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特開2023-158863車両用灯具のレンズ体、及び車両用灯具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158863
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】車両用灯具のレンズ体、及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20231024BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20231024BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20231024BHJP
   F21S 43/247 20180101ALI20231024BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231024BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20231024BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231024BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20231024BHJP
   F21W 103/15 20180101ALN20231024BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231024BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231024BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/245
F21S43/247
F21V5/00 610
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21V8/00 340
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:15
F21W103:35
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068892
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一貴
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA48
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA06
3K244EA16
3K244EA19
3K244EB02
3K244EC02
3K244EC13
3K244EC14
3K244FA03
3K244FA07
(57)【要約】
【課題】各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制でき、その結果、見栄えの統一感を与えることができる車両用灯具のレンズ体等を提供する。
【解決手段】第1全反射領域TRef1aは、第1の光Ray1が第1出光領域A1から出光するように、第1の光を前記第1出光領域に向けて全反射する第1反射カットLC1を含み、第2全反射領域TRef1bは、前記第1の光が第2出光領域A2から出光するように、前記第1の光を前記第2出光領域に向けて全反射する平面形状の全反射面であり、前記第1出光領域は、当該第1出光領域から出光する前記第1の光を第1方向に制御する第2レンズカットLCA1を含み、前記第2出光領域は、当該第2出光領域から出光する前記第1の光を第2方向に制御する第3レンズカットLCA2を含む車両用灯具のレンズ体30。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入光部と、出光部と、第1導光部と、を含み、
前記出光部は、第1出光領域及び第2出光領域を含み、
前記第1導光部は、前記第1出光領域及び前記第2出光領域の後方に配置された第1全反射面を含み、前記第1入光部から入光した光である第1の光が前記第1全反射面に入射し、当該第1全反射面で全反射された前記第1の光が前記第1出光領域及び前記第2出光領域から出光するように前記第1の光を導光する導光部であり、
前記第1全反射面は、第1全反射領域と、第2全反射領域と、を含み、
前記第1全反射領域は、前記第1の光が前記第1出光領域から出光するように、前記第1の光を前記第1出光領域に向けて全反射する第1反射カットを含み、
