IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

特開2023-158818イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ
<>
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図1
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図2
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図3
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図4
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図5
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図6
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図7
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図8
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図9
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図10
  • 特開-イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158818
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】イメージセンサの製造方法及びイメージセンサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/031 20060101AFI20231024BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20231024BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H04N1/031
H04N1/12 Z
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068830
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 慶悟
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠起
(72)【発明者】
【氏名】小藤 禎之
【テーマコード(参考)】
4M118
5C051
5C072
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA06
4M118FA08
4M118GA03
4M118GD03
4M118HA02
4M118HA05
5C051AA01
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB01
5C051DB22
5C051DB28
5C051DD02
5C072AA01
5C072BA04
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA21
5C072DA25
5C072EA07
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】紙葉類の搬送路を形成するイメージセンサの面の平面性を高める。
【解決手段】 撮像対象物に光を照射する光源部と、撮像対象物から光を受光する受光部とが収められたケースに、光源部が照射する光及び受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、透過部材を支持する枠部材とを含むカバーを取り付けた構造を有するイメージセンサを、平面上に固定された粘着テープの上に、透過部材と枠部材とを所定の位置関係で載置する載置工程と、透過部材を粘着テープに押し付けて粘着テープに密着させる第1圧着工程と、枠部材を粘着テープに押し付けて粘着テープに密着させる第2圧着工程と、粘着テープに密着させた透過部材と枠部材の隙間に接着剤を充填する接着工程と、透過部材、枠部材及び接着剤から粘着テープを剥がす剥離工程とによって製造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物に光を照射する光源部と、前記撮像対象物から光を受光する受光部とが収められたケースに、前記光源部が照射する光及び前記受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を支持する枠部材とを含むカバーを取り付けた構造を有するイメージセンサの製造方法であって、
平面上に固定された粘着テープの上に、前記透過部材と前記枠部材とを所定の位置関係で載置する載置工程と、
前記透過部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる第1圧着工程と、
前記枠部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる第2圧着工程と、
前記粘着テープに密着させた前記透過部材と前記枠部材の隙間に接着剤を充填して接着する接着工程と、
前記透過部材、前記枠部材及び前記接着剤から前記粘着テープを剥がす剥離工程と
を含むことを特徴とするイメージセンサの製造方法。
【請求項2】
前記第1圧着工程及び前記第2圧着工程で前記粘着テープに密着させるために前記透過部材及び前記枠部材に付与される力の大きさは、該力を開放した後も前記粘着テープ上面の平面状態が保たれる範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項3】
前記粘着テープが固定されたシート部材を作業台の上に固定する工程
をさらに含み、
前記載置工程は、
前記作業台上で前記透過部材を所定位置に位置決めする第1治具を前記作業台に取り付けて、前記第1治具により前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、
前記第1治具を前記作業台から取り外す工程と、
前記作業台上で前記枠部材を所定位置に位置決めする第2治具を前記作業台に取り付けて、前記第2治具により前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、
前記第2治具を前記作業台から取り外す工程と
を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項4】
前記粘着テープが固定されたシート部材を作業台の上に固定する工程
をさらに含み、
前記載置工程は、
前記作業台上で前記枠部材を所定位置に位置決めする治具を前記作業台に取り付けて、前記治具により前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、
前記治具を前記作業台から取り外す工程と、
前記枠部材の開口部に設けられた前記透過部材の位置決め用の複数の突起に合わせて前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と
を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項5】
前記粘着テープが固定されたシート部材を作業台の上に固定する工程
をさらに含み、
前記載置工程は、
前記作業台上で前記透過部材を所定位置に位置決めする治具を前記作業台に取り付けて、前記治具により前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、
前記治具を前記作業台から取り外す工程と、
