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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015883
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】モータ用ハウジング
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20230125BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119951
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 純
(72)【発明者】
【氏名】内田 達也
(72)【発明者】
【氏名】趙 イウェイ
(72)【発明者】
【氏名】本田 史雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋治郎
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC01
5H605DD13
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609QQ08
5H609RR26
(57)【要約】
【課題】強度の向上を図り、冷媒流路の連通口に冷媒配管を圧入する際の変形を抑制する。
【解決手段】モータ用ハウジングは、モータのステータ及びロータを内部に収容可能な環状の内筒と、内筒を内部に収容する外筒とにより構成され、内筒と外筒との間に冷媒流路が形成される。外筒は、外筒の外周側面に形成され、ハウジングの外部の冷媒配管と冷媒流路とを連通させる連通口と、外周側面の連通口の形成位置とは異なる位置に、外周方向に突出するように形成される突出部と、を備える。突出部は、連通口の中心線上に沿って突出するように形成される。中心線は、内筒の内部に収容されるモータの回転中心から外れた位置を通過する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータのステータ及びロータを内部に収容可能な環状の内筒と、前記内筒を内部に収容する外筒とにより構成され、前記内筒と前記外筒との間に冷媒流路が形成されるモータ用ハウジングであって、
前記外筒は、
前記外筒の外周側面に形成され、前記ハウジングの外部の冷媒配管と前記冷媒流路とを連通させる連通口と、
前記外周側面の前記連通口の形成位置とは異なる位置に、外周方向に突出するように形成される突出部と、を備え、
前記突出部は、前記連通口の中心線上に沿って突出するように形成され、
前記中心線は、前記内筒の内部に収容される前記モータの回転中心から外れた位置を通過する、モータ用ハウジング。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ用ハウジングであって、
前記連通口には、前記ハウジングの外部と冷媒の授受を行う接続部が前記連通口の前記中心線に沿って圧入固定される、モータ用ハウジング。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータ用ハウジングであって、
前記突出部は、その側面から前記外周側面に沿って延設されるリブを備える、モータ用ハウジング。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ用ハウジングであって、
前記モータは、車両のモータルーム内に搭載され、
前記突出部は、音振測定用ボス、または、ハーネス固定用ボスである、モータ用ハウジング。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ用ハウジングであって、
前記モータは、車両のモータルーム内に搭載され、
前記突出部は、突出方向の端面に刻印用の領域を備える突起構造体である、モータ用ハウジング。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ用ハウジングであって、
前記連通口と前記突出部とは、前記外筒において前記モータの回転中心に対して90乃至120度をなす位置に配置される、モータ用ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータ用ハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両等に搭載されるモータの大出力化に伴い、動作時の発熱量が大きくなっている。そこで、モータを収容するハウジングの内部において肉抜き等により流路を形成し、流路に冷媒を流すことでモータ全体を冷却する冷却構造が検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-041835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載されるモータの中には小型化のためにハウジングが二重管で構成されるものがある。二重管構造のハウジングは外筒と内筒とにより構成され、外筒と内筒との間に冷媒流路が構成される。このような二重管構造のハウジングを用いたモータにおいては、軽量化や冷却効率向上を実現するために、ハウジングの構成部材の薄肉化が図られている。