前記第2全反射領域は、前記第1の光が前記第2出光領域から出光するように、前記第1の光を前記第2出光領域に向けて全反射する平面形状の全反射面であり、
前記第1出光領域は、当該第1出光領域から出光する前記第1の光を第1方向に制御する第2レンズカットを含み、
前記第2出光領域は、当該第2出光領域から出光する前記第1の光を第2方向に制御する第3レンズカットを含む車両用灯具のレンズ体。
【請求項2】
前記第1反射カットは、当該第1反射カットに入射する前記第1の光を、水平方向に関し、車両前後方向に延びる基準軸に対して第1角度傾斜した方向に制御する反射カットであり、
前記第1方向は、水平方向に関し、前記基準軸に対して前記第1角度より大きい第2角度傾斜した方向である請求項1に記載の車両用灯具のレンズ体。
【請求項3】
前記第1方向は、前記車両用灯具の視認角方向であり、
前記第2方向は、前記車両用灯具の正面方向である請求項2に記載のレンズ体。
【請求項4】
前記第2レンズカットの外形及び前記第3レンズカットの外形は、前記車両用灯具の正面視で同一又は略同一サイズの矩形形状である請求項3に記載の車両用灯具のレンズ体。
【請求項5】
前記第1出光領域は車幅方向外側に配置され、
前記第2出光領域は車幅方向内側に配置されている請求項4に記載の車両用灯具のレンズ体。
【請求項6】
第2入光部と、第2導光部と、をさらに含み、
前記出光部は、第3出光領域をさらに含んでおり、
前記第2導光部は、前記第3出光領域の後方に配置された第2全反射面を含み、前記第2入光部から入光した光である第2の光が前記第2全反射面に入射し、当該第2全反射面で全反射された前記第2の光が前記第3出光領域から出光するように前記第2の光を導光する導光部であり、
前記第2全反射面は、前記第2の光が前記第3出光領域から出光するように、前記第2の光を前記第3出光領域に向けて全反射する第4反射カットを含み、
前記第3出光領域は、当該第3出光領域から出光する前記第2の光を第3方向に制御する第5レンズカットを含む請求項1に記載の車両用灯具のレンズ体。
【請求項7】
前記第4反射カットは、当該第4反射カットに入射する前記第2の光を、水平方向に関し、車両前後方向に延びる基準軸に対して第3角度傾斜した方向に制御する反射カットであり、
前記第3方向は、水平方向に関し、前記基準軸に対して前記第3角度より大きい第4角度傾斜した方向である請求項6に記載の車両用灯具のレンズ体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のレンズ体と、
前記第1入光部から入光し前記第1導光部により導光され前記出光部から出光する光を発光する光源と、を備えた車両用灯具。
【請求項9】
前記光源は、ソケット型の光源である請求項8に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具のレンズ体、及び車両用灯具に関し、特に、各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制でき、その結果、見栄えの統一感を与えることができる車両用灯具のレンズ体、及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の前方に配置されるレンズ体であって、当該レンズ体内を導光され車両前方側面方向に照射される前記光源からの光が出光する突起部を含むレンズ体を備えた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに対して、本発明者は、出光領域に、当該出光領域から出光する光を互いに異なる方向(例えば、視認角方向、正面方向)に制御する複数のレンズカットを設けることを検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-178024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が検討したところ、出光領域に、当該出光領域から出光する光を互いに異なる方向(例えば、視認角方向、正面方向)に制御する複数のレンズカットを設けると、各々のレンズカットの形状が不均一となり、その結果、見栄え(特に、非点灯時、正面視での見栄え)の統一感を与えることが難しいことが判明した。