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特開2023-158889計画作成装置、計画作成プログラムおよび計画作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158889
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】計画作成装置、計画作成プログラムおよび計画作成方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/16 20060101AFI20231024BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231024BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B22D11/16 Z
G05B19/418 Z
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068926
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】前久 景星
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 正俊
(72)【発明者】
【氏名】足立 巧
【テーマコード(参考)】
3C100
4E004
【Fターム(参考)】
3C100AA13
3C100AA18
3C100BB05
3C100BB11
3C100EE10
4E004MC30
(57)【要約】
【課題】キャスト枠に集約するキャスト枠設計を、容易かつ短時間で行えるようにする。
【解決手段】計画作成装置(100)は、初期集合(C0)を、含まれる仮想鋼材(s)の内訳をそれぞれ変えて複数生成する初期集合生成部(34)と、集合分割問題の双対問題の双対最適解を求解する双対問題求解部(35)と、候補集合を生成する候補集合生成部(361)と、候補集合の被約費用(ηj)を算出する算出部(362)と、を有し、被約費用が所定基準を満たす全ての候補集合を有望集合(Ce)として抽出する有望集合抽出部(36)と、初期集合および有望集合に基づいて、集合分割問題の最適解を求解する原問題求解部(37)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造により鋳造しようとする第一の数の鋼材に対応する第一の数の仮想鋼材を、前記第一の数より少ない第二の数のキャスト枠に集約する集合分割問題を求解することにより、キャスト枠の編成計画を作成する計画作成装置であって、
少なくとも一つの前記仮想鋼材を含む最初の前記仮想鋼材の集合である初期集合を、前記初期集合に含まれる前記仮想鋼材の内訳をそれぞれ変えて複数生成する初期集合生成部と、
複数の前記初期集合について、前記集合分割問題の双対問題の双対最適解を求解する双対問題求解部と、
含まれる前記仮想鋼材の内訳が各初期集合とは異なる前記仮想鋼材の集合である候補集合を、キャスト枠として成立するための条件を満たすように生成する候補集合生成部と、前記双対最適解に基づいて、前記候補集合の被約費用を算出する算出部と、を有し、前記被約費用が所定基準を満たす全ての前記候補集合を有望集合として抽出する有望集合抽出部と、
複数の前記初期集合および前記有望集合に基づいて、前記集合分割問題の最適解を求解する原問題求解部と、
を備える計画作成装置。
【請求項2】
前記候補集合生成部は、
前記第一の数の仮想鋼材が製造条件に基づいて集約された、前記第一の数より少ない第三の数の単位グループを取得し、
前記単位グループを構成単位として前記候補集合を生成する、
請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項3】
前記候補集合生成部は、
前記第三の数の単位グループに基づいて生成された、少なくとも一つの単位グループを含み、同一鋼種の前記仮想鋼材で構成される第四の数の大グループを取得し、
前記大グループを構成単位として前記候補集合を生成する、
請求項2に記載の計画作成装置。
【請求項4】
前記候補集合生成部は、
前記大グループを一つのノードとし、
前記ノードを所定数接続していくことにより一の候補集合を生成し、
前記一の候補集合を生成した後、1番目から所定番目まで前記一の候補集合と同じノードを複製し、前記所定番目のノードに、前記一の候補集合における前記所定番目の次の番目のノードとは異なるノードを接続することにより次の候補集合を生成する、
請求項3に記載の計画作成装置。
【請求項5】
前記候補集合生成部は、前記次の番目のノードを接続する前に所定の打ち切り条件が成立した場合には、当該次の番目のノードの接続を停止する、
請求項4に記載の計画作成装置。
【請求項6】
前記仮想鋼材の集合を、列として管理する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の計画作成装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の計画作成装置としてコンピュータを機能させるための計画作成プログラムであって、
