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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158819
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ボタン電池形状の電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231024BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20231024BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068831
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】391065611
【氏名又は名称】株式会社テクトム
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】富田 直樹
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、ボタン電池を使用する電気機器の本体を改造することなく、当該電気機器の電池室に格納して使用することができ、非接触で出力を制御することができる電源装置を提供することにある。
【解決手段】
所定のボタン電池の形状に形成された筐体を備え、マイナス端子カップ1001、プラス端子収納カン1002、絶縁ガスケット1003、非接触受電部1004、切替動作設定スイッチ1005、給電モード制御部1006、出力部1007、充電制御部1008そして蓄電部1009という構成である電源装置。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係わる電力の一部又は全部を蓄電する蓄電部と、
d)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、前記電力供給の給電モードを給電オンモードとするか、給電オフモードとするかの出力制御信号送信を前記出力部に対してする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記出力制御信号送信の種類に応じて、前記給電オンモードの動作として前記端子への出力をオンにして前記蓄電部に蓄電された電力の一部又は全部を充てて前記電力供給を維持するか、前記給電オフモードの動作として前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をするかの切替をして動作することにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、いずれの給電モードに前記切替をするかを設定する切替動作設定スイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記給電オフモードの動作をする場合、前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をすると共に前記非接触受電部の残存電力を遮断することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態において、前記出力部へ出力制御信号の送信をする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記出力制御信号の送信がある場合に前記電力供給に係わる前記端子への出力をオンにして前記非接触受電部が受電した電力の一部又は全部を前記電圧に変換して前記電力供給を維持する給電オンモードで動作し、前記制御信号の送信がない場合に前記端子への出力をオフにして前記電力供給を停止すると共に前記非接触受電部の残存電力を遮断する給電オフモードで動作することにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係わる電力の一部又は全部を蓄電する蓄電部と、
d)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態の場合、前記電力供給の給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信をする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が無い場合に前記電力供給に係わる前記端子への出力をオンにして前記蓄電部に蓄電された電力の一部又は全部を充てて前記電力供給を維持する給電オンモードで動作し、前記給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が有る場合に前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をする給電オフモードで動作することにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作することを特徴とする電源装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給の給電モードを非接触で制御できる電源装置、特にボタン電池を電源とする電気機器の電池室に収納して電気機器の動作モードを操作するスイッチの役割を果たすボタン電池形状の電源装置に関する。
ここで電力供給の給電モードとは、電力供給を維持する給電オンモードと電力供給を停止する給電オフモードとがある。
ここで電気機器の動作モードとは、電気機器に必要な電力供給がされて電気機器の機能が発揮できる状態となる機能オンモードと必要な電力供給がカットされて電気機器の機能が発揮できない状態となる機能オフモードとがある。
ここでボタン電池という用語は、大きく細長い通常の乾電池と区別される、大きさはきわめて小さく、丸く、薄いで電池であり、コイン電池、マメ電池などを含めた総称として用いる。
【背景技術】
【0002】
スマートキー、無線タグ等のような消費電力が小さく、外部電源とは独立した状態で電源を必要とする電気機器において、その電源としてボタン電池が採用されている場合が多い。
