(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158798
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】扉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/28 20060101AFI20231024BHJP
E05C 1/04 20060101ALI20231024BHJP
E06B 7/30 20060101ALI20231024BHJP
E06B 3/00 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
E06B7/28 B
E05C1/04 D
E06B7/30 Z
E06B7/28 C
E06B3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068800
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】時岡 洋光
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聖
(57)【要約】
【課題】主扉6と袖扉9とが屋内外方向に開閉自在に設けられた扉装置1において、袖扉9に設けられるインターホン装置15等の電気・電子器具への躯体側からの配線17を簡単に施す。
【解決手段】袖扉9の上フレーム材14eと躯体側の上側横枠4とに貫通孔14f、4aを設け、該貫通孔14f、4aを貫通する状態で躯体側と袖扉9とのあいだの配線17を施す。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主扉の戸先側に隣接する状態で袖扉が開閉自在に設けられ、該袖扉に、躯体側からの配線を介して電気的に接続される電気・電子器具を設けてなる扉装置において、
前記袖扉の上端縁部と躯体側の上側横枠とに、前記配線が貫通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする扉装置。
【請求項2】
袖扉は、該袖扉の戸先側部位の上下に設けられるフランス落とし錠により常時は閉鎖姿勢に維持されるものであり、該フランス落とし錠は、袖扉の戸先側端縁部に露出する操作具が操作不能となるよう塞ぎ板を介して覆蓋されていることを特徴とする請求項1記載の扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やマンション等の建物の出入り口部に建て付けられる扉装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅やマンション等の建物の出入り口部を開閉するため設けられる扉装置(ドア装置)として、主扉(親扉)と、該主扉の戸先側に隣接する状態で袖扉(子扉)が開閉自在に設けられたものが知られているが、このような扉装置のなかには、袖扉に、インターホンや電子錠、照明器具等の電気・電子器具を設けることがある。
このように電気・電子器具を袖扉に設ける場合、躯体側から袖扉に対して施した電気配線を介して電気・電子器具を電気的に接続する必要があり、斯かる電気配線を施す場合に、公知の通電式の蝶番を採用することで対応できる。しかしながら通電式の蝶番は高価であるため、袖扉の開閉が稀であって、例えば前記電気・電子器具のメンテナンス作業をする場合のように、開閉操作を滅多にしか行わないような袖扉に採用することに躊躇される場合がある。
そこでこのような袖扉に電気的な配線を施す場合に、袖扉の吊元側となる戸尻側端縁部と戸尻側縦枠とのあいだにフレキシブル管を設け、該フレキシブル管にコード(電線)を配線するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記従来のものは、フレキシブル管という汎用性の低い管体が必要になるだけでなく、戸尻側縦枠にフレキシブル管の端縁部を支持する支持部を設ける必要があって部品点数も多く、構造が複雑になる等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、主扉の戸先側に隣接する状態で袖扉が開閉自在に設けられ、該袖扉に、躯体側からの配線を介して電気的に接続される電気・電子器具を設けてなる扉装置において、前記袖扉の上端縁部と躯体側の上側横枠とに、前記配線が貫通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする扉装置である。
