(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158874
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】コージェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
F24D 18/00 20220101AFI20231024BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20231024BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20231024BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20231024BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20231024BHJP
F24H 15/223 20220101ALI20231024BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20231024BHJP
F24D 101/30 20220101ALN20231024BHJP
【FI】
F24D18/00
F24H1/00 631A
F24H15/10
H01M8/0432
H01M8/04858
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04225
H01M8/04302
H01M8/00 Z
H01M8/04313
F24H15/223
F24H15/355
F24D101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068908
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 麻理恵
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿介
【テーマコード(参考)】
3L122
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA28
3L122AA73
3L122AB22
3L122AD01
3L122AD05
3L122BB05
3L122DA01
3L122EA50
3L122EA76
3L122EA77
5H127AB03
5H127AB23
5H127BA02
5H127BA05
5H127CC07
5H127DA01
5H127DA11
5H127DB92
5H127DC98
5H127GG02
(57)【要約】
【課題】電力を適切に供給可能とする。
【解決手段】コージェネレーションシステム1は、コージェネユニット20と、貯湯槽26と、温度センサと、貯湯槽26内に蓄えられている熱量を示す貯湯槽熱量を貯湯槽温度に基づいて導出し、貯湯槽熱量が所定閾値未満の場合、コージェネユニット20の稼働を許容し、貯湯槽熱量が所定閾値以上の場合、コージェネユニット20を停止させる運転制御部50と、所定の第1時間ごとに導出された貯湯槽熱量を記憶装置24に記憶させるデータ取得部52と、記憶装置24に記憶された過去の貯湯槽熱量に基づいて、将来の特定日における第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値を導出する予測値導出部54と、第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値に基づいて、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給の可否を判定する供給可否判定部56と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを消費して発電するとともに、発電に伴って熱媒体を加熱し、発電により生成された電力を電力系統に供給可能な構成となっているコージェネユニットと、
前記熱媒体を貯留する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の前記熱媒体の温度を示す貯湯槽温度を検出する温度センサと、
前記貯湯槽内に蓄えられている熱量を示す貯湯槽熱量を前記貯湯槽温度に基づいて導出し、前記貯湯槽熱量が所定閾値未満の場合、前記コージェネユニットの稼働を許容し、前記貯湯槽熱量が前記所定閾値以上の場合、前記コージェネユニットを停止させる運転制御部と、
所定の第1時間ごとに導出された前記貯湯槽熱量を記憶装置に記憶させるデータ取得部と、
前記記憶装置に記憶された過去の前記貯湯槽熱量に基づいて、将来の特定日における前記第1時間ごとの前記貯湯槽熱量の予測値を導出する予測値導出部と、
前記第1時間ごとの前記貯湯槽熱量の予測値に基づいて、前記特定日における前記コージェネユニットから電力系統への電力の供給の可否を判定する供給可否判定部と、
を備える、コージェネレーションシステム。
【請求項2】
燃料ガスを消費して発電するとともに、発電に伴って熱媒体を加熱し、発電により生成された電力を電力系統に供給可能な構成となっているコージェネユニットと、
前記熱媒体を貯留する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の前記熱媒体の温度を示す貯湯槽温度を検出する温度センサと、
前記貯湯槽内に蓄えられている熱量を示す貯湯槽熱量を前記貯湯槽温度に基づいて導出し、前記貯湯槽熱量が所定閾値未満の場合、前記コージェネユニットの稼働を許容し、前記貯湯槽熱量が前記所定閾値以上の場合、前記コージェネユニットを停止させる運転制御部と、
前記コージェネユニットが停止状態から稼働状態に切り替わる時刻を起動時刻とし、前記コージェネユニットが稼働状態から停止状態に切り替わる時刻を停止時刻とし、前記コージェネユニットが停止状態から稼働状態に切り替えられるごとに前記起動時刻を記憶装置に記憶させるとともに、前記コージェネユニットが稼働状態から停止状態に切り替えられるごとに前記停止時刻を前記記憶装置に記憶させるデータ取得部と、
前記記憶装置に記憶された過去の前記起動時刻および前記停止時刻に基づいて、将来の特定日における前記コージェネユニットから電力系統への電力の供給の可否を判定する供給可否判定部と、
を備える、コージェネレーションシステム。
【請求項3】
電力の調整が要求される時間帯を示す要求時間帯の全体が、電力の供給が可能な時間帯を示す供給可能時間帯に包含されていない場合、前記要求時間帯の全体が前記供給可能時間帯に包含されるように、前記特定日における前記コージェネユニットの稼働時間帯を変更するように制御する時間帯調整部をさらに備える、請求項1または2に記載のコージェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、発電に伴って熱を発生するコージェネユニットを備えるコージェネレーションシステムが開示されている。かかる技術では、コージェネユニットにおける予測された熱負荷を賄う運転時間帯を、電力需要のピークの時間帯に合わせるピークカット運転が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コージェネユニットの発電により生成された電力を電力系統に供給して、コージェネユニットを、電力系統の電力の調整力のリソースとして寄与させることが望まれている。電力需給調整市場では、翌日の電力の調整に関して、その前日に、電力を供給できるか否かの入札が行われる。このような入札に応じるためには、コージェネユニットの将来の発電状況を予測することが必要となる。
【0005】
