(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158873
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20231024BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231024BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20231024BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 170
H02J3/46
H02J13/00 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068907
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 麻理恵
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿介
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064CB21
5G064DA05
5G066AA02
5G066AA03
5G066HA15
5G066HB07
(57)【要約】
【課題】電力市場において適切な入札を可能とする。
【解決手段】分散型電源システム1は、電力系統16に電気的に接続される負荷設備12と、負荷設備12および電力系統16に電気的に接続され、負荷設備12および電力系統16に電力を供給可能な分散型電源装置10と、負荷設備12が電力系統16から受電する電力量を受電電力量とし、将来の特定日の所定タイミングにおける負荷設備12の消費電力の予測値を消費電力予測値とし、特定日における受電電力量の調整に寄与する電力量を示すネガワット調整力を、特定日における消費電力予測値の時間推移に基づいて導出する調整力導出部82と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に電気的に接続される負荷設備と、
前記負荷設備および前記電力系統に電気的に接続され、前記負荷設備および前記電力系統に電力を供給可能な分散型電源装置と、
前記負荷設備が前記電力系統から受電する電力量を受電電力量とし、将来の特定日の所定タイミングにおける前記負荷設備の消費電力の予測値を消費電力予測値とし、前記特定日における前記受電電力量の調整に寄与する電力量を示すネガワット調整力を、前記特定日における前記消費電力予測値の時間推移に基づいて導出する調整力導出部と、
を備える分散型電源システム。
【請求項2】
前記分散型電源装置が出力可能な電力の最大値を制御可能量とし、
前記調整力導出部は、
前記特定日における前記消費電力予測値が前記制御可能量未満となる第1時間では、前記消費電力予測値を前記第1時間で累積した電力量をネガワット調整力として導出し、
前記特定日における前記消費電力予測値が前記制御可能量以上となる第2時間では、前記制御可能量を前記第2時間で累積した電力量をネガワット調整力として導出する、
請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記特定日における前記分散型電源装置から前記電力系統に逆潮流で供給される電力量をポジワット調整力とし、
前記調整力導出部は、前記第1時間において、前記制御可能量から前記消費電力予測値を減算した値を前記第1時間で累積した電力量を前記ポジワット調整力として導出する、
請求項2に記載の分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、分散型電源システムの一例である燃料電池コージェネレーションシステムが開示されている。かかる技術では、商用電力および燃料の季節別および時間帯別の購入単価と、電力と熱の需要パターンとに基づいて、分散型電源装置の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力市場の一例である電力需給調整市場では、電力の調整力が取引される。取引される調整力の種類は、例えば、受電電力量の調整に関するネガワット調整力がある。
【0005】
電力市場におけるネガワット調整力の入札が成立し、分散型電源装置が実際に電力の調整を実行してネガワット調整力を生成した場合、分散型電源装置のユーザは、インセンティブ(すなわち、報奨金)を受け取ることができる。
【0006】
分散型電源装置のユーザは、生成したネガワット調整力が大きいほど多くのインセンティブを受け取ることができるようになるため、ネガワット調整力を極力大ききさせることを望む。すなわち、電力市場において、分散型電源装置のユーザが受け取るインセンティブを増大させることが可能な適切な入札を行うことが望まれている。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、電力市場において適切な入札を可能とする分散型電源システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の分散型電源システムは、電力系統に電気的に接続される負荷設備と、負荷設備および電力系統に電気的に接続され、負荷設備および電力系統に電力を供給可能な分散型電源装置と、負荷設備が電力系統から受電する電力量を受電電力量とし、将来の特定日の所定タイミングにおける負荷設備の消費電力の予測値を消費電力予測値とし、特定日における受電電力量の調整に寄与する電力量を示すネガワット調整力を、特定日における消費電力予測値の時間推移に基づいて導出する調整力導出部と、を備える。