請求項2の発明は、袖扉は、該袖扉の戸先側部位の上下に設けられるフランス落とし錠により常時は閉鎖姿勢に維持されるものであり、該フランス落とし錠は、袖扉の戸先側端縁部に露出する操作具が操作不能となるよう塞ぎ板を介して覆蓋されていることを特徴とする請求項1記載の扉装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、躯体側からの配線を介して電気的に接続される電気・電子器具が袖扉に設けられているものにおいて、該袖扉が電気・電子機器をメンテナンスする場合等、稀にしか開閉操作されないものである場合の配線が、袖扉の上端縁部と躯体側の上側横枠とに設けた貫通孔を介して行われることになって構造の簡略化、低廉化を図ることができる。
請求項2の発明とすることにより、袖扉が稀にしか開閉操作されないものである場合に、袖扉の錠装置となるフランス落とし錠の操作具が塞ぎ板によって覆蓋されたものとなって悪戯等による不本意な袖扉の開閉操作が規制され、前記貫通孔を介して設けられる配線の保護が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)(B)は袖扉の正面図、側面図である。
【
図4】(A)(B)(C)は袖扉の平面図、水平断面図、上側フレーム部位の拡大断面側面図である。
【
図5】(A)(B)(C)は袖扉における戸先側フレーム材部位の水平断面図、フランス落とし錠部位の水平断面図、錠受け部部位の水平断面図である。
【
図6】袖扉のフランス落とし錠部位の側面図である。
【
図7】(A)(B)(C)はフランス落とし錠用の塞ぎ板の正面図、側面図、平面図である。
【
図8】(A)(B)は袖扉の錠受け部部位の側面図、正面図である。
【
図9】(A)(B)(C)は補強金具の側面図、背面図、平面図である。
【
図10】(A)(B)(C)(D)は錠受け部の側面図、分解側面図、組み立て状態を示す平面図、分解状態を示す平面図である。
【
図11】主扉の上下ヒンジ部位を示す正面図である。
【
図12】(A)(B)(C)(D)は下側ヒンジ部位の正面図、底面図、側面図、カバー体を外した状態の底面図である。
【
図13】(A)(B)(C)は下側ヒンジ部位の断面正面図、調整ネジ部位の断面側面図、本体部部位の断面側面図である。
【
図14】(A)(B)(C)はカバー体の正面図、側面図、底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は屋内外(室内外)の出入り口部Eに建て付けられる扉装置(親子扉装置)であって、該扉装置1を構成する扉枠(ドア枠)が、左右の縦枠2、3、上下の横枠4、5を用いて四角枠状に構成されている。そして左右方向一方側(
図1において右側)の縦枠3には、出入り口部Eの通常の出入りをするべく開閉操作がなされる主扉(親扉)6が、該主扉6用のヒンジ7を介して前後方向(屋内外方向、屋内外方向)開閉自在に取り付けられており、一方、他方側の縦枠2には、汎用の後述するフランス落とし錠8を介して常時は閉鎖姿勢に維持される袖扉(子扉)9が、該袖扉9用のヒンジ10を介して前後方向開閉自在に取り付けられた観音開き状の開閉方式としたものとなっており、この様に構成されることで、前記一方側の縦枠3が主扉6の戸尻側縦枠となり、他方側の縦枠2が袖扉9の戸尻側縦枠となるよう構成される。
尚、図中、1aは、主扉6が閉鎖した際に当接するべく袖扉9の屋内側の戸先側端縁部に設けられる戸当りである。
【0009】
