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特開2023-158914植林計画装置、植林システム、および植林計画方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158914
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】植林計画装置、植林システム、および植林計画方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20231024BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068972
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 良一
(72)【発明者】
【氏名】上野 充
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】対象地域の地形に応じて将来の収穫に鑑みた植林計画を立てる。
【解決手段】データ取得部は、対象地域の地形を表す地形データを取得する。エリア特定部は、地形データに基づいて、対象地域から第一勾配閾値未満の勾配を有する第一エリアを特定する。植林指示部は、第一エリアへの植物体の植え付けを指示する第一植林指示信号を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域の地形を表す地形データを取得するデータ取得部と、
前記地形データに基づいて、前記対象地域から第一勾配閾値未満の勾配を有する第一エリアを特定するエリア特定部と、
前記第一エリアからなる植林エリアへの植物体の植え付けを指示する信号であって、前記植林エリアおよび植林機械による前記植物体の植付のための前記植林エリアにおける走行ルートの少なくとも一方を含む植林指示信号を送信する植林指示部と
を備える植林計画装置。
【請求項2】
前記第一エリアのうち林道を形成する林道エリアを決定する林道決定部を備え、
前記植林指示部は、前記植林機械に、前記第一エリアのうち前記林道エリア以外のエリアへの植物体の植え付けを指示する前記植林指示信号を送信する
請求項1に記載の植林計画装置。
【請求項3】
前記エリア特定部は、さらに前記第一勾配閾値以上の勾配を有する第二エリアを特定し、
前記植林指示部は、前記第二エリアへの、前記第一エリアに植え付ける前記植物体と異なる種類の植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する
請求項1または請求項2に記載の植林計画装置。
【請求項4】
前記第一勾配閾値以上かつ第二勾配閾値未満の勾配を有する第三エリアを特定する土工エリア特定部と、
勾配が前記第一勾配閾値未満となる前記第三エリアの設計面を生成する設計面生成部と、
土工機械に、前記設計面に従った前記第三エリアの施工を指示する土工指示信号を送信する土工指示部と
を備え、
前記植林指示部は、前記土工機械による前記設計面に従った施工後の前記第三エリアへの植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する
請求項1または請求項2に記載の植林計画装置。
【請求項5】
前記第三エリアは、前記第一エリアに隣接するエリアである
請求項4に記載の植林計画装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の植林計画装置と、前記植林機械とを備え、
前記植林機械は、
土壌に植物体を植え付ける植付装置と、
前記植付装置と共に走行する走行装置と、
前記走行装置に前記植林指示信号が示すエリアを走行させながら、前記植付装置に前記植物体を植え付けさせる制御装置と
を備える植林システム。
【請求項7】
請求項4に記載の植林計画装置と、前記植林機械と、前記土工機械とを備え、
前記植林機械は、
土壌に植物体を植え付ける植付装置と、
前記植付装置と共に走行する走行装置と、
前記走行装置に前記植林指示信号が示すエリアを走行させながら、前記植付装置に前記植物体を植え付けさせる制御装置と
を備え、
前記土工機械は、
土壌を掘削する作業機と、
前記作業機と共に走行する走行装置と、
前記地形データと前記土工指示信号が示す前記第三エリアの前記設計面とに基づいて、前記作業機および前記走行装置に土壌を施工させる制御装置と
を備える植林システム。
【請求項8】
対象地域の地形を表す地形データを取得するステップと、
前記地形データに基づいて、前記対象地域から第一勾配閾値以上の勾配を有する第一エリアを特定するステップと、
前記第一エリアを含む植林エリアへの植物体の植え付けを指示する信号であって、前記植林エリアおよび前記植林エリアにおける植林機械の走行ルートの少なくとも一方を含む植林指示信号を送信するステップと
を備える植林計画方法。
【請求項9】
前記第一勾配閾値以上かつ第二勾配閾値未満の勾配を有する第三エリアを特定するステップと、
勾配が前記第一勾配閾値未満となる前記第三エリアの設計面を生成するステップと、
土工機械に、前記設計面に従った前記第三エリアの施工を指示する土工指示信号を送信するステップと
を備え、
前記植林指示信号を送信するステップでは、施工後の前記第三エリアへの植物体の植え付けを指示する植林指示信号をさらに送信する
請求項8に記載の植林計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植林計画装置、植林システム、および植林計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無人航空機による撮影によって取得された作業現場の画像に基づいて、作業現場の地形を認識し、材木の収穫のための林業機械の移動経路を計画する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10322803号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
