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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158854
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】組立て構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20231024BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20231024BHJP
   E04B 1/32 20060101ALI20231024BHJP
   E04C 2/36 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
E04B1/343 M
E04H1/12 A
E04B1/32 102D
E04B1/343 Q
E04C2/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068879
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】515351921
【氏名又は名称】村上 祐資
(71)【出願人】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐資
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CC07
2E162EA11
(57)【要約】
【課題】バランスが取れて安定した状態で組み立てることが可能な組立て構造物を提供する。
【解決手段】本発明の組立て構造物において、組立て構造物の高さ方向と直交する組立て構造物の前後方向、及び、高さ方向と前後方向のそれぞれと直交する組立て構造物の幅方向のうち、少なくとも一方向における両側の側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成され、4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、各々の側面部において、4つのパネルは、4つのパネルの各々の折り曲げ線を四辺とする四角形が側面部に現れた状態で組み合わされている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞部を有する組立て構造物であって、
前記組立て構造物の高さ方向と直交する前記組立て構造物の前後方向、及び、前記高さ方向と前記前後方向のそれぞれと直交する前記組立て構造物の幅方向のうち、少なくとも一方向における両側の側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成され、
前記4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、
各々の前記側面部において、前記4つのパネルは、前記4つのパネルの各々の前記折り曲げ線を四辺とする四角形が前記側面部に現れた状態で組み合わされている、組立て構造物。
【請求項2】
前記組立て構造物を真上から見た場合に、前記少なくとも一方向における一方の前記側面部の上縁と、他方の前記側面部の上縁とが、四辺が等しい四角形の外縁をなしている、請求項1に記載の組立て構造物。
【請求項3】
前記組立て構造物を真下から見た場合に、前記少なくとも一方向における一方の前記側面部の下縁と、他方の前記側面部の下縁とが、四辺が等しい四角形の外縁をなしている、請求項1又は2に記載の組立て構造物。
【請求項4】
前記組立て構造物の下端には、前記四辺が等しい四角形の形状をなす開口が設けられている、請求項3に記載の組立て構造物。
【請求項5】
前記前後方向における両側に設けられた第1側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成され、
前記第1側面部を構成する4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、
各々の前記第1側面部において、前記第1側面部を構成する4つのパネルは、当該4つのパネルの各々の前記折り曲げ線を四辺とする四角形が前記第1側面部に現れた状態で組み合わされており、
前記幅方向における両側に設けられた第2側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成され、
前記第2側面部を構成する4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、
各々の前記第2側面部において、前記第2側面部を構成する4つのパネルは、当該4つのパネルの各々の前記折り曲げ線を四辺とする四角形が前記第2側面部に現れた状態で組み合わされている、請求項1又は2に記載の組立て構造物。
【請求項6】
前記第1側面部は、
前記第1側面部を構成する前記4つのパネルの各々を前記折り曲げ線にて折り曲げることで形成され、前記前後方向の外側に向かって延びた延出部と、
前記延出部の先端部分に連続し、前記前後方向の内側に向かって折り返された折り返し部と、を備える、請求項5に記載の組立て構造物。
【請求項7】
前記第1側面部は、4つの前記延出部と、4つの前記折り返し部とを備え、
隣り合う2つの前記折り返し部に跨った状態で、隣り合う2つの前記折り返し部の各々に取り付けられる取付片をさらに備える、請求項6に記載の組立て構造物。
【請求項8】
それぞれの前記側面部を構成する前記4つのパネルの各々は、平面形状が二等辺三角形である第1部分と、前記折り曲げ線を介して前記第1部分と連続しており平面形状が正三角形である第2部分と、を有し、
前記4つのパネルの各々の前記第1部分の形状が、パネル間で合同であり、
前記4つのパネルの各々の前記第2部分の形状が、パネル間で合同である、請求項1又は2に記載の組立て構造物。
【請求項9】
前記組立て構造物の上端部に配置された錘形状の頂上部を備え、
前記頂上部は、前記少なくとも一方向における両側の前記側面部の上端に載置され、
前記頂上部の下端縁は、四辺が等しい四角形の外縁をなしている、請求項1又は2に記載の組立て構造物。
【請求項10】
前記頂上部は、4つの頂上部側面を有し、
前記4つの頂上部側面のそれぞれの形状は、二等辺三角形である、請求項9に記載の組立て構造物。
【請求項11】
前記頂上部は、2つ以上のパネルを組み合わせて構成され、
前記頂上部を構成する前記2つ以上のパネルの各々は、接合片を備え、前記2つ以上のパネルを組み合わせる際に前記接合片同士が連結し、
前記組立て構造物が、前記前後方向及び前記幅方向のいずれか一つの方向に沿って前記空洞部を通過することが可能な構造である場合に、連結した状態の前記接合片が、前記いずれか一つの方向と交差する方向に延在している、請求項9に記載の組立て構造物。
【請求項12】
前記4つのパネルの各々がダンボールからなる、請求項1又は2に記載の組立て構造物。
【請求項13】
ドーム型構造物に設けられたドーム側開口に前記延出部及び前記折り返し部が差し込まれることで、前記空洞部が前記ドーム型構造物の内部と連通する、請求項6に記載の組立て構造物。
【請求項14】
内部に空洞部を有する組立て構造物であって、
前記組立て構造物の高さ方向と直交する前記組立て構造物の前後方向、及び、前記高さ方向と前記前後方向のそれぞれと直交する前記組立て構造物の幅方向のうち、少なくとも一方向における両側の側面部の各々は、形状が合同である4つの三角形型の面を備え、
各々の前記側面部において、前記4つの三角形型の面は、前記4つの三角形型の面の各々の一辺からなる四辺が等しい四角形が前記側面部に現れた状態で配置されている、組立て構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネルを組み合わせることで構成され、内部に空洞部を有する組立て構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のパネルを組み合わせることで簡易的に構成される組立て構造物は、簡易居住スペース又は作業空間等のように、様々な用途で利用される。このような構造物は、内部に空洞部を有し、構造物の利用者は、空洞部内で行動したり、所定の行先へ向かう際に空洞部内を通過する。
【0003】
