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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158823
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/08 20060101AFI20231024BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20231024BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A01M1/08
A01M1/02 C
F24F1/0007 401D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068838
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 渉
【テーマコード(参考)】
2B121
3L051
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121AA13
2B121AA14
2B121BA38
2B121CC11
2B121DA15
2B121DA21
2B121EA01
2B121FA11
3L051BC10
(57)【要約】
【課題】虫の誘引効果を高め、効率よく虫を捕獲する。
【解決手段】空気調和機1は、熱交換器11を蒸発器とする冷房サイクル及び熱交換器11を凝縮器とする暖房サイクルのいずれかに切り替えて圧縮機12で冷媒を循環させる冷媒回路4と、室内の空気を吸い込む吸込口42aと室内に空気を吹き出す吹出口42bとを有し、熱交換器11を収容するケーシング40と、吸込口42aからケーシング40内に空気を吸い込み、熱交換器11を通過させて吹出口42bから空気を吹き出す空気流を生成するファン21と、ケーシング40に虫を誘引する誘引装置36と、誘引した虫を捕獲する捕虫装置37と、コントローラとを備え、コントローラは、冷房サイクルによる運転後に、圧縮機12を停止した状態又は暖房サイクルに切り替えて圧縮機12を駆動した状態で、ファン21及び誘引装置36を駆動する捕虫運転を実行可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(11)及び圧縮機(12)を有し、かつ、前記熱交換器(11)を蒸発器とする冷房サイクル及び前記熱交換器(11)を凝縮器とする暖房サイクルのいずれかに切り替えて前記圧縮機(12)により冷媒を循環させる冷媒回路(4)と、
室内の空気を吸い込む吸込口(42a)と室内に空気を吹き出す吹出口(42b)とを有し、前記熱交換器(11)を収容するケーシング(40)と、
前記吸込口(42a)から前記ケーシング(40)内に空気を吸い込み、前記熱交換器(11)を通過させて前記吹出口(42b)から空気を吹き出す空気流を生成するファン(21)と、
前記ケーシング(40)に虫を誘引する誘引装置(36)と、
誘引した虫を捕獲する捕虫装置(37)と、
前記圧縮機(12)、前記ファン(21)、及び前記誘引装置(36)の動作を制御するコントローラと、を備えており、
前記コントローラは、前記冷房サイクルによる運転後に、前記圧縮機(12)を停止した状態又は前記暖房サイクルに切り替えて前記圧縮機(12)を駆動した状態で、前記ファン(21)及び前記誘引装置(36)を駆動する、捕虫運転を実行可能である空気調和機。
【請求項2】
前記誘引装置(36)は、
所定の第1波長域の光が照射されることで二酸化炭素の発生を促す光触媒を有しかつ前記ファン(21)によって生成された空気流が通過するフィルタ(44)と、
前記フィルタ(44)に前記光を照射する第1光源(51)と、
を含む、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記誘引装置(36)は、虫を誘引することができる所定の第2波長域の光を前記ケーシング(40)から外部に照射する第2光源(52)を含む、請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記誘引装置(36)は、
虫を誘引することができる所定の波長域の光が照射されることで二酸化炭素の発生を促す光触媒を含みかつ前記ファン(21)によって生成された空気流が通過するフィルタ(44)と、
前記フィルタ(44)と前記ケーシング(40)の外部とに前記光を照射する光源(53)と、
を含む、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記コントローラにより制御され、前記吹出口(42b)における空気の吹出方向を設定するフラップ(45)をさらに備え、
前記コントローラは、前記捕虫運転の際に、前記吹出口(42b)から吹き出した空気を前記吸込口(42a)に直接的に吸引させるよう前記フラップ(45)の向きを制御する、請求項2又は4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記捕虫装置(37)が、前記吸込口(42a)の近傍に配置されかつ虫を捕らえる捕獲部(54)を含む、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記捕虫装置(37)が、
前記吸込口(42a)の近傍に配置されかつ虫を捕らえる捕獲部(54)と、