しかし、コージェネユニットは、発電するとともに、発電に伴う熱によって熱媒体を加熱し、加熱された熱媒体は、貯湯槽で貯留される。貯湯槽内に蓄えられている熱量が所定閾値以上となると、コージェネユニットは停止され、発電を行うことができない状態となる。このため、貯湯槽内の熱量によっては、コージェネユニットから電力系統に電力を供給することができないことがある。そうすると、翌日の電力の調整に関する入札に対して、正確な応札を行うことができないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、電力を適切に供給可能なコージェネレーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のコージェネレーションシステムは、燃料ガスを消費して発電するとともに、発電に伴って熱媒体を加熱し、発電により生成された電力を電力系統に供給可能な構成となっているコージェネユニットと、熱媒体を貯留する貯湯槽と、貯湯槽内の熱媒体の温度を示す貯湯槽温度を検出する温度センサと、貯湯槽内に蓄えられている熱量を示す貯湯槽熱量を貯湯槽温度に基づいて導出し、貯湯槽熱量が所定閾値未満の場合、コージェネユニットの稼働を許容し、貯湯槽熱量が所定閾値以上の場合、コージェネユニットを停止させる運転制御部と、所定の第1時間ごとに導出された貯湯槽熱量を記憶装置に記憶させるデータ取得部と、記憶装置に記憶された過去の貯湯槽熱量に基づいて、将来の特定日における第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値を導出する予測値導出部と、第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値に基づいて、特定日におけるコージェネユニットから電力系統への電力の供給の可否を判定する供給可否判定部と、を備える。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のコージェネレーションシステムは、燃料ガスを消費して発電するとともに、発電に伴って熱媒体を加熱し、発電により生成された電力を電力系統に供給可能な構成となっているコージェネユニットと、熱媒体を貯留する貯湯槽と、貯湯槽内の熱媒体の温度を示す貯湯槽温度を検出する温度センサと、貯湯槽内に蓄えられている熱量を示す貯湯槽熱量を貯湯槽温度に基づいて導出し、貯湯槽熱量が所定閾値未満の場合、コージェネユニットの稼働を許容し、貯湯槽熱量が所定閾値以上の場合、コージェネユニットを停止させる運転制御部と、コージェネユニットが停止状態から稼働状態に切り替わる時刻を起動時刻とし、コージェネユニットが稼働状態から停止状態に切り替わる時刻を停止時刻とし、コージェネユニットが停止状態から稼働状態に切り替えられるごとに起動時刻を記憶装置に記憶させるとともに、コージェネユニットが稼働状態から停止状態に切り替えられるごとに停止時刻を記憶装置に記憶させるデータ取得部と、記憶装置に記憶された過去の起動時刻および停止時刻に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニットから電力系統への電力の供給の可否を判定する供給可否判定部と、を備える。
【0009】
また、電力の調整が要求される時間帯を示す要求時間帯の全体が、電力の供給が可能な時間帯を示す供給可能時間帯に包含されていない場合、要求時間帯の全体が供給可能時間帯に包含されるように、特定日におけるコージェネユニットの稼働時間帯を変更するように制御する時間帯調整部をさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力を適切に供給可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるコージェネレーションシステム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、コージェネユニットにおける発電量の時間推移の一例および貯湯槽熱量の時間推移の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、データ取得部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、予測値導出部および供給可否判定部の動作の概要を説明する図である。
【
図5】
図5は、予測値導出部および供給可否判定部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、供給可否判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態におけるデータ取得部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態における予測値導出部および供給可否判定部の動作の概要を説明する図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態における予測値導出部および供給可否判定部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態の変形例の概要を説明する図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態にかかるコージェネレーションシステムの構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、時間帯調整部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図13】
図13は、時間帯調整処理の一例を説明する図である。
【
図14】
図14は、時間帯調整処理の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるコージェネレーションシステム1の構成を示すブロック図である。コージェネレーションシステム1は、分散型電源装置10、サーバ装置12および電力需給調整市場14を備える。
【0014】
分散型電源装置10は、例えば、家屋などの建物に設置される。なお、分散型電源装置10は、複数の建物に亘って設置されてもよい。分散型電源装置10は、コージェネユニット20、通信装置22、記憶装置24、貯湯槽26、第1温度センサ28、第2温度センサ30、レベル計32および制御装置34を備える。
【0015】
コージェネユニット20は、燃料ガスを消費して発電するとともに、発電に伴って熱を生成し、生成した熱によって熱媒体を加熱する。燃料ガスは、都市ガスであるが、この例に限らず、プロパンガスであってもよいし、水素ガスであってもよい。熱媒体は、例えば、水とするが、この例に限らず、熱を伝達可能な任意の流体であってもよい。コージェネユニット20は、例えば、燃料電池ユニットとするが、この例に限らず、燃料ガスを消費して電力および熱を生成するものであればよい。
【0016】
コージェネユニット20は、電力系統36と電気的に接続可能となっている。コージェネユニット20は、発電により生成した電力を電力系統36に供給可能な構成となっている。つまり、分散型電源装置10では、コージェネユニット20を、電力系統36における電力の調整力のリソースとして寄与させることが可能となっている。
【0017】
通信装置22は、有線通信または無線通信によって、サーバ装置12と通信を確立することができる。記憶装置24は、不揮発性の記憶素子で構成される。なお、不揮発性の記憶素子は、フラッシュメモリなどの電気的に読み書き可能な不揮発性の記憶素子などを含んでもよい。
【0018】
貯湯槽26は、熱媒体を内部に収容可能な容器である。貯湯槽26は、コージェネユニット20と接続されており、コージェネユニット20で加熱された熱媒体を貯留する。貯湯槽26内の熱媒体は、熱交換器などの熱負荷設備に送られ、熱媒体の熱が熱負荷設備で消費される。また、加熱されていない新たな熱媒体が、貯湯槽26内に供給されてもよい。
【0019】
第1温度センサ28は、貯湯槽26内に配置される。第1温度センサ28は、貯湯槽26内の熱媒体の温度を示す貯湯槽温度を検出する。例えば、貯湯槽26の深さ方向に、複数(例えば、4つ)の第1温度センサ28が分散配置される。この場合、第1温度センサ28は、各々の深さにおける熱媒体の温度を検出する。
【0020】
第2温度センサ30は、例えば、加熱されていない新たな熱媒体を貯湯槽26に供給する配管内などに配置される。第2温度センサ30は、貯湯槽26に供給される加熱されていない新たな熱媒体の温度、すなわち、熱媒体の加熱前の温度を示す基準温度を検出する。
【0021】
レベル計32は、貯湯槽26内の熱媒体の総量を検出する。例えば、レベル計32は、貯湯槽26内に貯留されている熱媒体の深さを検出することで、貯湯槽26内の熱媒体の総量を間接的に検出する。
【0022】
制御装置34は、プロセッサ40およびメモリ42を有する。プロセッサ40は、メモリ42に格納されているプログラムと協働して分散型電源装置10全体を制御する。プロセッサ40は、プログラムを実行することで、運転制御部50、データ取得部52、予測値導出部54および供給可否判定部56としても機能する。
【0023】
運転制御部50は、貯湯槽26内に蓄えられている熱量を示す貯湯槽熱量を、貯湯槽温度に基づいて導出する。より詳細には、運転制御部50は、貯湯槽温度から基準温度を減算して温度差を導出する。運転制御部50は、導出した温度差に、貯湯槽26内の熱媒体の総量を乗算して、貯湯槽熱量を導出する。
【0024】
