(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158805
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】キャスター、及び什器
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20231024BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B60B33/00 T
A47B91/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068812
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】301078858
【氏名又は名称】アイリスチトセ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】坂田 淳一
【テーマコード(参考)】
3B069
【Fターム(参考)】
3B069CA03
3B069CA04
3B069CA07
(57)【要約】
【課題】従来技術のものよりも操作性を向上させたキャスター、及び什器の提供を目的とした。
【解決手段】キャスター10は、什器100に設けられ、什器100を床面に対して移動可能に支持するものであって、床面に対して回転可能なように支持される車輪部20と、水平方向に沿って移動可能な操作部本体34を有する操作部30と、操作部本体34の移動によって、垂直方向に沿って移動する規制部70と、を備え、操作部本体34を水平方向に沿って押し込んで移動させる押し込み操作に伴い、操作部本体34が水平方向に沿って移動することにより、規制部70が床面に近づく方向に移動して床面に接触することにより、床面に対する車輪部20の移動を規制するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器に設けられ、前記什器を床面に対して移動可能に支持するキャスターであって、
前記床面に対して回転可能なように支持される車輪部と、
水平方向に沿って移動可能な操作部本体を有する操作部と、
前記操作部本体の移動によって、垂直方向に沿って移動する規制部と、を備え、
前記操作部本体を水平方向に沿って押し込んで移動させる押し込み操作に伴い、前記操作部本体が水平方向に沿って移動することにより、前記規制部が床面に近づく方向に移動して床面に接触することにより、床面に対する前記車輪部の移動を規制するものであることを特徴とする、キャスター。
【請求項2】
前記操作部本体は、前記規制部を支持する被支持部を有し、
前記被支持部は、前記操作部本体の移動方向における一方側において、前記操作部本体の移動方向に向かうに従って床面と離れる方向に傾斜する傾斜部を含み、
前記規制部は、前記傾斜部に沿って移動可能に支持される支持部を有することを特徴とする、請求項1に記載のキャスター。
【請求項3】
前記操作部は、前記規制部について、水平方向の移動を規制するとともに、垂直方向の移動を許容するガイド部を有することを特徴とする、請求項2に記載のキャスター。
【請求項4】
前記操作部は、垂直方向に沿って延びる溝部を有し、
前記支持部は、前記溝部内で垂直方向に沿って移動可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載のキャスター。
【請求項5】
前記被支持部は、前記操作部本体の移動方向に案内する第一リブと、前記傾斜部としての第二リブとを有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のキャスター。
【請求項6】
前記傾斜部は、前記操作部本体の押し込み方向に向かうに従って床面と離れる方向に傾斜するよう延びる溝または突起であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のキャスター。
【請求項7】
前記操作部は、
水平方向に移動可能な操作部本体と、
前記操作部本体を移動可能に支持する支持体と、
を有し、
前記操作部本体と前記支持体と間には、前記操作部本体の押し込み方向とは反対側に付勢する第一付勢部材が配されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のキャスター。
【請求項8】
前記規制部は、
垂直方向に沿って移動可能な規制部本体と、
前記規制部本体を移動可能に収容するケース体と、
前記規制部本体と前記ケース体との間に配される第二付勢部材と、
を有し、
前記規制部本体は、前記ケース体に対して抜け止めとなる抜止部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のキャスター。
【請求項9】
前記操作部は、
前記操作部本体を移動可能に支持する支持体と、
前記操作部本体及び前記支持体の間に配され、ハート形状のカム溝が形成されたカム部材と、
前記カム溝に沿って移動可能な変位部材と、
前記操作部本体と前記変位部材との間に配される第三付勢部材と、
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のキャスター。
【請求項10】
前記カム部材は、水平方向であって、前記操作部の押し込み方向と直交する方向に移動可能に前記支持体に支持されることを特徴とする、請求項9に記載のキャスター。
【請求項11】