前記捕獲部(54)の周辺で虫を検知する検知部(56)と、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記検知部(56)による虫の検知に基づいて前記ファン(21)の回転数を増大させる、請求項1、2、又は4に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記コントローラは、前記捕虫運転の前記ファン(21)の回転数を、前記冷房サイクルによる運転の前記ファン(21)の回転数よりも低下させる、請求項1、2、又は4に記載の空気調和機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内において蚊やハエなどの虫を捕獲する捕虫装置が開示されている。この捕虫装置は、空気清浄機として構成され、紫外線を照射して虫を引き寄せ、虫を検知するとファンの風量を高めて虫を吸込み捕獲するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-25500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の捕虫装置は、紫外線だけで虫を誘引しているので、それほど効率よく虫を捕獲することができなかった。
本開示は、虫の誘引効果を高め、効率よく虫を捕獲することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 本開示の空気調和機は、
熱交換器及び圧縮機を有し、かつ、前記熱交換器を蒸発器とする冷房サイクル及び前記熱交換器を凝縮器とする暖房サイクルのいずれかに切り替えて前記圧縮機により冷媒を循環させる冷媒回路と、室内の空気を吸い込む吸込口と室内に空気を吹き出す吹出口とを有し、前記熱交換器を収容するケーシングと、前記吸込口から前記ケーシング内に空気を吸い込み、前記熱交換器を通過させて前記吹出口から空気を吹き出す空気流を生成するファンと、前記ケーシングに虫を誘引する誘引装置と、誘引した虫を捕獲する捕虫装置と、前記圧縮機、前記ファン、及び前記誘引装置の動作を制御するコントローラと、を備えており、前記コントローラは、前記冷房サイクルによる運転後に、前記圧縮機を停止した状態又は前記暖房サイクルに切り替えて前記圧縮機を駆動した状態で、前記ファン及び前記誘引装置を駆動する、捕虫運転を実行可能である。
【0006】
上記構成の空気調和機は、捕虫機能を有するものである。空気調和機は、冷房サイクルによる運転後に、圧縮機を停止した状態又は暖房サイクルに切り替えて圧縮機を駆動した状態でファンを駆動することによって、ケーシングの周辺に虫を引き寄せやすい高温多湿の環境を作ることができ、誘引装置による虫の誘引効果を高めて効率よく虫を捕獲することができる。
【0007】
(2) 上記(1)の空気調和機において、好ましくは、前記誘引装置は、所定の第1波長域の光が照射されることで二酸化炭素の発生を促す光触媒を有しかつ前記ファンによって生成された空気流が通過するフィルタと、前記フィルタに前記光を照射する第1光源と、を含む。
【0008】
上記構成によれば、フィルタに第1波長域の光を照射することで二酸化炭素を多く含む空気を吹出口から吹き出すことができ、二酸化炭素を好む虫をケーシングに誘引することができる。
【0009】
(3) 上記(1)又は(2)の空気調和機において、好ましくは、前記誘引装置は、虫を誘引することができる所定の第2波長域の光を前記ケーシングから外部に照射する第2光源を含む。
【0010】
上記構成によれば、ケーシングから外部に第2波長域の光を照射することで、ケーシングに虫を誘引することができる。
【0011】
(4) 上記(1)の空気調和機において、好ましくは、前記誘引装置は、虫を誘引することができる所定の波長域の光が照射されることで二酸化炭素の発生を促す光触媒を含みかつ前記ファンによって生成された空気流が通過するフィルタと、前記フィルタと前記ケーシングの外部とに前記光を照射する光源と、を含む。
【0012】
上記構成によれば、虫を誘引することができる波長域の光を用いて、二酸化炭素を多く含む空気を吹出口から吹き出すとともに、前記光をケーシングから外部に照射し、ケーシングに虫を誘引することができる。
【0013】
(5) 上記(2)又は(4)の空気調和機において、好ましくは、前記コントローラにより制御され、前記吹出口における空気の吹出方向を設定するフラップをさらに備え、前記コントローラは、前記捕虫運転の際に、前記吹出口から吹き出した空気を前記吸込口に直接的に吸引させるよう前記フラップの向きを制御する。
【0014】
上記構成によれば、ケーシングの吹出口と吸込口との間で二酸化炭素を多く含む空気を循環させ、ケーシング付近の二酸化炭素の濃度をより高めることができ、ケーシングへの虫の誘引効果をより高めることができる。
【0015】
(6) 上記(5)の空気調和機において、好ましくは、前記捕虫装置が、前記吸込口の近傍に配置されかつ虫を捕らえる捕獲部を含む。
【0016】
上記構成によれば、二酸化炭素を多く含む空気を捕獲部に積極的に送り、捕獲部に虫を誘引する効果を高めて効率よく虫を捕獲することができる。
【0017】
(7) 上記(1)~(5)のいずれか1つの空気調和機において、好ましくは、前記捕虫装置が、前記吸込口の近傍に配置されかつ虫を捕らえる捕獲部と、前記捕獲部の周辺で虫を検知する検知部と、をさらに備え、前記コントローラは、前記検知部による虫の検知に基づいて前記ファンの回転数を増大させる。
【0018】
上記構成によれば、虫の検知により吸込口から吸い込む空気の量を増大させ、捕獲部に虫を引き込むことができる。
【0019】
(8) 上記(1)~(7)のいずれか1つの空気調和機において、好ましくは、前記コントローラは、前記捕虫運転の前記ファンの回転数を、前記冷房サイクルによる運転の前記ファンの回転数よりも低下させる。
【0020】
