(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158775
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】高セキュリティコミュニケーションシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/216 20220101AFI20231024BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20231024BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20231024BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20231024BHJP
【FI】
H04L51/216
G06F21/62 345
G06F21/60 320
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068752
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】515111819
【氏名又は名称】株式会社シェアメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】峯 啓真
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 チャット内容の秘匿性を高め、チャット利用の利便性を向上させることができる高セキュリティコミュニケーションシステムを提供する。
【解決手段】 チャット管理サーバ1が、ユーザID、グループIDとグループの構造を保持し、チャット内容データを投稿元サーバ2に暗号化して保存させ、暗号化された履歴情報を復号して当該履歴情報に従って投稿元サーバ2から暗号化されたチャット内容データを読み込んで復号化してチャットを再現して利用可能にする高セキュリティコミュニケーションシステムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャットを提供するチャット管理サーバを有する高セキュリティコミュニケーションシステムであって、
前記チャット管理サーバは、
ユーザの端末からチャット開始の要求を受けると、当該ユーザのユーザIDと前記ユーザが所属するグループのグループIDを読み取り、
前記グループIDに対応する、暗号化された投稿履歴情報を復号し、
前記グループIDに対応したチャット内容データを暗号化して保存する保存サーバに、前記復号した投稿履歴情報に基づいて前記暗号化されたチャット内容データを要求して取得し、
前記取得した暗号化されたチャット内容データを復号し、前記復号した投稿履歴情報に従って前記復号したチャット内容データを展開して前記ユーザの端末に提供することを特徴とする高セキュリティコミュニケーションシステム。
【請求項2】
前記チャット管理サーバは、
ユーザの端末からチャット終了の要求を受けると、チャットしたチャット内容データを暗号化し、ユーザIDとグループIDを付加して保存サーバに送信して保存させ、
前記グループIDと前記ユーザIDに対応付けて投稿履歴情報を暗号化して記憶することを特徴とする請求項1記載の高セキュリティコミュニケーションシステム。
【請求項3】
保存サーバをクラウドにおけるストレージサービスを用いたことを特徴とする請求項2記載の高セキュリティコミュニケーションシステム。
【請求項4】
前記チャット管理サーバは、ユーザの端末からグループ内の特定のユーザに電話を要求する投稿を行うと、前記特定のユーザが当該投稿に応答すると前記特定のユーザから前記電話を要求したユーザに電話を掛ける機能を有することを特徴とする請求項2記載の高セキュリティコミュニケーションシステム。
【請求項5】
前記チャット管理サーバは、ユーザの端末からグループ内の特定のユーザに位置情報を要求する投稿を行うと、前記特定のユーザが当該投稿に応答すると前記特定のユーザの位置が前記端末において地図上に表示される機能を有することを特徴とする請求項2記載の高セキュリティコミュニケーションシステム。
【請求項6】
前記チャット管理サーバは、グループ内の全てのユーザに回答を求めるアンケートを一斉に配信する機能を有することを特徴とする請求項2記載の高セキュリティコミュニケーションシステム。
【請求項7】
チャットを提供するチャット管理サーバで動作するプログラムであって、
前記チャット管理サーバを、
ユーザの端末からチャット開始の要求を受けると、当該ユーザのユーザIDと前記ユーザが所属するグループのグループIDを読み取り、
前記グループIDに対応する、暗号化された投稿履歴情報を復号し、
前記グループIDに対応したチャット内容データを暗号化して保存する保存サーバに、前記復号した投稿履歴情報に基づいて前記暗号化されたチャット内容データを要求して取得し、
前記取得した暗号化されたチャット内容データを復号し、前記復号した投稿履歴情報に従って前記復号したチャット内容データを展開して前記ユーザの端末に提供するよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記チャット管理サーバを、