上記の組立て構造物の一例としては、特許文献1に記載の構造物が挙げられる。特許文献1に記載の構造物は、段ボール製の壁部及び屋根部を備え、これらの各々が複数のパネルを連結させることで構成され、構造物の内部では人が所定の作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-308956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の組立て構造物は、安定した構造になるように組み立てられるものであることが好ましい。つまり、上記の組立て構造物を構成する複数のパネルを組み合わせた際に、バランスが取れた構造であることが求められる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解決し、具体的には、バランスが取れて安定した状態で組み立てることが可能な組立て構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の組立て構造物は、内部に空洞部を有する組立て構造物であって、組立て構造物の高さ方向と直交する組立て構造物の前後方向、及び、高さ方向と前後方向のそれぞれと直交する組立て構造物の幅方向のうち、少なくとも一方向における両側の側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成され、4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、各々の側面部において、4つのパネルは、4つのパネルの各々の折り曲げ線を四辺とする四角形が側面部に現れた状態で組み合わされていることを特徴とする。
上記のように構成された組立て構造物では、少なくとも一方向における両側の側面部の各々において、当該側面部を構成する4つのパネルが、各パネルの折り曲げ線を四辺とする四角形の周りに対称的に配置される。このような配置にて4つのパネルが組み合わせられることで、バランスが取れて安定した構造の組立て構造物を組み立てることができる。
【0008】
また、本発明の組立て構造物において、組立て構造物を真上から見た場合に、少なくとも一方向における一方の側面部の上縁と、他方の側面部の上縁とが、四辺が等しい四角形の外縁をなしてもよい。
また、本発明の組立て構造物において、組立て構造物を真下から見た場合に、少なくとも一方向における一方の側面部の下縁と、他方の側面部の下縁とが、四辺が等しい四角形の外縁をなしてもよい。
また、本発明の組立て構造物において、組立て構造物の下端には、四辺が等しい四角形の形状をなす開口が設けられてもよい。
【0009】
また、本発明の組立て構造物において、前後方向における両側に設けられた第1側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成されてもよい。この場合、第1側面部を構成する4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、各々の第1側面部において、第1側面部を構成する4つのパネルは、当該4つのパネルの各々の折り曲げ線を四辺とする四角形が第1側面部に現れた状態で組み合わされていると、好適である。
また、幅方向における両側に設けられた第2側面部の各々は、4つのパネルを組み合わせることで構成されてもよい。この場合、第2側面部を構成する4つのパネルの各々が有する折り曲げ線の長さがパネル間で等しく、各々の第2側面部において、第2側面部を構成する4つのパネルは、当該4つのパネルの各々の折り曲げ線を四辺とする四角形が第2側面部に現れた状態で組み合わされていると、好適である。
【0010】
また、本発明の組立て構造物において、第1側面部は、第1側面部を構成する4つのパネルの各々を折り曲げ線にて折り曲げることで形成され、前後方向の外側に向かって延びた延出部と、延出部の先端部分に連続し、前後方向の内側に向かって折り返された折り返し部と、を備えてもよい。
さらに、上記の構成において、第1側面部は、4つの延出部と、4つの折り返し部とを備えてもよい。この場合、隣り合う2つの折り返し部に跨った状態で、隣り合う2つの折り返し部の各々に取り付けられる取付片をさらに備えると、より好適である。
【0011】
また、本発明の組立て構造物において、それぞれの側面部を構成する4つのパネルの各々は、平面形状が二等辺三角形である第1部分と、折り曲げ線を介して第1部分と連続しており平面形状が正三角形である第2部分と、を有してもよい。この場合、4つのパネルの各々の第1部分の形状が、パネル間で合同であり、4つのパネルの各々の第2部分の形状が、パネル間で合同であってもよい。
【0012】
また、本発明の組立て構造物は、組立て構造物の上端部に配置された錘形状の頂上部を備えてもよい。この場合、頂上部は、少なくとも一方向における両側の側面部の上端に載置され、頂上部の下端縁は、四辺が等しい四角形の外縁をなしているとよい。
さらに、上記の構成において、頂上部は、4つの頂上部側面を有し、4つの頂上部側面のそれぞれの形状は、二等辺三角形であると、好適である。
さらにまた、上記の構成において、頂上部は、2つ以上のパネルを組み合わせて構成されてもよい。この場合、頂上部を構成する2つ以上のパネルの各々は、接合片を備え、2つ以上のパネルを組み合わせる際に接合片同士が連結してもよい。そして、組立て構造物が、前後方向及び幅方向のいずれか一つの方向に沿って空洞部を通過することが可能な構造である場合に、連結した状態の接合片が、いずれか一つの方向と交差する方向に延在していると好適である。
【0013】
また、本発明の組立て構造物において、4つのパネルの各々がダンボールからなるものであってもよい。
【0014】
また、本発明の組立て構造物において、ドーム型構造物に設けられたドーム側開口に延出部及び折り返し部が差し込まれることで、空洞部がドーム型構造物の内部と連通してもよい。
【0015】
また、前述した課題を解決するために、本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物は、内部に空洞部を有する組立て構造物であって、組立て構造物の高さ方向と直交する組立て構造物の前後方向、及び、高さ方向と前後方向のそれぞれと直交する組立て構造物の幅方向のうち、少なくとも一方向における両側の側面部の各々は、形状が合同である4つの三角形型の面を備え、各々の側面部において、4つの三角形型の面は、4つの三角形型の面の各々の一辺からなる四辺が等しい四角形が側面部に現れた状態で配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バランスが取れて安定した状態で組み立て可能な組立て構造物が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物とドーム型構造物からなる構造物ユニットの立面図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物とドーム型構造物からなる構造物ユニットの平面図である。
図3】ドーム型構造物の正面図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物の斜視図である。
図5】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物の第1の側面図である。
図6】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物の第2の側面図である。
図7】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物の平面図である。
図8】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物の底面図である。
図9図7のA-A断面を示す図である。
図10】前後方向における組立て構造物の一端部から取付片が取り外された状態を示す図であり、延出部及び折り返し部の拡大図である。
図11】ドーム型構造物に接続された状態の組立て構造物を示す図であり、組立て構造物の高さ方向と法線方向とする断面を示す図である。
図12A】取付片の第一例を示す平面図である。
図12B】取付片の第二例を示す平面図である。
図13A】取付片を取り付ける様子を示す斜視図である。
図13B】取付片が取り付けられた状態の折り返し部に作用するモーメントを示す断面図である。
図14】間仕切り部の外観を示す斜視図である。
図15】間仕切り部の使用状態を示す図であり、組立て構造物の幅方向と法線方向とする断面を示す図である。
図16】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物において側面部を構成するパネルの一つを示す図である(その1)。
図17】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物において側面部を構成するパネルの一つを示す図である(その2)。
図18】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物において頂上部を構成するパネルを示す図である。
図19】本発明の一つの実施形態に係る組立て構造物を組み立てる手順を示す図である。
図20】パネル同士を接合する手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態)について、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0019】