前記主扉6、袖扉9は、屋内外側面板(表裏面板)11、12と、該屋内外側面板11、12のあいだに充填されるハニカムコア、ペーパーコア等の芯材(コア材)を用いて構成される充填材13と、主扉6、袖扉9の四周縁部にフレーム材を用いて構成される枠材14とを備えている。そして主扉6はピボットヒンジ7を介して、袖扉9は中心吊り式のヒンジ10を介して屋外側に向けて開閉揺動自在に軸支された構造になっている。
そしてまず、袖扉9については、枠材14のうち戸先側縦フレーム材14aは、戸尻側となる跨片部14bの屋内外側両端縁部から戸先側に向けて脚片部14c、14dが延出形成されることで戸先側が開口した匚字形をしているが、屋内側脚片部14cが屋外側脚片部14dよりも長いものとなっており、そしてこれら屋内外側脚片部14c、14dには、屋内外側面板11、12が屋内外方向外側から当てがわれているが、該屋内外側面板11、12は、各脚片部14c、14dの戸先側端縁部部位において屋内外方向内側に向けて折曲されたものとなっている。
【0010】
この場合に
図5に示すように、前記長い側の屋内側脚片部14cに対して屋内側から当てがわれる屋内側面板11は、屋内側脚片部14cの戸先側端縁部(先端縁部)において屋外側に向けて折曲されており、該折曲された面板が、袖扉9の戸先側端面となる戸先側見込み面部11aを構成している。しかも屋内側面板11は、前記戸先側見込み面部11aとなったものの先端縁部から、さらに戸尻側に向けて折曲されていて屋外側面部11bを構成しているが、該屋外側面部11bは、先端縁が屋外側脚片部14dの戸先側先端縁よりも戸尻側部位にまで至るように構成されている。
そしてこのように構成されることで、袖扉9の戸先側端縁部には、前記匚字形の戸先側縦フレーム材14aと戸先側見込み面部11aとによってスペースSが囲繞形成されたものとなっている。
一方、屋外側面板12は、屋外側脚片部14dに対して屋外側から当てがわれた状態で、屋外側脚片部14dの戸先側先端縁部から屋内側に向けて折曲されて前記屋内側面板11の屋外側面部11bに当接(または近接対向)することで、屋外側面部11bに対して段差状に突き当たる段差面部12aが形成され、さらに該段差面部12aから前記屋外側面部11bに沿う状態で戸尻側に向けて折曲された折曲面部12bが形成されたものとなっている。
【0011】
そしてこのように構成される袖扉9は、電気・電子器具(電気・電子装置)として例示されるインターホン装置15、照明器具16が屋外側に露出する状態で設けられているが、これらインターホン装置15、照明器具16を電気的に接続するための配線17は、袖扉9内に配した配線パイプ(貫通孔)9aを通り、袖扉9の上端縁部から上側横枠4に設けた貫通孔4aを経由して屋内側に配されることで電気的に接続されたものとなっている。
この場合に袖扉9の上端縁部は、下側が開口した冂字形の上フレーム材14eと、該上フレーム材14eの跨片部14gに屋内外側面板11、12が上端縁部で屋内外方向に折曲された上側見込み面部11c、12cとが積層されたものになっており、このように構成される袖扉9の上端縁部に貫通孔14fが形成されるが、該貫通孔14fは、屋内外方向に長い半長円形状をしたものであって、屋外側の円弧状の端縁部が上フレーム材14eの屋外側脚片部14jにまでは至らないものとなっているのに対し、屋内側の端縁部は、上フレーム材14eの屋内側脚片部14hの上端部を屋内側面板11の対応する部位も含めて切り欠いた構成になっている。
そして配線パイプ9aを貫通する配線17は、袖扉9を屋外側に開放した場合に、遊嵌状に貫通している貫通孔14fに対して屋内側に相対移動していくことになるが、該相対移動を最大限することで、配線17が、上フレーム材14eに形成の貫通孔14fの屋内側端縁に当接した場合に、該配線17は、跨片部14gの屋外側に形成される端縁のように横向きの切り欠き端縁14kに当接することはなく、屋内側脚片部14hの上向きの切り欠き上端部14iに屋外側から当接することになる結果、配線17が、前記横向きの切り欠き端縁14kに当接して早期に擦過損傷してしまう惧れを低減できることになり、開放頻度が低い袖扉9としては有効なものとなる。
【0012】