前記初期集合生成部、前記双対問題求解部、前記候補集合生成部、前記算出部、前記有望集合抽出部、および前記原問題求解部としてコンピュータを機能させるための計画作成プログラム。
【請求項8】
連続鋳造により鋳造しようとする第一の数の鋼材に対応する第一の数の仮想鋼材を、前記第一の数より少ない第二の数のキャスト枠に集約する集合分割問題を求解することにより、キャスト枠の編成計画を作成する計画作成方法であって、
少なくとも一つの前記仮想鋼材を含む最初の前記仮想鋼材の集合である初期集合を、前記初期集合に含まれる前記仮想鋼材の内訳をそれぞれ変えて複数生成するステップと、
複数の前記初期集合について、前記集合分割問題の双対問題の双対最適解を求解するステップと、
含まれる前記仮想鋼材の内訳が各初期集合とは異なる前記仮想鋼材の集合である候補集合を、キャスト枠として成立するための条件を満たすように生成するステップと、前記双対最適解に基づいて、前記候補集合の被約費用を算出するステップと、を有し、前記被約費用が所定基準を満たす全ての前記候補集合を有望集合として抽出するステップと、
複数の前記初期集合および前記有望集合に基づいて、前記集合分割問題の最適解を求解するステップと、
を有する計画作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画作成装置、計画作成プログラムおよび計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造により複数の鋼材を製造する際には、予め、製造予定の複数の鋼材に対応する複数の仮想鋼材を、鋳造単位であるいくつかのキャスト枠に集約する計画作業(以下、キャスト枠設計)が行われる。連続鋳造では、溶鋼のチャージ回数を増やすことにより、鋼種切り替え時の不良部発生数を少なくしたり、鋳造再開に要する準備時間を短くしたりすることができる。このため、一のキャスト枠には、できるだけ多くの仮想鋼材を含めることが望ましい。一方、製造予定の複数の鋼材の中には、製造条件(成分、形状、熱延希望日等)が異なるものが混在する。このため、同一のキャスト枠内に含めることのできる仮想鋼材には制限がある。すなわち、キャスト枠設計においては、こうしたトレードオフを考慮しつつ仮想鋼材を集約することが求められる。また、キャスト枠設計では、数百~千といった多数の仮想鋼材を扱うのが一般的である。仮想鋼材の数が増えれば、一のキャスト枠に含まれる仮想鋼材の組み合わせ数は膨大なものとなる。従来は、こうした作業を、計画担当者(人)が行っていた。しかし、こうした作業は、計画担当者にとって非常に負荷が大きいものであった。
【0003】
そこで、従来、計画担当者に代わって機械がキャスト枠設計を行うための各種技術が提案されている。例えば特許文献1には、複数の実現可能ロットの最適な組み合わせを求める原問題の最適解を構成する実現可能ロットの候補を生成する列生成手段と、候補ロットが列追加要件を満足する場合に候補ロットを実現可能ロットの集合に追加する列追加手段と、候補ロットが列追加要件を満足しない場合に得られている集合に基づいて原問題の最適解を導出する最適解導出手段と、を有する計画作成装置について記載されている。また、特許文献2には、実現可能山の列挙、それに対する列主双対ギャップの導出、列主双対ギャップと第1閾値との比較に基づく双対問題求解用の実現可能山の抽出を繰り返し、それらを対象として双対最適解を導出する双対問題求解手段と、実現可能山の列挙、実現可能山に対する列主双対ギャップと第2閾値との比較に基づく原問題求解用の実現可能山の選択列挙を繰り返す選択列挙手段と、集合分割問題を求解して選択列挙された実現可能山から実現可能山の集合を導出する最適解導出手段と、を有する山分け計画作成装置について記載されている。なお、山分けとは、鋼材の置場において、運ばれてきた多数の鋼材を、いくつかの最適山を構成するグループに分け、それぞれ山の形に積み上げていく作業を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-151734号公報
【特許文献2】特開2020-107211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような従来の計画作成装置は、従来ある列生成法を用いて最適解を導出していた。このため、導出の過程で子問題を求解する必要があった。子問題の求解のためには、子問題を数理モデルとして記述する必要があるが、このモデル化は容易ではない。また、従来の列生成法は、計算量(特に、主問題-子問題間のループ)が多くなる。このため、子問題をモデル化したとしても、キャスト枠設計のような要素数の多い計画作成においては、演算に膨大な時間がかかってしまう。また、特許文献2に記載された計画作成装置は、選択列挙型の列生成法を用いて最適解を導出するものである。しかし、特許文献2に記載の選択列挙型の列生成法は、鋳造した後の複数の鋼材の山分けの仕方を最適化する山分け計画に関する分野に対するものであるところ、キャスト枠設計の計算規模は、山分け計画に比較して非常に大きいという課題もある。
【0006】