また、本明細書において、「同じ」、「同一」、「合同」、「等しい」、「均等」、「等分」、及び「等間隔」のそれぞれの意味には、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差の範囲が含まれ得る。
また、本明細書において、「垂直」、「直交」、及び「平行」のそれぞれの意味には、本発明が属する分野で一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な垂直、直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている場合も含まれ得る。
【0020】
[構造物ユニットについて]
本実施形態の組立て構造物は、図1及び2に示すように、ドーム型構造物110とともに構造物ユニット100を構成する。詳しく説明すると、構造物ユニット100は、ドーム型構造物110を複数有し、本実施形態の組立て構造物がドーム型構造物110の間に配置されてドーム型構造物110同士を連結する。以下では、本実施形態の組立て構造物を連結構造物10と称することとする。
【0021】
構造物ユニット100では、同一構造のドーム型構造物110が複数配置され、ドーム型構造物110の間に連結構造物10が配置される。つまり、ユニット内部では同じ構造が繰り返され、これにより、同一の機器(例えば、構造物内を撮影するカメラ等)を同じ要領で複数箇所に設置することができる。
【0022】
連結構造物10の説明に先立って、ドーム型構造物110の概略構成について説明すると、ドーム型構造物110は、図3に示すように、円筒状のドーム下部112の上に半球状のドーム上部114を載せて構成され、その内部に人、動物又は物等を収容可能である。ドーム下部112には、開口(以下、ドーム側開口116)が設けられており、ドーム側開口116を通じてドーム型構造物110の内部に出入りすることができる。
【0023】
ドーム側開口116は、ドーム下部112の周方向において略90度間隔で設けられている。また、本実施形態において、各ドーム側開口116の形状は、四角形、詳しくは、鉛直方向に延びた対角線と水平方向に延びた対角線とによって規定される正方形である。ただし、ドーム側開口116の形状は、正方形に限定されず、正方形以外の四角形、四角形以外の多角形、又は円若しくは楕円であってもよい。
【0024】
次に、連結構造物10の概略構成について説明する。なお、以下では、連結構造物10の各部の位置等を説明するにあたり、互いに直交する3つの方向を規定し、それぞれ、連結構造物10の高さ方向、前後方向及び幅方向と呼ぶこととする。ここで、高さ方向は、連結構造物10を地上で使用する場合には、連結構造物10の設置面に対して垂直な鉛直方向と一致する方向である。また、前後方向は、高さ方向と直交し、幅方向は、高さ方向及び前後方向のそれぞれと直交する。
なお、以下において連結構造物10の各部の位置等を説明する際には、特に断る場合を除き、連結構造物10が使用されているケースを想定して説明することとする。
【0025】
連結構造物10は、図4~8に示す外観を有し、図9に示すように、内部には空洞部Sを有する。また、連結構造物10は、図4及び5に示すように、連結構造物10の前後方向における両端部に開口12を有し、開口12を通じて空洞部Sに出入りすることができる。本実施形態において、開口12の形状は、ドーム側開口116と同じ形状であり、すなわち、鉛直方向に延びた対角線と水平方向に延びた対角線によって規定される正方形である。ただし、ドーム側開口116の形状は、ドーム側開口116の形状に応じたものであればよく、正方形以外の形状、例えば、正方形以外の四角形又は円等でもよい。
【0026】
そして、連結構造物10は、前述したように、ドーム型構造物110の間に配置されてドーム型構造物110同士を連結する。この際、連結構造物10は、それぞれの開口12がドーム側開口116と隣り合うように配置される。これにより、空洞部Sがドーム型構造物110の内部と連通し、具体的には、空洞部Sがドーム型構造物110の間の連絡通路を構成する。つまり、連結構造物10の前後方向に沿って空洞部S内を通過することで、ドーム型構造物110の間を往来することができる。
【0027】
ここで、ドーム型構造物110における一つのドーム側開口116の中央(詳しくは、ドーム側開口116の外縁がなす正方形における対角線の交点)と、その反対側のドーム側開口116の中央とを結んだ仮想線は、水平方向に直線状に延出する。また、連結構造物10において、前端部に設けられた開口12の中央(詳しくは、開口12の外縁がなす正方形における対角線の交点)と、後端部に設けられた開口12の中央とを結んだ仮想線は、水平方向に沿って直線状に延出する。これにより、連結構造物10の拡張性を向上させ、構造物ユニット100において連結構造物10を効率よく配置することができる。
【0028】
具体的に説明すると、連結構造物10をドーム型構造物110に接続させた状態では、ドーム側開口116の中央同士を結んだ仮想線と、開口12の中央同士を結んだ仮想線とが一直線上に並ぶ。このような関係を満たすことにより、互いに直交する2つの方向のそれぞれに複数のドーム型構造物110を並べてドーム型構造物110の間を連結構造物10によって連結することができる。つまり、構造物ユニット100において、ドーム型構造物110と連結構造物10とを正方格子状に配置することができる。この結果、例えば、構造物ユニット100と連結構造物10とが斜め格子状に並ぶ場合に比べて、構造物ユニット100をよりコンパクトに配置することができる。
【0029】
[連結構造物の構造について]
連結構造物10の構造について、図4~9を参照しながら説明する。
連結構造物10は、後述する複数のパネルを用いて組み立てられ、図4~8に示すように本体部14と頂上部16とを備える。以下、本体部14及び頂上部16のそれぞれの構成を説明する。
【0030】
(本体部)
本体部14は、図5~8に示すように半正多面体、詳しくは立方八面体を変形させた形状をなす部分である。厳密に説明すると、本体部14は、連結構造物10の前後方向、幅方向及び高さ方向(以下、単に前後方向、幅方向、高さ方向と称する)において8つの正三角形型の部分と、6つの正方形型の部分とを対称的に配置した構造である。つまり、連結構造物10(特に、本体部14)は、前後方向、左右方向、及び高さ方向のそれぞれの方向において対称的であり、バランスが取れた安定性の高い構造である。
【0031】
本体部14の構成についてより詳しく説明すると、本体部14は、図5及び6に示す側面部21、22を有する。側面部21、22は、前後方向又は幅方向を正面方向として正面視した場合の本体部14の側面をなす部分である。以下では、前後方向から正面視した場合の側面部を第1側面部21と呼ぶこととし、幅方向から正面視した場合の側面部を第2側面部22と呼ぶこととする。
【0032】
前後方向における両側に位置する第1側面部21は、前側と後側との間で互いに対称な構成であり、それぞれの第1側面部21は、図4及び5に示すように、形状が合同である4つの正三角形型の面23を備える。それぞれの第1側面部21において、4つの正三角形型の面23は、4つの正三角形型の面23の各々の一辺からなる四辺が等しい四角形が第1側面部21に現れた状態で配置されている。この四角形は、正面視で2つの対角線が高さ方向及び幅方向に沿って延びた正方形Rであり、詳しくは前述の開口12に相当する。
【0033】
以上のように、第1側面部21において、4つの正三角形型の面23の各々は、その一辺を上記の正方形Rと共有し、換言すると、4つの正三角形型の面23の各々の一辺が、正方形状である開口12の外縁である四辺をなしている。これにより、第1側面部21は、高さ方向及び幅方向において対称な構成(詳しくは、各方向における本体部14の中心線を境に線対称な構成)となる。
【0034】
幅方向における両側に位置する第2側面部22は、左側(一端側)と右側(他端側)との間で互いに対称な構成であり、それぞれの第2側面部22は、図6に示すように、形状が合同である4つの正三角形型の面23を備える。それぞれの第2側面部22において、4つの正三角形型の面23は、4つの正三角形型の面23の各々の一辺からなる四辺が等しい四角形が第2側面部22に現れた状態で配置されている。この四角形は、正面視で2つの対角線が高さ方向及び幅方向に沿って延びた正方形Rである。この正方形Rの四辺の各々からは、図6に示すように、二等辺三角形型の面24が外側に向かって突出している。4つの二等辺三角形の面24は、互いに合同であり、それぞれの頂点部が1点に集合している。
【0035】
以上のように、第2側面部22において、4つの正三角形型の面23の各々は、その一辺を上記の正方形Rと共有し、換言すると、4つの正三角形型の面23の各々の一辺が、正方形Rの外縁である四辺をなしている。また、上記の正方形Rの内側には、形状が合同な4つの二等辺三角形型の面24が、頂点を共有した状態で配置されている。これにより、第2側面部22は、高さ方向及び前後方向において対称な構成(詳しくは、各方向における本体部14の中心線を境に線対称な構成)をなしている。
