(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158862
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】動物の飼育方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/035 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A01K1/035 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068890
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】514235307
【氏名又は名称】アニコム ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522158465
【氏名又は名称】DENBA JAPAN株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522158476
【氏名又は名称】株式会社フローエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 祐幸
(72)【発明者】
【氏名】坪内 千春
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良輝
(72)【発明者】
【氏名】後藤 錦隆
(72)【発明者】
【氏名】今村 龍男
(72)【発明者】
【氏名】近藤 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】石田 良輔
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101BB10
(57)【要約】
【課題】本発明は、動物の飼育方法を提供することを目的とする。
【解決手段】妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育する工程を備えることを特徴とする動物の飼育方法である。一日のうち、6時間以上、妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育することが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育する工程を備えることを特徴とする動物の飼育方法。
【請求項2】
一日のうち、6時間以上、妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育する請求項1記載の動物の飼育方法。
【請求項3】
前記電場が、電場を放出することで発生するものである請求項1記載の動物の飼育方法。
【請求項4】
前記電場が、交流電場である請求項1記載の動物の飼育方法。
【請求項5】
前記電場を発生させた空間が、電場を発生させたケージ、サークル又はハウスである請求項1記載の動物の飼育方法。
【請求項6】
前記ケージ、サークル又はハウスが、電場発生用の装置を備えたものである請求項5記載の動物の飼育方法。
【請求項7】
前記電場発生用の装置が、電極と電圧印加装置を備えた装置である請求項6記載の動物の飼育方法。
【請求項8】
前記電圧印加装置が、前記電極に20~100Hzの周波数の電圧を印加するものである請求項7記載の動物の飼育方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の飼育方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物、特に愛玩動物は、人間との関わりが深く、社会に欠かせないものとなっている。愛玩動物は、主にブリーダーによって繁殖・飼育されるが、出生した全ての個体が健康に育つことが何よりも大切である。
【0003】
日本では、住宅事情などを背景に小型の動物が好まれる傾向にある。最近では、動物の小型化がより一層進んでおり、超小型犬であるチワワ、小型の柴犬である豆柴、小型犬であるトイプードルの中でもさらに小型であるティーカッププードルなどが人気を博している。その他の犬種、あるいは犬に限らず他の動物においても小型のものが求められている。
【0004】
小型の動物は、愛嬌がある、人に危害を与える危険性が低い、食費が抑えられる、狭い家でも飼育ができるといった点から人気を得ていると考えられるが、一方で、小型の動物は、体に比べて頭部が大きく産道を通りにくいことから難産になることがあるなど繁殖が難しい面がある。また、出生時にあまりに体重が小さいと、抵抗力が弱く疾病に罹患したり、出生後まもなく亡くなってしまったりすることがある。
【0005】