請求項1~3のいずれかに記載のキャスターを備えていることを特徴とする、什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスター、及び什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、テーブル等の家具をはじめとする什器の底部にローラーを有したキャスタを備えているものが種々知られている。また、キャスタには、ローラーの回転動作や旋回動作を禁止するためのロック部を有しているものがある。このようなロック部を備えた従来技術のキャスターは、ロック部に付随して設けられた操作体を上下方向に移動させることにより、ロック部を作動させたり、解除したりする操作を行えるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術のように、ロック部を備えたキャスターは、例えば、使用者が足先部分を使って操作体を操作するような形態での使用が想定される。しかしながら、従来技術のキャスターのような構成である場合には、操作体に対して的確に足先部分をアクセスさせるのが難しく、操作性に欠けるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、従来技術のものよりも操作性を向上させたキャスター、及び什器の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく提供される本発明のキャスターは、什器に設けられ、前記什器を床面に対して移動可能に支持するものであって、前記床面に対して回転可能なように支持される車輪部と、水平方向に沿って移動可能な操作片を有する操作部と、前記操作部の移動によって、垂直方向に沿って移動する規制部と、を備え、前記操作片を水平方向に沿って押し込んで移動させる押し込み操作に伴い、前記操作片が水平方向に沿って移動することにより、前記規制部が床面に近づく方向に移動して床面に接触することにより、床面に対する前記車輪部の移動を規制するものであることを特徴とする。
【0007】
本発明のキャスターは、操作部を押し込み操作することにより、操作片が水平方向に沿って移動し、規制部を床面に近づく方向に移動させることができる。本発明のキャスターは、このようにして規制部が移動して床面に接触した状態になることにより、床面に対して車輪部が移動規制された状態になる。このような構成とされているため、本発明のキャスターは、従来技術のものよりも操作性が高い。
【0008】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の什器は、本発明のキャスターを備えたものである。
【0009】
本発明の什器は、かかる構成とされているため、従来技術のものよりもキャスターの操作性が高い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来技術のものよりも操作性を向上させたキャスター、及び什器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る什器においてキャスターが設けられた箇所を拡大視した側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るキャスターを正面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るキャスターを背面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るキャスターを示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るキャスターを示す右側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るキャスターの断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るキャスターから操作部本体を取り外し、正面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るキャスターから操作部本体を取り外した状態を示す平面図である。
【
図9】支持体を正面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図10】支持体を背面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図12】操作部本体を天面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図13】操作部本体を底面側から見た状態を示す斜視図である。
【
図16】(a),(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係るキャスターを背面側から見た状態を示す被支持部近傍の拡大斜視図である。
【
図17】変形例に係る被支持部を備えたキャスターを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るキャスター10、及びこれを備えた什器100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、キャスター10や什器100の一般的な使用状態を基準として、垂直方向(上下方向)や、水平方向、上下左右等の方向を表す用語を使用する。
【0013】
什器100は、例えばテーブルや椅子、ラック等のように、床面に対して移動可能とされる家具や機械器具である。
図1に示すように、什器100は、床面側を向く側(底面側)にキャスター10を設けたものとされている。