【0036】
なお、本実施形態において、第1側面部21に含まれる正三角形型の面23は、第2側面部22に含まれる正三角形型の面23として共有される。具体的に説明すると、例えば、前側及び後側の各々の第1側面部21に含まれる4つの正三角形型の面23のうち、幅方向一端側(左側)にある2面(計4面)は、幅方向一端側の第2側面部22に含まれる4つの正三角形型の面23として共有される。同様に、前側及び後側の各々の第1側面部21に含まれる4つの正三角形型の面23のうち、幅方向他端側(右側)にある2面(計4面)は、幅方向他端側の第2側面部22に含まれる4つの正三角形型の面23として共有される。
【0037】
また、連結構造物10を真上から見た場合の本体部14の上面部25と、連結構造物10を真下から見た場合の本体部14の下面部26とは、互いに対称な構成であり、図7及び8に示すように、それぞれ、形状が合同である4つの正三角形型の面23を備える。上面部25及び下面部26のそれぞれにおいて、4つの正三角形型の面23は、4つの正三角形型の面23の各々の一辺からなる四辺が等しい四角形が上面部25/下面部26に現れた状態で配置されている。この四角形は、2つの対角線が前後方向及び幅方向に沿って延びた正方形Rであり、詳しくは開口である。つまり、本体部14の下端(すなわち、連結構造物10の下端)、及び本体部14の上端には、それぞれ、四辺が等しい四角形の形状をなす開口が設けられている。
なお、以下では、本体部14の下端に設けられた開口を下端開口18と呼ぶこととする。
【0038】
以上のように、本体部14の上面部25及び下面部26において、4つの正三角形型の面23の各々は、その一辺を上記の正方形Rと共有し、換言すると、4つの正三角形型の面23の各々の一辺が、正方形状である開口の外縁である四辺をなしている。これにより、上面部25及び下面部26は、それぞれ、前後方向及び幅方向において対称な構成(詳しくは、各方向における本体部14の中心線を境に線対称な構成)となる。
【0039】
また、本体部14の下面部26に下端開口18が設けられていることで、下面部26の汚れ及び破損等が生じにくくなり、汚れや破損等に起因する修繕又はメンテンナンスが不要となるため、連結構造物10が管理し易くなる。また、下端開口18を通じて電気配線及び通気路を連結構造物10内に引き込むことができるので、連結構造物10内で電気機器及び換気装置等が利用可能となる。また、下端開口18が設けられていることで、地上又は地中に設置された設備(例えば、トイレ等)の上に連結構造物10を置くことで、その設備を連結構造物10の内部(空洞部S内)で利用することができる。
【0040】
また、本実施形態において、第1側面部21に含まれる正三角形型の面23は、上面部25及び下面部26に含まれる正三角形型の面23として共有される。具体的に説明すると、例えば、前側及び後側の各々の第1側面部21に含まれる4つの正三角形型の面23のうち、高さ方向において上側にある2面(計4面)は、上面部25に含まれる4つの正三角形型の面23として共有される。同様に、前側及び後側の各々の第1側面部21に含まれる4つの正三角形型の面23のうち、高さ方向において下側にある2面(計4面)は、下面部26に含まれる4つの正三角形型の面23として共有される。
【0041】
また、2つの第1側面部21の上端、及び2つの第2側面部22の上端は、いずれも本体部14の上端に相当する。つまり、連結構造物10を真上から見た場合に、一方の第1側面部21の上縁と、他方の第1側面部21の上縁とが、上面部25に現れる四辺が等しい四角形(厳密には、正方形R)の外縁をなしている。同様に、一方の第2側面部22の上縁と、他方の第2側面部22の上縁とが、上記の四角形(正方形R)の外縁をなしている。
【0042】
また、2つの第1側面部21の下端、及び2つの第2側面部22の下端は、いずれも本体部14の下端に相当する。つまり、連結構造物10を真下から見た場合に、一方の第1側面部21の下縁と、他方の第1側面部21の下縁とが、下面部26に現れる四辺が等しい四角形(厳密には、正方形R)の外縁をなしている。同様に、一方の第2側面部22の下縁と、他方の第2側面部22の下縁とが、上記の四角形(正方形R)の外縁をなしている。
【0043】
また、2つの第1側面部21の各々は、図4、5、7、8及び10に示すように、前後方向の外側に向かって延びた延出部27を備える。つまり、前側の第1側面部21に備えられた延出部27は、前方に延出しており、後側の第1側面部21に備えられた延出部27は、後方に延出している。
【0044】
延出部27は、フラップ状の断片部分であり、開口12の外縁の各辺、すなわち、第1側面部21に現れている四角形(詳しくは正方形R)の四辺の各々から延出している。つまり、各第1側面部21は、開口12の外縁に沿って配置された4つの延出部27を備えており、開口12は、4つの延出部27によって囲まれている。4つの延出部27は、互いに分離しており、換言すると、隣り合う2つの延出部27の間には、図10に示すように切れ目cが形成されている。これにより、各延出部27は、それぞれ、その基端である開口12の外縁の各辺を中心として回動可能である。この構成により、ドーム側開口部116への連結構造物10の連結を容易にし、連結精度を向上させることができる。
【0045】
また、2つの第1側面部21の各々は、図10に示すように、延出部27の先端部分に連続して前後方向の内側に向かって折り返された折り返し部28を備える。つまり、前側の第1側面部21に備えられた折り返し部28は、後方に向かって折り返され、後側の第1側面部21に備えられた折り返し部28は、前方に向かって折り返されている。
【0046】
各第1側面部21において、折り返し部28は、延出部27毎に設けられており、換言すると、各第1側面部21は、延出部27と同数、すなわち4つの折り返し部28を備える。4つの折り返し部28は、開口12の外縁に沿って開口12を囲むように配置されている。また、それぞれの折り返し部28は、折り返し部28と延出部27との境界線、すなわち延出部27の先端を中心として回動可能である。また、本実施形態では、前述したように、4つの延出部27が互いに分離し、延出部27の間に切れ目cが形成されているため、4つの折り返し部28も互いに分離し、隣り合う2つの折り返し部28の間に切れ目eが形成されている。これにより、各折り返し部28は、容易に折り返せるように、回動することができる。特に、各折り返し部28は、外側に折り返された際の弾性によりドーム側開口116の縁に係止されるため、連結構造物10のドーム側開口116への連結をより容易にし、連結精度を一層向上させることができる。
【0047】
そして、図11に示すように、連結構造物10をドーム型構造物110に接続する場合には、ドーム側開口116と対向する第1側面部21が備える4つの延出部27及び4つの折り返し部28がドーム側開口116に差し込まれる。そして、延出部27及び折り返し部28がドーム側開口116に差し込まれると、折り返し部28が、ドーム型構造物110の内壁面のうち、ドーム側開口116の縁領域に係止されるようになる。これにより、延出部27及び折り返し部28がドーム側開口116から抜け難くなり、連結構造物10とドーム型構造物110との接続状態を良好に維持することができる。また、ドーム側開口116の寸法に多少の誤差が生じたとしても、折り返し部28の弾性により上記の誤差を許容することができるので、ドーム型構造物110に対する連結構造物10の接続が一層容易になる。
【0048】
一方で、延出部27間の切れ目、及び折り返し部28間の切れ目が形成されていると、上記の切れ目が形成されていない場合に比べて本体部14の強度が低下し、切れ目から本体部14が裂ける虞がある。そのため、本実施形態では、図4、6、7及び8に示すように、取付片30が補強部品として設けられている。取付片30は、隣り合う2つの折り返し部28に跨った状態で、隣り合う2つの折り返し部28の各々に取り付けられている。
【0049】
取付片30は、図12A及び12Bに示すように、中心線を境に線対称であり、対象の2つの部分の各々は、矢羽根形状をなしたシート部31である。取付片30は、中心線が折り返し部28間の切れ目と対向する位置に配置され、それぞれのシート部31が2つ折りされた状態で取り付けられる。具体的には、図13Aに示すように、一方のシート部31が、隣り合う2つの折り返し部28の一方を挟み込み、他方のシート部31が、もう一方の折り返し部28を挟み込む。より詳しく説明すると、図13A及び13Bに示すように、二つ折りされたシート部31のうち、略半分の部分は、延出部27と折り返し部28の間に入り込み、残り半分の部分は、折り返し部28の外側で折り返し部28と隣接する。
【0050】