特許文献1には、空間電位発生装置を有し、被育成物の周囲に交流電場を形成し、その交流電場内で被育成物を育成する育成装置が記載されているが、動物の出生直後の育成については何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/097591号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、出生後の動物の成長を促進する飼育方法、特に、低体重での出生であっても生育を促進することのできる動物の飼育方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、電場が形成されている空間内で妊娠中の動物や生後間もない動物を飼育する工程を備えることで、上記課題が解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]である。
[1]妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育する工程を備えることを特徴とする動物の飼育方法。
[2]一日のうち、6時間以上、妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育する[1]の動物の飼育方法。
[3]前記電場が、電場を放出することで発生するものである[1]の動物の飼育方法。
[4]前記電場が、交流電場である[1]の動物の飼育方法。
[5]前記電場を発生させた空間が、電場を発生させたケージ、サークル又はハウスである[1]の動物の飼育方法。
[6]前記ケージ、サークル又はハウスが、電場発生用の装置を備えたものである[5]の動物の飼育方法。
[7]前記電場発生用の装置が、電極と電圧印加装置を備えた装置である[6]の動物の飼育方法。
[8]前記電圧印加装置が、前記電極に20~100Hzの周波数の電圧を印加するものである[7]の動物の飼育方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、出生後の動物の成長を促進する飼育方法、特に、低体重での出生であっても生育を促進することのできる動物の飼育方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の動物の飼育方法は、妊娠中の動物又は日齢50日以下の動物を、電場を発生させた空間内で飼育する工程を備えることを特徴とするものである。
【0013】
[対象となる動物]
本発明の飼育方法の対象となる動物は、特に限定されず、ペットとして飼育される愛玩動物や家畜が好ましく、哺乳類が好ましく、犬や猫が特に好ましい。また、動物のうち、妊娠中の動物や出生直後の動物、特に日齢50日以下の動物を対象とする。妊娠中の動物としては、出産直前の動物が好ましい。日齢50日以下の動物としては、日齢40日以下の動物がより好ましく、日齢30日以下の動物がさらに好ましい。
【0014】
[電場を発生させた空間内で飼育する時間]
本発明の飼育方法は、対象となる動物を、電場を発生させた空間内で飼育する工程を備えるものである。電場を発生させた空間内で飼育する工程とは、例えば、電場を発生させた区域内に動物を入れておく工程である。一日中、電場を発生させた空間内にて動物を飼育してもよいが、必ずしも、一日中、電場を発生させた空間内にて動物を飼育する必要はない。電場を発生させた空間内で飼育する時間としては、一日のうち、6時間以上が好ましく、8時間以上がより好ましい。電場を発生させた空間内で飼育する時間以外の時間については、ごく一般的な空間において動物を飼育することでよい。例えば、対象となる動物を、一日のうち所定時間、電場を発生させたケージ、ハウス又はサークル内に入れておき、残りの時間は、ケージ、ハウス又はサークルの外で飼育する方法が挙げられる。また、対象となる動物を、睡眠中は電場を発生させたケージ、ハウス又はサークル内に入れておき、起きている時間は、当該ケージ、ハウス又はサークルの外に出すという方法も挙げられる。飼育する場所は、室内、室外のいずれでもよいが、衛生面、安全性、温度管理の観点から、室内の方が好ましい。
【0015】
[電場を発生させた空間]
電場を発生させた空間とは、例えば、電場を発生させた区域が挙げられる。所定時間、対象となる動物を電場にあてるために、区域としては、動物の移動を規制する柵、壁などで囲われていることが好ましい。電場を発生させた空間の例としては、例えば、電場を発生させたケージ、ハウス又はサークル内、電場を発生させた保育器、飼育器、ベッドが挙げられる。ある区域内に電場を発生させるには、電場発生装置を用いることが好ましい。電場としては、電場を放出することで形成されるものが好ましく、交流電場が好ましい。電場の強さとしては、8ボルト以上が好ましく、10ボルト以上がより好ましい。電場の強さの上限としては、4000ボルト以下が好ましく、3000ボルト以下がより好ましい。
【0016】
[好適な電場発生装置]
本発明において、電場発生装置を用いる場合、動物を飼育する区域内にわたって電場を発生可能な電場発生装置が好ましく、電場を空間内に放出することで電場を発生させるものが好ましく、交流電場を発生させるものがより好ましい。好適な電場発生装置としては、電極と電圧印加装置を備え、電極に電圧が印加されることで電極から電場が放出され、電場が形成される装置が挙げられる。そのような電場発生装置としては、電極に20~100Hzの周波数の電圧が印加されるものが好ましい。
【0017】
好適な電場発生装置の例としては、以下のような装置が挙げられる。