前記枠部材の開口部に設けられた前記透過部材の位置決め用の複数の突起を前記透過部材に合わせることにより前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と
を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項6】
前記粘着テープが固定された可撓性を有するシート部材と、前記シート部材を保持する保持部材とを、前記粘着テープが上面にくるように重ねて作業台の上に固定する工程
をさらに含み、
前記剥離工程は、前記保持部材を前記シート部材から取り外して、前記シート部材の可撓性を利用して前記粘着テープを剥がすことにより行われる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のイメージセンサの製造方法。
【請求項7】
撮像対象物に光を照射する光源部と、前記撮像対象物から光を受光する受光部とが収められたケースに、前記光源部が照射する光及び前記受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を支持する枠部材とを含むカバーを取り付けた構造を有するイメージセンサの製造方法であって、
粘着テープが固定されたシート部材と、前記シート部材を保持する保持部材とを、前記粘着テープが上面にくるように重ねて作業台上に位置決め固定する工程と、
前記粘着テープ上で前記枠部材との間に所定の隙間が生ずる位置に前記透過部材を位置決めする第1治具を、前記作業台に取り付ける工程と、
前記第1治具により前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、
前記透過部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる工程と、
前記第1治具を前記作業台から取り外す工程と、
前記粘着テープ上で前記透過部材との間に所定の隙間が生ずる位置に前記枠部材を位置決めする第2治具を、前記作業台に取り付ける工程と、
前記第2治具により前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、
前記第2治具を前記作業台から取り外す工程と、
前記枠部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる工程と、
前記粘着テープに密着させた前記透過部材と前記枠部材の隙間に接着剤を充填して接着する工程と、
前記透過部材と前記枠部材とを前記接着剤で接着固定した後、前記透過部材、前記枠部材及び前記接着剤から前記粘着テープを剥がす工程と
を含むことを特徴とするイメージセンサの製造方法。
【請求項8】
請求項1、2又は7に記載の製造方法で製造されたことを特徴とするイメージセンサ。
【請求項9】
搬送路に沿って搬送される撮像対象物を撮像するイメージセンサであって、
前記撮像対象物に光を照射する光源部と、
前記撮像対象物から光を受光する受光部と、
前記光源部及び前記受光部が収められたケースと、
前記光源部が照射する光及び前記受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を支持する枠部材とを含み、前記ケースの開口部を覆うように取り付けられたカバーと
を備え、
所定の隙間が生ずる位置関係で粘着テープの平面上に密着させて前記隙間に充填した接着剤によって固定した前記透過部材及び前記枠部材が、前記粘着テープを剥離して前記透過部材、前記枠部材及び前記接着剤で形成した平面を前記撮像対象物に対向させて配置される
ことを特徴とするイメージセンサ。
【請求項10】
前記枠部材は、前記透過部材と接着固定される内周側面の少なくとも一部に、前記接着剤を充填するための傾斜面を有することを特徴とする請求項9に記載のイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イメージセンサの製造方法及び該製造方法で製造されたイメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサは、例えば、紙葉類処理装置に内蔵され、装置内で搬送される紙葉類を撮像するために利用される。特許文献1及び2には、光源から紙葉類に光を照射して、反射された光を受光部に受けることにより、紙葉類を撮像するイメージセンサが開示されている。イメージセンサは、光源及び受光部を筐体内部に収めて、ガラスが嵌め込まれたカバーで筐体を閉じた構造を有している。光源が発する光がガラスを透過して紙葉類へ照射される。紙葉類で反射された光がガラスを透過して受光部で受光される。
【0003】
特許文献1には、カバーとガラスの隙間からゴミが入らないように、カバーとガラスを金属製の圧縮治具で固定した状態で、隙間を接着剤で埋めるイメージセンサの製造方法が開示されている。特許文献2には、カバーとガラスの隙間を規定する隙間部材を利用してカバーとガラスを位置決めした後、隙間部材を取り除いてできた隙間に接着剤を充填するイメージセンサの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5018824号公報
【特許文献2】特許第5897087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カバーとガラスの隙間を接着剤で埋める工程は、イメージセンサの外側となる面が下になるように、カバー及びガラスを平面上に載置して行われる。載置されたカバー及びガラスの下面が、紙葉類が搬送される搬送路を形成する。特許文献1の圧縮治具は、カバーの上下方向の位置を固定する一方でガラスは上面の位置のみを固定するもので、カバーに対してガラスの上面を位置決めする構造となっている。このため、ガラスの下面とカバー下面との間に段差が生ずる可能性がある。また、カバーは主走査方向に長い樹脂部材であるため、金属製の圧縮治具によって固定される際に、主走査方向と平行な部位に撓みが生じ、撓んだ状態でガラスと接着されてしまう可能性がある。カバーとガラスの間に段差が生じたり、カバーの一部が撓んでガラス面よりも下方へはみ出したりすると、搬送路を搬送される紙葉類が引っ掛かって搬送路に詰まるジャムの原因となる。
【0006】
特許文献2の方法では、カバー及びガラスに位置決めするための力を作用させないため、位置決めに起因する段差は生じないが、接着剤が、カバーとガラスの隙間だけでなく、カバー及びガラスの下面にまで進入する可能性がある。ガラス又はカバーの下面にはみ出した接着剤が段差を形成すると、紙葉類が引っ掛かってジャムの原因となる。ジャムを発生させることなく紙葉類を円滑に搬送するためには、紙葉類の搬送路を形成する面を、部品間による段差及び接着剤による段差のない平面にする必要がある。
【0007】
本開示は、上記従来技術による課題に鑑みてなされたもので、紙葉類を撮像するイメージセンサにおいて、紙葉類の搬送路を形成する面の平面性を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るイメージセンサの製造方法は、撮像対象物に光を照射する光源部と、前記撮像対象物から光を受光する受光部とが収められたケースに、前記光源部が照射する光及び前記受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を支持する枠部材とを含むカバーを取り付けた構造を有するイメージセンサの製造方法であって、平面上に固定された粘着テープの上に、前記透過部材と前記枠部材とを所定の位置関係で載置する載置工程と、前記透過部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる第1圧着工程と、前記枠部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる第2圧着工程と、前記粘着テープに密着させた前記透過部材と前記枠部材の隙間に接着剤を充填して接着する接着工程と、前記透過部材、前記枠部材及び前記接着剤から前記粘着テープを剥がす剥離工程とを含む。製造されるイメージセンサは、撮像対象物にライン状の光を照射して撮像するラインセンサであってもよい。