また、シート部31のうち、折り返し部28の外側で折り返し部28と隣接する部分の外縁には、図13Aに示すように差込み凸部32が複数設けられている。この差込み凸部32が、延出部27と折り返し部28との境界に形成された差込み孔29に差し込まれることで、取付片30は、折り返し部28に対して取り付けられる。
【0051】
本実施形態では、それぞれの第1側面部21に、隣り合う2つの折り返し部28の組が4組存在し、取付片30は、4組すべてに取り付けられる。すなわち、それぞれの第1側面部21には、4つの取付片30が設けられている。なお、本実施形態では、図12A及び12Bに示す二種類の取付片30が用いられ、種類に応じてシート部31のサイズ(横幅)が異なる。それぞれの第1側面部21では、前述したように、4つの取付片30が設けられるが、4つの取付片30のうち、相対する位置にある2つの取付片30は、バランスの観点から同一種類の取付片30であることが好ましい。
【0052】
以上のように取付片30が隣り合う2つの折り返し部28に跨った状態で取り付けられることにより、折り返し部28間の切れ目に起因する強度低下を抑え、また、折り返し部28の、折り返し形状によるバタつきを抑制することができる。これにより、折り返し部28の折り返し形状が略同一となり、この結果、ドーム側開口116への連結構造物10の連結がより容易になり、連結精度をより一層向上させることができる。
【0053】
また、二つ折りされたシート部31が折り返し部28を挟み込んだ状態で、差込み凸部32が差込み孔29に差し込まれると、図13Bに示すように、差込み孔29の形成位置を支点に折り返し部28を回動させようとするモーメント(図中、矢印にて表記)が作用する。このモーメントにより、折り返し部28は、内側(延出部27から遠ざかる側)に回動する。これにより、隣り合う2つの折り返し部28同士が接近して、互いに当接することが可能となる。これに伴い、隣り合う2つの延出部27同士も接近する。この結果、連結構造物10を設置した状態では、折り返し部28及び延出部27の自重に因る力が当接箇所で相殺される。これにより、隣り合う2つの折り返し部28が当接されずに外側(延出部27に近づく側)に開いた状態と比べて、第1側面部21の自立性(組立て後の姿勢の安定性)が向上する。
【0054】
また、本実施形態では、上記のモーメント力を好適に発生させる目的から、図12A及び図12Bに示すように、取付片30における各シート部31の、差込み凸部32が設けられている側とは反対側の端から当接凸部33が突出している。当接凸部33は、二つ折りされたシート部31が折り返し部28を挟み込んだ状態において、折り返し部28の内側から折り返し部28の回動支点と当接する(図13B参照)。つまり、シート部31の折り曲げ位置から当接凸部33の先端までの間隔(図12A及び12B中、記号tにて表記)は、折り返し部28の幅寸法以下であればよいが、取付片30が折り返し部28を確実に保持するためには折り返し部28の幅と略等しい長さであることが好ましい。なお、折り返し部28の幅とは、折り返し部28と延出部27との境界線と交差する方向における折り返し部28の長さである。
【0055】
(頂上部)
頂上部16は、連結構造物10の上端部に配置された錘形状の部分であり、複数のパネルを組み合わせることで構成される。頂上部16は、図4に示すように、前後方向における両側に配置された第1側面部21の上端、換言すると、幅方向における両側に配置された第2側面部22の上端に載置されている。
【0056】
頂上部16が設けられることで、連結構造物10の内部、すなわち、空洞部Sが高さ方向に拡張される。これにより、連結構造物10内の収容スペースを広げることができる。また、例えば、人が前後方向に空洞部S内を移動する際、身体を屈ませる必要がなくなり、あるいは屈ませる度合いを小さくすることができるため、空洞部S内を容易に移動することができる。
【0057】
本実施形態において、頂上部16は、図4及び7に示すように四角錘形状であり、4つの側面(以下、頂上部側面35)を有する。4つの頂上部側面35のそれぞれの形状は、二等辺三角形であり、各頂上部側面35の底辺が、頂上部16の下端縁を構成している。具体的に説明すると、4つの頂上部側面35の底辺は、図7に示すように、四辺が等しい四角形、より詳しくは正方形Rの外縁をなしている。この正方形Rは、本体部14の上端開口がなす正方形Rと合同である。つまり、頂上部16を本体部14の上に載置した状態では、図4に示すように頂上部16の下端と本体部14の上端とが一致している。
【0058】
また、図9に示すように、頂上部16の内壁面からは、頂上部16の内側に向かってリブ36が突出している。このリブ36は、頂上部16を構成する2つのパネル(詳しくは、頂上部パネル53)を組み合わせる際に、各パネルが備える側方接合片73同士を連結させることで構成される。本実施形態において、リブ36、すなわち連結した状態の側方接合片73は、図9に示すように幅方向に延在しており、連結構造物10内を通過する際の移動方向である前後方向と交差(詳しくは、直交)する方向に延在している。このようにリブ36の延在方向が前後方向と交差していることで、連結構造物10内を前後方向に移動する際には、頂上部16の頂点の真下位置を通過する場合にのみリブ36の下を通るため、連結構造物10内での移動に対するリブ36の影響を極力小さくすることができる。これにより、連結構造物10内を移動するのに必要となる空間の減少を、最小限にすることができる。
【0059】
[間仕切り部]
本実施形態では、図11に示すように、連結構造物10の付属品として間仕切り部40が利用可能である。以下、間仕切り部40の用途及び構成等について、図11及び14~15を参照しながら説明する。
【0060】
間仕切り部40は、連結構造物10内にて開口12を塞ぐ用途に用いられ、本実施形態では、図14に示すように略三角柱形状の上側部41と、上側部41と上下対称な形状をなす下側部42を上下に並べて構成されている。ただし、これに限定されず、上側部41又は下側部42のいずれか一方によって間仕切り部40が構成されてもよい。その場合、間仕切り部40の高さは、上下方向における開口12の半分の位置まで遮ることができる高さであれば、開口12を通じた通気と、連結構造物10内の保温とを両立させることができる。
【0061】
間仕切り部40は、平面視で等脚台形状であり(図11参照)、側面視で三角形状である(図15参照)。間仕切り部40は、図14及び15に示すように、高さ方向に対して傾斜した表面43と、地面に対して垂直な裏面44とを有する。表面43は、連結構造物10の外側を向く面であり、裏面44は、その反対側の面である。また、図11に示すように、裏面44の横幅(幅方向の長さ)は、表面43の横幅より広くなっており、換言すると、間仕切り部40は、平面視した場合に裏面44に近付くにつれて横幅が広くなるテーパ形状をなしている。また、間仕切り部40の横幅(厳密には、裏面44の横幅)は、開口12の横幅より広く、詳しくは、開口12がなす正方形において幅方向に延びる対角線の長さよりも短い。
【0062】
以上のような構成の間仕切り部40は、図11及び15に示すように、連結構造物10内において、間仕切り部40の表面43又は裏面44が開口12と対向した状態で、開口12付近に配置される。この際、連結構造物10内に置かれた間仕切り部40を開口12に近付けて開口12付近に配置してもよい。この場合には、連結構造物10の内壁面のうち、開口12の縁領域に間仕切り部40の端部を接触させることで、開口12を通じて連結構造物10内に流入する外気を間仕切り部40によって遮ることができる。これにより、連結構造物10内の空洞部Sを保温することができる。また、空洞部Sの状況を連結構造物10の外側から見えにくくし(遮蔽し)、空洞部S内にいる人のプライバシーを保護することができる。
【0063】
また、連結構造物10の外側から開口12を通じて連結構造物10内に間仕切り部40を押し込んでもよい。この場合には、外気を遮断して空洞部Sの状況を遮蔽できるとともに、間仕切り部40を裏面44側から押すことで連結構造物10の外に出して開口12を開放することができる。これにより、緊急時には、開口12を通じて連結構造物10の外へ避難するための経路を確保することができる。
なお、連結構造物10の外側から間仕切り部40を連結構造物10内に押し込む場合には、間仕切り部40を裏面44側から開口12に接近させる形になる。
【0064】
本実施形態において、間仕切り部40において連結構造物10の外側を向く表面43は、傾斜面であるため、外気中の浮遊物等が表面43に付着したとしても、その付着物を連結構造物10の外側に排出することができる。
【0065】
[連結構造物を構成するパネルについて]
次に、連結構造物10を構成するパネルについて説明する。
連結構造物10の本体部14及び頂上部16の各々は、複数のパネルを組み合わせることで構成される。本実施形態において、各パネルは、ダンボールからなり、波型の紙である中芯を2枚の平坦な紙(ライナ)で挟んだ積層構造をなしている。パネルを構成するダンボールの紙質は、いかなるものでもよく、また、紙の表面には、種々のコーティングが施されてもよい。
