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特開2023-158900カーテンウォールの固定構造およびカーテンウォールの固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158900
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】カーテンウォールの固定構造およびカーテンウォールの固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
E04B2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068945
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】藤田 彩香
(72)【発明者】
【氏名】大内 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】千本 英二郎
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB02
2E002NC03
2E002QA04
2E002QC01
(57)【要約】
【課題】躯体にファスナーを容易にかつ安全に接合できるカーテンウォールの固定構造およびカーテンウォールの固定方法を提供する。
【解決手段】建物の躯体3と、躯体3に接して固定されるファスナー2と、ファスナー2と躯体3とを接着する接着剤4と、を有し、接着剤4は、ファスナー2の外周端24と躯体3の下面311とがなす角部61にファスナー2の外周端24が延びる方向に沿って設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体と、
前記躯体に接して固定されるファスナーと、
前記ファスナーと前記躯体とを接着する接着剤と、を有し、
前記接着剤は、前記ファスナーの外周端と前記躯体の面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って設けられるカーテンウォールの固定構造。
【請求項2】
前記接着剤は、前記ファスナーの外周端の少なくとも見付け方向に延びる外周端と前記躯体の面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って設けられる請求項1に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項3】
前記ファスナーと前記躯体とがボルトで接合される請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項4】
前記ファスナーの外周端には、内側に向かって切り欠かれ、かつ前記躯体側に向かって開口する第1切欠き部が設けられ、
前記第1切欠き部には、前記接着剤が充填される請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項5】
前記ファスナーにおける前記躯体と接触する面には、前記躯体側に向かってに開口する第2切欠き部が設けられ、
前記第2切欠き部には、前記接着剤が充填される請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項6】
前記接着剤は、前記躯体の外周端と前記ファスナーの面とがなす角部に前記躯体の外周端が延びる方向に沿って設けられる請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項7】
建物の躯体と、
前記躯体に取り付けられたブラケットに接して固定されるファスナーと、
前記ファスナーと前記ブラケットとを接着する接着剤と、を有し、
前記接着剤は、前記ファスナーの外周端と前記ブラケットの面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って設けられるカーテンウォールの固定構造。
【請求項8】
前記接着剤は、前記ファスナーの外周端の少なくとも見付け方向に延びる外周端と前記ブラケットの面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って設けられる請求項7に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項9】
前記ファスナーと前記ブラケットとがボルトで接合される請求項7または8に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項10】
前記ファスナーの外周端には、内側に向かって切り欠かれ、かつ前記ブラケット側に向かって開口する第1切欠き部が設けられ、
前記第1切欠き部には、前記接着剤が充填される請求項7または8に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項11】
