(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158815
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】散布装置
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20231024BHJP
A01C 19/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A01C15/00 E
A01C15/00 D
A01C19/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068825
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000132828
【氏名又は名称】株式会社タイショー
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 順一
【テーマコード(参考)】
2B052
【Fターム(参考)】
2B052BA03
2B052BC05
2B052BC08
2B052DB01
2B052DB04
2B052DC13
2B052EA02
2B052EA17
(57)【要約】
【課題】過負荷保護装置の設置を容易にできる駆動装置を提供することを課題とする。
【解決手段】自走車両に連結される散布装置であって、ホッパは、平面視で略横長矩形状で、側断面視でホッパ状を呈し、複数種類の散布物が投入される混合タンクと、前記混合タンクの下方に連続的に配置され、前記混合タンクで混合された前記複数種類の散布物を散布する散布部とを備え、前記混合タンクは、投入された前記複数種類の散布物を撹拌混合する撹拌ロータを有し、前記散布部は、散布開口部を備えるとともに、前記複数種類の散布物を前記散布開口部に繰り出す繰り出しロータを有し、前記撹拌ロータは前記混合タンクの両端部に軸支された支軸に取り付けられて、前記繰り出しロータは前記散布部の両端部に軸支されており、前記自走車両の動力取出し軸から前記支軸に動力を伝達する動力伝達手段と、前記繰り出しロータを駆動する電気モータを備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパを有し、自走車両に連結されるように構成されている散布装置であって、
前記ホッパは、
平面視で略横長矩形状で、側断面視でホッパ状を呈し、複数種類の散布物が投入される混合タンクと、
前記混合タンクの下方に連続的に配置され、前記混合タンクで混合された前記複数種類の散布物を散布する散布部とを備え、
前記混合タンクは、その内部に、投入された前記複数種類の散布物を撹拌混合する撹拌ロータを有し、
前記散布部は、その底部に散布開口部を備えるとともに、その内部に前記複数種類の散布物を前記散布開口部に繰り出す繰り出しロータを有し、
前記撹拌ロータは、前記混合タンクの両端部に軸支された支軸に取り付けられており、
前記繰り出しロータは、前記散布部の両端部に軸支されており、
前記自走車両の動力取出し軸から前記支軸に動力を伝達する動力伝達手段と、
前記繰り出しロータを駆動する電気モータを備えることを特徴とする散布装置。
【請求項2】
前記動力伝達手段には過負荷保護装置が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の散布装置。
【請求項3】
前記動力伝達手段及び前記電気モータは、前記ホッパのどちらか一方の側面に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状、粉状等の肥料等を圃場に散布するために使用される散布装置に係り、特に、トラクタの後部に取り付け支持され、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)からの動力によってタンク内に投入されている複数種類の肥料等を撹拌混合しながら散布するように構成されているブレンド式の散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタの後部に取り付け支持され、トラクタからの動力によってタンク内の撹拌ロータ(アジテータ)を回転させてタンク内に投入されている複数種類の肥料を撹拌混合しながら散布するように構成されている散布装置が知られている。
この散布装置は、平面視でトラクタの車体幅方向に長い平面視で略横長矩形状で、底部に散布口を備えるタンクを有し、タンク内の上部に撹拌ロータを長手方向に回転架橋状に、また、タンク内の下部に繰り出しロータを長手方向に回転架橋状に配設し、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)からの動力により撹拌ロータ及び繰り出しロータを回転させ、ホッパ内に収容された複数種類の肥料を撹拌混合しながら散布するように構成されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55-33024号(実願昭53-115939号)のマイクロフィルム