【0009】
上記構成において、前記第1圧着工程及び前記第2圧着工程で前記粘着テープに密着させるために前記透過部材及び前記枠部材に付与される力の大きさは、該力を開放した後も前記粘着テープ上面の平面状態が保たれる範囲に設定されていてもよい。
【0010】
上記構成において、前記粘着テープが固定されたシート部材を作業台の上に固定する工程をさらに含み、前記載置工程は、前記作業台上で前記透過部材を所定位置に位置決めする第1治具を前記作業台に取り付けて、前記第1治具により前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、前記第1治具を前記作業台から取り外す工程と、前記作業台上で前記枠部材を所定位置に位置決めする第2治具を前記作業台に取り付けて、前記第2治具により前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、前記第2治具を前記作業台から取り外す工程とを含んでいてもよい。
【0011】
上記構成において、前記粘着テープが固定されたシート部材を作業台の上に固定する工程をさらに含み、前記載置工程は、前記作業台上で前記枠部材を所定位置に位置決めする治具を前記作業台に取り付けて、前記治具により前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、前記治具を前記作業台から取り外す工程と、前記枠部材の開口部に設けられた前記透過部材の位置決め用の複数の突起に合わせて前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程とを含んでいてもよい。
【0012】
上記構成において、前記粘着テープが固定されたシート部材を作業台の上に固定する工程をさらに含み、前記載置工程は、前記作業台上で前記透過部材を所定位置に位置決めする治具を前記作業台に取り付けて、前記治具により前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、前記治具を前記作業台から取り外す工程と、前記枠部材の開口部に設けられた前記透過部材の位置決め用の複数の突起を前記透過部材に合わせることにより前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程とを含んでいてもよい。
【0013】
上記構成において、前記粘着テープが固定された可撓性を有するシート部材と、前記シート部材を保持する保持部材とを、前記粘着テープが上面にくるように重ねて作業台の上に固定する工程をさらに含み、前記剥離工程は、前記保持部材を前記シート部材から取り外して、前記シート部材の可撓性を利用して前記粘着テープを剥がすことにより行われてもよい。
【0014】
本開示に係るイメージセンサの製造方法は、撮像対象物に光を照射する光源部と、前記撮像対象物から光を受光する受光部とが収められたケースに、前記光源部が照射する光及び前記受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を支持する枠部材とを含むカバーを取り付けた構造を有するイメージセンサの製造方法であって、粘着テープが固定されたシート部材と、前記シート部材を保持する保持部材とを、前記粘着テープが上面にくるように重ねて作業台上に位置決め固定する工程と、前記粘着テープ上で前記枠部材との間に所定の隙間が生ずる位置に前記透過部材を位置決めする第1治具を、前記作業台に取り付ける工程と、前記第1治具により前記透過部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、前記透過部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる工程と、前記第1治具を前記作業台から取り外す工程と、前記粘着テープ上で前記透過部材との間に所定の隙間が生ずる位置に前記枠部材を位置決めする第2治具を、前記作業台に取り付ける工程と、前記第2治具により前記枠部材を位置決めして前記粘着テープの上に載置する工程と、前記第2治具を前記作業台から取り外す工程と、前記枠部材を前記粘着テープに押し付けて前記粘着テープに密着させる工程と、前記粘着テープに密着させた前記透過部材と前記枠部材の隙間に接着剤を充填して接着する工程と、前記透過部材と前記枠部材とを前記接着剤で接着固定した後、前記透過部材、前記枠部材及び前記接着剤から前記粘着テープを剥がす工程とを含む。製造されるイメージセンサは、撮像対象物にライン状の光を照射して撮像するラインセンサであってもよい。
【0015】
本開示に係るイメージセンサは、上記構成に係る製造方法で製造されたイメージセンサである。イメージセンサは、撮像対象物にライン状の光を照射して撮像するラインセンサであってもよい。
【0016】
本開示に係るイメージセンサは、搬送路に沿って搬送される撮像対象物を撮像するイメージセンサであって、撮像対象物に光を照射する光源部と、前記撮像対象物から光を受光する受光部と、前記光源部及び前記受光部が収められたケースと、前記光源部が照射する光及び前記受光部が受光する光を透過可能な透過部材と、前記透過部材を支持する枠部材とを含み、前記ケースの開口部を覆うように取り付けられたカバーとを備え、所定の隙間が生ずる位置関係で粘着テープの平面上に密着させて前記隙間に充填した接着剤によって固定した前記透過部材及び前記枠部材が、前記粘着テープを剥離して前記透過部材、前記枠部材及び前記接着剤で形成した平面を前記撮像対象物に対向させて配置される。
【0017】
上記構成において、前記枠部材は、前記透過部材と接着固定される内周側面の少なくとも一部に、前記接着剤を充填するための傾斜面を有していてもよい。枠部材と透過部材との間に傾斜面を設けることにより接着剤を容易に充填することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係るイメージセンサの製造方法及びイメージセンサによれば、紙葉類を撮像するイメージセンサにおいて、紙葉類の搬送路を形成する面の平面性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態に係るイメージセンサの構成例を示す断面模式図である。
図2図2は、カバーの製造に利用する部材を説明するための斜視図である。
図3図3は、カバーの製造工程を説明するための斜視図である。
図4図4は、図3に示す各工程を説明するための断面模式図である。
図5図5は、枠部材の位置決め工程を説明するための図である。
図6図6は、枠部材の圧着工程を上方から見た図である。
図7図7は、枠部材の圧着工程を側方から見た図である。
図8図8は、カバーの接着工程を説明するための図である。
図9図9は、透過部材と枠部材の接着方法を説明するための図である。
図10図10は、接着剤の充填方法を説明するための図である。
図11図11は、枠部材の突起部における接着剤の充填を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係るイメージセンサの製造方法及びイメージセンサの実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係るイメージセンサ1(1a、1b)の構成例を示す断面模式図である。本実施形態に示す各図には、図示した各構成の関係が分かるように、XYZの直交座標を示している。X軸方向がイメージセンサ1の主走査方向、Y軸方向が紙葉類Sの搬送方向、Z方向が上下方向である。
【0021】
<イメージセンサの構成>
紙葉類Sは、XY平面と平行な搬送面をY軸方向に搬送される。紙葉類SはY軸正方向又はY軸負方向の一方向のみに搬送される態様であってもよいし、両方向に搬送される態様であってもよい。
【0022】