本発明の一態様は、キャスト枠設計を、容易かつ短時間で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る計画作成装置は、連続鋳造により鋳造しようとする第一の数の鋼材に対応する第一の数の仮想鋼材を、前記第一の数より少ない第二の数のキャスト枠に集約する集合分割問題を求解することにより、キャスト枠の編成計画を作成する計画作成装置であって、少なくとも一つの前記仮想鋼材を含む最初の前記仮想鋼材の集合である初期集合を、前記初期集合に含まれる前記仮想鋼材の内訳をそれぞれ変えて複数生成する初期集合生成部と、複数の前記初期集合について、前記集合分割問題の双対問題の双対最適解を求解する双対問題求解部と、含まれる前記仮想鋼材の内訳が各初期集合とは異なる前記仮想鋼材の集合である候補集合を、キャスト枠として成立するための条件を満たすように生成する候補集合生成部と、前記双対最適解に基づいて、前記候補集合の被約費用を算出する算出部と、を有し、前記被約費用が所定基準を満たす全ての前記候補集合を有望集合として抽出する有望集合抽出部と、複数の前記初期集合および前記有望集合に基づいて、前記集合分割問題の最適解を求解する原問題求解部と、を備える。
【0008】
本発明の各態様に係る計画作成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記計画作成装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記計画作成装置をコンピュータにて実現させる計画作成装置の計画作成プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0009】
また、本発明の他の態様に係る計画作成方法は、連続鋳造により鋳造しようとする第一の数の鋼材に対応する第一の数の仮想鋼材を、前記第一の数より少ない第二の数のキャスト枠に集約する集合分割問題を求解することにより、キャスト枠の編成計画を作成する計画作成方法であって、少なくとも一つの前記仮想鋼材を含む最初の前記仮想鋼材の集合である初期集合を、前記初期集合に含まれる前記仮想鋼材の内訳をそれぞれ変えて複数生成するステップと、複数の前記初期集合について、前記集合分割問題の双対問題の双対最適解を求解するステップと、含まれる前記仮想鋼材の内訳が各初期集合とは異なる前記仮想鋼材の集合である候補集合を、キャスト枠として成立するための条件を満たすように生成するステップと、前記双対最適解に基づいて、前記候補集合の被約費用を算出するステップと、を有し、前記被約費用が所定基準を満たす全ての前記候補集合を有望集合として抽出するステップと、複数の前記初期集合および前記有望集合に基づいて、前記集合分割問題の最適解を求解するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、キャスト枠設計を、容易かつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明一態様の実施形態に係る計画作成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図2】キャスト枠として成立するための条件の一例を示す図である。
図3】候補集合の生成方法を示す図である。
図4】本発明他の態様の実施形態に係る計画作成方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
<集合分割問題>
まず、本発明で扱う(下記計画作成装置100が求解しようとする)集合分割問題について説明する。
【0014】
本発明で扱う集合分割問題MPは、連続鋳造により鋳造しようとする第一の数の鋼材に対応する第一の数の仮想鋼材sを、第一の数より少ない第二の数のキャスト枠に集約するというものである。
【0015】
この集合分割問題MPでは、各単位グループi∈Nを含む部分集合族S(i)⊆Mより一つのキャスト枠mj(部分集合)が選択されねばならない(下記数1参照)。ここで、N={1,2,・・・,n}は、仮想鋼材sの単位グループiの集合である。単位グループiは、キャスト枠設計の際、分割されることのない(最小単位となる)仮想鋼材sの纏まりを指す。S(i)は、仮想鋼材sを含むキャスト枠mjの集合である。M={S1,S2,…,Sm}(Sj⊆N)は、キャスト枠として成立するための条件(以下、キャスト枠成立条件)を満たすキャスト枠mj(Nの部分集合)の集合であり、m個の要素を持つ。x[j]は、キャスト枠mjを採用する場合は1とし、採用しない場合は0とする0-1変数である。
【0016】
【数1】
【0017】
また、この集合分割問題MPでは、選択したキャスト枠mj(Sj∈M)の主評価値(ペナルティ)cjの総和を最小化する(下記数2参照)。ここで、主評価値cjは、キャスト枠mjの評価指標の加重線形和である。キャスト枠設計における評価指標は、キャスト枠mjの数、異鋼種連々数および余材量の少なくともいずれかの項目に基づいて算出される値である。
【0018】
【数2】
【0019】
以上をまとめると、上記集合分割問題MPは、下記数3に示したような、0-1計画問題として定式化することができる。
【0020】
【数3】
【0021】