例えば、特許第5683032号に開示されている、一次コイルと二次コイルとを磁気的に結合して成るトランスと、二次コイルにおける電圧を調整するために二次コイルの一方の端子を一次コイルの一方の端子に戻すフィードバック制御回路と、二次コイルの出力に低周波振動を加えるために二次コイルの他方の端子に設けられた出力制御手段と、該出力制御手段を介して二次コイルの他方の端子に設けられた導電性材料から成る電場放出手段とを備え、接地電極を有さず、二次コイルに流れる電流が0.2A~0.002Aの範囲の微弱電流であり、前記二次コイルの他方の端子に設けられた電場放出手段の板面から空間に電場を放出するように構成された電場発生装置(空間電位発生装置)が挙げられる。このような装置において、導電性材料から成る電場放出手段は板状であることが好ましい。
【0018】
特許第5683032号に開示されているような電場発生装置(空間電位発生装置)の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、電場発生装置の好適例の構成を示す回路図である。図面に示すように、電場発生装置1は、一次コイル2及び二次コイル3を磁気的に結合してなるトランス4を備えている。二次コイル3の一方の端子3aは、二次コイル3における電圧を調整するためのフィードバック制御回路5を介して、一次コイル2の一方の端子2aに接続されており、二次コイル3の他方の端子(即ち、出力端子)3bには出力に低周波振動を加えるための出力制御手段6を介して電場放出手段8が接続されている。
図1中、符号7はAC入力コンセントを示している。前記電場放出手段8は、板状の導電性材料から成り、平板状でも湾曲していてもよい。また、電場放出手段8が板状である場合には、設置空間における空気の流れを妨害しないように、好ましくは、複数の開口や複数のスリット等が形成され得る。上記したように構成された電場発生装置1によれば、フィードバック制御回路5により二次コイル3側に発生した電流が一次コイル2にフィードバックされるので、少ない巻数で二次コイル3側に高い電圧を得ることができる。また、フィードバック制御回路5及び出力制御手段6は回路に遅延を生じさせるように構成されており、その結果、二次コイル3の出力に低周波振動が加えられる。電場発生装置1によれば、フィードバック制御回路5及び出力制御手段6の作用で、二次コイル3の出力に高い電圧が発生し、かつ、二次コイル3の出力に低周波振動が加えられるため、出力が端子3bの一線しかなくても、電場放出手段8から電位の低い部位(例えば、接地部位)に向けて良好に電場が放出され、電場放出手段8の周囲(具体的には電場放出手段8を中心に半径約1.5mの範囲)に高電圧の電場が形成される。
【0019】
また、別の好適な電場発生装置として、特許第5974377号に開示されている装置(空間電位発生装置)を挙げることができる。このような電場発生装置は、一次コイルと二次コイルとを磁気的に結合して成るトランスと、二次コイルにおける電圧を調整するために二次コイルの一方の端子を一次コイルの一方の端子に戻す制御回路と、二次コイルの出力に40~60Hzの低周波数の電圧を加えるように二次コイルの他方の端子に設けられた出力制御手段と、該出力制御手段を介して二次コイルの他方の端子に設けられた導電性材料から成る電場放出手段とを備え、接地電極を有さず、二次コイルに流れる電流が0.2A~0.002Aの範囲の微弱電流であり、前記電場放出手段が、該電場放出手段が、その周囲の空間に所定の電圧の電場を放出できる程度の絶縁性を有する絶縁部材で覆われ、前記電場放出手段から放出される電場により、電場放出手段の周囲空間に所定の電圧の電場を形成するように構成したことを特徴とするものである。絶縁部材として用いられる材料としては、限定するわけではないが、例えば、ゴム、ポリエチレン、アクリル、ポリカーボネート、段ボール、ポリエチレンテレフタラート(PET)又は木材等が挙げられる。電場放出手段は絶縁部材で完全に覆ってもよいが、例えば、小さい穴を有する板材で構成してもよい。この場合、穴の形状は特に限定されない。
また、好ましくは、前記電場放出手段は導電性板から成り得、前記導電性板の板面から空間に電場が放出されるように構成され得る。また、この場合、前記導電性板には、好ましくは、多数の開口が形成され得る。
さらに、このような電場発生装置によれば、電場放出手段が絶縁材料で覆われているため、電場放出手段からコロナ放電が生じることはないので、電場放出手段は導電性であれば必ずしも板状である必要はなく、例えば、棒状であっても、線状であってもよい。
電場放出手段が板状の場合には、絶縁材料は例えば、板状の電場放出手段を上下から挟むように構成され得、また、電場放出手段が棒状又は線状の場合には、絶縁材料は例えば、筒状に構成され得る。
【0020】
特許第5974377号に開示されているような電場発生装置(空間電位発生装置)の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、好適な電場発生装置の構成を示す回路図である。図面に示すように、電場発生装置1は、一次コイル2及び二次コイル3を磁気的に結合してなるトランス4を備えている。二次コイル3の一方の端子3aは、二次コイル3における電圧を調整するためのフィードバック制御回路5を介して、一次コイル2の一方の端子2aに接続されており、二次コイル3の他方の端子(即ち、出力端子)3bには出力に低周波振動を加えるための出力制御手段6を介して電場放出手段8が接続されている。