イメージセンサ1は、例えば、紙葉類Sを処理する紙葉類処理装置の内部で、装置内部の搬送路70に沿って搬送される紙葉類Sを撮像するために利用される。イメージセンサ1を利用する紙葉類処理装置は従来知られているため詳細な説明は省略するが、紙葉類処理装置は、紙葉類Sの撮像画像を利用して、紙葉類Sの種類や真偽を識別したり、紙葉類Sの表面から情報を読み取ったりすることができる。例えば、イメージセンサ1が紙幣処理装置に搭載される場合、イメージセンサ1で撮像した紙幣画像を利用して、紙幣の金種、真偽等を識別する処理、紙幣の記番号を読み取る処理等が実行される。
【0023】
図1に示すイメージセンサ1は、光源部30と、レンズ部40と、受光センサ50を含むセンサ基板60とが配置されたケース22に、枠部材21及び透過部材10を有するカバー20を取り付けた構造を有する。レンズ部40及び受光センサ50が、紙葉類Sから光を受ける受光部、すなわち紙葉類Sの画像を撮像する撮像部として機能する。
【0024】
図1に示す例では、搬送路70を挟んで上下に対向配置された2つのイメージセンサ1a、1bが、紙葉類Sの透過画像及び反射画像を撮像することができる。例えば、搬送路70の幅方向(X軸方向)、すなわち主走査方向において、紙葉類Sの幅よりも長い帯状領域を撮像可能とすることで、紙葉類の全面又は一部の透過画像と、紙葉類表面の全面又は一部の反射画像と、紙葉類裏面の全面又は一部の反射画像との少なくともいずれか1つを取得することができる。このように、搬送路70に沿って搬送される紙葉類Sに光源部30からライン状の光を照射して走査しながら紙葉類Sを撮像するイメージセンサ1は、ラインセンサと呼ばれることがある。紙葉類Sが、イメージセンサ1の表面に近接して搬送されることから、密着型ラインセンサと呼ばれることもある。
【0025】
なお、図1は、本実施形態で説明する方法で製造されたイメージセンサ1の構成例を示すもので、イメージセンサ1の構成は特に限定されない。例えば、イメージセンサ1が、図1に示す構成の一部を有さない態様であってもよいし、図1には示していない構成を含む態様であってもよい。
【0026】
<イメージセンサの製造方法>
例えば、光源部30と、レンズ部40と、受光センサ50を含むセンサ基板60とが所定位置に固定されたケース22に、透過部材10及び枠部材21を含むカバー20を取り付けることにより、イメージセンサ1が製造される。箱形形状のケース22の開口部を覆うようにカバー20を取り付けることで、ケース22内への塵やホコリの侵入が防止される。
【0027】
カバー20は、主走査方向(X軸方向)に長い上面略矩形の略平板形状を有する。カバー20は、枠部材21に透過部材10を取り付けて構成されている。透過部材10は、主走査方向に長い上面矩形の平板形状を有する。透過部材10は、光源部30から紙葉類Sに向けて照射される光と、紙葉類Sからレンズ部40に受ける光とが透過する透明部材である。例えば、透明なガラス又は樹脂が透過部材10として利用される。イメージセンサ1は、図1に示すように、透過部材10及び枠部材21の外側表面が、紙葉類Sの搬送面(XY平面)と平行になるように配置して利用される。
【0028】
紙葉類Sは、枠部材21及び透過部材10を含むカバー20から僅かに隙間をあけて搬送されるため、カバー20を、紙葉類Sの搬送方向前縁部が引っ掛かることがない形状とする必要がある。具体的には、カバー20の外面、すなわちイメージセンサ1の外面を形成する、枠部材21の表面と、透過部材10の表面と、枠部材21と透過部材10とを接着固定する接着剤の表面との間に段差がないことが好ましい。言い換えれば、枠部材21の表面と、透過部材10の表面と、枠部材21と透過部材10とを接着固定する接着剤の表面とが同一平面を形成することが好ましい。
【0029】
<カバーの製造方法>
カバー20は、イメージセンサ1の外側となる面を下にして製造される。以下の説明では、下面が搬送路70を形成する面となるため、透過部材10の下面と、枠部材21の下面と、枠部材21と透過部材10とを接着固定する接着剤の下面とが、同一平面を形成するように、カバー20を製造する必要がある。
【0030】
図2は、カバー20の製造に利用する部材を説明するための斜視図である。カバー20の製造は、作業台100と、保持部材110と、粘着テープ130が固定されたシート部材120とを利用して行われる。作業台100は、略直方体形状を有し、上面をXY平面と平行にして利用される。作業台100の材質は特に限定されないが、強度が高く容易に変形することがない硬質樹脂製又は金属製であることが好ましい。
【0031】
作業台100の上面には、上方へ突出する位置決め用の複数のピン100aが設けられている。具体的には、作業台100上面の短手方向(Y軸方向)片側に、長手方向(X軸方向)に離間した2つのピン100aが設けられている。ピン100aは、円柱上面の角を落として上端から一部をテーパ状にした先細形状を有している。
【0032】
保持部材110は上面略矩形の薄板形状を有する。保持部材110は、下面を、作業台100の上面に接触させて、上面をXY平面と平行にして利用される。保持部材110の材質は特に限定されないが、容易に変形することがない硬質樹脂製又は金属製であることが好ましい。
【0033】
保持部材110には、作業台100の2つのピン100aそれぞれに対応する貫通穴110aが形成されている。作業台100の複数のピン100aを、それぞれに対応する保持部材110の貫通穴110aに挿通して、保持部材110を作業台100上に載置することにより、作業台100に対して保持部材110が所定位置に位置決め固定される。
【0034】
作業台100の4側面それぞれの中央部には窪みが形成されている。保持部材110の2つの短手縁部には、作業台100の短手側面の窪みと同一形状の窪みが形成されているが、2つの長手縁部は窪みのない直線形状となっている。作業台100と保持部材110とは長手方向(X軸方向)の寸法が同一で、保持部材110を作業台100に取り付けた際、保持部材110の短手縁部の形状が作業台100の短手側面の形状と一致する。作業台100と保持部材110は、短手方向(Y軸方向)の寸法も略同一であるが、保持部材110を作業台100に取り付けた際、保持部材110の長手直線縁部の裏面側中央一部に、作業台100の長手側面の窪みがある状態となる。この窪みを利用して、作業台100に対する保持部材110の脱着を容易に行えるようになっている。
【0035】
シート部材120は上面矩形のフィルム形状を有する。シート部材120は、下面を、保持部材110の上面に接触させて、上面をXY平面と平行にして利用される。シート部材120は可撓性を有し、粘着テープ130が固定された状態でも、シート部材120を撓ませることができる。シート部材120の材質は特に限定されないが、可撓性を有する樹脂製であることが好ましい。例えば、透明なOHPシートをシート部材120として利用することができる。
【0036】
シート部材120には、作業台100の2つのピン100aそれぞれに対応する貫通穴120aが形成されている。シート部材120は、長手方向の寸法が、作業台100及び保持部材110の寸法よりも短く、短手方向の寸法が、作業台100及び保持部材110の寸法よりも長い。シート部材120の長手縁部に下面から指を掛けることにより、保持部材110に対するシート部材120の脱着を容易に行えるようになっている。
【0037】
シート部材120の上面には、粘着テープ130が固定されている。例えば、両面テープをシート部材120に貼り付けて、粘着テープ130として利用する。保持部材110の貫通穴110aから上方に露出した作業台100の複数のピン100aを、それぞれに対応するシート部材120の貫通穴120aに挿通して、シート部材120を保持部材110の上に載置することにより、作業台100及び保持部材110に対してシート部材120が所定位置に位置決めされる。
【0038】