また、集合分割問題MPを上記のように定義することで、集合分割問題MPに対する双対問題DPは、双対変数をp[i](i∈N)として、下記数4に示したように定式化することができる。ここで、mjはキャスト枠(部分集合)であり、n個の要素を持つベクトルである。mj[i]はキャスト枠mjの第i要素であり、キャスト枠mjに単位グループiが含まれる場合は1、含まれない場合は0となる。jはキャスト枠mjを識別するパラメータである。なお、上記集合分割問題MPは0-1計画問題であったが、ここでの双対問題DPは、0-1条件を緩和した線形計画問題としている。
【0022】
【数4】
【0023】
<計画作成装置>
次に、本発明の一態様である計画作成装置100の実施形態について説明する。図1は計画作成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【0024】
計画作成装置100は、上記集合分割問題MPを求解することにより、キャスト枠の編成計画を作成するためのものである。本実施形態に係る計画作成装置100は、図1に示したように、入力部1と、出力部2と、演算部3と、を備える。
【0025】
[入力部]
入力部1は、他の装置からデータや信号を受信する通信モジュール、他の装置と接続される端子、記録媒体から情報を読み込むドライブ、ユーザが操作機器の少なくともいずれかで構成されている。操作機器には、キーボード、マウスおよびタッチパネルの少なくともいずれかが含まれる。
【0026】
[出力部]
出力部2は、他の装置(表示装置等)へデータや信号を送信する通信モジュール、他の装置と接続される端子、記録媒体へ情報を書き込むドライブ、および画像を表示するディスプレイなどの表示装置の少なくともいずれかで構成されている。
【0027】
[演算部]
演算部3は、取得部31と、単位グループ集約部32と、大グループ生成部33と、初期集合生成部34と、双対問題求解部35と、有望集合抽出部36と、原問題求解部37と、出力制御部38と、を備える。
【0028】
〔取得部〕
取得部31は、入力部1を介して集約対象となる複数の仮想鋼材sの情報を取得する。仮想鋼材sの情報には、性状情報および工場稼働情報の少なくとも一方が含まれる。性状情報には、鋼種、重量および形状の少なくともいずれかが含まれる。工場稼働情報には熱延希望日等が含まれる。
【0029】
〔単位グループ集約部〕
単位グループ集約部32は、製造条件(例えば成分、形状、熱延希望日等)に基づいて、第一の数(例えば1000程度)の仮想鋼材sを、第一の数より少ない第三の数(例えば100程度)の計画作成上の単位グループiに集約する。単位グループiは、それ以上分割されることのない最小単位である。また、単位グループは、1以上の仮想鋼材sを含む。すなわち、単位グループiの単位でどのキャスト枠に属するかを決めるので、同一グループ内の仮想鋼材sは、必ず同一のキャストに組み込まれることになる。また、各仮想鋼材sは、必ずいずれかの単位グループiに含まれることになる。本実施形態に係る単位グループ集約部32は、一の単位グループiに含まれる仮想鋼材sの集約条件が同一になるよう集約する。集約条件には少なくとも鋼種が含まれる。なお、集約条件には、重量および形状の少なくとも一方が含まれていてもよい。
【0030】
〔大グループ生成部〕
大グループ生成部33は、第三の数の単位グループiに基づいて、第四の数の大グループを生成する。大グループは、少なくとも一つの単位グループiを含み、かつ同一鋼種の単位グループiで構成される。換言すれば、大グループは、1又は複数の同鋼種の単位グループiをメンバとする集合(同鋼種キャスト)である。本実施形態に係る大グループ生成部33は、所定の操業制約の範囲内で、大グループを生成する。操業制約には、例えば、形状、重量等が含まれる。例えば、形状を操業制約とする場合には、各単位グループiに含まれる各仮想鋼材sの長さ、幅および厚さの少なくともいずれかが揃うまたは所定範囲に収まるように大グループを生成する。また、重量を操業制約とする場合には、各単位グループiに含まれる各仮想鋼材sの合計重量が揃うまたは所定範囲に収まるように大グループを生成する。なお、大グループの生成においては、一つの単位グループiが、複数の大グループに所属することがあっても良い。このため、第四の数は第三の数より大きくなる場合がある。キャスト枠は、大グループ(ノード)を複数連結(ノード接続)した構造を取る。このため、このような大グループを生成しておくことで、キャスト枠の設計を更に容易に行うことができる。なお、大グループ生成部33は、機械学習の手法を用いて大グループを生成するよう構成されていてもよい。
【0031】
また、本実施形態に係る大グループ生成部33は、生成した大グループの情報を、鋼種別、チャージ数別に分けて保持する。また、本実施形態に係る大グループ生成部33は、生成した大グループに含まれる各単位グループiに共通する操業制約に基づいて、主評価値(詳細後述)を算出する。
【0032】
〔初期集合生成部〕