上記構成によれば、捕虫運転によりケーシングから吹き出した高温高湿の空気が室内に広がらないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の第1実施形態に係る空気調和機の概略的な冷媒回路図である。
図2】室内機の斜視図である。
図3】室内機の断面図である。
図4】誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
図5】室内機のフラップを空調姿勢にした状態を示す断面図である。
図6】室内機のフラップを横吹姿勢にした状態を示す断面図である。
図7】室内機のフラップを短絡姿勢にした状態を示す断面図である。
図8】乾燥運転及び捕虫運転の制御手順を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る空気調和機の、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
図10】第3実施形態に係る空気調和機の、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
図11】第4実施形態に係る空気調和機の、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、空気調和機の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係る空気調和機の概略的な冷媒回路図である。
空気調和機1は、空調対象空間である室内の空気の温度を所定の目標温度に調整する。本実施形態の空気調和機1は、室内の冷房と暖房とを行う。空気調和機1は、室外機2、室内機3、及び、室外機2と室内機3との間で冷媒を循環させる冷媒回路4を有している。
【0023】
冷媒回路4は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う。冷媒回路4は、圧縮機12、四路切換弁17、室外熱交換器(熱源熱交換器)14、膨張弁15、液閉鎖弁19、室内熱交換器(利用熱交換器)11、ガス閉鎖弁20、アキュムレータ16、及びこれらを接続する冷媒配管10L、10G等を備える。
【0024】
室内機3は、冷媒回路4を構成する室内熱交換器11を備えている。室内熱交換器11は、クロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器とされ、室内の空気と熱交換するために用いられる。
【0025】
室内機3は、室内ファン21、室内コントローラ22、及びリモートコントローラ24をさらに備えている。室内ファン21は、室内の空気を室内機3の内部に取り込み、取り込んだ空気と室内熱交換器11を流れる冷媒との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室内に吹き出すように構成されている。室内ファン21は、インバータ制御によって運転周波数を調整可能なモータを備えている。室内ファン21のモータの運転周波数がインバータ制御されることによって、室内ファン21の回転数が増減される。
【0026】
室内コントローラ22は、室内ファン21の動作を制御する。室内コントローラ22は、CPU等の演算部及びRAM,ROM等の記憶部を有するマイクロコンピュータ等により構成されている。室内コントローラ22は、FPGAやASIC等の集積回路を備えたものであってもよい。
【0027】
リモートコントローラ24は、空調運転の開始及び停止の入力、冷房及び暖房の運転モードの入力、室内の目標温度(設定温度)の入力、風向の入力等の操作を行うために用いられる。リモートコントローラ24は、運転モードや設定温度を表示する表示部等を備えている。リモートコントローラ24は、室内コントローラ22に有線又は無線により接続されている。リモートコントローラ24において入力された情報は、室内コントローラ22及び室外コントローラ33に送信される。
【0028】
室外機2は、冷媒回路4を構成する圧縮機12、四路切換弁17、室外熱交換器14、膨張弁15、液閉鎖弁19、ガス閉鎖弁20、及びアキュムレータ16を備えている。
【0029】
圧縮機12は、低圧のガス冷媒を吸引し高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機12は、インバータ制御によって運転周波数を調整可能なモータを備えている。圧縮機12は、モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。
【0030】
四路切換弁17は、冷媒配管における冷媒の流れを反転させ、圧縮機12から吐出される冷媒を室外熱交換器14と室内熱交換器11との一方に切り換えて供給する。これにより、空気調和機1は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる。
【0031】
室外熱交換器14は、例えばクロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器である。室外熱交換器14は、空気を熱源として冷媒と熱交換し、冷媒を凝縮又は蒸発させる。膨張弁15は、冷媒流量の調節等を行うことが可能な電動弁により構成されている。
【0032】
アキュムレータ16は、圧縮機12に吸入される低圧冷媒を一時的に貯留し、ガス冷媒と液冷媒とを分離する。液閉鎖弁19は、手動の開閉弁である。ガス閉鎖弁20も手動の開閉弁である。液閉鎖弁19及びガス閉鎖弁20は、閉じることによって冷媒配管10L,10Gにおける冷媒の流れを遮蔽し、開くことによって、冷媒配管10L,10Gにおける冷媒の流れを許容する。
【0033】