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、出光領域に、形状が大きく異なる視認角用レンズカットを設けないで、当該出光領域から出光する光を互いに異なる方向(例えば、視認角方向、正面方向)に制御する複数のレンズカットを設けた場合でも、各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制でき、その結果、見栄えの統一感を与えることができるレンズ体、及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかるレンズ体は、第1入光部と、出光部と、第1導光部と、を含み、前記出光部は、第1出光領域及び第2出光領域を含み、前記第1導光部は、前記第1出光領域及び前記第2出光領域の後方に配置された第1全反射面を含み、前記第1入光部から入光した光である第1の光が前記第1全反射面に入射し、当該第1全反射面で全反射された前記第1の光が前記第1出光領域及び前記第2出光領域から出光するように前記第1の光を導光する導光部であり、前記第1全反射面は、第1全反射領域と、第2全反射領域と、を含み、前記第1全反射領域は、前記第1の光が前記第1出光領域から出光するように、前記第1の光を前記第1出光領域に向けて全反射する第1反射カットを含み、前記第2全反射領域は、前記第1の光が前記第2出光領域から出光するように、前記第1の光を前記第2出光領域に向けて全反射する平面形状の全反射面であり、前記第1出光領域は、当該第1出光領域から出光する前記第1の光を第1方向に制御する第2レンズカットを含み、前記第2出光領域は、当該第2出光領域から出光する前記第1の光を第2方向に制御する第3レンズカットを含む。
【0008】
このような構成により、出光領域に、形状が大きく異なる視認角用レンズカットを設ける必要がなく、当該出光領域から出光する光を互いに異なる方向(例えば、視認角方向、正面方向)に制御する複数のレンズカットを設けた場合でも、各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制でき、その結果、見栄え(特に、非点灯時、正面視での見栄え)の統一感を与えることができる。
【0009】
また、上記レンズ体において、前記第1反射カットは、当該第1反射カットに入射する前記第1の光を、水平方向に関し、車両前後方向に延びる基準軸に対して第1角度傾斜した方向に制御する反射カットであり、前記第1方向は、水平方向に関し、前記基準軸に対して前記第1角度より大きい第2角度傾斜した方向であってもよい。
【0010】
また、上記レンズ体において、前記第1方向は、視認角方向であり、前記第2方向は、正面方向であってもよい。
【0011】
また、上記レンズ体において、前記第2レンズカットの外形及び前記第3レンズカットの外形は、正面視で同一又は略同一サイズの矩形形状であってもよい。
【0012】
また、上記レンズ体において、前記第1出光領域は車幅方向外側に配置され、前記第2出光領域は車幅方向内側に配置されていてもよい。
【0013】
また、上記レンズ体において、第2入光部と、第2導光部と、をさらに含み、前記出光部は、第3出光領域をさらに含み、前記第2導光部は、前記第3出光領域の後方に配置された第2全反射面を含み、前記第2入光部から入光した光である第2の光が前記第2全反射面に入射し、当該第2全反射面で全反射された前記第2の光が前記第3出光領域から出光するように前記第2の光を導光する導光部であり、前記第2全反射面は、前記第2の光が前記第3出光領域から出光するように、前記第2の光を前記第3出光領域に向けて全反射する第4反射カットを含み、前記第3出光領域は、当該第3出光領域から出光する前記第2の光を第3方向に制御する第5レンズカットを含んでいてもよい。
【0014】
また、上記レンズ体において、前記第4反射カットは、当該第4反射カットに入射する前記第2の光を、水平方向に関し、車両前後方向に延びる基準軸に対して第3角度傾斜した方向に制御する反射カットであり、前記第3方向は、水平方向に関し、前記基準軸に対して前記第3角度より大きい第4角度傾斜した方向であってもよい。
【0015】
本開示にかかる車両用灯具は、上記レンズ体と、前記第1入光部から入光し前記第1導光部により導光され前記出光部から出光する光を発光する光源と、を備える。
【0016】
上記車両用灯具において、前記光源は、ソケット型の光源であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示により、出光領域に、形状が大きく異なる視認角用レンズカットを設ける必要がなく、当該出光領域から出光する光を互いに異なる方向(例えば、視認角方向、正面方向)に制御する複数のレンズカットを設けた場合でも、各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制でき、その結果、見栄えの統一感を与えることができるレンズ体、及び車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両用灯具10の横断面図である。
図2】第1灯具10aの正面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2のB-B断面図である。
