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特開2023-158897ビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法
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  • 特開-ビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法 図1
  • 特開-ビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法 図2
  • 特開-ビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158897
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20231024BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068940
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知奈実
(72)【発明者】
【氏名】若林 靖英
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB43
5B376CA14
5B376CA31
5B376CA76
5B376DA16
(57)【要約】
【課題】ソフトウェアアップデートを自動化したビル監視システムを提供すること。
【解決手段】ビル監視システムは、監視制御装置と、サーバ装置とを具備する。サーバ装置は、バージョン情報取得部と、アップデート要否判定部と、ソフトウェア取得部と、アップデート実行部とを具備する。バージョン情報取得部は、監視制御装置で稼働中の動作ソフトウェアのバージョンと、クラウドストレージの最新ソフトウェアのバージョンとを取得する。アップデート要否判定部は、取得された動作ソフトウェアのバージョンと最新ソフトウェアのバージョンとを比較して、動作ソフトウェアのアップデートの要否を判定する。ソフトウェア取得部は、動作ソフトウェアのアップデートが必要と判定された場合に、最新ソフトウェアを取得する。アップデート実行部は、監視制御装置の動作ソフトウェアを、取得された最新ソフトウェアに更新する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル内リソースを監視制御する監視制御装置と、
最新ソフトウェアを記憶するクラウドストレージにアクセス可能なサーバ装置とを具備し、
前記サーバ装置は、
前記監視制御装置で稼働中の動作ソフトウェアのバージョンと、前記最新ソフトウェアのバージョンとを取得するバージョン情報取得部と、
前記取得された前記動作ソフトウェアのバージョンと前記最新ソフトウェアのバージョンとを比較して、前記動作ソフトウェアのアップデートの要否を判定するアップデート要否判定部と、
前記動作ソフトウェアのアップデートが必要と判定された場合に、前記最新ソフトウェアを取得するソフトウェア取得部と、
前記監視制御装置の動作ソフトウェアを、前記取得された最新ソフトウェアに更新するアップデート実行部とを具備する、ビル監視システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記動作ソフトウェアのアップデート時刻を設定するためのアップデート時刻設定部をさらに具備し、
前記アップデート実行部は、前記設定されたアップデート時刻において前記動作ソフトウェアのアップデートを実行する、請求項1に記載のビル監視システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記動作ソフトウェアのバックアップとソフトウェアアップデートのログ情報とを蓄積し、
前記アップデート実行部は、前記ログ情報に基づいて、アップデートに伴う不具合の無い場合に前記動作ソフトウェアのアップデートを実行する、請求項1に記載のビル監視システム。
【請求項4】
ビル内リソースを監視制御する監視制御装置にアクセス可能なサーバ装置において、
前記監視制御装置で稼働中の動作ソフトウェアのバージョンと、クラウドストレージに記憶される最新ソフトウェアのバージョンとを取得するバージョン情報取得部と、
前記取得された前記動作ソフトウェアのバージョンと前記最新ソフトウェアのバージョンとを比較して、前記動作ソフトウェアのアップデートの要否を判定するアップデート要否判定部と、
前記動作ソフトウェアのアップデートが必要と判定された場合に、前記最新ソフトウェアを取得するソフトウェア取得部と、
前記監視制御装置の動作ソフトウェアを、前記取得された最新ソフトウェアに更新するアップデート実行部とを具備する、サーバ装置。
【請求項5】
