献1は、創傷修復モデルとして欠損部を作製したのちに、コラーゲンのシートを傷口に移植した後に細胞の移動、強度の回復、傷口の修復を確認したことを報告している。しかし、実際の創傷では細胞のコラーゲン産生により肉芽が創部を充填するのに対して、このモデルでは人為的にコラーゲンを移植しており、肉芽の再現ができない。また、コラーゲンシート移植によって人為的に創部を被覆しており、自発的な創部の閉鎖を再現できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Zhuo J. Chen, "A Novel Three-Dimensional Wound Healing Model," J. Dev. Biol. 2014, 2, 198-209; doi:10.3390/jdb2040198
【非特許文献2】Kritika Iyer, "Keratinocyte Migration in a Three-Dimensional In Vitro Wound Healing Model Co-Cultured with Fibroblasts," Tissue Eng Regen Med (2018) 15(6):721-733
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
創傷治療方法の有効性を評価するために創傷治癒モデルが利用されるが、従来のin vitroモデル系では上皮化の評価は可能であるものの、真皮の癒合については全く評価できない。癒合を再現するためには、創部で肉芽を模倣した組織が産生され、創部が閉鎖する工程を再現するモデルを開発することが望まれている。そこで、本発明は、創部で肉芽を模倣した組織が産生される皮膚組織創傷癒合模倣材を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究の末、細胞培養用のゲルにおけるコラーゲンの濃度を特定の範囲に設定し、かつ、ゲルにおける細胞の密度を特定の範囲に設定することにより、ゲルに創部を設けると、その後のゲル中の細胞の培養により創部が癒合することを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の態様に係る皮膚組織創傷癒合模倣材は、細胞とコラーゲンのゲルを含み、当該皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である。
【0011】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材において、
(コラーゲンの平均濃度[mg/mL]×2)+log(単位体積当たりの細胞の数[cells/mL])
が、9.3以上29.0以下であってもよい。
【0012】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材において、細胞が線維芽細胞を含んでいてもよい。
【0013】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材が、コラーゲンの濃度が異なる複数の領域を含み、複数の領域の少なくとも一部におけるコラーゲンの濃度が0.1mg/mLから0.5mg/mLであり、複数の領域の少なくとも他の一部におけるコラーゲンの濃度が2mg/mLから8mg/mLであってもよい。
【0014】
本発明の態様に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法は、細胞とコラーゲンのゲルを含む皮膚組織創傷癒合模倣材であって、当該皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である皮膚組織創傷癒合模倣材を用意することと、皮膚組織創傷癒合模倣材を切断することと、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位どうしを接触させることと、切断部位どうしの癒合を観察することと、を含む。
【0015】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法における、切断部位どうしの癒合を観察することにおいて、皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばした際の断裂の有無又は程度を観察してもよい。
【0016】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法において、皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばす際、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位に対して一方の側を把持し、他方の側を牽引してもよい。
【0017】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法において、切断部位どうしの癒合を観察する前に、細胞の培地をカルシウムを含まない溶液に置換してもよい。上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法において、切断部位どうしの癒合を観察する前に、皮膚組織創傷癒合模倣材内のカルシウムをキレートしてもよい。
【0018】
本発明の態様に係る皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法は、細胞とコラーゲンのゲルを含む皮膚組織創傷癒合模倣材であって、当該皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である皮膚組織創傷癒合模倣材を用意することと、皮膚組織創傷癒合模倣材を切断することと、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位どうしを接触させることと、切断部位に創傷治療剤を加えることと、切断部位どうしの癒合を観察することと、を含む。