【0066】
本体部14は、8枚のパネルを組み合わせることで構成され、8枚のパネルのうち、4枚のパネルによって一方の第1側面部21が構成され、残り4枚のパネルによって他方の第1側面部21が構成される。そして、2つの第1側面部21を接合することで本体部14が組み立てられる。また、本実施形態では、第1側面部21同士の接合に伴って2つの第2側面部22が組み立てられ、また、本体部14の上面部25及び下面部26が組み立てられる。2つの第2側面部22の各々、並びに、本体部14の上面部25及び下面部26の各々は、いずれも、4つのパネルによって構成される。
【0067】
それぞれの第1側面部21を構成する4つのパネルには、図16に示す第1本体部パネル51と、図17に示す第2本体部パネル52とがそれぞれ2つずつ含まれる。第1本体部パネル51と第2本体部パネル52とは、図16及び17に示すように、互いに鏡像関係にある。
なお、それぞれの第2側面部22を構成する4つのパネル、並びに、本体部14の上面部25及び下面部26の各々を構成する4つのパネルは、第1側面部21と同様、2つの第1本体部パネル51と2つの第2本体部パネル52とを含む。
【0068】
以上のように本体部14を構成する8枚のパネルは、合同又は鏡像関係にある形状であるため、パネルの取り扱い及び管理(保管を含む)等が容易となる。また、パネル同士を組み合わせる際には、パネル形状が合同又は鏡像関係であるので、同じ作業を繰り返せばよく、本体部14を容易に組み立てることができる。
【0069】
頂上部16は、図18に示す頂上部パネル53を2つ組み合わせることで構成される。2つの頂上部パネル53は、互いに合同である。このように頂上部16を構成する2枚のパネルが合同であるため、パネルの取り扱い及び管理等が容易となり、また、頂上部16を容易に組み立てることができる。
【0070】
次に、本体部14を構成するパネル、及び、頂上部16を構成するパネルのそれぞれの平面形状を説明する。ここで、パネルの平面形状は、パネルを展開した状態でパネルを真上から見た際のパネル単独の外形形状を意味し、本体部14又は頂上部16を組み立てた状態で見た場合のパネルの形状とは異なる。
【0071】
(第1本体部パネル及び第2本体部パネル)
第1本体部パネル51は、図16に示すように、二等辺三角形の第1部分54と、正三角形の第2部分55と、略台形の第3部分56と、四角形の第4部分57とを有する。第1部分54は、本体部14が組み立てられた状態では二等辺三角形型の面24をなす。第2部分55は、第1部分54と連続しており、第1部分54がなす二等辺三角形の底辺と一辺を共有し、本体部14が組み立てられた状態では正三角形型の面23をなす。また、図16に示すように、第1部分54と第2部分55との境界位置、すなわち共有される辺に相当する部位には、第1折り曲げ線L1が形成されている。
【0072】
第3部分56は、第2部分55がなす正三角形の一辺を介して第2部分55と連続しており、本体部14が組み立てられた状態では延出部27をなす。また、図16に示すように、第2部分55と第3部分56との境界位置には、第2折り曲げ線L2が形成されている。なお、第1折り曲げ線L1と第2折り曲げ線L2とは、本発明の「折り曲げ線」に相当する。
【0073】
第4部分57は、第2部分55とは反対側で第3部分56と連続しており、本体部14が組み立てられた状態では折り返し部28をなす。また、図16に示すように、第3部分56と第4部分57との境界位置には、第3折り曲げ線L3が形成されている。また、第3折り曲げ線L3上には、前述した差込み孔29をなす切り込みが一定間隔で複数設けられている。
【0074】
第1折り曲げ線L1、第2折り曲げ線L2及び第3折り曲げ線L3は、それぞれ、第1本体部パネル51を構成するダンボールの積層構造中の中芯において波型に形成された紙の目dの延在方向と交差して形成されている。紙の目dの延出方向とは、ダンボールに含まれる中芯の山又は谷が連続する方向であり、図16中、破線にて囲まれた円の内側に示された直線の延在方向である。各折り曲げ線が紙の目dの延在方向と交差しているため、各折り曲げ線にて第1本体部パネル51を折り曲げた際には復元力が適度に発生するとともに、第1本体部パネル51を各折り曲げ線に沿って折り曲げることができる。また、第3折り曲げ線L3には、差込み孔29をなす切り込みが複数設けられることで、取付片30の差込み凸部32を差込み孔29に挿入することができる。
【0075】
第1接合片58は、第1部分54の外縁のうち、第2部分55と共有する辺以外の2辺のうちの一つから延出した四角形状の断片である。第2接合片59は、第1部分54の外縁のうち、第2部分55と共有する辺以外の2辺のうち、もう一つの辺から延出した三角形状の断片である。第3接合片60は、第2部分55がなす正三角形の三辺のうち、第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2とは異なる位置にある辺から延出した三角形状の断片である。
【0076】
第1接合片58、第2接合片59及び第3接合片60の各々は、それぞれの基端位置に形成された第4折り曲げ線L4にて折り曲げ可能である。また、各接合片には、図16に示すように、第1押し込み部61、位置合わせ穴62、及び締結穴63が設けられている。第1押し込み部61は、第1本体部パネル51と第2本体部パネル52とを接合する際に押し込まれる部分であり、基端から延出し、先端部分の横幅がそれ以外の部分(基端部)の横幅より長くなっている。また、第1押し込み部61は、その外縁のうち、基端を除く部分に沿って形成されたミシン目によって規定され、基端にて折り曲げ可能である。
【0077】
位置合わせ穴62は、第1本体部パネル51と第2本体部パネル52とを接合する際にパネル位置を合わせるための穴であり、第1押し込み部61の先端部に設けられている。締結穴63は、第1本体部パネル51と第2本体部パネル52とを接合する際にインシュロック等の結束具を通して接合片同士を締結するための穴であり、例えば、各接合片の延在方向の端部に設けられている。
【0078】
第2本体部パネル52は、図17に示すように、第1押し込み部61の代わりに第2押し込み部64を備えている点を除き、第1本体部パネル51の構成と同様の構成である。第2押し込み部64は、第1本体部パネル51と第2本体部パネル52とを接合する際に、第1押し込み部61と重ねられた状態で第2押し込み部64とともに押し込まれる部分であり、基端から延出し、略矩形状をなしている。また、第2押し込み部64は、その外縁のうち、基端を除く部分に沿って形成されたミシン目によって規定され、基端にて折り曲げ可能である。
【0079】
本実施形態では、上記の第1本体部パネル51を2つ、上記の第2本体部パネル52を2つ用い、計4つのパネルによって第1側面部21が構成され、同じく4つのパネルによって第2側面部22が構成される。また、上面部25及び下面部26の各々も上記4つのパネルによって構成される。
そして、本実施形態では、上記4つのパネルの各々が有する第1部分54、第2部分55、第3部分56及び第4部分57がパネル間で合同である。また、上記4つのパネルの各々に形成された第1折り曲げ線L1、第2折り曲げ線L2、及び第3折り曲げ線L3のそれぞれの長さが、パネル間で等しい。
【0080】
(頂上部パネル)
頂上部パネル53は、図18に示すように、2つの主面部71と、それぞれの主面部71の外縁から延出した下方接合片72及び側方接合片73と、を有する。主面部71は、二等辺角形の部分であり、頂上部16が組み立てられた状態では頂上部側面35をなす。また、2つの主面部71は、それぞれの底辺以外の一辺を共有するように連続しており、主面部71間の境界位置、すなわち共有される辺に相当する部位には、第5折り曲げ線L5が形成されている。
【0081】
下方接合片72は、二等辺三角形をなす主面部71の外縁のうち、底辺から延出した三角形状の断片である。2つの主面部71のうち、一方の主面部71から延出した下方接合片72には、図18に示すように、第1押し込み部61、位置合わせ穴62、及び締結穴63が設けられている。もう一方の主面部71から延出した下方接合片72には、図18に示すように、第2押し込み部64、位置合わせ穴62、及び締結穴63が設けられている。
【0082】
側方接合片73は、二等辺三角形をなす主面部71の外縁のうち、底辺以外の辺から延出した四角形状の断片である。2つの主面部71のうち、一方の主面部71から延出した側方接合片73には、図18に示すように、第1押し込み部61、位置合わせ穴62、及び締結穴63が設けられている。もう一方の主面部71から延出した側方接合片73には、図18に示すように、第2押し込み部64、位置合わせ穴62、及び締結穴63が設けられている。
【0083】
また、下方接合片72及び側方接合片73の各々は、それぞれの基端位置に形成された第6折り曲げ線L6にて折り曲げ可能である。
【0084】