前記ファスナーにおける前記ブラケットと接触する面には、前記ブラケット側に向かってに開口する第2切欠き部が設けられ、
前記第2切欠き部には、前記接着剤が充填される請求項7または8に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項12】
前記接着剤は、前記ブラケットの外周端と前記ファスナーの面とがなす角部に前記ブラケットの外周端が延びる方向に沿って設けられる請求項7または8に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項13】
前記接着剤の表面にアングル材が設けられる請求項1または7に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項14】
前記接着剤は、常温環境下で硬化する二液性接着剤である請求項1または7に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項15】
建物の躯体に接してファスナーを配置し、
前記ファスナーの外周端と前記躯体の面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って接着剤を設けるカーテンウォールの固定方法。
【請求項16】
建物の躯体に取り付けられたブラケットに接してファスナーを配置し、
前記ファスナーの外周端と前記ブラケットの面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って接着剤を設けるカーテンウォールの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーテンウォールの固定構造およびカーテンウォールの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、中高層ビルなどの建物の外壁にカーテンウォールを設ける場合、建物の躯体にファスナーを溶接し、ファスナーとカーテンウォールとを固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-371657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
躯体にファスナーを溶接する場合、火花が発生するため火災に対する安全対策を十分に行う必要がある。溶接作業は専門性が高く資格も必要であるため、特定の作業員しかできない。
【0005】
そこで本開示は、躯体にファスナーを容易にかつ安全に接合できるカーテンウォールの固定構造およびカーテンウォールの固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るカーテンウォールの固定構造は、建物の躯体と、前記躯体に接して固定されるファスナーと、前記ファスナーと前記躯体とを接着する接着剤と、を有し、前記接着剤は、前記ファスナーの外周端と前記躯体の面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って設けられる。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係るカーテンウォールの固定構造は、建物の躯体と、前記躯体に取り付けられたブラケットに接して固定されるファスナーと、前記ファスナーと前記ブラケットとを接着する接着剤と、を有し、前記接着剤は、前記ファスナーの外周端と前記ブラケットの面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って設けられる。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示に係るカーテンウォールの固定方法は、建物の躯体に接してファスナーを配置し、前記ファスナーの外周端と前記躯体の面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って接着剤を設ける。
【0009】
上記目的を達成するため、本開示に係るカーテンウォールの固定方法は、建物の躯体に取り付けられたブラケットに接してファスナーを配置し、前記ファスナーの外周端と前記ブラケットの面とがなす角部に前記ファスナーの外周端が延びる方向に沿って接着剤を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のカーテンウォールの固定構造を示す鉛直断面図である。
図2図1のB-B線断面図である。
図3図1の部分拡大図である。
図4】カーテンウォールの固定構造を屋内側から見た図である。
図5】第2実施形態のカーテンウォールの固定構造を示す鉛直断面図である。
図6図1のD-D線断面図である。
図7】第3実施形態のカーテンウォールの固定構造を示す鉛直断面図である。