図2中、符号7はAC入力コンセントを示している。前記電場放出手段8は、導電性材料から成り、その形状は、棒状であっても、板状であってもよく、また、板状である場合には湾曲していてもよい。
また、電場放出手段8が板状である場合には、設置空間における空気の流れを妨害しないように、好ましくは、複数の開口や複数のスリット等が形成され得る。
さらに、電場放出手段8は、その周囲が絶縁部材9で覆われている。この絶縁部材9は、例えば、電場放出手段が板状の場合には、上下から板状の電場放出手段を挟むように構成され得、また、電場放出手段が線状又は棒状の場合には、電場放出手段を挿入することができる筒状体で構成され得る。
また、絶縁部材の絶縁性は、電場放出手段8における電圧値、当該電場放出手段8を接地して電場を形成すべき空間の大きさ及び前記空間に置かれる対象物への直接印加電圧の目標値(具体的には、好ましくは5V以上)に基づいて決められる。即ち、絶縁部材は電場放出手段を完全に絶縁するのではなく、少なくとも対象物に対して目的値の電圧が直接印加できる電場を形成するために必要な電圧の電場が放出できるように材質や厚さが決められ得る。
上記したように構成された空間電位発生装置1によれば、フィードバック制御回路5により二次コイル3側に発生した電流が一次コイル2にフィードバックされるので、少ない巻数で二次コイル3側に高い電圧を得ることができる。
また、フィードバック制御回路5及び出力制御手段6は回路に遅延を生じさせるように構成されており、その結果、二次コイル3の出力に低周波振動が加えられる。
これにより、電場放出手段が低周波で振動し、その振動が電場放出手段の周囲の空間に波動となって伝わるため、接地電極を備えてなく、かつ、電場放出手段が絶縁材料で覆われていることも相俟って、電場放出手段から放出される電場が、この波動によって電場放出手段の周りの空間に広範囲に広がることになり、電場放出手段の周囲空間に所定の電圧の電場が形成される。
このような電場発生装置1によれば、フィードバック制御回路5及び出力制御手段6の作用で、二次コイル3の出力に高い電圧が発生し、かつ、二次コイル3の出力に低周波振動が加えられるため、出力が端子3bの一線しかなく、接地電極を備えていないことも相俟って、電場放出手段8の周囲に生じる電場が絶縁破壊を起こして放電することなく、低周波振動による波動によって電荷が空間を伝搬して広がり、広い範囲に電場を形成することが可能になり、電場放出手段8から広範囲に良好に電場が放出され、電場放出手段8の周囲(具体的には電場放出手段8を中心に半径約1.5mの範囲)に高電圧の電場が形成される。また冷気又は風がある場合は電荷が広範囲に広がる為、その範囲も広げる事ができる。
また、電場放出手段を絶縁部材で覆うことにより、電場放出手段がむき出しになっている状態に比べて見た目の安心感が格段に上がり、さらに何等かの間違いで二次コイルに高い値の電流が流れてしまっても直接接触による感電の心配がなく、さらに、コロナ放電が生じる可能性を無くすことができる。
【0021】
また、別の好適な電場発生装置として、特許第6366882号に開示されている装置(空間電位発生装置)を挙げることができる。この電場発生装置は、電極部と、前記電極部に第1交流電圧を印加する電圧印加装置と、を備え、前記電圧印加装置は、交流電源により第2交流電圧が印加される一次コイルと、前記一次コイルと磁気的に結合された二次コイルと、を含むトランスと、前記二次コイルにおける電圧を調整するために前記二次コイルの一方の端子を前記一次コイルの一方の端子に戻すフィードバック制御回路と、前記二次コイルの出力に低周波振動を加えるために前記二次コイルの他方の端子に接続された出力制御部と、前記交流電源から入力される第3交流電圧の電圧値を、互いに異なる複数の種類の電圧値に切り替え、電圧値が切り替えられた前記第3交流電圧を前記第2交流電圧として前記一次コイルに印加することにより、前記第1交流電圧の電圧値を調整する電圧調整部と、を有し、前記電極部は、前記出力制御部を介して前記二次コイルの他方の端子に接続され、前記電圧調整部は、前記一次コイルの一方の端子又は前記一次コイルの他方の端子である第1端子と、前記交流電源と、の間にそれぞれ設けられ、且つ、互いに並列に接続された可変抵抗及びサージアブソーバーと、前記第1端子を、互いに並列に接続された前記可変抵抗及び前記サージアブソーバーを介して前記交流電源に接続するか、又は、前記第1端子を、互いに並列に接続された前記可変抵抗及び前記サージアブソーバーのいずれも介さずに前記交流電源に接続するかを切り替えるスイッチ素子と、を含むというものである。
【0022】
特許第6366882号に開示されているような電場発生装置(空間電位発生装置)の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、好適な電場発生装置の一例を示す回路図である。