室外機2は、さらに室外ファン18等を備えている。室外ファン18は、インバータ制御によって運転周波数を調整可能なモータを備えている。室外ファン18は、屋外の空気を室外機2の内部に取り込み、取り込んだ空気と室外熱交換器14を流れる冷媒との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室外機2の外部に吹き出すように構成されている。
【0034】
室外機2は、室外コントローラ33をさらに有している。室外コントローラ33は、CPU等の演算部及びRAM,ROM等の記憶部を有するマイクロコンピュータ等により構成されている。室外コントローラ33は、記憶部に記憶されたプログラムを演算部が実行することによって所定の機能を発揮する。室外コントローラ33は、FPGAやASIC等の集積回路を備えたものであってもよい。室外コントローラ33は、室内コントローラ22に伝送線を介して通信可能に接続されている。
【0035】
上記構成の空気調和機1が冷房運転を行う場合、四路切換弁17が図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機12から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁17を経て室外熱交換器14に流入し、室外ファン18の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は膨張弁15で所定の低圧に減圧される。さらに、冷媒は、室内ファン21の作動により室内熱交換器11で室内空気と熱交換して蒸発する。冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、室内ファン21によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。室内熱交換器11で蒸発した冷媒は、ガス冷媒配管10Gを通って室外機2に戻り、四路切換弁17を経て圧縮機12に吸い込まれる。本実施形態では、以上のような冷媒の循環を「冷房サイクル」という。
【0036】
空気調和機1が暖房運転を行う場合、四路切換弁17が図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機12から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁17を通過して室内機3の室内熱交換器11に流入する。冷媒は、室内ファン21の作動により室内熱交換器11で室内空気と熱交換して凝縮・液化する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内ファン21によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器11において液化した冷媒は、液冷媒配管10Lを通って室外機2に戻り、膨張弁15で所定の低圧に減圧される。さらに、冷媒は、室外ファン18の作動により室外熱交換器14で室外空気と熱交換して蒸発する。室外熱交換器14で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁17を経て圧縮機12に吸い込まれる。本実施形態では、以上のような冷媒の循環を「暖房サイクル」という。
【0037】
(室内機の構成)
図2は、室内機の斜視図である。図3は、室内機の断面図である。
本実施形態の室内機3は、天井埋込型である。室内機3は、ケーシング40を備えている。ケーシング40は、ケーシング本体41と、化粧パネル42とを備えている。ケーシング本体41は、下端面が開口された箱状体からなり、天井R1に形成された開口内に配設される。
【0038】
化粧パネル42は、四角形状の板体からなる。化粧パネル42の中央には、室内の空気を吸い込む吸込口42aが形成されている。化粧パネル42の吸込口42aの周囲には、温度調整された空気を室内に吹き出す細長い長方形状の吹出口42bが形成されている。吹出口42bは、化粧パネル42の4辺に沿うように4か所に形成されている。各吹出口42bには、当該吹出口42bから室内に吹き出される調和空気の風向を調整するフラップ(風向板)45と、フラップ45を駆動する駆動部としてのモータ46とが配設されている。化粧パネル42の吸込口42aには、吸込グリル43が配置されている。
【0039】
ケーシング本体41の内部には、室内ファン21、室内熱交換器11、清浄化装置35、誘引装置36、捕虫装置37等が設けられている。室内ファン21は、羽根車21aと、羽根車21aを回転させる駆動部としてのモータ21bとを備えている。室内ファン21は、化粧パネル42の吸込口42aから室内の空気を吸い込み、当該空気を室内熱交換器11に向けて吹き出す。
【0040】
室内熱交換器11は、室内ファン21の周りを囲むように上面視で略四角形状に折り曲げられている。室内熱交換器11は、その内部を流れる冷媒と室内ファン21から吹き出された空気との間で熱交換を行い、当該空気を冷却又は加熱する。室内熱交換器11を通過した空気は、吹出口42bから室内に吹き出される。
【0041】
清浄化装置35は、室内機3内に吸い込んだ空気を清浄化するものであり、室内ファン21の下方に配置されたフィルタ44を備えている。フィルタ44は、吸込口42aから吸い込まれる室内空気中の塵埃等を除去する。本実施形態のフィルタ44は、光触媒を有している。フィルタ44としては、フッ素樹脂繊維、ポリエステル繊維、無機繊維等から形成されたハニカム構造又はプリーツ構造のフィルタ本体(通気部材)の表面に酸化チタン等の光触媒を付着させたものを採用することができる。
【0042】