【特許文献2】特開2019-201562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術による散布装置では、撹拌ロータと繰り出しロータの両方を、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)に接続された動力入力軸から動力伝達手段で動力を伝達して駆動していた。
撹拌ロータ及び繰り出しロータは、ともに、タンクに投入された肥料内で回転するものであるから、大きな負荷を受ける。
このため、撹拌ロータ及び繰り出しロータと動力入力軸との間の動力伝達手段には、撹拌ロータ及び/又は繰り出しロータに過大な負荷がかかった時に、撹拌ロータ、繰り出しロータ、動力伝達手段に損傷などが生じないように、動力伝達を切るための過負荷保護装置を設置することが好ましい。
【0005】
動力入力軸から撹拌ロータと繰り出しロータの動力分岐箇所までの間に過負荷保護装置を1つ設置する場合、通常でも撹拌ロータの方が繰り出しロータより大きな負荷がかかるため、過負荷保護装置の境界値(動力が遮断されるときの負荷値)を、撹拌ロータに合わせて高く設定すると、繰り出しロータに過負荷がかかった時に動力が遮断されない場合が発生し、繰り出しロータが破損することが起こり得る。逆に、繰り出しロータに合わせて低く設定すると、撹拌ロータに過負荷とはいえないが大きい負荷がかかった場合に動力が遮断されるため、頻繁に動力が遮断され、そのたびに作業が中断され、作業効率が落ちてしまうことが考えられる。
このように、過負荷保護装置を1つだけ設置する場合、境界値の設定が困難である。
【0006】
また、撹拌ロータと繰り出しロータの動力分岐箇所から、撹拌ロータと繰り出しロータまでの間にそれぞれ過負荷保護装置を設ける、すなわち、過負荷保護装置を2つ設置する場合、撹拌ロータと繰り出しロータのそれぞれに適した過負荷保護装置の境界値を設定することができる。しかしながら、過負荷保護装置が1つ増えるため、コストが高くなり、動力伝達手段の構造が複雑となる。さらに、撹拌ロータと繰り出しロータのそれぞれに、境界値ぎりぎりの負荷がかかると、合計の負荷値が大きくなるものの、それぞれの過負荷保護装置は動力を遮断しないため、動力入力軸から撹拌ロータと繰り出しロータの動力分岐箇所までの間に大きな負荷がかかって、動力伝達手段に損傷を与える可能性がある。
【0007】
このように、撹拌ロータと繰り出しロータとを有する肥料散布装置において、撹拌ロータと繰り出しロータの両方を、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)に接続された動力入力軸から動力伝達手段で動力を伝達して駆動する際には、過負荷保護装置の設置が困難であるという問題を有していた。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題を解決し、撹拌ロータと繰り出しロータとを有する肥料散布装置において、過負荷保護装置の設置を容易にできる駆動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の散布装置は、ホッパを有し、自走車両に連結されるように構成されている散布装置であって、前記ホッパは、平面視で略横長矩形状で、側断面視でホッパ状を呈し、複数種類の散布物が投入される混合タンクと、前記混合タンクの下方に連続的に配置され、前記混合タンクで混合された前記複数種類の散布物を散布する散布部とを備え、前記混合タンクは、その内部に、投入された前記複数種類の散布物を撹拌混合する撹拌ロータを有し、前記散布部は、その底部に散布開口部を備えるとともに、その内部に前記複数種類の散布物を前記散布開口部に繰り出す繰り出しロータを有し、前記撹拌ロータは、前記混合タンクの両端部に軸支された支軸に取り付けられており、前記繰り出しロータは、前記散布部の両端部に軸支されており、前記自走車両の動力取出し軸から前記支軸に動力を伝達する動力伝達手段と、前記繰り出しロータを駆動する電気モータを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、撹拌ロータを取り付けた支軸を自走車両の動力取出し軸から動力で駆動し、繰り出しロータを電気モータにより駆動することにより、それぞれの駆動源を別のものとして、過負荷保護装置の設置を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る実施形態の散布装置1の上面から見た要部断面図である。
【
図2】同散布装置1の側面から見た要部断面図である。
【
図3】同散布装置1の正面から見た要部断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る散布装置1aの側面視での断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の散布装置1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0013】