例えば、貯湯槽温度を検出する第1温度センサ28が貯湯槽26の深さ方向に複数分散配置されている場合、運転制御部50は、それぞれの第1温度センサ28から、それぞれの深さに対応する貯湯槽温度を取得する。また、運転制御部50は、第2温度センサ30から基準温度を取得する。運転制御部50は、第1温度センサ28に対応する深さごとに、第1温度センサ28による貯湯槽温度から基準温度を減算して温度差を導出する。
【0025】
また、運転制御部50は、レベル計32から貯湯槽26内の熱媒体の総量を取得する。運転制御部50は、取得した熱媒体の総量に基づいて、第1温度センサ28に対応する深さごとに、それぞれの第1温度センサ28に対応する深さの熱媒体の量を導出する。運転制御部50は、第1温度センサ28に対応する温度差に、当該第1温度センサ28に対応する深さの熱媒体の量を乗算して、当該第1温度センサ28に対応する熱媒体の熱量を、第1温度センサ28ごとに導出する。運転制御部50は、第1温度センサ28ごとの熱媒体の熱量を合計して、貯湯槽熱量を導出する。
【0026】
運転制御部50は、貯湯槽熱量が所定閾値未満の場合、コージェネユニット20の稼働を許容する。所定閾値は、例えば、60℃の熱媒体が貯湯槽26に満蓄されたときの熱量に設定されるが、この例に限らず、熱の利用態様によって任意に設定することができる。コージェネユニット20の稼働を許容するとは、コージェネユニット20が発電可能であることに相当する。
【0027】
運転制御部50は、貯湯槽熱量が所定閾値以上の場合、コージェネユニット20を停止させる。つまり、この場合、コージェネユニット20は、発電することができない。データ取得部52、予測値導出部54および供給可否判定部56については、後に詳述する。
【0028】
サーバ装置12は、例えば、アグリゲータによって管理される。サーバ装置12は、分散型電源装置10の制御に関与することができる。なお、アグリゲータは、需要家の電力の需給をマネジメントするサービスを提供する主体を意味する。サーバ装置12の管理者(例えば、アグリゲータ)は、分散型電源装置10(すなわち、コージェネユニット20)を有する需要家の電力の需給を管理する。
【0029】
サーバ装置12は、通信装置60、記憶装置62、ユーザインターフェース64および制御装置66を備える。
【0030】
通信装置60は、有線通信または無線通信によって、分散型電源装置10と通信を確立することができる。また、通信装置60は、電力需給調整市場14と通信を確立することもできる。記憶装置62は、不揮発性の記憶素子で構成される。なお、不揮発性の記憶素子は、フラッシュメモリなどの電気的に読み書き可能な不揮発性の記憶素子などを含んでもよい。
【0031】
ユーザインターフェース64は、例えば、表示装置など、ユーザに各種の情報や画像を提示する出力装置を含む。また、ユーザインターフェース64は、例えば、キーボードやマウスなど、ユーザによる入力操作を受け付ける入力装置を含む。
【0032】
制御装置66は、プロセッサ70およびメモリ72を有する。プロセッサ70は、メモリ72に格納されているプログラムと協働してサーバ装置12全体を制御する。プロセッサ70は、プログラムを実行することで、サーバ制御部80としても機能する。
【0033】
ここで、電力需給調整市場14では、翌日の電力の調整力に関して、その前日に入札が行われる。アグリゲータは、サーバ装置12を通じて当該入札に応じることができる。当該入札で約定されると、電力の調整が行われる当日において、電力の調整の実行指示が、電力需給調整市場14からサーバ装置12に送信される。
【0034】
サーバ装置12のサーバ制御部80は、実行指示を受信すると、その実行指示に従って分散型電源装置10の発電電力を制御する。分散型電源装置10の運転制御部50は、サーバ制御部80の制御の下、コージェネユニット20の発電電力を制御し、コージェネユニット20で生成された電力を電力系統36に供給する。
【0035】
図2は、コージェネユニット20における発電量の時間推移の一例および貯湯槽熱量の時間推移の一例を示す図である。
図2(a)は、発電量の時間推移の一例を示し、
図2(b)は、貯湯槽熱量の時間推移の一例を示す。
図2(a)の時間軸および
図2(b)の時間軸は共通している。
【0036】
図2の例では、将来の時点T5において熱需要があると予測されているとする。運転制御部50は、将来の時点T5に向けて徐々に熱量を蓄えるようにコージェネユニット20を制御する。
【0037】
例えば、
図2(a)で示すように、運転制御部50は、時点T1においてコージェネユニット20を起動させて発電を開始させ、発電量を徐々に増加させる。発電量が発電量P2に到達した時点T2以降、運転制御部50は、発電量P1を維持させる。そうすると、
図2(b)で示すように、貯湯槽熱量は、コージェネユニット20の起動に従って、コージェネユニット20の起動前の貯湯槽熱量H1から増加する。
【0038】
図2(b)で示すように、貯湯槽熱量が貯湯槽熱量H2に到達した時点T3において、運転制御部50は、
図2(a)で示すように、コージェネユニット20の発電量を発電量P1から発電量P2に減少させる。発電自体は継続して行われるため、
図2(b)で示すように、貯湯槽熱量は、貯湯槽熱量H2からさらに増加する。
【0039】
図2(b)で示すように、時点T4において、貯湯槽熱量が、所定閾値に相当する貯湯槽熱量H3に到達したとする。貯湯槽熱量が所定閾値に到達した時点T4において、運転制御部50は、
図2(a)で示すように、稼働させていたコージェネユニット20を停止させる。コージェネユニット20が停止されると、発電量が0になる。貯湯槽26は、コージェネユニット20が停止された時点T4以降、貯湯槽26内の熱媒体の熱を保持する。つまり、貯湯槽熱量は、時点T4以降、貯湯槽熱量H3で維持される。
【0040】
時点T4の後の時点T5において、貯湯槽26内の熱媒体が熱負荷設備に供給されることで貯湯槽26内の熱が消費されると、
図2(b)で示すように、貯湯槽熱量が減少する。そして、時点T6において、貯湯槽熱量が、貯湯槽熱量H1まで低下している。
【0041】
ここで、
図2(a)および
図2(b)のハッチングエリアA1で示すように、時点T4から時点T5までの時間帯では、貯湯槽熱量が、所定閾値に相当する貯湯槽熱量H3以上となっている。このため、この時間帯では、運転制御部50によってコージェネユニット20が停止状態で維持されており、コージェネユニット20による発電ができないようになっている。
【0042】
すなわち、貯湯槽熱量が所定閾値以上の時間帯では、コージェネユニット20による発電ができないため、コージェネユニット20から電力系統36に電力を供給することができない。換言すると、貯湯槽熱量が所定閾値未満の時間帯では、コージェネユニット20による発電が可能であるため、コージェネユニット20から電力系統36に電力を供給することができる。
【0043】
なお、熱需要の予測結果によっては、
図2の時点T1より早いときのように、貯湯槽熱量が所定閾値未満の時間帯であってもコージェネユニット20が停止状態となっていることもある。しかし、貯湯槽熱量が所定閾値未満であれば、コージェネユニット20の稼働が許可されるため、貯湯槽熱量が所定閾値未満でコージェネユニット20が停止状態の時間帯でもコージェネユニット20を稼働させるように制御することは可能である。
【0044】
図2の時点T4から時点T5の間のように、貯湯槽熱量の値によっては、コージェネユニット20から電力系統36に電力を供給することができないことがある。そうすると、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対して、正確な応札を行うことができないおそれがある。例えば、約定した入札において、電力の調整を要求される時間帯と、コージェネユニット20が発電できない時間帯とが重なってしまった場合、電力系統36への電力の供給を実行できない、という事態が発生する可能性がある。
【0045】
そこで、第1実施形態のコージェネレーションシステム1では、将来の電力系統36への電力の供給の可否をアグリゲータが把握できるようにするために、以下のような構成となっている。
【0046】
図3は、データ取得部52の動作の流れを説明するフローチャートである。データ取得部52は、所定の第1時間ごとに導出された貯湯槽熱量を記憶装置24に記憶させる。所定の第1時間は、例えば、10分などに設定されるが、この例に限らず、任意に設定することができる。
【0047】
図3で示すように、データ取得部52は、所定の第1時間ごとに設定された所定の取得実行タイミングが到来したかを判定する(S10)。所定の取得実行タイミングが到来していない場合(S10におけるNO)、データ取得部52は、所定の取得実行タイミングが到来するまで待機する。