清浄化装置35は、フィルタ44に光を照射する光源(第1光源)51をさらに備えている。この第1光源51は、フィルタ44に所定の波長域(第1の波長域)の光、具体的には紫外線を照射する。フィルタ44の光触媒に紫外線が照射されると、過酸化水素と水酸化ラジカルとが発生し、これらがフィルタ44に付着した悪臭の原因となる有機物質を二酸化炭素と水に分解したり、菌やウイルス等を不活化したりする。光源は、例えば300nm~400nmの波長域の紫外線を光触媒に照射する。本実施形態の第1光源51は、365nmの波長の紫外線を光触媒に照射する。ただし、第1光源51の波長は、この波長に限定されるものではなく、適宜変更可能である。第1光源51は、冷房及び暖房の空調運転を行っているときだけでなく、空調運転を停止している間や、後述する捕虫運転の際にも駆動することができる。
【0043】
図4は、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
誘引装置36は、室内機3のケーシング40に虫を誘引するものである。誘引装置36は、ケーシング40から外部へ、蚊、ハエ、蛾等の虫を誘引することができる所定の波長域(第2の波長域)の光を照射する光源(第2光源)52を含む。本実施形態の第2光源52は、例えば360nm~400nmの波長域の紫外線を照射する。本実施形態の第2光源52は、第1光源51と同様に、365nmの波長の紫外線を照射する。ただし、第2光源52の波長は、この波長に限定されるものではなく、適宜変更可能である。第2光源52は、ケーシング本体41の内部から化粧パネル42の吸込口42aに向けて下方へ紫外線を照射し、ケーシング40へ虫を誘引する。
【0044】
捕虫装置37は、誘引装置36によって誘引された虫を捕獲する。捕虫装置37は、虫を捕獲する捕獲部54と、捕獲部54を流れる空気の流路を形成する流路部材55と、虫を検知する検知部56と、を有する。
【0045】
本実施形態の捕獲部54は、ケーシング40の吸込口42aの上方に配置されている。捕獲部54は、かご形状に形成されている。捕獲部54は、下端が開放し、他の端部が閉じている。捕獲部54は、空気を通過させ虫を通過させない部材、例えば網目状の部材で形成されている。虫は、捕獲部54の下端の開放部分から内部に入り込み、捕獲される。捕獲部54の内面には、粘着剤54aが設けられている。粘着剤54aは、捕獲部54内に入り込んだ虫を付着させることで、捕獲部54から虫が逃げるのを抑制する。
【0046】
捕獲部54は、第2光源52の下方に配置されている。そのため、第2光源52から照射される紫外線は、捕獲部54を透過してケーシング40外へ照射される。紫外線を好む虫は、光源から照射される紫外線によって捕獲部54に誘引され、捕獲部54で捕獲される。
【0047】
流路部材55は、捕獲部54を通過する空気の流路を形成する。前述の捕獲部54は、流路部材55の内部に配置されている。流路部材55には、空気の流入口55aと、排出口55bとが形成されている。流入口55aは、流路部材55の下面に形成されている。捕獲部54の下端の開放部分は、流入口55aに位置付けられている。排出口55bは、流路部材55の上面に配置されている。排出口55bは、上方に向けて突出する筒体により構成されている。排出口55bは、流入口55aに対して水平方向にずれた位置に配置されている。室内ファン21を駆動すると、ケーシング40の吸込口42aから取り入れられた空気は、流入口55aから流路部材55内に入り込み、捕獲部54を通過して排出口55bから流路部材55外へ排出される。この空気の流れによって捕獲部54内に虫が引き込まれる。
【0048】
検知部56は、捕獲部54の近傍に存在する虫を検知する。具体的に、検知部56は、捕獲部54の下端の開放部分に存在する虫を検知する。検知部56としては、虫を直接的に検知する赤外線センサや、虫の羽音を検知する音センサ等の公知のセンサを採用することができる。検知部56によって虫が検知されると、その信号は室内コントローラ22に入力される。室内コントローラ22は、後述する捕虫運転の際に虫が検知されると、室内ファン21の回転数を増加させる制御を実行する。この制御の詳細については、後述する。
【0049】
図5図7には、室内機3のフラップ45が拡大して示されている。本実施形態のフラップ45は、少なくとも以下に説明する「閉鎖姿勢」、「空調姿勢」、「横吹姿勢」、「短絡姿勢」をとる。図5は、室内機のフラップを空調姿勢にした状態を示す断面図である。図6は、室内機のフラップを横吹姿勢にした状態を示す断面図である。図7は、室内機のフラップを短絡姿勢にした状態を示す断面図である。
【0050】
フラップ45は、断面形状が略円弧状に湾曲している。フラップ45は、略水平な軸45aを中心に回転し風向を調整する。フラップ45は、モータ46(図1参照)によって回転し、所定の姿勢をとる。モータ46は、室内コントローラ22によって制御される。
【0051】
図5において、2点鎖線で示すフラップ45は、「閉鎖姿勢」にある。この閉鎖姿勢は、主に空気調和機1の運転を停止したときにフラップ45がとる姿勢である。フラップ45は、化粧パネル42の下面に沿うように略水平に配置され、吹出口42bの大部分を塞いでいる。具体的に、化粧パネル42の外周に近いフラップ45の先端部45bと、化粧パネル42の吸込口42aに近いフラップ45の後端部45cとが、いずれも吹出口42bの周縁部42b1,42b2に接近している。
【0052】
図5において、実線で示すフラップ45は、「空調姿勢」にある。空調姿勢は、冷房運転又は暖房運転を行っているときにフラップ45がとる姿勢である。フラップ45は、吹出口42bの大部分を開くことによって吹出口42bからの空気の吹き出しを許容する。具体的に、空調姿勢のフラップ45は、先端部45bが低く、後端部45cが高くなるように斜めに傾斜している。そのため、フラップ45が空調姿勢をとるとき、吹出口42bからは吸込口42aから離れる方向に向けて斜め下方に空調された空気が吹き出される。これにより、吹出口42bから吹き出された空気が吸込口42aに直接吸い込まれるのを抑制することができる。この空調姿勢では、フラップ45は、ユーザの希望等に応じて上下に微調整されたり、上下に揺動されたりする。
