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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158906
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231024BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20231024BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20231024BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/18
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068952
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 智
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241BC01
3D241CC01
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB05Z
3D241DB20Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC34Z
3D241DC35Z
3D241DC37Z
3D241DC39Z
3D241DC40Z
3D241DC42Z
3D241DC44Z
3D241DC50Z
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】人の運転操作に近い制御を行うことができる、車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両1が走行している走行路に関する情報を含む環境情報として、道路および地物の情報を含む地図情報を取得し、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、及び走行路の車線数が閾値以上であることをこの順に判定し、判定結果に基づいて車両1の加速度を設定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行している走行路に関する情報を含む環境情報を用いて判定される判定項目と、前記判定項目ごとに設定された優先度とを参照して、前記車両の加速度を設定する設定手段を含む、車両制御装置。
【請求項2】
前記判定項目は、前記走行路に歩道が併設されていること、前記走行路の車線幅が閾値以上であること、前記走行路の上限車速が閾値以上であること、及び前記走行路の車線数が閾値以上であることを含む、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記優先度は、前記走行路に歩道が併設されていること、前記走行路の車線幅が閾値以上であること、前記走行路の上限車速が閾値以上であること、前記走行路の車線数が閾値以上であることの順に高く設定されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両をユーザの運転操作によらずに走行させる自動運転について研究が進められている。
【0003】
人は、様々なシチュエーションに応じた運転操作を行うため、車両の加速や減速などの動きは、一様にはならない。車両の自動運転による動きを人の運転による動きに近づけるべく、自動運転の制御では、人の運転操作に近い制御が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/230685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、手動で車両を加速させる場合には、車両が走行している走行路を含む周辺の環境に応じて加速度を変えて走行している。例えば、歩道のない住宅街では、加速度が過大にならないように歩行者等に配慮した運転が求められる。一方、車線幅や車線数、上限車速等が大きい大通りでは、ある程度加速度を大きくし、交通流を妨げない運転が求められる。
【0006】
本発明の目的は、人の運転操作に近い制御を行うことができる、車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る車両制御装置は、車両が走行している走行路に関する情報を含む環境情報を用いて判定される判定項目と、判定項目ごとに設定された優先度とを参照して車両の加速度を設定する設定手段を含む。
【0008】
この構成によれば、車両が走行している走行路に関する情報を含む環境情報を用いて判定される判定項目と、判定項目ごとに設定された優先度とを参照して加速させることができる。そのため、車両の加速の際に、人の運転操作に近い制御を行うことができる。
【0009】
判定項目は、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、及び走行路の車線数が閾値以上であることを含んでいてもよい。
【0010】
この構成では、たとえば、環境情報が、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、及び走行路の車線数が閾値以上であることを満たす場合に、環境情報に応じた加速度を設定することができる。
【0011】
優先度は、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、走行路の車線数が閾値以上であることの順に高く設定されていてもよい。
【0012】
