(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158840
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ソファ
(51)【国際特許分類】
A47C 7/40 20060101AFI20231024BHJP
A47C 7/42 20060101ALI20231024BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A47C7/40
A47C7/42
A47C7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068862
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼▲崎▼ 健太郎
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084AA00
3B084EC01
3B084EC03
3B084FA06
(57)【要約】
【課題】オフィス等において好適に使用されるソファにおいて、新しい働き方に対応しようとした場合に生じる、流動的な家具の使用態様に対応することが難しいという課題を解消する。
【解決手段】フレーム1上にソファ本体2を支持させてなるソファSにおいて、フレーム1が、前脚31及び左右の後脚32を有する座支持部3と、後脚32から上方に延出させた背支持部4とを備えたものであるとともに、後脚32と背支持部4とからなる背面フレーム部分Fを、後脚32の下端32aが最も後に位置するように前傾させている構成を採用する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム上にソファ本体を支持させてなるソファであって、
前記フレームは、前脚及び左右の後脚を有する座支持部と、前記後脚から上方に延出させた背支持部とを備えたものであり、
前記後脚と前記背支持部とからなる背面フレーム部分を、前記後脚の下端が最も後に位置するように前傾させているソファ。
【請求項2】
前記背支持部は、前記左右の後脚の上端からそれぞれ上方に延出させた左右の背支桿と、これら背支桿の上端部間に架設された横架部材とを備えたものであり、前記横架部材は、左右方向中央部が左右両端部よりも後方に位置するように湾曲させたものである請求項1記載のソファ。
【請求項3】
前記両後脚の下端後縁に設定した仮想鉛直面に対して、前記横架材の左右方向中央部が前方に位置するように前記背面フレーム部分が前傾させてある請求項2記載のソファ。
【請求項4】
前記ソファ本体は、前記座支持部に載設された座部と、この座部の後縁側に配設された背凭れとを備えたものであり、前記背凭れの背面と前記フレームの横架部材との間には、前記背凭れの後方への弾性変形を許容するための隙間が形成されている請求項2又は3記載のソファ。
【請求項5】
前記背凭れは、その下縁が線ファスナを介して前記座部に着脱可能に止着されたものである請求項4記載のソファ。
【請求項6】
前記座部は、外部から内部空間にアクセス可能な中空体状の枠体と、この枠体の外側を被覆する外装材とを備えたものであり、
前記フレームは、前記枠体内に挿入される連結桿を有するものであり、
前記連結桿は、外部から前記内部空間に挿入された止着具により前記枠体に止着されている請求項1記載のソファ。
【請求項7】
前記座部は、下端近傍部における水平断面が下端に向かって漸次狭くなる枠体と、この枠体の外側を被覆する外装材とを備えたものであり、
前記外装材は、下端近傍部における水平断面を変化させるためのファスナを備えたものである請求項1記載のソファ。
【請求項8】
前記前脚がキャスタを備えたものであり、そのキャスタの可動範囲が平面視における前記座部の外縁の内側に収まるように設定されている請求項4記載のソファ。
【請求項9】
フレーム上にソファ本体を支持させてなるソファであって、
前記フレームは、前脚及び左右の後脚を有する座支持部と、前記後脚の上端部同士を接続する横架部材とを備えたものであり、
前記後脚と前記横架部材とからなる背面フレーム部分を前傾させているソファ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に使用されるソファに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のソファは、重厚な佇まいで応接室等に安定した状態で設置されるのが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかるに、近時のオフィス等においては、種々の働き方改革が進行しており、都度チームを結成して適切な場所にミーティング領域を急遽設営するなど、流動的な家具の使用態様が重要視されることがある。