作業台100及び保持部材110に対してシート部材120が位置決めされた状態で、シート部材120の長手方向両端に達する長さの上面矩形形状の粘着テープ130が、ピン100aから離間した位置に、長手をX軸と平行に固定された状態となる。粘着テープ130の両側短手縁部がシート部材120の短手縁部と一致する一方で、粘着テープ130の両側長手縁部はシート部材120の長手縁部よりも内側にある。粘着テープ130は、作業台100の4側面よりも内側の位置にあって、シート部材120及び保持部材110を介して、作業台100によって下面全体を支持されている。粘着テープ130は、上面をXY平面と平行にして利用される。図2右側に示したように、作業台100の上に、保持部材110と、粘着テープ130が固定されたシート部材120とを重ねて作業台100に位置決め固定した状態で、カバー20の製造が開始される。
【0039】
図3は、カバー20の製造工程のうち、透過部材10及び枠部材21を粘着テープ130の上に密着固定するまでの各工程を説明するための斜視図である。図4は、図3に示す各工程を説明するための断面模式図である。図4(a)~(h)は、それぞれ図3(a)~(h)に対応している。なお、図4は、作業台100のピン100aを通るYZ平面と平行な面で切断した断面を、図3に示す各部材の位置関係が分かるように模式的に示したもので、図示した各部材の上下方向の寸法と各部材の形状は、実際の各部材と異なる場合がある。
【0040】
(透過部材の位置決め工程)
透過部材10の位置決め工程は、透過部材10を粘着テープ130の上に載置する載置工程である。図3(a)及び図4(a)に示すように、作業台100の上に、保持部材110と、粘着テープ130が固定されたシート部材120とを重ねた状態から、さらにその上に、図3(b)及び図4(b)に示すように、透過部材位置決め治具(第1治具)140を取り付ける。透過部材位置決め治具140は、作業台100上で透過部材10を所定位置に位置決めするための治具である。透過部材位置決め治具140を利用することにより、透過部材10と枠部材21とが所定の隙間を形成する位置関係となるように、透過部材10を粘着テープ130上に載置することができる。透過部材位置決め治具140の材質は特に限定されないが、容易に変形することがない硬質樹脂製又は金属製であることが好ましい。
【0041】
図3(b)に示すように、透過部材位置決め治具140には、作業台100の2つのピン100aそれぞれに対応する貫通穴140aと、透過部材10に対応する開口部140bとが形成されている。作業台100の2つのピン100aをそれぞれに対応する透過部材位置決め治具140の貫通穴140aに挿通することにより、作業台100、保持部材110及びシート部材120に対して、透過部材位置決め治具140が所定位置に位置決めされる。すなわち、透過部材10に合わせて形成された開口部140bが、粘着テープ130が固定されているシート部材120に対して所定位置に位置決めされる。
【0042】
図4(b)に示すように、略薄板形状を有する透過部材位置決め治具140の下面には、粘着テープ130を避ける位置に、支持部140cが設けられており、透過部材位置決め治具140が、粘着テープ130に接触しないようになっている。粘着テープ130との間に隙間がある状態でも透過部材位置決め治具140がぐらつかず安定するように、支持部140cは、X軸方向に長い粘着テープ130の長手縁部に沿って、粘着テープ130を跨ぐようにX軸方向に延設されている。
【0043】
図3(b)及び図4(b)に示すように、シート部材120に透過部材位置決め治具140を重ねた状態で、図3(c)及び図4(c)に示すように、透過部材位置決め治具140の開口部140bから、透過部材10を粘着テープ130の上に載置する。透過部材位置決め治具140は、支持部140cを除く領域の下面が、粘着テープ130の上に載置された透過部材10の上面よりも低くなるように形成されている。言い換えれば、透過部材位置決め治具140は、粘着テープ130の上に載置された透過部材10の外周側面の少なくとも一部が、開口部140bを形成する内周側面と接触可能な高さとなるように形成されている。また、開口部140bは、透過部材10より僅かに大きい矩形形状に形成されている。これにより、透過部材10を開口部140bに嵌め込んで所定位置に位置決めすることができる。開口部140bが、透過部材10の取付位置を示すガイド穴として機能することにより、透過部材10を、シート部材120に固定された粘着テープ130上面の所定位置に載置することができる。なお、透過部材10を所定位置に位置決めすることができれば、開口部140bの形状は特に限定されず、開口部140bの内周側面一部が透過部材10から離間する形状であってもよい。例えば、上方から見た開口部140bの形状が、長手内周側面の中央一部が透過部材10から大きく離間した十字形状であってもよい。透過部材10が、透過部材位置決め治具140の開口部140bと接触するように位置決めされる態様であってもよい。
【0044】
(透過部材の圧着工程)
図3(c)及び図4(c)に示すように、シート部材120に固定された粘着テープ130の上面所定位置に透過部材10を載置した状態で、図3(d)及び図4(d)に示すように、押付部材150により、透過部材10を粘着テープ130に押し付けて圧着する。具体的には、図4(d)に示すように、下面に緩衝部材152を取り付けた透過部材押付治具151を透過部材10の上に載置する。図4(c)に示すように、粘着テープ130上に載置された透過部材10の上面は、透過部材位置決め治具140の上面よりも低い位置にある。このため、透過部材押付治具151を、透過部材位置決め治具140の開口部140bに嵌め込むことにより、透過部材押付治具151を容易に透過部材10の上に載置することができる。
【0045】
押付部材150によって、透過部材10の上に載置された透過部材押付治具151に下向きの力を加えることにより、透過部材10を粘着テープ130に圧着する。図4(d)に示すように、透過部材押付治具151の上面が、透過部材位置決め治具140の上面よりも高い位置にある。このため、押付部材150を降下させることにより、透過部材押付治具151及び緩衝部材152を介して、透過部材10を粘着テープ130に押し付けることができる。また、透過部材押付治具151及び緩衝部材152は、長手方向及び短手方向の寸法が、透過部材10の長手方向及び短手方向の寸法よりも小さい。このため、透過部材押付治具151及び緩衝部材152が、透過部材位置決め治具140と接触することはなく、透過部材10のみを粘着テープ130に押し付けて密着させることができる。
【0046】
押付部材150、透過部材押付治具151及び緩衝部材152の材質は特に限定されないが、例えば、ウレタン、スポンジ、ゴム等のクッション材である緩衝部材152が下面に取り付けられた樹脂製の透過部材押付治具151が、金属製の押付部材150によって透過部材10に押し付けられる。このとき、緩衝部材152が、透過部材10の上面に傷が付くことを防止する。
【0047】
押付部材150による透過部材10の圧着は、透過部材10の下面が粘着テープ130の上面に密着し、かつ、圧着中に粘着テープ130の上面が撓んで変形した場合でも、圧着後には、粘着テープ130の上面が平面に戻る強さで行われる。言い換えれば、透過部材10下面を粘着テープ130上面と隙間なく密着させると共に、粘着テープ130が弾性変形により元の形状に復元可能な範囲の強さで、圧着が行われる。圧着の強さは、粘着テープ130、透過部材押付治具151及び緩衝部材152の特性に応じて決定すればよい。
【0048】
例えば、押付部材150が透過部材10に作用させる力が、予め設定された所定の大きさとなるように、押付部材150を降下させるプレス装置、ロボット等の装置を利用して圧着工程を実行すればよい。また、例えば、圧着強さに応じて設定された位置を超えて押付部材150が降下しないように、透過部材10の上方で押付部材150の高さを規制する治具を設けて、この治具に接する位置まで押付部材150を降下させればよい。
【0049】
なお、透過部材10の圧着工程は、透過部材押付治具151及び緩衝部材152を、押付部材150に固定して実行される態様であってもよい。圧着工程が、透過部材押付治具151を利用せず、緩衝部材152のみを利用して実行される態様であってもよい。圧着工程が、作業台100を上昇させることによって実行される態様であってもよい。圧着工程が、透過部材位置決め治具140を作業台100から取り外した状態で実行される態様であってもよい。