初期集合生成部34は、少なくとも一つの単位グループiからなる最初の単位グループiの集合である初期集合を、当該初期集合に含まれる仮想鋼材sの内訳をそれぞれ変えて複数生成する。本実施形態では、コンピュータによる処理を効率的に行うために、この単位グループiの集合を列として管理するようにしており、初期集合生成部34は、最初の単位グループiの列である初期列を、当該初期列に含まれる仮想鋼材sの内訳をそれぞれ変えて複数生成する。ここでいう列とは、1以上の単位グループiをメンバとする単位グループiの集合(部分集合)を意味する。本実施形態では、n個の単位グループiを要素とする集合分割問題を解くが、全て(n個)の単位グループiに対応した数(n個)の変数の羅列(配列)を列と呼んでいる。各変数は、これに対応する単位グループiがその列(集合)に含まれる場合にはこれを示す値や文字、記号(例えば1)とし、含まれない場合にはこれを示す値等(例えば0)とすることで、各列(集合)に含まれる単位グループiがどれかを変数値等で示すようにしている。
【0033】
本実施形態に係る初期集合生成部34は、初期列を、各単位グループiを含む場合を1、含まない場合を0で表現した形で保持をする。すなわち、ここでの列(初期列、候補列)は、0と1の配列のことを指す。また、本実施形態に係る初期集合生成部34は、少なくとも、1の単位グループiのみを含む初期列を、全ての単位グループiの分だけ生成する。単位グループiはn個存在するため、1の単位グループiのみを含む初期列も、n個生成されることになる。その上で、初期集合生成部34は、2以上の単位グループiを含む初期列を更に生成する。以下、初期集合生成部34が生成を終えた複数の初期列の集まりを初期列群C0と称する。
【0034】
なお、上記では、単位グループiの集合を列として説明してきたが、これは、単位グループ集約部32が複数の仮想鋼材sを単位グループiに集約しているからである。よって、このような仮想鋼材sの集約を行わない場合には、列は、仮想鋼材sの集合であっても良い。
【0035】
〔双対問題求解部〕
双対問題求解部35は、複数の初期集合について、集合分割問題MPの双対問題DPの双対最適解p[i](双対価格)(i∈N)を求解する。本実施形態に係る双対問題求解部35は、上記初期集合生成部34が生成した初期列群C0について、双対最適解p[i](双対価格)(i∈N)を求解する。この双対最適解p[i]は、後述する算出部362が被約費用ηjを算出する際に用いられる。本実施形態に係る双対問題求解部35は、上記数4を解くことにより、双対最適解p[i]を算出する。
【0036】
〔有望集合抽出部〕
有望集合抽出部36は、被約費用ηjが所定基準を満たす(詳細後述)所定数の候補集合を有望集合として抽出する。本実施形態に係る有望集合抽出部36は、候補列を有望列として抽出する。本実施形態に係る有望集合抽出部36は、被約費用ηjが所定基準を満たす全ての候補列を有望列として抽出する。有望集合抽出部36は、図1に示したように、候補集合生成部361と、算出部362と、第一判断部363と、第二判断部364と、を備える。
【0037】
(候補集合生成部)
候補集合生成部361は、含まれる単位グループiの内訳が各初期列とは異なる単位グループiの列である候補列を、キャスト枠成立条件を満たすように生成する。キャスト枠成立条件には、キャスト容量、異鋼種連々数、隣接巾移行量等が含まれる。キャスト容量は、1キャストに含むことができる溶鋼の容量に関する制約である。図2左側に示したようにキャスト容量がCチャージ(C=1,2・・)以下とされている場合、C+1チャージ以上必要となるような候補列を生成することはできない。異鋼種連々数は、1キャストに含むことができる鋼種数に関する制約である。図2中央に示したように異鋼種連々数がK鋼種(K=1,2・・)以下とされている場合、K+1鋼種以上含むことになるような候補列を生成することはできない。巾移行量は、隣接する仮想鋼材sの巾差に関する制約である。図2右側に示したように巾移行量がWmm以下とされている場合、隣接する仮想鋼材sの巾差がW+αmmとなるような候補列を生成することはできない。
【0038】
本実施形態に係る候補集合生成部361は、まず、上記大グループ生成部33が生成した大グループを取得する。そして、候補集合生成部361は、大グループを構成単位として候補列を生成する。本実施形態に係る候補集合生成部361は、大グループを一つのノードとし、まず、最初の候補列を生成する。具体的には、ノードを所定数(例えば5つ)接続していくことにより最初の(一の)候補列を生成する。最初の候補列の生成に用いるノードの選択は、ランダムに(ただし、上記キャスト枠成立条件を満たす必要あり)、または何らかの規則に従って行う。
【0039】
そして、候補集合生成部361は、最初の(ひとつ前の)候補列を生成した後、二つ目以降の(次の)候補列を生成する。本実施形態に係る候補集合生成部361は、分枝型の列挙により二つ目以降の候補列を生成する。具体的には、分枝列挙過程における、先頭から数えてk番目の大グループをノードkとする。そして、図3に示したように、1番目からk(所定)番目まで上記最初の(一の)候補列と同じノードを配列し、k(所定)番目のノードkに、上記最初の候補列におけるk+1(所定番目の次の)番目のノードとは異なるノードk+1を接続することにより次の候補列を生成する。
【0040】