従来、ボタン電池を使用する電気機器の多くは、電源スイッチを有しておらず、節電や不正利用防止の観点から動作モードを外部から制御する機能に対する要望があった。
【0003】
特許文献1には、ボタン電池形状を有し、携帯機に予め形成された収容部に格納することができる2次コイルと受電回路と有する受電ユニットが記載されている。1次コイルから収容部に収容されたボタン電池形状を有する受電ユニットに対して非接触給電方式により送電する方式である。
受電ユニットは受電した電力を携帯機の基板上に実装される各素子へ送出する方式であり、受電の有無によって携帯機の動作モードが切り替わる技術である。
ここに記載された技術では、非接触給電方式による送電が停止しても受電回路に残存する電力により携帯機の機能が発揮できる機能オンモードが一定時間継続してしまう問題がある。
【0004】
特許文献2には、電池から供給された電力により作動する発信ユニットと、前記電池から前記発信ユニットに対する電力供給を遮断する遮断操作手段とを具備した電気機器であるスマートキー装置が記載されている。
これは既存のスマートキー装置には備えていない遮断操作手段を新たに設ける方式である。既存のスマートキーのような電気機器に適用する場合には電池室の改造等を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-163224号公報
【0006】
【特許文献2】特開2020-172760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ボタン電池を使用する電気機器の本体を改造することなく、当該電気機器の電池室に格納して使用することができ、非接触で出力を制御することができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点では、操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係わる電力の一部又は全部を蓄電する蓄電部と、
d)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、前記電力供給の給電モードを給電オンモードとするか、給電オフモードとするかの出力制御信号送信を前記出力部に対してする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記出力制御信号送信の種類に応じて、前記給電オンモードの動作として前記端子への出力をオンにして前記蓄電部に蓄電された電力の一部又は全部を充てて前記電力供給を維持するか、前記給電オフモードの動作として前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をするかの切替をして動作することにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作することを特徴とする電源装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の観点では、操操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態において、前記出力部へ出力制御信号の送信をする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記出力制御信号の送信が有る場合に前記電力供給に係わる前記端子への出力をオンにして前記非接触受電部が受電した電力の一部又は全部を前記電圧に変換して前記電力供給を維持する給電オンモードの動作をし、前記出力制御信号の送信がない場合に前記端子への出力をオフにして前記電力供給を停止すると共に前記非接触受電部の残存電力を遮断する給電オフモードで動作することにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作することを特徴とする電源装置が提供される。
【0010】
第3の観点では、操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係わる電力の一部又は全部を蓄電する蓄電部と、
d)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態の場合、前記出力部の給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信をする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が無い場合に前記電力供給に係わる前記端子への出力をオンにして前記蓄電部に蓄電された電力の一部又は全部を充てて前記電力供給を維持する給電オンモードの動作をし、前記給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が有る場合に前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をする給電オフモードの動作をすることにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作することを特徴とする電源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施例における電源装置の各構成部を示したブロック図である。
図2図2は、本実施例の電源装置を使用した電気機器を操作する態様を示した模式図である。
図3図3は、本実施例の切替動作設定スイッチで設定される設定の種類と電気機器の動作モードとの関係を示したテーブルである。
図4図4は、本実施例の設定Aにおける電源装置による電気機器の動作を操作する態様を示したフローチャートである。
図5図5は、本実施例の設定Bにおける電源装置による電気機器の動作を操作する態様を示したフローチャートである。
図6図6は、本実施例の電源装置を示したブロック図である。
図7図7は、本実施例の電源装置を使用した電気機器であるスマートキーを操作する態様を示した模式図である。
図8図8は、本実施例の電源装置によるスマートキーの動作モードの操作とシェアカーにおける利用を示したフローチャートである。
