(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158827
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】アップグレード方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20231024BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068845
(22)【出願日】2022-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】503194934
【氏名又は名称】アビームコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】富田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】山添 純平
(72)【発明者】
【氏名】蛭子 恒治
(72)【発明者】
【氏名】神田 恒星
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ソフトウェアパッケージのアップグレードに要する時間を大幅に削減するアップグレード方法を提供する。
【解決手段】方法は、アップグレード後のパッケージにおいて、複数のユーザが共通で利用する共通機能の検証が可能な共通検証用環境を生成する工程S101と、共通検証用環境において共通機能の検証を実施し、必要な修正を実施する工程S102と、アップグレードに必要なファイルと、共通機能の修正内容をアップグレード資源配置装置に格納する工程S106と、顧客システム環境に、アップグレード資源配置装置に格納されたアップグレードに必要なファイルを自動配置する工程S103と、顧客システム環境におけるアップグレードの実施後、顧客システム環境に共通機能の修正内容を適用する工程S105と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアパッケージのアップグレード方法であって、
アップグレード後のパッケージにおいて、複数のユーザが共通で利用する共通機能の検証が可能な共通検証用環境を生成する工程と、
前記共通検証用環境において前記共通機能の検証を実施し、必要な修正を実施する工程と、
アップグレードに必要なファイルと、前記共通機能の修正内容をアップグレード資源配置装置に格納する工程と、
顧客システム環境に、前記アップグレード資源配置装置に格納されたアップグレードに必要なファイルを自動配置する工程と、
前記顧客システム環境におけるアップグレードの実施後、前記顧客システム環境に前記共通機能の修正内容を適用する工程と、を含むアップグレード方法。
【請求項2】
前記顧客システム環境において、アップグレードの実施後、顧客固有の機能の検証を実施する工程を含む、請求項1に記載のアップグレード方法。
【請求項3】
前記アップグレード資源配置装置において、各々の顧客システム環境に対応したアップグレード手順リストを生成する工程を含む、請求項1または2に記載のアップグレード方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアパッケージのアップグレード方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージのようなソフトウェアパッケージは、ベンダから定期的に新しいバージョンがリリースされ、機能の改修や追加が行われる。利用者は、古いバージョンのサポート期限が切れるまでには、新バージョンへのアップグレード(バージョンアップ)を実施することが推奨される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ERPパッケージのような業務アプリケーションをアップグレードするためには、検証作業も含めて長時間の作業と多くの費用が必要となる。また、多くの場合、アップグレード作業中は通常業務の停止が余儀なくされる。
【0005】
そこで本発明の目的は、ソフトウェアパッケージのアップグレードに要する時間を大幅に削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアップグレード方法は、ソフトウェアパッケージのアップグレード方法であって、アップグレード後のパッケージにおいて、複数のユーザが共通で利用する共通機能の検証が可能な共通検証用環境を生成する工程と、前記共通検証用環境において前記共通機能の検証を実施し、必要な修正を実施する工程と、アップグレードに必要なファイルと、前記共通機能の修正内容をアップグレード資源配置装置に格納する工程と、顧客システム環境に、前記アップグレード資源配置装置に格納されたアップグレードに必要なファイルを自動配置する工程と、前記顧客システム環境におけるアップグレードの実施後、前記顧客システム環境に前記共通機能の修正内容を適用する工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ソフトウェアパッケージのアップグレードに要する時間を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態による、ソフトウェアパッケージのアップグレード方法の概要を説明する図。
【
図2】本発明の実施の形態による、環境構築装置2とアップグレード資源配置装置4のハードウェア構成を示す図。
【
図3】本発明の実施の形態による、共通検証用環境3における共通機能の検証動作のフローチャート。
【