図1の例においては、什器100の脚にキャスター10を組み込んだものとされている。例えば、キャスター10が什器100の脚に固定具(ネジ)によって取り付けられるために、キャスター10にネジ孔32hが設けられる。
【0014】
図1に示すように、キャスター10は、什器100を床面に対して移動可能に支持するものである。
図2や
図5、
図6等に示すように、キャスター10は、大別して車輪部20、操作部30、規制部70を備えたものとされている。
【0015】
車輪部20は、床面に対して回転可能なように支持されている。車輪部20は、操作部30をなす操作部30の底面側に設けられた筒状(本実施形態では円筒状)の車輪包囲部32aによって包囲された状態で配されている。車輪部20は、車輪包囲部32aの開口領域を横断するように設けられた支軸32bを介して、車輪包囲部32aに支持された車輪支持体32bに対して回動可能に取り付けられている。車輪支持体32bは、車輪包囲部32aに対して垂直方向を回動軸線として回転可能となっているため、車輪部20は床面を旋回可能である。
【0016】
操作部30は、キャスター10において車輪部20の移動が規制された状態(以下、「ロック状態」とも称す)と、車輪部20の移動規制が解除された状態(以下、「アンロック状態」とも称す)とに切り替えるための操作に用いられるものである。
図2や
図3、
図5~
図8等に示すように、操作部30は、支持体32、操作部本体34、第一付勢部材36、カム部材38、変位部材40、第三付勢部材42を具備している。
【0017】
図7~
図10等に示すように、支持体32は、操作部本体34を水平方向に移動可能に支持するものである。支持体32は、天面側に開放された凹状の支持体凹部32xを有する。支持体凹部32xは、操作部本体34を天面側から嵌め込み可能とされている。また、支持体32は、支持体凹部32xの内側に、後に詳述するカム部材38が配されるカム配置部32gを有する。カム配置部32gは、支持体凹部32xに嵌め込まれた操作部本体34の移動方向の一方側及び他方側において、板状のカム部材38の端部と係合するカム係合部32c,32dを有する。カム係合部32c,32dは、支持体凹部32xの底面との間に隙間を有し、この隙間にカム部材38の端部を嵌め込むことにより、カム部材38を操作部本体34の移動方向に移動しないように支持することができる。また、カム係合部32c,32dは、操作部本体34の移動方向に対して交差する方向へのカム部材38の移動を許容するものとされている。
【0018】
図2~
図6等に示すように、支持体32には、後に詳述する第一付勢部材36の一端側を操作部本体34の押し込み方向奥側において支持する付勢部材支持部32eを備えている。本実施形態では、第一付勢部材36が操作部本体34の押し込み方向に対して交差する方向に2本設けられることから、これに対応して付勢部材支持部32eについても2つ、押込方向に対して交差する方向に所定の間隔を開けて設けられている。
【0019】
支持体32には、ガイド部32fが設けられている。ガイド部32fは、支持体凹部32xや車輪部20に対して操作部本体34の押し込み方向奥側に設けられている。ガイド部32fは、垂直方向に沿って延びる溝部60によって構成されている。ガイド部32fは、後に詳述する規制部70の水平方向への移動を規制するとともに、規制部70の垂直方向の移動を許容するものである。
【0020】
操作部本体34は、支持体凹部32xに嵌め込まれた状態で支持体32に対して支持されている。操作部本体34は、水平方向に沿って移動させる操作を行えるものとされている。操作部本体34は、水平方向への移動方向一方側(押込方向の手前側)に、使用者が押し込み操作を行う際に押圧する押圧部34aを有する。押圧部34aは、押込方向手前側であって天面側の角部を面取りした形状とされている。そのため、操作部本体34は、使用者がキャスター10を上方から操作しようとする使用者が、手や足によって押圧部34aに押圧力を加えて押し込む操作を容易に行える。
【0021】
操作部本体34は、後に詳述する第一付勢部材36が嵌め込まれる付勢部材嵌込部34cを有する。付勢部材嵌込部34cは、上述した支持体32の支持体凹部32xに操作部本体34を嵌め込んだ状態において、付勢部材支持部32eに対応する位置において開口した溝状のものである。支持体凹部32xに操作部本体34を嵌め込むと、付勢部材嵌込部34cの内側であって、操作部本体34の押し込み方向奥側の位置に付勢部材支持部32eが配された状態になる。また、付勢部材嵌込部34cにおいて、付勢部材支持部32eが配されるのとは反対側(操作部本体34の押し込み方向手前側)には、付勢部材支持部34dが設けられている。付勢部材支持部34dは、第一付勢部材36の他端側を操作部本体34の押し込み方向手前側において支持するものである。
【0022】
図6や
図13等に示すように、操作部本体34は、後に詳述する変位部材40を収容するための変位部材収容部34eを有する。変位部材収容部34eは、操作部本体34の底面側に開口するように設けられている。また、変位部材収容部34eは、操作部本体34を支持体32の支持体凹部32xに嵌め込んだ状態において、支持体凹部32x内に設けられるカム部材38に対応する位置に設けられている。
【0023】
図12や
図13、
図16等に示すように、操作部本体34は、後に詳述する規制部70を支持するための被支持部50を備えている。被支持部50は、突起(リブ)や溝等によって構成可能であるが、本実施形態ではリブ(被支持リブ52)によって構成されている。被支持リブ52は、操作部本体34の幅方向(操作部本体34の押込方向に対して交差する方向)の側面をなす部分に設けられたリブである。被支持リブ52は、操作部本体34の側面から幅方向外側に向けて突出するように形成されている。また、被支持リブ52は、第一リブ54、第二リブ56を有する。