【0009】
また、分散型電源装置が出力可能な電力の最大値を制御可能量とし、調整力導出部は、特定日における消費電力予測値が制御可能量未満となる第1時間では、消費電力予測値を第1時間で累積した電力量をネガワット調整力として導出し、特定日における消費電力予測値が制御可能量以上となる第2時間では、制御可能量を第2時間で累積した電力量をネガワット調整力として導出するようにしてもよい。
【0010】
また、特定日における分散型電源装置から電力系統に逆潮流で供給される電力量をポジワット調整力とし、調整力導出部は、第1時間において、制御可能量から消費電力予測値を減算した値を第1時間で累積した電力量をポジワット調整力として導出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電力市場において適切な入札が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる分散型電源システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、データ取得部の動作の流れを説明するシーケンス図である。
【
図3】
図3は、調整力導出部、予測値導出部および管理部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、ネガワット調整力について説明する図である。
【
図5】
図5は、ポジワット調整力について説明する図である。
【
図6】
図6は、ネガワット調整力の導出例を説明する図である。
【
図7】
図7は、ポジワット調整力の導出例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態にかかる分散型電源システム1の構成を示すブロック図である。分散型電源システム1は、分散型電源装置10、負荷設備12、電力メータ14、電力系統16、サーバ装置20および電力市場22を備える。
【0015】
分散型電源装置10、負荷設備12および電力メータ14は、例えば、需要家24における家屋などの建物に設けられる。なお、分散型電源装置10は、複数の建物に亘って設置されてもよい。負荷設備12は、電力メータ14を通じて電力系統16に電気的に接続される。また、負荷設備12は、分散型電源装置10にも電気的に接続される。負荷設備12は、分散型電源装置10および電力系統16から供給される電力を消費する任意の機器であってもよい。
【0016】
電力メータ14は、電力系統16から需要家24に供給される電力、すなわち、負荷設備12が電力系統16から受電する受電電力を検出する。また、電力メータ14は、需要家24から電力系統16に供給される電力、すなわち、分散型電源装置10から電力系統16に逆潮流で供給される電力を検出してもよい。なお、電力メータ14は、スマートメータであってもよい。
【0017】
分散型電源装置10は、電力ユニット30、通信装置32、記憶装置34および制御装置36を備える。
【0018】
電力ユニット30は、負荷設備12に電気的に接続されるとともに、電力メータ14を通じて電力系統16にも電気的に接続される。電力ユニット30は、負荷設備および電力系統に電力を供給可能な構成となっている。つまり、分散型電源システム1では、分散型電源装置10の電力ユニット30を、電力系統16における電力の調整力のリソースとして寄与させることが可能となっている。
【0019】
電力ユニット30は、例えば、燃料ガスを消費して発電するとともに、発電に伴って熱を生成し、生成した熱によって熱媒体を加熱する、燃料電池ユニットなどのコージェネユニットである。なお、電力ユニット30は、コージェネユニットに限らず、発電する発電機であってもよい。また、電力ユニット30は、電力を蓄え、蓄えた電力を放出可能な蓄電池であってもよい。すなわち、電力ユニット30は、少なくとも負荷設備12および電力系統16に電力を供給可能なものであればよい。
【0020】
通信装置32は、有線通信または無線通信によって、サーバ装置20と通信を確立することができる。記憶装置34は、不揮発性の記憶素子で構成される。なお、不揮発性の記憶素子は、フラッシュメモリなどの電気的に読み書き可能な不揮発性の記憶素子などを含んでもよい。
【0021】
制御装置36は、プロセッサ40およびメモリ42を有する。プロセッサ40は、メモリ42に格納されているプログラムと協働して分散型電源装置10全体を制御する。プロセッサ40は、プログラムを実行することで、運転制御部50、データ取得部52および予測値導出部54としても機能する。
【0022】
運転制御部50は、例えば、電力ユニット30の運転を制御する。データ取得部52および予測値導出部54については、後に詳述する。
【0023】
サーバ装置20は、例えば、アグリゲータによって管理される。サーバ装置20は、分散型電源装置10に所定の制御指令を送信することで、分散型電源装置10を間接的に制御することができる。なお、アグリゲータは、需要家24の電力の需給をマネジメントするサービスを提供する主体を意味する。サーバ装置20の管理者(例えば、アグリゲータ)は、分散型電源装置10(すなわち、電力ユニット30)を有する需要家24の電力の需給を管理する。
【0024】
サーバ装置20は、通信装置60、記憶装置62、ユーザインターフェース64および制御装置66を備える。
【0025】
通信装置60は、有線通信または無線通信によって、分散型電源装置10と通信を確立することができる。また、通信装置60は、電力市場22と通信を確立することもできる。記憶装置62は、不揮発性の記憶素子で構成される。なお、不揮発性の記憶素子は、フラッシュメモリなどの電気的に読み書き可能な不揮発性の記憶素子などを含んでもよい。