【0050】
透過部材10を単に粘着テープ130の上に載置するだけでなく、押付部材150による圧着工程を実行して、透過部材10の下面を粘着テープ130の上面に密着させることで、後工程で、透過部材10の周囲に接着剤が流し込まれた際に、透過部材10と粘着テープ130の間に接着剤が進入することを防止することができる。また、圧着力を調整することにより、圧着工程後も粘着テープ130の上面が平面に保たれるため、後工程で粘着テープ130に密着させる枠部材21の下面と透過部材10の下面とを面一にすることができる。
【0051】
(枠部材の位置決め工程)
枠部材21の位置決め工程は、枠部材21を粘着テープ130の上に載置する載置工程である。透過部材10の圧着工程終了後、透過部材位置決め治具140を作業台100から取り外して、図3(e)及び図4(e)に示すように、枠部材位置決め治具(第2治具)160を作業台100に取り付ける。枠部材位置決め治具160は、作業台100上で枠部材21を所定位置に位置決めするための治具である。枠部材位置決め治具160を利用することにより、透過部材10と枠部材21とが所定の隙間を形成する位置関係となるように、枠部材21を粘着テープ130上に載置することができる。枠部材位置決め治具160の材質は特に限定されないが、容易に変形することがない硬質樹脂製又は金属製であることが好ましい。
【0052】
枠部材位置決め治具160には、作業台100の2つのピン100aそれぞれに対応する貫通穴160aと、枠部材21に対応する開口部160bとが形成されている。作業台100の2つのピン100aをそれぞれに対応する枠部材位置決め治具160の貫通穴160aに挿通することにより、作業台100、保持部材110及びシート部材120に対して、枠部材位置決め治具160が所定位置に位置決めされる。すなわち、枠部材21に合わせて形成された開口部160bが、粘着テープ130に既に密着固定されている透過部材10に対して、所定位置に位置決めされる。開口部160bは、透過部材10より大きく、枠部材位置決め治具160が透過部材10に接触することはない。
【0053】
図4(e)に示すように、略薄板形状を有する枠部材位置決め治具160の下面には、粘着テープ130を避ける位置に、支持部160cが設けられており、枠部材位置決め治具160が、粘着テープ130に接触しないようになっている。粘着テープ130との間に隙間がある状態でも枠部材位置決め治具160がぐらつかず安定するように、支持部160cは、X軸方向に長い粘着テープ130の長手縁部に沿って、粘着テープ130を跨ぐようにX軸方向に延設されている。
【0054】
図3(e)及び図4(e)に示すように、シート部材120に枠部材位置決め治具160を重ねた状態で、図3(f)及び図4(f)に示すように、枠部材位置決め治具160の開口部160bに合わせて、枠部材21を粘着テープ130の上に載置する。枠部材位置決め治具160は、支持部160cを除く領域の下面が、粘着テープ130の上に載置された枠部材21の上面よりも低くなるように形成されている。言い換えれば、枠部材位置決め治具160は、粘着テープ130の上に載置された枠部材21の外周側面の少なくとも一部が、開口部160bを形成する内周側面と接触可能な高さとなるように形成されている。枠部材位置決め治具160の上面は、粘着テープ130の上に載置された枠部材21の上面よりも高い位置にある。また、開口部160bは、枠部材21より大きい形状に形成されている。これにより、枠部材21を開口部160bに嵌め込んで所定位置に位置決めすることができる。枠部材位置決め治具160の開口部160bが、枠部材21の取付位置を示すガイド穴として機能することにより、枠部材21を、粘着テープ130上で、透過部材10との間に所定の隙間を形成する所定位置に載置することができる。
【0055】
図5は、粘着テープ130上に枠部材21を載置する方法を説明するための図である。図5(a)は図3(e)の上面図で、図5(b)は図3(f)の上面図である。図5(a)に示すように、枠部材位置決め治具160の開口部160bから、粘着テープ130の一部と、粘着テープ130に密着固定した透過部材10とが露出している。図5(b)に斜線で囲んで示したように、枠部材21は、各短手側面の中央一部21bと、各長手側面の両外側一部21cとが、枠部材位置決め治具160から僅かに離間した位置となるように位置決めされる。枠部材21の長手側面は、図5(b)に斜線で囲んで示した部分を除いて、開口部160bの内周側面から離間しており、枠部材位置決め治具160と接触していない。なお、枠部材21を所定位置に位置決めすることができれば、枠部材位置決め治具160の開口部160bの形状は特に限定されない。例えば、開口部160bが、枠部材21の短手側面全体又は長手側面全体と略接触する形状であってもよい。また、例えば、開口部160bが、枠部材21の外形に合わせた形状を有し、枠部材21より僅かに大きく形成されていてもよい。枠部材21が、枠部材位置決め治具160の開口部160bと接触するように位置決めされる態様であってもよい。
【0056】
枠部材21は、透過部材10が接着固定される開口部を有し、この開口部の内周側面と、透過部材10の外周側面との間に所定の隙間ができる位置関係で、枠部材21が粘着テープ130上に載置される。図5(b)に示すように、透過部材10の外周側面と対向する、枠部材21開口部の内周側面には、透過部材10に向けて突出した複数の突起21aが形成されている。突起21aは、枠部材21開口部の長手内周側面(XZ平面と平行な側面)と、短手内周側面(XY平面と平行な側面)の両方に形成されている。突起21aの数は特に限定されないが、図5(b)に示す例では、長手内周側面に3つずつ、短手内周側面に1つずつ、合計8個の突起21aが形成されている。透過部材位置決め治具140及び枠部材位置決め治具160を利用して、粘着テープ130上で、透過部材10及び枠部材21を所定位置に位置決めすることにより、枠部材21の各突起21aによって規制される位置に、透過部材10を配置できるようになっている。具体的には、枠部材21に対する透過部材10の位置は、透過部材10の外周側面が、枠部材21の全ての突起21aの先端と接触する位置となる。例えば、各突起21aを透過部材10の外周側面と接触させながら枠部材21を下方へ押し下げることにより、粘着テープ130の上に枠部材21を載置すればよい。なお、全ての突起21aが透過部材10と接触する態様に限定されず、突起21aの一部が透過部材10と接触する態様であってもよい。全ての突起21aと透過部材10との間に僅かな隙間がある態様であってもよい。突起21aが、枠部材21開口部の長手内周側面と短手内周側面のいずれか一方にのみ設けられる態様であってもよい。突起21aの一部又は全部が、枠部材21ではなく、透過部材10の外周側面に設けられる態様であってもよい。枠部材21及び透過部材10に突起21aを設けない態様であってもよい。
【0057】
(枠部材の圧着工程)
図3(f)及び図4(f)に示すように粘着テープ130の上面所定位置に枠部材21を載置した後、作業台100から枠部材位置決め治具160を取り外す。図3(g)及び図4(g)に示すように、粘着テープ130の上面に枠部材21が載置された状態で、図3(h)及び図4(h)に示すように、押付部材150によって、枠部材21を粘着テープ130に押し付けて圧着する。具体的には、図4(h)に示すように、緩衝部材172を取り付けた枠部材押付治具171を枠部材21の上に載置した後、押付部材150によって枠部材押付治具171に下向きの力を加えることにより、枠部材21を粘着テープ130に圧着する。
【0058】
枠部材押付治具171及び緩衝部材172の材質は特に限定されないが、例えば、ウレタン、スポンジ、ゴム等のクッション材である緩衝部材172が下面に取り付けられた樹脂製の枠部材押付治具171が、金属製の押付部材150によって枠部材21に押し付けられる。
【0059】
