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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158833
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】積層鉄心用の溶接カバー
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20231024BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20231024BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B23K9/32 E
B23K9/00 501N
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068852
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 剛之
(72)【発明者】
【氏名】浦野 雅春
【テーマコード(参考)】
4E081
5H615
【Fターム(参考)】
4E081YG10
4E081YY11
5H615AA01
5H615PP01
5H615PP07
5H615SS05
5H615SS16
(57)【要約】
【課題】積層鉄心の外周面へのスパッタの付着を抑制することができる積層鉄心用の溶接カバーを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る積層鉄心用の溶接カバーは、積層鉄心の外周面に形成されている溶接溝に装着される溶接カバーであって、前記溶接溝内に配置されるカバー部材と、前記積層鉄心と前記カバー部材との間に介在する介在部材と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層鉄心の外周面に形成されている溶接溝に装着される溶接カバーであって、
前記溶接溝内に配置されるカバー部材と、
前記積層鉄心と前記カバー部材との間に介在する介在部材と、
を備える積層鉄心用の溶接カバー。
【請求項2】
前記介在部材は、前記積層鉄心と前記カバー部材との間に形成されている隙間内において前記積層鉄心側に付勢されている付勢部を有する請求項1に記載の積層鉄心用の溶接カバー。
【請求項3】
前記介在部材は、前記積層鉄心と前記カバー部材との間に形成されている隙間を塞ぐ塞ぎ部を有する請求項1に記載の積層鉄心用の溶接カバー。
【請求項4】
前記介在部材は、少なくとも一部が前記積層鉄心の積層方向に沿って複数に分割されている請求項1に記載の積層鉄心用の溶接カバー。
【請求項5】
前記積層鉄心に対する前記カバー部材の押付力を調整する押付力調整部を備える請求項1に記載の積層鉄心用の溶接カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、積層鉄心用の溶接カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の薄板状の鉄心片を積層した積層鉄心が知られている。このような積層鉄心には、外周面から窪んだ状態で積層方向に延びている溶接溝が形成されており、その溶接溝内に設定されている溶接位置を溶接することにより鉄心片を積層状態で固定している。このとき、溶接する際にスパッタが発生することから、例えば特許文献1では、溶接溝に溶接カバーを配置することにより、溶接時に発生したスパッタの積層鉄心への付着を防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-125998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した溶接カバーを用いることにより、溶接位置から飛散したスパッタが積層鉄心の表面に付着することを抑制できると考えられる。しかしながら、積層鉄心と溶接カバーとの間に隙間が形成されてしまう場合があり、このような隙間内にスパッタが回り込んでしまうと、積層鉄心の外周面、特に、溶接溝の近傍部分の外周面に付着するおそれがある。そして、積層鉄心の外周面にスパッタが付着した場合には、そのスパッタを取り除く作業に多大な労力が必要になる。
【0005】
そこで、積層鉄心の外周面へのスパッタの付着を抑制することができる積層鉄心用の溶接カバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る積層鉄心用の溶接カバーは、積層鉄心の外周面に形成されている溶接溝に装着される溶接カバーであって、前記溶接溝内に配置されるカバー部材と、前記積層鉄心と前記カバー部材との間に介在する介在部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る積層鉄心の構成の一例を概略的に示す図