本実施形態では、頂上部パネル53を2つ用いてパネル同士を組み合わせることによって頂上部16が構成される。また、2つの頂上部パネル53の各々が有する2つの主面部71、すなわち計4つの主面部71は、互いに合同である。
【0085】
[連結構造物の組み立て手順について]
次に、連結構造物10の組み立て手順について図19~20を参照しながら説明する。
【0086】
先ず、2つの第1本体部パネル51と2つの第2本体部パネル52とからなる4つのパネルを用意し、図19中、上段において一番左の図に示すように、各パネルを第1折り曲げ線L1に沿って折り曲げ角度が鈍角となるように山折り状に折り曲げる。また、第3部分56が第2部分55と交差する方向に延出するように各パネルを第2折り曲げ線L2に沿って谷折り状に折り曲げる。さらに、第4部分57を第3部分56に対して折り返すように各パネルを第3折り曲げ線L3に沿って山折り状に折り曲げる。さらにまた、各パネルに設けられた第1接合片58、第2接合片59及び第3接合片60の各々を第4折り曲げ線L4に沿って折り曲げる。これにより、第1本体部パネル51及び第2本体部パネル52の各々が、図19中、上段において左から二番目の図に示すようなパネルとなる。
【0087】
次に、上記の要領で折り曲げられた第1本体部パネル51及び第2本体部パネル52を、図19中、上段において左から三番目の図に示すように横に並べて配置する。その後、図19中、上段において左から四番目の図に示すように、それぞれのパネルが有する第4部分57(すなわち、折り返し部28)に対して取付片30を取り付ける。具体的に説明すると、取付片30が有する2つのシート部31をそれぞれ二つ折りし、一方のシート部31によって、第1本体部パネル51の第4部分57を挟み込む。また、もう一方のシート部31によって、第2本体部パネル52の第4部分57を挟み込む。その後、各シート部31の外縁に設けられた差込み凸部32を、第4部分57と第3部分56との境界位置(すなわち、第3折り曲げ線L3)状に形成された切り込み状の差込み孔29に差し込む。
以上の要領で、取付片30が、第1本体部パネル51及び第2本体部パネル52の各々の第4部分57に跨った状態で取り付けられる。これにより、横に並んだ第1本体部パネル51及び第2本体部パネル52が連結する。
【0088】
以上までの動作を再度繰り返すことにより、図19中、上段において一番右の図に示すように、第1本体部パネル51及び第2本体部パネル52を連結させてなるパネル連結体50が2組作成される。そして、同図に示すように、作成された2組のパネル連結体50を上下に並べてパネル連結体50同士を接合する。
【0089】
パネル連結体50同士を接合する際には、一方のパネル連結体50に含まれる第1本体部パネル51の第2接合片59と、他方のパネル連結体50に含まれる第2本体部パネル52の第2接合片59とを、それぞれの外縁が一致するように重ね合わせる。この際、各第2接合片59に設けられた位置合わせ穴62が合うように第2接合片59同士を重ね合わせることで、各第2接合片59が正しく位置決めされ、一方の第2接合片59が他方の第2接合片59と適切に対向する。
【0090】
そして、第2接合片59同士が重ね合わされた状態で、一方の第2接合片59に設けられた第1押し込み部61を、他方の第2接合片59側に押し込む。これにより、図20に示すように、第1押し込み部61が第2押し込み部64とともに折れ曲がり、第2押し込み部64が押し退けられることで形成される穴に入り込む。この穴に第1押し込み部61が完全に入り込むと、図20に示すように、第1押し込み部61の先端部分が上記の穴の縁部に係合する。このような第1接合片58の押し込み動作を、第2接合片59に設けられた複数の第1押し込み部61のすべてに対して行うことで、第2接合片59同士が連結される。これにより、上下に並ぶ2つのパネル連結体50が接合される。
【0091】
以上のように本実施形態では、第2接合片59同士が重ね合わされた状態で第1押し込み部61と第2押し込み部64を押し込むことで、第2接合片59同士を容易に連結させることができる。なお、第2接合片59同士をより強固に連結させる目的で、各第2接合片59に設けられた締結穴63にインシュロック等の結束具を通し、その結束具によって第2接合片59同士を結束してもよい。
【0092】
上記の手順により2つのパネル連結体50を連結した後には、図19中、下段において一番右の図に示すように、それぞれのパネル連結体50に含まれる各パネルの第4部分57(すなわち、折り返し部28)に対して、取付片30を取り付ける。具体的に説明すると、上記と同様の要領にて、取付片30を、上下に隣り合う2つの第4部分57に跨るように取り付ける。
【0093】
以上までの手順により、1つの第1側面部21が作成され、同様の手順を再度繰り返すことで、もう1つの第1側面部21が作成される。そして、図19中、下段において右から二番目の図に示すように、作成された2つの第1側面部21を前後に並べ、第1側面部21同士を接合する。
【0094】
第1側面部21同士を接合する際には、前側の第1側面部21に含まれる第1本体部パネル51の第1接合片58と、後側の第1側面部21に含まれる第2本体部パネル52の第1接合片58とを、それぞれの外縁が一致するように重ね合わせる。同様に、後側の第1側面部21に含まれる第1本体部パネル51の第1接合片58と、前側の第1側面部21に含まれる第2本体部パネル52の第1接合片58とを、それぞれの外縁が一致するように重ね合わせる。この際、各第1接合片58に設けられた位置合わせ穴62が合うように第1接合片58同士を重ね合わせることで、各第1接合片58が正しく位置決めされ、一方の第1接合片58が他方の第1接合片58と適切に対向する。
【0095】
そして、第1接合片58同士が重ね合わされた状態で、一方の第1接合片58に設けられた第1押し込み部61を、他方の第1接合片58側に押し込む。これにより、上記と同様の要領にて、第1接合片58同士が連結し、第1側面部21とが接合される。なお、第1接合片58同士をより強固に連結させる目的で、各第1接合片58に設けられた締結穴63にインシュロック等の結束具を通し、その結束具によって第1接合片58同士を結束してもよい。
【0096】
これまでに説明してきた一連の作業が終了した時点で、図19中、下段において一番左側の図に示すように、本体部14が完成する。完成した本体部14では、前後方向における両側に設けられた第1側面部21の各々において、第1側面部21を構成する4つのパネル(2つの第1本体部パネル51及び2つの第2本体部パネル52)が、各パネルの第2折り曲げ線L2を四辺とする四角形が第1側面部21に現れた状態で組み合わされている。この四角形は、四辺が等しい四角形であり、詳しくは正面視で正方形Rである。
【0097】
また、幅方向における両側に設けられた第2側面部22の各々において、第2側面部22を構成する4つのパネル(2つの第1本体部パネル51及び2つの第2本体部パネル52)が、各パネルの第1折り曲げ線L1を四辺とする四角形が第2側面部22に現れた状態で組み合わされている。この四角形は、四辺が等しい四角形であり、詳しくは正面視で正方形Rである。
【0098】
本体部14の完成後、頂上部16を本体部14の上に組み付ける。具体的に説明すると、2つの頂上部パネル53を用意し、図19に示すように、それぞれの頂上部パネル53を第5折り曲げ線L5に沿って山折り状に折り曲げる。このとき、頂上部パネル53は、頂上部パネル53を真上から見た場合の折り曲げ角度が略90度となるように折り曲げられる。また、各頂上部パネル53に設けられた下方接合片72及び側方接合片73の各々を第6折り曲げ線L6に沿って折り曲げる。
【0099】
その後、本体部14における2つの第1側面部21のそれぞれの直上位置に、上記の要領で折り曲げられた頂上部パネル53を1つずつ配置し、第1側面部21と頂上部パネル53とを接合する。具体的には、第1側面部21の上端に配置された第3接合片60と、頂上部パネル53の下方接合片72とを、それぞれの外縁が一致するように重ね合わせる。この際、第3接合片60と下方接合片72のそれぞれに設けられた位置合わせ穴62が合うように接合片同士を重ね合わせることで、各接合片が正しく位置決めされ、第3接合片60が下方接合片72と適切に対向する。
【0100】
その後、第3接合片60と下方接合片72とが重ね合わされた状態で、一方の接合片に設けられた第1押し込み部61を、もう一方の接合片側に押し込む。これにより、上記と同様の要領にて、第3接合片60と下方接合片72が連結し、第1側面部21と頂上部パネル53とが接合される。なお、第3接合片60と下方接合片72とをより強固に連結させる目的で、各接合片に設けられた締結穴63にインシュロック等の結束具を通し、その結束具によって第3接合片60と下方接合片72とを結束してもよい。
【0101】
その後、前側の第1側面部21に接合された頂上部パネル53と、後側の第1側面部21に接合された頂上部パネル53とを組み合わせる(詳しくは、接合する)。