【0024】
第一リブ54は、被支持リブ52において水平方向に沿って延びるリブ状の部分である。第一リブ54は、操作部本体34の幅方向両側面において、操作部本体34の押込方向に延びるように形成されている。第二リブ56は、被支持リブ52において第一リブ54に対して上下方向に傾斜する傾斜部58をなすリブ状の部分である。第二リブ56は、第一リブ54に対して連続するように形成されている。具体的には、第二リブ56は、第一リブ54に対して操作部本体34の移動方向における一方側(押込方向奥側)に連続するように設けられている。第二リブ56(傾斜部58)は、操作部30の押し込み方向に向かうに連れて床面と離れる方向に傾斜するように形成されている。
【0025】
第一付勢部材36は、操作部本体34と支持体32と間に配される付勢部材である。第一付勢部材36は、上述した操作部本体34を支持体凹部32xに嵌め込んだ状態において、付勢部材嵌込部34cをなす溝の内側に配されている。これにより、第一付勢部材36は、操作部本体34の押し込み方向に向けて延びるように配置されている。また、第一付勢部材36は、第一付勢部材36の一端側が操作部本体34の押し込み方向奥側において支持体32の付勢部材支持部32eによって支持され、他端側が操作部本体34の押し込み方向手前側において付勢部材支持部34dによって支持された状態になる。そのため、第一付勢部材36は、操作部本体34を水平方向に沿って押し込んだ状態において、押し込み方向とは反対側に向かう付勢力を操作部本体34に作用させることができる。
【0026】
カム部材38は、操作部本体34及び支持体32の間に配される部材である。
図11に示すように、カム部材38は、ハート形状のカム溝38aが形成された板状の部材である。カム部材38は、支持体32によって支持されている。具体的には、カム部材38は、その長手方向一端側において、支持体32の天面とカム係合部32cとの間に形成された隙間に差し込まれている。また、カム部材38は、長手方向他端側において、支持体32の天面とカム係合部32dとの間に形成された隙間に差し込まれている。これにより、カム部材38は、支持体32に対して、操作部本体34の移動方向に移動しないように支持されている。また、カム部材38は、水平方向であって、操作部30の押し込み方向と直交する方向に移動可能に支持されている。
【0027】
カム溝38aは、底面視においてハート型をなす軌道を有したもので、軌道がくびれた箇所に設けられたロック部m1と、このロック部m1に第一段部s1を介して連続し、始端から終端に向かって漸次浅くなるリリース部m2と、このリリース部m2の終端に第二段部s2を介して連続し始端から終端に向かって漸次浅くなるガイド部m3と、このガイド部m3の終端に第三段部s3を介して連続しカム部材38の一定以上の内方への移動を変位部材40により係止するための係止部m4と、この係止部m4とロック部m1との間に設けられた第四段部s4とを備えたものである。
【0028】
図6等に示すように、変位部材40は、操作部本体34の底面側に設けられた変位部材収容部34eに収容されている。変位部材40は、円筒状の変位部材本体40aの軸心位置において変位部材本体40aの軸線方向一方側及び他方側に突出するように設けられた軸部40bを有する。第三付勢部材42は、操作部本体34と変位部材40との間に配されており、変位部材40に対してカム部材38側への付勢力を作用させるものである。本実施形態では、変位部材40の軸部40bにおいて、変位部材本体40aの一方側に突出した部分に第三付勢部材42を内挿した状態で、変位部材40を第三付勢部材42と共に変位部材収容部34eに嵌め込んだものとされている。これにより、変位部材40の軸部において、変位部材本体40aの他方側に突出した部分がカム部材38のカム溝38aに常時係わり合うように、変位部材40が配されている。
【0029】
変位部材40は、カム部材38のカム溝38aに沿って移動可能とされている。すなわち、変位部材40は、カム溝38a内を
図11に示した矢印A方向に沿って相対的に循環移動するようになっている。なお、第一段部s1、第二段部s2、第三段部s3、第四段部s4は、それぞれ各段を形成するための端面が進行方向を向くように設定されており、変位部材40が矢印A方向と逆方向に移動しないように案内されている。
【0030】
カム部材38は、変位部材40及び第三付勢部材42と共にハートカム機構44を構成する。ハートカム機構44は、操作部本体34の操作に伴ってカム溝38aを備えたカム部材38が、操作部本体34の操作方向及び操作方向と交差する方向に作動することによって、操作部本体34を水平方向に押し込んだ位置(ロック状態となる位置)と、操作部本体34をロック状態となる位置よりも手前側に戻した位置(非ロック状態となる位置)とに選択的に保持する機能(選択保持機能)を発揮できるようにしたものである。つまり、カム部材38がロック部m1の第一段部s1で係止することでロック状態となり、カム部材38が第二段部s2で係止することで非ロック状態となる。
【0031】
規制部70は、操作部本体34の移動に伴って、垂直方向に沿って移動するものである。キャスター10は、規制部70を床面に設置するまで垂直方向に沿って移動させることにより、車輪部20の移動が規制されたロック状態とすることができる。また、キャスター10は、規制部70を床面から離れるように垂直方向に沿って移動させることにより、車輪部20の移動が規制されたアンロック状態とすることができる。
図6や
図14、
図15等に示すように、規制部70は、ケース体72、規制部本体74、第二付勢部材76、支持部78を有する。