[散布装置の基本構成]
散布装置1は、自走車両であるトラクタ(図示せず)の機体後部に装備されている三点支持機構を介してトラクタに取り付け支持され、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)に連結して、トラクタから動力を得られるよう構成されている。これらの構成は、公知の構成から、適宜任意のものを選択して採用できる。
散布装置1は、複数種類の肥料(複数種類の散布物)を貯留し、内部で複数種類の肥料を撹拌混合して、散布するホッパ2を備えている。
ホッパ2は、上部の混合タンク3と、下部の散布部4を有している。
【0014】
[ホッパの構成]
ホッパ2は、平面視で、トラクタの車体幅方向に長い略横長矩形状に形成されている。そして、ホッパ2は、上部に、複数種類の肥料を撹拌混合する混合タンク3と、下部に、混合タンク3で撹拌混合された複数種類の肥料を圃場に散布する散布部4とを有する。
混合タンク3は、上面にタンク開口部31を有し、下半部33は側断面視で多角形状に形成された略U字状の箱型に形成されている。
作業者は、タンク開口部31から、複数種類の肥料を順に混合タンク3内に投入する。タンク開口部31には、開閉自在の蓋32が設置されている。
なお、下半部33は側断面視で曲線状(例えば、円弧状)に形成された略U字状の箱型としてもよい。また、略U字状に限らず、ホッパとして機能する形状であれば、どのような形状でもよい。
【0015】
散布部4は、上側が混合タンク3に連続し、下側は、最下部が側断面視で略円弧状に形成された、全体として略逆三角形状の樋型に形成された容器部41を有している。この容器部41は、混合タンク3の下部に開閉自在に取り付けられている。これにより、散布部4は、散布部4内を清掃したり、肥料が詰まった場合の詰まり解消作業を行ったりする場合に、容器部41を大きく開放することができ、これらの作業を容易に行うことができるようになっている。
【0016】
また、散布部4は、最下部に複数種類の肥料を散布するための散布開口部43を、トラクタの車体幅方向でホッパ2の平面視略横長矩形状の長手方向(以下、単に「長手方向」という)に適宜の間隔で複数個備え、これら散布開口部43は、長手方向にスライドするシャッタ(図示せず)により開閉自在に構成されている。
なお、散布物としては、肥料のほか、薬剤のような圃場に散布される公知の任意のものであればよく、その形状としては、粉状や粒状のものが例示されるが、繊維状や不定形状などの他の形状のものでもよい。
【0017】
[混合タンクの構成]
混合タンク3内には、複数種類の肥料を撹拌混合するための撹拌ロータ34が設置されている。
混合タンク3の両側面間に長手方向に架橋されるように、混合タンク3の両端部に軸支された1本の支軸341に、複数個の撹拌ロータ34が、それぞれ、90°ずつ異なる4つの方向に向けて突出して取り付けられている。なお、45°ずつ異なる8つの方向、60°ずつ異なる6つの方向、120°ずつ異なる3つの方向、180°ずつ異なる2つの方向など、他の任意の形態でもよい。
【0018】
[撹拌ロータの構成]
撹拌ロータ34は、支軸341に取り付けられた略平板状の取付部342と、その先端から長手方向に突出するように取り付けられた略平板状の混合爪343と、混合爪343の回転方向上流側の端部から混合タンク3の内面に向けて突出するように取り付けられた平板状の弾性体344とを備えている。この実施形態では、撹拌ロータ34は混合爪343と弾性体344を有し、混合爪343が混合タンク3の内面近くに配置されているが、このほかに、混合爪343のみを有するものでもよいし、混合爪343を支軸341と混合タンク3の内面間の中間付近に配置した(径の異なる)撹拌ロータ34をも備えるようにしてもよい。
【0019】
混合爪343は、長手方向で支軸341に平行な方向に突出するような略平板状とされて、混合タンク3の内面に沿って回転移動して、混合タンク3内の複数種類の肥料を撹拌混合する。
なお、混合爪343は、任意の方向に任意の角度だけ傾斜させることができる。
例えば、支軸341に平行な軸周りに任意の角度だけ傾斜させてもよい。この場合、撹拌混合の際、複数種類の肥料に撹拌ロータ34の径方向に力を加えることにより、撹拌ロータ34の径方向に撹拌することができる。
また、長手方向で支軸341に平行な面から撹拌ロータ34の径方向に傾斜するようにしてもよい。この場合、撹拌混合の際、複数種類の肥料に長手方向の力を加えることにより、長手方向にも撹拌することができる。
さらに、傾斜方向や角度が異なる複数種類の混合爪343を設けることにより、径方向や長手方向の撹拌混合をよりよく行うことができるようにしてもよい。
また、混合爪343は、略平板状のほかに、曲面板状でもよいし、また、板状である必要はなく、どのようなものでもよい。
【0020】