図2】第1実施形態に係る溶接溝の構成の一例および溶接態様の一例を概略的に示す図
図3】第1実施形態に係る溶接カバーを積層鉄心に装着した状態の一例を概略的に示す図
図4】第1実施形態に係る溶接カバーの構成の一例を概略的に示す図
図5】第1実施形態に係るカバー部材の構成の一例を概略的に示す図
図6】第1実施形態に係る本体部材の構成の一例を概略的に示す図
図7】第1実施形態に係る本体部材の形状の一例を概略的に示す図
図8】第1実施形態に係るベース部材の構成の一例を概略的に示す図
図9】第1実施形態に係る溶接カバーの要部の構成の一例を概略的に示す斜視図
図10】第1実施形態に係る溶接カバーを装着した状態での溶接態様の一例を概略的に示す図
図11】第2実施形態に係る溶接カバーの構成の一例を概略的に示す斜視図
図12】第2実施形態に係る溶接カバーの要部の断面の一例を概略的に示す斜視図(その1)
図13】第2実施形態に係る溶接カバーの要部の断面の一例を概略的に示す斜視図(その2)
図14】第2実施形態に係る溶接カバーの要部の構成の一例を概略的に示す図
図15】第3実施形態に係る薄板状カバー部材の構成の一例を概略的に示す斜視図
図16】第4実施形態に係る積層鉄心の外周面に溶接カバーが装着された状態の一例を概略的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、積層鉄心用の溶接カバーに係る複数の実施形態について、適宜、図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照しながら、溶接対象となる積層鉄心1の構成例および溶接の態様例について説明する。図1に例示するように、積層鉄心1は、例えば薄い帯状の電磁鋼板を図示しないプレス機により環状に打ち抜くことなどによって形成した複数枚の鉄心片2を積層することにより形成されている。以下、鉄心片2の積層方向において、図示上側を積層鉄心1の上端、図示下側を積層鉄心1の下端とも称する。
【0010】
電磁鋼板は、例えばシリコン含有量が比較的高く、高周波特性を改善するために板厚が比較的薄く形成されているものなどを採用することができる。また、電磁鋼板は、周知のようにその表面が絶縁皮膜によって覆われている。
【0011】
本実施形態の場合、積層鉄心1は、概ね円環状に形成された複数枚の鉄心片2を重ねて例えば3個のブロック2A~2Cを形成し、これら複数のブロック2A~2Cを周方向に相対的にずらしながら積層する形態、いわゆる回し積みなどと称される積層形態によって形成されている。これにより、積層鉄心1は、母材となる電磁鋼板の厚みの偏りによって生じる周方向における高さのずれや重量のばらつきなどを抑制している。なお、鉄心片2の積層態様は、これに限定されない。
【0012】
積層鉄心1には、その内周側に図示しない回転子を収容するための中空部4、および、その中空部4側に開口しており、図示しない巻線を収容するための複数のスロット5が形成されている。一方、積層鉄心1の外周側には、積層鉄心1を図示しない筐体に固定するための複数の耳部6が、積層鉄心1の周方向に等間隔となる例えば3箇所に設けられている。ただし、中空部4、スロット5および耳部6の形状や数および位置は一例であり、図1に例示した構成例に限定されるものではない。
【0013】
また、積層鉄心1の外周面には、積層された鉄心片2を互いに溶接するための複数の溶接溝7が、積層方向に沿って積層鉄心1の上端から下端まで延びて形成されている。本実施形態では、溶接溝7は、積層鉄心1の周方向において等間隔となる例えば6箇所に形成されている。また、積層鉄心1は、相互に隣り合う2つの耳部6の間に、それぞれ複数、この場合、2つの溶接溝7を備えている。
【0014】
図2に例示するように、溶接溝7は、積層鉄心1の外周面を延長した円弧状の仮想曲線CLよりも内周側になる状態、つまりは、全体として積層鉄心1の外周面から窪んだ状態で形成されている。以下、積層鉄心1の外周に概ね沿った向き、換言すれば、積層鉄心1の周方向に概ね沿った向きを溶接溝7の幅方向と称する。そして、溶接溝7内には、幅方向の概ね中央に位置して、相対的に外周側に凸になっている凸部8が形成されている。この凸部8は、溶接位置の一例である。
【0015】
凸部8の側方の両側の部位は、相対的に内周側に凹んでおり、溶接溝7の側方の外周面まで繋がった凹部9を形成している。本実施形態では、凹部9が滑らかな曲線状に形成されており、溶接溝7が全体として概ねω字状になっている。ただし、溶接溝7は、凸部8が形成されていない形状、例えば外周面から曲面状に窪んだ形状や部分的に平坦な部位を有する形状に形成することもできる。その場合においても、溶接溝7の幅方向の概ね中央部を溶接位置として設定するとよい。
【0016】
これら溶接溝7の幅W7、凸部8の幅W8および複数の凹部9のそれぞれの幅W9は適宜変更して設定することができる。ただし、凸部8の先端と仮想曲線CLとの間の隙間ΔLは、例えば凸部8の先端に溶接時に形成される溶接ビード10が、仮想曲線CLよりも突出しない長さとなるように設定するとよい。