図4】本発明の実施の形態による、顧客システム環境1のアップグレード実施動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態によるソフトウェアパッケージのアップグレード方法の概要を説明する図である。
図1を用いて、顧客(A社およびB社)が導入している業務パッケージP(ソフトウェア)のアップグレード方法について説明する。A社およびB社の顧客システム環境1は、それぞれ開発環境11、検証環境12、本番環境13を含み、それぞれの環境のサーバに業務パッケージPが実装されている。
【0010】
環境構築装置2は、新バージョンの業務パッケージPを検証するための共通検証用環境3を生成する。共通検証用環境3は、各顧客が利用する業務パッケージPの共通機能や標準機能を検証するための環境であり、業務パッケージPが実装されたサーバを含んでいる。
【0011】
環境構築装置2は、テンプレート環境5から取得した新バージョンの業務パッケージPのテンプレートを共通検証用環境3にコピーして検証を行い、検証結果に応じて、プログラムの修正や設定の変更を実施する。テンプレート環境5は、テンプレートの開発や検証を行うための環境である。テンプレートとは、ベンダから提供される業務パッケージPに対して、業務パッケージPを実際に企業に導入する際に必要になると想定される機能を実現するためのパラメータ設定やアドオンを組み込んだものである。
【0012】
テンプレート環境5から供給されるテンプレートには、あらゆる顧客に対応する機能を実行するために必要な複数のソフトウェアモジュールと該複数のソフトウェアモジュールの動作を決定するために用いられる複数のパラメータ設定が含まれる。各顧客企業では、テンプレートに含まれている機能のうち、当該企業で使用する機能のみが動作するようにパラメータ等を設定し、それ以外の機能については起動しないようにすることができる。また、標準機能についての各種パラメータ設定により、各企業に応じたカスタマイズを行うことができる。
【0013】
共通検証用環境3において検証された新バージョンの業務パッケージPおよび共通検証用環境3において修正された内容は、アップグレード資源配置装置4に格納される。アップグレード資源配置装置4は、各顧客の顧客システム環境1(開発環境11、検証環境12、本番環境13)のアップグレードを制御する。顧客システム環境1においては、まず、開発環境11と検証環境12のバージョンアップと共通検証用環境3において修正された修正内容の反映が実施される。また、検証環境12において、各社固有の機能(共通検証用環境3で検証されていない機能)の検証が実施され、検証結果に応じて開発環境11で修正が実施される。開発環境11および検証環境12における検証と修正が完了したら、本番環境13に、新バージョンの業務パッケージPが実装され、さらに、共通検証用環境3において修正された共通機能の修正内容と、開発環境11で修正された固有機能の修正内容が反映される。
【0014】
環境構築装置2とアップグレード資源配置装置4は、汎用的なコンピュータによって構築することができる。環境構築装置2とアップグレード資源配置装置4、および各々の顧客システム環境1は、通信ネットワークを介して接続されている。通信ネットワークは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0015】
図2は、環境構築装置2とアップグレード資源配置装置4のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、環境構築装置2とアップグレード資源配置装置4は、プロセッサ21と記憶装置22を備えている。プロセッサ21は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。プロセッサ21は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。記憶装置22は、ハードディスクドライブ等である。
【0016】
次に、業務パッケージのアップグレード方法の詳細についてフローチャートを用いて説明する。
図3は、共通検証用環境3における共通機能の検証動作のフローチャートである。まず、環境構築装置2は、テンプレート環境5から、新バージョンの業務パッケージPに対応したテンプレートを取得し、共通検証用環境3のサーバの記憶装置にコピーする(ステップS101)。なお、共通検証用環境3のサーバは、環境構築装置2と同じ装置に構築されていてもよいし、別の装置で構築されてもよい。
【0017】
次に環境構築装置2は、共通検証用環境3のサーバのOS、データベースおよび実装されている業務パッケージPの設定を、新バーションの業務パッケージPに合わせて調整する(ステップS102)。さらに、データベース等のバックアップを取得した後、テンプレート環境5から取得したテンプレートを用いて業務パッケージPのアップグレードを実施する(ステップS103)。
【0018】
次に環境構築装置2は、共通検証用環境3において、新バーションの業務パッケージP上で動作するアプリケーションの調整を行った後、全ての顧客が共通で利用する共通機能の検証(動作テスト)を実施する(ステップS104)。共通機能には、全ての顧客が同じ設定で利用する機能や標準機能が含まれる。環境構築装置2は、検証結果に応じて、プログラムの修正や設定の変更を実施する(ステップS105)。
【0019】
次に環境構築装置2は、共通機能の検証と修正が終了すると、アップグレード資源配置装置4の記憶装置22に、業務パッケージPのアップグレードに必要なファイルと共通機能の修正内容を格納する(ステップS106)。
【0020】