【0026】
ユーザインターフェース64は、例えば、表示装置など、ユーザに各種の情報や画像を提示する出力装置を含む。また、ユーザインターフェース64は、例えば、キーボードやマウスなど、ユーザによる入力操作を受け付ける入力装置を含む。
【0027】
制御装置66は、プロセッサ70およびメモリ72を有する。プロセッサ70は、メモリ72に格納されているプログラムと協働してサーバ装置20全体を制御する。プロセッサ70は、プログラムを実行することで、管理部80および調整力導出部82としても機能する。
【0028】
電力市場22は、例えば、電力の調整力の取引が行われる電力需給調整市場である。電力の調整力は、需給バランス調整を行うための電力設備等の能力のことである。なお、電力市場22は、電力需給調整市場に限らず、例えば、容量市場であってもよいし、卸電力市場であってもよい。
【0029】
電力市場22の一例である電力需給調整市場の三次調整力「2」では、翌日の電力の調整力に関して、その前日に入札が行われる。アグリゲータは、サーバ装置20を通じて、電力市場22における入札に応じることができる。管理部80は、当該入札に応じる処理を行う。また、管理部80は、例えば、当該入札が成立した場合に、分散型電源装置10に電力の調整を実行させるなど、分散型電源装置10に関する管理を行う。
【0030】
調整力導出部82は、分散型電源装置10における電力の調整力を導出する。電力の調整力の種類には、ネガワット調整力およびポジワット調整力がある。ネガワット調整力は、負荷設備12が電力系統16から受電する電力量である受電電力量の調整に寄与する電力量を示す。換言すると、ネガワット調整力は、受電電力量を調整するための電力量を示す。ポジワット調整力は、分散型電源装置10から電力系統16に逆潮流で供給される電力量を示す。
【0031】
ここで、ネガワット調整力は、分散型電源装置10のユーザの視点からすると、電力ユニット30が出力する電力を、自家の負荷設備12の消費電力の範囲内で調整することで実現される。これを踏まえると、分散型電源装置10のユーザによっては、ネガワット調整力については、電力市場22において、比較的安価で取引してもよい(換言すると、比較的安価な入札価格でネガワット調整力に係る調整を実行してもよい)と判断することがあり得る。
【0032】
一方、ポジワット調整力は、分散型電源装置10のユーザの視点からすると、電力ユニットが出力する電力を、自家の負荷設備12で消費せずに、電力系統16に供給することで実現される。これを踏まえると、分散型電源装置10のユーザによっては、ポジワット調整力については、電力市場22において、比較的高価で取引したい(換言すると、比較的高価な入札価格でないとポジワット調整力に係る調整を実行したくない)と判断することがあり得る。
【0033】
このようなネガワット調整力とポジワット調整力とを、1つの調整力として電力市場の入札に応じるとなると、分散型電源装置10のユーザの意図通りの入札が為されない可能性があり、適切な入札を行うことができない。
【0034】
そこで、調整力導出部82は、電力の調整力の入札に応じる際、将来の特定日におけるネガワット調整力と、当該特定日におけるポジワット調整力とを、それぞれ区分して導出する。特定日は、例えば、電力市場22における調整力の入札に応札する日(例えば、本日)に対する翌日などであり、電力の調整が要求される日(入札が成立した結果、電力の調整を実行する日)である。調整力導出部82については後に詳述する。
【0035】
また、電力市場22における調整力の入札では、電力の調整力が必要な時間帯、すなわち、電力の調整が要求される時間帯が予め決められていることがある。以後、電力の調整が要求される時間帯を、要求時間帯という場合がある。電力の調整は、特定日における要求時間帯内において実行される。換言すると、特定日における要求時間帯以外では、電力の調整が実行されなくてもよい。
【0036】
図2は、データ取得部52の動作の流れを説明するフローチャートである。データ取得部52は、所定時間ごとに設定された取得実行タイミングが到来したかを判定する(S10)。ここでの所定時間は、例えば、1分などに設定されるが、この例に限らず、任意の時間に設定されてもよい。取得実行タイミングが到来していない場合(S10におけるNO)、データ取得部52は、取得実行タイミングが到来するまで待機する。
【0037】
取得実行タイミングが到来した場合(S10におけるYES)、データ取得部52は、現在の自家電力を電力ユニット30から取得する(S11)。自家電力は、電力ユニット30が出力する電力である。なお、自家は、分散型電源装置10が属する需要家24を意味する。
【0038】
次に、データ取得部52は、電力メータ14により検出された現在の受電電力を電力メータ14から取得する(S12)。受電電力は、負荷設備12が電力系統16から受電する電力である。
【0039】
次に、データ取得部52は、現在の自家電力と現在の受電電力とを加算して、負荷設備12における現在の消費電力を導出する(S13)。
【0040】
次に、データ取得部52は、現在の自家電力、現在の受電電力および現在の消費電力を、現在の時刻と関連付けて記憶装置34に記憶させ(S14)、今回の取得実行タイミングにおける処理を終了する。このようにして、記憶装置34には、取得実行タイミングが到来するごと(換言すると、所定のサンプリング周期ごと)の自家電力、受電電力および消費電力の実績値が蓄積される。
【0041】
図3は、調整力導出部82、予測値導出部54および管理部80の動作の流れを説明するシーケンス図である。アグリゲータは、電力市場22における調整力の入札に応札する前、調整力の導出の実行を開始させる入力操作を、ユーザインターフェース64を通じて行う。