【0032】
ケース体72は、規制部本体74を収容する中空の部材である。ケース体72は、規制部本体74を垂直方向に沿って移動可能なように、上下方向に連通したものとされている。ケース体72において上端側の位置には、ケース体上面72aが設けられている。また、ケース体上面72aには、後述する規制部本体74の軸部74bが挿通される挿通孔72bが設けられている。
【0033】
規制部本体74は、垂直方向に沿って移動可能な部材である。規制部本体74は、ストッパー部74aと、軸部74bと、抜止部74cとを有する。ストッパー部74aは、規制部本体74において下端側の位置に設けられている。ストッパー部74aは、規制部本体74が床面側に突出した状態において、床面に対して接触することにより、車輪部20の移動を規制するためのストッパーとして機能するものである。ストッパー部74aは、好ましくは、滑り止めとなる部材であり、例えばゴム状部材である。また、床面に対するストッパー部74aの接触面積は、床面に対する車輪部20の接触面積より大きいことが好ましい。この場合、押込方向を短手方向、幅方向を長手方向としたストッパー部74aを構成することで、押込方向の大きさを抑えることが好ましい。軸部74bは、ストッパー部74aから上方に向けて延びる軸状の部分である。軸部74bは、ケース体72の挿通孔72bに挿通されている。また、抜止部74cは、ケース体72において挿通孔72bよりも上方側の領域に配される部分である。抜け止め部72cは、挿通孔72bの開口径よりも外径が大きい。そのため、抜止部74cは、挿通孔72bが設けられた高さよりも下方側には移動できない。これにより、規制部本体74は、ケース体72に対して抜け止めされている。
【0034】
第二付勢部材76は、規制部本体74とケース体72との間に配されている。具体的には、第二付勢部材76は、ケース体72のケース体上面72aと、規制部本体74のストッパー部74aとの間において、軸部74bを内挿した状態として取り付けられている。そのため、第二付勢部材76は、規制部本体74のストッパー部74aに対して、ケース体72のケース体上面72aから離れる方向(下方)に向かう付勢力を作用させることができる。なお、軸部74bがケース体72に固定される構成であってもよく、この場合において第二付勢部材76は不要となるが、本実施形態のように軸部74bが第二付勢部材76に内挿された状態で、軸部74bがケース体72に対して垂直方向に移動可能な構成であることが好ましい。軸部74bに什器100の荷重がかかる状態であっても、第二付勢部材76が存在することにより、軸部74bがケース体72に固定される構成と比べて、軽い力で操作部本体34を押し込むことができる。
【0035】
支持部78は、ケース体72の幅方向側方において、ケース体72の幅方向に突出するように設けられた突状の部分である。支持部78は、操作部30のガイド部32fをなす溝部60内に嵌め込まれている。支持部78は、溝部60にガイドされ、垂直方向に沿って移動可能とされている。支持部78は、ケース体72に対して一体的に形成されている。そのため、ケース体72は、支持部78及び溝部60によって鉛直方向に沿って移動可能とされている。また、支持部78は、傾斜部58(第二リブ56)に対して側方から係合して支持されている。支持部78は、傾斜部58に沿って相対移動可能とされている。そのため、操作部本体34を水平方向に沿って押し込み方向、あるいはこれとは反対方向(手前方向)に移動することにより、傾斜部58に対して支持部78が相対移動することにより、支持部78を傾斜部58の下端側(第一リブ54側)の高さと、傾斜部58の上端側の高さとの間で移動させ、キャスター10をロック状態としたり、アンロック状態とすることができる。
【0036】
具体的には、操作部本体34を押し込み方向に移動させることにより、支持部78を傾斜部58に沿って上方側から下方側に移動させることができる。これにより、ケース体72を下方側に移動させることができる。ケース体72が下方側に移動することにより、規制部本体74を床面側に移動させ、ロック状態(カム部材38が第一段部s1で係止している状態)とすることができる。一方、ロック状態を解除するために操作部本体34が押し込まれると、第一付勢部材36の力で操作部本体34が手前方向に移動する。これにより、支持部78を傾斜部58に沿って下方側から上方側に移動させることができる。これにより、ケース体72を上方側に移動させることができる。ケース体72が上方側に移動することにより、規制部本体74を床面から離れる方向に移動させ、アンロック状態とすることができる。なお、傾斜部58は、第一傾斜部と、第一傾斜部より押込方向奥側において第一傾斜部より角度が大きい第二傾斜部とを有する構成であってもよい。
【0037】
また、ケース体72は、
図14に示されるように、操作部本体34の傾斜部58が当接する第一傾斜面73を有する。これにより、操作部本体34をスムーズに押し込むことができる。また、第一傾斜面73よりも押し込み方向の奥側には、水平方向を基準に、第一傾斜面73よりも角度が小さい当接面75を有することが好ましい。これにより、傾斜部58が当接面75に乗り上げることによって、ロック状態において操作部本体34によるケース体72の下方への押し込みを向上させることができる。また、当接面75は、水平であってもよいが、傾斜していることによって、ロック状態を解除するために押し込まれた操作部本体34は、第一付勢部材36の力で手前方向に戻り易くなる。なお、第一傾斜面73は、ケース体72の幅方向の少なくとも一方に有していればよいが、ここではケース体72の幅方向の両側に配される。また、当接面75は、第1傾斜面73とともに、ケース体72の幅方向の少なくとも一方に有していればよい。