さらに袖扉9の戸先側見込み面部11a部位には、前記スペースSに内装される状態で上下に前記フランス落とし錠8が内装される状態で設けられているが、該フランス落とし錠8は、操作具8aを上下操作することで錠杆8dが袖扉9の上下端縁部から出没して上下両横枠4、5に設けた錠孔4b、5bに嵌入することで施錠される構成になった汎用のものであり、これ以上の詳細については省略する。
そして本実施の形態においては、フランス落とし錠8は、操作具8aが視認される前記戸先側見込み面部11aにビス8cを介して緊締されているが、さらにフランス落とし錠8の左右方向外側面部が、塞ぎ板8bによって覆蓋されたものとなっており、これによって不用意に操作具8aを解錠操作して袖扉9が開放されることを回避できるよう構成されている。
因みに塞ぎ板8bの戸先側見込み面部11aに対する覆蓋は、塞ぎ板8bを、ポップナットを用いたり、戸先側見込み面部11aにタップ孔を形成したりしてビス螺入できる構成にすることで塞ぎ板8bの着脱取り付けができるが、本実施の形態ではポップナットを用いたビス8eによる締結となっている。
【0013】
さらに袖扉9には、主扉6に設けた錠装置の錠ボルトが嵌入する錠受け部(ストライク)が設けられるが、本実施の形態では、錠装置として主錠用と補助錠用の第一、第二の二種類の錠装置が設けられたものとなっており、このため主扉6の戸先側端縁部には、第一(主錠用)、第二(補助錠用)の各錠装置を構成する第一錠本体部18、第二錠本体部19が上下に設けられたものとなっているが、第一本体部18は、キー孔部18aにキー(図示せず)を差し込んで錠操作をすることでデッドボルト18bが出没して施錠、解錠がなされる錠機構と、操作ハンドル18cを操作することで常時突出して施錠状態になっているラッチボルト18dが没入して解錠がなされる錠機構とが内装されているのに対し、第二錠本体部19は、キー孔部19aにキーを差し込んで錠操作をすることでデッドボルト19bが出没して施錠、解錠がなされる錠機構が内装されただけであって、第一錠本体部18側に設けられるラッチボルト18dを備えた錠機構に相当するものは設けられていない構成となっている。
【0014】
このように主扉6側に第一、第二錠本体部18、19が設けられることで、袖扉9には、これら第一、第二錠本体部18、19に対応した第一、第二の錠受け部20、21を袖扉9の戸先側端縁部に設ける必要があるが、そのため本実施の形態では次のような配慮がなされている。
袖扉9の戸先側縦フレーム材14aは前述したように匚字形をし、戸先側の開口部位に屋内側面板11の先端部位を折曲した戸先側見込み面部11aが設けられ、そして該縦フレーム14aと戸先側見込み面部11aとによって囲繞形成されるスペースSに、前記第一、第二錠受け部20、21が内装される状態で設けられるが、本実施の形態の戸先側縦フレーム材14aは、これら錠受け部20、21が実質的に取り付けられる戸先側見込み面部11a部位が補強金具22により補強されたものとなっている。
【0015】
前記補強金具22は、平面視で見付け片部22aと見込み片部22bとを有したL字形をしたものであって、見付け片部22aが、戸先側縦フレーム材14aの屋内側脚片部14cに屋外側から当接する状態で溶着(固着)され、見込み片部22bが屋内側面板11の戸先側見込み面部11aに対して戸尻側(裏面側)から当接する状態で配されている。
さらに補強金具22は、第一、第二錠受け部20、21間に亘るよう長尺物として形成されるが、前記見込み片部22bには、第一、第二錠受け部20、21を取り付けるための第一、第二組み込み孔(組み込み溝)22c、22dが上下に形成されている。この場合に第一、第二組み込み孔22c、22dは、見込み片部22bの先端縁部(屋外側端縁部)側が開口した溝形状となっている。
【0016】
前記錠受け部20、21は、第一錠受け部20がデッドボルト18b、ラッチボルト18dの両者が嵌入し、第二錠受け部21はデッドボルト19bだけが嵌入する相違があるが、本実施の形態は同じ構造になっており、そこで以降、第一錠受け部20について詳述し、第二錠受け部21については特に必要がある場合を除いて説明を省略する。
因みに、第二錠受け部21はデッドボルト19bが嵌入するだけであるから、第一錠受け部20よりも小型にすることもできるが、このようなことは必要に応じて適宜変更できる事柄である。