【0004】
このような状況の下では、ソファについても、設置個所や向き等を適宜変更できるものが望まれることがあるが、従来のソファは重厚で移動や姿勢変更が難しく、前述した要望に応えられないものが少なくない。
【0005】
特に、従来のソファは、背凭れが後傾しており、背凭れの上縁が最も後方に位置しているので、建築壁に背凭れを当接させて設置したり背合わせに配置すると、移動作業の際に背凭れの上端に手をかけにくく、配置替え作業に手間がかかるとともに、壁や背凭れに傷を付け易いという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明、新しい働き方に対応しようとした場合に生じる前述した従来の課題を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るソファは、フレーム上にソファ本体を支持させてなるソファであって、前記フレームが、前脚及び左右の後脚を有する座支持部と、前記後脚から上方に延出させた背支持部とを備えたものであり、前記後脚と前記背支持部とからなる背面フレーム部分を、前記後脚の下端が最も後に位置するように前傾させているものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係るソファは、前記背支持部が、前記左右の後脚の上端からそれぞれ上方に延出させた左右の背支桿と、これら背支桿の上端部間に架設された横架部材とを備えたものであり、前記横架部材は、左右方向中央部が左右両端部よりも後方に位置するように湾曲させたものである請求項1記載のものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係るソファは、前記両後脚の下端後縁に設定した仮想鉛直面に対して、前記横架材の左右方向中央部が前方に位置するように前記背面フレーム部分が前傾させてある請求項2記載のものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係るソファは、前記ソファ本体が、前記座支持部に載設された座部と、この座部の後縁側に配設された背凭れとを備えたものであり、前記背凭れの背面と前記フレームの横架部材との間には、前記背凭れの後方への弾性変形を許容するための隙間が形成されている請求項2又は3記載のものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係るソファは、前記背凭れが、その下縁が線ファスナを介して前記座部に着脱可能に止着されたものである請求項4記載のものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係るソファは、前記座部が、外部から内部空間にアクセス可能な中空体状の枠体と、この枠体の外側を被覆する外装材とを備えたものであり、前記フレームが、前記枠体内に挿入される連結桿を有するものであり、前記連結桿が、外部から前記内部空間に挿入された止着具により前記枠体に止着されている請求項1記載のものである。
【0014】
請求項7記載の発明に係るソファは、前記座部が、下端近傍部における水平断面が下端に向かって漸次狭くなる枠体と、この枠体の外側を被覆する外装材とを備えたものであり、前記外装材が、下端近傍部における水平断面を変化させるためのファスナを備えた請求項1記載のものである。
【0015】
請求項8記載の発明に係るソファは、前記前脚がキャスタを備えたものであり、そのキャスタの可動範囲が平面視における前記座部の外縁の内側に収まるように設定されている請求項4記載のものである。
【0016】
請求項9記載の発明に係るソファは、フレーム上にソファ本体を支持させてなるソファであって、前記フレームは、前脚及び左右の後脚を有する座支持部と、前記後脚の上端部同士を接続する横架部材とを備え、前記後脚と前記横架部材とからなる背面フレーム部分を前傾させているものである。
【0017】
ここで、本発明において、「背面フレーム部分を前傾させている」とは、後脚が後下方から前上方に向かい傾斜しつつ起立している態様全般を示す概念である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレームの背面フレーム部分を前傾させているので、背面フレーム部分の上端に手をかけて移動させることが容易になるとともに、壁や他のソファに傷を付ける不具合を抑制することもできる。すなわち、新しい働き方に対応しようとした場合に生じる、流動的な家具の使用態様に対応しやすくできる。その上、フレーム上にソファ本体を支持させているので、フレームにキャスタを設けるようにすれば、可動性が高まり、フレームを把持して移動させることも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るソファを示す全体斜視図。