図4は、顧客システム環境1のアップグレード実施動作のフローチャートである。まず、各社の顧客システム環境1において、業務パッケージPのアップグレードに必要な前処理が実施される(ステップS201)。
【0021】
アップグレード資源配置装置4は、業務パッケージPのアップグレードに必要なファイルを各社の顧客システム環境1に配信する(ステップS202)。
【0022】
また、アップグレード資源配置装置4は、各社の環境に合わせたアップグレード手順を生成して配信する(ステップS203)。アップグレード手順は、アップグレードに必要な各社のパラメータ設定等の具体的な手順をリスト化したテキストファイルや表形式のデータ等であり、ファイルの形式や表示形式は問わない。各社の担当者は、当リストに記載された手順で作業を行えばアップグレードが完了するようになっている。アップグレード資源配置装置4は、各社の顧客システム環境1から設定情報(パラメータ等)を吸い上げて、アップグレード手順に反映させることができる。
【0023】
各社の担当者は、アップグレード資源配置装置4が生成したアップグレード手順に従って開発環境11および検証環境12のバージョンアップを行う(ステップS204)。
【0024】
さらにアップグレード資源配置装置4は、各社の顧客システム環境1にアップグレード後に対応が必要な共通機能の修正内容を配信する(ステップS205)。
【0025】
各社の顧客システム環境1では、検証環境12において各社の固有機能の検証を実施する(ステップS206)。また、開発環境11において、検証結果に応じて固有機能の必要な修正を実施する(ステップS207)。開発環境11および検証環境12における検証と修正が完了したら、本番環境13においてバージョンアップを実施し、共通機能および固有機能の修正内容を反映する(ステップS208)。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、業務パッケージのアップグレードにおいて、全顧客が利用する共通機能の検証を共通検証用環境3で実施し、共通機能の検証が完了した上で、顧客システム環境1のアップグレードを実施するようにした。これにより、顧客システム環境1では、顧客固有の機能の検証のみを行えばよいので、業務パッケージのアップグレードに伴う顧客サイドでの検証作業を大幅に削減し、アップグレードに必要な時間を大幅に削減することができる。これにより、通常の業務の停止期間を短縮することが可能となり、例えば、週末の2日間ですべてのアップグレード作業を終わらせることも可能となる。
【0027】
また、アップグレード資源配置装置4によって、各々の顧客システム環境1に対応したアップグレード手順リストを生成して顧客に提供するようにした。これにより、顧客サイドでは、業務パッケージの知識があまりなくても効率よく、正確にアップグレードの作業を進めることができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…顧客システム環境
2…環境構築装置
3…共通検証用環境
4…アップグレード資源配置装置
5…テンプレート環境
11…開発環境
12…検証環境
13…本番環境
21…プロセッサ
22…記憶装置
【手続補正書】
【提出日】2022-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアパッケージのアップグレード方法であって、
環境構築装置が、アップグレード後のパッケージにおいて、複数のユーザが共通で利用する共通機能の検証が可能な共通検証用環境を生成する工程と、
前記環境構築装置が、前記共通検証用環境において前記共通機能の検証を実施し、必要な修正を実施する工程と、
前記環境構築装置が、アップグレードに必要なファイルと、前記共通機能の修正内容をアップグレード資源配置装置に格納する工程と、
前記アップグレード資源配置装置が、顧客システム環境に、前記アップグレード資源配置装置に格納されたアップグレードに必要なファイルを自動配置する工程と、
前記アップグレード資源配置装置が、前記顧客システム環境におけるアップグレードの実施後、前記顧客システム環境に前記共通機能の修正内容を適用する工程と、を含むアップグレード方法。
【請求項2】
前記顧客システム環境における検証環境のサーバが、アップグレードの実施後、顧客固有の機能の検証を実施する工程を含む、請求項1に記載のアップグレード方法。
【請求項3】
前記アップグレード資源配置装置が、各々の顧客システム環境に対応したアップグレード手順リストを生成する工程を含む、請求項1または2に記載のアップグレード方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアパッケージのアップグレード方法であって、
環境構築装置が、アップグレード後のパッケージにおいて、複数のユーザが共通で利用する共通機能の検証が可能な共通検証用環境を生成する工程と、
前記環境構築装置が、前記共通検証用環境において前記共通機能の検証を実施し、必要な修正を実施する工程と、
前記環境構築装置が、アップグレードに必要なファイルと、前記共通機能の修正内容をアップグレード資源配置装置に格納する工程と、
前記アップグレード資源配置装置が、顧客システム環境に、前記アップグレード資源配置装置に格納されたアップグレードに必要なファイルを自動配置する工程と、
前記アップグレード資源配置装置が、前記顧客システム環境におけるアップグレードの実施後、前記顧客システム環境に前記共通機能の修正内容を配信する工程と、を含むアップグレード方法。
【請求項2】
前記アップグレード資源配置装置が、各々の顧客システム環境に対応したアップグレード手順リストを生成する工程を含む、請求項1に記載のアップグレード方法。