【0042】
サーバ装置20の調整力導出部82は、調整力の導出の実行を開始させる入力操作を受け付けると、調整力の導出に必要なデータの送信を要求する旨のデータ要求情報を分散型電源装置10に送信するデータ要求処理を行う(S20)。データ要求情報には、データの送信を要求する旨の情報の他、特定日の情報、および、特定日における要求時間帯の情報が含まれてもよい。
【0043】
分散型電源装置10の予測値導出部54は、データ要求情報を受信すると、データ要求情報に含まれる特定日および要求時間帯の情報を参照し、特定日の要求時間帯における消費電力の予測値を導出する(S21)。以後、消費電力の予測値を、消費電力予測値という場合がある。
【0044】
例えば、予測値導出部54は、記憶装置34に記憶された過去の消費電力に基づいて、特定日の要求時間帯における所定のサンプリング周期ごとの消費電力予測値を導出する。所定のサンプリング周期は、例えば、1分など、データ取得部52が消費電力を蓄積する取得実行タイミングに合わせて任意に設定される。
【0045】
消費電力予測値の導出後、予測値導出部54は、データをサーバ装置20に送信する送信処理を行う(S22)。送信されるデータは、予測値導出部54によって導出された消費電力予測値を少なくとも含む。
【0046】
サーバ装置20の調整力導出部82は、消費電力予測値を含むデータを受信すると、受信した消費電力予測値に基づいてネガワット調整力を導出するネガワット調整力導出処理を行う(S23)。次に、調整力導出部82は、受信した消費電力予測値に基づいてポジワット調整力を導出するポジワット調整力導出処理を行う(S24)。このように、調整力導出部82は、分散型電源装置10から受信した消費電力予測値に基づいて、ネガワット調整力およびポジワット調整力をそれぞれ区分して導出する。ネガワット調整力の導出、および、ポジワット調整力の導出については、後に詳述する。
【0047】
なお、調整力導出部82は、ネガワット調整力導出処理を先に行い、ポジワット調整力導出処理を後に行う態様に限らず、ポジワット調整力導出処理を先に行い、ネガワット調整力導出処理を後に行ってもよい。
【0048】
調整力導出部82は、ネガワット調整力およびポジワット調整力の導出結果を、ユーザインターフェース64の表示装置に表示させる(S25)。サーバ装置20の管理人(すなわち、アグリゲータ)は、この結果を参照することで、特定日の要求時間帯におけるネガワット調整力およびポジワット調整力を区別して把握することができる。
【0049】
サーバ装置20の管理人(すなわち、アグリゲータ)は、ネガワット調整力およびポジワット調整力を把握した状態で、ユーザインターフェース64を通じて、電力の調整力の入札に応じる入力操作を行う。
【0050】
サーバ装置20の管理部80は、電力の調整力の入札に応じる入力操作を受け付けると、通信装置60を通じて電力市場22と通信し、当該入札に対する応札を行う応札処理を行う(S30)。応札処理の結果、入札が成立(約定)すると(S31におけるYES)、電力の調整が行われる当日において、電力の調整の実行指示が、電力市場22からサーバ装置20に送信される。
【0051】
管理部80は、入札が成立(約定)した場合(S31におけるYES)、電力市場22から実行指示を受信するまで待機する(S32におけるNO)。
【0052】
管理部80は、電力市場22から実行指示を受信すると(S32におけるYES)、その実行指示に従って分散型電源装置10を制御する制御指令を送信する制御指令送信処理を行う(S33)。
【0053】
分散型電源装置10の運転制御部50は、サーバ装置20から受信した制御指令に従って電力ユニット30の運転を制御することで、電力ユニット30による電力の調整を実行する(S34)。
【0054】
なお、応札処理の結果、入札が成立(約定)しなかった場合(S31におけるNO)、特定日における電力の調整は実行されない。
【0055】
図4は、ネガワット調整力について説明する図である。
図4(a)は、比較例のネガワット調整力について説明する図である。
図4(b)は、本実施形態のネガワット調整力について説明する図である。
【0056】
消費電力予測値は、特定日の所定タイミングでの負荷設備12の瞬間的な消費電力の予測値を示す。自家電力予測値は、特定日の所定タイミングでの電力ユニット30が出力する瞬間的な自家電力の予測値を示す。受電電力予測値は、特定日の所定タイミングでの負荷設備12が電力系統16から受電する瞬間的な受電電力の予測値を示す。
図4(a)および
図4(b)の例では、特定日の所定タイミングにおいて、受電電力予測値に自家電力予測値を加算した値が消費電力予測値と等しくなるように、電力ユニット30が制御される。
【0057】
図4(a)で示す比較例のネガワット調整力は、受電電力予測値に基づいて決定される。例えば、
図4(a)の状態から、自家電力予測値が消費電力予測値と等しくなるように、自家電力予測値を増加させるとすると、受電電力予測値は、減少して受電電力ゼロとなる。受電電力予測値に着目すると、受電電力予測値から受電電力ゼロを減算した分だけ、受電電力を調整したことになる。そうすると、受電電力予測値に基づいてネガワット調整力を決めるとすると、受電電力予測値から受電電力ゼロを減算した値、換言すると、受電電力予測値そのものが、特定日の所定タイミングにおけるネガワット調整力となる。
【0058】
ここで、アグリゲータの管理の下、分散型電源装置10が実際に電力の調整を実行してネガワット調整力を生成した場合、アグリゲータは、電力市場22からインセンティブ(すなわち、報奨金)を受け取ることができる。アグリゲータは、生成したネガワット調整力が大きいほど多くのインセンティブを受け取ることができる。