【
図8】同実施形態に係るソファの外装材を示す中央側断面図。
【
図10】同実施形態に係るソファの座部を示す底面側からの斜視図。
【
図12】本発明の他の実施形態に係るソファを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図11を参照して説明する。
【0021】
この実施形態は、本発明を1人がけのソファSに適用した場合のものである。
【0022】
このソファSは、
図1~
図7及び
図9に示すように、フレーム1上にソファ本体2を支持させてなるものであって、フレーム1は、前脚31及び左右の後脚32を有する座支持部3と、後脚32から上方に延出させた背支持部4とを備えたものであり、後脚32と背支持部4とからなる背面フレーム部分Fを、後脚32の下端32aが最も後に位置するように前傾させている。
【0023】
詳述すれば、フレーム1の座支持部3は、
図1~
図3、
図6、
図7及び
図9に示すように、左右の縦枠材33と、これら縦枠材33の前端間に左右の接続枠材34を介して架設された横枠材35と、この横枠材35に平行に配され左右の縦枠材33同士を結合する対をなす中間枠材36とを備えたものである。左右の接続枠材34の中間部分からは前脚31が垂下させてあるとともに、左右の縦枠材33の後端から後脚32が下方に向かって延出させてある。左右の前脚31の下端には、キャスタ37がそれぞれ設けられている。左右の後脚32は、下方に向かって漸次後方に偏移するように傾斜させてあり、それら各後脚32の下端32aには、滑り止め機能を有した接地体38がそれぞれ設けられている。縦枠材33と、横枠材35と、接続枠材34と、前脚31と、後脚32は、それぞれ金属製のパイプ素材等により作られており、中間枠材36は、金属製の帯板等により作られている。前後の中間枠材36には、ボルト挿通孔36aが設けられており、それらボルト挿通孔36aに下から挿通させた取付ボルトv1をソファ本体2の下面に螺着することによって、当該フレーム1の座支持部3上にソファ本体2を止着し得るようになっている。
【0024】
フレーム1の背支持部4は、
図1、
図3~
図5、
図7及び
図9に示すように、左右の後脚32の上端32bからそれぞれ上方に延出させた左右の背支桿41と、これら背支桿41の上端部間に連結枠材42を介して架設された横架部材43とを備えたものであり、横架部材43は、左右方向中央部43aが左右両端部43bよりも後方に位置するように湾曲させたものである。そして、両後脚32の下端32aの後縁に設定した仮想鉛直面Pに対して、横架部材43の左右方向中央部43aが前方に位置するように背面フレーム部分Fが前傾させてある。背支桿41と、横架部材43と、連結枠材42はそれぞれ金属製のパイプ素材等により作られたものであり、この実施形態では、左右の背支桿41と左右の後脚32とは、共通のパイプ素材により一体に形成されている。なお、ソファ本体2の座部5は、後述するように、外部から内部空間SPにアクセス可能な中空体状の枠体51と、この枠体51の外側を被覆する外装材52とを備えたものであり、フレーム1は、枠体51内に挿入される連結桿44を有するものである。そして、連結桿44は、背支桿41の中間部分から前方に延出させた板状のものであり、後述するように、外部から内部空間SPに挿入された止着具であるボルトv2により枠体51に止着されている。
【0025】
ソファ本体2は、
図1~
図5、
図7及び
図9に示すように、フレーム1の座支持部3に載設された座部5と、この座部5の後縁側に配設された背凭れ6とを備えたものであり、背凭れ6の背面とフレーム1の横架部材43との間には、背凭れ6の後方への弾性変形を許容するための隙間ssが形成されている。
【0026】
背凭れ6は、
図2、
図4及び
図7に示すように、その下縁が線ファスナ63を介して座部5に着脱可能に止着されたものであり、上縁側が前後方向に弾性変形し得るようになっている。
【0027】
ソファ本体2の座部5は、
図7、
図9及び
図10に示すように、下端近傍部における水平断面が下端に向かって漸次狭くなる枠体51と、この枠体51の外側を被覆する外装材52とを備えたものであり、外装材52は、下端近傍部における水平断面を変化させるための線ファスナ523を備えたものである。
【0028】
枠体51は、
図7、
図9及び