そのため、外筒に応力が作用する場合、例えば、外筒に形成される冷媒の流入口に冷媒配管を圧入して固定する場合には、圧入時の荷重負荷により外筒自身が変形してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様のモータ用ハウジングは、モータのステータ及びロータを内部に収容可能な内筒と、内筒を内部に収容する外筒とにより構成され、内筒と外筒との間に冷媒流路が形成される。外筒は、外筒の外周側面に形成され、ハウジングの外部の冷媒配管と冷媒流路とを連通させる連通口と、外周側面の連通口の形成位置とは異なる位置に、外周方向に突出するように形成される突出部と、を備える。突出部は、連通口の中心線上に沿って突出するように形成される。中心線は、内筒の内部に収容されるモータの回転中心から外れた位置を通過する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のモータ用ハウジングによれば、強度の向上を図り、冷媒流路の連通口に冷媒配管を圧入する際の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るハウジングを示す斜視図である。
図2図2は、ハウジングの分解斜視図である。
図3図3は、ハウジングの他方向からの斜視図である。
図4図4は、図1のIV部における断面図である。
図5図5は、他の突起構造体の例におけるハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本願発明の実施形態のハウジングの斜視図である。図2は、図1に示されたハウジングの分解斜視図である。図1及び図2においては、モータ(不図示)を内部に収容するハウジングの開口部が図右方に向いて示されている。
【0010】
図1、2に示されるように、ハウジング1は、円筒状の開口部2Aを備える外筒2と、開口部2A内に設けられる円筒状の内筒3とを備える。内筒3は円筒状の開口部3Aを備えており、開口部3Aにステータが取り付けられる。そして、ステータの内側にロータが配置され、ロータ、ステータ及びハウジング1によりモータが構成される。
【0011】
図1に示されるように、外筒2は、上部にインバータ(不図示)が収納される収容部4を備える。インバータは、バッテリ(不図示)から供給される直流電力を交流電力に変換する。変換された交流電力はモータのコイルに供給され、これにより、モータが回転駆動する。また、外筒2の内周面と内筒3の外周面との間に冷媒流路が構成される。
【0012】
外筒2は、図左側の外周側面に冷媒の流入口5及び流出口6を備える。流入口5及び流出口6は、内部に直線形状の冷媒の流路を備えるように構成されている。流入口5及び流出口6は、モータの回転中心(ロータシャフトの中心)に沿って整列しており、周方向の同じ位置(高さ)に配置されている。また、流入口5及び流出口6には、圧入コネクタ7、8が取り付けられている。圧入コネクタ7、8は、内側の一端が流入口5及び流出口6に圧入固定され、外側の他端がハウジング1外の冷媒配管(不図示)と接続される。
【0013】
圧入コネクタ7及び流入口5を介してハウジング1の外部から取り込まれた冷媒は、外筒2と内筒3との間に形成された冷媒流路を流れて熱交換によりモータ全体を冷却した後に、流出口6及び圧入コネクタ8からハウジング1の外部へと排出される。
【0014】
図2に示されるように、内筒3は、円筒部10と、円筒部10の軸方向の両端において径方向外側に突出するフランジ状の端部11A、11Bとを備える。開口部2Aの内部に収容される一方の端部11Aの外径は、外筒2の開口部2Aの内径と略等径であり、他方の端部11Bの外径は、外筒2の開口部2Aの内径よりも大きい。そのため、内筒3を外筒2へ挿入した状態においては、端部11Bは外筒2の外周側面から突出した状態で係止される。このような構成により、内筒3が外筒2の開口部2A内に挿入された状態においては、内筒3の外周面と外筒2の円筒部10の内周面との間の空間が端部11A、11Bにより両端が封止されて、冷媒流路が構成される。
【0015】
図3は、ハウジング1を他の方向から見た斜視図である。この図においては、外筒2の開口部2Aが図左方向に向いて示されている。
【0016】
外筒2の外周側面には、流入口5及び流出口6のそれぞれの流路の中心線の延長線(以下では、中心線Xと称する)上に、2つのボス12、13が設けられている。モータの回転中心Yに対して垂直な径方向(モータの断面方向)の面内においては、ボス12は流入口5と同じ面内に配置され、ボス13は流出口6と同じ面内に配置される。さらに、ボス12、13は、外筒2の外周側面においてモータの回転中心Yに沿った方向に整列される。
【0017】
さらに、外筒2の外周側面には、外筒2の強度を高めるために各種リブが設けられている。詳細には、周方向長が長い第1補強リブ9、及び、周方向長が短い第2補強リブ14が、ボス12、13を起点として外周側面に沿って放射状に設けられている。第1補強リブ9は、ボス12、13の下部から外筒2の外周側面に沿って流入口5及び流出口6まで円弧状に延設されている(図1参照)。また、第2補強リブ14は、ボス12、13に対して対をなして形成され、ボス12、13から放射状に延設されている。
【0018】