図3に示す例では、電場発生装置は、トランス31と、フィードバック制御回路32と、出力制御部33と、出力端子34と、を有する。トランス31は、互いに磁気的に結合された一次コイル35と二次コイル36とを含む。
一次コイル35には、交流電源により交流電圧VL2が印加される。
図3に示す例では、交流電源として、AC入力コンセント37に接続された商用電源(図示は省略)が用いられる。
なお、AC入力コンセント37と一次コイル35との間には、ブレーカー38が設けられていてもよく、ブレーカー38と一次コイル35との間には、スイッチ素子39が設けられていてもよい。また、交流電源として、例えば電圧印加装置3の内部又は外部に設けられた二次電池その他の各種の直流電源を例えばインバータ回路により変換して得られる交流電源その他の各種の交流電源を用いることができる。
二次コイル36の一方の端子36aは、フィードバック制御回路32を介して、一次コイル35の一方の端子35aに接続されている。また、フィードバック制御回路32は、二次コイル36における電圧を調整する。言い換えれば、フィードバック制御回路32は、二次コイル36における電圧を調整するために、二次コイル36の一方の端子36aを、一次コイル35の一方の端子35aに戻す。
出力制御部33は、二次コイル36の他方の端子36bと、出力端子34と、の間に設けられている。また、出力制御部33は、二次コイル36の出力電圧に低周波振動を加える。言い換えれば、出力制御部33は、二次コイル36の出力電圧に低周波振動を加えるために、二次コイル36の他方の端子36bに接続されている。
電極部2は、導線よりなる給電線24(
図1参照)を介して、出力端子34、即ち、出力制御部33の二次コイル36の他方の端子36b側と反対側の端子に接続される。そのため、電極部2は、給電線24及び出力制御部33を介して二次コイル36の他方の端子36bに接続されることになる。
上記した電圧印加装置3によれば、フィードバック制御回路32により二次コイル36側に発生した電流が一次コイル35にフィードバックされるので、少ない巻数で二次コイル36側に高い電圧を得ることができる。また、フィードバック制御回路32及び出力制御部33は回路に遅延を生じさせるように構成されており、その結果、二次コイル36の出力に、例えば20~100Hzの低周波振動が加えられる。
また、フィードバック制御回路32により、二次コイル36の一方の端子36aを一次コイル35の一方の端子35aに接続して二次コイル36における電圧を調整するため、結果として、電場発生装置を小型化することができる。
【0023】
その他、電場発生装置の例として、国際公開第2006/054348号パンフレットに開示されている、内側電極と、内側電極の周囲に配置された外側電極とを設け、これら内側電極と外側電極との間を電場処理領域とし、各電極に同極性の交流電圧を印加することにより、電場処理領域にプラス電場とマイナス電場とを交互に発生させるように構成した電場発生装置、特許第4445594号公報に開示されている、棚板としての導電性電極を設け、前記導電性電極を庫外に設けた高電圧発生装置に接続したものであり、これにより、棚板としての導電性電極の周囲に静電場を発生させるように構成した電場発生装置、特開2012-207900号に開示された、貯蔵室に一対の電極を設け、一対の電極に電圧を印加することにより、貯蔵室内に電場を形成するように構成されている電場発生装置等が挙げられる。
【実施例0024】
DENBA JAPAN株式会社製の電場発生装置DENBA+を用いて、生後間もない小型犬の飼育を行った。DENBA+は、本体と電位マット(使用したのは、1200mm×1200mmの大きさのもの)を備え、電位マットからから半径1.5m、直径4~5mの範囲で電場を発生させることのできる装置である。
ミニチュアダックス、チワワ、トイプードルのそれぞれについて、同日に出生した子犬の兄弟の一部を出生直後から、DENBA Healthの電位マットを下に引いたサークル(1260mm×660mm)内で飼育し、他の兄弟をDENBA+を使用しないサークル内で飼育し、体重の変化を記録した。DENBA+の使用の有無以外の飼育条件は全て同一に揃えた。
結果を
図4~
図12に示す。
図4~
図12のグラフは、縦軸が対出生時体重の体重増加率であり、横軸が出生時の体重である。
【0025】
図4~
図12から明らかなように、DENBA+によって電場を発生させた空間内で飼育した個体の方が、電場を発生させない空間内で飼育した個体よりも体重増加率が高い傾向があった。特に出生時の体重が小さいもの(出生時の体重が70~120gの個体)について、電場の有無による体重増加率の差が顕著であった。なお、体重増加率の差は、日齢が大きくなるにつれて小さくなっていった。このことから、本発明によって、出生後の動物の成長を促進する飼育方法、特に、低体重での出生であっても生育を促進することのできる飼育方法が提供できることが裏付けられた。日齢が小さい早期の生育を促進することは、抵抗力の小さい個体の疾病罹患や死亡を避けることができるので好ましい。また、日齢が大きくなるにつれて体重増加率への影響が小さくなることは、小型の動物が好まれる現代において、成長後の個体の大きさを大きくなりすぎないようにするという観点から好ましい。