【0019】
上記の皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法における、切断部位どうしの癒合を観察することにおいて、皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばした際の断裂の有無又は程度を観察してもよい。
【0020】
上記の皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法において、皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばす際、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位に対して一方の側を把持し、他方の側を牽引してもよい。
【0021】
上記の皮膚組織創傷治療剤のスクリーニング方法において、切断部位どうしの癒合を観察する前に、細胞の培地をカルシウムを含まない溶液に置換してもよい。上記の皮膚組織創傷癒合模倣材のスクリーニング方法において、切断部位どうしの癒合を観察する前に、皮膚組織創傷癒合模倣材内のカルシウムをキレートしてもよい。
【0022】
本発明の態様に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法は、第1の濃度のコラーゲン溶液で格子状の骨格を形成することと、格子状の骨格の隙間に、細胞を含み、第1の濃度より低い第2の濃度のコラーゲン溶液を充填することと、第1の濃度のコラーゲン溶液と、第2の濃度のコラーゲン溶液をゲル化して皮膚組織創傷癒合模倣材を得ることと、を含み、第1の濃度のコラーゲン溶液におけるコラーゲンの濃度が2mg/mL以上8mg/mL以下であり、第2の濃度のコラーゲン溶液におけるコラーゲンの濃度が0.1mg/mL以上0.5mg/mL以下であり、皮膚組織創傷癒合模倣材全体におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下となるよう、第1の濃度のコラーゲン溶液の体積と第2の濃度のコラーゲン溶液の体積が設定される。
【0023】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法において、
皮膚組織創傷癒合模倣材全体における、
(コラーゲンの平均濃度[mg/mL]×2)+log(単位体積当たりの細胞の数[cells/mL])
が、9.3以上29.0以下となるよう、第1の濃度のコラーゲン溶液及び第2の濃度のコラーゲン溶液が調製されてもよい。
【0024】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法において、細胞が線維芽細胞を含んでいてもよい。
【0025】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法において、3Dプリントにより格子状の骨格を形成してもよい。
【0026】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の製造方法において、3Dプリントにより格子状の骨格の隙間に第2の濃度のコラーゲン溶液を充填してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、創部で肉芽を模倣した組織が産生される皮膚組織創傷癒合模倣材を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の作製する際のツールパスを示す。
【
図2】
図2は、実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の構造を示す。
【
図3】
図3は、実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材のツールパスの断面を示す。
【
図4】
図4は、実施例1から8及び比較例1から比較例19に係る実験手順を示す。
【
図5】
図5は、実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【
図6】
図6は、実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【
図7】
図7は、実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【
図8】
図8は、比較例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【
図9】
図9は、比較例5に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【
図10】
図10は、比較例17に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【
図11】
図11は、皮膚組織創傷癒合模倣材のコラーゲンの濃度と、細胞の密度と、癒合の可否と、の関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態が本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【0030】
実施形態に係る皮膚組織創傷癒合模倣材は、細胞とコラーゲンのゲルを含み、当該皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である。
【0031】
細胞は、コラーゲンを産生する細胞、並びに皮膚及び真皮に含まれる細胞が使用可能である。コラーゲンを産生する細胞の例としては、線維芽細胞、間葉系幹細胞、及び軟骨細胞が挙げられる。線維芽細胞の例としては、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞、心臓線維芽細胞、大動脈外膜線維芽細胞、子宮線維芽細胞、及び絨毛間葉系線維芽細胞が挙げられる。皮膚及び真皮に含まれる細胞の例としては、角化細胞、ランゲルハンス細胞、メラノサイト、肥満細胞、血管内皮細胞、周皮細胞、及び免疫細胞が挙げられる。細胞の由来の例としては、ヒト、マウス、及びラットが挙げられる。細胞は、コラーゲンのゲルの内部で培養され、増殖し、遊走する。