【0059】
アグリゲータは、受け取ったインセンティブを、実際に電力の調整を実行した分散型電源装置10のユーザに分配することができる。電力の調整を実行した分散型電源装置10が複数あった場合、アグリゲータは、生成したネガワット調整力が大きい分散型電源装置10のユーザほど多くのインセンティブを受け取れるようにインセンティブを分配してもよい。分散型電源装置10のユーザは、ネガワット調整力を生成することで、受電電力を減少したことによる受電料金を減らしつつ、インセンティブを受け取ることができる。
【0060】
分散型電源装置10のユーザとしては、生成したネガワット調整力が大きいほど多くのインセンティブを受け取ることができるようになるため、ネガワット調整力を極力大させることを望む。すなわち、電力市場22において、分散型電源装置10のユーザが受け取るインセンティブを増大させることが可能な適切な入札を行うことが望まれている。
【0061】
そこで、本実施形態では、
図4(b)で示すように、特定日の所定タイミングにおける消費電力予測値に基づいて、ネガワット調整力が決定される。
【0062】
例えば、
図4(b)の状態から、自家電力予測値が消費電力予測値と等しくなるように、自家電力予測値を増加させるとすると、受電電力予測値は、減少して受電電力ゼロとなる。ここで、消費電力予測値に着目すると、自家電力予測値が消費電力予測値と等しくなるように電力ユニット30を制御するからこそ、受電電力予測値が受電電力ゼロとなる。つまり、消費電力予測値に着目すると、消費電力予測値と等しい自家電力予測値の電力を電力ユニット30から出力させることで、受電電力予測値の調整に寄与していることになる。
【0063】
そうすると、消費電力予測値に基づいてネガワット調整力を決めるとすると、消費電力予測値から受電電力ゼロを減算した値、換言すると、消費電力予測値そのものが、特定日の所定タイミングにおけるネガワット調整力となる。
【0064】
図4(b)で示すように、消費電力予測値に基づいて決定されるネガワット調整力は、
図4(a)で示す受電電力予測値に基づいて決定されるネガワット調整力よりも大きい。このため、消費電力予測値に基づいてネガワット調整力を決めることで、受電電力予測値に基づいてネガワット調整力を決める態様と比べ、見かけ上、ネガワット調整力を大きくすることができる。その結果、分散型電源装置10のユーザが受け取るインセンティブを増大させることができ、電力市場22において適切な入札が可能となる。
【0065】
なお、ネガワット調整力が
図4(b)の例よりも小さくなることを許容するならば、
図4(a)のように、受電電力予測値から受電電力ゼロを減算した値、換言すると、受電電力予測値そのものを、特定日の所定タイミングにおけるネガワット調整力としてもよい。
【0066】
図5は、ポジワット調整力について説明する図である。
図5(a)は、比較例のポジワット調整力について説明する図である。
図5(b)は、本実施形態のポジワット調整力について説明する図である。なお、
図5(a)および図(b)における消費電力予測値および自家電力予測値は、特定日の所定タイミングでの値である。
【0067】
図5(a)および
図5(b)の例では、特定日の所定タイミングにおいて、消費電力予測値を超える自家電力予測値の電力を出力するように、すなわち、分散型電源装置10から電力系統16へ逆潮流が発生するような電力を出力するように電力ユニット30が制御される。
【0068】
図5(a)で示す比較例のポジワット調整力は、自家電力予測値に基づいて決定される。
図5(a)で示すように、自家電力予測値を消費電力予測値よりも大きくすると、自家電力予測値の一部が負荷設備12で消費され、負荷設備12で消費しきれない残りの電力が発生し、この残りの電力が電力系統16に逆潮流で供給されることになる。この例の残りの電力は、自家電力予測値から消費電力予測値を減算した分である。そうすると、自家電力予測値に基づいてポジワット調整力を決めるとすると、自家電力予測値から消費電力予測値を減算した値が、特定日の所定タイミングにおけるポジワット調整力となる。
【0069】
ここで、ネガワット調整力と同様に、アグリゲータの管理の下、分散型電源装置10が実際に電力の調整を実行してポジワット調整力を生成した場合、アグリゲータは、電力市場22からインセンティブを受け取ることができる。アグリゲータは、生成したポジワット調整力が大きいほど多くのインセンティブを受け取ることができる。
【0070】
アグリゲータは、受け取ったインセンティブを、実際に電力の調整を実行した分散型電源装置10のユーザに分配することができる。電力の調整を実行した分散型電源装置10が複数あった場合、アグリゲータは、生成したポジワット調整力が大きい分散型電源装置10のユーザほど多くのインセンティブを受け取れるようにインセンティブを分配してもよい。
【0071】
分散型電源装置10のユーザとしては、生成したポジワット調整力が大きいほど多くのインセンティブを受け取ることができるようになるため、ポジワット調整力を極力大させることを望む。すなわち、電力市場22において、分散型電源装置10のユーザが受け取るインセンティブを増大させることが可能な適切な入札を行うことが望まれている。
【0072】
そこで、本実施形態では、
図5(b)で示すように、分散型電源装置10における制御可能量に基づいて、特定日の所定タイミングにおけるポジワット調整力が決定される。制御可能量は、分散型電源装置10が出力可能な電力の最大値である。換言すると、制御可能量は、自家電力予測値の取り得る範囲のうちの最大値である。例えば、電力ユニット30がコージェネユニットである場合、制御可能量は、コージェネユニットが発電可能な電力の最大値である定格出力である。
