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特開2023-158797植物工場において植物生育用の液体の温度を管理する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158797
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】植物工場において植物生育用の液体の温度を管理する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20231024BHJP
【FI】
A01G31/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068797
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】秋田 励紀
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA12
2B314MA33
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA42
2B314PA20
2B314PB24
2B314PB44
2B314PB47
2B314PB64
2B314PD37
2B314PD44
2B314PD47
2B314PD51
2B314PD52
2B314PD57
2B314PD59
(57)【要約】
【課題】本発明は、植物工場において植物生育用の液体の温度を管理する方法およびシステムを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理する方法であって、前記植物工場の生育室内には照明機器が設置され、植物は照明機器で照らされながら培養液が入った栽培槽内で生育されるものであり、前記方法は、前記生育室内に設置されたヒートポンプ型熱交換器により、培養液用の水または培養液である液体を加熱する工程と、加熱された前記液体を前記栽培槽に供給する工程とを含む、前記方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理する方法であって、
前記植物工場の生育室内には照明機器が設置され、植物は照明機器で照らされながら培養液が入った栽培槽内で生育されるものであり、
前記方法は、
前記生育室内に設置されたヒートポンプ型熱交換器により、培養液用の水または培養液である液体を加熱する工程と、
加熱された前記液体を前記栽培槽に供給する工程と
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記生育室内の空気を循環させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生育室内の気温が18~26℃であり、前記栽培槽に供給される前記液体の温度が18~26℃である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記生育室内の空気のCO濃度は、前記生育室外の大気中のCO濃度よりも高い、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理するシステムであって、
前記植物工場の生育室内には照明機器が設置され、植物は照明機器で照らされながら培養液が入った栽培槽内で生育されるものであり、
前記システムは、
前記生育室内に設置され、培養液用の水または培養液である液体を加熱するヒートポンプ型熱交換器と、
前記ヒートポンプ型熱交換器により加熱された前記液体を、前記栽培槽に供給する液体供給装置と
を含む、前記システム。
【請求項6】
前記生育室内の空気を循環させる送風機をさらに含む請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記生育室内の気温が18~26℃であり、前記栽培槽に供給される前記液体の温度が18~26℃である、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記生育室内の空気のCO濃度は、前記生育室外の大気中のCO濃度よりも高い、請求項5または6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場において植物生育用の液体の温度を管理する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物工場内で行われる植物の栽培は水耕栽培で行われる。植物工場の生育室内に複数設けられた栽培槽中の培養液に、植物を植えた定植パネル(苗床)が浸され、植物はLED等の照明機器で照らされならが生育される。植物が育った後、植物は栽培槽から取り出され、収穫される。
【0003】
植物工場の生育室内には多くの照明機器が設置される。植物を照らす照明機器の排熱は大きく、例えば消費電力の多く(8割以上)が熱に変換され、周囲の空気中に排出され、生育室内の栽培環境の気温を上昇させる。例えば照明機器が白色LEDの場合、青色から蛍光で波長を変える際に発光効率が下がるため、そもそもの発光量を多くする必要がある上、以下に記す、発光のメカニズムとは関係ない部分での電気的な発熱、例えばジュール熱等が生じる。照明機器の点灯回路は、給電された交流を直流に変換する整流回路、平滑化回路、およびLEDの電流制御する定電流回路を有するが、これらに用いられる半導体にはそれぞれ一定の電圧降下が存在し、電流値を大きくするとその2乗に比例して、照明機器の点灯回路からの発熱が多くなる。