ユーザの端末からチャット終了の要求を受けると、チャットしたチャット内容データを暗号化し、ユーザIDとグループIDを付加して保存サーバに送信して保存させ、
前記グループIDと前記ユーザIDに対応付けて投稿履歴情報を暗号化して記憶するよう機能させることを特徴とする請求項7記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療関連のチャットを行うシステムに係り、特に、チャット内容に秘匿性を向上させてチャット利用の利便性を向上させる高セキュリティコミュニケーションシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、医療に関連してチャットを行うことができるシステムがあった。
但し、医療関連のチャットには、患者の病状についての医療情報が含まれることが多く、チャット内容の秘匿性が必要であった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献には、特開2014-228978号公報「医療情報交換システム」(特許文献1)、特開2021-086245号公報「チャットシステムおよびチャット管理装置」(特許文献2)、特許第4598361号公報「信頼性のある分散型ピアツーピアネットワークを確立する方法及びシステム」(特許文献3)、特許第6806345号公報「医療・介護分野における多職種連携支援方法及びシステム」(特許文献4)がある。
【0004】
特許文献1には、医療情報を共有し、ユーザ同士のチャットを行うことができるネットワークシステムが示されている。
特許文献2には、複数のサーバに複数のチャットルームを分散管理し、チャット処理のレスポンス性能を高めるシステムが示されている。
【0005】
特許文献3には、ピアツーピアネットワークで暗号化したデータファイルを用いてチャットを実現するシステムが示されている。
特許文献4には、医療・介護関係者の連携を支援するシステムで、チャット機能を備えることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-228978号公報
【特許文献2】特開2021-086245号公報
【特許文献3】特許第4598361号公報
【特許文献4】特許第6806345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のシステムでは、医療関連の情報を含むチャットの内容について秘匿性を高めると共にチャットの利便性を向上させるものとはなっていないという問題点があった。
【0008】
尚、特許文献1~4には、チャット内容の秘匿性を高め、チャット利用の利便性を向上させるための構成の記載がない。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、チャット内容の秘匿性を高め、チャット利用の利便性を向上させることができる高セキュリティコミュニケーションシステム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、チャットを提供するチャット管理サーバを有する高セキュリティコミュニケーションシステムであって、チャット管理サーバが、ユーザの端末からチャット開始の要求を受けると、当該ユーザのユーザIDとユーザが所属するグループのグループIDを読み取り、グループIDに対応する、暗号化された投稿履歴情報を復号し、グループIDに対応したチャット内容データを暗号化して保存する保存サーバに、復号した投稿履歴情報に基づいて暗号化されたチャット内容データを要求して取得し、取得した暗号化されたチャット内容データを復号し、復号した投稿履歴情報に従って復号したチャット内容データを展開してユーザの端末に提供することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記高セキュリティコミュニケーションシステムにおいて、チャット管理サーバが、ユーザの端末からチャット終了の要求を受けると、チャットしたチャット内容データを暗号化し、ユーザIDとグループIDを付加して保存サーバに送信して保存させ、グループIDとユーザIDに対応付けて投稿履歴情報を暗号化して記憶することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記高セキュリティコミュニケーションシステムにおいて、保存サーバをクラウドにおけるストレージサービスを用いたことを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記高セキュリティコミュニケーションシステムにおいて、チャット管理サーバが、ユーザの端末からグループ内の特定のユーザに電話を要求する投稿を行うと、特定のユーザが当該投稿に応答すると特定のユーザから電話を要求したユーザに電話を掛ける機能を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記高セキュリティコミュニケーションシステムにおいて、チャット管理サーバが、ユーザの端末からグループ内の特定のユーザに位置情報を要求する投稿を行うと、特定のユーザが当該投稿に応答すると特定のユーザの位置が端末において地図上に表示される機能を有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