このように、ボス12、13は、側面に第1補強リブ9、及び、一対の第2補強リブ14を備える構造体であって、一定以上の強度が確保されている。また、ボス12、13は、突出方向の先端面12A、13Aが平面に構成されている。また、流入口5及び流出口6についても、側面に第1補強リブ9を備えるため強度が高められる。
【0019】
図4は、ハウジング1の外筒2の断面図である。この図には、図1のIV部におけるモータの回転中心Yに対して垂直方向(モータの断面方向)の外筒2の断面が示されている。
【0020】
この図に示されるように、流入口5及びボス12は、図左右方向において、外筒2の上部の収容部4に対して互いに反対側、すなわち、ロータの回転中心Yを挟んで向かい合う位置に設けられている。さらに、流入口5及びボス12は、図上下方向においては、ハウジング1に挿入されるモータの回転中心Y(外筒2の開口部2Aの中心軸Y)よりも上方に設けられている。なお、本実施形態においては、流入口5は、ボス12よりも収容部4に近い側に設けられる。
【0021】
さらに詳細には、ボス12は、流入口5の中心線Xの延長線上に沿って、外筒2の外周側面から起立するように形成されている。外筒2の内周面においては、流入口5の流路方向の中心線Xとの交点として、流入口5の流路中心との交点5Xと、ボス12の中心軸との交点12Xとが設けられる。そして、流入口5の流路中心の交点5Xと回転中心Yとを結ぶ線と、ボス12の中心軸の交点12Xと回転中心Yとを結ぶ線とをなす角度が、所定角Zをなすように設けられている。所定角Zは、例えば90~120、好ましくは、120度であり、後述の圧入コネクタ7の流入口5への圧入を最適に行うために実験的に求められた角度である。
【0022】
この図には、ボス12の側面から外筒2の外周側面に沿って設けられる第1補強リブ9及び第2補強リブ14が示されている。また、ボス12の先端面12Aは、流路方向の中心線Xに対して垂直な平面として構成されている。なお、この図においては、ボス12は中空部を備えて窪むように構成されているが、ボス12に中空部が形成されていなくてもよい。
【0023】
外筒2においては、流入口5の先端の内部に圧入コネクタ7の一端が圧入固定されている。圧入コネクタ7の他端には冷媒配管(不図示)が接続されており、ハウジング1の外部からハウジング1内の冷媒流路に冷媒を取り込むように構成されている。
【0024】
圧入コネクタ7を流入口5に圧入固定する場合には、まず、ボス12の先端面12Aを固定治具(不図示)と接触固定させる。これにより、ボス12は固定治具に係止された状態の荷重受け部として機能する。そして、圧入コネクタ7の一端を流入口5の先端にあてがい、圧入コネクタ7に対して流路方向(中心線X)に沿って流入口5に向かう方向に荷重を印加して、圧入コネクタ7を流入口5内に挿入して圧入固定する。
【0025】
流入口5とボス12とが同じ中心線Xの延長線上に設けられていなければ、流入口5内に圧入コネクタ7を圧入する場合に、ボス12を中心とする回転力が作用してしまい、中心線Xに沿って荷重を印加させることが難しい。しかしながら、本実施形態においては、ボス12は、流入口5の中心線Xの延長線上に設けられているため、ボス12を中心とする回転力が発生しないので、中心線Xに沿って荷重を印加する際に圧入コネクタ7をスムーズに流入口5内に圧入できる。
【0026】
中心線Xの延長線と外筒2の内周面との2つの交点、すなわち、流入口5の中心線Xとの交点5X、及び、ボス12の中心軸との交点12Xは、回転中心Yに対して120度をなすように配置されている。ここで、外筒2が薄肉化されている場合には、外筒2の外周側面においてモータの回転中心Yに向かう径方向に応力が作用すると、外筒2は変形しやすい。しかしながら、本実施形態においては、圧入の際に印加される押圧負荷Fは、回転中心Yに向かう方向からずれているため、回転中心Yに向かう方向の径方向負荷f1と、径方向に対して直行する表面方向負荷f2とに分解される。
【0027】
このように押圧負荷Fを径方向とそれ以外の方向とに分解することで、一部の力(f2)を交点5Xにおいて、外筒2の外周側面に対する接線方向に逃がし、径方向負荷f1を押圧負荷Fよりも小さくすることができるので、外筒2の径方向の変形を抑制できる。表面方向負荷f2が、外筒2の外周面に沿って発生するが、外筒2の外周を構成する円弧部は強度が比較的高いため外筒2の表面方向の変形は発生しにくい。このようにして、全体として、外筒2の変形を抑制できる。
【0028】
ここで、流入口5(5X)とボス12(12X)とは、回転中心Yに対して120度をなすように配置されている。所定角Zが120度よりも大きい場合には、押圧負荷Fと径方向負荷f1とがなす角度はより小さくなる。径方向負荷f1は押圧負荷Fにより近い大きな値となってしまうが、所定角Zが180度となって流入口5(5X)とボス12(12X)とが向かいように配置されて径方向負荷が押圧負荷Fと等しくなる場合と比較すると、外筒2の変形を抑制できる。
【0029】
所定角Zは120度よりも小さくてもよく、詳細には、所定角Zは90度以下となってもよい。所定角Zが90度未満である場合には、押圧負荷Fと径方向負荷f1とがなす角度は45度より大きくなる。そのため、押圧負荷Fを径方向負荷f1と表面方向負荷f2とに分解すれば、径方向負荷f1は表面方向負荷f2よりも小さくなる。その結果、大部分の応力が表面方向に作用することになり、外筒2の径方向の変形をより確実に抑制できる。