図6は、図3(h)に示す枠部材21の圧着工程を上方から見た図である。図7は、図3(h)に示す枠部材21の圧着工程を側方から見た図である。図6に示すように、枠部材押付治具171には、作業台100の複数のピン100aそれぞれに対応する貫通穴171aが形成されている。図7(a)に示すように、枠部材押付治具171の貫通穴171aに、それぞれに対応するピン100aを挿通させることにより、枠部材21に対して枠部材押付治具171及び緩衝部材172が所定位置に位置決めされる。枠部材押付治具171は、緩衝部材172が枠部材21の上面に接触する高さで停止する。このとき、作業台100のピン100aの周辺で、枠部材押付治具171の下面が、作業台100上のシート部材120上面から離間した状態となってもよい。
【0060】
図7(a)に示すように、枠部材押付治具171が枠部材21に対して所定位置に位置決めされた状態で、押付部材150を降下させることにより、図7(b)に示すように枠部材21が粘着テープ130の上面に圧着される。押付部材150は、枠部材押付治具171の貫通穴171aそれぞれに挿通したピン100aに沿って降下する。例えば、枠部材押付治具171を、緩衝部材172を圧縮変形させながら下方へ移動させることによって、枠部材21を粘着テープ130に圧着すればよい。緩衝部材172を利用することにより、枠部材21の上面に僅かな段差がある場合でも、この段差部分を含む広い領域で枠部材21を粘着テープ130に押し付けることができる。図7(b)に示すように、透過部材10の上面は、枠部材21の上面よりも低い位置にあるため、枠部材21の圧着工程で、透過部材10が圧着されることはない。ただし、枠部材21の圧着工程で、枠部材21と透過部材10の両方を圧着する態様であってもよい。
【0061】
枠部材21の圧着は、図3(d)に示す透過部材10の圧着と同様の強さで実行される。具体的には、押付部材150による枠部材21の圧着は、枠部材21の下面が粘着テープ130の上面と密着し、かつ、圧着中に粘着テープ130の上面が撓んで変形した場合でも、圧着後には、粘着テープ130の上面が平面に戻る強さで行われる。言い換えれば、枠部材21下面を粘着テープ130上面と隙間なく密着させると共に、粘着テープ130が弾性変形により元の形状に復元可能な範囲の強さで、圧着が行われる。圧着の強さは、粘着テープ130、枠部材押付治具171及び緩衝部材172の特性に応じて決定すればよい。
【0062】
例えば、作業台100のピン100a周辺で枠部材押付治具171の下面が、シート部材120に接触する位置まで押付部材150が降下した際に、決定した圧着強さとなるように、枠部材押付治具171の形状を調整すればよい。また、例えば、押付部材150が枠部材21に作用させる力が、予め設定された所定の大きさとなるように、押付部材150を降下させるプレス装置、ロボット等の装置を利用して圧着工程を実行すればよい。
【0063】
なお、枠部材21の圧着工程は、枠部材押付治具171及び緩衝部材172を、押付部材150に固定して実行される態様であってもよい。圧着工程が、枠部材押付治具171を利用せず、緩衝部材172のみを利用して実行される態様であってもよい。圧着工程が、作業台100を上昇させることによって実行される態様であってもよい。圧着工程が、枠部材位置決め治具160を作業台100に取り付けた状態で、枠部材位置決め治具160に対応する枠部材押付治具を利用して実行される態様であってもよい。
【0064】
枠部材21を単に粘着テープ130の上に載置するだけでなく、押付部材150による圧着工程を実行して、枠部材21の下面を粘着テープ130の上面に密着させることにより、後工程で接着剤が流し込まれた際に、枠部材21と粘着テープ130の間に接着剤が進入することを防止することができる。また、圧着強さを調整することにより、粘着テープ130の上面が平面に保たれるため、粘着テープ130に密着させた枠部材21の下面と透過部材10の下面とを面一にすることができる。
【0065】
(透過部材と枠部材の接着工程)
図8は、透過部材10及び枠部材21の圧着工程後に行われる接着工程を説明するための斜視図である。透過部材10の圧着工程及び枠部材21の圧着工程を実行した後、図8(a)に示すように、シート部材120の粘着テープ130に密着固定した透過部材10及び枠部材21を露出した状態で接着工程が実行される。
【0066】
図9は、透過部材10と枠部材21の接着方法を説明するための図である。図9に斜線で示した透過部材10と枠部材21との隙間が、接着工程で接着剤が充填される接着剤充填領域である。接着剤は、矩形形状を有する透過部材10の外周全周に渡って充填される。接着剤の種類は特に限定されないが、例えば、紫外光を照射することによって硬化する紫外線硬化型の接着剤や、熱を加えることによって硬化する熱硬化型の接着剤を利用すればよい。
【0067】
接着工程は、図8(a)に示すように、治具等がなく、透過部材10及び枠部材21の上方が開放された状態で、実行することができる。このため、上方から接着剤充填領域を目視確認しながら接着剤を容易に充填することができる。
【0068】
各部材の位置関係から、接着剤充填領域を特定して接着剤を充填すればよい。例えば、枠部材21の色と補色関係にある色の粘着テープ130を使用すれば、枠部材21と接着剤充填領域との境界を特定しやすくなる。具体的には、例えば枠部材21が、環境光の影響を受けないように黒色樹脂で形成されている場合、白色の粘着テープ130を使用すれば、黒色と白色との境界が、枠部材21と接着剤充填領域との境界になる。接着工程では、この境界に沿って接着剤を充填すればよい。粘着テープ130の色を枠部材21と補色関係にする態様に限定されず、粘着テープ130を透明にして、シート部材120の色を枠部材21と補色関係にしてもよい。粘着テープ130及びシート部材120を透明にして、保持部材110の色を枠部材21と補色関係にしてもよい。枠部材21と接着剤充填領域との境界を特定可能であれば、枠部材21との色の関係が補色関係でなくてもよい。例えば、専用の装置やロボットを利用して接着工程を実行する場合、色の違いから接着剤充填領域を特定して接着剤を充填するように設定すればよい。
【0069】
図9に示すように、枠部材21に、接着剤充填領域を特定するためのマーカ21dを設ける態様であってもよい。例えば、枠部材21の開口部内周側面と、透過部材10の外周側面と、接着剤充填領域との少なくともいずれか1つを特定可能なマーカ21dを設け、接着工程では、マーカ21dに基づいて接着剤を充填すればよい。図9に示す例では、対向配置された三角形のマーカ21dの頂点を結ぶ直線が、矩形枠形状を有する接着剤充填領域の矩形各辺の枠の中心線上を通る。マーカ21dを結ぶ直線の交点から隣接する交点へと、透過部材10の外周に沿って直線移動しながら一周して接着剤を充填することにより、接着剤充填領域の全域に接着剤を充填することができる。例えば、専用の装置やロボットを利用して接着工程を実行する場合、マーカ21dに基づいて、枠形状の接着剤充填領域を一周する接着経路を特定して、接着剤を充填するように設定すればよい。
【0070】
図10は、接着剤の充填方法を説明するための図である。図10(a)に矢印で示すように、接着剤充填領域、すなわち粘着テープ130の上面に密着固定された透過部材10と枠部材21との隙間に、接着剤が充填される。例えば、ノズル200の先端から接着剤を射出するディスペンサを利用して接着剤の充填を行うことができる。
【0071】
図10(a)に示すように、枠部材21の開口部内周側面の下部は、下端一部が透過部材10の外周側面と平行な垂直面となっているのに対し、上部は、上に行くほど透過部材10から離れる方向へ傾斜した傾斜面となっている。例えば、突起21aを除く、枠部材21の開口部内周全周に渡って、傾斜面が形成される。ノズル200から射出された接着剤は、枠部材21の傾斜面に沿って下方に流れて、図10(b)に示すように、透過部材10と枠部材21との隙間に接着剤201が充填される。これにより、枠部材21と透過部材10とを接着剤201によって隙間なく接着固定することが可能となる。なお、図10に示す例では、枠部材21の開口部内周側面の下端一部が垂直面となっているが、枠部材21の内周側面が下端までの全域で傾斜面となっていてもよい。