図11に示すように、底板53と、この底板53の上方に下部支持体56を介して配設された中間板54と、この中間板54の後端部上方に上部支持体57を介して配設された上板55とを備えたもので、例えば、木材等により構築されている。底板53は、フレーム1の座支持部3における左右の縦枠材33間に嵌挿された状態で中間枠材36上に載置されるもので、下面側から装着したねじにより中間枠材36に止着されるようになっている。底板53における中間枠材36間に位置する中央領域には下開口53aが形成されており、枠体51内に形成される内部空間SPがこの下開口53aを介して外部に連通し得るようになっている。底板53の四隅部には下部支持体56がそれぞれ立設されており、これら下部支持体56上に中間板54が水平に支持されている。各下部支持体56は、直角に交叉し外縁で外装材52の外縁を整える対をなす起立板561と、これら起立板561を連結する水平リブ562とを備えたものであり、起立板561の外縁を水平に結ぶ仮想ループ線が座部5の水平断面の外縁に対応するものとなる。しかして、下部支持体56における各起立板561の外縁下部には滑らかに湾曲する面取部561aが形成されており、その面取部561aの存在によって枠体51の下端近傍部における水平断面が下端に向かって漸次狭くなるように構成されている。
【0029】
枠体51の中間板54は、
図7、
図9及び
図11に示すように、座部5の最も広い水平断面を有する部位に対応する広さを有した平板であり、後端側に上部開口54aを有している。そして、中間板54の上面には上部開口54aを囲うように4本の上部支持体57が立設されており、それら上部支持体57上に上板55が支持されている。上部支持体57が、角柱状をなすもので、木材等により作られている。そして、フレーム1とソファ本体2とを組み合わせる際に、フレーム1の連結桿44がソファ本体2の背面に設けた連結桿挿入口5xから枠体51内に挿入され、連結桿44の挿入端部が後側に位置する2体の上部支持体57の内側面57aに添接するようにしてある。後側に位置する2体の上部支持体57には、ナット571が埋設されており、これらナット571に内側から螺着したボルトv2によって、フレーム1の連結桿44を枠体51に止着することができる。すなわち、枠体51の上板55と中間板54との間に形成された上部小空間SP1と、中間板54と底板53との間に形成された下部小空間SP2とは中間板54に穿設された上部開口54aを介して連通している。そして、これら上部小空間SP1と下部小空間SP2とからなる枠体51の内部空間SPは、底板53に開設された下開口53aを介して外部に連通している。そのため、ソファSの姿勢を適宜選定することによって、枠体51内に挿入された連結桿44の挿入端に開口53a、54aを通して外部からアクセスすることが可能になり、その挿入端を、当該挿入端に形成したボルト挿通孔44aを通過させたボルトv2により枠体51のナット571に定着することができるようになっている。なお、59は、上板55の後端部を支持する補強材である。
【0030】
外装材52は、
図8及び
図10に示すように、外部に表出する外装布521と、この外装布521の内面に添設されたクッション522とを備えたもので、この外装材52を枠体51の外側に被せることによって座部5が構成されるようになっている。なお、外装材52は、枠体51に上から被せる形態のものであり、被せた状態では枠体51の外側にぴったりとフィットする寸法に作られている。なお、外装材52の四隅部下端部分だけは切り離されており、この切り離された四隅部下端部分を線ファスナ523により接合させることによって、外装材52の四隅部下端部分も枠体51の形状にフィットするようになっている。
【0031】
ソファ本体2の背凭れ6は、
図7に示すように、外装布61内に弾性変形可能な芯材62を備えたもので、外装布61の下縁が座部5の上面に線ファスナ63を介して着脱可能に接続されている。
【0032】
なお、このソファSは、前脚31に全方向に首振り可能なキャスタ37を備えているとともに、後脚32に滑り止め機能を有した接地体38が設けてあるため、通常接地した状態では接地体38の機能によりその場に安定保持される。そして、横架部材43に手をかけてフレーム1の後端側を持ち上げると、接地体38による制動作用が消滅するため、キャスタ37により自由な個所に移動させることが可能となっている。キャスタ37の可動範囲は、平面視における前記座部5の外縁5cの内側に収まるように設定されており、複数のソファSを密に並べてもキャスタ37同士が干渉することがないように構成されている。このソファSは、ソファ本体2の座部5の外縁がフレーム1よりも外側に位置しており、その座部5の外縁は、平面視において大きな曲率半径で湾曲する周面5aと、これら周面5a同士を連続させる小さな曲率半径で湾曲するコーナー面5bとを交互に配したものである。そのため、複数のソファSを横一列に直線的に配列させることは勿論、密着していても緩く湾曲するように配列することも可能であり、配置パターンの多様化を図ることができるようにしてある。