図9図9は、本実施例における電源装置の各構成部を示したブロック図である。
図10図10は、本実施例の電源装置を使用した電気機器であるスマートキーを操作する態様を示した模式図である。
図11図11は、本実施例の電源装置によるスマートキーの動作モードを操作する態様を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の実施形態の説明)
まず本開示の実施形態を列記し、その後により具体的な実施例について図面を参照しつつ説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0013】
本開示の一形態に係る電源装置は、操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係わる電力の一部又は全部を蓄電する蓄電部と、
d)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、前記電力供給の給電モードを給電オンモードとするか、給電オフモードとするかの出力制御信号送信を前記出力部に対してする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記出力制御信号送信の種類に応じて、前記給電オンモードの動作として前記端子への出力をオンにして前記蓄電部に蓄電された電力の一部又は全部を充てて前記電力供給を維持するか、前記給電オフモードの動作として前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をするかの切替をして動作することにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作する。
【0014】
本形態にあっては、前記入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、いずれの給電モードに前記切替をするかを設定する切替動作設定スイッチをさらに備える、としてもよい。
【0015】
本形態にあっては、前記出力部は、前記給電オフモードの動作をする場合、前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をすると共に前記非接触受電部の残存電力を遮断する、としてもよい。
【0016】
本開示の一形態に係る電源装置は、操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態において、前記出力部へ出力制御信号の送信をする給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記出力制御信号の送信が有る場合に前記電力供給に係わる前記端子への出力をオンにして前記非接触受電部が受電した電力の一部又は全部を前記電圧に変換して前記電力供給を維持する給電オンモードの動作をし、前記制御信号の送信がない場合に前記端子への出力をオフにして前記電力供給を停止すると共に前記非接触受電部の残存電力を遮断する給電オフモードの動作をすることにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作する。
【0017】
本開示の一形態に係る電源装置は、操作対象とする電気機器に使用するボタン電池の形状に形成され、前記ボタン電池の端子に対応する位置に端子を設けた筐体を備えた電源装置であって、
前記電源装置は、その機能構成部として、
a)前記電気機器と近接させた非接触給電装置より受電する非接触受電部と、
b)前記端子に対して前記ボタン電池に相当する電圧の電力供給をする出力部と、
c)前記受電に係わる電力の一部又は全部を蓄電する蓄電部と、
d)前記受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態の場合、前記電力供給の給電モードを給電オフモードとする出力制御信号を送信する給電モード制御部と、
を含み、該機能構成部は前記筐体に格納され、
前記出力部が、前記給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が無い場合に前記電力供給に係わる前記端子への出力をオンにして前記蓄電部に蓄電された電力の一部又は全部を充てて前記電力供給を維持する給電オンモードの動作をし、前記給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が有る場合に前記端子への出力をオフにして前記電力供給の停止をする給電オフモードの動作をすることにより、前記ボタン電池に換えて該電源装置を使用する前記電気機器の動作モードを操作する。
【実施例0018】
図1は、本実施例における電源装置の各構成部を示したブロック図である。
電源装置1000は、マイナス端子1010を備えた蓋部1001、プラス端子1011を備えた収納部1002、絶縁ガスケット1003、非接触受電部1004、切替動作設定スイッチ1005、給電モード制御部1006、出力部1007、充電制御部1008そして蓄電部1009という構成である。ブロック間を結ぶ太い矢線は、電力線を示し電力供給に用いられる。ブロック間を結ぶ細い矢線は、電気信号線を示し、センシング情報、制御信号等の微小電力を伝達する。矢は微小電力や電力供給の伝達方向を示している。
ここで非接触受電部1004は、収納部1002の底面に沿って設けられているが、本発明の非接触受電部の配置はこれに限定されるものではない。例えば、蓋部1001に沿った収納部1002の開放面に設けてもよい。
【0019】
蓋部1001は、磁場を通す樹脂を円盤状に成形して作られる。収納部1002は磁場を通す樹脂を片方の底面が開放面となる円筒状に成形して作られる。円盤状に成形された樹脂製の蓋部1001によって、円筒状に成形された樹脂製の収納部1002の開放面が塞げられる。それらのつなぎ目が絶縁ガスケット1003によって絶縁され、電源装置の操作対象とする電気機器で使用するボタン電池の形状の筐体を構成するように形成されている。