ビル内リソースを監視制御する監視制御装置にアクセス可能なサーバ装置によるソフトウェアアップデート方法であって、
前記サーバ装置が、前記監視制御装置で稼働中の動作ソフトウェアのバージョンと、クラウドストレージに記憶される最新ソフトウェアのバージョンとを取得する過程と、
前記サーバ装置が、前記取得された前記動作ソフトウェアのバージョンと前記最新ソフトウェアのバージョンとを比較して、前記動作ソフトウェアのアップデートの要否を判定する過程と、
前記サーバ装置が、前記動作ソフトウェアのアップデートが必要と判定された場合に、前記最新ソフトウェアを取得する過程と、
前記サーバ装置が、前記監視制御装置の動作ソフトウェアを、前記取得された最新ソフトウェアに更新する過程とを具備する、ソフトウェアアップデート方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル監視システムは、近年のインテリジェントビルのほとんどに設けられている。ビルには、例えば水道の量(上水の流量)を計測するメータ、空調に係わる熱量を計測するメータ、あるいは電力量計などの各種のメータが随所に配置される。ビル監視システムは、例えばこれらのメータから取得したデータに基づいてビルの状態を統合的に監視し、制御するシステムである。この種のシステムは、各ビルに設けられる監視制御装置と、より上位のBuilding Energy Management System(BEMS)とを備え、従来はビルごとに閉じたネットワークにおいて運用されていた。
【0003】
監視制御装置は、コンピュータに専用のアプリケーション(ソフトウェア)をインストールしてその機能を実現する。周知のように、ソフトウェアの安定的な運用には定期的、あるいは不定期のアップデートが欠かせない。既存のビル監視システムにおいては、各ビルに派遣された作業員が、現地においてエンジニアリング内容を確認し、アップデートの要否や、必要となるソフトウェアの判断を行っていた。このため人手による煩雑な作業が必要で、また、人件費や交通費も都度、必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6741869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最新版のソフトウェアをサーバからダウンロードし、対象のコンピュータにインストールする技術は既に知られている。しかし、そもそもアップデートの要否を確認したり、アップデートすることによりソフトウェアが動作しなくなるなどの危険性を事前に検出することは依然として人手に頼っていた。少なくとも作業員の派遣をできる限り少なくするために、ソフトウェアアップデートのさらなる自動化を進めることが求められている。
【0006】
そこで、目的は、ソフトウェアアップデートを自動化したビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、ビル監視システムは、ビル内リソースを監視制御する監視制御装置と、最新ソフトウェアを記憶するクラウドストレージにアクセス可能なサーバ装置とを具備する。サーバ装置は、バージョン情報取得部と、アップデート要否判定部と、ソフトウェア取得部と、アップデート実行部とを具備する。バージョン情報取得部は、監視制御装置で稼働中の動作ソフトウェアのバージョンと、最新ソフトウェアのバージョンとを取得する。アップデート要否判定部は、取得された動作ソフトウェアのバージョンと最新ソフトウェアのバージョンとを比較して、動作ソフトウェアのアップデートの要否を判定する。ソフトウェア取得部は、動作ソフトウェアのアップデートが必要と判定された場合に、最新ソフトウェアを取得する。アップデート実行部は、監視制御装置の動作ソフトウェアを、取得された最新ソフトウェアに更新する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係わるビル監視システムの一例を示すシステム図である。
図2図2は、アップデートサーバ2および監視制御装置3の一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、実施形態のソフトウェアアップデートに係わる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係わるビル監視システムの一例を示すシステム図である。図1において、複数の監視制御装置3、およびローカルコントローラ6がビル内のLocal Area Network(LAN)500に接続される。LAN500の上位層プロトコルは、例えば、Building Automation and Control Networking protocol(BACnet(登録商標))が代表的である。このほかDALI(登録商標)、ZigBee(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等のプロトコルも知られている。このような標準化されたプロトコルを用いることで、異なるベンダのシステム(異ベンダシステム)をLAN500に接続することができる。