記高セキュリティコミュニケーションシステムにおいて、チャット管理サーバが、グループ内の全てのユーザに回答を求めるアンケートを一斉に配信する機能を有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、チャットを提供するチャット管理サーバで動作するプログラムであって、チャット管理サーバを、ユーザの端末からチャット開始の要求を受けると、当該ユーザのユーザIDとユーザが所属するグループのグループIDを読み取り、グループIDに対応する、暗号化された投稿履歴情報を復号し、グループIDに対応したチャット内容データを暗号化して保存する保存サーバに、復号した投稿履歴情報に基づいて暗号化されたチャット内容データを要求して取得し、取得した暗号化されたチャット内容データを復号し、復号した投稿履歴情報に従って復号したチャット内容データを展開してユーザの端末に提供するよう機能させることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記プログラムにおいて、チャット管理サーバを、ユーザの端末からチャット終了の要求を受けると、チャットしたチャット内容データを暗号化し、ユーザIDとグループIDを付加して保存サーバに送信して保存させ、グループIDとユーザIDに対応付けて投稿履歴情報を暗号化して記憶するよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チャット管理サーバが、ユーザの端末からチャット開始の要求を受けると、当該ユーザのユーザIDとユーザが所属するグループのグループIDを読み取り、グループIDに対応する、暗号化された投稿履歴情報を復号し、グループIDに対応したチャット内容データを暗号化して保存する保存サーバに、復号した投稿履歴情報に基づいて暗号化されたチャット内容データを要求して取得し、取得した暗号化されたチャット内容データを復号し、復号した投稿履歴情報に従って復号したチャット内容データを展開してユーザの端末に提供する高セキュリティコミュニケーションシステムとしているので、保存サーバとチャット管理サーバとで分散して投稿関連のデータを保持して秘匿性を向上させ、ユーザの端末には通常のチャットと同様の利用を提供するため利便性も向上させることができる効果がある。
【0019】
本発明によれば、チャット管理サーバが、ユーザの端末からチャット終了の要求を受けると、チャットしたチャット内容データを暗号化し、ユーザIDとグループIDを付加して保存サーバに送信して保存させ、グループIDとユーザIDに対応付けて投稿履歴情報を暗号化して記憶する上記高セキュリティコミュニケーションシステムとしているので、チャット終了後にも保存サーバとチャット管理サーバとで投稿関連のデータを暗号化して保持でき、秘匿性を向上させ、次のチャット開始にスムーズに対応できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】チャット管理サーバのチャット開始処理を示すフロー図である。
【
図3】チャット管理サーバのチャット終了処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る高セキュリティコミュニケーションシステム(本システム)は、チャット管理サーバが、利用者(ユーザ)のIDとグループの構造を保持し、チャット内容データ(投稿データ)を投稿元のサーバが管理するネットワーク上のクラウドストレージに暗号化して保存させ、暗号化された履歴情報を復号してその履歴情報に従って投稿元のサーバから暗号化された投稿データを読み込んで復号化してチャットを再現して利用可能にするものであり、投稿元のサーバとチャット管理サーバとで分散して投稿関連データを保持して秘匿性を向上させることができ、更にユーザには通常のチャットと同様の利用を可能とするため利便性も向上させることができるものである。
【0022】
[本システム:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略構成図である。
本システムは、
図1に示すように、チャット管理サーバ1と、投稿元サーバ2と、投稿者端末3とを備え、ネットワーク4に接続している。
尚、
図1では、投稿者端末3を1台で描いているが、現実には、複数の投稿者端末3がネットワーク4に接続する。また、投稿元サーバ2も複数存在してネットワーク4に接続している。
【0023】
次に、本システムの各部について説明する。
[チャット管理サーバ1]
チャット管理サーバ1は、チャット内容データ(投稿データ)自体は記憶していないが、チャットを管理してチャット環境をユーザに提供し、更に過去のチャットを再現するものである。チャット管理サーバ1の処理動作の詳細は後述する。
【0024】
チャット管理サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13を備える情報処理装置で、記憶部12に記憶された処理プログラムが制御部11で実行されることにより特徴的な機能を実現している。
【0025】
制御部11は、ネットワーク4上でチャットの空間を提供するものの、チャット内容データを暗号化して投稿元サーバ2に保存させ、チャット履歴情報(投稿履歴情報)を暗号化して投稿者のユーザIDと所属するグループのグループIDと共に記憶部12に記憶する。