また、候補集合生成部361は、k+1(次の)番目のノードを接続する前に所定の打ち切り条件が成立した場合には、k+1(次の)番目のノードk+1の接続を停止する(ノードkの分枝を打ち切る)。本実施形態に係る候補集合生成部361は、後述する第二判断部364がノードkの接続を打ち切ると判断した場合に接続を打ち切る。例えば、所定の打ち切り条件は、次に接続しようとするノードkがキャスト枠成立条件を満たしていない、次に接続しようとするノードkが候補集合生成条件を満たしていない、またはノードを接続しても被約費用ηjが所定基準を満たすことが見込めない場合の少なくとも1つの条件を含んでいてもよい。
【0041】
例えば、全ての候補列を用意した上で、キャスト枠成立条件や候補集合生成条件を満たすか否かの判断を行うような手法では、計算時間がかかりすぎてしまう。しかし、候補集合生成部361が必要に応じてノードの接続を打ち切ることで、有望列群Ceの列挙に要する時間をより短縮することができる。
【0042】
なお、候補集合生成部361は、第三の数の単位グループiを取得し、単位グループiを構成単位として候補列を生成するよう構成されていてもよい。また、候補集合生成部361は、第一の数の仮想鋼材sを取得し、仮想鋼材sを構成単位として候補列を生成するよう構成されていてもよい。
【0043】
(算出部)
算出部362は、双対最適解p[i]に基づいて、候補列の被約費用ηjを算出する。本実施形態に係る算出部362は、下記数5に、上記大グループ生成部33が算出した主評価値cj、上記双対問題求解部35が算出した双対最適解p[i](双対価格)を代入することにより被約費用ηjを算出する。
【0044】
【数5】
【0045】
本実施形態に係る算出部362は、生成途中の候補列について、ノードkが接続される度に被約費用ηjを算出する。その際、算出部362は、前回のノードkの接続の際に算出して得られた情報を、次のノードkに引き継ぐ。このため、次のノードを接続する際には、前回のノードを接続する際に行った演算と重複する演算を省略することができる。その結果、有望列の抽出に要する時間を短縮することができる。なお、算出部362は、大グループ生成部33に代わって主評価値を算出するよう構成されていてもよい。
【0046】
(第一判断部)
第一判断部363は、上記候補集合生成部361による候補列の生成(ノードkの接続)を打ち切るか否かを判断する。本実施形態に係る第一判断部363は、上記候補集合生成部361がノードkを接続する度に判断する。本実施形態に係る第一判断部363は、次に接続しようとするノードkがキャスト枠成立条件を満たしていない、次に接続しようとするノードkが候補集合生成条件を満たしていない、またはノードを接続しても被約費用ηjが所定基準を満たすことが見込めない場合に、候補列の生成を打ち切ると判断する。候補集合生成条件は、上記初期集合生成条件と同様のものである。「被約費用ηjが所定基準を満たす」には、例えば、被約費用ηjが所定値(例えば0)未満であること等が含まれる。本実施形態に係る第一判断部363は、下記数6を満たす場合に、列jの後ろにノードkの接続を続けても被約費用ηjが所定値未満となる候補列は出現しないと判断する。なお、数6におけるΔηjは、ある列jの後ろにノードkを接続することによる被約費用ηjの変化量である。
【0047】
【数6】
【0048】
しかし、問題によっては、許容できる時間内で変化量Δηjを正確に算出することができない場合がある。そこで、変化量Δηjを、列jの後ろに接続可能なノードkごとに分解できる値だけで疑似的に表現することを考える(Δηj≒ΣkΔηjk)。まず、列jの双対最適解p[i]の和(Σi∈Np[i]×mj[i])について考える。これは単位グループiに対応する双対最適解p[i]を、列jが含む単位グループi分だけ加算したものである。また、ノードkは列を構成する単位グループiの集合(大グループ)なので、ノードkが持つ双対最適解p[i]の和も単位グループiの双対最適解p[i]から計算ができる。列の双対最適解p[i]の和は、列を構成するノードkが持つ双対最適解p[i]の和を加算することで計算ができる。すなわち、列の双対最適解p[i]の和は、各ノードkの双対最適解p[i]の和に分解することができる。一方、列jの主評価値cjは、ノードkが持つ主評価値に分解できるものと、できないもの(複数のノードkが確定しないと計算できないもの)がある。ここで、列jの後ろに追加接続するノードkが持つ主評価値をcjk、双対最適解p[i]の和をΣi∈Np[i]×mjk[i]とした時、Δηjk=cjki∈Np[i]×mjk[i]なので、min[Σk(cjk-Σi∈Np[i]×mjk[i])]は、Δηjの最小値を疑似的に表現できる。疑似的である理由は、主評価値の変化量の内、ノードkが持つ主評価値に分解できないものを計算に入れていないためである。ただし、主評価値cjが正の値しかとらない場合は、変化量Δηjを小さく見積もっていることになり、列挙漏れが発生することは無い。
【0049】
候補集合生成部361は、以上説明してきた動作により、最後までノードkの接続が済み、かつ被約費用ηjが所定基準を満たしている候補列を有望列Ceとして抽出する。
【0050】
(第二判断部)