【0048】
所定の取得実行タイミングが到来した場合(S10におけるYES)、データ取得部52は、第1温度センサ28により現在の貯湯槽温度を取得する(S11)。次に、データ取得部52は、第2温度センサ30により現在の基準温度を取得する(S12)。次に、データ取得部52は、レベル計32により現在の貯湯槽26内の熱媒体の総量(すなわち、現在の貯留量)を取得する(S13)。
【0049】
次に、データ取得部52は、貯湯槽温度、基準温度および貯留量に基づいて、現在の貯湯槽熱量を導出する(S14)。例えば、データ取得部52は、貯湯槽温度と基準温度との温度差に貯留量を乗算して貯湯槽熱量を導出する。より詳細には、データ取得部52は、上述の運転制御部50における貯湯槽熱量の導出方法と同じ導出方法によって、貯湯槽熱量を導出してもよい。
【0050】
次に、データ取得部52は、導出した現在の貯湯槽熱量を、現在の時刻と関連付けて記憶装置24に記憶させ(S15)、今回の取得実行タイミングにおける処理を終了する。このようにして、記憶装置24には、第1時間ごとの貯湯槽熱量の実績値が蓄積される。
【0051】
図4は、予測値導出部54および供給可否判定部56の動作の概要を説明する図である。
図4では、特定日における第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値を黒丸印で例示している。特定日は、例えば、電力需給調整市場14における調整力の入札に応札する日(例えば、本日)に対する翌日などであり、電力の調整が要求される日(約定の結果、電力の供給を実行する日)である。第1時間は、データ取得部52によって貯湯槽熱量の実績値が蓄積される第1時間と同じである。
【0052】
予測値導出部54は、記憶装置24に記憶された過去の貯湯槽熱量に基づいて、将来の特定日における第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値を導出する。これにより、例えば、
図4の黒丸印のような貯湯槽熱量の予測値が、第1時間で区切られる時点ごとに導出される。
【0053】
例えば、予測値導出部54は、特定日における貯湯槽熱量の予測値を導出すべき任意の時点を導出対象の時点とする。予測値導出部54は、過去の所定期間(例えば、現在から1か月前まで)における当該導出対象の時点と同じ時点の貯湯槽熱量の実績値の平均値を、当該導出対象の時点の貯湯槽熱量の予測値としてもよい。なお、貯湯槽熱量の予測値の具体的な導出方法は、例示した導出方法に限らず、任意の方法としてもよい。
【0054】
供給可否判定部56は、第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値に基づいて、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給の可否を判定する。
【0055】
例えば、供給可否判定部56は、貯湯槽熱量の予測値が、
図4の一点鎖線で示す所定閾値Th以上であるか否かを、貯湯槽熱量の予測値ごと(換言すると、貯湯槽熱量の予測値に対応する時点ごと)に判定する。所定閾値Thは、例えば、コージェネユニット20を停止させる貯湯槽熱量の閾値に基づく任意の値に設定される。
【0056】
供給可否判定部56は、任意の時点の貯湯槽熱量の予測値が所定閾値Th以上である場合、当該任意の時点に関して、供給不可と判定する。供給可否判定部56は、任意の時点の貯湯槽熱量の予測値が所定閾値Th未満である場合、当該任意の時点に関して、供給可と判定する。供給可否判定部56は、このような判定を、貯湯槽熱量の予測値に対応する時点すべてについて行う。
【0057】
供給可否判定部56は、特定日の範囲内において、供給不可と判定された時点を含まず、供給可と判定された時点が連続している時間帯である連続時間帯を抽出する。
図4の例では、時点T11と時点T12との間の時間帯、および、時点T13と時点T14との間の時間帯が、連続時間帯となっている。
【0058】
供給可否判定部56は、連続時間帯の開始時点から終了時点までの時間である連続時間が、所定の第2時間以上であるかを判定する。所定の第2時間は、例えば、30分などに設定されるが、この例に限らず、電力の調整が要求される時間に従って任意に設定することができる。なお、所定の第2時間は、第1時間以上に設定される。
【0059】
供給可否判定部56は、連続時間帯における連続時間が、所定の第2時間以上である場合、その連続時間帯を、コージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が可能な時間帯である供給可能時間帯とする。供給可否判定部56は、連続時間帯における連続時間が、所定の第2時間未満である場合、その連続時間帯を、コージェネユニット20から電力系統36への電力の供給ができない時間帯である供給不能時間帯とする。供給可否判定部56は、このような時間帯の判定を、抽出された連続時間帯すべてについて行う。
【0060】
図4の例では、時点T11と時点T12との間の連続時間帯の連続時間が、第2時間以上となっており、供給可能時間帯となっている。また、
図4の例では、時点T13と時点T14との間の連続時間帯の連続時間が、第2時間以上となっており、供給不能時間帯となっている。
【0061】
供給可否判定部56は、このようにして判定した結果を、通信装置22を通じてサーバ装置12に送信する。サーバ装置12のサーバ制御部80は、分散型電源装置10から判定結果を受信すると、受信した判定結果をユーザインターフェース64の表示装置に表示させることができる。これにより、アグリゲータは、分散型電源装置10における供給可能時間帯および供給不能時間帯を認識することができる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における入札に対して、正確に応札することができる。
【0062】
図5は、予測値導出部54および供給可否判定部56の動作の流れを説明するフローチャートである。例えば、アグリゲータは、電力需給調整市場14における入札に応じる際、ユーザインターフェース64を通じて、将来の特定日における電力の供給可否の判定の実行を示す入力をサーバ装置12に行う。サーバ制御部80は、当該入力に応じて、電力の供給可否の判定の実行を指示する判定実行指令を、通信装置60を通じて分散型電源装置10に送信する。
【0063】
なお、判定実行指令には、電力の供給可否の判定の実行を指示する情報だけでなく、例えば、特定日の情報、電力の調整が要求される時間帯を示す要求時間帯の情報などを含んでもよい。
【0064】
分散型電源装置10の予測値導出部54は、所定周期で訪れる所定の割込みタイミングごとに、判定実行指令を受信したか否かを判定する(S20)。予測値導出部54は、判定実行指令を受信しなかった場合(S20におけるNO)、今回の割込みタイミングでの処理を終了する。
【0065】
判定実行指令を受信した場合(S20におけるYES)、予測値導出部54は、必要なデータ、例えば、過去の貯湯槽熱量の実績値などを、記憶装置24から読み出す(S21)。
【0066】
予測値導出部54は、読み出した過去の貯湯槽熱量に基づいて、将来の特定日における貯湯槽熱量の予測値を、第1時間で区切られる時点ごとに導出する(S22)。
【0067】
次に、供給可否判定部56は、電力の供給可否を判定する供給可否判定処理(S23)を実行する。供給可否判定処理(S23)の流れについては、後述する。供給可否判定部56は、供給可否判定処理(S23)による結果を、通信装置22を通じてサーバ装置12に送信し(S24)、今回の割込みタイミングでの処理を終了する。
【0068】
図6は、供給可否判定処理(S23)の流れを説明するフローチャートである。供給可否判定部56は、まず、特定日における第1時間で区切られる複数の時点のうち任意の時点を、判定の対象となる時点として決定する(S30)。以後、判定の対象となる時点を、判定対象時点という場合がある。
【0069】
次に、供給可否判定部56は、判定対象時点における貯湯槽熱量の予測値が所定閾値Th以上であるか否かを判定する(S31)。
【0070】
判定対象時点における貯湯槽熱量の予測値が所定閾値Th以上である場合(S31におけるYES)、供給可否判定部56は、判定対象時点では供給不可と判定し(S32)、ステップS34の処理に進む。
【0071】
判定対象時点における貯湯槽熱量の予測値が所定閾値Th未満である場合(S31におけるNO)、供給可否判定部56は、判定対象時点では供給可と判定し(S33)、ステップS34の処理に進む。
【0072】