【0017】
そして、本実施形態では、溶接トーチ11を用い、いわゆるMAG溶接(MAG:Metal Active Gas)により積層鉄心1を溶接する。このMAG溶接では、溶接位置側に開口している有底円筒状の本体11aの中を通して電極材料としての磁性材料12を供給し、シールドガスGを供給しながら磁性材料12および溶接位置をシールドしながら溶接トーチ11を溶接溝7に沿って移動させることにより溶接が行なわれる。また、磁性材料12は、溶接に必要な量が、その都度、回転リール13によって供給される。また、シールドガスGは、例えば炭酸ガス単体、あるいは、炭酸ガスおよび不活性ガスを混合した混合ガスなどで構成されている。
【0018】
ところで、溶接中には、鉄心片2や磁性材料12が溶融することから、いわゆるスラグや金属粒などといったスパッタが発生することがある。そして、スパッタが飛散して積層鉄心1の外周面に付着すると、溶接の後工程となる巻線工程やワニス含浸工程などにおいて異物として混入するおそれがある。また、積層鉄心1の外周面に付着したスパッタは、当該積層鉄心1の外形に影響を与え得る。そのため、例えば製造した積層鉄心1を図示しない筐体内に収納する際に不具合が生じるおそれがある。
【0019】
このような事情から、積層鉄心1の外周面にスパッタが付着した場合には、その付着したスパッタを除去する作業が必要になる。しかし、付着したスパッタは、その大きさにもよるものの、例えば概ね0.5mm以上の場合には積層鉄心1に強固に固着してしまう。その場合、スパッタを取り除く作業に多大な労力が必要になる。
【0020】
そこで、本実施形態では、積層鉄心1を溶接する際、当該積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着、特に溶接溝7内および溶接溝7の近傍部分へのスパッタの付着を防止するために、図3に例示するように、積層鉄心1の外周面のうち溶接溝7に対応する位置に、溶接カバー20を装着する。
【0021】
本実施形態では、溶接カバー20は、溶接時に積層鉄心1が載置される載置部14と、積層鉄心1の上端側に配置される上蓋15と、を利用して積層鉄心1の外周面に装着される。ここで、載置部14および上蓋15のうち少なくとも載置部14は、その直径が積層鉄心1の直径よりも大きくしたものを用いるとよい。また、上蓋15は、例えば鉄心片2の打ち抜きの際に生じたバリなどの除去や積層鉄心1の高さH1の寸法決めを行うための加圧機の一部を構成している。なお、積層鉄心1は、積層方向の上端側と下端側にそれぞれ押え板16が装着された状態で載置部14に載置される。この押え板16は、積層工程から溶接工程へと積層鉄心1を移送する際に鉄心片2がずれたりすることを防止するためのものである。
【0022】
さらに詳細に説明すると、溶接カバー20は、溶接時において、載置部14の外周面から窪んだ収容部14a内に固定されている支持部30によって下端側が支持される。この支持部30は、溶接カバー20のベース部材23の図示下端側を両側から挟む部位にシャフト31を有しており、そのシャフト31を軸として溶接カバー20を上下に回動可能な状態で支持するものである。本実施形態の場合、溶接カバー20は、基本的に載置部14に取り付けられた状態となっており、溶接時に積層鉄心1に装着され、溶接が終わると装着が解除される構成となっている。
【0023】
また、溶接カバー20は、その上端側が、上蓋15に設けられている押圧部40によって積層鉄心1に押しつけられた状態で固定される。この押圧部40は、溶接カバー20のベース部材23を外側から覆う板部41と、その板部41を積層鉄心1側に押圧するためのローラー42を有する押圧バー43とを備えている。また、板部41には、その表面に、図示下方に向かって徐々に図示手前側に傾斜している坂部44が形成されている。
【0024】
そして、溶接時には、ベース部材23の上端が板部41の裏面側になる位置まで溶接カバー20を回動させ、その状態で上蓋15を図示下方に移動させる。このとき、押圧部40では、上蓋15の移動に伴って押圧バー43に設けられているローラー42が坂部44を徐々に昇ることになり、それによって板部41は積層鉄心1側に押圧される。その結果、溶接カバー20は、積層鉄心1側に押し付けられた状態で装着される。
【0025】
なお、図示は省略するが、載置部14には、複数の溶接溝7に対応する数の収容部14aが形成されており、それぞれの収容部14aに支持部30が配置されている。そのため、溶接時には、複数の溶接溝7をそれぞれ溶接カバー20で覆うことができ、複数個所の溶接溝7を同時に溶接する状況に対応することができる。
【0026】
この溶接カバー20は、カバー部材21、本体部材22およびベース部材23を備えており、溶接溝7内に設定されている溶接位置である凸部8を露出しつつ、溶接溝7内における凸部8の側方側の外周面を覆う形状に形成されている。
【0027】