【0030】
なお、ハウジング1を備えるモータが車両に搭載される場合には、ボス12、13は、出荷前の音振確認時においてモータの音振を検出するセンサが取り付けられる音振測定用ボスや、モータルーム内に設置される際に各種機器を電気的に接続するためのハーネスの固定に用いられるハーネス固定用ボスである。また、モータがギアボックスと一体となって構成されている場合には、外筒2の内部にギアボックスのオイルを供給する油路が設けられており、この油路へのオイルの出入口として、ボス12、13を利用してもよい。
【0031】
また、圧入コネクタ7を流入口5内に挿入して圧入固定する場合の荷重受け部は、ボス12、13に限らない。図5に示されるように、外筒2の外周側面から突出する中実の構造体であって、突出方向の先端面12Aが平面で刻印領域を備えるような突起構造体15であってもよい。刻印領域には、政府機関の認証番号やサービス番号等が刻印される。このような突起構造体15を、刻印に限らず、圧入コネクタ7を流入口5内に挿入して圧入固定する場合に固定治具に係止された状態での荷重受け部として利用することができる。
【0032】
本実施形態のモータ用のハウジング1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0033】
本実施形態のハウジング1によれば、外筒2は、外周側面に形成されハウジング1の外部の冷媒配管と内部に構成される冷媒流路とを連通させる流入口5及び流出口6(連通口)と、外周側面の流入口5及び流出口6の形成位置とは異なる位置に、外周方向に突出するように形成されるボス12、13(突出部)と、を備える。ボス12、13は、流入口5及び流出口6の中心線X上に沿って突出するように形成される。流入口5及び流出口6の中心線Xは、内筒3の内部に収容されるロータの回転中心Yから外れた位置を通過する。
【0034】
冷媒配管と接続される圧入コネクタ7、8は、流入口5及び流出口6に対して圧入して固定される。このような圧入は、ボス12、13の先端面12A、13Aを固定治具によりあてがいながら、圧入コネクタ7、8を流入口5及び流出口6に対して押圧負荷Fを加えることにより行う。このように押圧負荷Fを加える際に、外筒2の外側表面に応力が作用する。
【0035】
ここで、外筒2は管状部材であるので、外周側面において回転中心Yに向かって応力が作用すると径方向に変形しやすい。しかしながら、本実施形態においては、押圧負荷Fの印加方向である流入口5の中心線Xは、流入口5から回転中心Yに向かう方向からずれている。
【0036】
そのため、中心線Xの方向に生じる押圧負荷Fを、径方向負荷f1と表面方向負荷f2とに分解できる。径方向負荷f1は押圧負荷Fよりも小さくなるので、外筒2の径方向の変形が抑制される。同時に、表面方向負荷f2は、外筒2の外周に沿って発生するが、外筒2の外周の円弧部は強度が比較的強いため外筒2の表面方向の変形は発生しにくい。このようにして、全体として、外筒2の変形を抑制できる。
【0037】
本実施形態のハウジング1によれば、ボス12、13は、その側面と、外筒2の外周側面とを接続する第1補強リブ9、及び、第2補強リブ14を備える。このような構成となることで、外筒2に加えて、ボス12、13の強度が向上するので、圧入コネクタ7、8を流入口5及び流出口6に圧入固定する際の荷重受けとして確実に機能することになる。
【0038】
本実施形態のハウジング1によれば、ボス12、13は、音振測定用ボス、または、ハーネス固定用ボスである。圧入固定する際の荷重受けとなるボス12、13を、音振測定用ボス、または、ハーネス固定用ボスのような他用途のボスと共用化することにより、全体として構成を簡略化できる。特に、モータは動作時に振動が発生するため、モータルーム内に配置する際にクリアランスを確保するために、離間して配置する必要があり、スペースの制約が大きい。このように、ボス12、13の構成を圧入時以外の荷重受け部以外にも用いることにより、モータルーム内のレイアウト性の向上を図ることができる。
【0039】
本実施形態のハウジング1によれば、外筒2の外周側面から突出するように、中実であって、突出方向の先端面12Aが平面であって刻印領域を備えるような突起構造体15が設けられてもよい。このような突起構造体15を、刻印に限らず、圧入コネクタ7を流入口5内に挿入して圧入固定する場合に固定治具に係止された状態での荷重受け部として利用することができる。このように、突起構造体12の構成を圧入時以外の荷重受け部以外にも用いることにより、モータルーム内のレイアウト性の向上を図ることができる。
【0040】
本実施形態のハウジング1によれば、ここで、流入口5とボス12とは、モータの回転中心Yに対して所定角Zをなすように配置されており、所定角Zが90~120度である。このような構成においては、図4に示されるように、押圧負荷Fと径方向負荷f1とがなす角度は45度以下となる。その結果、流入口5とボス12との間の距離がより長くなるので、外筒2の変形を抑制しながら、圧入コネクタ7を流入口5に圧入しやすくなる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0042】
1 ハウジング、2 外筒、2A 開口部、3 内筒、5 流入口、6 流出口、7、8 圧入コネクタ、12、13 ボス
図1
図2
図3
図4
図5