図5図2のC-C断面図である。
図6】第1入光部31近傍の斜視図である。
図7図2のD-D断面図である。
図8図2のE-E断面図である。
図9】変形例1であるレンズ体30Aの縦断面図である。
図10】変形例2であるレンズ体30Bの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0020】
図1は、車両用灯具10の横断面図である。
【0021】
第1灯具10aは、ストップランプとして機能する車両用信号灯具で、自動車等の車両(図示せず)の後端部の左右両側にそれぞれ搭載される。第1灯具10aは、アウターレンズ40とハウジング50とによって構成される灯室S内に配置され、ハウジング50等に固定されている。図1中符号60が示すのはリフレクタ、符号70が示すのはインナーレンズである。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の後端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。以下、説明の便宜のため、図1等に示すように、XYZ軸を定義する。X軸は、車両前後方向に延びている。Y軸は、車幅方向に延びている。Z軸は、鉛直方向に延びている。
【0022】
図2は第1灯具10aの正面図、図3図2のA-A断面図、図4図2のB-B断面図、図5図2のC-C断面図である。
【0023】
図3図5に示すように、第1灯具10aは、光源20、光源20の前方に配置されたレンズ体30を備えている。
【0024】
光源20は、ソケット型の光源で、赤色光を発光する少なくとも1つのLED等の半導体発光素子を含む。光源20は、その発光面20aが車両後方を向いた状態でハウジング50等に着脱可能に取り付けられている。光源20の光軸AX20は、発光面20aの中心を通り、X軸方向に延びている。
【0025】
レンズ体30は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、第1入光部31、第2入光部32、出光部33、第1導光部34、第2導光部35を含む。
【0026】
図6は、第1入光部31近傍の斜視図である。
【0027】
図3図6に示すように、第1入光部31は、中央入光面31aと、この中央入光面31aの外周縁から光源20側に向かって延びる筒状の周囲入光面31bと、この周囲入光面31bの外側に配置された筒状の周囲反射面31cと、を含むキャップ型の入光部である。
【0028】
中央入光面31aは、光源20の光軸AX20に対して回転対称な凸レンズ面(光源20に向かって凸の凸レンズ面)で、光源20の発光面20aの中心近傍に焦点F31a図3参照)を有する。中央入光面31aは、当該中央入光面31aから入光する光源20からの光Ray31aを、光源20の光軸AX20に対して平行な光に変換(コリメート)する。
【0029】
周囲入光面31bは、中央入光面31aの外周縁から光源20側に向かって延びる筒状のレンズ面である。
【0030】
周囲反射面31cは、光源20の光軸AX20に対して回転対称な放物面形状の全反射面である。周囲反射面31cは、周囲入光面31bから屈折して入光し当該周囲反射面31cで全反射された光源20からの光Ray31bを、光源20の光軸AX20に対して平行な光に変換(コリメート)する。
【0031】
図3図5に示すように、光源20が発光した光の一部(Ray31a、Ray31b)は、第1入光部31(中央入光面31a、周囲入光面31b)から入光する。
【0032】
第1入光部31から入光した光Ray31a、Ray31bは、レンズ体30内を導光され、出光部33のうち第1入光部31の前方に配置された第4出光領域A4、第5出光領域A5、第6出光領域A6から正面方向(車両後方)に出光する。その際、第4出光領域A4から出光する光Ray31a、Ray31bは、当該第4出光領域A4に形成されたレンズカットLCA4(複数。図2参照)により制御される(例えば、上下左右方向に拡散される)。同様に、第5出光領域A5から出光する光Ray31a、Ray31bは、当該第5出光領域A5に形成されたレンズカットLCA5(複数。図2参照)により制御される(例えば、上下左右方向に拡散される)。同様に、第6出光領域A6から出光する光Ray31a、Ray31bは、当該第6出光領域A6に形成されたレンズカットLCA6(複数。図2参照)により制御される(例えば、上下左右方向に拡散される)。第4出光領域A4、第5出光領域A5、第6出光領域A6に施されるレンズカットLCA4、レンズカットLCA5およびレンズカットLCA6は、例えば、魚眼形状のレンズカット(魚眼カット)である。
【0033】