【0073】
図5(b)で示すように、自家電力予測値を消費電力予測値よりも大きくする際、電力ユニット30は、自家電力予測値を制御可能量まで大きくすることが可能である。自家電力予測値を制御可能量まで大きくすると、制御可能量の一部が負荷設備12で消費され、負荷設備12で消費しきれない残りの電力が発生し、この残りの電力が電力系統16に逆潮流で供給されることになる。この例の残りの電力は、制御可能量から消費電力予測値を減算した分である。
【0074】
そうすると、制御可能量に基づいてポジワット調整力を決めるとすると、制御可能量から消費電力予測値を減算した値が、特定日の所定タイミングにおけるポジワット調整力となる。
【0075】
図5(b)で示すように、制御可能量に基づいて決定されるポジワット調整力は、
図5(a)で示す自家電力予測値に基づいて決定されるポジワット調整力よりも大きい。このため、制御可能量に基づいてポジワット調整力を決めることで、自家電力予測値に基づいてポジワット調整力を決める態様と比べ、ポジワット調整力を大きくすることができる。その結果、分散型電源装置10のユーザが受け取るインセンティブを増大させることができ、電力市場22において適切な入札が可能となる。
【0076】
なお、ポジワット調整力が
図5(b)の例よりも小さくなることを許容するならば、
図5(a)のように、自家電力予測値から消費電力予測値を減算した値を、特定日の所定タイミングにおけるポジワット調整力としてもよい。
【0077】
また、負荷設備12の状態や負荷設備12の動作環境などによっては、消費電力予測値が制御可能量よりも大きくなることがある。このような場合、電力ユニット30は、消費電力予測値を超える電力を出力することができないため、電力系統16に逆潮流で電力を供給することができず、ポジワット調整力を生成することができない。
【0078】
図6は、ネガワット調整力の導出例を説明する図である。
図6では、特定日における所定のサンプリング周期ごとに導出された消費電力予測値を黒丸印で例示している。また、
図6では、分散型電源装置10の制御可能量を一点鎖線で例示している。なお、
図6では、説明の便宜のため、サンプリング周期や消費電力予測値などを簡略化して示している。
【0079】
上述のように、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯におけるサンプリング周期ごとの複数の消費電力予測値を分散型電源装置10から取得することができる。また、消費電力予測値は、
図6で示すように、時間の経過によって変動する。そこで、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯における消費電力予測値の時間推移に基づいて、ネガワット調整力を導出する。
【0080】
調整力導出部82は、特定日の要求時間帯において、電力ユニット30を制御可能量で制御させるようにすることで、要求時間帯の少なくとも一部の時間において、電力系統16に逆潮流で電力を供給できるようにする。
【0081】
調整力導出部82は、特定日の要求時間帯におけるサンプリング周期ごとの所定タイミングのそれぞれにおいて、その所定タイミングの消費電力予測値が制御可能量未満であるか否かを判定する。調整力導出部82は、特定日の要求時間帯を、消費電力予測値が制御可能量未満となる第1時間と、消費電力予測値が制御可能量以上となる第2時間とに区分する。第1時間は、電力系統16に逆潮流で電力を供給可能な時間に相当する。第2時間は、電力系統16に逆潮流で電力を供給不能な時間に相当する。
【0082】
図4(b)を用いて説明したように、所定タイミングの消費電力予測値そのものを、所定タイミングにおけるネガワット調整力とすることができる。これを踏まえ、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯における第1時間では、第1時間内の消費電力予測値を第1時間で累積した電力量(換言すると、第1時間での消費電力予測値の時間累積値)を、ネガワット調整力として導出する。
図6では、第1時間のネガワット調整力を右下がりのハッチングで例示している。
【0083】
また、上述のように、電力ユニット30が出力可能な電力の最大値が制御可能量である。これを踏まえ、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯における第2時間では、制御可能量を第2時間で累積した電力量(換言すると、第2時間での制御可能量の時間累積値)を、ネガワット調整力として導出する。
図6では、第2時間のネガワット調整力を右上がりのハッチングで例示している。
【0084】
図6で示すように、要求時間帯において、第1時間と第2時間との両方が含まれることがある。これを踏まえ、調整力導出部82は、第1時間のネガワット調整力の合計と、第2時間のネガワット調整力の合計とを加算した値を、特定日の要求時間帯のネガワット調整力として導出する。
【0085】
例えば、要求時間帯に第2時間がなく、第1時間のみであれば、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯の所定タイミングにおける消費電力予測値を、特定日の要求時間帯で累積した電力量を、特定日の要求時間帯のネガワット調整力として導出してもよい。
【0086】
また、例えば、要求時間帯に第1時間がなく、第2時間のみであれば、調整力導出部82は、分散型電源装置10の制御可能量を、特定日の要求時間帯で累積した電力量を、特定日の要求時間帯のネガワット調整力として導出してもよい。