【0010】
ローカルコントローラ6は、それぞれ通信回線を介して複数のノードを収容する。各ノードは例えばフロアごとの空調機器、照明機器、動力機器などである。ローカルコントローラ6は、配下のノードを被監視装置として認識し、その状態を各種メータの指示値に基づいてモニタする。
【0011】
監視制御装置3は、ローカルコントローラ6から通知されるモニタ結果に基づいて、ビル内のリソースを上位レベルで監視制御する。また、監視制御装置3は、オペレータに各種の情報を提供する情報サーバとしての機能も有する。
【0012】
さらに、LAN500にアップデートサーバ2が接続される。アップデートサーバ2は、主に監視制御装置3のソフトウェアアップデートに関する制御を担う、サーバ装置である。アップデートサーバ2は、例えば、Building Energy Management System(BEMS)と称するシステムの機能として実装されても良い。
【0013】
LAN500は、Unified Threat Management (UTM)7を介してクラウド100に接続される。クラウド100は、ストレージ装置1およびクラウドサーバ5を備える。アップデートサーバ2は、クラウド100を経由して設定されたVPN(Virtual Private Network)等を介してストレージ装置1およびクラウドサーバ5と相互にアクセスすることが可能である。VPNにおける通信プロトコルは、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)が代表的である。
【0014】
図2は、アップデートサーバ2および監視制御装置3の一例を示す機能ブロック図である。
図2において、アップデートサーバ2は、プロセッサ20、および記憶部21を具備するコンピュータである。プロセッサ20は、実施形態に係わる処理機能としてバージョン情報取得部201、アップデート要否判定部202、ソフトウェア取得部203、アップデート通知部204、アップデート時刻設定部205、および、アップデート実行部206を備える。記憶部21は、ソフトウェアバージョン情報211、アップデート要否判定結果212、バージョンアップ用ソフトウェア213、および、アップデート時刻情報214を記憶する。
【0015】
バージョン情報取得部201は、ストレージ装置1に定期的にアクセスし、ストレージ装置1に記憶された最新ソフトウェア1aのバージョンを取得する。また、バージョン情報取得部201は、監視制御装置3に定期的にアクセスし、記憶部302に記憶された動作ソフトウェア302aの現在のバージョンを取得する。取得された最新ソフトウェア1aのバージョンと、動作ソフトウェア302aのバージョンは、ソフトウェアバージョン情報211として記憶部21に記憶される。
【0016】
アップデート要否判定部202は、ソフトウェアバージョン情報211に記憶されたソフトウェアのバージョンを確認し、アップデートの要否を判定する。判定の結果は、アップデート要否判定結果212として記憶部21に記憶される。
【0017】
ソフトウェア取得部203は、アップデートの要否判定結果212を参照し、ソフトウェアのアップデートが必要であれば、ストレージ装置1にアクセスして最新ソフトウェア1aを取得する。取得されたソフトウェアは、バージョンアップ用ソフトウェア213として記憶部21に記憶される。
【0018】
アップデート通知部204は、アップデートの要否判定結果212を参照し、ソフトウェアのアップデートが必要であれば、アップデートが必要であることを監視制御装置3の表示部301に通知する。
【0019】
アップデート時刻設定部205は、ユーザにより指定されたアップデート時刻を表示部301から取得する。取得されたアップデート時刻は、アップデート時刻情報214として記憶部21に記憶される。
アップデート実行部206は、バージョンアップ用ソフトウェア213のデータを使用し、監視制御装置3の動作ソフトウェア302aのデータをアップデートする。
【0020】
監視制御装置3は、表示部301、記憶部302、および、入力部4を備える。
表示部301は、アップデート通知部204から通知されたソフトウェアのアップデート通知を表示する。また表示部301は、入力部4とともにGraphical User Interface(GUI)環境を形成し、アップデート時刻設定を受け付ける画面を表示する。
入力部4は、表示部301のGUI画面への操作入力を受け付ける。記憶部302は、監視制御装置3を制御するための動作ソフトウェア302aを記憶する。
【0021】
次に、上記構成における作用を説明する。