ここでは筐体を構成する部材として樹脂で成形された蓋部と収納部を採用しているが、本発明の筐体の材料や部材構成はこれに限定されるものではなく、磁場を通す材料であって最終的に操作対象の電気機で使用するボタン電池の形状を形成するように成形されていればよい。
【0020】
蓋部1001は、中心部を通る位置に金属端子1010が設けられおり、マイナス端子を形成する。収納部1002は、外周部に金属端子1011が設けられており、プラス端子を形成する。これらが、電源装置の外部へ電力供給するための端子を構成する。
本発明の端子の設け方はこれに限定されるものではなく、操作対象の電気機の電池室の接点に対応する位置に設けられるように構成されていればよい。
このような構成により電源装置は、この電気機器の電池室に格納されて、ボタン電池の代わりに電力供給をすることができる。
【0021】
非接触受電部1004は、受電のための2次コイルを備え、所定の1次コイルを備えた非接触給電装置から電磁誘導により受電できるように設けられている。
本実施例では、非接触給電/受電の方式の例として電磁誘導方式を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば磁気共鳴方式などを用いてもよい。
【0022】
給電モード制御部1006は、細い矢線Lで示す非接触受電部のセンサラインである電気信号線から受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、出力部1007に対して給電モードを給電オンモードとするか、給電オフモードとするかを命令する出力制御信号送信をする。
切替動作設定スイッチ1005は、給電モード制御部1006が受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態か否かでいずれの給電モードとする命令の出力制御信号送信をさせるかの設定をするスイッチである。利用者によるスライド操作によって、設定Aもしくは設定Bへの設定をすることができる。
ここでスイッチとして、利用者が手動で操作でき、かつ、小さなスペースで済むスライドスイッチが採用されているが、これに限定されるものではなく、利用者が手動で操作でき、かつ、小さなスペースで済むスイッチであれば適宜変更されうる。
【0023】
出力部1007は、給電オンモードの命令に割り当てられた種類の出力制御信号送信が有る場合、蓄電部1009に蓄電された電力を利用してボタン電池に相当する電圧の電力供給を維持する出力オンで動作する。また、給電オフモードの命令に割り当てられた種類の出力制御信号送信が有る場合、電力供給を停止すると共に非接触受電部の残存電力を遮断する出力オフで動作する。
【0024】
充電制御部1008は、太い矢線Pで示す電力線から非接触受電部が受電した電力を受けて、蓄電部1009への充電に係わる電圧、電流等の制御を行う。
【0025】
蓄電部1009は、非接触受電部において受電されているときは出力部1007への電力供給の有無にかかわらずいつでも、充電制御部で制御された電力の供給を受けて充電をするように設けられている。細い矢線Sは、給電モード制御部1006の制御動作に必要な微小電力を供給する電子信号線である。
【0026】
図2は、本実施例の電源装置を使用した電気機器を操作する態様を示した模式図である。
ボタン電池形状の電源装置1000を電池室2002に格納する電気機器2001と、
電気機器を保持する電気機器ホルダー2003から構成されるシステムとして動作する。
ここで電気機器2001は、ボタン電池に換えて電池室に格納された電源装置1000から出力される電力によって、利用者による操作で発動する機能や自動発動機能を発揮する。
電気機器ホルダー2003は、直流電源入力部2004、電源スイッチ2005、交流変換部2006そして非接触給電装置2007を備えている。
ここで、電源スイッチ2005は、電気機器を収納したときにその重さで電源オンとなって非接触給電を開始するように設けられているが、本発明の電気機器ホルダーに電源スイッチを設けず常に電源オンとする方式でもよい。また、別の方式の電源スイッチであってもよい。いずれにしても電気機器ホルダーに電気機器が収納された状態では常に非接触給電がされているように設けておけばよい。
ここで、非接触給電装置2007は1次コイルを備え、電気機器ホルダーに収納した電気機器の電源装置1000に近接し、その非接触受電部1004に対して電磁誘導により電力供給できるように設けられている。
【0027】
図3、本実施例の切替動作設定スイッチで設定される設定の種類と電気機器の動作モードの関係を示したテーブルである。以下の説明で「非接触受電が有る場合」あるいは「受電中」とは、給電モード制御部に入力される非接触受電に係る電力の一部又は全部が所定の電力を超えた状態に有る場合のことである。設定A3001では、非接触受電が有る場合、3003で示すように電源装置の電力供給は給電オフモードとなるように設定される。この設定において非接触受電が有ると、電気機器の動作モードは機能オフモードとなる。設定Aにおいて非接触受電が無い場合、3004で示すように電源装置の電力供給は給電オンモードになるように設定される。この設定Aにおいて非接触受電が有ると、電気機器の動作モードは機能オンモードとなる。ここで電源装置は、蓄電部1009に蓄電された電力を利用して電気機器に電力供給するため、非接触受電が無い場合でも給電オンモードで動作するように設定できる。
【0028】
一方、設定B3002では、非接触受電が有る場合、3005で示すように電源装置の電力供給は給電オンモードとなるように設定される。この設定において非接触受電が有ると、電気機器は機能オンモードとなる。設定Bにおいて非接触受電が無い場合、3006で示すように電源装置の電力供給は給電オフモードとなるように設定される。この設定Bにおいて非接触受電が無いと、電気機器は機能オフモードとなる。
【0029】
図4は、本実施例の設定Aにおける電源装置による電気機器の動作を操作する態様を示したフローチャートである。ここでは操作対象の電気機器を車両のスマートキーとした場合を例として説明する。
【0030】