第二判断部364は、候補集合生成部361が有望列Ceを抽出すると、全ての有望列Ceを抽出したか否かを判断する。全ての有望列Ceを抽出していないと判断した場合、上記候補集合生成部361が動作を繰り返す。
【0051】
有望集合抽出部36は、以上説明してきた動作により、被約費用ηjが所定基準を満たす全ての候補列を有望列として抽出する。有望集合抽出部36は、子問題の求解ではなく、ロジックによって有望列を抽出する。これにより、有望集合抽出部36は、候補列が満たすべき制約条件や、評価値の計算が複雑な場合であっても、有望列を抽出することが可能となる。
【0052】
〔原問題求解部〕
原問題求解部37は、複数の初期集合および有望集合に基づいて、集合分割問題の最適解を求解する。本実施形態に係る原問題求解部37は、初期列群C0および有望列に基づいて、集合分割問題MPの最適解を求解する。具体的には、原問題求解部37は、上記初期集合生成部34が生成した初期列群C0と、上記有望集合抽出部36が抽出した有望列群Ceと、を合わせた列群C0+Ceについて、上記数3に示した集合分割問題MP(C0+Ce)を解き、得られた解xopt[j](j∈C0+Ce)を、最適解とみなす。
【0053】
〔出力制御部〕
出力制御部38は、上記原問題求解部37が求解した最適解をユーザに提案すべきキャスト枠の編成計画として出力するよう出力部2を制御(出力部2を制御するOS(Operating system)へ働きかけることを含む)する。
【0054】
[その他]
なお、上記計画作成装置100(以下、装置)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるための計画作成プログラム(以下、プログラム)であって、当該装置の各制御ブロック(特に演算部3に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えば演算部3)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0055】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0056】
[作用効果]
以上説明してきた計画作成装置100よれば、仮想鋼材sのキャスト枠mj(部分集合)への集約に選択列挙型の列生成法を用いるという新たな手法、すなわち被約費用ηjが所定基準を満たす全ての候補列を有望列として抽出し、これらに基づいて集約する。このため、従来のように最も良い1列を求めるための子問題を求解する必要がない。その結果、子問題のモデル化の手間、子問題の求解の手間を省くことができ、編成計画の作成を従来よりも容易に行うことができる。そして、得られた結果に基づいて連続鋳造を行えば、第一の数の仮想鋼材sに対応する第一の数の鋼材を、短期間かつ低コストで鋳造することができるようになる。
【0057】
また、キャスト枠設計における仮想鋼材sの数は非常に多い(例えば、1000のオーダー)。一方、上記特許文献2の技術は、50~80程度の少数の要素を対象とするものである。このため、上記特許文献2の技術をキャスト枠設計に適用することに想到できたとしても、実際に使えるものとするには更なる工夫が必要となる。これに対し、計画作成装置100は、単位グループ集約部32を備える。この単位グループ集約部32が仮想鋼材sを上記のようにして単位グループに集約することで、集合分割問題MPの仮想鋼材sの数が適切に削減される。このため、キャスト枠の設計をより容易に行うことができる。
【0058】
[計画作成方法]
次に、本発明の他の態様である計画作成方法の実施形態について説明する。図4は計画作成方法の流れを示すフローチャートである。
【0059】
計画作成方法は、連続鋳造により鋳造しようとする第一の数の仮想鋼材sを、第一の数より少ない第二の数のキャスト枠に集約する集合分割問題MPを求解することにより、キャスト枠の編成計画を作成するためのものである。本実施形態に係る計画作成方法は、図4に示したように、単位グループ集約ステップS1と、大グループ生成ステップS2と、初期集合生成ステップS3と、双対問題求解ステップS4と、有望集合抽出ステップS5と、原問題求解ステップS6と、を有する。
【0060】
〔単位グループ集約ステップ〕
単位グループ集約ステップS1は、製造条件に基づいて、第一の数の仮想鋼材sを、第一の数より少ない第三の数の単位グループiに集約する。本実施形態に係る単位グループ集約ステップS1では、上記計画作成装置100の単位グループ集約部32が集約する。なお、この単位グループ集約ステップS1では、人が単位グループiに集約してもよい。
【0061】
〔大グループ生成ステップ〕
大グループ生成ステップS2は、第三の数の単位グループiに基づいて、第四の数の大グループを生成する。大グループは、少なくとも一つの上記単位グループiを含み、同一鋼種の単位グループiで構成される。本実施形態に係る大グループ生成ステップS2では、上記計画作成装置100の大グループ生成部33が生成する。なお、この大グループ生成ステップS2では、人が大グループを作成してもよい。
【0062】
〔初期集合生成ステップ〕