図2に示されるように、弾性体344は、その先端部が混合タンク3の内面に摺接するよう構成されており、混合タンク3内面に複数種類の肥料が付着・滞留するのを防止することができる。弾性体344は、ウレタンゴムなどの弾性材料で適宜の厚さに形成され、混合タンク3の内面に適宜の面積が接触するような形状、大きさに設計されている。また、弾性体344が混合タンク3内面に接触する面積を調整できるように、弾性体344を取付部342に位置調整可能に取り付けられるようにすることもできる。
【0021】
なお、撹拌ロータ34は、単に、棒状や平板状のものや、棒状の取付部の先端に爪を取り付けたものや、平板状の取付部の先端部を折り曲げ加工したもののほか、任意の種々の形状とすることができる。
【0022】
[散布部の構成]
散布部4は、混合タンク3の下方に連続的に配置されている。
散布部4内には、撹拌混合された複数種類の肥料を散布開口部43に繰り出すための繰り出しロータ42が配設されている。繰り出しロータ42は、散布部4の両側面間に長手方向に架橋されるように、散布部4の両端部に軸支されている。
なお、繰り出しロータ42も、散布部4を清掃したり、肥料が詰まった場合の詰まり解消作業を行ったりする作業を容易に行うことができるように、簡単に取り外せるようにすることが好ましい。
【0023】
[繰り出しロータの構成]
繰り出しロータ42は、1本の軸に異なる方向に突出した複数の突起部421が設けられている。
なお、繰り出しロータ42は、複数の突起部421も含めて、緩効性肥料や遅効性肥料などのコーティング肥料のコーティングを傷つけないように、少なくとも表面部分をゴム製などとすることが好ましい。
また、繰り出しロータ42の突起部421の形状、大きさ、数等は、繰り出しロータ42の作用を考慮して、任意の種々の設計が考えられることは言うまでもない。
【0024】
散布部4の最下部に設けられた複数の散布開口部43には、それぞれ、開閉自在のシャッタ(図示せず)が設けられている。散布部4に設けられたシャッタ(図示せず)のスライド動作は、レバーなどを使用して手動で行ってもよいし、シャッタ(図示せず)をスライド動作するための駆動源を別途用意して駆動するようにしてもよい。また、シャッタ(図示せず)は、複数の散布開口部43のすべてを同時に開閉するようにしてもよいし、複数の散布開口部43を個別に開閉できるようにしてもよいし、複数の散布開口部43を複数のグループにまとめて、グループ毎に開閉できるようにしてもよい。
【0025】
[混合タンクと散布部の接続部]
混合タンク3の底部と散布部4の上面は連続するように構成されているが、混合タンク3の底部と散布部4の上面の間、すなわち、撹拌ロータ34と繰り出しロータ42の間がすべて開口とはなっていない。
本実施形態では、混合タンク3の下半部33の後ろ側(撹拌ロータ34の回転方向(
図2では、時計回り)上流側)が、混合タンク3の底部と散布部4の上面の間の開口に突出するよう前側に延設されて、混合タンク3の底部と散布部4の上面の間の仕切り板35を形成している。すなわち、仕切り板35は、側断面視で混合タンク3の多角形状の最下辺となるような水平面に形成されている。これにより、混合タンク3の底部と散布部4の上面の間には、混合タンク3の下半部33の前側に、長手方向に伸びる1つの細長いスリット36が、混合タンク3と散布部4とを連通するように形成されている。
仕切り板35は、混合タンク3の底部に水平に延設されており、混合タンク3の最下面を構成していることにより、混合タンク3の下半部33は、仕切り板35も含めて、側断面視で多角形状となっている。
なお、スリット36は、混合タンク3の両側面間に1つの連続したスリットとなるように構成してもよいし、複数のスリットに分割して、スリット間を仕切り板35として、混合タンク3の底部の前後をつなぐようにすることもできる。
【0026】
この仕切り板35により、混合タンク3内に貯留された複数種類の肥料は、混合タンク3の底部と散布部4の上面の間の本来開口である部分に加わる重量の大部分が仕切り板35により支持されるので、散布部4内の複数種類の肥料に大きな荷重が加わることを抑制することができる。
これにより、本実施形態の散布装置1では、混合タンク3内の残量による複数種類の肥料の散布量の変化を抑制することができるから、複数種類の肥料を圃場に均一に散布することができる。
【0027】
[撹拌ロータの駆動]
撹拌ロータ34は、繰り出しロータ42よりも大きな駆動力を必要とするため、トラクタの動力取出し軸(PTO軸;図示せず)の動力を動力伝達手段5により伝達することにより駆動されている。
動力伝達手段5は、動力入力軸51、傘歯車52、過負荷保護装置53、伝達軸54、第1チェーン55及び第2チェーン56を有している。
散布装置1の動力入力軸51は、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)にユニバーサルジョイントを介して連結され、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)からの動力を撹拌ロータ34に供給するものである。