【0033】
ここで、
図1は本実施形態のソファSを示す全体斜視図である。
図2は同正面図である。
図3は、同左側面図である。
図4は、同背面図である。
図5は、同平面図である。
図6は、同底面図である。
図7は、
図2におけるA-A線に沿った断面図であり、座部5の外装材52を想像線で示している。
図8は、本実施形態のソファSの座部5の外装材52の断面図であり、
図2におけるA-A線に相当する箇所で切断している。同図では、ソファSの座部5の外装材52以外の箇所を想像線で示している。
図7及び
図8において、座部5の外装材52の外装布及び背凭れ6の外装布61は太線で示している。
図9は、本実施形態のソファSを示す分解斜視図であり、座部5の外装材52を想像線で示している。
図10は、本実施形態の座部5を示す底面側からの斜視図である。
図11は、
図7におけるX-X線に沿った断面の要部を拡大して示した図であり、座部5の外装材52は省略して示している。なお、図中において、背凭れ6を座部5に止着するための線ファスナ63、及び外装材52の下端近傍部における水平断面を変化させるための線ファスナ523はそれぞれ線で示している。
【0034】
このような構成のソファSであれば、フレーム1の背面フレーム部分Fを前傾させているので、背面フレーム部分Fの上端に手をかけて移動させることが容易になるとともに、壁や他のソファに傷を付ける不具合を抑制することもできる。その上、フレーム1上にソファ本体2を支持させており、フレーム1にキャスタ37を設けているので、可動性が高まり、フレーム1を把持して移動させることも容易となる。すなわち、新しい働き方に対応しようとした場合に生じる、流動的な家具の使用態様に対応しやすくできる。
【0035】
すなわち、背面フレーム部分Fを前傾させておくと、このソファSを建築壁や間仕切り壁等の鉛直な壁面に接近させて配置する場合、フレーム1の後脚32の下端32aが優先的に壁面に当接することになり、フレーム1の他の部分はその壁面から離間することになる。そのため、壁面等に傷を付けるのを有効に防止することができる。また、かかる構成によれば、背面フレーム部分Fの上端に位置する横架部材43と壁面との間に隙間が形成される。そのため、移動時にフレーム1と壁面との間で手を挟むのを防ぐことができるだけでなく、配置状態のソファSの横架部材43に手を掛けやすくなり、移動作業も円滑に行うことができる。
【0036】
さらに、背支持部4が、左右の後脚32の上端32bからそれぞれ上方に延出させた左右の背支桿41と、これら背支桿41の上端部間に架設された横架部材43とを備えたものであるため、軽量化が容易であり、しかも、横架部材43を、左右方向中央部43aが左右両端部43bよりも後方に位置するように湾曲させたものにしているため、ソファ本体2の背凭れ6をうまく受け止めて保持することができる。
【0037】
特にこの実施形態では、ソファ本体2を、座支持部3に載設された座部5と、この座部5の後縁側に配設された背凭れ6とを備えたものにし、背凭れ6の背面とフレーム2の横架部材43との間に背凭れ6の後方への弾性変形を許容するための隙間ssを形成しているため、背凭れ6の弾性変形を助長することができ、背凭れ6のクッション性をとりわけ良好なものにすることができる。
【0038】
また、背凭れ6は、その下縁が線ファスナ63を介して座部5に着脱可能に止着されたものであるため、背凭れ6を座部5から容易に取り外して交換やクリーニング等を行うことが可能となる。
【0039】
さらに、この実施形態では、フレーム2の背支桿41から突出させた連結桿44を座部5の枠体51に止着しているため、背面フレーム部分F全体の剛性を高くすることができ、移動などの際に好都合なものとなる。そして、この実施形態では、座部5を、外部から内部空間にアクセス可能な中空体状の枠体51と、この枠体51の外側を被覆する外装材52とを備えたものにするとともに、フレーム4を、枠体51内に挿入される連結桿44を有するものにしておき、その連結桿44を、外部から内部空間に挿入された止着具であるボルトv2により枠体51に止着するようにしている。そのため、フレーム1とソファ本体2との結合を容易に行うことができるだけでなく、連結桿44及びその止着部分を使用状態において完全に隠蔽することができる。したがって、外観を良好なものにすることもできる。
【0040】
そして、この実施形態では、座部5が、下端近傍部における水平断面が下端に向かって漸次狭くなる枠体51と、この枠体51の外側を被覆する外装材52とを備えたものであり、外装材52は、下端近傍部における水平断面を変化させるためのファスナ53を備えたものにしている。そのため、外装材52を枠体51に被せる際にはファスナ53を開放して(