初期集合生成ステップS3では、少なくとも一つの仮想鋼材を含む最初の仮想鋼材の集合である初期集合を、前記初期集合に含まれる前記仮想鋼材の内訳をそれぞれ変えて複数生成する。本実施形態に係る初期集合生成ステップS3では、初期列群C0を生成する。本実施形態に係る初期集合生成ステップS3では、上記計画作成装置100の初期集合生成部34が生成する。なお、この初期集合生成ステップS3では、他の装置が初期列群C0を生成してもよい。また、この初期集合生成ステップS3では、初期集合生成部34が上記以外の演算方法を用いて初期列群C0を生成してもよい。
【0063】
〔双対問題求解ステップ〕
双対問題求解ステップS4では、初期集合について、集合分割問題MPの双対問題DPの双対最適解p[i]を求解する。本実施形態に係る双対問題求解ステップS4では、初期列群C0について双対最適解p[i]を求解する。本実施形態に係る双対問題求解ステップS4では、上記計画作成装置100の双対問題求解部35が求解する。
【0064】
〔有望集合抽出ステップ〕
候補列を生成し、被約費用を算出した後は、有望集合抽出ステップS5に移る。有望集合抽出ステップS5では、被約費用ηjが所定基準を満たす全ての候補集合を有望集合として抽出する。本実施形態に係る有望集合抽出ステップS5では、上記計画作成装置100の有望集合抽出部36が抽出する。また、本実施形態に係る有望集合抽出ステップS5は、候補集合生成ステップS51と、算出ステップS52と、第一判断ステップS53と、第二判断ステップS54と、を有する。本実施形態に係る有望集合抽出ステップS5では、これら候補集合生成ステップS51、算出ステップS52、第一判断ステップS53および第二判断ステップS54を繰り返すことにより有望集合を抽出する。
【0065】
〔候補集合生成ステップ〕
候補集合生成ステップS51では、含まれる単位グループiの内訳が各初期集合とは異なる単位グループiの集合である候補集合を、キャスト枠成立条件を満たすように生成する。本実施形態に係る候補集合生成ステップS51では、上記計画作成装置100の候補集合生成部361が生成する。
【0066】
〔算出ステップ〕
候補集合を生成した後は、算出ステップS52に移る。算出ステップS52では、双対最適解p[i]に基づいて、候補集合の被約費用ηjを算出する。本実施形態に係る算出ステップS52では、上記計画作成装置100の算出部362が算出する。
【0067】
〔第一判断ステップ〕
被約費用を算出した後は、第一判断ステップS53に移る。第一判断ステップS53では、上記候補集合生成ステップにおいて候補集合の生成(ノードkの接続)を打ち切るか否かを判断する。本実施形態に係る第一判断ステップS53では、上記計画作成装置100の第一判断部363が判断する。
【0068】
〔第二判断ステップ〕
途中で打ち切られずに候補集合が生成された(有望集合が抽出された)後は、第二判断ステップS54に移る。第二判断ステップS54では、全ての有望列Ceを抽出したか否かを判断する。本実施形態に係る第二判断ステップS54では、上記計画作成装置100の第二判断部364が判断する。
【0069】
〔原問題求解ステップ〕
上記有望集合抽出ステップS5において、全ての有望集合を抽出したと判断した場合、原問題求解ステップS6に移る。原問題求解ステップS6では、複数の初期集合および有望集合に基づいて、集合分割問題の最適解を求解する。本実施形態に係る原問題求解ステップS6では、上記初期集合生成ステップにおいて生成した初期列群C0と、上記有望集合抽出部36が抽出した有望列群Ceと、を合わせた列群C0+Ceについて、上記数3に示した集合分割問題MP(C0+Ce)を解き、得られた解xopt[j](j∈C0+Ce)を、最適解とみなす。本実施形態に係る原問題求解ステップS6では、上記計画作成装置100の原問題求解部37が求解する。
【0070】
[作用効果]
以上説明してきた計画作成方法によれば、仮想鋼材sのキャスト枠mj(部分集合)への集約に選択列挙型の列生成法を用いるという新たな手法、すなわち被約費用ηjが所定基準を満たす全ての候補集合を有望集合として抽出し、これらに基づいて集約する。このため、従来のように最も良い1集合を求めるための子問題を求解する必要がない。その結果、子問題のモデル化の手間、子問題の求解の手間を省くことができ、編成計画の作成を従来よりも容易に行うことができる。そして、得られた結果に基づいて連続鋳造を行えば、第一の数の仮想鋼材sに対応する第一の数の鋼材を、短期間かつ低コストで鋳造することができるようになる。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、計画作成装置が備える初期集合生成部34、双対問題求解部35、原問題求解部37などの各機能部の少なくとも一部は、通信可能に接続された他の(別筐体)の装置(コンピュータなど)に設けてもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 計画作成装置
1 入力部
2 出力部
3 演算部
31 取得部
32 単位グループ集約部
33 大グループ生成部
34 初期集合生成部
35 双対問題求解部
36 有望集合抽出部
361 候補集合生成部
362 算出部
363 第一判断部
364 第二判断部
37 原問題求解部
38 出力制御部
図1
図2
図3
図4