この構成では、たとえば、重要度の高い判定項目から優先的に判定して加速度を設定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両の加速の際に、人の運転操作に近い制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る車両制御装置が搭載される車両の電気的構成を示すブロック図である。
図2】自動運転ECUの機能的な構成を示すブロック図である。
図3】加速設定処理の流れを示すフローチャートである。
図4】判定項目と優先度との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
<車両の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御装置が搭載される車両1の電気的構成を示すブロック図である。
【0017】
車両1は、自動運転機能を搭載しており、ユーザの運転操作によらない自動運転による走行が可能である。
【0018】
車両1には、各部を制御するため、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
【0019】
複数のECUには、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14およびボデーECU15が含まれる。駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14およびボデーECU15は、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる通信、つまりCAN通信が可能に接続されている。
【0020】
駆動ECU11は、車両1の駆動装置21を制御する制御部である。駆動装置21は、エンジンを駆動源として備える構成であってもよいし、モータを駆動源として備える構成であってもよいし、エンジンおよびモータの両方を駆動源として備える構成であってもよい。駆動装置21には、必要に応じて、駆動源からの駆動力を変速して出力する変速機が含まれる。
【0021】
操舵ECU12は、車両1の操舵装置22を制御する制御部である。操舵装置22は、たとえば、電動モータのトルクをステアリング機構に付与する電動パワーステアリング装置である。ステアリング機構は、たとえば、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤを含み、電動モータのトルクによりラック軸が車幅方向に移動すると、そのラック軸の移動に伴って左右の操向輪が左右に転舵するように構成されている。
【0022】
ブレーキECU13は、車両1の制動装置23を制御する制御部である。制動装置23は、油圧式であってもよいし、電動式であってもよい。油圧式の制動装置23は、ブレーキアクチュエータを備え、このブレーキアクチュエータの機能により、各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧が分配され、その油圧により各ブレーキから駆動輪を含む車輪に制動力が付与される。
【0023】
メータECU14は、車両1のメータパネル(図示せず)の各部を制御する制御部である。メータパネルには、車速やエンジン回転数を表示する計器類のほか、各種の情報を表示するための液晶ディスプレイなどの表示器が設けられている。また、メータECU14には、自動運転の緊急停止を指示するために操作される緊急停止スイッチ24が接続されている。
【0024】
ボデーECU15は、車両1のイグニッションスイッチがオフの状態でも動作の必要がある各部、たとえば、左右の各ウインカやドアロックモータなどを制御する制御部である。
【0025】
また、複数のECUには、自動運転機能のための制御部として、自動運転ECU31、ライダECU32および単眼カメラECU33が含まれる。
【0026】
自動運転ECU31は、自動運転制御の制御中枢である。自動運転ECU31は、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14およびボデーECU15とCAN通信可能に接続されている。
【0027】
自動運転ECU31には、たとえば、イーサネット(登録商標)規格の通信ケーブルを介して、全方位ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)34が接続されている。全方位ライダ34は、360°全方位にレーザ光を照射し、探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光に応じた検出信号を出力する。自動運転ECU31には、その全方位ライダ34の検出信号が入力される。
【0028】
また、自動運転ECU31には、たとえば、USB(Universal Serial Bus)規格の通信ケーブルを介して、GPS受信機35が接続されている。GPS受信機35は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの測位信号を受信する受信機である。GPS受信機35が受信する測位信号は、GPS受信機35から自動運転ECU31に入力される。
【0029】
ライダECU32は、たとえば、イーサネット規格の通信ケーブルを介して、自動運転ECU31と通信可能に接続されている。ライダECU32には、6個のライダ36が接続されている。ライダ36は、探索範囲にレーザ光を照射し、その探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光に応じた検出信号を出力する。ライダ36は、たとえば、車両1のフロントバンパの左端、中央および右端ならびにリヤバンパの左端、中央および右端にそれぞれ配置されている。ライダECU32には、各ライダ36から出力される検出信号が入力される。ライダECU32は、各ライダ36から出力される検出信号を処理し、その処理により得られるデータを自動運転ECU31に送信する。