より詳細に説明すると、図4に例示するように、溶接カバー20は、溶接溝7内において当該溶接溝7内の溶接位置である凸部8を挟むように配置される2つのカバー部材21と、それぞれのカバー部材21が交換可能且つ着脱可能にそれぞれ取り付けられる2つの本体部材22と、積層鉄心1の溶接溝7の全体を露出させる開口部23aが形成されていて、開口部23aを挟んで2つの本体部材22が交換可能且つ着脱可能に取り付けられるベース部材23と、を備えている。
【0028】
図5に例示するように、カバー部材21は、例えば銅材料により平角板状に形成されている。つまり、カバー部材21は、カバー部材21を製造する際の加工が比較的容易になる単純形状に形成されている。ただし、カバー部材21は、銅材料に限らず、例えば銅合金材料、銅メッキ材料、金メッキ材料、銀メッキ材料、錫メッキ材料、クロームメッキ材料、チタン材料、ステンレス材料、あるいは、それらの組み合わせにより形成することができる。
【0029】
また、カバー部材21には、本体部材22にねじ止めするための貫通孔21aが例えば長手方向の2箇所に設けられている。なお、カバー部材21は、本実施形態では例えばSUS製の図示しないねじによって本体部材22に取り付けられる。また、カバー部材21の長さL21は、溶接溝7の積層方向の長さ、つまりは、積層鉄心1の高さH1よりも長く設定されている。また、カバー部材21の幅W21および厚みD21は、当該カバー部材21の端部が溶接溝7内に配置される寸法に設定されている。なお、カバー部材21は、溶接溝7内に配置された状態において、当該溶接溝7の表面に接触あるいは接触するほどに近接するような形状および寸法で形成するとよい。
【0030】
また、図6に正面視として例示するように、本体部材22は、ベース部材23に取り付けられる平坦な取付部22aと、取付部22aから溶接溝7側に向かって傾斜している平坦な傾斜面を有する傾斜部22bと、を備えている。取付部22aには、本体部材22をベース部材23にねじ止めするための貫通孔22cが例えば長手方向の2箇所に形成されている。傾斜部22bには、カバー部材21をねじ止めするためのねじ穴22dが、カバー部材21の貫通孔21aに対応する位置にそれぞれ形成されている。なお、本体部材22は、本実施形態では例えばSUS製の図示しないねじによってベース部材23に取り付けられる。
【0031】
この本体部材22は、例えば軟鉄材料により形成されている。つまり、本体部材22は、その形状を加工することが比較的容易となる材料により形成されている。ただし、本体部材22を形成する材料としては、軟鉄材料に限らず、他の材料を用いることもできる。また、本体部材22の長さL22は、溶接溝7の積層方向の長さよりも長く設定されている。また、取付部22aの幅W22aは、ベース部材23に取り付け可能な範囲で適宜設定されている。
【0032】
また、傾斜部22bの幅W22bは、カバー部材21の幅W21よりも短く、且つ、カバー部材21を取り付けた際にカバー部材21の端部が溶接溝7側に突出するような寸法に設定されている。また、図7に拡大した状態で例示するように、この傾斜部22bは、その下端面22eが、積層鉄心1の外周面のうち溶接溝7内から溶接溝7外に繋がる部位の表面形状に応じた滑らかな曲面形状に形成されている。なお、図7には、溶接溝7の一部を示している。
【0033】
本実施形態では、下端面22eは、溶接溝7と積層鉄心1の外周面との境界位置Pを含んだ状態であって、溶接溝7内に若干かかった位置から、溶接溝7の側方の外周面の所定の範囲までを覆う幅W22eで形成されている。ただし、下端面22eは、少なくとも境界位置Pを含んでいればよく、溶接溝7内に掛からない形状や、溶接溝7内に一層掛かる形状に形成することができる。なお、本実施形態では、本体部材22は、軟鉄材料により形成されている。そのため、本体部材22の下端面22eを積層鉄心1の外周面の形状や溶接溝7の表面の形状に応じた形状に形成することは製造上もコスト上も容易となる。
【0034】
また、取付部22aの傾斜部22b側の端部、つまり、傾斜部22bの上端には、壁部22fが形成されている。この壁部22fは、カバー部材21を本体部材22に取り付ける際に、カバー部材21の短手側の端部が接触する部位となる。そして、カバー部材21の短手側の端部が壁部22fに接触した状態で取り付けられることにより、カバー部材21と本体部材22との相対位置が位置決めされる。
【0035】
つまり、傾斜部22bの傾斜面および壁部22fは、カバー部材21の取り付け位置を位置決めする位置決め構造として機能する。また、貫通孔22cも位置決め構造として機能する。これにより、傾斜部22bの下端面22eを積層鉄心1の表面に沿わせることにより、傾斜部22bから突出しているカバー部材21の端部が、溶接溝7内に配置された状態で位置決めされる。
【0036】