動力入力軸51の回転は、傘歯車52を介して、散布装置1の長手方向に配置された伝達軸54の回転に伝えられる。
傘歯車52と伝達軸54の間には、過負荷保護装置53が設置されている。過負荷保護装置53として、ボルトを使用した公知の過負荷保護装置を使用している。また、このほかの公知の過負荷保護であれば、どのようなものでもよく、例えば、摩擦式、シャーピン式、ボール又はローラ式、マグネット式などが挙げられる。
伝達軸54の回転は、ホッパ2の一方の側面(本実施形態では、散布装置1の前面から見て長手方向右側の側面)に、第1チェーン55と第2チェーン56により、回転数を落として、最終的に支軸341に伝達される。
なお、動力入力軸51から支軸341までの動力伝達手段5は、上述の構成に限らず、歯車、チェーン、ベルトなどの公知の手段を適宜組み合わせて、種々の構成が考えられることは言うまでもない。
【0028】
[繰り出しロータの駆動]
繰り出しロータ42は、撹拌ロータ34より小さい駆動力ですむため、電気モータmからの動力により駆動されている。
電気モータmの回転は、第3チェーン57により回転数を落として、繰り出しロータ42に伝達される。
繰り出しロータ42の過負荷保護は、温度ヒューズを使用して、過負荷時の電気モータへの電力を遮断することにより行っている。このほか、公知の電気モータの過負荷の検知手段、例えば、サーマルリレー、電気モータの駆動電流の検知、電気モータの回転数の検知などの公知の検知手段を用いて、過負荷時の電気モータへの電力を遮断することにより行うことができる。
なお、繰り出しロータ42の過負荷保護も、撹拌ロータ34と同様、電気モータmと繰り出しロータ42との間の動力伝達手段としての過負荷保護装置を設置することにより行ってもよい。
【0029】
[動力伝達手段の配置]
本実施形態では、散布装置1の前面から見て長手方向中央に配置された動力入力軸51から、傘歯車52と伝達軸54により、長手方向右側の側面に動力伝達手段5を取り回して、長手方向右側の側面に第1チェーン55と第2チェーン56とを配置するとともに、長手方向右側の側面に電気モータmと第3チェーン57を配置した構成としている。
【0030】
[変形例]
動力伝達手段5の配置は、これに限らず、長手方向中央に動力入力軸51とともに、撹拌ロータ34を駆動する動力伝達手段5の他の構成及び繰り出しロータ42を駆動する電気モータmなどを配置することもできる。
この場合、ホッパ2を大きく2つに分けて、それぞれの混合タンク3内に1本の支軸341を架橋し、それぞれの散布部4内に1本の繰り出しロータ42を架橋して、それぞれの支軸341及び繰り出しロータ42を、長手方向中央側の端部から駆動するように構成してもよい。
なお、上述の実施形態では、動力伝達手段5の一部及び電気モータmなどを長手方向の一方(右側)に配設したことにより、ホッパ2が2つに分断されることがないから、作業者がホッパ2内に肥料を投入する際に、ホッパ2の長手方向一方の端部から他方の端部へと連続して投入することができる。これに対して、変形例では、長手方向中央に動力伝達手段5及び電気モータmなどが配接されているので、投入作業を長手方向中央で一度中断しなくてはならない。したがって、上述の実施形態では、投入作業が容易になるという利点がある。
【0031】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態である散布装置1aを
図4に基づいて説明する。
上述の実施形態の散布装置1では、混合タンク3内に撹拌ロータ34を取り付けた支軸341を1つ設けたものであったが、
図4に示すように、散布装置1aでは、混合タンク3a内に撹拌ロータ34a取り付けた支軸341aを前後に2つ並べて設けることもできる。
この場合、仕切り板35aは、混合タンク3aの下半部33aの前後両方が、混合タンク3aの底部と散布部4aの上面の間の開口に突出するように延設されて、開口の中央部にスリット36aが形成されるようにするとよい。
散布装置1aでは、2つの撹拌ロータ34aは、トラクタの動力取出し軸(PTO軸)からの動力で駆動され、繰り出しロータ42aは、電気モータmにより駆動される。
【0032】
以上、本発明に係る実施形態の散布装置1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1、1a 散布装置
2 ホッパ
3、3a 混合タンク
31 タンク開口部
32 蓋
33、33a 下半部
34、34a 撹拌ロータ
341、341a 支軸
342 取付部
343 混合爪
344 弾性体
35、35a 仕切り板
36、36a スリット
4、4a 散布部
41 容器部
42、42a 繰り出しロータ
421 突起部
43 散布開口部
5 動力伝達手段
51 動力入力軸
52 傘歯車
53 過負荷保護装置
54 伝達軸
55 第1チェーン
56 第2チェーン
57 第3チェーン
m 電気モータ