図8】第4実施形態のカーテンウォールの固定構造を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2に示すように、カーテンウォールの固定構造1は、ファスナー2と、接着剤4と、ボルト5と、を有する。ファスナー2は、躯体3に取り付けられる。カーテンウォール11はファスナー2に取り付けられる。接着剤4は、ファスナー2と躯体3とを接着する。ボルト5は、ファスナー2と躯体3とを接合する。以下の説明では、カーテンウォールの壁面に直交する方向を屋内外方向と表記する。カーテンウォール11の壁面に沿った水平方向であり、かつ屋内外方向に直交する方向を幅方向と表記する。幅方向は、特許請求の範囲の見付け方向に相当する。図面では、幅方向を矢印Xで示し、屋内外方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示す。図1は、図2のA-A線断面に対応する鉛直断面図である。
【0012】
ファスナー2は、断面形状がL字形の金具である。ファスナー2は、ピース状の部材である。ファスナー2は、カーテンウォール11に幅方向および上下方向に間隔をあけて複数取り付けられる。ファスナー2は、カーテンウォール固定板部21と、躯体固定板部22と、を有する。カーテンウォール固定板部21は、カーテンウォール11に固定される。躯体3には、躯体固定板部22が固定される。カーテンウォール固定板部21は、ファスナー2のL字形を構成する2つの片の一方の片である。躯体固定板部22は、ファスナー2のL字形を構成する2つの片の他方の片である。
【0013】
カーテンウォール固定板部21は、板面が長方形の平板状である。カーテンウォール固定板部21は、板面が鉛直面となり屋内外方向を向く姿勢で固定金具13に固定される。固定金具13は、カーテンウォール11に取り付けられている。
【0014】
躯体固定板部22は、板面が長方形の平板状である。躯体固定板部22は、板面が水平面となる姿勢でカーテンウォール固定板部21の上縁部から屋内側に突出する。躯体固定板部22には、幅方向に間隔をあけて上下方向に貫通する第1孔部23が2つ設けられている。躯体固定板部22の外周端24のうち、屋内側に位置し幅方向に延びる部分を第1外周端241と表記し、幅方向の一方側に位置し屋内外方向に延びる部分を第2外周端242と表記し、幅方向の他方側に位置し屋内外方向に延びる部分を第3外周端243と表記する。
【0015】
躯体3は、H形鋼である。躯体3は、建物の幅方向全体にわたって延びる。躯体3の下フランジ31の下には、幅方向に間隔をあけて配列された複数のファスナー2の躯体固定板部22が重なって接して配置される。躯体固定板部22の上面221と下フランジ31の下面311とは面接触する。躯体3の下フランジ31には、躯体固定板部22の第1孔部23と重なる位置に、上下方向に貫通する第2孔部32が設けられている。躯体3のウェブ33は、躯体固定板部22の第1外周端241の上方に配置される。躯体固定板部22と下フランジ31とは、上下方向に重なった第1孔部23および第2孔部32にボルト5が挿入され、ボルト5にナットが締結されて固定される。
【0016】
図3および図4に示すように接着剤4は、第1接着剤41と、第2接着剤42と、を有する。第2接着剤42は、図3に示す。
【0017】
第1接着剤41は、躯体固定板部22の外周端241,242,243それぞれと躯体3の下フランジ31の下面311とがなす角部61,62,63に各外周端が延びる方向に沿って設けられる。第1接着剤41は、躯体固定板部22の外周端241,242,243それぞれと下フランジ31の下面311の両方に付着されている。角部61,62,63は、それぞれ直角である。躯体固定板部22の第1外周端241と下フランジ31の下面311とがなす角部61を第1角部61と表記する。躯体固定板部22の第2外周端242と下フランジ31の下面311とがなす角部を第2角部62と表記する。躯体固定板部22の第3外周端243と下フランジ31の下面311とがなす角部を第3角部63と表記する。
【0018】
第2接着剤42は、下フランジ31の屋外側の端面312と躯体固定板部22の上面221とがなす第4角部64に下フランジ31の屋外側の端面312が延びる方向に沿って設けられる。第4角部64は、直角である。下フランジ31の屋外側の端面312は、特許請求の範囲の「躯体の外周端」に相当する。第2接着剤42は、下フランジ31の屋外側の端面312および躯体固定板部22の上面221の両方に付着されている。
【0019】