また、図8に例示するように、ベース部材23は、その全体が概ね平板状に形成されている。このベース部材23は、例えばステンレスなどにより形成されており、カバー部材21および本体部材22が取り付けられた状態で積層鉄心1の溶接溝7に対応する位置に装着される。ベース部材23の大きさは任意である。ただし、その中央部分に形成されている開口部23aについては、その幅W23aが溶接溝7の幅W7よりも大きく、且つ、その長さL23aが溶接溝7の長さつまりは積層鉄心1の高さH1よりも大きく設定されている。
【0037】
この開口部23aの図示左右には、本体部材22を取り付けるためのねじ穴23bがそれぞれ例えば2箇所ずつ形成されている。そして、ベース部材23は、図示上端側に、上記した押圧部40によって押さえられることになる押圧面23cを備え、図示下端側に、上記した支持部30によって支持されるブロック部23dを備えている。押圧面23cは、開口部23aとは重ならない位置に形成されており、側面視にて例示するように、図示左方側の表面側および図示右方側の裏面側が平坦になっている。
【0038】
ブロック部23dは、例えば長尺な概ね矩形のブロック状に形成されており、側面視にて例示するシャフト31を通すための貫通孔23eと、裏面側において開口し図示しないバネが取り付けられるバネ溝23fと、を備えている。バネ溝23f内に取り付けられるバネは、ベース部材23、ひいては、溶接カバー20全体を積層鉄心1から離間する向きに押すものである。そのため、溶接終了後に上蓋15を上部に移動させると、バネによって溶接カバー20が開放側に押圧される。すなわち、溶接カバー20が積層鉄心1に装着された装着状態が解除されやすくなる。
【0039】
そして、図9に例示するように、溶接カバー20は、さらに薄板状カバー部材25を備えている。薄板状カバー部材25は、積層鉄心1とカバー部材21との間に介在する介在部材の一例である。薄板状カバー部材25は、例えば金属製であり、本体部材22の裏面に沿うようにして折り曲げられた薄板状の部材となっている。
【0040】
薄板状カバー部材25のうち本体部25aは、本体部材22の取付部22aに沿う平坦部となっており、本体部材22の取付部22aとベース部材23との間に挟まれて固定されている。また、薄板状カバー部材25のうち先端部25bは、本体部材22の傾斜部22bの下端面22eに沿う曲面形状となっている。薄板状カバー部材25の先端部25bは、積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間を塞いでいる。また、薄板状カバー部材25の先端部25bは、積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間内において積層鉄心1側に付勢されている板バネとなっている。即ち、薄板状カバー部材25の先端部25bは、図9において矢印Fで例示する方向に付勢されている。このように構成されている薄板状カバー部材25の先端部25bは、付勢部および塞ぎ部の一例として機能する。
【0041】
次に、上記した溶接カバー20の作用について説明する。
前述のように、溶接時にスパッタが発生して積層鉄心1に付着すると、付着したスパッタを取り除く作業が必要になる。しかしながら、溶接時におけるスパッタの飛散を抑制することができれば、スパッタが積層鉄心1に付着することを抑制できると考えられる。
【0042】
しかし、溶接時の熱により溶融した部材が溶接カバー20を回り込んで積層鉄心1に付着する可能性が考えられる。また、積層鉄心1は、複数の鉄心片2を積層しているため、溶接溝7内において若干の凹凸が生じ、溶接カバー20との間に若干の隙間が形成される可能性がある。そして、本実施形態のように例えばMAG溶接により溶接する場合には、シールドガスGによって溶融した部材の移動が促されることがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、図10に例示するように、積層鉄心1を溶接する際、上記した構成の溶接カバー20を、カバー部材21の端部が溶接溝7内に配置された状態、且つ、本体部材22の傾斜部22bの下端面22eが薄板状カバー部材25を介して溶接溝7の縁から外周面まで連続する形に覆う状態で積層鉄心1に装着する。さらに、積層鉄心1の外周面とカバー部材21の裏面との間に薄板状カバー部材25を介在させた状態で溶接カバー20を積層鉄心1に装着する。このとき、溶接カバー20は、上記した押圧部40によってカバー部材21が溶接溝7の表面に一層近接した状態、且つ、薄板状カバー部材25の裏面が溶接溝7の縁から外周面の所定の範囲に一層密に接触した状態で装着される。なお、図10では、説明の簡略化のためにベース部材23の図示を省略している。
【0044】
このように溶接カバー20を積層鉄心1の外周面のうち溶接溝7部分に装着することにより、溶接トーチ11を用いて溶接する際、溶接位置から直接的に飛散するスパッタは、カバー部材21によって積層鉄心1の外周面に付着することが抑制される。そして、溶融した部材が自重やシールドガスGによってカバー部材21の裏側の隙間に回り込んだとしても、本体部材22が溶接溝7との境界位置を含めて溶接溝7の近傍の外周面を覆っており、且つ、積層鉄心1の外周面とカバー部材21の裏面との間に薄板状カバー部材25が存在していることから、スパッタが積層鉄心1の外周面に付着することが抑制される。