【0004】
植物の生育効率の点から、生育室内のCO濃度は、生育室外の外気に比べて高く保つ必要があり、生育室内の換気は頻繁には行われない。そのため、従来では、照明機器の排熱を取り除くために、別途エアコン等の空調機器を生育室内に設置して、照明機器の排熱を生育室外に排出している。
【0005】
特許文献1は、植物工場における熱機関を駆動源とする発電機を備え、これにより植物生育用の照明電力をまかなうと共に、熱機関から生じる排熱を利用して植物工場の空調を行わせ、かつ熱機関から生じる排ガス中の炭酸ガスを植物へ供給する植物工場システムを開示する。具体的には、植物工場の外に発電機およびディーゼルエンジンを設置し、その電力を植物工場の照明機器の電力源として利用する。ディーゼルエンジンの排ガスの熱の一部は、植物工場の冷凍機の駆動に用いられ、一部は温熱源として利用される。
【0006】
特許文献2は、照明による発熱が空気調和負荷の大部分を占める植物工場において、地殻の安定度の高い温度を利用して循環型地中放熱管に拠って排熱を処理し、冷媒圧縮機の能力を安定させて、常温に近いぬるい冷水で、冷却負荷の殆どを占める照明による顕熱負荷を安定的に且つ省エネルギー的に冷却除去して室温を所定の温度に保つ発明を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1-141528号公報
【特許文献2】特開2011-117707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
植物工場の生育室内の栽培槽に貯留される培養液は、蒸発による減少や栄養素の低下等の影響から、連続的にまたは所定の期間ごとに入れ替えられ、更新される。培養液の更新に際し、植物の生育への悪影響を低減するために、栽培槽に新たに供給する培養液用の水または培養液は、栽培槽中の古い培養液に対して、できるだけ温度差がない状態にしておくことが求められる。
【0009】
このような課題に鑑み、本発明は、植物工場において植物生育用の液体の温度を管理する方法およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明には、以下の態様が含まれる。
〔態様1〕
植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理する方法であって、
前記植物工場の生育室内には照明機器が設置され、植物は照明機器で照らされながら培養液が入った栽培槽内で生育されるものであり、
前記方法は、
前記生育室内に設置されたヒートポンプ型熱交換器により、培養液用の水または培養液である液体を加熱する工程と、
加熱された前記液体を前記栽培槽に供給する工程と
を含む、前記方法。
〔態様2〕
前記生育室内の空気を循環させる工程をさらに含む、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
前記生育室内の気温が18~26℃であり、前記栽培槽に供給される前記液体の温度が18~26℃である、態様1または2に記載の方法。
〔態様4〕
前記生育室内の空気のCO濃度は、前記生育室外の大気中のCO濃度よりも高い、態様1~3のいずれか1項に記載の方法。
〔態様5〕
植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理するシステムであって、
前記植物工場の生育室内には照明機器が設置され、植物は照明機器で照らされながら培養液が入った栽培槽内で生育されるものであり、
前記システムは、
前記生育室内に設置され、培養液用の水または培養液である液体を加熱するヒートポンプ型熱交換器と、
前記ヒートポンプ型熱交換器により加熱された前記液体を、前記栽培槽に供給する液体供給装置と
を含む、前記システム。
〔態様6〕
前記生育室内の空気を循環させる送風機をさらに含む態様5に記載のシステム。
〔態様7〕
前記生育室内の気温が18~26℃であり、前記栽培槽に供給される前記液体の温度が18~26℃である、態様5または6に記載のシステム。
〔態様8〕
前記生育室内の空気のCO濃度は、前記生育室外の大気中のCO濃度よりも高い、態様5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係る植物工場において植物生育用の液体の温度を管理する方法およびシステムは、植物工場の生育室内の照明機器の排熱を回収し、培養液等の液体の加熱に用いる。これにより、植物工場全体のエネルギー効率を向上でき、照明機器の排熱による生育室内の気温の上昇を抑えるための、排熱用の空調機器等も削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理するシステムの概略構成図である。
図2】植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理するシステムの概略構成図である。
図3】ヒートポンプ型熱交換器および液体供給装置の概略構成図である。