【0030】
単眼カメラECU33は、たとえば、USB規格の通信ケーブルを介して、自動運転ECU31と通信可能に接続されている。単眼カメラECU33には、単眼カメラ37が接続されている。単眼カメラ37は、車両1の前方の探索範囲の静止画を所定のフレームレートで連続して撮影可能なカメラである。単眼カメラECU33には、単眼カメラ37から連続して出力される静止画の画信号が入力される。単眼カメラECU33は、単眼カメラ37から入力される画信号を処理し、その処理により得られる画像データを自動運転ECU31に送信する。
【0031】
<自動運転ECU>
図2は、自動運転ECU31の機能的な構成を示すブロック図である。
【0032】
自動運転ECU31は、物体認識部41、自己位置推定部42、周辺情報統合部43、経路計画部44および車両制御部45を備えている。これらの機能処理部は、プログラム処理によってソフトウエア的に実現されるか、または、論理回路などのハードウェアにより実現される。
【0033】
物体認識部41は、全方位ライダ34の検出信号から取得される物体(車両、歩行者、建物、縁石などの障害物)までの距離の情報と、単眼カメラ37により撮影された画像とから、車両1の周囲に存在する他の車両や歩行者などの物体を認識する。
【0034】
自己位置推定部42は、全方位ライダ34の検出信号から取得される点群データと、高精度地図のデータである高精度地図データ(点群データ)46とをマッチングさせて、車両1の位置(自己位置)を推定する。高精度地図は、高精度三次元地図であり、高精度地図データ46には、たとえば、道路の車線幅および勾配などの情報や、車線数、区画線、路肩の線、交差点、踏切、停止線、歩道、横断歩道、車速の上限を示す標識を含む各種標識などの地物の情報が含まれる。高精度地図データ46は、自動運転ECU31のマイコンに内蔵された不揮発性メモリに記憶されていてもよいし、自動運転ECU31に接続されたHDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)などに記憶されていてもよい。また、自己位置推定部42は、その点群データのマッチングにより推定された自己位置と、GPS受信機35が受信した測位信号に基づく自己位置とを統合させて、自己位置の推定精度を高める。
【0035】
周辺情報統合部43には、物体認識部41による物体の認識結果と、自己位置推定部42による自己位置の推定結果と、ライダECU32(図1参照)で各ライダ36から出力される検出信号を処理して得られるデータとが入力される。また、周辺情報統合部43には、高精度地図データ46が入力される。周辺情報統合部43は、高精度地図上に車両1や車両1以外の車両および歩行者などの物体を配置した周辺情報統合地図データを作成する。そして、周辺情報統合部43は、地図情報や物体の認識情報を車両1の車内に配設されたディスプレイなどのHMI(Human Machine Interface:ヒューマンマシンインターフェース)デバイス47に出力する。
【0036】
経路計画部44には、周辺情報統合部43から周辺情報統合地図データが入力される。経路計画部44は、その周辺情報統合地図データから、車両1の目的地までの移動経路を計画する。その計画には、移動経路上の各地点での目標車速が含まれる。また、移動経路の計画には、加速の設定が含まれる。加速の設定については、後述する。そして、経路計画部44は、その計画した目標車速および減速区間を含む移動経路の経路データをHMIデバイス47に出力する。
【0037】
車両制御部45には、経路計画部44から経路データが入力される。車両制御部45は、経路データに基づいて、車両1が自動運転により移動経路に沿って走行するように、駆動ECU11、操舵ECU12およびブレーキECU13など、車両1の各部の動作を制御するECUに指令を出力する。
【0038】
<加速設定>
図3は、加速設定処理の流れを示すフローチャートである。図4は、判定項目と優先度との一例を示す図である。
【0039】
たとえば、HMIデバイス47上で車両1の目的地が入力された後、HMIデバイス47に表示される自動運転開始ボタンが押操作されることにより、HMIデバイス47から自動運転ECU31に自動運転開始の指示が入力される。自動運転ECU31に自動運転開始の指示が入力されると、経路計画部44により、車両1の目的地までの移動経路が計画される。移動経路は、自動運転による車両1の走行中、所定の周期で再計画される。そして、自動運転では、最も新しく計画された移動経路に従って、車両1が移動経路上の各地点を地点ごとの目標車速で走行する。自動運転は、たとえば、車両1が目的地に到着するか、または、緊急停止スイッチ24が押操作されて、メータECU14から自動運転ECU31に自動運転停止の指示が入力されると終了となる。
【0040】
移動経路の計画および再計画の際には、経路計画部44により、図3に示される加速設定処理が行われる。
【0041】
加速設定処理では、車両1が走行している走行路に関する情報を含む環境情報が取得される(ステップS11)。周辺情報統合地図データに含まれる高精度地図データ46から、移動経路上に存在する地物のうち、車両1の現在位置から進行方向に所定の探索範囲内における歩道、車線幅、上限車速、車線数等の情報を含む環境情報が取得される。
【0042】
自動運転ECU31のマイコンに内蔵された不揮発性メモリには、環境情報である高精度地図データ46を用いて判定される判定項目と判定項目ごとに設定された優先度との関係が記憶されている。その判定項目と優先度との関係は、たとえば、判定テーブルとして、テーブルの形式で記憶されている。