【0032】
コラーゲンの例としては、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、VIII型コラーゲン、IX型コラーゲン、X型コラーゲン、XI型コラーゲン、XV型コラーゲン、XVII型コラーゲン、及びXVIII型コラーゲンが挙げられる。コラーゲンは、好ましくは、線維性コラーゲンである。コラーゲンは、好ましくは、I型コラーゲン又はIII型コラーゲンである。
【0033】
コラーゲンのゲルとしては、細胞培養が可能なように調製されることが好ましい。例えば、乾燥、膨潤、濃度調製、及び中和などのコラーゲンのゲルの調製工程は、滅菌操作下で行われることが好ましい。
【0034】
実施形態に係る皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下である。ここで、コラーゲンの平均濃度とは、皮膚組織創傷癒合模倣材全体におけるコラーゲンの平均濃度であり、皮膚組織創傷癒合模倣材においてコラーゲンの濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下の範囲外の部分があっても、全体としてコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下であればよい。例えば、皮膚組織創傷癒合模倣材において、コラーゲンの濃度が2mg/mL未満である部分や、コラーゲンの濃度が10mg/mLより高い部分があっても、全体としてコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上10mg/mL以下であればよい。
【0035】
皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が2mg/mL以上であることにより、皮膚組織創傷癒合模倣材において細胞を培養中、あるいは創傷の作製時又は作製後にコラーゲンゲルが変形や崩壊することを抑制可能である。また、皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの平均濃度が10mg/mL以下であることにより、皮膚組織創傷癒合模倣材を調製する際、凍結乾燥されたコラーゲンを膨潤する時に、均一に膨潤したコラーゲンを調製することが可能である。
【0036】
皮膚組織創傷癒合模倣材は、例えば、コラーゲン溶液と細胞を混合し、容器内で細胞を含むコラーゲン溶液をゲル化することにより製造される。皮膚組織創傷癒合模倣材は、コラーゲンのゲル内で細胞を培養するための培地をさらに含んでいてもよい。
【0037】
皮膚組織創傷癒合模倣材は、3Dプリンターにより製造されてもよい。例えば、基材上に、第1の濃度のコラーゲン溶液で格子状の骨格を形成し、格子状の骨格の隙間に、第1の濃度より低い第2の濃度のコラーゲン溶液であって、細胞を含むコラーゲン溶液を充填し、第1の濃度のコラーゲン溶液と、第2の濃度のコラーゲン溶液をゲル化してもよい。第1の濃度のコラーゲン溶液は、第2のコラーゲン溶液を充填する前にゲル化してもよい。あるいは、第1の濃度のコラーゲン溶液と第2のコラーゲン溶液を同時にゲル化してもよい。
【0038】
皮膚組織創傷癒合模倣材は、3Dプリンターにより製造する場合、第1の濃度は、例えば、2mg/mL以上8mg/mL以下である。第1の濃度が2mg/mL以上8mg/mL以下であることにより、3Dプリントの際、骨格を積層可能であり、かつ、3Dプリントの際、ノズルの目詰まりを抑制することが可能である。また、第2の濃度は、例えば、0.1mg/mL以上0.5mg/mL以下である。第2の濃度が0.1mg/mL以上0.5mg/mL以下であることにより、コラーゲンを含有する一般的な足場を使用可能である。
【0039】
皮膚組織創傷癒合模倣材において、
(コラーゲンの平均濃度[mg/mL]×2)+log(単位体積当たりの細胞の数[cells/mL])
が、9.3以上29.0以下になるよう、コラーゲンの濃度と細胞の密度を設定してもよい。これにより、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位が癒合する。
【0040】
皮膚組織創傷癒合模倣材は、例えば、当該皮膚組織創傷癒合模倣材が隙間なく入る容器に入れられる。皮膚組織創傷癒合模倣材を容器に隙間なく入れることにより、皮膚組織創傷癒合模倣材内で細胞を培養中に創傷が移動することを抑制可能である。容器は、例えば、滅菌処理される。
【0041】
実施形態に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法は、上記の実施形態に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を用意することと、皮膚組織創傷癒合模倣材を切断することと、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位どうしを接触させることと、切断部位どうしの癒合を観察することと、を含む。
【0042】
皮膚組織創傷癒合模倣材に培地を与えることによって、皮膚組織創傷癒合模倣材内で細胞が培養される。切断はメスによって行ってもよい。皮膚組織創傷癒合模倣材を部分的に切断してもよいし、二分割してもよい。
【0043】
例えば、皮膚組織創傷癒合模倣材を切断してから期間が経過した後、皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばして、断裂の有無又は程度を観察する。皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばす際、皮膚組織創傷癒合模倣材の切断部位に対して一方の側を把持し、他方の側を牽引してもよい。