図4】ヒートポンプ型熱交換器および液体供給装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る、植物工場3において植物生育用の培養液の温度を管理するシステム1の概略構成図である。システム1は、ヒートポンプ型熱交換器10および液体供給装置20を備える。また、システム1は、送風機7をさらに備えるようにしてもよい。
【0014】
植物工場3内には、1つまたは複数の生育室5が設けられ、各生育室5内には、ヒートポンプ型熱交換器10および栽培ユニット30が設置される。なお、ヒートポンプ型熱交換器10は、各生育室5内に1つまたは複数設置されてもよいし、1つの生育室5内に設置された1つまたは複数のヒートポンプ型熱交換器10を、複数の生育室5で共有するようにしてもよい。
【0015】
生育室5内の空気中のCO濃度は、生育室5外の大気に比べて高濃度となるように保たれている。CO濃度を高く保つために、生育室5は外気との空気の入れ替えが制御される。例えば、生育室5内の空気中のCO濃度が外気よりも高濃度となるように換気量が抑えられる。
【0016】
ヒートポンプ型熱交換器10は、液体供給装置20と接続され、加熱した液体を液体供給装置20に送る。加熱された液体は、液体供給装置20の貯湯タンク21に蓄えられ、液体供給装置20から管22aを通じて栽培槽32に送られる。なお、必要に応じて、貯湯タンク21(または培養液調製槽23)において水などが追加され、液体の温度を所定の温度(例えば18~26℃)となるように調整してもよい。
【0017】
なお、栽培槽32中の液体を、管22bを通じて貯湯タンク21(または培養液調製槽23)に戻し、栽培槽32と貯湯タンク21(または培養液調製槽23)との間で液体を循環させるようにしてもよい。この場合、貯湯タンク21(または培養液調製槽23)において、栽培槽32から戻る液体は、水熱交換部13にて加熱された液体と混合されることで、所定の温度(例えば18~26℃)に調整され、管22aを通じて栽培槽32に供給される。
【0018】
ヒートポンプ型熱交換器10は生育室5内に設置されるが、液体供給装置20は、生育室5内に設置されていてもよいし(図1)、生育室5の外(例えば植物工場3の屋外)に設置されていてもよい(図2)。
【0019】
生育室5内には、1つまたは複数の栽培ユニット30が設置される。栽培ユニット30は1段または複数段の栽培ラック31を有し、各栽培ラック31には栽培槽32が設置される。栽培ユニット30は、植物34の生育のための、LED、白熱灯、または蛍光灯などの照明機器35をさらに備える。栽培槽32内には、植物の生育に必要な培養液が貯留され、培養液に浮かせた苗床33に植物34が保持される。植物34は、照明機器35で照らされながら、培養液内の栄養素を吸収しながら水耕栽培で生育される。
【0020】
栽培槽32に貯留される培養液は、主成分が水であり、生育する植物34の種類に応じた栄養素が添加されたものである。苗床33は、栽培槽32に貯留される培養液よりも比重が軽い材料で形成され、植物34を保持した状態であっても培養液に浮くものであれば特に限定されない。例えば、苗床33の材料として、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、若しくはポリエチレン樹脂等の合成樹脂発泡体、または合成樹脂と金属(もしくは木材)との複合材などを用いることができる。
【0021】
送風機7は、生育室5内の空気を循環させるものである。とくに照明機器35の周囲の空気は、照明機器35の排熱により温度が高くなりやすい。送風機7により生育室5内の空気を循環させることで、照明機器35周囲の気温と、ヒートポンプ型熱交換器10周囲の気温の温度差を低減でき、生育室5内の気温をおよそ均一にできる。これにより、ヒートポンプ型熱交換器10は、照明機器35の排熱を効率的に回収し、液体の加熱に利用できる。
【0022】
図3及び図4は、ヒートポンプ型熱交換器10および液体供給装置20の概略構成図である。
【0023】
ヒートポンプ型熱交換器10は、空気熱交換部11、冷媒圧縮部12、水熱交換部13、および冷媒膨張部14を備え、それぞれが冷媒管15で接続されている。冷媒管15内を流れる冷媒は、好ましくはCO冷媒である。CO冷媒を用いることで、万一漏洩したとしても、植物の生育への影響を小さくできる。
【0024】
ヒートポンプ型熱交換器10の空気熱交換部11において、生育室5内の空気の熱を利用して、冷媒管15内を流れる冷媒が加熱される。例えば、ファンにより生育室5内の空気を冷媒管15に当てて冷媒を加熱する。冷媒圧縮部12において、圧縮機等により空気熱交換部11で温められた冷媒が圧縮され、冷媒はさらに加熱される。水熱交換部13において、冷媒圧縮部12で加熱された冷媒の熱が、管17を通じて給水される水(水道水、天然水、または地下水等)に移動し、水は加熱される。例えば、冷媒管15と水を接触させることで、冷媒の熱を水に移動させる。冷媒膨張部14において、膨張弁等により冷媒を膨張させ(減圧・気化させ)、冷媒を冷却する。ヒートポンプ型熱交換器10において、以後これらの処理が繰り返される。
【0025】