収納待機状態4001において、予め利用者によって設定Aにスイッチ操作された電源装置を格納したスマートキーが電気機器ホルダーに格納されている。この状態で電源装置の非接触受電部1004は、電気機器ホルダーに設けられた非接触給電装置2007から非接触受電する。受電中であることを検知した給電モード制御部1006は、出力部1007に対して給電オフモードの出力制御信号送信をし、出力部は出力オフとなり、電源装置の給電モードは、給電オフモードとなる。この状態において、スマートキーは、機能オフモードで動作するため、利用者によるボタン操作によるドア解錠/施錠等の機能は勿論のこと、認証電波の発信という自動発動機能も停止している。スマートキーを収納待機状態にしておけば、認証電波を中継して車両盗難に利用するリレーアタックという不正利用を防ぐことができる。
【0031】
取出しステップ4002において、利用者によって、スマートキーが電気機器ホルダーから取り出される。
【0032】
非接触受電停止ステップ4003において、取出されたスマートキーに格納された電源装置の非接触受電が停止する。
【0033】
出力オンステップ4004において、受電停止であることを検知した給電モード制御部1006は、出力部1007に対して給電オンモードの出力制御信号送信をし、出力部は出力オンとなる。これにより、電源装置の給電モードが給電オンモードに遷移して、電気機器への電力供給が開始される。
【0034】
利用ステップ4005において、電源装置からの電力供給を受けたスマートキーは、その動作モードが機能オンモードとなり、利用可能となる。これにより、利用者がスマートキーを操作して車両のドアの開錠/施錠等をでき、さらには自動発動される認証電波の発信もされてエンジン始動等も可能となり、車両を利用することができる。
【0035】
収納ステップ4006において、車両の利用が終了すると、利用者によって、スマートキーが電気機器ホルダーに収納される。
【0036】
非接触受電開始4007ステップにおいて、電源装置の非接触受電部1004は、電気機器ホルダーに設けられた非接触給電装置2007からの非接触受電を開始する。
【0037】
出力オフステップ4008において、受電中であることを検知した給電モード制御部1006は、出力部1007に対して給電オフモードの出力制御信号を送信し、出力部は出力オフとなる。
【0038】
残存電力カットステップ4009において、出力部が出力オフとなることにより、非接触受電部の残存電力の出力も含めた電力供給が停止されて、電源装置による電力供給の給電モードは、給電オフモードに遷移する。これにより、電気機器の動作モードが機能オフモードに遷移して、収納待機状態4001に戻る。
【0039】
図5は、本実施例の設定Bにおける電源装置による電気機器の動作を操作する態様を示したフローチャートである。
【0040】
取出し待機状態5001において、予め利用者によって設定Bにスイッチ操作された電源装置を格納した電気機器が、電気機器ホルダーから取り出された状態に置かれている。この状態で電源装置の非接触受電部1004における非接触受電は停止している。受電停止中であることを検知した給電モード制御部1006は、出力部1007に対して給電オフモードの出力制御信号送信をし、出力部は出力オフとなり、電源装置による電力供給の給電モードは、給電オフモードとなる。
【0041】
収納ステップ5002において、利用者によって、電気機器が電気機器ホルダーに収納される。
【0042】
非接触受電開始ステップ5003において、収納された電気機器に格納された電源装置の非接触受電が開始される。
【0043】
出力オンステップ5004において、受電中であることを検知した給電モード制御部1006は、出力部1007に対して給電オンモードの出力制御信号を送信し、出力部は出力オンとなる。これにより、電源装置による電力供給の給電モードが給電オンモードに遷移して、電気機器への電力供給が開始される。
【0044】
利用ステップ5005において、電源装置からの電力供給を受けた電気機器は、その動作モードが機能オンモードとなり、利用可能となる。これにより、利用者が電気機器を操作して利用することができ、さらには自動発動される電気機器の機能も発揮される。ここで利用者の利用は、電気機器が電気機器ホルダーに収納された状態で行われる。
【0045】
取出しステップ5006において、利用者によって、電気機器が電気機器ホルダーから取出しされる。
【0046】
非接触受電停止ステップ5007において、電源装置の非接触受電部1004は、電気機器ホルダーに設けられた非接触給電装置2007から離れるため非接触給電を受電できなくなり、非接触受電を停止する。
【0047】
出力オフステップ5008において、受電停止中であることを検知した給電モード制御部1006は、出力部1007に対して給電オフモードの出力制御信号送信をし、出力部は出力オフとなる。
【0048】
残存電力カットステップ5009において、出力部が出力オフとなることにより、非接触受電部の残存電力の出力も含めた電力供給が停止されて、電源装置による電力供給の給電モードは、給電オフモードに遷移する。これにより、電気機器の動作モードが機能オフモードに遷移して、取出し待機状態5001に戻る。
【0049】
このようにして、電気機器の電気機器ホルダーへの取出し/収納の動作により、電気機器の動作モードのオン/オフの切替操作が可能になる。電気機器に電源スイッチがない場合でも電源スイッチと同様に動作モードのオン/オフが可能になる。
【0050】
電気機器ホルダーへの取出し/収納の動作による動作モードのオン/オフだけでなく、設定Bにスイッチ操作された電源装置を格納した電気機器は、電気機器ホルダーにリモート制御機能を設ければ、間接的に電気機器の動作モードをリモート制御することが可能となる。たとえば、設定Bにスイッチ操作された電源装置を格納したスマートキーを無線等によるリモート制御機能を設けた電気機器ホルダーに収納した状態で車内に安置すれば、別途スマートキーのドア解錠/施錠ボタンを押下げるリモート操作装置と合わせて構成することにより、車外からリモートでドア解錠して車両を利用するカーシェアシステムを簡単に構築することもできる。
【実施例0051】
図6は、本実施例の電源装置6000を示したブロック図である。