【0087】
なお、
図4(a)を用いて説明した受電電力予測値に基づいてネガワット調整力を決定することを許容するならば、調整力導出部82は、所定タイミングにおける受電電力予測値を第1時間で累積した電力量をネガワット調整力として導出してもよい。
【0088】
また、
図6の例では、特定日の要求時間帯において、電力ユニット30を制御可能量で制御させるようにしていた。しかし、電力ユニット30を制御可能量で制御させる態様に限らない。例えば、調整力導出部82は、電力ユニット30を任意の自家電力で制御させるようにすることで、要求時間帯の少なくとも一部の時間において、電力系統16に逆潮流で電力を供給できるようにしてもよい。この態様では、電力系統に逆潮流で電力が供給される時間、すなわち、消費電力予測値が自家電力予測値未満となる時間を、第1時間としてもよい。
【0089】
図7は、ポジワット調整力の導出例を説明する図である。
図7では、特定日における所定のサンプリング周期ごとに導出された消費電力予測値を黒丸印で例示している。また、
図7では、分散型電源装置10の制御可能量を一点鎖線で例示している。なお、
図7では、説明の便宜のため、サンプリング周期や消費電力予測値などを簡略化して示している。
【0090】
消費電力予測値は、
図7で示すように、時間の経過によって変動する。そこで、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯における消費電力予測値の時間推移と制御可能量とに基づいて、ポジワット調整力を導出する。ここで、ネガワット調整力で説明したようにして、特定日の要求時間帯が、第1時間と第2時間とに区分されているとする。
【0091】
図5(b)を用いて説明したように、制御可能量から所定タイミングの消費電力予測値を減算した値を、所定タイミングにおけるポジワット調整力とすることができる。これを踏まえ、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯の第1時間において、制御可能量から第1時間内の所定タイミングの消費電力予測値を減算した差分値を第1時間で累積した電力量を、ポジワット調整力として導出する。換言すると、調整力導出部82は、制御可能量から第1時間内の所定タイミングの消費電力予測値を減算した差分値の第1時間での時間累積値を、ポジワット調整力として導出する。
図7の例では、第1時間のポジワット調整力をハッチングで例示している。
【0092】
また、第2時間では、消費電力予測値が制御可能量以上となっている。消費電力予測値が制御可能量以上である場合、電力系統16に逆潮流で電力を供給することができず、ポジワット調整力を生成することができない。このため、調整力導出部82は、第2時間については、ポジワット調整力の導出を行わない。
【0093】
調整力導出部82は、第1時間のポジワット調整力の合計を、特定日の要求時間帯のポジワット調整力として導出する。
【0094】
例えば、要求時間帯に第2時間がなく、第1時間のみであれば、調整力導出部82は、制御可能量から特定日の要求時間帯の所定タイミングにおける消費電力予測値を減算した差分値を、特定日の要求時間帯で累積した電力量を、特定日の要求時間帯のポジワット調整力として導出してもよい。
【0095】
また、例えば、要求時間帯に第1時間がなく、第2時間のみであれば、調整力導出部82は、電力系統16に逆潮流で電力を供給できる時間帯がないため、ポジワット調整力「ゼロ」を導出してもよい。
【0096】
なお、
図5(a)を用いて説明した例を許容するならば、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯における自家発電予測値および消費電力予測値の時間推移に基づいて、ポジワット調整力を導出してもよい。例えば、調整力導出部82は、特定日の要求時間帯の第1時間において、第1時間内の所定タイミングの自家発電予測値から所定タイミングの消費電力予測値を減算した差分値を第1時間で累積した電力量を、ポジワット調整力として導出してもよい。
【0097】
また、分散型電源装置10は、特定日の要求時間帯の開始時点から終了時点の全体に亘って、制御可能量で制御される態様に限らない。例えば、分散型電源装置10は、特定日に要求時間帯の少なくとも一部の時間において、制御可能量で制御され、そのように制御されることで、要求時間帯の少なくとも一部の時間において電力系統16に逆潮流で電力を供給するようにしてもよい。また、分散型電源装置10は、特定日の要求時間帯の少なくとも一部の時間において、電力系統16に逆潮流で電力を供給するように任意の自家電力予測値で制御されてもよい。
【0098】
以上のように、本実施形態の分散型電源システム1では、将来の特定日におけるネガワット調整力と、特定日におけるポジワット調整力とが、それぞれ区分して導出される。これにより、本実施形態の分散型電源システム1では、ネガワット調整力およびポジワット調整力の導出結果をアグリゲータが参照することで、アグリゲータがネガワット調整力およびポジワット調整力を別々に把握することができる。
【0099】
したがって、本実施形態の分散型電源システム1によれば、アグリゲータがネガワット調整力とポジワット調整力とを分けて調整力の入札に応じることができ、電力市場22において適切な入札が可能となる。