【0045】
ところで、溶接カバー20は、溶接時に高温に曝されることから耐熱性などが必要になるものの、繰り返し使用していると、消耗することが想定される。そのため、溶接カバー20の全体を例えば銅材料により形成すると、溶接溝7や外周面に対応した形状に形成するためには削り出し加工が必要になり、消耗品としては高価になってしまうことが想定される。
【0046】
そのため、本実施形態では、溶接カバー20のうち、溶接位置に対向しており、耐熱性が必要とされるとともに溶接時の熱や接触による摩耗により消耗する可能性のある部位を、カバー部材21として独立させて交換可能にしている。また、そのカバー部材21を概ね平角板状といった単純な形状に形成することにより、カバー部材21の加工を容易にしている。
【0047】
これらにより、カバー部材21を製造する際に例えば削り出し加工などといった加工を不要とすることができ、また、交換する場合にはカバー部材21のみを交換すればよいことから、消耗品として実用的な範囲内で溶接カバー20を製造および利用することができる。また、カバー部材21を例えば銅部材などで形成することにより、耐久性が低下することも抑制される。
【0048】
以上に例示した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
溶接カバー20は、外周面から窪んだ状態で積層方向に延びている溶接溝7が形成されている積層鉄心1を溶接する際に用いるものであって、溶接溝7内に配置される部位としてのカバー部材21を有し、当該溶接溝7内に形成されている溶接位置を露出させつつ、当該溶接溝7の側方の外周面を所定の範囲で覆う本体部材22を有している。
【0049】
これにより、溶接する際には、溶接カバー20を積層鉄心1に装着することにより、溶接位置の側方においてはカバー部材21が溶接溝7の表面に接触あるいは接触するほどに近接し、溶接溝7の縁から積層鉄心1の外周面の所定の範囲においては本体部材22によって覆われる。したがって、溶接時に発生したスパッタが積層鉄心1の外周面、特に溶接溝7の近傍の外周面に付着したり、溶融した部材が回り込んでスパッタとして付着したりすることを抑制することができる。
【0050】
さらに、溶接カバー20によれば、積層鉄心1とカバー部材21との間に介在する薄板状カバー部材25を備えている。この構成例によれば、積層鉄心1の外周面とカバー部材21の裏面との間に隙間が形成されていたとしても、このような隙間内にスパッタが回り込んでしまうことを薄板状カバー部材25によって阻止することができ、ひいては、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を一層抑制することができる。
【0051】
また、溶接カバー20によれば、薄板状カバー部材25は、積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間内において積層鉄心1側に付勢されている先端部25bを有している。この構成例によれば、薄板状カバー部材25のうち特に積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間内に位置する先端部25bが積層鉄心1の外周面に一層密着した状態を形成することができる。これにより、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を一層確実に抑制することができる。
【0052】
また、溶接カバー20は、溶接溝7と積層鉄心1の外周面との境界位置Pを含む所定の範囲にわたって当該外周面を覆う本体部材22と、本体部材22に着脱可能に取り付けられ、溶接溝7の溶接位置の側方の表面に積層方向に沿って接触もしくは接触するほどに近接するカバー部材21と、を備えている。即ち、溶接カバー20は、カバー部材21を本体部材22とは別部品として備えている。この構成例によれば、カバー部材21が溶接時の熱や接触による摩耗により消耗したとしても、カバー部材21を取り換えれば、本体部材22やベース部材23を取り換える必要が無くなる。したがって、消耗品として実用的な範囲内で溶接カバー20を製造および利用することができる。
【0053】
また、溶接カバー20は、薄板状カバー部材25も、他の構成要素とは独立した別部品として備えている。そのため、薄板状カバー部材25も消耗に伴い取り換えることができ、消耗品として実用的な範囲内で溶接カバー20を製造および利用することができる。
【0054】
また、溶接カバー20によれば、カバー部材21は、平角板状といった単純な形状に形成されている。これにより、カバー部材21を製造する際に例えば切り出し加工などが不要となり、カバー部材21の製造コストを抑制することができる。
【0055】