ステップS34において、供給可否判定部56は、特定日における第1時間で区切られる複数の時点のすべてにおいて判定が完了したかを判定する(S34)。複数の時点のうち判定が未完了の時点がある場合(S34におけるNO)、供給可否判定部56は、ステップS30戻って、複数の時点のうち判定が未完了の時点のうちの任意の時点を、判定対象時点として、ステップS31の比較を行う。
【0073】
複数の時点のすべてにおいて判定が完了した場合(S34におけるYES)、供給可否判定部56は、供給可と判定された複数の時点が連続している連続時間帯を抽出する(S35)。
【0074】
供給可否判定部56は、抽出した連続時間帯のうち任意の連続時間帯を、判定の対象となる連続時間帯として決定する(S36)。以後、判定の対象となる連続時間帯を、判定対象連続時間帯という場合がある。
【0075】
次に、供給可否判定部56は、判定対象連続時間帯における連続時間が第2時間以上であるか否かを判定する(S37)。
【0076】
判定対象連続時間帯における連続時間が第2時間以上である場合(S37におけるYES)、供給可否判定部56は、判定対象連続時間帯が供給可能時間帯であると判定し(S38)、ステップS40の処理に進む。
【0077】
判定対象連続時間帯における連続時間が第2時間未満である場合(S37におけるNO)、供給可否判定部56は、判定対象連続時間帯が供給不能時間帯であると判定し(S39)、ステップS40の処理に進む。
【0078】
ステップS40において、供給可否判定部56は、抽出した連続時間帯のすべてにおいて判定が完了したかを判定する(S40)。抽出した連続時間帯のうち判定が未完了の連続時間帯がある場合(S40におけるNO)、供給可否判定部56は、ステップS36に戻って、抽出した連続時間帯のうち判定が未完了の連続時間帯のうち任意の連続時間帯を、判定対象連続時間帯として、ステップS37の比較を行う。
【0079】
抽出した連続時間帯のすべてにおいて判定が完了した場合(S40におけるYES)、供給可否判定部56は、供給可否判定処理(S23)を終了する。供給可否判定処理(S23)の結果、供給可能時間帯がなければ、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が不可であることに相当する。供給可否判定処理(S23)の結果、供給可能時間帯があれば、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が可能であることに相当する。
【0080】
そして、
図5のステップS24で示すように、供給可否判定部56は、少なくとも供給可能時間帯の情報をサーバ装置12に送信する。供給可能時間帯の情報は、供給可能時間帯の有無(電力の供給の可否)、供給可能時間帯の開始時点および終了時点、供給可能時間帯における開始時点から終了時点までの時間を含んでもよい。
【0081】
以上のように、第1実施形態のコージェネレーションシステム1では、記憶装置24に記憶された過去の貯湯槽熱量に基づいて、将来の特定日における第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値が導出される。そして、第1実施形態のコージェネレーションシステム1では、第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値に基づいて、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給の可否が判定される。
【0082】
これにより、第1実施形態のコージェネレーションシステム1では、将来の特定日における電力の供給の可否の判定結果をアグリゲータが参照することで、電力系統36への将来の電力の供給の可否をアグリゲータが把握することが可能となる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対して、正確に応札することができる。したがって、第1実施形態のコージェネレーションシステム1によれば、コージェネユニット20から電力を適切に供給可能となる。
【0083】
また、第1実施形態のコージェネレーションシステム1では、供給可能時間帯も特定される。これにより、第1実施形態のコージェネレーションシステム1では、特定日におけるいつの時間帯に、電力系統36への電力の供給が可能であるかを、アグリゲータが詳細に把握することが可能となる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対して、より正確に応札することができる。
【0084】
(第2実施形態)
第1実施形態では、第1時間ごとの貯湯槽熱量の予測値に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給可否が判定されていた。これに対し、第2実施形態では、コージェネユニット20の実際の稼働履歴から、将来の特定日におけるコージェネユニット20が稼働する時間帯が予測され、その予測結果に基づいて、特定日における電力系統36への電力の供給の可否が判定される。
【0085】
第2実施形態では、データ取得部52、予測値導出部54および供給可否判定部56の処理内容が、第1実施形態と異なり、他の構成については、第1実施形態と同様である。第2実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0086】
以後、コージェネユニット20が停止状態から稼働状態に切り替わる時刻を、起動時刻という場合がある。また、コージェネユニット20が稼働状態から停止状態に切り替わる時刻を、停止時刻という場合がある。
【0087】
図7は、第2実施形態におけるデータ取得部52の動作の流れを説明するフローチャートである。第2実施形態において、データ取得部52は、コージェネユニット20が停止状態から稼働状態に切り替えられるごとに起動時刻を記憶装置24に記憶させる。データ取得部52は、コージェネユニット20が稼働状態から停止状態に切り替えられるごとに停止時刻を記憶装置24に記憶させる。つまり、記憶装置24には、コージェネユニット20の起動時刻および停止時刻の情報が蓄積される。
【0088】
図7で示すように、データ取得部52は、所定の周期で訪れる所定の割込みタイミングごとに、コージェネユニット20の現在の状態を示すコージェネ状態情報を、コージェネユニット20から取得する(S40)。コージェネ状態情報には、例えば、コージェネユニット20の現在の状態が、停止状態であるか、あるいは、稼働状態であるかを示す情報が含まれる。
【0089】
次に、データ取得部52は、コージェネ状態情報に基づいて、コージェネユニット20が停止状態から稼働状態に切り替えられたか否かを判定する(S41)。例えば、前回の割込みタイミングで取得されたコージェネ状態情報が停止状態を示し、今回の割込みタイミングで取得されたコージェネ状態情報が稼働状態を示すものであれば、データ取得部52は、コージェネユニット20が停止状態から稼働状態に切り替えられたと判定する。
【0090】
コージェネユニット20が停止状態から稼働状態に切り替えられたと判定した場合(S41におけるYES)、データ取得部52は、当該判定を行った時刻を、起動時刻として記憶装置24に記憶させ(S42)、今回の割込みタイミングでの処理を終了する。
【0091】
コージェネユニット20が停止状態から稼働状態に切り替えられていないと判定した場合(S41におけるNO)、データ取得部52は、コージェネ状態情報に基づいて、コージェネユニット20が稼働状態から停止状態に切り替えられたか否かを判定する(S43)。例えば、前回の割込みタイミングで取得されたコージェネ状態情報が稼働状態を示し、今回の割込みタイミングで取得されたコージェネ状態情報が停止状態を示すものであれば、データ取得部52は、コージェネユニット20が稼働状態から停止状態に切り替えられたと判定する。
【0092】
コージェネユニット20が稼働状態から停止状態に切り替えられたと判定した場合(S43におけるYES)、データ取得部52は、当該判定を行った時刻を、停止時刻として記憶装置24に記憶させ(S43)、今回の割込みタイミングでの処理を終了する。また、コージェネユニット20が稼働状態から停止状態に切り替えられていないと判定した場合(S43におけるNO)、データ取得部52は、そのまま今回の割込みタイミングでの処理を終了する。
【0093】
図8は、第2実施形態における予測値導出部54および供給可否判定部56の動作の概要を説明する図である。
【0094】
予測値導出部54は、記憶装置24に記憶された過去の起動時刻に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニット20の起動時刻の予測値を導出する。これにより、例えば、