【0053】
図6に示すフラップ45は、「横吹姿勢」にある。横吹姿勢は、「閉鎖姿勢」と「空調姿勢」の中間の姿勢である。この横吹姿勢のフラップ45は、吹出口42bから天井R1の下面に略沿う方向に空気を吹き出す。具体的に、フラップ45が横吹姿勢をとるとき、吹出口42bからは吸込口42aから離れる方向に略水平方向に空気が吹き出される。この横吹姿勢は、後述する乾燥運転及び捕虫運転の際に用いることができる。
【0054】
図7に示すフラップ45は、「短絡姿勢」にある。短絡姿勢は、フラップ45の先端部45bが略垂直な姿勢又は吸込口42a側へやや寄るように傾斜した姿勢である。フラップ45の先端部45bは、吹出口42bの周縁部42b2と間隔をあけて配置され、フラップ45の後端部45cは、吹出口42bの周縁部42b1に接近している。そのため、吹出口42bから吹き出される空気は、専らフラップ45の先端部45bと吹出口42bの吸込口42a側の周縁部42b2との間の空間Sを通って吹き出される。この空間Sは、吸込口42aの近くに位置するため、吹出口42bから吹き出された空気は吸込口42aから室内機3の内部に吸い込まれる。言い換えると、吹出口42bから吹き出された空気は、室内を循環するのではなく直接的に吸込口42aに吸い込まれる短い経路を流れる。このような空気の流れの経路を「ショートサーキット(短絡経路)」ともいう。この短絡姿勢では、吹出口42bから吸込口42aへ流れる空気の量が空調姿勢及び横吹姿勢のときよりも多くなる。この短絡姿勢は、後述する捕虫運転の際に用いることができる。
【0055】
(乾燥運転及び捕虫運転について)
夏季等に冷房サイクルによって冷房運転を行うと、蒸発器として機能する室内熱交換器11で室内の高温高湿の空気が冷却され、室内熱交換器11に結露水が付着する。冷房運転後、室内熱交換器11に結露水が付着したまま放置すると、カビや菌が繁殖して不快な臭気の原因になる。そのため、本実施形態の空気調和機1は、冷房運転を停止した後に、室内熱交換器11を乾燥させる「乾燥運転」を実行する。
【0056】
この乾燥運転では、冷媒回路4で冷房サイクルから暖房サイクルに切り替えて冷媒を循環させ、同時に室内ファン21を駆動する運転である。これにより、凝縮器として機能する室内熱交換器11に高温の冷媒を流入させ、室内熱交換器11を加熱しながら室内ファン21で室内熱交換器11に風を送り、室内熱交換器11に付着した結露水を蒸発させ、室内熱交換器11を乾燥させることができる。
【0057】
なお、乾燥運転は、圧縮機12を停止させた状態で室内ファン21を駆動する運転であってもよい。この場合、冷媒で室内熱交換器11を加熱することはできないが、室内ファン21で室内の常温の空気を室内熱交換器11に送り、乾燥を促進することができる。いずれの場合も、室内ファン21は、冷房運転よりも低い回転数で駆動される。これは、乾燥運転によって温かい空気が室内に広がるのを抑制するためである。本実施形態では、乾燥運転中の室内ファン21の運転を「低速運転」ともいう。
【0058】
乾燥運転中、吹出口42bのフラップ45は、「横吹姿勢」とされる。これにより、吹出口42bから吹き出される暖かい空気は天井R1に略沿って流れ、当該空気が室内に居る人に当たるのを抑制することができる。次に説明するように、乾燥運転とともに捕虫運転が実行される場合は、フラップ45は、「短絡姿勢」又は「横吹姿勢」とされる。フラップ45が短絡姿勢とされる場合、吹出口42bから吹き出された暖かい空気は直接的に吸込口42aに吸込まれるため、当該空気が室内に居る人に当たるのを抑制することができる。
【0059】
本実施形態の空気調和機1は、上記のような乾燥運転を単独で実行することもできるし、当該乾燥運転とともに「捕虫運転」を実行することもできる。捕虫運転は、捕虫装置37を用いて室内に存在する蚊やハエ等の虫を捕獲する運転である。前述したように乾燥運転を行うと、室内熱交換器11に付着した結露水が熱によって蒸発するので、室内熱交換器11の周囲は高温多湿の状態となる。さらに室内ファン21の駆動により吹出口42bから高温多湿の空気が吹き出されると、乾燥運転中、室内機3の周辺は虫を引き寄せやすい高温多湿の環境となる。このような環境下で、捕虫運転を行うことによって捕虫効果を高めることが可能となる。
【0060】
(乾燥運転及び捕虫運転の制御手順)
以下、図8を参照して、乾燥運転とともに捕虫運転を行う場合の制御手順について説明する。図8は、乾燥運転及び捕虫運転の制御手順を示すフローチャートである。
以下の制御は、室外コントローラ33と室内コントローラ22とが連携しつつ実行するため、これらを区別することなく、単に「コントローラ」と呼ぶ。
【0061】
図8のステップS1において、コントローラは、空気調和機1が冷房運転をしているか否かを判断する。冷房運転中、室内ファン21は作動し、フラップ45は空調姿勢(図5参照)に調整される。コントローラは、ステップS1における判断が肯定的(Yes)である場合はステップS2に処理を進め、否定的(No)である場合は処理を終了する。
【0062】
ステップS2において、コントローラは、冷房運転が停止されたか否かを判断する。コントローラは、ステップS2の判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS3に処理を進め、否定的(No)である場合、ステップS1に処理を戻す。
【0063】