第1接着剤41および第2接着剤42は、例えば、常温環境下で硬化する二液性接着剤である。第1接着剤41および第2接着剤42の表面には、アングル材43が設けられる。アングル材43は、直線状に延び断面形状がL字形のピース状の部材である。第1角部61に設けられるアングル材43と、第2角部62に設けられるアングル材43と、第3角部63に設けられるアングル材43とは、別のピースであり、一体化していない。アングル材43における断面形状のL字の一方の片を第1片431と表記し、他方の片を第2片432と表記する。第1片431と第2片432とは、板面の形状および板厚が同じである。第1片431と第2片432とは、90°を成している。アングル材43は、例えば、鋼材やアルミニウム合金、ステンレスなどを材料として製作されている。アングル材43における第1片431の第2片432が接続される側と反対側の面、および第2片432の第1片431が接続される側と反対側の面を外側面433と表記する。
【0020】
第1接着剤41の表面に設けられるアングル材43の姿勢は、第1片431および第2片432の一方の片の板面が屋内外方向を向く鉛直面となり、他方が一方の上縁部から屋内側に突出する。本実施形態では、第1片431が一方の片であり、第2片432が他方の片である。第1片431は、第1接着剤41を介して躯体固定板部22の第1外周端241と屋内外方向に対向する。第2片432は、第1接着剤41を介して下フランジ31の下面311に下方から対向する。アングル材43の第1片431と第2片432とがなす角部は、第1接着剤41を第1外周端241および下フランジ31の下面311に押し付ける。アングル材43は、第1角部61に設けられた第1接着剤41の表面全体を幅方向全体にわたって覆っている。
【0021】
第2角部62および第3角部63に設けられるアングル材43の姿勢は、第1片431および第2片432の一方の片の板面が幅方向を向く鉛直面となり、他方が一方の上縁部から幅方向に突出する。本実施形態では、第1片431が一方の片であり、第2片432が他方の片である。第1片431は、第1接着剤41を介して躯体固定板部22の第2外周端242、第3外周端243と対向する。第2片432は、第1接着剤41を介して躯体固定板部22の上面221と対向する。アングル材43の第1片431と第2片432とがなす角部は、第1接着剤41を第2外周端242、第3外周端243および躯体固定板部22の上面221に押し付ける。アングル材43は、第1接着剤41の表面全体を幅方向全体にわたって覆っている。第2角部62および第3角部63に設けられた第1接着剤41の表面を屋内外方向全体にわたって覆っている。
【0022】
第1接着剤41は、表面にアングル材43が設けられるとアングル材43の外側面433に押される。第1接着剤41の断面形状は、略L字形状である。第1接着剤41は、表面にアングル材43が設けられた状態でもファスナー2および躯体3の両方に接着されている。
【0023】
図3に示すように、第4角部64に設けられるアングル材43の姿勢は、第1片431および第2片432の一方の片の板面が屋内外方向を向く鉛直面となり、一方の片が一方の片の下縁部から屋外側に突出する。本実施形態では、第1片431が一方の片であり、第2片432が他方の片である。第1片431は、第2接着剤42を介して下フランジ31の屋外側の端面312と対向する。第2片432は、第2接着剤42を介してファスナー2の躯体固定板部22の上面221と対向する。アングル材43は、第2接着剤42の表面を幅方向全体にわたって覆っている。
【0024】
カーテンウォールの固定方法について説明する。躯体3の下フランジ31の下に、カーテンウォール11に取り付けられたファスナー2の躯体固定板部22を下から重ねて配置する。ファスナー2と躯体3とを、ボルト5で接合する。
【0025】
ファスナー2の躯体固定板部22の外周端241,242,243と下フランジ31の下面311とがなす角部61,62,63に、躯体固定板部22の外周端241,242,243が延びる方向に沿って第1接着剤41を設ける。第1接着剤41の表面にアングル材43を設ける。下フランジ31の屋外側の端面312と躯体固定板部22の上面221とがなす第4角部64に、下フランジ31の屋外側の端面312が延びる方向に沿って第2接着剤42を設ける。第2接着剤42の表面にアングル材43を設ける。第1接着剤41および第2接着剤42を硬化させ、躯体固定板部22と下フランジ31とを固定する。ファスナー2が躯体3に固定され、カーテンウォール11が建物の躯体3に固定される。
【0026】
カーテンウォールの固定構造1およびカーテンウォールの固定方法は、躯体3にファスナー2を接着剤4で固定し、ファスナー2にカーテンウォール11を取り付けている。カーテンウォールの固定構造1は、従来のように、躯体3にファスナー2を溶接する必要がない。このため、カーテンウォールの固定構造1は、躯体3にファスナー2を容易にかつ安全に接合できる。接着剤4をファスナー2の上面に設けないことによって、躯体3に対するファスナー2の位置調整を容易にできる。
【0027】
カーテンウォールの固定構造1では、ファスナー2が躯体3に接着剤4で接着されるとともにボルト接合される。これによって、ファスナー2と躯体3とをより強固に固定できる。ファスナー2を躯体3に第1接着剤41で接着する前に、ファスナー2と躯体3とをボルト接合することによって、ファスナー2を躯体3に接着剤4で接着する際に、ファスナー2が躯体3に対して位置ずれすることなく、容易に接着できる。