電源装置6000は、マイナス端子6007を備えた蓋部6001とプラス端子6008を備えた収納部6002、絶縁ガスケット6003、非接触受電部6004、給電モード制御部6005そして出力部6006という構成である。ブロック間を結ぶ太い矢線は、電力線を示し電力供給に用いられる。ブロック間を結ぶ細い矢線は、電気信号線を示し、センシング情報や制御信号を伝達する。矢は電気信号や電力の伝達方向を示している。
ここで非接触受電部6004は、収納部6002の底面に沿って設けられているが、本発明の非接触受電部の配置はこれに限定されるものではない。例えば、蓋部6001に沿った収納部6002の開放面に設けてもよい。
【0052】
蓋部6001は、磁場を通す樹脂を円盤状に成形して作られる。収納部6002は磁場を通す樹脂を片方の底面が開放面となる円筒状に成形して作られる。円盤状に成形された樹脂製の蓋部6001によって、円筒状に成形された樹脂製の収納部6002の開放面を、つなぎ目を絶縁ガスケット6003によって絶縁され、電源装置の操作対象とする電気機器で使用するボタン電池の形状の筐体を構成するように形成されている。
ここでは筐体を構成する部材として樹脂で成形された蓋部と収納部を採用しているが、本発明の筐体の材料や部材構成はこれに限定されるものではなく、磁場を通す材料であって最終的に操作対象の電気機で使用するボタン電池の形状を形成するように成形されていればよい。
蓋部6001は、中心部を通る位置に金属端子6007が設けられおり、マイナス端子を形成する。収納部6002は、外周部に金属端子6008が設けられており、プラス端子を形成する。これらが、電源装置の外部へ電力供給するための端子を構成する。
本発明の端子の設け方はこれに限定されるものではなく、操作対象の電気機の電池室の接点に対応する位置に設けられるように構成されていればよい。
このような構成により電源装置は、この電気機器の電池室に格納されて、ボタン電池の代わりに電力供給をすることができる。
【0053】
非接触受電部6004は、受電のための2次コイルを備え、所定の1次コイルを備えた非接触給電装置から電磁誘導により受電できるように設けられている。給電モード制御部6005と結ぶ細い矢線Lの電気信号線は、受電状態を伝えるセンサラインである。出力部6006と結ぶ太い矢線Pは、電力線である。
本実施例では、非接触給電/受電の方式の例として電磁誘導方式を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば磁気共鳴方式などを用いてもよい。
【0054】
給電モード制御部6005は、細い矢線Lで示す非接触受電部のセンサラインである電気信号線から受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態か否かに応じて、出力部6006に対して出力制御信号を送信する。
【0055】
出力部6006は、出力制御信号の受信が有る場合、端子への出力をオンにして、太い矢線Pで示す電力線から非接触受電部が受電した電力の一部又は全部の供給を受けて、ボタン電地に相当する電圧に変換して、電力供給を維持する給電オンモードの動作をする。
また、出力制御信号の受信が無い場合、出力部は、端子への出力をオフにして、電力供給を停止すると共に残存電力を遮断する給電オフモードの動作をする。
【0056】
図7は、本実施例の電源装置を使用した電気機器であるスマートキーを操作する態様を示した模式図である。電気機器ホルダー7000はスマートキー7001を収納しており、通信部7012により受信した操作命令によりリモート操作されるように設けられている。
【0057】
電気機器ホルダー7000は、スマートキー7001を収納するホルダー部7002と機能操作部7003とから構成される。
【0058】
ホルダー部7002は、直流電源7006、電源スイッチ7007、給電部7009そして非接触給電装置7010から構成されており、電源スイッチ7007は、通信部7012により受信した給電開始命令により電源オンに、給電停止命令により電源オフに動作をするように設けられている。
【0059】
機能操作部7003は、スマートキー7001の機能操作ボタン7004A、7004Bの位置に合わせて設けられた押下げ装置7011A、7011Bを備えており、通信部7012により受信した押下げ操作命令により機能操作ボタンの押下げ動作をするように設けられている。電源スイッチが電源オンの状態において、スマートキーの機能操作ボタンが通信部を介しての操作命令によりリモート操作されることにより、スマートキーが有する機能が操作される構成である。
【0060】
スマートキー7001は、ドア解錠の機能操作ボタン7004A、ドア施錠の機能操作ボタン7004Bそして電池室7005を備えており、動作オンモードにおいて機能操作ボタンに割り当てられた機能や自動発動機能を発揮する。
電池室7005には、電源装置6000が格納されている。電源装置6000は、電気機器ホルダー7000に収納された状態において、非接触給電装置7010と近接し、非接触受電を受けることができる。
【0061】
ここで、非接触給電装置7010は1次コイルを備え、電気機器ホルダーに収納した電気機器の電源装置6000に近接し、その2次コイルに対して電磁誘導により電力供給できるように設けられている。
【0062】
図8は、本実施例の電源装置によるスマートキーの動作モードの操作とシェアカーにおける利用を示したフローチャートである。ここで電気機器ホルダーは、電源装置を格納したスマートキーを保持した状態で、シェアカーサービスのために利用される車両の室内に設置されている。
【0063】
待機状態8001において、スマートキーは電気機器ホルダーに保持されているが、電気機器ホルダーのスイッチ2007はオフとなっており、スマートキーに使用されている電源装置の非接触受電部6004は受電していない状態である。給電モード制御部6005から出力制御信号の送信がされないため、出力部6006の給電モードは給電オフモードである。この待機状態では、スマートキーは、機能を発揮することができない。スマートキーの動作モードは、機能操作ボタンにより発動する機能は勿論のこと、認証電波を発信続けるような自動発動的機能も発揮されない機能オフモードとなる。
【0064】