ステップS3において、コントローラは、乾燥運転及び捕虫運転を開始する。具体的に、コントローラは、モータ46を制御してフラップ45を短絡姿勢(図7参照)又は横吹姿勢(図6参照)にする。さらに、コントローラは、第1光源51及び第2光源52を作動させ、各光源51,52から紫外線を照射させる。コントローラは、冷房運転から継続して室内ファン21を作動させる。ただし、コントローラは、冷房運転よりも回転数を低下させた低速運転で室内ファン21を駆動する。
【0064】
上述したように、乾燥運転が行われると、室内機3の周辺が高温多湿となるため、室内機3に虫が引き寄せられやすくなり、誘引装置36による虫の誘引を効率よく行うことができる。第1光源51が駆動されると、フィルタ44の光触媒に紫外線が照射され、発生した過酸化水素と水酸化ラジカルとが有機物質を二酸化炭素と水に分解する。この二酸化炭素は、室内ファン21によって吹出口42bから吹き出されるため、室内機3の周囲の二酸化炭素濃度が高くなる。
【0065】
特に、捕虫運転の際に、室内機のフラップ45が横吹姿勢にあると、二酸化炭素濃度の高い空気が天井R1付近に集まる。そのため、二酸化炭素を好む虫を天井R1へ引き寄せることができる。捕虫運転の際に、フラップ45が短絡姿勢にあると、二酸化炭素濃度の高い空気が吹出口42bから吸込口42aに直接的に流れ、吹出口42bと吸込口42aとの間で当該空気が循環する。そのため、室内機3の直下における二酸化炭素濃度が特に高くなり、吸込口42aの近傍に配置された誘引装置36及び捕虫装置37へ虫を引き寄せることができる。そのため、誘引装置36によって効率よく虫を誘引し、捕虫装置37によって効率よく虫を捕獲することができる。
【0066】
捕虫運転の際のフラップ45の姿勢は、短絡姿勢及び横吹姿勢の一方のみを採用してもよいし、両方を採用してもよい。後者の場合、例えば、一定時間ごとに交互にフラップ45を短絡姿勢と横吹き姿勢とに切り替えることができる。これにより、横吹姿勢で天井R1へ引き寄せた虫を、短絡姿勢で更に室内機3の直下へ引き寄せることができ、より効率よく虫を捕獲することができる。
【0067】
ステップS4において、コントローラは、検知部56が虫を検知したか否か、言い換えると、捕虫装置37の捕獲部54の付近に虫がいるか否かを判断する。コントローラは、ステップS2の判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS5に処理を進め、否定的(No)である場合、ステップS6に処理を進める。
【0068】
ステップS5において、コントローラは、室内ファン21の回転数を増加させる制御(増速運転)を行う。これにより、捕獲部54の近傍にいる虫が吸込口42aに吸い込まれる空気によって捕獲部54内に積極的に引き込まれ、捕獲される。他方、ステップS6においては、コントローラは、室内ファン21の回転数を減少させる制御(低速運転)を行う。ただし、ステップS6に到る前に既に室内ファン21が低速運転を行っていた場合には、コントローラは、室内ファン21の回転数を維持する制御を行う。
【0069】
次いで、ステップS7において、コントローラは、乾燥運転及び捕虫運転を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する。コントローラは、ステップS7の判断が肯定的(Yes)である場合、ステップS8に処理を進め、否定的(No)である場合、ステップS4に処理を戻す。ステップS8において、コントローラは、室内ファン21を停止し、フラップ45を閉鎖姿勢とし、第1光源51及び第2光源52の駆動を停止することによって、乾燥運転及び捕虫運転を終了する。
【0070】
[第2の実施形態]
図9は、第2実施形態に係る空気調和機の、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
本実施形態では、1つの光源53によって、フィルタ44への紫外線の照射と、誘引装置36における、ケーシング40から外部への紫外線の照射との双方が行われる。具体的に、光源53が発する紫外線は、フィルタ44に直接的に照射されるとともに、反射板57を介して間接的にケーシング40外に照射される。これにより、1つの光源53で、フィルタ44の光触媒を利用した二酸化炭素の発生と、紫外線による虫の誘引との双方を実現することができる。なお、本実施形態において、光源53が発する紫外線を直接的にケーシング40の外部に照射し、反射板を介して間接的にフィルタ44ーに照射してもよい。
【0071】
[第3の実施形態]
図10は、第3実施形態に係る空気調和機の、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
本実施形態では、捕獲部54における下端の開口部に蓋部材58が設けられている。本実施形態の蓋部材58は、上下に揺動することによって、捕獲部54の下端の開放部分を開閉することができる。蓋部材58は、室内ファン21による吸引力によって開く方向(図10における上方)へ揺動する。
【0072】
したがって、捕虫運転中、室内ファン21を駆動することで蓋部材58を開き、捕獲部54への虫の浸入を許容し、捕虫運転の終了に伴い室内ファン21を停止することで蓋部材58を閉じ、捕獲部54から虫が逃げるのを抑制することができる。
【0073】
[第4の実施形態]
図11は、第4実施形態に係る空気調和機の、誘引装置及び捕虫装置を示す概略的な断面図である。
本実施形態では、捕獲部54の側端が開放し、他の端部が閉じた構造となっている。捕獲部54は、流路部材55の流入口55aよりも流路部材55の内部側に配置され、捕獲部54の開放部分と流入口55aとは連通している。第2光源52は、流路部材55の内部であって流入口55aの上方に配置されている。
【0074】