【0017】
前記第一錠受け部20は、屋内側面板11の戸先側見込み面部11aに戸先側から当てがわれて当接する外側金具20aと、前記補強金具22が設けられることで該補強金具22の見込み片部22bに戸尻側から当てがわれて当接する内側金具20bとを備えて構成されている。そして第一錠受け部20は、前述したように外側金具20aが戸先側見込み面部11aに当接し、内側金具20bが補強金具22の見込み片部22bに当接する状態で上下両端縁部をビス20cを介して緊締することで、積層状に配された戸先側見込み面部11aと見込み片部22bとを挟持する状態で取り付けられる構成になっている。
そしてこのように第一錠受け部20を袖扉9に組み込む場合に、該第一錠受け部20の屋外側金具20aの屋外側端縁部に折曲形成された折曲片部20dが、補強金具22の第一組み込み孔22cに形成される開口22eを覆蓋する構成になっていて該部位の補強を兼ねるよう配慮されたものとなっている。
【0018】
一方、主扉6は、前述したようにヒンジ7を介して上端縁部が上側横枠4に開閉揺動自在に軸支され、下端縁部が一方側縦枠3に開閉揺動自在に軸支されるが、該ヒンジ7は、ピボットヒンジを採用したものであって、主扉6側に設けられる扉側ヒンジ半部7aと、扉枠側に設けられる枠側ヒンジ半部7bとを備えて構成される。
扉側ヒンジ半部7aは、主扉6の上下両端縁部に取り付けられるヒンジ本体部7cと、該ヒンジ本体部7cから屋外側に延出する延出部7dとを備え、扉側ヒンジ半部7aが主扉6の下端縁部に取り付けられるものである場合には、延出部7dに軸受け孔7eが設けられ、上端縁部に取り付けられるものである場合には、延出部7dからヒンジ軸7fが上方に向けて突設されたものとなっている。
これに対し、扉枠側に取り付けられる枠側ヒンジ半部7bは、下側の扉側ヒンジ半部7aに対応するものは枠側ヒンジ半部7bには軸受け孔7eに嵌入するヒンジ軸7gが形成され、上側の扉側ヒンジ半部7aに対応するものは枠側ヒンジ半部7bにはヒンジ軸7fが嵌入する軸受け孔7hが形成されたものとなっている。
【0019】
そしてこのように構成されるヒンジ7のうちの主扉6の上下に取り付けられる扉側ヒンジ半部7aのヒンジ本体部7cは、延出部7dにヒンジ軸7fが設けられるか軸受け孔7eが設けられるかの相違があるだけで、扉側ヒンジ半部7aの主扉6側への取り付け構造については、上下(天地)の違いはあるものの同じ構成となっているので、以降、下側に取り付けられる扉側ヒンジ半部7aに関して説明をすることにし、上側の扉側ヒンジ半部7aについての説明は特に必要がある場合を除いて省略する。
【0020】
前記扉側ヒンジ半部7aを構成するヒンジ本体部7cは、左右方向に長い長四角形状をし、屋外側長辺の戸尻側部位から延出部7dが延出形成されたものとなっているが、ヒンジ本体部7cは下フレーム材24に固着されたものとなっている。
具体的には下フレーム材24は、何れも上側が開口した凵字形の戸先側フレーム部24aと戸尻側フレーム部24bとを用いて構成され、そして戸先側フレーム部24aは、跨片部24cが袖扉9の下端縁部にまで至る状態で設けられ、該跨片部24cに、屋内外側面板11、12の下端縁部が屋内外方向内側に折曲されることで形成される下端縁側見込み面部11d、12dがリベット24dを締結手段として取り付けられたものとなっている。
【0021】
これに対し戸尻側フレーム部24bは、跨片部24eが戸先側フレーム部24aよりも高位になる状態で設けられ、これによって跨片部24eの下側スペースに、屋内外が屋内外側面板11、12によって囲繞された状態で前記ヒンジ本体部7cが配設されるようになっている。
そしてヒンジ本体部7cは、跨片部24eに下側から当てがわれ、跨片部24eの上面に当てがわれた裏板7iにビス7jを介して緊締されることになるが、裏板7iは、ヒンジ本体部7cよりも戸先側に長いものになっており、跨片部24eから螺入する調整用ネジ7kを弛緩せしめた状態でヒンジ本体部7cの位置調整ができるように構成されている。
【0022】