【0038】
また、好ましくは、傾斜部58は、傾斜面73(または第一傾斜面73aおよび第二傾斜面73b)、または、傾斜面73および当接面75と対向(当接)するリブ57を有する。別の表現をすれば、操作部本体34の可動範囲で、操作部本体34が傾斜面73(または第一傾斜面73aおよび第二傾斜面73b)、または、傾斜面73および当接面75と対向する領域に形成されたリブ57を有する。リブ57は、操作部本体34の移動方向に沿って延びている。これにより、操作部本体34とケース体72との接触面積を抑えることができるため、操作部本体34をスムーズに移動させることができる。なお、リブ57は、1以上あればよく、ここでは幅方向の両側に有する。リブ57は、好ましくは、リブ57aおよびリブ57bを有する。リブ57aは、傾斜部58の傾斜方向に沿って延びている。リブ57bは、リブ57aよりも押し込み方向の手前側に位置し、リブ57aよりも水平方向に対する角度が小さく設計されるが、水平であってもよい。
【0039】
[発明1について]
従来、特開2009-233078号公報に開示されているように、テーブル等の家具をはじめとする什器の底部にローラーを有したキャスタを備えているものが種々知られている。また、キャスタには、ローラーの回転動作や旋回動作を禁止するためのロック部を有しているものがある。このようなロック部を備えた従来技術のキャスターは、ロック部に付随して設けられた操作体を上下方向に移動させることにより、ロック部を作動させたり、解除したりする操作を行えるものとされている。
【0040】
上述した従来技術のように、ロック部を備えたキャスターは、例えば、使用者が足先部分を使って操作体を操作するような形態での使用が想定される。しかしながら、従来技術のキャスターのような構成である場合には、操作体に対して的確に足先部分をアクセスさせるのが難しく、操作性に欠けるという問題があった。
【0041】
そこで本発明は、従来技術のものよりも操作性を向上させたキャスター、及び什器の提供を目的とした。
【0042】
(1-1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のキャスター10は、什器100に設けられ、什器100を床面に対して移動可能に支持するものであって、床面に対して回転可能なように支持される車輪部20と、水平方向に沿って移動可能な操作部本体34を有する操作部30と、操作部本体34の移動によって、垂直方向に沿って移動する規制部70と、を備え、操作部本体34を水平方向に沿って押し込んで移動させる押し込み操作に伴い、操作部本体34が水平方向に沿って移動することにより、規制部70が床面に近づく方向に移動して床面に接触することにより、床面に対する車輪部20の移動を規制するものであることを特徴とするものである。
【0043】
本実施形態のキャスター10は、操作部30を押し込み操作することにより、操作部本体34が水平方向に沿って移動し、規制部70を床面に近づく方向に移動させることができる。本実施形態のキャスター10は、このようにして規制部70が移動して床面に接触した状態になることにより、床面に対して車輪部20が移動規制された状態になる。このような構成とされているため、本実施形態のキャスター10は、従来技術のものよりも操作性が高い。
【0044】
(1-2)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10において、操作部本体34は、規制部70を支持する被支持部50を有し、被支持部50は、操作部本体34の移動方向における一方側において、操作部本体34の移動方向に向かうに従って床面と離れる方向に傾斜する傾斜部58を含み、規制部70は、傾斜部58に沿って移動可能に支持される支持部78を有することを特徴とするものである。
【0045】
かかる構成とされているため、上述したキャスター10は、操作部本体34を水平方向に移動させる操作に伴って、支持部78を傾斜部58に沿って移動させ、規制部70を垂直方向に沿ってスムーズに移動させることができる。そのため、キャスター10は、上述した構成とすることにより、操作部本体34の押し込み操作によって規制部70を床面側に移動させる動作や、操作部本体34を押し込み操作とは逆方向に移動させる操作によって規制部70を床面側から離反する方向に移動させる動作がスムーズに行われるものとすることができる。
【0046】
(1-3)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-2)において、操作部30は、規制部70について、水平方向の移動を規制するとともに、垂直方向の移動を許容するガイド部32fを有することを特徴とするものである。
【0047】
かかる構成とすることにより、上述したキャスター10は、ガイド部32fによるガイドにより、規制部70が水平方向に位置ずれを起こすのを抑制しつつ、規制部70を垂直方向に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0048】
(1-4)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-2)または(1-3)において、操作部30は、垂直方向に沿って延びる溝部60を有し、支持部78は、溝部60内で垂直方向に沿って移動可能であることを特徴とするものである。
【0049】