【0028】
カーテンウォールの固定構造1では、第1接着剤41および第2接着剤42の表面にアングル材43が設けられる。第1接着剤41は、アングル材43の外側面433に押されることによって、躯体固定板部22の外周端241,242,243および躯体3の下フランジ31の下面311に均一かつ広範囲に付着する。第2接着剤42は、アングル材43の外側面433に押されることによって、躯体固定板部22の上面221および下フランジ31の端面312に均一かつ広範囲に付着する。
【0029】
カーテンウォールの固定構造1では、第1接着剤41および第2接着剤42は、常温環境下で硬化する二液性接着剤である。熱を使用せずにファスナー2を躯体3に接着でき、第1接着剤41および第2接着剤42を接着するための装置や電源が不要となる。
【0030】
他の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0031】
図5および図6に示すように、第2実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Bでは、躯体12が木造である。図5は、図6のC-C線断面に対応する鉛直断面図である。躯体12に取り付けられた躯体側ブラケット7は、断面形状がL字形状の板材である。躯体側ブラケット7は、躯体12の下端面に沿って取り付けられる第1板部71と、躯体12の屋外側の面の下端部に沿って取り付けられる第2板部72と、を有する。躯体側ブラケット7は、特許請求の範囲の「ブラケット」に含まれる。
【0032】
第1板部71は、平板状である。第1板部71は、躯体側ブラケット7のL字形を構成する2つの片の一方の片である。第1板部71は、板面が水平面となる向きで躯体12の下面にビスなどの固定具で取り付けられる。第2板部72は、躯体側ブラケット7のL字形を構成する2つの片の他方の片である。第2板部72は、板面が屋内外方向を向く鉛直面となる姿勢で第1板部71の屋外側の縁部から上方に突出している。第1板部71の下にファスナー2の躯体固定板部22を重ねて設ける。第1板部71は、躯体固定板部22よりも屋内側に突出している。
【0033】
第1接着剤41は、躯体固定板部22の外周端241,242,243それぞれと躯体側ブラケット7の第1板部71の下面711とがなす角部61,62,63に各外周端241,242,243が延びる方向に沿って設けられる。第2接着剤42は、躯体側ブラケット7の第2板部72の屋外側の面721と躯体固定板部22の上面221とがなす角部64に躯体側ブラケット7が延びる幅方向に沿って設けられる。躯体側ブラケット7の第2板部72の屋外側の面721は、特許請求の範囲の「ブラケットの外周端」に相当する。第1接着剤41および第2接着剤42の表面には、アングル材43が設けられる。
【0034】
第2実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Bでは、木造の躯体12にカーテンウォール11を固定する際に、躯体12に躯体側ブラケット7が取り付けられている場合でも、躯体側ブラケット7にファスナー2を接着剤4で固定し、ファスナー2にカーテンウォール11を取り付けることができる。このため、第2実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Bでも、第1実施形態によるカーテンウォールの固定構造1と同様の効果を奏する。
【0035】
図7に示すように、第3実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Cは、ファスナー2Cの躯体固定板部22Cの第1外周端241の上部側に角部を切り欠いた第1切欠き部25が設けられている。第1切欠き部25は、躯体固定板部22Cの第1外周端241から屋外側に切り欠かれている。第1切欠き部25には、躯体固定板部22Cの第1外周端241から屋外側に向かって漸次上側に向かう傾斜面の切欠き面251が設けられる。カーテンウォールの固定構造1Cでは、アングル材43を設けていない。
【0036】
第3実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Cでは、躯体固定板部22Cの第1外周端241と躯体3の下フランジ31の下面311とがなす第1角部61に設けられる第1接着剤41が第1切欠き部25に入り込み、傾斜面の切欠き面251に付着される。このため、第1角部61における躯体固定板部22Cの第1接着剤41が付着する面を大きくできる。ファスナー2Cと躯体3とを強固に接着できる。第2実施形態の躯体側ブラケット7に固定されるファスナー2に、第3実施形態のファスナー2Cに設けられた第1切欠き部25を設け、第1接着剤41を第1切欠き部25に入り込ませるようにしてファスナー2と躯体側ブラケット7とを接着してもよい。
【0037】