【0072】
図11は、枠部材21の突起21a部における接着剤の充填を説明するための図である。枠部材21の開口部内周側面には突起21aが形成されているが、図11に示すように、突起21aの下方には粘着テープ130との間に隙間があり、ノズル200から射出された接着剤201は、この隙間にも流れ込む。突起21a下方の隙間を含め、透過部材10の外周全周に渡って、粘着テープ130の上面と、枠部材21の開口部内周側面と、透過部材10の外周側面とによって形成される隙間空間に、接着剤201が充填される。透過部材10及び枠部材21は、粘着テープ130に密着固定されているため、透過部材10の下面及び枠部材21の下面と粘着テープ130との間に接着剤201が進入することはない。なお、図11では、突起21aの上端が、透過部材10の上面と略同じか上面より僅かに高い位置にある例を示しているが、突起21aが透過部材10の上面より低い位置に形成されていてもよい。透過部材10の外周側面の下部全周に渡って接着剤を流し込むことができれば、接着剤の充填時に突起21aの位置を避けてノズル200から接着剤を射出充填してもよい。
【0073】
図8(a)に示すように、上方が開放された状態で、接着剤充填領域に接着剤を充填した後、接着剤を硬化させる工程が実行される。このとき、図8(b)に示すように、保持部材110を作業台100から持ち上げて、透過部材10及び枠部材21を別の装置に移動させて硬化処理を実行することができる。
【0074】
具体的には、粘着テープ130に密着した状態で隙間に接着剤が充填された透過部材10及び枠部材21を、粘着テープ130が固定されているシート部材120と、シート部材120を保持する保持部材110と共に持ち上げて、作業台100から取り外す。シート部材120は可撓性を有するため、シート部材120を持ち上げると、粘着テープ130が固定されたシート部材120が撓んで、透過部材10及び枠部材21の下面一部の領域で、粘着テープ130との密着度が低下したり、粘着テープ130から剥がれてしまったりする可能性がある。シート部材120を、剛性があり変形しない保持部材110ごと持ち上げて移動させることで、シート部材120の変形を防ぎ、粘着テープ130と透過部材10及び枠部材21との密着状態を維持したまま移動させることができる。
【0075】
紫外線硬化型の接着剤である場合は、図8(b)に示すように、作業台100から、シート部材120及び保持部材110と共に取り外した透過部材10及び枠部材21を、紫外線照射装置に移動させて硬化処理を実行すればよい。熱硬化型の接着剤である場合も、同様に、シート部材120及び保持部材110と共に透過部材10及び枠部材21を加熱装置に移動させて硬化処理を実行すればよい。硬化処理によって、枠部材21の下面と、透過部材10の下面と、接着剤201の下面とが、粘着テープ130の上面に沿った同一平面上にある状態で、面一状態を保ったまま接着剤201を硬化させることができる。
【0076】
(透過部材及び枠部材と粘着テープの剥離工程)
接着剤201が硬化した後、シート部材120から保持部材110を取り外し、可撓性を有するシート部材120を変形させながら、接着剤201によって接着固定された透過部材10及び枠部材21から、粘着テープ130を剥がす。粘着テープ130を剥がした後には、同一平面を形成した透過部材10、接着剤201及び枠部材21が現れる。こうして、搬送路70を形成する面に段差のないカバー20を製造することができる。
【0077】
<変形例>
本実施形態で示したイメージセンサ1の製造工程の順序は例示であって、工程の実行順序をこれに限定するものではない。例えば、先に枠部材21の位置決め工程及び圧着工程を行って、その後で透過部材10の位置決め工程及び圧着工程を行ってもよい。また、圧着工程については、透過部材10と枠部材21とを別工程で圧着してもよいし、1回の工程で両方を圧着してもよい。
【0078】
本実施形態では、透過部材10及び枠部材21の圧着を、透過部材10及び枠部材21に所定の強さの力を作用させることによって行う例を説明したが、圧着方法が、力の大小のみによって規定される態様に限定されない。例えば、圧着1回当たりの力の大きさと、圧着1回当たりの圧着時間と、圧着回数との少なくともいずれか2つを組み合わせることによって、圧着方法が規定される態様であってもよい。例えば、圧着工程が、所定の強さで、所定の時間圧着する工程を、所定回数繰り返すよう設定されていてもよい。本実施形態に示した透過部材10及び枠部材21の圧着方法は例示であって、透過部材10及び枠部材21を上述したように粘着テープ130の上面に密着させることができれば、圧着工程が別の方法で実行される態様であってもよい。
【0079】
本実施形態では、透過部材10及び枠部材21をそれぞれ専用の治具を用いて位置決めする例を示したが、透過部材10と枠部材21のいずれか一方を、治具を用いて位置決めした後、枠部材21の開口部に設けられた突起21aを利用して他方を位置決めしてもよい。具体的には、図3(b)及び(c)に示すように、透過部材位置決め治具140により透過部材10を位置決めした後、枠部材21の開口部内周側面に形成された各突起21aを、透過部材10の外周側面に合わせることにより、枠部材21を位置決めしてもよい。或いは、先に枠部材位置決め治具160により枠部材21を位置決めした後、透過部材10の外周側面を、枠部材21の開口部内周側面に形成された各突起21aに合わせることにより、透過部材10を位置決めしてもよい。
【0080】
本実施形態では、可撓性を有するシート部材120に固定した粘着テープ130に、透過部材10及び枠部材21を所定の隙間ができる位置関係で密着させて、隙間に接着剤を充填する例を示したが、シート部材120が可撓性のない材質であってもよい。また、シート部材120を保持部材110に重ねて各工程を実行する例を示したが、保持部材110を利用せずに各工程を実行する態様であってもよい。
【0081】
本実施形態では、作業台100の上で、保持部材110、シート部材120、透過部材位置決め治具140、枠部材位置決め治具160を位置決めする例を示したが、これらの一部を位置決めしない態様であってもよい。例えば、保持部材110については位置決めしない態様であってもよい。また、複数のピンを対応する貫通穴に挿通することにより位置決めする例を示したが、位置決めの方法は特に限定されない。例えば、位置決め用の壁面に押し当てることによる位置決め、位置決め用の溝に嵌め込むことによる位置決め等、他の方法で位置決めを行ってもよい。
【0082】
上述したように、イメージセンサのカバーを構成する透過部材及び枠部材を、所定の隙間が形成される位置関係で、使用時に外側となる面を粘着テープに密着させて、部材間の隙間に接着剤を充填して接着固定することにより、カバー外側表面の平面性を高めることができる。透過部材及び枠部材を粘着テープに密着させて上方から接着剤を充填する際には、透過部材及び枠部材の上方が開放され、接着剤充填領域全体を見渡せる状態となるため、接着剤を容易に充填することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本開示に係るイメージセンサの製造方法及びイメージセンサは、紙葉類の搬送路を形成する面の平面性を高めるために有用である。
【符号の説明】
【0084】
1(1a、1b) イメージセンサ
10 透過部材
20 カバー
21 枠部材
22 ケース
30 光源部
40 レンズ部
50 受光センサ
60 センサ基板
70 搬送路
100 作業台
110 保持部材
120 シート部材
130 粘着テープ
140 透過部材位置決め治具
150 押付部材
151 透過部材押付治具
160 枠部材位置決め治具
171 枠部材押付治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11