かかる構成とすることにより、上述したキャスター10は、溝部60によって支持部78、及び当該支持部78を備えた規制部70の動作を垂直方向に沿う方向に制限することができる。これにより、上述したキャスター10は、規制部70が水平方向に位置ずれを起こすのを抑制しつつ、規制部70を垂直方向に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0050】
(1-5)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-2)~(2-4)において、被支持部50は、操作部本体34の移動方向に案内する第一リブ54と、傾斜部58としての第二リブ56とを有することを特徴とするものである。
【0051】
かかる構成とすることにより、上述したキャスター10は、操作部本体34をスムーズに移動させることができる。
【0052】
(1-6)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10において、上記(1-2)~(1-4)において、傾斜部58は、操作部本体34の押し込み方向に向かうに従って床面と離れる方向に傾斜するよう延びる溝または突起であることを特徴とするものである。
【0053】
かかる構成とすることにより、上述したキャスター10は、操作部本体34の押し込み操作によって規制部70を床面側に移動させる動作をスムーズに行わせることができる。また、これとは逆に、キャスター10は、操作部本体34を押し込み操作とは逆方向に移動させることによって、規制部70を床面側から離反する方向にスムーズに移動させることができる。
【0054】
(1-7)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-1)~(1-6)において、操作部30は、水平方向に移動可能な操作部本体34と、操作部本体34を移動可能に支持する支持体32と、を有し、操作部本体34と支持体32と間には、操作部本体34の押し込み方向とは反対側に付勢する第一付勢部材36が配されることを特徴とするものである。
【0055】
かかる構成とすることにより、上述したキャスター10は、規制部70による規制を解除するために操作部本体34を押し込み方向とは反対方向に移動させる際に、第一付勢部材36の付勢力によって操作部本体34をスムーズに移動させることができる。
【0056】
(1-8)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-1)~(1-7)において、規制部70は、垂直方向に沿って移動可能な規制部本体74と、規制部本体74を移動可能に収容するケース体72と、規制部本体74とケース体72との間に配される第二付勢部材76と、を有し、規制部本体74は、ケース体72に対して抜け止めとなる抜止部74cを有することを特徴とするものである。
【0057】
かかる構成とすることにより、上述したキャスター10は、第二付勢部材76の付勢力により、ケース体72から床面に向けて規制部本体74を移動させ、床面に対して規制部本体74を押し当てて制動力を発揮させることができる。また、操作部本体34の押し込み操作の力を軽減することができる。
【0058】
(1-9)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-1)~(1-8)において、操作部30は、操作部本体34を移動可能に支持する支持体32と、操作部本体34及び支持体32の間に配され、ハート形状のカム溝38aが形成されたカム部材38と、カム溝38aに沿って移動可能な変位部材40と、操作部本体34と変位部材40との間に配される第三付勢部材42と、を有することを特徴とするものである。
【0059】
上述したキャスター10は、かかる構成とされているため、操作部本体34を水平方向に移動させるのに連動して、変位部材40が支持体32に設けられたカム部材38のカム溝38aに沿って案内される。このような構成とすることにより、操作部本体34の押込方向、及びこれとは反対方向への操作を周期的に行えるものとすることができる。
【0060】
(1-10)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-9)において、カム部材38は、水平方向であって、操作部30の押し込み方向と直交する方向に移動可能に支持体32に支持されることを特徴とするものである。
【0061】
上述したキャスター10は、かかる構成とすることにより、カム部材38を水平方向への遊びを持たせつつ支持体32によって支持することができる。
【0062】
(1-11)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-2)~(1-5)において、操作部本体34は、傾斜部58において、規制部70と当接する突条部(例えばリブ57)を有することを特徴とするものである。
【0063】
かかる構成とすることにより、規制部70との接触面積を抑えることができるため、操作部本体34をスムーズに移動させることができる。
【0064】
(1-12)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-1)~(1-11)において、規制部70は、傾斜部58と当接する傾斜面73を有する。
【0065】
かかる構成とすることにより、操作部本体34をスムーズに移動させて、規制部70を床面側に押し下げることができる。
【0066】
(1-13)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(1-12)において、規制部70は、傾斜面73と比べて押込み方向の奥側に、傾斜部58と当接する当接面75を有する。
【0067】