図8の時点T21および時点T22で示す起動時刻の予測値が導出される。
【0095】
また、予測値導出部54は、記憶装置24に記憶された過去の停止時刻に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニット20の停止時刻の予測値を導出する。これにより、例えば、
図8の時点T32および時点T24で示す起動時刻の予測値が導出される。
【0096】
例えば、予測値導出部54は、過去の所定期間(例えば、現在から1か月前まで)における過去の起動時刻の実績値の平均値を、起動時刻の予測値としてもよい。同様に、予測値導出部54は、過去の所定期間(例えば、現在から1か月前まで)における過去の停止時刻の実績値の平均値を、停止時刻の予測値としてもよい。なお、起動時刻の予測値および停止時刻の予測値の具体的な導出方法は、例示した導出方法に限らず、任意の方法としてもよい。
【0097】
供給可否判定部56は、記憶装置24に記憶された過去の起動時刻および停止時刻に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給の可否を判定する。より詳細には、供給可否判定部56は、予測値導出部54によって導出された起動時刻の予測値および停止時刻の予測値に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給の可否を判定する。
【0098】
供給可否判定部56は、特定日の範囲内において、起動時刻の予測値と、その起動時刻の予測値から先の最初の停止時刻の予測値までの時間帯である予測稼働時間帯を抽出する。
図8の例では、時点T21と時点T23との間の時間帯、および、時点T22と時点T24との間の時間帯が、予測稼働時間帯となっている。
【0099】
供給可否判定部56は、予測稼働時間帯の開始時点から終了時点までの時間である予測稼働時間が、所定の第2時間以上であるかを判定する。
【0100】
供給可否判定部56は、予測稼働時間帯における予測稼働時間が、所定の第2時間以上である場合、その予測稼働時間帯を、コージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が可能な時間帯である供給可能時間帯とする。供給可否判定部56は、予測稼働時間帯における予測稼働時間が、所定の第2時間未満である場合、その予測稼働時間帯を、コージェネユニット20から電力系統36への電力の供給ができない時間帯である供給不能時間帯とする。供給可否判定部56は、このような時間帯の判定を、抽出された予測稼働時間帯すべてについて行う。
【0101】
図8の例では、時点T21と時点T23との間の予測稼働時間帯の予測稼働時間が第2時間以上となっており、この予測稼働時間帯が、供給可能時間帯となっている。また、
図8の例では、時点T22と時点T24との間の予測稼働時間帯の予測稼働時間が第2時間未満となっており、この予測稼働時間帯が、供給不能時間帯となっている。
【0102】
供給可否判定部56は、このようにして判定した結果を、通信装置22を通じてサーバ装置12に送信する。サーバ装置12のサーバ制御部80は、分散型電源装置10から判定結果を受信すると、受信した判定結果をユーザインターフェース64の表示装置に表示させることができる。これにより、アグリゲータは、分散型電源装置10における供給可能時間帯および供給不能時間帯を認識することができる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における入札に対して、正確に応札することができる。
【0103】
図9は、第2実施形態における予測値導出部54および供給可否判定部56の動作の流れを説明するフローチャートである。予測値導出部54は、所定周期で訪れる所定の割込みタイミングごとに、判定実行指令を受信したか否かを判定する(S50)。予測値導出部54は、判定実行指令を受信しなかった場合(S50におけるNO)、今回の割込みタイミングでの処理を終了する。
【0104】
判定実行指令を受信した場合(S50におけるYES)、予測値導出部54は、必要なデータ、例えば、過去の起動時刻および停止時刻の実績値などを、記憶装置24から読み出す(S21)。
【0105】
予測値導出部54は、読み出した過去の起動時刻に基づいて、将来の特定日における起動時刻の予測値を導出する(S52)。予測値導出部54は、読み出した過去の停止時刻に基づいて、将来の特定日における停止時刻の予測値を導出する(S53)。
【0106】
供給可否判定部56は、起動時刻の予測値および停止時刻の予測値に基づいて、予測稼働時間帯を抽出する(S54)。
【0107】
供給可否判定部56は、抽出した予測稼働時間帯のうち任意の予測稼働時間帯を、判定の対象となる予測稼働時間帯として決定する(S55)。以後、判定の対象となる予測稼働時間帯を判定対象予測稼働時間帯という場合がある。
【0108】
次に、供給可否判定部56は、判定対象予測稼働時間帯における予測稼働時間が第2時間以上であるか否かを判定する(S56)。
【0109】
判定対象予測稼働時間帯における予測稼働時間が第2時間以上である場合(S56におけるYES)、供給可否判定部56は、判定対象予測稼働時間帯が供給可能時間帯であると判定し(S57)、ステップS59の処理に進む。
【0110】
判定対象予測稼働時間帯における予測稼働時間が第2時間未満である場合(S56におけるNO)、供給可否判定部56は、判定対象予測稼働時間帯が供給不能時間帯であると判定し(S58)、ステップS59の処理に進む。
【0111】
ステップS59において、供給可否判定部56は、抽出した予測稼働時間帯のすべてにおいて判定が完了したかを判定する(S59)。抽出した予測稼働時間帯のうち判定が未完了の予測稼働時間帯がある場合(S59におけるNO)、供給可否判定部56は、ステップS55に戻って、抽出した予測稼働時間帯のうち判定が未完了の予測稼働時間帯のうち任意の予測稼働時間帯を、判定対象予測稼働時間帯として、ステップS56の比較を行う。
【0112】
抽出した予測稼働時間帯のすべてにおいて判定が完了した場合(S59におけるYES)、供給可否判定部56は、少なくとも供給可能時間帯の情報を含む結果を、サーバ装置12に送信する。
【0113】
なお、第2実施形態におけるステップS54からステップS59までの処理が、第1実施形態における供給可否判定処理(S23)に相当する。また、供給可能時間帯がなければ、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が不可であることに相当する。供給可能時間帯があれば、特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が可能であることに相当する。
【0114】
以上のように、第2実施形態のコージェネレーションシステム1では、記憶装置24に記憶された過去の起動時刻および停止時刻に基づいて、将来の特定日におけるコージェネユニット20から電力系統36への電力の供給の可否が判定される。
【0115】
これにより、第2実施形態のコージェネレーションシステム1では、将来の特定日における電力の供給の可否の判定結果をアグリゲータが参照することで、電力系統36への将来の電力の供給の可否をアグリゲータが把握することが可能となる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対して、正確に応札することができる。したがって、第2実施形態のコージェネレーションシステム1によれば、コージェネユニット20から電力を適切に供給可能となる。
【0116】
また、第2実施形態のコージェネレーションシステム1では、供給可能時間帯も特定される。これにより、第2実施形態のコージェネレーションシステム1では、特定日におけるどの時間帯に、電力系統36への電力の供給が可能であるかを、アグリゲータが詳細に把握することが可能となる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対して、より正確に応札することができる。
【0117】
(第2実施形態の変形例)
図10は、第2実施形態の変形例の概要を説明する図である。
図10の時点T31は、現在を基準として、過去の最新の停止時刻に相当する。時点T31から現在までは、コージェネユニット20が停止状態で維持されている。
【0118】