以上のように第4出光領域A4、第5出光領域A5、第6出光領域A6から出光する光により、ストップランプ用配光パターン(図示せず)が形成される。
【0034】
一方、図3図4に示すように、第1入光部31から入光した光Ray31a、Ray31bの一部は、第5出光領域A5と第6出光領域A6との間に配置された第3全反射面TRef3に入射する。第3全反射面TRef3は、平面形状の全反射面で、当該第3全反射面TRef3に入射した光Ray31a、Ray31bが下方向に向けて全反射されるように傾斜した状態で配置されている。
【0035】
図3図4に示すように、第3全反射面TRef3に入射した光Ray31a、Ray31b(以下、第1の光Ray1と呼ぶ)は、当該第3全反射面TRef3により全反射され、レンズ体30(第1導光部34)内を導光され(第1導光部34の途中に形成された正面側(図3中右側)に向かって狭まるV字型の溝部80(空気層)を通過し)、Y軸方向(水平方向)に関し互いに隣接配置された第1出光領域A1及び第2出光領域A2の後方に配置された第1全反射面TRef1に入射する。
【0036】
図7は、図2のD-D断面図である。
【0037】
図3図4図7に示すように、第1全反射面TRef1は、第1出光領域A1の後方に配置された第1全反射領域TRef1a、第2出光領域A2の後方に配置された第2全反射領域TRef1bを含む。第1全反射領域と第2全反射領域は、互いに隣り合って位置している。
【0038】
図7に示すように、第1全反射領域TRef1aは、当該第1全反射領域TRef1aに入射する第1の光Ray1(以下、第1の光Ray1aと呼ぶ)が第1出光領域A1から出光するように、第1の光Ray1aを第1出光領域A1に向けて全反射する反射カットLC1(本開示の第1反射カットの一例)を含む。具体的には、反射カットLC1は、当該反射カットLC1に入射した第1の光Ray1aを、水平方向に関し、車両前後方向に延びる基準軸AXに対して第1角度θ1傾斜した方向に制御するプリズム状の反射カットである。第1角度θ1は例えば20°である。これにより、反射カットLC1に入射した第1の光Ray1aは、基準軸AXに対して第1角度θ1傾斜した方向に反射され、第1出光領域A1に所定の入射角で入射するものとなる。
【0039】
一方、第2全反射領域TRef1bは、当該第2全反射領域TRef1bに入射する第1の光Ray1(以下、第1の光Ray1bと呼ぶ)が第2出光領域A2から出光するように、第1の光Ray1bを第2出光領域A2に向けて全反射する平面形状の全反射面である。第2全反射領域TRef1bは、レンズカットを含まない。
【0040】
第1全反射領域TRef1a(反射カットLC1)に入射した第1の光Ray1aは、当該第1全反射領域TRef1a(反射カットLC1)により車両前後方向に延びる基準軸AXに対して第1角度θ1傾斜した方向に全反射され、レンズ体30(第1導光部34)内を導光され、第1出光領域A1に到達する(図7参照)。
【0041】
第1出光領域A1は、当該第1出光領域A1から出光する第1の光Ray1aを制御するレンズカットLCA1(本開示の第2レンズカットの一例)を含む。第1の光Ray1aは、第1出光領域A1から出光する際、レンズカットLCA1の出射面から屈折し出射する。具体的には、レンズカットLCA1は、第1出光領域A1から出光する第1の光Ray1aを、水平方向に関し、基準軸AXに対して第1角度θ1より大きい第2角度θ2傾斜した方向である視認角方向(本開示の第1方向の一例)に制御するプリズム状のレンズカットである。第2角度θ2は例えば45°である。これにより、第1の光Ray1aが第1出光領域A1から出光する際、より大きい角度で横方向に出射することができる。
【0042】
以上のように、第1出光領域A1から出光する第1の光Ray1aは、当該第1出光領域A1に形成されたレンズカットLCA1(複数)により、水平方向に関し、基準軸AXに対して第1角度θ1より大きい第2角度θ2傾斜した方向である視認角方向(本開示の第1方向の一例)に照射される。図3図7で示すように、光源20から第1入光部31により取り込まれる第1の光Ray1aは、全反射されて、一度レンズ体30外に出射し溝部80(空気層)から再びレンズ体30に入射(入光)される。レンズ体30の第1導光部34に対して溝部80を設けることによって、第1の光Ray1aの反射回数を減らし、全反射による光線ロスを抑えることができる。また、第1の光Ray1aは、第1全反射面TRef1と第1出光領域A1の出射面にてそれぞれ基準軸AXに対して側方向に段階的に制御されて、所定の側方向へ配光することが可能となる。
【0043】
一方、第2全反射領域TRef1b(反射カットを含まない平面形状の全反射面)に入射した第1の光Ray1bは、当該第2全反射領域TRef1b(反射カットを含まない平面形状の全反射面)により第2出光領域A2に向けて全反射され、レンズ体30(第1導光部34)内を導光され、第2出光領域A2から出光する。