また、溶接カバー20は、本体部材22に、カバー部材21を取り付ける位置を決める位置決め構造としての傾斜面や壁部22fを備えている。これにより、カバー部材21を交換した際に同じ位置に位置決めすること、つまりは、カバー部材21が溶接溝7の表面に接触あるいは接触するほどに近接する位置に取り付けることが容易になる。
【0056】
また、溶接カバー20は、カバー部材21を銅材料、銅合金材料、銅メッキ材料、金メッキ材料、銀メッキ材料、錫メッキ材料、クロームメッキ材料、チタン材料、ステンレス材料、あるいは、それらの材料の組み合わせにより形成することができる。このような材料でカバー部材21を形成することにより、溶接時の高温への耐熱性や飛散したスパッタが衝突する際の耐破損性を得ることができる。
【0057】
(第2実施形態)
図11に例示する溶接カバー20は、上述した薄板状カバー部材25に代えて、サブカバー部材26を備えている。サブカバー部材26も、積層鉄心1とカバー部材21との間に介在する介在部材の一例である。サブカバー部材26は、本体部材22の裏面に沿うようにして配置されたブロック状の部材となっている。また、サブカバー部材26は、その全体が、積層鉄心1の積層方向に沿って複数、この場合、3つに分割されている。なお、サブカバー部材26は、その全体が、積層鉄心1の積層方向に沿って連続した構成としてもよい。
【0058】
また、図12に例示するように、本体部材22の傾斜部22bの下端面は、曲面形状ではなく、平坦面となっている。そして、サブカバー部材26のうち本体部26aは、本体部材22の傾斜部22bの下端面に沿う平坦部となっている。また、サブカバー部材26のうち本体部26aは、本体部材22の傾斜部22bの下端面にボルト28によって固定されている。このボルト28による締付量を適宜調整することにより、本体部材22に対するサブカバー部材26の押付量を適宜調整することができる。
【0059】
また、図13に例示するように、本体部材22の傾斜部22bの下端面に設けられているバネ溝22hと、サブカバー部材26のうち本体部26aに設けられてるバネ溝26hとの間には、図示しないバネが設けられている。図13に矢印Bで例示するように、このバネは、サブカバー部材26を積層鉄心1側に付勢する。
【0060】
また、図14に例示するように、サブカバー部材26のうち先端部26bは、カバー部材21の裏面に沿って溶接溝7内側に延出している。サブカバー部材26の先端部26bは、積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間を塞いでいる。このように構成されているサブカバー部材26の先端部26bは、塞ぎ部の一例として機能する。
【0061】
以上に例示した溶接カバー20によれば、積層鉄心1とカバー部材21との間に介在するサブカバー部材26を備えている。この構成例によれば、積層鉄心1の外周面とカバー部材21の裏面との間に隙間が形成されていたとしても、このような隙間内にスパッタが回り込んでしまうことをサブカバー部材26によって阻止することができ、ひいては、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を抑制することができる。
【0062】
また、溶接カバー20によれば、サブカバー部材26は、積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間を塞ぐ先端部26bを有している。この構成例によれば、サブカバー部材26のうち特に積層鉄心1とカバー部材21との間に形成されている隙間内に位置する先端部26bにより当該隙間内へのスパッタの進入を阻止することができ、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を一層確実に抑制することができる。
【0063】
また、サブカバー部材26は、その全体が、積層鉄心1の積層方向に沿って複数、この場合、3つに分割されている。この構成例によれば、積層鉄心1の各部の凹凸に応じてサブカバー部材26の各部を密着させやすくすることができ、溶接溝7内においてカバー部材21との間に不規則あるいは不連続に隙間が形成されている場合であっても、各部の隙間をサブカバー部材26の先端部26bによって一層塞ぎやすくすることができる。
【0064】
(第3実施形態)
図15に例示する薄板状カバー部材25は、少なくとも一部、この場合、溶接溝7内に配置される端部である先端部25b側に複数、この場合、3つのスリット25cが形成された構成となっている。この場合、スリット25cは、先端部25bの全体および本体部25aの一部にわたって形成されている。このようなスリット25cが設けられていることにより、薄板状カバー部材25は、溶接溝7内に配置される先端部25b側の部分が、積層鉄心1の積層方向に沿って複数、この場合、3つに分割された構成となっている。
【0065】