ここで、コージェネユニット20の停止状態が、現在から先において、さらに維持されるとする。このような場合、コージェネユニット20の停止状態が維持される時間が長くなるに従って、貯湯槽26に蓄えられた熱が次第に放熱されていく。そうすると、貯湯槽熱量が所定閾値以上の値から所定閾値未満に低下することがある。貯湯槽熱量が所定閾値未満となれば、コージェネユニット20は、発電が可能となる。
【0119】
そこで、供給可否判定部56は、将来の特定日の時間帯であって、かつ、過去の最新の停止時刻から所定時間以上経過した時間帯を、コージェネユニット20から電力系統36への電力の供給が可能な時間帯(供給可能時間帯)であると判定してもよい。所定時間は、貯湯槽26の熱が自然に放熱されて、所定閾値以上の貯湯槽熱量が所定閾値未満に低下するのに十分な時間に設定される。
【0120】
図10の例では、過去の最新の停止時刻である時点T31から所定時間が経過した時点T32が、特定日に含まれている。この例では、時点T32から、特定日の終了時点である時点T33までの時間帯が、供給可能時間帯となっている。
【0121】
第2実施形態の変形例では、第2実施形態と同様に、将来の特定日における電力の供給の可否の判定結果をアグリゲータが参照することで、電力系統36への将来の電力の供給の可否をアグリゲータが把握することが可能となる。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対して、正確に応札することができる。したがって、第2実施形態の変形例によれば、コージェネユニット20から電力を適切に供給可能となる。
【0122】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態にかかるコージェネレーションシステム100の構成を示すブロック図である。第3実施形態のコージェネレーションシステム100は、分散型電源装置10におけるプロセッサ40が、さらに、時間帯調整部158としても機能する点において第1実施形態と異なり、他の構成については、第1実施形態と同じである。第3実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0123】
第1実施形態では、将来の特定日に供給可能時間帯があれば、電力系統36への電力の供給が可能であると判定されていた。しかし、例えば、電力需給調整市場14における入札では、電力の調整力が必要な時間帯、すなわち、電力の調整が要求される時間帯が予め決められていることがある。以後、電力の調整が要求される時間帯を、要求時間帯という場合がある。
【0124】
特定日における要求時間帯が決められている場合、特定日に供給可能時間帯があるとしても、要求時間帯の全てが供給可能時間帯に包含されないような事態が生じ得る。要求時間帯の全てが供給時間帯に含まれない場合、特定日において電力系統36への電力の供給を適切に行うことができないことがある。その結果、アグリゲータは、電力需給調整市場14における調整力の入札に対する応札の機会を逃すおそれがある。
【0125】
そこで、第3実施形態において、時間帯調整部158は、要求時間帯の全てが供給可能時間帯に包含されていない場合、要求時間帯の全てが供給可能時間帯に包含されるように、特定日におけるコージェネユニット20の稼働時間帯を変更するように制御する。
【0126】
図12は、時間帯調整部158の動作の流れを説明するフローチャートである。
図12は、第1実施形態の
図5のフローチャートに対して、時間帯調整部158に関する処理が追加されたものである。
【0127】
図12で示すように、供給可否判定処理(S23)の後、時間帯調整部158は、要求時間帯の全てが、供給可否判定処理(S23)において得られた供給可能時間帯に含まれるか否かを判定する(S70)。要求時間帯は、例えば、ステップS20で受信した実行開始指令に含まれている。
【0128】
時間帯調整部158は、例えば、要求時間帯の開始時点が供給可能時間帯の開始時点よりも遅く、かつ、要求時間帯の終了時点が供給可能時間帯の終了時点よりも早ければ、要求時間帯の全てが供給可能時間帯に含まれると判定する。
【0129】
要求時間帯の全てが供給可能時間帯に含まれると判定した場合(S70におけるYES)、供給可否判定部56は、少なくとも供給可能時間帯の情報を含む結果をサーバ装置12に送信する(S24)。この場合、特定日におけるコージェネユニット20の稼働時間帯を変更しなくとも、供給可能時間帯の範囲内でコージェネユニット20を稼働させることで、要求時間帯の全てにおいて、電力系統36に電力を供給することができる。
【0130】
要求時間帯の少なくとも一部が供給可能時間帯に含まれないと判定した場合(S70におけるNO)、時間帯調整部158は、特定日におけるコージェネユニット20の稼働時間帯を調整する時間帯調整処理(S71)を行う。時間帯調整処理(S71)については、後述する。
【0131】
時間帯調整処理(S71)の後、供給可否判定部56は、供給可能時間帯の情報、および、特定日におけるコージェネユニット20の調整後の稼働時間帯の情報を含む結果を、サーバ装置12に送信する(S24)。調整後の稼働時間帯の情報は、例えば、稼働時間帯の調整の有無、調整後の稼働時間帯の開始時点および終了時点、調整後の稼働時間帯における開始時点から終了時点までの時間を含んでもよい。
【0132】
なお、時間帯調整処理(S71)が行われた場合、調整後の稼働時間帯の情報が記憶装置24に記憶される。そして、特定日が到来すると、運転制御部50は、調整後の稼働時間帯の情報を記憶装置24から読み出し、当該調整後の稼働時間帯の情報に従ってコージェネユニット20の運転を制御する。
【0133】
図13は、時間帯調整処理(S71)の一例を説明する図である。
図13(a)は、特定日において、要求時間帯の少なくとも一部が、供給可能時間帯よりも早く到来する場合を示している。
図13(b)は、
図13(a)に対してコージェネユニット20の稼働時間帯を調整した一例を示す。
図13(c)は、
図13(a)に対してコージェネユニット20の稼働時間帯を調整した他の例を示す。
【0134】
図13(a)で示すように、例えば、供給可能時間帯の開始時点でコージェネユニット20を起動させ、供給可能時間帯の終了時点でコージェネユニット20を停止させるとする。そうすると、供給可能時間帯が、特定日におけるコージェネユニット20の稼働時間帯に相当する。しかし、
図13(a)では、要求時間帯の一部が供給可能時間帯から外れているため、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができない。
【0135】
そこで、時間帯調整部158は、供給可能時間帯に相当する稼働時間帯の全体を、
図13(b)で示すように、早くする方向(現在に近づく方向)にシフトさせるように調整することができる。例えば、
図13(b)で示すように、稼働時間帯における起動時刻が要求時間帯の開始時点よりも早くなり、稼働時間帯における停止時刻が要求時間帯の終了時点よりも遅くなるように調整する。
図13(b)の例では、稼働時間帯における起動時刻のシフト量と停止時刻のシフト量とが同じであり、起動時刻から停止時刻までの時間は、シフトの前後で同じである。
【0136】
調整前(
図13(a))における起動時刻よりも早い時間帯では、貯湯槽熱量が所定閾値Th以上であると推定される。そこで、
図13(b)で示すように、時間帯調整部158は、調整後の起動時刻よりも前の任意の期間において、貯湯槽26に貯留されている熱媒体の少なくとも一部を、強制的に貯湯槽26の外部に排出するように制御する。これにより、調整後の起動時刻に到達する前に貯湯槽熱量を所定閾値Th未満にすることができ、調整後の起動時刻においてコージェネユニット20を適切に起動させることができる。
【0137】
図13(b)のように稼働時間帯を調整することで、要求時間帯の全てが稼働時間帯に包含されるようになる。そうすると、調整後の稼働時間帯においてコージェネユニット20を稼働させることで、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができる。
【0138】
なお、
図13(b)の例では、コージェネユニット20の停止時刻が、
図13(a)で示す調整前の停止時刻と比べ、早まることになる。停止時刻が早まったとしても、調整後の停止時刻から調整前の停止時刻までの期間、貯湯槽26内で熱が蓄えられるため、調整前の停止時刻よりも後の熱需要への影響を抑えることができる。
【0139】
また、
図13(c)で示すように、時間帯調整部158は、供給可能時間帯に相当する稼働時間帯のうち、停止時刻を変更せず、起動時刻を要求時間帯の開始時点よりも早くするように(現在に近づけるように)調整することができる。すなわち、
図13(c)では、早くする方向(現在に近づく方向)に稼働時間帯が延長される。