図10の想像線参照)おき、外装材52が完全に枠材51に被さった段階でファスナ53を閉めると、外装材52は枠材51の外形に沿った形状となり、外装材52をシワなく枠材の外面に取り付けることができる。
【0041】
また、このソファSは、前脚31がキャスタ37を備えたものであり、そのキャスタ37の可動範囲を平面視における座部5の外縁5cの内側に収まるように設定しているので、キャスタ37同士の干渉を招くことなしに座部5の外縁5c同士を密に当接させて複数のソファSを配置することができる。
【0042】
なお、本発明は上述した実施形態に限らない。
【0043】
例えば、後脚と前記背支持部とからなる背面フレーム部分は、前記後脚の下端が最も後に位置するように前傾させているものであれば、上述した実施形態のような直線状のものに限らず、湾曲した形状であってもよい。また、背面フレーム部分の材質も金属製のものに限らず、木製や樹脂製のもの等でもよい。
【0044】
また、ソファ本体の座部及び背凭れは、背凭れが座部に対して着脱可能でなくこれらを一体に構成したものであってもよく、背凭れを座部に対して線ファスナ以外の手段、例えばホックや面ファスナ等の手段で着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0045】
フレームへのソファ本体の取付態様も上述した実施形態のものに限らない。但し、上述した実施形態のようなものであれば、フレームへのソファ本体の取付部分が外部から視認不可能であるので、外観を整ったものにできる。
【0046】
上述した実施形態では、背凭れの後方への弾性変形を許容しクッション性を高めるべく、背凭れの背面とフレームの横架部材との間に隙間が形成されているが、背凭れ自体のクッション性が高い場合には、背凭れの背面とフレームの横架部材とが隙間なく接するようにしてもよい。
【0047】
そして、上述した実施形態では、前脚にキャスタを備えているとともに、後脚に滑り止め機能を有した接地体が設けてあるが、前脚及び後脚の全てにキャスタを備えるようにしてもよい。
【0048】
加えて、背凭れを有しないソファに本発明を適用してもちろんよい。すなわち、
図12~
図15に示すソファS2のように、フレームF上にソファ本体2を支持させてなるソファにおいて、フレームFが、前脚31及び左右の後脚32を有する座支持部3と、後脚32の上端部すなわち上端32b近傍部同士を接続する横架部材30とを備えたものであり、前記後脚32と前記横架部材30とからなる背面フレーム部分Fを前傾させているとともに、ソファ本体2が、フレームFの座支持部3に載設された座部5を備えている構成を採用してもよい。なお、図中30aは横架部材の中央部であり、30bは同端部である。ここで、
図12はソファS2を示す正面図である。
図13は、同左側面図である。
図14は、同背面図である。
図15は、同平面図である。このソファS2は、背凭れ及びフレームの背支持部を有していない点以外は、
図1~
図11を参照しつつ上述した実施形態のソファSに準じた構成を有しているので、上述した実施形態におけるのソファSに対応する部位には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0049】
このようなものであっても、背面フレーム部分Fを前傾させているので、背面フレーム部分Fの上端に手をかけて移動させることが容易になるとともに、壁や他のソファに傷を付ける不具合を抑制することもできる。さらに、背面フレーム部分Fを前傾させていることから、安定性の向上を図るべく前脚31と後脚32との距離を確保しつつ、後脚32の上端部同士を接続する横架材30を少しでも前方すなわち内方に位置させて当該ソファの前後寸法のコンパクト化を図ることもできる。その上で、
図12~
図15に示すソファS2でも、フレームFにキャスタ37を設けているもので、可動性が高まり、フレームFを把持して移動させることも容易となる。すなわち、このような構成においても、新しい働き方に対応しようとした場合に生じる、流動的な家具の使用態様に対応しやすくできる。
【0050】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0051】
S、S0…ソファ
1…フレーム
2…ソファ本体
3…座支持部
31…前脚
32…後脚
32a…後脚の下端
4…背支持部
41…背支桿
43、30…横架部材
43a…横架部材の中央部
43b…横架部材の端部
44…連結桿
5…座部
51…枠体
52…外装材
5c…座部の外縁
6…背凭れ
63…線ファスナ
F…背面フレーム部分
P…仮想鉛直面
SP…(枠体の)内部空間
ss…隙間
v2…止着具(ボルト)