【0100】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、分散型電源装置10が、特定日における電力の調整が要求される要求時間帯の少なくとも一部の時間において、電力系統16に逆潮流で電力を供給するように制御されてもよい。この例では、特定日の要求時間帯における電力系統16に逆潮流で電力が供給される時間が第1時間である。そして、第1の時間内の所定タイミングにおける消費電力予測値を第1時間で累積した電力量がネガワット調整力として導出され、分散型電源装置10から出力される電力の予測値から消費電力予測値を減算した値を第1時間で累積した電力量がポジワット調整力として導出されてもよい。この態様では、ネガワット調整力およびポジワット調整力を適切に区分して導出することができる。
【0101】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、分散型電源装置10が、特定日における電力の調整が要求される要求時間帯の少なくとも一部の時間において制御可能量で制御されてもよい。この例では、特定日の要求時間帯における分散型電源装置10が制御可能量で制御されることで電力系統16に逆潮流で電力が供給される時間が第1時間である。そして、第1時間内の所定タイミングにおける消費電力予測値を第1時間で累積した電力量がネガワット調整力として導出され、制御可能量から消費電力予測値を減算した値を第1時間で累積した電力量がポジワット調整力として導出されてもよい。この態様では、ネガワット調整力およびポジワット調整力をより適切に区分して導出することができる。
【0102】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、分散型電源装置10が、特定日における電力の調整が要求される要求時間帯の少なくとも一部の時間において、電力系統16に逆潮流で電力を供給するように制御されてもよい。この例では、特定日の要求時間帯における電力系統16に逆潮流で電力が供給される時間が第1時間である。そして、第1時間内の所定タイミングにおける受電電力予測値を第1時間で累積した電力量がネガワット調整力として導出され、分散型電源装置10から出力される電力の予測値から消費電力予測値を減算した値を第1時間で累積した電力量がポジワット調整力として導出されてもよい。この態様では、ネガワット調整力およびポジワット調整力を適切に区分して導出することができる。
【0103】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、分散型電源装置10が、特定日における電力の調整が要求される要求時間帯の少なくとも一部の時間において制御可能量で制御されてもよい。この例では、特定日の要求時間帯における分散型電源装置10が制御可能量で制御されることで電力系統16に逆潮流で電力が供給される時間が第1時間である。そして、第1時間内の所定タイミングにおける受電電力予測値を第1時間で累積した電力量がネガワット調整力として導出され、制御可能量から消費電力予測値を減算した値を第1時間で累積した電力量がポジワット調整力として導出されてもよい。この態様では、ネガワット調整力およびポジワット調整力をより適切に区分して導出することができる。
【0104】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、将来の特定日におけるネガワット調整力が、特定日における消費電力予測値の時間推移に基づいて導出される。これにより、本実施形態の分散型電源システム1では、受電電力予測値の時間推移に基づいてネガワット調整力が導出される態様と比べ、見かけ上、ネガワット調整力を大きくさせることができる。
【0105】
したがって、本実施形態の分散型電源システム1によれば、電力市場22において適切な入札が可能となり、分散型電源装置10のユーザが受け取るインセンティブを増大させることができる。
【0106】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、第1時間では、消費電力予測値を第1時間で累積した電力量がネガワット調整力として導出され、第2時間では、制御可能量を第2時間で累積した電力量がネガワット調整力として導出される。これにより、本実施形態の分散型電源システム1では、特定日における消費電力予測値が制御可能量以上となる時間があったとしても、ネガワット調整力を適切に導出することができる。
【0107】
また、本実施形態の分散型電源システム1では、第1時間において、制御可能量から消費電力予測値を減算した値を第1時間で累積した電力量がポジワット調整力として導出される。これにより、本実施形態の分散型電源システム1では、ポジワット調整力を極力大きくすることができる。したがって、本実施形態の分散型電源システム1では、電力市場22においてより適切な入札が可能となり、分散型電源装置10のユーザが受け取るインセンティブをより増大させることができる。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0109】
例えば、上記実施形態では、分散型電源装置10のプロセッサ40がデータ取得部52および予測値導出部54として機能していた。しかし、データ取得部52および予測値導出部54の一部またはすべてが、サーバ装置20のプロセッサ70により実現されてもよいし、任意のコンピュータにおいて実現されてもよい。また、上記実施形態では、サーバ装置20のプロセッサ70が調整力導出部82として機能していた。しかし、調整力導出部82の一部またはすべてが、分散型電源装置10のプロセッサ40により実現されてもよいし、任意のコンピュータにおいて実現されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 分散型電源システム
10 分散型電源装置
12 負荷設備
16 電力系統
82 調整力導出部