本実施形態においても、第2光源52から照射される紫外線で虫を誘引することができ、紫外線で誘引された虫を、室内ファン21による流路部材55内の空気の流れによって捕獲部54に引き込むことができる。
【0075】
[実施形態の作用効果]
(1) 上記実施形態の空気調和機1は、熱交換器11及び圧縮機12を有し、かつ、熱交換器11を蒸発器とする冷房サイクル及び熱交換器11を凝縮器とする暖房サイクルのいずれかに切り替えて圧縮機12により冷媒を循環させる冷媒回路4と、室内の空気を吸い込む吸込口42aと室内に空気を吹き出す吹出口42bとを有し、熱交換器11を収容するケーシング40と、吸込口42aからケーシング40内に空気を吸い込み、熱交換器11を通過させて吹出口42bから空気を吹き出す空気流を生成するファン21と、ケーシング40に虫を誘引する誘引装置36と、誘引した虫を捕獲する捕虫装置37と、圧縮機12、ファン21、及び誘引装置36の動作を制御するコントローラと、を備えている。コントローラは、冷房サイクルによる運転後に、圧縮機12を停止した状態又は暖房サイクルに切り替えて圧縮機12を駆動した状態で、ファン21及び誘引装置36を駆動する、捕虫運転を実行可能である。
【0076】
上記実施形態の空気調和機1は、冷房サイクルによる運転後に、圧縮機12を停止した状態又は暖房サイクルに切り替えて圧縮機12を駆動した状態で、ファン21を駆動することによって、ケーシング40の周辺に虫を引き寄せやすい高温多湿の環境を作ることができ、誘引装置36による虫の誘因効果を高めて効率よく虫を捕獲することができる。
【0077】
(2) 上記実施形態の誘引装置36は、所定の第1波長域の光が照射されることで二酸化炭素の発生を促す光触媒を有しかつファン21によって生成された空気流が通過するフィルタ44と、フィルタ44に前記光を照射する第1光源51と、を含む。フィルタ44に第1波長域の光を照射することで二酸化炭素を多く含む空気を吹出口42bから吹き出すことができ、二酸化炭素を好む虫をケーシング40に誘引することができる。
【0078】
(3) 上記実施形態の誘引装置36は、虫を誘引することができる所定の第2波長域の光をケーシング40から外部に照射する第2光源52を含む。ケーシング40から外部に第2波長域の光を照射することで、ケーシング40に虫を誘引することができる。
【0079】
(4) 上記実施形態の誘引装置36は、虫を誘引することができる所定の波長域の光が照射されることで二酸化炭素の発生を促す光触媒を含みかつファン21によって生成された空気流が通過するフィルタ44と、フィルタ44とケーシング40の外部とに光を照射する光源と、を含む。虫を誘引することができる波長域の光を用いて、二酸化炭素を多く含む空気を吹出口42bから吹き出すとともに、前記光をケーシング40から外部に照射し、ケーシング40に虫を誘引することができる。
【0080】
(5) 上記実施形態の空気調和機1は、コントローラにより制御され、吹出口42bにおける空気の吹出方向を設定するフラップ45をさらに備える。コントローラは、捕虫運転の際に、吹出口42bから吹き出した空気を吸込口42aに直接的に吸引させるようフラップ45の向きを制御する。これにより、ケーシング40の吹出口42bと吸込口42aとの間で二酸化炭素を多く含む空気を循環させ、ケーシング40付近の二酸化炭素の濃度をより高めることができ、ケーシング40への虫の誘引効果をより高めることができる。
【0081】
(6) 上記実施形態の捕虫装置37は、吸込口42aの近傍に配置されかつ虫を捕らえる捕獲部54を含む。これにより、二酸化炭素を多く含む空気を捕獲部54に積極的に送り、捕獲部54に虫を誘引する効果を高めて効率よく捕獲することができる。
【0082】
(7) 上記実施形態の捕虫装置37は、吸込口42aの近傍に配置されかつ虫を捕らえる捕獲部54と、捕獲部54の周辺で虫を検知する検知部56と、をさらに備える。コントローラは、検知部56による虫の検知に基づいてファン21の回転数を増大させる。これにより、吸込口42aから吸い込む空気の量を増大させ、捕獲部54に虫を引き込むことができる。
【0083】
(8) 上記実施形態のコントローラは、捕虫運転のファン21の回転数を、冷房サイクルによる運転のファン21の回転数よりも低下させる。これにより、捕虫運転によりケーシング40から吹き出した高温高湿の空気が室内に広がらないようにすることができる。
【0084】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施形態の誘引装置は、紫外線によって虫を誘引しているが、紫外線以外の光によって虫を誘引するものであってもよい。誘引装置は、光によって虫を誘引するものに限らず、公知のあらゆる形態を採用することができる。上記実施形態の捕虫装置は、室内ファン21による空気の流れを利用して捕獲部に虫を引き込んでいるが、この形態に限定されるものでもない。上記実施形態の捕虫運転は、乾燥運転とともに行われるが、乾燥運転とは個別に単独で行ってもよい。ただし、冷房運転後に暖房サイクルで圧縮機を運転した状態又は圧縮機を停止した状態で室内ファン21を駆動すると、室内熱交換器11は乾燥されることになるため、捕虫運転を実行することによって実質的に乾燥運転も行われることになる。
【符号の説明】
【0085】
1 :空気調和機
3 :室内機
4 :冷媒回路
11 :室内熱交換器
12 :圧縮機
21 :室内ファン
22 :室内コントローラ
33 :室外コントローラ
36 :誘引装置
37 :捕虫装置
40 :ケーシング
42a :吸込口
42b :吹出口
44 :フィルタ
45 :フラップ
51 :第1光源
52 :第2光源
53 :光源
54 :捕獲部
56 :検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11