図8に示すように、第4実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Dは、ファスナー2Dの躯体固定板部22Dの上面221に上方に開口する溝状の第2切欠き部222が形成されている。第2切欠き部222は、躯体固定板部22Dの幅方向全体にわたって延びている。第2切欠き部222は、屋内外方向に間隔をあけて複数設けられている。第2切欠き部222には、第1接着剤41および第2接着剤42と同様の第3接着剤44が充填される。カーテンウォールの固定構造1Dでは、アングル材43を設けていない。
【0038】
第4実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Dでは、ファスナー2Dの躯体固定板部22Dの上面221に上方に開口する溝状の第2切欠き部222に充填された第3接着剤44によって躯体固定板部22Dと躯体3の下フランジ31の下面311とを接着できる。ファスナー2Dと躯体3とを強固に接着できる。第2実施形態の躯体側ブラケット7に固定されるファスナー2に、第4実施形態のファスナー2Dに設けられた第2切欠き部222を設け、第2切欠き部222に第3接着剤44を充填してファスナー2と躯体側ブラケット7とを接着してもよい。
【0039】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、第1実施形態において第1接着剤41は、ファスナー2の躯体固定板部22の外周端241,242,243それぞれと、躯体3の下フランジ31の下面311とがなす角部61,62、63のいずれかに設けられていればよい。第2実施形態において第1接着剤41は、ファスナー2の躯体固定板部22の外周端241,242,243それぞれと、躯体側ブラケット7の第1板部71の下面711とがなす角部61,62,63のいずれかに設けられていればよい。第1実施形態および第2実施形態のいずれにおいても第1接着剤41は、少なくとも第1角部61に設けられていることが好ましい。
【0040】
ファスナー2と躯体3とは、ボルト接合されていなくてもよい。ファスナー2と躯体3とがボルト接合される場合は、ボルトが設けられる位置や数は、適宜設定されてよい。第2実施形態において、ファスナー2と躯体側ブラケット7とがボルト接合されていてもよい。
【0041】
ファスナー2は、躯体3の下面311に重なって接しているが、躯体3の上面など下面311以外の面に重なって接していてもよい。例えば、躯体3の上フランジの上面などにファスナー2が重なって接していてもよい。第2実施形態においては、ファスナー2は、躯体3の上面など下面311以外の面に設けられた躯体側ブラケット7に重なって接していてもよい。
【0042】
第1実施形態および第2実施形態において、第1接着剤41および第2接着剤42の表面にアングル材43が設けられなくてもよい。第3実施形態および第4実施形態において、第1接着剤41および第2接着剤42の表面にアングル材43が設けられていてもよい。アングル材43は、断面形状がL字形の部材ではなく、断面形状が角形や、1/4円などの角部がる部材であればよい。第1接着剤41および第2接着剤42は、アングル材43に接着された両面テープであってもよい。アングル材43は、幅方向および屋内外方向のいずれかに延びる接着剤4の表面を、接着剤4が延びる方向全体にわたって覆わずに、部分的に覆っていてもよい。アングル材43は、接着剤4が延びる方向全体にわたって通しで1つの部材であってもよいし、複数の分割された部材であってもよい。
【0043】
第1接着剤41および第2接着剤42は、常温環境下で硬化する二液性接着剤でなくてもよい。
【0044】
第3実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Cのファスナー2Cに設けられる第1切欠き部25の形状は、上記以外であってもよい。第1切欠き部25の切欠き面251は、傾斜面でなくてもよい。第4実施形態によるカーテンウォールの固定構造1Dのファスナー2Dに設けられる第2切欠き部222の形状は、上記以外であってもよい。第2切欠き部222の溝の断面形状、長さ、深さ、溝が延びる方向や数は、適宜設定されてよい。
【0045】
ファスナー2、躯体3および躯体側ブラケット7の形状は、上記以外であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1B,1C カーテンウォールの固定構造、2,2C,2D ファスナー、3,12 躯体、4 接着剤、5 ボルト、7 躯体側ブラケット、11 カーテンウォール、24 外周端、25 第1切欠き部、43 アングル材、61,62,63,64 角部、221 上面,222 第2切欠き部,241 第1外周端、242 第2外周端、243 第3外周端、311 下面、312 端面
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図8