【0044】
第2出光領域A2は、当該第2出光領域A2から出光する第1の光Ray1bを制御するレンズカットLCA2(本開示の第3レンズカットの一例)を含む。具体的には、レンズカットLCA2は、第2出光領域A2から出光する第1の光Ray1bを、正面方向(車両後方。本開示の第2方向の一例)に制御する魚眼形状のレンズカット(魚眼カット)である。
【0045】
以上のように、第2出光領域A2から出光する第1の光Ray1bは、正面方向(車両後方。本開示の第2方向の一例)に照射される。その際、第2出光領域A2から出光する第1の光Ray1bは、当該第2出光領域A2に形成されたレンズカットLCA2(魚眼カット)により、上下左右後方に拡散される。この正面方向に照射される光は、ストップランプ用配光パターンの一部を形成する。
【0046】
図3図6に示すように、第2入光部32は、第1入光部31の下部、すなわち、中央入光面31aの下部及び周囲入光面31bの下部に形成されている。
【0047】
第2入光部32は、光源20の光軸AX20に対して角度θ5(図3参照)傾斜した軸AX32に対して回転対称な凸レンズ面(光源20に向かって凸の凸レンズ面)で、光源20の発光面20aの中心近傍に焦点F32を有する。第2入光部32は、当該第2入光部32から入光する光源20からの光(以下、第2の光Ray2と呼ぶ)を、光源20の光軸AX20に対して角度θ5傾斜した軸AX32に対して平行な光に変換(コリメート)する。
【0048】
第2入光部32から入光した第2の光Ray2は、レンズ体30(第2導光部35)内を導光され、第3出光領域A3の後方に配置された第2全反射面TRef2に入射する。
【0049】
図8は、図2のE-E断面図である。
【0050】
図8に示すように、第2全反射面TRef2は、第2の光Ray2が第3出光領域A3から出光するように、第2の光Ray2を第3出光領域A3に向けて全反射する反射カットLC2(本開示の第4反射カットの一例)を含む。具体的には、反射カットLC2は、当該反射カットLC2に入射する第2の光Ray2を、水平方向に関し、車両前後方向に延びる基準軸AXに対して第3角度θ3傾斜した方向に制御するプリズム状の反射カットである。第3角度θ3は例えば30°である。これにより、反射カットLC2に入射した第2の光Ray2は、基準軸AXに対して第3角度θ3傾斜した方向に反射され、第3出光領域A3に所定の入射角で入射するものとなる。
【0051】
以上のように、第2全反射面TRef2(反射カットLC2)に入射した第2の光Ray2は、当該第2全反射面TRef2(反射カットLC2)により車両前後方向に延びる基準軸AXに対して第3角度θ3傾斜した方向に全反射され、レンズ体30(第2導光部35)内を導光され、第3出光領域A3に到達する(図8参照)。
【0052】
第3出光領域A3は、当該第3出光領域A3から出光する第2の光Ray2を制御するレンズカットLCA3(本開示の第5レンズカットの一例)を含む。第3出光領域A3は、第1出光領域A1及び第2出光領域1と近接する位置に配置されている。第3出光領域A3は、第1出光領域A1と第2出光領域2と合わせて一つの出光領域を形成している。第2の光Ray2は第3出光領域A3から出光する際に、レンズカットLCA3の出射面から屈折し出射する。具体的には、レンズカットLCA3は、第3出光領域A3から出光する第2の光Ray2を、水平方向に関し、基準軸AXに対して第3角度θ3より大きい第4角度θ4傾斜した方向である視認角方向(本開示の第1方向の一例)に制御するプリズム状のレンズカットである。第4角度θ4は例えば45°である。これにより、第2の光Ray2が第3出光領域A3から出光する際、より大きい角度で横方向に出射することができる。
【0053】
以上のように、第3出光領域A3から出光する第2の光Ray2は、当該第3出光領域A3に形成されたレンズカットLCA3(複数)により、水平方向に関し、基準軸AXに対して第3角度θ3より大きい第4角度θ4傾斜した方向である視認角方向(本開示の第1方向の一例)に照射される。図3図8で示すように、光源20から第2入光部32により取り込まれる第2の光Ray2は、1回全反射されてから全反射面と対向して位置する第3出光領域A3から側方向へと出射される。この過程中、第2の光Ray2は、第2全反射面TRef2と第3出光領域A3の出射面にてそれぞれ基準軸AXに対して側方向に段階的に制御されて、所定の側方向へ配光することが可能となる。
【0054】