かかる構成とすることにより、傾斜部58が当接面75に乗り上げることによって、ロック状態において操作部本体34によるケース体72の下方への押し込みを向上させることができる。
【0068】
(1-14)本実施形態において例示した本発明の什器100は、上述した本実施形態において例示したキャスター10を備えたものである。
【0069】
上述した什器100は、キャスター10を備えたものであるため、操作部30の押し込み操作により、操作部本体34を水平方向に沿って移動させると共に、規制部70を床面に近づく方向に移動させて床面に接触した状態とすることができる。これにより、什器100は、キャスター10の車輪部20を床面に対して移動規制された状態とすることができる。このような構成とされているため、本実施形態の什器100は、従来技術のものよりもキャスター10の操作性が高い。
【0070】
[発明2について]
従来、特開2009-233078号公報に開示されているように、テーブル等の家具をはじめとする什器の底部にローラーを有したキャスタを備えているものが種々知られている。また、キャスタには、ローラーの回転動作や旋回動作を禁止するためのロック部を有しているものがある。このようなロック部を備えた従来技術のキャスターは、ロック部に付随して設けられた操作体を上下方向に移動させることにより、ロック部を作動させたり、解除したりする操作を行えるものとされている。
【0071】
上述した従来技術のように、ロック部が作動している状態で什器が移動させられると、ロック部やローラーの破損や、それによりロック部が作動しなくなってしまうといった問題がある。
【0072】
そこで本発明は、従来技術のものよりも破損が生じ難いキャスター、及び什器の提供を目的とした。
【0073】
(2-1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のキャスター10は、什器100に設けられ、什器100を床面に対して移動可能に支持するものであって、床面に対して回転可能なように支持される車輪部20と、操作部本体34を有する操作部30と、操作部本体34の移動によって、垂直方向に沿って移動する規制部70とを備え、操作部本体34の操作により、規制部70が床面に近づく方向に移動して床面に接触することにより、床面に対する車輪部20の移動を規制するものであり、床面に対する規制部70の接触面積が床面に対する車輪部20の接触面積より大きいことを特徴とするものである。
【0074】
本実施形態のキャスター10は、規制部70が床面に接触していることで、床面に対する車輪部20の移動が規制されている状態で、キャスター10が移動させられたとしても、車輪部20に対する損傷を軽減できる。また、車輪部20よりも接触面積の大きい規制部70が接触するため、床面への損傷も軽減することができる。
【0075】
(2-2)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(2-1)において、規制部70の床面と接触する部分は、前記車輪部20より摩擦係数が大きい部材で構成される。
【0076】
かかる構成とすることにより、車輪部20の移動を規制する効果を向上させることができる。
【0077】
(2-3)上述した本実施形態において例示した本発明のキャスター10は、上記(2-1)~(2-2)において、規制部70の床面と接触する部分は、短手方向および長手方向のある部材であり、短手方向の一方側に車輪部20が配される。
【0078】
かかる構成とすることにより、キャスターをコンパクトに設計することができる。
【0079】
なお、上記発明1の上記(1-2)~(1-14)の構成は、矛盾の無い範囲で、発明2の(2-1)~(2-3)に適宜採用することが可能である。
【0080】
上述したキャスター10や什器100は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等を行うことが可能である。例えば、上述した実施形態では、傾斜部58が、操作部30の押し込み方向に向かうに連れて床面と離れる方向に傾斜する突起(リブ)によって形成されたものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図17に示す変形例のように、突起(リブ)によって構成された傾斜部58に代えて、溝によって構成された傾斜部158を設けても良い。この場合、被支持リブ52によって形成された被支持部50に代えて、被支持溝152によって形成された被支持部150を設けた構成とし、第一リブ54及び第二リブ56に代えて第一溝154、第二溝156を設けた構成とすると良い。また、支持部78に代えて突状の支持部178を設け、被支持溝152によって形成された被支持部150に支持部178を嵌め込み、支持部178を被支持部150をなす溝に沿ってスライド可能とすると良い。
【0081】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、什器を床面に対して移動可能に支持するキャスター全般、及びキャスターを備えた什器全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
10 :キャスター
20 :車輪部
30 :操作部
32 :支持体
32f :ガイド部
34 :操作部本体
36 :第一付勢部材
38 :カム部材
38a :カム溝
40 :変位部材
42 :第三付勢部材
50 :被支持部
54 :第一リブ
56 :第二リブ
58 :傾斜部
60 :溝部
70 :規制部
72 :ケース体
74 :規制部本体
74c :抜止部
76 :第二付勢部材
78 :支持部
100 :什器