頂上部パネル53同士を組み合わせる際には、前側の頂上部パネル53に備えられた側方接合片73と、後側の頂上部パネル53に備えられた側方接合片73とを重ね合わせる。この際、各側方接合片73に設けられた位置合わせ穴62が合うように側方接合片73同士を重ね合わせることで、各側方接合片73が正しく位置決めされ、一方の第1接合片58が他方の第1接合片58と適切に対向する。
【0102】
そして、側方接合片73同士が重ね合わされた状態で、一方の側方接合片73に設けられた第1押し込み部61を、他方の側方接合片73側に押し込む。これにより、上記と同様の要領にて、側方接合片73同士が連結して頂上部パネル53同士が接合される。なお、側方接合片73同士をより強固に連結させる目的で、各側方接合片73に設けられた締結穴63にインシュロック等の結束具を通し、その結束具によって側方接合片73同士を結束してもよい。
【0103】
以上までの手順により頂上部パネル53同士が組み合わされた時点で頂上部16が完成し、本体部14の上に載せられた状態で本体部14に組み付けられる。完成した頂上部16の内壁面からは、側方接合片73同士が連結することで構成されたリブ36が、空洞部Sの内側に向かって突出している(図9参照)。本実施形態では、側方接合片73同士が前後方向に並んだ状態で接合されているため、必然的に、リブ36が幅方向に延出し、前後方向には延出しないことになる。
【0104】
そして、上述した一連の作業が終了した時点で連結構造物10が完成する。本実施形態では、前述したように、複数のパネルを組み合わせて連結構造物10を組み立てることができるため、連結構造物10の作成及び設置等をより容易に行うことができる。
【0105】
一方で、連結構造物10が複数のパネルに分かれると、連結構造物10が一部品によって構成される場合に比して、連結構造物10の強度が低下し得る。これに対して、本実施形態では、各パネルが備える接合片同士を連結させることでパネル同士を接合する構成となっている。これにより、連結した接合片同士が補強用のリブとして機能し、強度の低下が抑えられる。このように本実施形態に係る連結構造物10は、組立性及び強度を兼ね備えている。
【0106】
[その他の実施形態]
以上までに本発明の組立て構造物について具体例を挙げて説明してきたが、上述の実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられ得る。
【0107】
上述の実施形態では、本発明の組立て構造物の一例として、ドーム型構造物110の間に配置されてドーム型構造物110同士を連結し、ドーム型構造物110間の連絡通路をなす連結構造物10を説明した。ただし、本発明の組立て構造物は、連結構造物10には限定されず、ドーム型テント等のように、それ単独で利用可能な構造物であってもよい。
【0108】
上述の実施形態では、連結構造物10が前後方向において開口12を有し、連結構造物10内の空洞部Sが前後方向に通過可能である一方で、幅方向における両側が閉じた(閉塞端である)構造であることとした。ただし、これに限定されず、連結構造物10は、上述の実施形態とは前後方向及び幅方向が入れ替わった構成であってもよい。
【0109】
上述の実施形態では、前後方向における両側の第1側面部21のそれぞれにおいて、第1側面部21を構成する4つのパネルの各々の折り曲げ線(詳しくは、第2折り曲げ線L2)を四辺とする四角形が現れている。また、上述の実施形態では、幅方向における両側の第2側面部22のそれぞれにおいて、第2側面部22を構成する4つのパネルの各々の折り曲げ線(詳しくは、第1折り曲げ線L1)を四辺とする四角形が現れている。ただし、これに限定されず、前後方向及び幅方向のうち、いずれか一方向における両側の側面部において、当該側面部21を構成する4つのパネルの各々の折り曲げ線(詳しくは、第1折り曲げ線L1又は第2折り曲げ線L2)を四辺とする四角形が現れる構成でもよい。
【0110】
上述の実施形態では、第1側面部21及び第2側面部22に現れる四角形が、正面視で正方形Rであり、詳しくは、一つの対角線が鉛直方向に沿った正方形であることとした。ただし、各側面部に現れる四角形は、四辺が等しい四角形であればよく、例えば、鉛直方向に沿った辺を有する正方形でもよく、あるいは、菱形等の正方形以外の四角形でもよい。
【0111】
上述の実施形態では、連結構造物10の下端に開口(下端開口18)が設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。連結構造物10の下端は、閉じた構成でもよく、例えば、連結構造物10の下端、すなわち底部が着脱自在なシートによって構成されてもよい。この場合、連結構造物10が設置される地面の状態に合わせて底部を取り付けることができ、連結構造物10の使用状況をより快適にすることができる。
【0112】
上述の実施形態では、本体部14の上端に錘形状の頂上部16が組み付けられた構成の連結構造物10について説明したが、これに限定されるものではない。本発明の組立て構造物は、頂上部16を備えない代わりに本体部14の上端が閉じた構造(例えば、本体部14の上端の開口が平板等によって塞がれた構造)であってもよい。
【0113】
上述の実施形態では、本体部14を構成するパネルの数が8つであり、そのうち、1つの側面部(詳しくは、第1側面部21及び第2側面部22のそれぞれ)を構成するパネルの数が4つであることとした。ただし、これに限定されず、側面部を構成するパネル数は、1つ以上であればよい。
例えば、前後方向又は幅方向における両側の側面部の各々を、1枚のパネルを折り込むことで構成してもよい。この場合、各側面部は、形状が合同である4つの三角形型の面(上述の実施形態における正三角形型の面23に相当)を備え、各側面部において、4つの三角形型の面は、各三角形型の面の一辺からなる四辺が等しい四角形が側面部に現れた状態で配置されているとよい。これにより、1枚のパネルを折り込んで各側面部を構成する場合であっても、対称性を備えてバランスが取れた組立て構造物が実現される。
【0114】
上述の実施形態では、頂上部16を構成するパネルの数が2つであることとしたが、これに限定されず、2つ以上であればよく、例えば4つであってもよい。4つのパネルを組み合わせて頂上部16を構成する場合、各パネルが備える接合片(上述の実施形態における側方接合片73に相当)を2つ重ね合わせて接合片同士を連結させることで、リブ36が形成される。この場合、互いに異なる方向に延出する2つのリブ36が形成され、例えば、一方のリブ36の延出方向が前後方向と交差し、もう一方のリブ36の形成方向が前後方向に沿う。ここで、リブ36が連結構造物10の内壁面から突出している長さをリブ36の突出量とした場合、連結構造物10内での人の移動し易さの観点から、前後方向に沿うリブ36の突出量が、前後方向と交差するリブ36の突出量より小さくなっているのが好ましい。
【0115】
上述の実施形態では、延出部27及び折り返し部28を補強する目的で、取付片30を、隣り合う2つの折り返し部28に跨った状態で取り付けることとした。ただし、これに限定されず、上記の取付片30が取り付けられない構成でもよい。
【0116】
上述の実施形態では、各パネルが備える接合片同士を連結させる際に、接合片に設けられた第1押し込み部61及び第2押し込み部64を押し込んで接合片同士を連結させることとした。ただし、接合片同士を連結させる方法は、これに限定されず、インシュロック等の結束具によって接合片同士を結束してもよいし、接着剤等によって接合片同士を接着させてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 連結構造物(組立て構造物)
12 開口
14 本体部
16 頂上部
18 下端開口(開口)
21 第1側面部
22 第2側面部
23 正三角形型の面(三角形型の面)
24 二等辺三角形型の面
25 上面部
26 下面部
27 延出部
28 折り返し部
29 差込み孔
30 取付片
31 シート部
32 差込み凸部
33 当接凸部
35 頂上部側面
36 リブ
40 間仕切り部
41 上側部
42 下側部
43 表面
44 裏面
50 パネル連結体
51 第1本体部パネル
52 第2本体部パネル
53 頂上部パネル
54 第1部分
55 第2部分
56 第3部分
57 第4部分
58 第1接合片
59 第2接合片
60 第3接合片
61 第1押し込み部
62 位置合わせ穴
63 締結穴
64 第2押し込み部
71 主面部
72 下方接合片
73 側方接合片(接合片)
100 構造物ユニット
110 ドーム型構造物
112 ドーム下部
114 ドーム上部
116 ドーム側開口
c 切れ目
d 紙の目
e 切れ目
K 空隙
L1 第1折り曲げ線(折り曲げ線)
L2 第2折り曲げ線(折り曲げ線)
L3 第3折り曲げ線
L4 第4折り曲げ線
L5 第5折り曲げ線
L6 第6折り曲げ線
R 正方形
S 空洞部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20