この構成例によっても、積層鉄心1の各部の凹凸に応じて薄板状カバー部材25の各部を密着させやすくすることができる。そのため、各部の隙間を薄板状カバー部材25の先端部25bによって一層塞ぎやすくすることができ、また、薄板状カバー部材25の先端部25bを積層鉄心1の外周面に一層密着させやすくすることができる。
【0066】
(第4実施形態)
図16に例示する溶接カバー20は、さらにプランジャー27を備えている。プランジャー27は、例えば上蓋15に設けられている。プランジャー27は、押付力調整部の一例であり、積層鉄心1の外周面に対する溶接カバー20の各種の構成要素、例えば、カバー部材21、本体部材22、ベース部材23、薄板状カバー部材25の押付力を調整可能に構成されている。
【0067】
即ち、プランジャー27が板部41に与える押圧力を強くすることにより、カバー部材21を溶接溝7の表面に一層接触させやすくでき、また、薄板状カバー部材25を溶接溝7の表面に一層密着させやすくすることができる。一方、プランジャー27が板部41に与える押圧力を弱くすることにより、カバー部材21や薄板状カバー部材25が溶接溝7の表面に与える押圧力を弱めることができる。
【0068】
この構成例によれば、プランジャー27による押付力を強く調整することにより、積層鉄心1の外周面とカバー部材21との間に隙間が一層形成されにくくなり、また、隙間が形成されたとしても、その大きさを極力小さくすることができる。これにより、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を一層抑制することができる。なお、積層鉄心1の外周面に対する溶接カバー20の押し付け状態が強すぎる場合には、プランジャー27による押付力を弱く調整することにより、溶接カバー20や積層鉄心1の外周面に過剰な負荷がかかる状態を解消することができる。
【0069】
(その他の実施形態)
なお、本開示は、上述した複数の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変形や拡張を行うことができる。例えば、溶接カバー20は、上述した複数の実施形態を適宜選択して組み合わせた構成とすることができる。
【0070】
また、溶接カバー20は、上記した構成例に限定されず、他の構成とすることができる。例えば、カバー部材21は、溶接溝7側の端部を曲面状に形成したり、溶接溝7側の端部に面取り加工を施したり、溶接溝7側の端部を尖らせたりした形状とすることができる。このような形状のカバー部材21であっても、溶接溝7の表面に接触あるいは接触するほどに近接させることで回り込みによるスパッタの付着を抑制できるなど、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、カバー部材21は、少なくとも端部を比較的単純な形状とすることにより、加工作業の負荷や製造コストが過度に増加することを抑制することができる。
【0071】
また、カバー部材21は、溶接位置側から本体部材22にねじ止めする構成としてもよいし、溶接位置とは逆側から本体部材22に取り付ける構成としてもよい。カバー部材21を溶接位置とは逆側から本体部材22に取り付ける構成とした場合には、カバー部材21の溶接位置側の面を平坦面とすることができ、スパッタがねじや孔部に付着することを抑制することができる。
【0072】
また、溶接カバー20は、薄板状カバー部材25の表面側および裏面側のうち少なくとも何れか一方の面に図示しないパッキンを設ける構成とすることができる。この場合、パッキンは、例えばフッ素系やシリコン系のゴム材料で形成することができる。このようなパッキンを備えた構成例によれば、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を一層抑制することができる。
【0073】
また、本体部材22は、溶接溝7の凹部9内まで延出する構成とすることができる。この構成例によれば、積層鉄心1の外周面へのスパッタの付着を一層抑制することができる。また、本体部材22の一部をカバー部材として機能させることができるため、カバー部材21の薄型化や小型化を図ることができる。
【0074】
また、溶接カバー20は、固定子用の積層鉄心1へのスパッタの付着を抑制する用途だけでなく、例えば回転子用の鉄心へのスパッタの付着を抑制する用途にも適用することができる。また、積層鉄心1は、モータ用の鉄心に限らず、例えば発電機用の鉄心などモータ以外の鉄心も対象とすることができる。
【0075】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
図面において、1は積層鉄心、7は溶接溝、20は積層鉄心用の溶接カバー、21はカバー部材、25は薄板状カバー部材(介在部材)、25bは薄板状カバー部材の先端部(付勢部、塞ぎ部)、26はサブカバー部材(介在部材)、26bはサブカバー部材の先端部(塞ぎ部)、27はプランジャー(押付力調整部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16