【0044】
皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばしても断裂がなければ、切断部位どうしが癒合したと評価することが可能である。部分的に断裂しても断裂の程度が低ければ、切断部位どうしの癒合の程度が高いと評価することが可能である。部分的に断裂し断裂の程度が高ければ、切断部位どうしの癒合の程度が低いと評価することが可能である。完全に断裂すれば、切断部位どうしが癒合しなかったと評価することが可能である。
【0045】
細胞どうしは細胞表面に存在する糖タンパク質であるカドヘリンによって接着する。カドヘリンは、カルシウム依存的に細胞どうしを接着する。カドヘリンによる細胞間結合が生じない条件下で皮膚組織創傷癒合模倣材が癒合を維持するかを確認するために、切断部位どうしの癒合を観察する前に、皮膚組織創傷癒合模倣材をカルシウムを含まない溶液に浸漬して、細胞の培地をカルシウムを含まない溶液に置換してもよい。カルシウムをキレートしてもよい。カドヘリンによる細胞間結合が生じない条件下で皮膚組織創傷癒合模倣材が癒合を維持する場合は、細胞から産生されるコラーゲンマトリクスによって創部が修復されたと評価することが可能である。コラーゲンマトリクスによる創部の修復は、肉芽の形成を模倣している。
【0046】
上記の皮膚組織創傷癒合模倣材の観察方法において、切断部位に創傷治療剤を加えて、創傷治療剤をスクリーニングしてもよい。創傷治療剤を加えられた皮膚組織創傷癒合模倣材を引き延ばしても断裂がなければ、創傷治療剤が有効であると評価することが可能である。部分的に断裂しても断裂の程度が低ければ、創傷治療剤がやや有効であると評価することが可能である。部分的に断裂し断裂の程度が高ければ、創傷治療剤の有効が低いと評価することが可能である。完全に断裂すれば、創傷治療剤が有効でないと評価することが可能である。
【0047】
(実施例)
以下に本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されないことはもちろんである。
【0048】
(コラーゲンの調製)
コラーゲンの調製はすべてクリーンベンチ内で行い、使用する試薬と器具はすべて滅菌して使用した。濃度0.5%の市販のコラーゲン(主にI型)溶液を滅菌条件下で凍結乾燥用容器に充填し、-80℃で凍結を行った。凍結後のコラーゲンサンプルを凍結乾燥機で乾燥した。乾燥後にコラーゲンサンプルの重量を測定し、コラーゲンの濃度が10%になるように、滅菌条件下で乾燥コラーゲンサンプルに塩酸を加えた。その後、4℃で乾燥コラーゲンサンプルを膨潤させ、コラーゲンサンプルに、塩酸、10倍濃縮リン酸生理食塩水、フェノールレッド、及び1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えて、よく混合して中和した。中和の際に混合する塩酸の量を制御することで、コラーゲンサンプルにおけるコラーゲンの濃度を制御した。
【0049】
(実施例1から8及び比較例1から比較例19に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の作製)
ヒト線維芽細胞(継代数6)を培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレイプトマイシン含有)で増殖させた。その後、トリプシン/EDTA水溶液を利用した通常の細胞剥離操作によって細胞懸濁液を作製した。細胞懸濁液を中和したコラーゲン溶液と混合し、細胞を混合したコラーゲン溶液を48ウェルディッシュ内に150μL加えた。溶液がウェル内に隙間なく均一に広がったことを確認し、37℃で1時間、コラーゲン溶液をゲル化して、実施例1から8及び比較例1から比較例19に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を作製した。それぞれの皮膚組織創傷癒合模倣材におけるコラーゲンの濃度と細胞の密度を、表1に示す。
【表1】
【0050】
(実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の作製)
濃度が4%のコラーゲンを3Dプリンターのカートリッジに充填し22Gのノズルをセットした。また、細胞を含んだ濃度が0.4%のコラーゲンを3Dプリンターのカートリッジに充填し18Gのノズルをセットした。それぞれのカートリッジを3Dプリンターのヘッドにセットした。
図1に示すツールパスに従った3Dプリント(4%コラーゲン:押出圧力135kPa、0.4%コラーゲン+細胞:押出圧力36kPa、ヘッド温度4℃、ステージ温度37℃)によって、4%コラーゲンからなる格子状の骨組みを作製し、骨組みの中に、細胞を含有した0.4%コラーゲンを充填して、
図2に示すような構造物を造形した。造形した構造物の各層におけるツールパスの断面図を
図3に示す。この時のツールパスからゲル化後の組成を算出すると、平均のコラーゲン濃度は3.6%、平均の細胞密度は2×10
5cells/mLであった。構造物を3Dプリントした後、37℃で1時間、溶液をゲル化して、実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を作製した。
【0051】
(実施例1から8及び比較例1から比較例19に係る実験手順)
図4に示すように、ウェル内の皮膚組織創傷癒合模倣材に培地を300μL加え、コラーゲンのゲル中で細胞の三次元培養(37℃、5%CO
2雰囲気下)を開始した。翌日、滅菌したメスを用いて皮膚組織創傷癒合模倣材を半分に切断した。切断した皮膚組織創傷癒合模倣材の切断面が接触していることを確認し、さらに細胞を三次元培養した。細胞の培養中は、2、3日に1度の頻度で培地の交換を行った。皮膚組織創傷癒合模倣材を切断した後、細胞を10日間三次元培養した。
【0052】
(癒合の確認方法)