前記屋内外側面板11、12の下端縁側見込み面部11d、12dは、ヒンジ本体部7cおよび調整用ネジ7kに対応する部位が切り欠かれた切り欠き部11e、12eが形成されていてヒンジ本体部7cおよび調整用ネジ7kを下側から視認できるものとなっており、これによって下端縁側見込み面部11d、12dには、前記切り欠き部11e、12eの内端縁から主扉6の表裏外側面にまで至る部位が切り欠き残部11f、12fとなって残った状態となっている。
さらにこのものでは、屋内外側面板11、12の戸尻端縁側見込み面部11g、12gの下端縁11h、12hは、下端縁側見込み面部11d、12d部位において切り欠かれた切り欠き端縁が露出したままの状態となっている。
さらに本実施の形態のものでは、延出部7dの外周部が被覆材26によって覆蓋されたものとなっている。
【0023】
このように下端縁側見込み面部11d、12dには切り欠き残部11f、12fが残った状態で切り欠き部11e、12eが形成されたものとなっているが、該下端縁側見込み面部11d、12dに、ヒンジ本体部7cを被覆するためのカバー体25が設けられている。
該カバー体25は、横片部(下片部)25aと縦片部25bとを備えたL字形をしたものであって、横片部25aが、前記切り欠き部11e、12eの切り欠き端縁を越えて外側の切り欠き残部11f、12fまで被覆するよう幅広なものとなっており、そして該横片部25aの戸先側端縁部が、リベット25cを緊締具として調整用ネジ7k部位の下端側見込み面部11d、12dに緊締されている。一方、縦片部25bは、戸先側が開口した匚字形の戸尻側縦フレーム材27の跨片部27aに、戸尻端縁側見込み面部11g、12gと共にリベット25dを緊締具として緊締されている。
そしてこのようにカバー体25が主扉6に取り付けられることにより、切り欠き部11e、12eの切り欠き端縁と共に、戸尻端縁側見込み面部11g、12gの下端縁11h、12hについてもカバー体25によって被覆されたものとなっている。
【0024】
叙述の如く構成された本実施の形態において、扉装置1は、主扉6と袖扉9とが左右に隣接する状態で開閉自在に設けられたものであり、そして袖扉9には、配線17を介して電気的に接続される電気・電子器具であるインターホン装置15、照明器具16が設けられたものであるが、この場合に配線17は、袖扉9における上フレーム材14eに設けた貫通孔14fおよび躯体側の上側横枠4に設けた貫通孔4aを貫通する状態で施されることになって配線構造が簡略化し、低廉化も図ることができる。
【0025】
しかもこのものでは、前記袖扉9はフランス落とし錠8により常時は閉鎖姿勢に維持されているが、この場合のフランス落とし錠8は、袖扉9の戸先側端縁部に露出する操作具8aが操作不能となるよう塞ぎ板8bを介して覆蓋されたものになっているため、悪戯等による不本意な袖扉9の開閉操作が規制され、前記貫通孔14f、4aを貫通する状態で設けられる配線17の保護が図れることになる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、住宅やマンション等の建物の出入り口部に建て付けられる扉装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 扉装置
4 上側横枠
4a 貫通孔
6 主扉
7 ヒンジ
7a 扉側ヒンジ半部
7c ヒンジ本体部
8 フランス落とし錠
8a 操作具
8b 塞ぎ板
9 袖扉
11 屋内側面板
11a 戸先側見込み面部
11d 下端縁側見込み面部
11e 切り欠き部
11f 切り欠き残部
12 屋外側面板
14a 戸先側縦フレーム材
14b跨片部
14c 屋内側脚片部
14d 屋外側脚片部
14e 上フレーム材
14f 貫通孔
15 インターホン装置
16 照明器具
17 配線
18 第一錠本体部
19 第二錠本体部
20 第一錠受け部
21 第二錠受け部
22 補強金具
22a 見付け片部
22b 見込み片部
24 下フレーム材
24b 戸尻側フレーム部
24e 跨片部
25 カバー体
25a 横片部
25b 縦片部
27 戸尻側縦フレーム材
E 出入り口部
S スペース