図2に示すように、出光部33は、第1出光領域A1、第2出光領域A2、第3出光領域A3、第4出光領域A4、第5出光領域A5、第6出光領域A6を含む。第4出光領域A4、第5出光領域A5、第6出光領域A6および第2出光領域A2には、魚眼カットが施されている。魚眼カットを矩形に区切することによって、レンズカットLCA4の外形、レンズカットLCA5の外形及びレンズカットLCA6の外形は、正面視で互いに同一又は略同一サイズの矩形形状となる(図2参照)。第1出光領域A1と第3出光領域A3にプリズム状のレンズカットLCA1、LCA2、LCA3が施される。レンズカットLCA1の外形、レンズカットLCA2の外形及びレンズカットLCA3の外形は、正面視で互いに同一又は略同一サイズの矩形形状である(図2参照)。これにより、出光部33は各出光領域について全体的統一感のある見栄えを作成することができる。
【0055】
第1出光領域A1は、レンズカットLCA1(複数)を含む。レンズカットLCA1(複数)は、第1出光領域A1において正面視でY軸方向にピッチP1で隣接配置されている。第1出光領域A1は、当該第1出光領域A1から出光し視認角方向に照射される光が不透過部材(例えば、図1に示すリフレクタ60)により遮られないように、第2出光領域A2に対して車幅方向外側(図2中左側)に配置されている。
【0056】
第1出光領域A1及び第2出光領域A2は、互いに隣り合って位置し、一つの出光領域(第1灯具10aの点灯時又は非点灯時に、1つの出光領域として視認される出光領域)を形成している。
【0057】
第2出光領域A2は、レンズカットLCA2(複数)を含む。レンズカットLCA2(複数)は、レンズカットLCA1と同様、第2出光領域A2において正面視でY軸方向にピッチP1で隣接配置されている。第2出光領域A2は、第1出光領域A1に対して車幅方向内側(図2中右側)に配置されている。
【0058】
第3出光領域A3は、レンズカットLCA3(複数)を含む。レンズカットLCA3(複数)は、レンズカットLCA1、LCA2と同様、第3出光領域A3において正面視でY軸方向にピッチP1で隣接配置されている。

第4出光領域A4は、レンズカットLCA4(複数)を含む。レンズカットLCA4(複数)は、第4出光領域A4においてY軸方向に隣接配置されている。同様に、第5出光領域A5は、レンズカットLCA5(複数)を含む。レンズカットLCA5(複数)は、第5出光領域A5においてY軸方向に隣接配置されている。同様に、第6出光領域A6は、レンズカットLCA6(複数)を含む。レンズカットLCA6(複数)は、第6出光領域A6においてY軸方向に隣接配置されている。

第1導光部34として、図3図4図7に示す構成の導光部を用いたが、これに限らない。すなわち、第1導光部34は、第1出光領域A1及び第2出光領域A2の後方に配置された第1全反射面TRef1を含み、第1入光部31から入光した光である第1の光Ray1が第1全反射面TRef1に入射し、当該第1全反射面TRef1で全反射された第1の光Ray1(Ray1a、Ray1b)が第1出光領域A1及び第2出光領域A2から出光するように第1の光Ray1を導光する導光部であれば、どのような構成であってもよい。なお、本実施形態では、図3に示すように、第2全反射面TRef2を形成するため、正面側(図3中右側)に向かって狭まるV字型の溝部80(空気層)が途中に形成された第1導光部34を用いている。
【0059】
第2導光部35として、図3図8に示す構成の導光部を用いたが、これに限らない。すなわち、第2導光部35は、第3出光領域A3の後方に配置された第2全反射面TRef2を含み、第2入光部32から入光した光である第2の光Ray2が第2全反射面TRef2に入射し、当該第2全反射面TRef2で全反射された第2の光Ray2が第3出光領域A3から出光するように第2の光Ray2を導光する導光部であれば、どのような構成でもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、出光領域(例えば、第1出光領域A1、第2出光領域A2、第3出光領域A3。図2参照)に、当該出光領域から出光する光を互いに異なる方向(例えば、視認角方向、正面方向)に制御する複数のレンズカット(例えば、レンズカットLCA1、レンズカットLCA2、レンズカットLCA3)を設けた場合でも、各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制でき、その結果、見栄え(特に、非点灯時、正面視での見栄え)の統一感を与えることができる。
【0061】
特に、正面方向は、基本、光源光軸と一致するまたは限られた角度を形成し、これに対し、視認角方向は光源光軸に関して大きい傾斜角度を形成した場合、出射面で視認角用レンズカット(例えば、全反射プリズムカット)を設けることが必要となる。この視認角用レンズカットの外観は、正面方向用レンズカットと形状が異なるため、正面方向用レンズカットの一部に視認角用レンズカットを配置すると統一感が損なわれるため、車両用灯具の見栄えが思わしくないものとなる。この場合であっても、本実施形態によれば、見栄え(特に、非点灯時、正面視での見栄え)の統一感を与えることができる。