細胞を培養して10日目に皮膚組織創傷癒合模倣材をピンセットで把持して持ち上げ、癒合を確認した。また、顕微鏡によって創部を観察した。
【0053】
(細胞外マトリクスの確認)
培養14日目に、皮膚組織創傷癒合模倣材をピンセットで把持して持ち上げ、切断面の癒合を確認した。また、皮膚組織創傷癒合模倣材の創部で産生されたコラーゲンを確認するために、皮膚組織創傷癒合模倣材の内部を観察した。培養後の皮膚組織創傷癒合模倣材から30μmの厚みの凍結切片を作製し、凍結切片をヘマトキシリン・エオジン染色して観察した。
【0054】
(実施例1から8に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の評価結果)
実施例1から8に係る皮膚組織創傷癒合模倣材について、切断した後、10日目にウェル内で皮膚組織創傷癒合模倣材を動かし、癒合を確認した。
図5aに示すように、創部が接着していることを目視で確認した。また、皮膚組織創傷癒合模倣材をピンセットの先で動かしたときに、切断した二つのゲルが接着していることを確認した。また顕微鏡で100倍に拡大した顕微鏡観察においても、
図5bに示すように、創部が修復して二つの皮膚組織創傷癒合模倣材が接着している様子を確認した。以上の結果より、皮膚組織創傷癒合模倣材の創部を接触させて細胞を培養することによって、創部が癒合することが示された。
【0055】
また、カドヘリンによる細胞間結合が生じない条件下での癒合の維持を確認するために、細胞を培養してから14日目に実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材を5mmol/LのEDTA/リン酸生理食塩水に浸漬した。
図6aに示すようにリン酸生理食塩水中での浸漬3日目に再度修復を確認し、
図6bに示すようにピンセットでつまみ上げても創部が断裂しないことを確認した。EDTA/リン酸生理食塩水の浸漬によって細胞間接着に必要なカルシウムをキレートし、細胞間接着に必要なカルシウムが含まれない状態になったにもかかわらず創部が断裂しないことから、創部癒合において細胞間結合だけではなく細胞外マトリクスを介した結合が生じていることが示された。
【0056】
さらに、修復で生じた細胞外マトリクスを確認するために、30μmの厚みで実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の凍結切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行った。その結果、
図7で示すように、矢印で指示した部分の創部がコラーゲンで充填されていることを確認した。実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材では、従来技術でなされたような創部へのコラーゲンの移植を行っていないため、実施例1に係る皮膚組織創傷癒合模倣材では、細胞から産生されるコラーゲンマトリクスによって創部が修復されたことが示された。これは、創部で肉芽を模倣した組織が産生されたことを示している。
【0057】
(比較例1から19に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の評価結果)
比較例1から19に係る皮膚組織創傷癒合模倣材について、切断した後、10日目にウェル内で皮膚組織創傷癒合模倣材を動かしたところ、癒合を確認できなかった。比較例1から4と比較例6から9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材では、
図8aに示すように、癒合を目視で確認できなかった。また、
図8bに示すように、顕微鏡で100倍に拡大して観察したところ、創部における隙間が観察された。
図9に示すように、比較例5、10、11、15、16に係る皮膚組織創傷癒合模倣材については、収縮が生じ、創部が開裂した。
図10に示すように、比較例12から14及び17から19に係る皮膚組織創傷癒合模倣材においては、ゲルが崩壊した。
【0058】
(コラーゲンの濃度と癒合の関係)
図11は、実施例1から6と比較例1から19に係る皮膚組織創傷癒合模倣材のコラーゲンの濃度と、細胞の密度と、癒合の可否と、の関係を示している。この結果から、コラーゲンのゲルの中で線維芽細胞を三次元培養する際に、切断されたコラーゲンのゲルが癒合するコラーゲンの濃度と細胞の密度が明らかになった。
図11のグラフにおける癒合を生じる領域は、実施例8と6を結ぶ直線から算出すると、
コラーゲンの濃度≧2%、かつ
(コラーゲンの濃度[%]×2)+log(単位体積当たりの細胞数[cells/mL])≧9.301
の条件を満たす。
【0059】
凍結乾燥によって調製可能なコラーゲン濃度の上限は10%であり、コラーゲンのゲルとして調製可能な細胞密度の濃度の上限は1×109 cells/mLである。よって、皮膚組織創傷癒合模倣材において癒合が生じる条件は、
29≧(コラーゲンの濃度[%]×2)+log(単位体積当たりの細胞数[cells/mL])≧9.301
を満たすコラーゲンの濃度及び細胞密度であると算出された。
【0060】
(実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の評価結果)
図12aに示すように、実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材について、切断した後、10日目にウェル内のゲルを動かして癒合を確認した。
図12bに示すように、創部が接着していることを目視で確認し、ゲルをピンセットの先で動かしたときに、切断した二つのゲルの接着を確認した。実施例9に係る皮膚組織創傷癒合模倣材の全体における組成は、コラーゲンの平均濃度が3.6%、細胞の平均密度が2×10
5cells/mLであり、
図11に示したグラフの「創部が癒合する」コラーゲン組成の範囲に含まれている。そのため、
図11で示された創部治癒に関するコラーゲン濃度と細胞密度の条件が、複数のコラーゲン濃度が組み合わせたゲルに適用できることが示された。