非接触受電開始ステップ8002において、電気機器ホルダーに設けられた電源スイッチ7007を、シェアカーサービス提供者による通信部7012を介したリモート操作で、オンにすると、直流電源7006からの電力を交流変換部7008が交流に変換して給電部7009から非接触給電装置7010への電力供給がされる。このとき、スマートキーの電池室に収納された電源装置の非接触受電部6004が受電する。
【0065】
出力オンステップ8003において、受電中であることを検知した給電モード制御部6005は、出力部6006に対して出力制御信号を送信し、出力部は出力オンとなり、給電オンモードの動作をする。これにより、電源装置による電力供給の給電モードが給電オンモードに遷移して、電気機器への電力供給が開始される。
【0066】
利用開始ステップ8004において、電源装置からの電力供給を受けたスマートキーは、その動作モードが機能オンモードとなり、利用可能となる。これにより、利用者が電気機器を操作して利用することができ、さらには自動発動される電気機器の機能も発揮される。ここで利用者の利用は、電気機器が電気機器ホルダー7000に収納された状態でされる。
【0067】
利用ステップ8005において、利用者による通信部7012を介したリモート操作で、機能操作部7003の押下げ部7011A、7011Bによる機能操作ボタン7004A、7004Bの押下げを操作することにより、スマートキーの機能をリモートで操作することができる。利用者は、機能操作ボタンの操作によってドアを開錠し、エンジン始動して、車両を利用する。
【0068】
利用終了ステップ8006において、利用者は車両を所定の場所に駐車し、機能操作ボタンの操作によってドア施錠等の終了処理をして、シェアサービス提供者に利用終了の通知をする。
【0069】
非接触受電停止ステップ8007において、シェアカーサービス提供者による通信部7012を介したリモート操作で、ホルダーに設けられた電源スイッチ7007をリモートでオフにすると、直流電源7006から非接触給電装置7010への電力供給が停止し、電源装置の非接触受電部7004の受電も停止する。
【0070】
出力オフステップ8008において、電源装置の給電モード制御部6005からの出力制御信号の送信がなくなり、電源装置の出力部は出力オフとなる。
【0071】
残存電力カットステップ8009において、出力部が出力オフとなることにより、非接触受電部の残存電力の出力も含めた電力供給が停止されて、電源装置の給電モードは、給電オフモードに遷移する。これによりスマートキーの動作モードは、機能オフモードに遷移して、待機状態8001に戻る。このようなカーシェアサービスの場合、利用者が車両を使用した後、一定時間において非接触受電部に残存電力が残るので、この残存電力が出力できるとスマートキーが機能オンモードであり続け、イモビライザーシステムが解除された状態が続き、エンジンが掛かる状態が継続してしまう問題がある。出力部が出力オフとなることにより、こうした残存電力も含めた電力の出力をカットとすることは、車両のセキュリティ上重要になる。
【0072】
この車両を管理するシェアカーサービス提供者は、スマートキーを車両の室内に安置して、利用者へのサービスの必要に応じて、リモートでスマートキーの動作モードを操作することができるので、待機状態における車両利用者にスマートキーを手渡す手間を省くことができる。さらには、車両のスマートキーをそのままシェアカーサービスに利用できるので、ドア開閉やエンジン始動をリモート管理するための車両改造等も不要になり、低いコストでシェアサービス用の車両を揃えることができる。
【実施例0073】
本実施例は、車両盗難で問題となっているリレーアタックを防止するシステムを構築するために有効な機能に絞り込んで、構成と動作をシンプルにした電源装置である。
【0074】
図9は、本実施例における電源装置の各構成部を示したブロック図である。
電源装置9000は、マイナス端子1010を備えた蓋部9001とプラス端子1011を備えた収納部9002、絶縁ガスケット9003、非接触受電部9004、給電モード制御部9005、出力部9006、充電制御部9007そして蓄電部9008という構成である。ブロック間を結ぶ太い矢線は、電力線を示し電力供給に用いられる。ブロック間を結ぶ細い矢線は、電気信号線を示し、センシング情報、制御信号等の微小電力を伝達する。矢は微小電力や電力供給の伝達方向を示している。
ここで非接触受電部1004は、収納部1002の底面に沿って設けられているが、本発明の非接触受電部の配置はこれに限定されるものではない。例えば、蓋部1001に沿った収納部1002の開放面に設けてもよい。
【0075】
蓋部9001は、磁場を通す樹脂を円盤状に成形して作られる。収納部9002は磁場を通す樹脂を片方の底面が開放面となる円筒状に成形して作られる。円盤状に成形された樹脂製の蓋部9001によって、円筒状に成形された樹脂製の収納部9002の開放面が塞がる。それらのつなぎ目が絶縁ガスケット9003によって絶縁され、電源装置の操作対象とする電気機器で使用するボタン電池の形状の筐体を構成するように形成されている。
ここでは筐体を構成する部材として樹脂で成形された蓋部と収納部を採用しているが、本発明の筐体の材料や部材構成はこれに限定されるものではなく、磁場を通す材料であって最終的に操作対象の電気機で使用するボタン電池の形状を形成するように成形されていればよい。
蓋部9001は、中心部を通る位置に金属端子9009が設けられおり、マイナス端子を形成する。収納部9002は、外周部に金属端子9010が設けられており、プラス端子を形成する。これらが、電源装置の外部へ電力供給するための端子を構成する。
本発明の端子の設け方はこれに限定されるものではなく、操作対象の電気機の電池室の接点に対応する位置に設けられるように構成されていればよい。
このような構成により電源装置は、この電気機器の電池室に格納されて、ボタン電池の代わりに電力供給をさせることができる。
【0076】
非接触受電部9004は、受電のための2次コイルを備え、所定の1次コイルを備えた非接触給電装置から電磁誘導により受電できるように設けられている。
本実施例では、非接触給電/受電の方式の例として電磁誘導方式を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば磁気共鳴方式などを用いてもよい。