尚、制御部11は、チャットユーザのユーザ名も扱うが、そのユーザ名は、トークン化され、匿名化されたトークン名を使用するものである。
【0026】
また、制御部11は、投稿者端末3でチャットアプリが起動すると、チャット空間を再現するものであり、具体的には、投稿者のユーザが所属するグループのグループIDに関する投稿履歴情報に基づいて該当するユーザIDの暗号化されたチャット内容データを投稿元サーバ2から読み込んで復号してチャット環境(チャット表示内容)を再現している。
制御部11における具体的な処理については後述する。
【0027】
記憶部12は、処理プログラム以外にチャットユーザのユーザIDとグループID、更にグループの構造(グループ構造)と、トークン化されたユーザのトークン名と、チャット内容を除く投稿履歴情報を記憶している。特に、チャットの投稿履歴情報は、暗号化されて記憶されている。
グループ構造は、病院の組織が大規模であると、その病院におけるチャットグループの組織的な位置付け、グループ内での職制等を示すもので、このグループ構造を基にチャット環境が再現されるようになっている。
【0028】
ここで、記憶部12に記憶されるチャットに関連するデータを「チャット関連データ」と称する。
尚、ユーザID等のチャット関連データを外部のデータベース(DB)に記憶させるようにしてもよい。
チャット履歴情報を暗号化し、ユーザ名をトークン化しているので、記憶部12から情報漏洩があってもチャット履歴のデータ等の内容が解明されることはなく、秘匿性(セキュリティ)が高い。
インタフェース部13は、チャット管理サーバ1をネットワーク4に接続するための接続部である。
【0029】
[投稿元サーバ2]
投稿元サーバ2は、投稿者端末3を管理する処理装置で、医療機関又は当該医療機関が委託する外部のネットワーク上のクラウドサーバ等に設置され、投稿者端末3からの投稿は投稿元サーバ2を経由して行われる。
【0030】
また、投稿元サーバ2は、投稿者端末3でチャットが利用されて、投稿が為されると、チャット管理サーバ1で暗号化されたチャット内容データがグループID、ユーザIDに関連付けられて投稿元サーバ2に記憶されると共に、当該チャットの投稿履歴情報とグループID、ユーザIDがチャット管理サーバ1に記憶される。
【0031】
ここで、投稿元サーバ2では、チャット内容データは暗号化されて記憶され、チャット管理サーバ1では、チャット履歴情報が暗号化されて記憶されるようになっている。
尚、投稿元サーバ2でチャット内容データを暗号化して記憶する保存サーバであるが、ネットワーク上のクラウドストレージ(クラウドストレージサービス)に暗号化したチャット内容データを記憶させるようにしてもよい。
暗号化さえたチャット内容データを投稿元サーバ2で保存するより、投稿元サーバ2が提携するクラウドストレージサービスに保存する方が、コスト及びセキュリティ面で有利である。
【0032】
チャット内容データは、暗号化された状態で医療機関の投稿元サーバ2に保存されているので、もし情報の漏洩があってもチャット内容が解明されることがなく、秘匿性(セキュリティ)が高い。
【0033】
チャットは、グループ単位で1つの投稿元サーバ2で行われることが基本であるが、複数の投稿元サーバ2を用いたチャットも可能である。この場合、1つのグループ又は複数のグループが用いられることになるが、投稿者のチャット内容データは、各投稿者を管理する投稿元サーバ2に暗号化されて記憶されるものである。
【0034】
[投稿者端末3]
投稿者端末3は、投稿元サーバ2を経由して、チャット管理サーバ1が提供するチャット空間でチャットを行うが、チャットの履歴情報は暗号化されてチャット管理サーバ1で保持され、チャット内容データは暗号化されて投稿元サーバ2で保持され、このように暗号化したデータを分散管理しているため、投稿者にとって高セキュリティであって、更に通常のチャットのように利用できるので利便性が高い。
【0035】
本システムでは、投稿者端末3が、投稿元サーバ2を経由してチャット管理サーバ1にチャット環境の提供を要求しているが、投稿者端末3がチャット管理サーバ1に直接チャット要求を行い、チャット管理サーバ1が投稿元サーバ2の投稿者端末3からのチャット要求を通知するようにしてもよい。
【0036】
[処理内容:
図2,3]
本システムの処理内容について
図2,3を参照しながら説明する。
図2は、チャット管理サーバのチャット開始処理を示すフロー図であり、
図3は、チャット管理サーバのチャット終了処理を示すフロー図である。
【0037】
[チャット開始処理:
図2]
本システムのチャット管理サーバ1は、
図2に示すように、投稿者端末3から投稿元サーバ2を経由してチャット利用要求があると(S1)、投稿元サーバ2から利用要求があったユーザのグループID、ユーザIDを取得し(S2)、記憶部12から当該グループIDが示すグループ構造を読み込み(S3)、当該グループIDの暗号化された投稿履歴情報(履歴情報)を読み込んで(S4)、更に復号化して(S5)、グループ構造に基づいて履歴情報に従ってチャット空間を再現する。
【0038】
チャット空間の再現においては、チャット管理サーバ1は、復号した過去の履歴情報から、過去の投稿者のグループIDとユーザIDを取得し(S6)、そのグループIDとユーザIDに基づいて該当する投稿元サーバ2に履歴情報が示すチャット内容データを要求する(S7)。