図3は、実施形態のソフトウェアアップデートに係わる処理手順の一例を示すフローチャートである。図1において、アップデートサーバ2は、クラウド100のストレージ装置1に記憶される最新ソフトウェア1aのバージョン(V_new)を取得する(ステップS1)とともに、監視制御装置3で稼働中の動作ソフトウェア302aのバージョン(V_old)を取得する(ステップS2)。
【0022】
次に、アップデートサーバ2は、取得されたバージョン(V_new)と(V_old)とを比較し(ステップS3)、その結果に基づいて、監視制御装置3における動作ソフトウェア302aのアップデートの要否を判定する(ステップS4)。動作ソフトウェア302aのアップデートが必要と判定された場合に、アップデートサーバ2は、ストレージ装置1にアクセスして最新ソフトウェア1aを取得する(ステップS5)。
【0023】
次に、アップデートサーバ2は、予め設定されたアップデート時刻の到来を待つ(ステップS6)。そして、アップデート時刻になれば(ステップS6でYes)、アップデートサーバ2は、監視制御装置3の動作ソフトウェア302aをステップSS5で取得された最新ソフトウェア1aに更新し、ソフトウェアアップデートを実行する(ステップS7)。
【0024】
以上述べたように、実施形態では、クラウド100に接続しているアップデートサーバ2により、監視制御装置3の動作ソフトウェアを自動で、かつ適切なバージョンにアップデートすることが可能になる。
【0025】
ビル監視システムは従来、閉じたネットワークのみでの稼働であった。これに対し実施形態では、アップデートサーバ2および監視制御装置3の双方がクラウド100のストレージ装置1にアクセスし、最新ソフトウェア1aのバージョンと動作ソフトウェア302aのバージョンとを事前にチェックできるようにすることで、作業員が現地に行くことなく自動でソフトウェアアップデートを行うことが可能になる。
【0026】
すなわち実施形態では、クラウド100に接続している監視制御装置3のソフトウェアの更新があれば、その旨が表示部301を介してユーザに通知されるとともに、アップデート用のソフトウェアがローカル(ビル監視システムまたはアップデートサーバ2)に自動でダウンロードされる。そして、ユーザにより設定されたアップデート時刻になれば、自動でソフトウェアアップデートが行われる。
【0027】
これらのことから、実施形態によれば、ソフトウェアアップデートを自動化したビル監視システム、サーバ装置、およびソフトウェアアップデート方法を提供することが可能となる。
【0028】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、複数の監視制御装置3がそれぞれ異なる動作ソフトウェア302aに基づいて稼働している場合には、各監視制御装置3のそれぞれのアップデートの要否を自動で判定してもよい。
【0029】
また、ソフトウェアを標準ソフトウェアとインデントソフトウェアとに分けて管理しても良い。標準ソフトウェアのアップデートが必要と判断された場合、負荷の少ない時間帯をアップデートサーバ2が自動的に判断し、最新ソフトウェア1aをダウンロードしてもよい。その際、監視制御装置3の表示部301の画面に、ソフトウェア更新が必要であることを表示してユーザに通知し、表示部301の画面からユーザにアップデート時刻を設定させる。また、ソフトウェアアップデート前に、動作ソフトウェア302aのバックアップを保存する。さらに、設定されたアップデート時刻と負荷の少ない時間帯とを考慮し、アップデートを実行してもよい。
標準ソフトウェアのアップデートが不要であれば、最新ソフトウェア1aのダウンロード、および表示部301の画面への通知も実施せず、リソースの消費を節約する。
【0030】
さらに、インデントソフトウェアについてアップデートが必要と判断された場合には、必要となるソフトウェア群を抽出し、それらのソフトウェア群についてのみアップデートを行うようにしてもよい。
【0031】
特に、アップデートが必要な場合、監視制御装置3の動作ソフトウェア302aのバックアップと、ソフトウェアアップデートのログ情報とをアップデートサーバ2に蓄積する。そして、ログ情報に基づいて、アップデートに伴う不具合の無い場合に、動作ソフトウェア302aのアップデートを実行するようにしてもよい。
【0032】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…ストレージ装置、1a…最新ソフトウェア、2…アップデートサーバ、3…監視制御装置、4…入力部、5…クラウドサーバ、6…ローカルコントローラ、20…プロセッサ、21…記憶部、100…クラウド、201…バージョン情報取得部、202…アップデート要否判定部、203…ソフトウェア取得部、204…アップデート通知部、205…アップデート時刻設定部、206…アップデート実行部、211…ソフトウェアバージョン情報、212…アップデート要否判定結果、213…バージョンアップ用ソフトウェア、214…アップデート時刻情報、301…表示部、302…記憶部、302a…動作ソフトウェア。
図1
図2
図3