【0140】
図13(c)で示すように、時間帯調整部158は、調整後の起動時刻よりも前の任意の期間において、貯湯槽26に貯留されている熱媒体の少なくとも一部を、強制的に貯湯槽26の外部に排出するように制御する。これにより、調整後の起動時刻に到達する前に貯湯槽熱量を所定閾値Th未満にすることができ、調整後の起動時刻においてコージェネユニット20を適切に起動させることができる。
【0141】
図13(c)の例では、時間帯調整部158は、さらに、コージェネユニット20の単位時間当たりの出力を、稼働時間帯の調整前と比べ、抑制するように制御する。コージェネユニット20の出力を抑制することで、貯湯槽熱量の増加速度を抑制することができ、稼働時間帯を適切に延長することが可能となる。また、調整の前後において、停止時刻が変化しないため、停止時刻の後の熱需要への影響を、より抑えることができる。なお、出力を抑制すると、要求時間帯に供給可能な電力が低下するため、要求時間帯に供給可能な電力が低下する情報をサーバ装置12に送信して、アグリゲータに注意喚起を行うことが好ましい。
【0142】
図13(c)のように稼働時間帯を調整することで、要求時間帯の全てが稼働時間帯に包含されるようになる。そうすると、調整後の稼働時間帯においてコージェネユニット20を稼働させることで、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができる。
【0143】
図14は、時間帯調整処理(S71)の他の例を説明する図である。
図14(a)は、特定日において、要求時間帯の少なくとも一部が、供給時間帯よりも遅く到来する場合を示している。
図14(b)は、
図14(a)に対してコージェネユニット20の稼働時間帯を調整した一例を示す。
図14(b)は、
図14(a)に対してコージェネユニット20の稼働時間帯を調整した他の例を示す。
【0144】
図14(a)で示すように、例えば、例えば、供給可能時間帯の開始時点でコージェネユニット20を起動させ、供給可能時間帯の終了時点でコージェネユニット20を停止させるとする。そうすると、供給可能時間帯が、特定日におけるコージェネユニット20の稼働時間帯に相当する。しかし、
図14(a)では、要求時間帯の一部が供給可能時間帯から外れているため、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができない。
【0145】
そこで、時間帯調整部158は、供給可能時間帯に相当する稼働時間帯の全体を、
図14(b)で示すように、遅くする方向(現在から遠ざかる方向)にシフトさせるように調整することができる。例えば、
図14(b)で示すように、稼働時間帯における起動時刻が要求時間帯の開始時点よりも早くなり、稼働時間帯における停止時刻が要求時間帯の終了時点よりも遅くなるように調整する。
図14(b)の例では、稼働時間帯における起動時刻のシフト量と停止時刻のシフト量とが同じであり、起動時刻から停止時刻までの時間は、シフトの前後で同じである。
【0146】
図14(b)のように稼働時間帯を調整することで、要求時間帯の全てが稼働時間帯に包含されるようになる。そうすると、調整後の稼働時間帯においてコージェネユニット20を稼働させることで、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができる。
【0147】
ただし、
図14(b)の例では、稼働時間帯の調整前の起動時刻において、コージェネユニット20を起動させ、稼働時間帯の調整前の起動時刻と稼働時間帯の調整後の起動時刻との間の任意の時点において、コージェネユニット20を一度停止させる。そして、稼働時間帯の調整後の起動時刻において、コージェネユニット20を再度起動させるようにする。このようにすることで、要求時間帯よりも前に生じる熱需要に、適切に対応することが可能となる。
【0148】
また、
図14(c)で示すように、時間帯調整部158は、供給可能時間帯に相当する稼働時間帯のうち、起動時刻を変更せず、停止時刻を要求時間帯の終了時点よりも遅くするように(現在から遠ざかるように)調整することができる。すなわち、
図14(c)では、遅くする方向(現在から遠ざかる方向)に稼働時間帯が延長される。
【0149】
図14(c)の例では、時間帯調整部158は、さらに、コージェネユニット20の単位時間当たりの出力を、稼働時間帯の調整前と比べ、抑制するように制御する。コージェネユニット20の出力を抑制することで、貯湯槽熱量の増加速度を抑制することができ、稼働時間帯を適切に延長することが可能となる。また、調整の前後において、起動時刻が変化しないため、起動時刻と要求時間帯の開始時点との間の熱需要への影響を、より抑えることができる。なお、出力を抑制すると、要求時間帯に供給可能な電力が低下するため、要求時間帯に供給可能な電力が低下する情報をサーバ装置12に送信して、アグリゲータに注意喚起を行うことが好ましい。
【0150】
図14(c)のように稼働時間帯を調整することで、要求時間帯の全てが稼働時間帯に包含されるようになる。そうすると、調整後の稼働時間帯においてコージェネユニット20を稼働させることで、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができる。
【0151】
また、
図14(d)で示すように、時間帯調整部158は、供給可能時間帯に相当する稼働時間帯のうち、起動時刻を変更せず、停止時刻を要求時間帯の終了時点よりも遅くするように(現在から遠ざかるように)調整することができる。
【0152】
図14(d)の例では、コージェネユニット20の出力の抑制は行わない。その代わり、
図14(d)の例では、起動時刻と要求時間帯の開始時点との間の任意の期間において、貯湯槽26に貯留されている熱媒体の少なくとも一部を、強制的に貯湯槽26の外部に排出するように制御する。貯湯槽26内の熱を強制的に排出することで、コージェネユニット20の出力を抑制することなく、貯湯槽熱量の増加速度を抑制することができ、稼働時間帯を適切に延長することが可能となる。また、調整の前後において、起動時刻が変化しないため、起動時刻と要求時間帯の開始時点との間の熱需要への影響を、より抑えることができる。
【0153】
図14(d)のように稼働時間帯を調整することで、要求時間帯の全てが稼働時間帯に包含されるようになる。そうすると、調整後の稼働時間帯においてコージェネユニット20を稼働させることで、電力系統36への電力の供給を適切に行うことができる。
【0154】
以上のように、第3実施形態のコージェネレーションシステム100では、要求時間帯の全体が供給可能時間帯に包含されていない場合、要求時間帯の全体が供給可能時間帯に包含されるように、特定日におけるコージェネユニット20の稼働時間帯を変更するように制御される。
【0155】
これにより、第3実施形態のコージェネレーションシステム100では、要求時間帯の全体が供給可能時間帯に包含されるようにコージェネユニットが制御されるため、要求時間帯において電力系統36に電力を適切に供給することができる。その結果、第3実施形態のコージェネレーションシステム100では、電力需給調整市場14における入札で要求時間帯が予め決められていたとしても、そのような入札に応札する機会を増加させることが可能となる。
【0156】
なお、第3実施形態では、第1実施形態の構成に対して時間帯調整部158が追加された例を説明していた。しかし、第2実施形態の構成に対して時間帯調整部158を追加する構成としてもよい。
【0157】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0158】
例えば、上記各実施形態では、分散型電源装置10の制御装置34のプロセッサ40が、データ取得部52、予測値導出部54、供給可否判定部56および時間帯調整部158として機能していた。しかし、データ取得部52、予測値導出部54、供給可否判定部56および時間帯調整部158は、分散型電源装置10のプロセッサ40により実現される態様に限らない。データ取得部52、予測値導出部54、供給可否判定部56および時間帯調整部158の一部またはすべてが、サーバ装置12のプロセッサ70により実現されてもよいし、任意のコンピュータにおいて実現されてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1、100 コージェネレーションシステム
20 コージェネユニット
24 記憶装置
26 貯湯槽
28 第1温度センサ
36 電力系統
50 運転制御部
52 データ取得部
54 予測値導出部
56 供給可否判定部
158 時間帯調整部