【0039】
投稿元サーバ2は、要求されたチャット内容データを暗号化した状態でチャット管理サーバ1に送信し、チャット管理サーバ1が要求された暗号化されたチャット内容データを取得し(S8)、チャット管理サーバ1が復号してチャット空間に展開する(S9)。過去のチャットが複数ある場合には、複数のチャット内容データが復号されて時系列に結合されて再現されることになる。
【0040】
[チャット終了処理:
図3]
投稿者端末3でチャット利用を終了する指示が入力されると、チャット管理サーバ1は、
図3に示すように、チャット利用の終了の指示を検出し(S10)、新たにチャットされたチャット内容データを暗号化してグループID、ユーザIDと共に投稿元サーバ2に送信し(S11)、投稿元サーバ2がそれらデータを記憶部に記憶する。
【0041】
また、チャット管理サーバ1は、投稿履歴情報を暗号化してグループID、ユーザIDと共に記憶部12に記憶する(S12)。
尚、チャット開始前の過去のチャット内容データは、チャット管理サーバ1で再現されるが、再現されるチャット内容データは、例えば、1カ月などの特定期間内のものに限定することができる。
【0042】
また、投稿元サーバ2から読み出される暗号化されたチャット内容データが、コピーであって原本の暗号化のチャット内容データを投稿元サーバ2に残したままにすれば、チャット管理サーバ1は、再現された過去のチャット内容データを、暗号化して投稿元サーバ2に送信せずに、チャット終了後に消去すれば処理量を減らすことができる。
つまり、チャットが開始されて新たに入力されたチャット内容データについて、チャット管理サーバ1は、暗号化して投稿元サーバ2に送信し、投稿履歴情報を暗号化して記憶部12に記憶することになる。
【0043】
[応用例]
チャット内容としては、画像、動画、リンク先を投稿できる。
また、チャット内容として、特定の相手への電話要求(電話して欲しい要求)を投稿すると、それを受信した相手は、その投稿への応答操作で電話を要求した相手に電話を掛ける機能を備える。
【0044】
また、チャット内容として、特定相手への位置情報要求(現在の位置を知らせて欲しい要求)を投稿すると、それを受信した相手は、その投稿への応答操作で自分の現在地を知らせる機能を備える。この現在地は投稿者端末3の表示画面において地図を表示し、その地図上に位置情報をアイコンで表示することで行うようにする。
【0045】
この位置情報の表示は、GPS(Global Positioning System)を利用することが考えられるが、建物の内部(地下、階層等)の位置までを認識するには、建物内部にビーコンシステムを設置し、そのビーコンシステムで端末の位置を検出して表示させるようにしてもよい。
無論、以上のチャット内容は、その後、投稿元サーバ2に暗号化されて記憶される。
【0046】
また、本システムのチャットでは、秘匿性を向上させるために、スクリーンショット機能を利用できないように制限している。
また、本システムのチャットでは、グループ内のユーザ全員に一斉呼出を行う機能を備えている。
更に、本システムのチャットでは、グループ内のユーザに対するアンケート機能を備えている。このアンケート機能は、災害時等に安否確認に利用することができる。
【0047】
本システムのチャットでは、特定のグループ内でのユーザ間のチャット利用を想定したものであるが、当該グループにIDとパスワードを付与した権限のある患者を参加させることも可能である。
【0048】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、チャット管理サーバ1が、ユーザID、グループIDとグループの構造を保持し、チャット内容データを投稿元サーバ2に暗号化して保存させ、暗号化された履歴情報を復号して当該履歴情報に従って投稿元サーバ2から暗号化されたチャット内容データを読み込んで復号化してチャットを再現して利用可能にするものとしているので、投稿元サーバ2とチャット管理サーバ1とで分散してチャット関連データを保持して秘匿性を向上させることができ、更に投稿者端末3のユーザには通常のチャットと同様の利用が可能となるため利便性も向上させることができる効果がある。
【0049】
本システムによれば、チャット管理サーバ1が、投稿者端末3からチャット終了の要求を受けると、チャット内容データを暗号化し、ユーザIDとグループIDを付加して投稿元サーバ2に送信して保存させ、グループIDとユーザIDに対応付けて投稿履歴情報を暗号化して記憶部12に記憶するようにしているので、チャット終了後にも投稿元サーバ2とチャット管理サーバ1とでチャット関連データを暗号化して保持でき、秘匿性を向上させ、次のチャット開始にスムーズに対応できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、チャット内容の秘匿性を高め、チャット利用の利便性を向上させることができる高セキュリティコミュニケーションシステムに好適である。
【符号の説明】
【0051】
1…チャット管理サーバ、 2…投稿元サーバ、 3…投稿者端末、 4…ネットワーク、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部