【0043】
判定項目の優先度は、判定項目ごとに優先度を示す順位が設定されていてもよいし、判定項目ごとに優先度を示す数値が設定されていてもよい。判定項目ごとに優先度を示す順位が設定されている場合、優先度が高い方から所定の判定結果が得られるまで判定を実行し、その後の判定を省略することにより、判定の処理を簡略化してもよい。また、判定項目ごとに優先度を示す数値が設定されている場合、条件を満たした判定項目の数値を加算してもよい。
【0044】
判定に必要な環境情報が取得されると、判定テーブルに従って、各判定項目が満たされるか否かの判定が実行される(ステップS12)。
【0045】
環境情報に対しては、判定項目ごとに、車両1の近くを歩く歩行者等が車両1の加速度が過大だと感じることを防止するように、車両1の加速度が設定されている。そして、判定テーブルでは、歩行者等が車両1の加速度が過大だと感じやすい状況ほど、優先的に判定されるように判定項目と優先度との関係が対応づけられている。
【0046】
たとえば、図4に示されるように、走行路に歩道が併設されている場合、歩道を歩いている歩行者は車両1の加速度が過大だと感じる可能性は小さいので加速度を大きく設定できる。また、走行路の車線幅が閾値以上である場合、歩行者と車両1との距離を十分とることができるため、歩行者は車両1の加速度が過大だと感じる可能性は小さいので加速度を大きく設定できる。また、走行路の上限車速が閾値以上である場合、車両1の車速が大きくても歩行者の安全が確保されると考えられるため、歩行者は車両1の加速度が過大だと感じる可能性は小さいので加速度を大きく設定できる。また、走行路の車線数が閾値以上である場合、歩行者と車両1との距離を十分とることができるため、歩行者は車両1の加速度が過大だと感じる可能性は小さいので加速度を大きく設定できる。
【0047】
そして、各判定項目の優先度は、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、走行路の車線数が閾値以上であることの順に高く設定されており、この順に判定される。その結果、車両1の近くを歩く歩行者が車両1の加速度が過大だと感じやすい状況から順に判定を行うことができる。
【0048】
環境情報を用いて各判定項目が判定された後、判定結果に応じて加速度が設定される(ステップS13)。
【0049】
その後、設定された加速度に従って車両1が走行するよう加速処理が行われる(ステップS14)。車両1が設定された加速度で走行するように、駆動ECU11を介して、車両1の駆動装置21が制御される。
【0050】
<自動運転制御の具体例>
たとえば、判定項目が、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、走行路の車線数が閾値以上であることを含み、この順に1~4の優先度が設定されているものとする。そして、走行路に歩道が併設されており、かつ走行路の車線幅が閾値以上である場合を想定する。
【0051】
加速設定処理では、環境情報として取得された高精度地図データ46を用いて、優先度が1の「走行路に歩道が併設されているか否か」が判定される。この判定で走行路に歩道が併設されていると判定された場合、優先度が2の「走行路の車線幅が閾値以上であるか否か」が判定される。この判定で走行路の車線幅が閾値以上であると判定された場合、優先度が3の「走行路の上限車速が閾値以上であるか否か」が判定される。この判定では、走行路の上限車速が閾値より小さいと判定されたとする。この場合、優先度2に対応する加速度が設定され、設定された加速度に従って車両1が走行するよう、駆動ECU11を介して、車両1の駆動装置21が制御される。
【0052】
<作用効果>
以上のように、車両1が走行している走行路に関する情報を含む環境情報に応じて、車両の加速度を設定される。そして、環境情報を用いて、走行路に歩道が併設されていること、走行路の車線幅が閾値以上であること、走行路の上限車速が閾値以上であること、走行路の車線数が閾値以上であることをこの順に判定し、判定結果に応じて加速度を設定し、その加速度に従って車両1が加速される。これにより、車両1の加速の際に、人の運転操作に近い制御を行うことができる。
【0053】
加速度の設定には、高精度地図データ46が使用される。したがって、高精度地図データ46の更新により、最新の地物の情報に基づいて、加速度を設定することができる。
【0054】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0055】
たとえば、前述の実施形態では、環境情報を高精度地図データ46から取得する例を説明したが、環境情報を単眼カメラ37によって取得してもよい。この場合、単眼カメラ37が撮像した画像に歩道が映っている場合、「走行路に歩道が併設されている」と判定することができる。他の判定項目も同様に単眼カメラ37が撮像した画像に映る車線幅、車線数、上限車速を示す標識の数値等を参照することにより、加速度を設定することが可能となる。
【0056】
また、前述の実施形態では、HMIデバイス47から自動運転ECU31に自動運転開始の指示が入力されるとしたが、移動体無線データ通信などのデータ通信により、車両1の外部のサーバからゲートウェイECUを介して自動運転ECU31に自動運転開始の指示が入力されてもよい。また、車両1が移動経路上に設定された自動運転開始地点に到達したことを以て、自動運転ECU31への自動運転開始の指示の入力とされてもよい。
【0057】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:車両
11:駆動ECU(車両制御装置)
31:自動運転ECU(車両制御装置、設定手段)
46:高精度地図データ(地図情報)
図1
図2
図3
図4