液体供給装置20は貯湯タンク21を備える。ヒートポンプ型熱交換器10により加熱された液体(培養液用の水または培養液)は貯湯タンク21で貯留され、栽培槽32(または培養液調製槽23)に送られる。なお、貯湯タンク21において加熱した液体と水とを混合し、液体の温度を調整するようにしてもよい。また、前述のとおり、貯湯タンク21(または培養液調製槽23)において、加熱した液体と栽培槽32から戻る液体とを混合させるようにしてもよい。
【0026】
液体供給装置20から栽培槽32に送られる液体の温度は、好ましくは、生育室5内の気温と同程度であり、例えば、12~30℃、16~28℃、18~26℃、20~24℃、または21~23℃である。
【0027】
ヒートポンプ型熱交換器10により加熱される液体が培養液用の水である場合、栽培槽34において、またはシステム1内に設置された培養液調製槽23において、加熱された水に栄養素が添加され、培養液が調製される。培養液の調製は栄養素を自動的に添加する装置を用いておこなうものであってもよいし、人が栄養素を添加するものであってもよい。
【0028】
液体供給装置20は、培養液調製槽23をさらに備えるようにしてもよい(図4)。培養液調製槽23は貯湯タンク21とは別の筐体としてシステム1内に設置してもよく、貯湯タンク21と培養液調製槽23は、同じ筐体内に包含されている必要はない。
【0029】
なお、ヒートポンプ型熱交換器10は、水ではなく、培養液を直接加熱するようにしてもよい。この場合、液体供給装置20は、培養液調製槽23を備えておく必要はない。システム1内に培養液調製槽23を設け、培養液調製槽23で調製した培養液を管17を通じてヒートポンプ型熱交換器10に送るようにしてもよい。
【0030】
栽培槽32用の培養液の温度は、生育室5内の気温と同程度の温度となることが好ましい。生育する植物34の種類によって異なるが、例えば、生育室5内の気温および栽培槽32の培養液の温度は、12~30℃、16~28℃、18~26℃、20~24℃、または21~23℃である。この温度の液体(培養液用の水または培養液)が栽培槽32に供給できるように、ヒートポンプ型熱交換器10において液体が加熱される。
【0031】
生育室5内には多数の照明機器35が設置され、照明機器35の消費電力の多くは熱として空気中に排出される。生育室5内は、空気のCO濃度を外気よりも高く保つ必要があるため、生育室5内の換気は制限されている。そのため、生育室5内の気温は照明機器35の排熱により上昇しやすい。
【0032】
本実施形態に係るシステム1は、生育室5内に設置されたヒートポンプ型熱交換器10を用いることで、照明機器35の排熱を回収して、栽培槽32用の液体(培養液用の水または培養液)を加熱できるため、植物工場3におけるエネルギー効率が改善される。すなわち、ヒートポンプ型熱交換器10を生育室5の外(例えば植物工場3の屋外)に設置した場合に比べて、ヒートポンプ型熱交換器10の空気熱交換部11において、照明機器35の排熱により温められた空気を冷媒に当てることができるため、液体の加熱の際のヒートポンプ型熱交換器10の消費電力を低減できる。また、照明機器35の排熱をヒートポンプ型熱交換器10で回収するため、照明機器35の排熱による生育室5内の気温の上昇を抑制でき、生育室5内の気温を所定の温度に保つための空調機器等を低減できる。
【0033】
本実施形態に係るシステム1を用いた、植物工場3において植物生育用の培養液の温度を管理する方法について説明する。当該方法は、生育室5内に設置されたヒートポンプ型熱交換器10により、培養液用の水または培養液である液体を加熱する工程と、加熱した液体を栽培槽32に供給する工程とを含む。
【0034】
栽培槽32中の培養液は、蒸発による減少や栄養素の低下などの理由から所定の頻度で入れ替える必要がある。例えば、栽培槽32中の培養液は、少量ずつ連続的に新しい培養液が栽培槽32に注入され、古い培養液を少量ずつ連続的に排出することで入れ替えるようにしてもよい。また、栽培槽32中の培養液は、数日または数週間ごとに、一度に新しいものに全体を入れ替えるようにしてもよい。
【0035】
培養液の入れ替えに際し、古い培養液に比べて新しい培養液が非常に冷たいものである場合、植物34の生育へ悪影響が生じることがある。このような影響を回避するために、新しい培養液と古い培養液との温度差ができるだけ生じないように、ヒートポンプ型熱交換器10により液体(培養液用の水または培養液)を予め加熱した上で、液体が栽培槽32に供給される。なお、各栽培槽32に培養液の栄養素等を検知するセンサ(不図示)を設け、センサの出力に応じて自動的に培養液を供給する制御装置(不図示)をシステム1に設けるようにしてもよい。
【0036】
また、本実施形態に係る方法は、栽培槽32中の培養液の入れ替えの必要性の有無を判定する工程を含んでいてもよい。当該判定は、上記センサの出力に基づき上記制御装置(不図示)が自動的に判定するものであってもよいし、人が判定するものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 植物工場において植物生育用の培養液の温度を管理するシステム
3 植物工場
5 生育室
10 ヒートポンプ型熱交換器
11 空気熱交換部
12 冷媒圧縮部
13 水熱交換部
14 冷媒膨張部
15 冷媒管
16、17、22a、22b 管
20 液体供給装置
21 貯湯タンク
23 培養液調製槽
30 栽培ユニット
31 栽培ラック
32 栽培槽
33 苗床
34 植物
35 照明機器
図1
図2
図3
図4