【0077】
給電モード制御部9005は、細い矢線Lで示す非接触受電部のセンサラインである電気信号線から受電に係る電力の一部又は全部の入力を受けて、該入力が所定の電力を超えた状態において、出力部9006に対して電力供給による給電モードを給電オフモードとする出力制御信号を送信する。
【0078】
出力部9006は、給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が無い場合、蓄電部1009に蓄電された電力を利用してボタン電池に相当する電圧の電力供給を維持する出力オンで動作する。また、給電モードを給電オフモードとする出力制御信号の送信が有る場合、電力供給を停止すると共に非接触受電部の残存電力を遮断する出力オフで動作する。
【0079】
充電制御部9007は、太い矢線Pで示す電力線から非接触受電部が受電した電力を受けて、蓄電部9008への充電に係わる電圧、電流等の制御を行う。
【0080】
蓄電部9008は、非接触受電部において受電されているときは出力部への電力供給の有無にかかわらずいつでも、充電制御部で制御された電力の供給を受けて充電をするように設けられている。細い矢線Sは、給電モード制御部9005の制御動作に必要な微小電力を供給する電子信号線である。
細い矢線Sは、微小電力を
【0081】
図10は、本実施例の電源装置を使用した電気機器であるスマートキーを操作する態様を示した模式図である。
ボタン電池形状の電源装置9000を電池室10002に格納するスマートキー10001と、スマートキーを保持する電気機器ホルダー10003から構成されるシステムとして動作する。
ここでスマートキー10001は、ボタン電池に換えて電池室に格納された電源装置9000から出力される電力によって、利用者による操作で発動する機能や自動発動機能を発揮する。
電気機器ホルダー10003は、直流電源入力部10004、電源スイッチ10005、交流変換部10006そして非接触給電装置10007を備えている。
ここで、非接触給電装置10007は1次コイルを備え、電気機器ホルダーに収納したスマートキーの電源装置9000に近接し、その非接触受電部9004に対して電磁誘導により電力供給できるように設けられている。
【0082】
図11は、本実施例の電源装置によるスマートキーの動作モードを操作する態様を示したフローチャートである。
以下の説明で「非接触受電が有る場合」あるいは「受電中」とは、給電モード制御部に入力される非接触受電に係る電力の一部又は全部が所定の電力を超えた状態に有る場合のことである。
【0083】
収納待機状態11001において、電源装置を格納したスマートキーが電気機器ホルダーに格納されている。この状態で電源装置の非接触受電部9004は、電気機器ホルダーに設けられた非接触給電装置10007から非接触受電する。受電中であることを検知した給電モード制御部9005は、出力部9006に対して給電オフモードの出力制御信号送信をし、出力部は出力オフとなり、電源装置の給電モードは、給電オフモードとなる。
この状態において、スマートキーは、機能オフモードで動作するため、利用者によるボタン操作によるドア解錠/施錠等の機能は勿論のこと、認証電波の発信という自動発動機能も停止している。
スマートキーを収納待機状態にしておけば、認証電波を中継して車両盗難に利用するリレーアタックを防ぐことができる。
【0084】
取出しステップ11002において、利用者によって、スマートキーが電気機器ホルダーから取り出される。
【0085】
非接触受電停止ステップ11003において、取出されたスマートキーに格納された電源装置の非接触受電が停止する。
【0086】
出力オンステップ11004において、受電停止であることを検知した給電モード制御部9005は、出力部9006に対する給電オフモードの出力制御信号を送信停止し、給電オンモードの出力制御信号送信をする。これにより、出力部は出力オンとなり、電源装置の給電モードが給電オンモードに遷移して、スマートキーへの電力供給が開始される。
【0087】
利用ステップ11005において、電源装置からの電力供給を受けたスマートキーは、その動作モードが機能オンモードとなり、利用可能となる。これにより、利用者がスマートキーを操作して車両のドアの開錠/施錠等をでき、さらには自動発動される認証電波の発信もされてエンジン始動等も可能となり、車両を利用することができる。
【0088】
収納ステップ11006において、車両の利用が終了すると、利用者によって、スマートキーが電気機器ホルダーに収納される。
【0089】
非接触受電開始11007ステップにおいて、電源装置の非接触受電部9004は、電気機器ホルダーに設けられた非接触給電装置10007からの非接触受電を開始する。
【0090】
出力オフステップ11008において、受電中であることを検知した給電モード制御部9005は、出力部9006に対して給電オフモードの出力制御信号を送信し、出力部は出力オフとなる。
【0091】
残存電力カットステップ11009において、出力部が出力オフとなることにより、非接触受電部の残存電力の出力も含めた電力供給が停止されて、電源装置による電力供給の給電モードは、給電オフモードに遷移する。
これにより、スマートキーの動作モードが機能オフモードに遷移して、収納待機状態11001に戻る。
【0092】
以上のような、電源装置をスマートキーに使用することにより、車両を利用しないときにスマートキーが常時発信している認証電波を中継して車両盗難に使うリレーアタックを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、電気機器の製造業、電源装置製造業、自動車産業、シェアカーサービス業等の幅広い産業分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1001 蓋部
1002 収納部
1003 絶縁ガスケット
1004 非接触受電部
1005 切替動作設定スイッチ
1006 給電モード制御部
1007 出力部
1008 充電制御部
1009 蓄電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11