【0062】
各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制できるのは、次の理由による。すなわち、本実施形態によれば、基準軸AXに対して第2角度θ2傾斜した方向への偏向(屈折)は、出光領域の後方に配置された全反射面に設けられた反射カット(例えば、第1全反射面TRef1に設けられた反射カットLC1)による全反射、及び、出光領域に設けられたレンズカット(例えば、第1出光領域A1に設けられたレンズカットLCA1)による屈折により実現される。そのため、基準軸AXに対して第2角度θ2傾斜した方向への偏向(屈折)を、出光領域に設けられたレンズカット(例えば、第1出光領域A1に設けられたレンズカットLCA1)による屈折だけにより実現する場合と比べ、出光領域に設けられたレンズカット(例えば、第1出光領域A1に設けられたレンズカットLCA1)の頂角を小さくできる。その結果、各々のレンズカットの形状が不均一となるのを抑制できる。
【0063】
次に、変形例について説明する。
【0064】
図9は、変形例1であるレンズ体30Aの縦断面図である。
【0065】
図9に示すレンズ体30Aは、光源20の光軸AX20を含む水平面に対して面対称の形状に構成されている。レンズ体30Aのうち光源20の光軸AX20を含む水平面に対して下側の部分及び上側の部分は、上記実施形態のレンズ体30のうち光源20の光軸AX20を含む水平面に対して下側の部分に相当する。変形例1の構成によって、さらに側方向への配光を増やすことができる。
【0066】
レンズ体30Aの出光部に対して見栄えの向上において、本変形例によっても上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
図10は、変形例2であるレンズ体30Bの縦断面図である。
【0068】
図10に示すレンズ体30Bは、光源20の光軸AX20を含む水平面に対して面対称の形状に構成されている。レンズ体30Bのうち光源20の光軸AX20を含む水平面に対して下側の部分及び上側の部分は、上記実施形態のレンズ体30のうち光源20の光軸AX20を含む水平面に対して下側の部分から第4出光領域A4、第5出光領域A5、第6出光領域A6を省略したものに相当する。なお、図10中、符号90が示すのは装飾部材(例えば、エクステンション)である。図10は、レンズ体30Bの第1出光領域A1及び第3出光領域A3が装飾部材90に形成された貫通穴から露出し、それ以外の部分を装飾部材90で覆った状態を表す。
【0069】
レンズ体30Aの出光部に対して見栄えの向上において、本変形例によっても上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
また上記実施形態では、本開示の車両用灯具をストップランプに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、ポジションランプ、フロントコンビネーションランプ、リアコンビネーションランプ、ポジションランプ、テールランプ、サイドマーカランプ等の他の車両用信号灯具に本開示の車両用灯具を適用してもよい。
【0071】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0072】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本開示は限定的に解釈されるものではない。本開示はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…車両用灯具、10a…第1灯具、20…光源、20a…発光面、30、30A、30B…レンズ体、31…第1入光部、31a…中央入光面、31b…周囲入光面、31c…周囲反射面、32…第2入光部、33…出光部、34…第1導光部、35…第2導光部、40…アウターレンズ、50…ハウジング、60…リフレクタ、80…溝部、A1…第1出光領域、A2…第2出光領域、A3…第3出光領域、A4…第4出光領域、A5…第5出光領域、A6…第6出光領域、AX…基準軸、AX20…光軸、AX32…軸、F31a、F32…焦点、LC1、LC2…反射カット、LCA1~LCA6…レンズカット、P1…ピッチ、S…灯室、TRef1…第1全反射面、TRef1a…第1全反射領域、TRef1b…第2全反射領域、TRef2…第2全反射面、TRef3…第3全反射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10