勾配の急な地形は林業機械のスリップや転倒が生じる可能性があり、また作業効率を考慮しても、作業機械は勾配の緩やかな地形において収穫作業を行うことが望ましい。また林業では植林後、最終的な伐採までの長い期間、間伐等の定期的なメンテナンスが必要であり、メンテナンスや収穫などの将来の作業を考慮した植林計画を立てることが求められている。
本開示の目的は、対象地域の地形に応じて将来の収穫に鑑みた植林計画を立てる植林計画装置、植林システム、および植林計画方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、植林計画装置は、対象地域の地形を表す地形データを取得するデータ取得部と、前記地形データに基づいて、前記対象地域から第一勾配閾値未満の勾配を有する第一エリアを特定するエリア特定部と、前記第一エリアからなる植林エリアへの植物体の植え付けを指示する信号であって、前記植林エリアおよび植林機械による前記植物体の植付のための前記植林エリアにおける走行ルートの少なくとも一方を含む植林指示信号を送信する植林指示部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、対象地域の地形に応じて将来の森林における作業に鑑みた植林計画を立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一実施形態に係る植林システムを示す概略図である。
図2】第一実施形態に係る植林機械の外観図である。
図3】第一実施形態に係る土工機械の外観図である。
図4】第一実施形態に係る植林計画装置の構成を示す概略ブロック図である。
図5】第一実施形態における対象地域のエリアの例を示す図である。
図6】第一実施形態に係る植林計画装置の処理を示すフローチャートである。
図7】第二実施形態に係る運転室の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第一実施形態〉
《植林システム1の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第一実施形態に係る植林システム1を示す概略図である。
植林システム1は、対象地域Tの地形データに基づいて、対象地域Tについての植林計画を生成し、当該植林計画に従って植林作業を実行する。
【0009】
植林システム1は、植林機械10、土工機械30および植林計画装置50を備える。植林機械10は、植物体を土壌に植え付ける機能を有する車両である。土工機械30は、土砂を掘削する機能を有する車両である。第一実施形態に係る植林機械10および土工機械30は、自律運転する。なお、他の実施形態に係る植林機械10および土工機械30は、自律運転するものでなくてもよい。植林計画装置50は、対象地域の地形データに基づいて、対象地域についての植林計画を生成し、植林機械10および土工機械30に指示信号を送信する。植林機械10および土工機械30は、植林計画装置50から受信した指示信号に基づいて稼働する。植林計画装置50、植林機械10および土工機械30は、互いにインターネットなどの通信網Nを介して接続される。植林計画装置50は、植林機械10および土工機械30から遠隔に設けられてよい。
【0010】
《植林機械10の構成》
図2は、第一実施形態に係る植林機械10の外観図である。植林機械10は、車体11と、走行装置12と、植付装置13と、制御装置14とを有する。植林機械10は、例えばブルドーザのブレードを植付装置13に置き換えたものであってよい。また、他の実施形態においては、植林機械10は、油圧ショベルのアタッチメントを植付装置13にしたものであってもよい。
【0011】
走行装置12は、車体11を走行可能に支持する。走行装置12は、エンジンの動力によって駆動する無限軌道である。他方、他の実施形態においては、走行装置12は、エンジンの動力によって駆動する車輪や脚を備えるものであってもよい。
【0012】
車体11には、車体11の位置を計測するための測位装置111が設けられる。測位装置111は、GNSSからの測位信号を受信するアンテナを備え、アンテナを介して受信された測位信号に基づいて車体11の位置を計測する。測位装置111は、計測した位置を示す位置データを制御装置14に出力する。車体11の位置は、2次元または3次元のグローバル座標系で表される。
【0013】
植付装置13は、土壌に植物体を植え付ける。植付装置13は、車体11の前方に設けられる。なお、他の実施形態においては、植付装置13は、車体11の後方に配置されてもよい。植付装置13は、アーム131とフレーム132と油圧シリンダ133と3個の植付部134とを備える。なお、他の実施形態においては、植付部134の数は3個に限られず、3個より少なくても、3個より多くてもよい。アーム131は、走行装置12のフレーム部分に取り付けられ、植付装置13を昇降可能に支持する。フレーム132は、アーム131の先端に取り付けられ、3個の植付部134を支持する。油圧シリンダ133は、車体11の前部とフレーム132との間に設けられ、伸縮することによりフレーム132を昇降させる。
【0014】
3個の植付部134は、植林機械10の幅方向に並んで配置される。植林機械10の幅方向は、植林機械10の進行方向と直交する方向である。
植付部134は、植物体保持部134Aと、本体部134Bと、伸縮部134Cと、を有する。本体部134Bは、フレーム132に取り付けられる。本体部134Bの上部には植物体保持部134Aが設けられる。本体部134Bの下部からは、伸縮部134Cが突出する。
植物体保持部134Aは、土壌に植えるべき植物体を保持する。植物体は、例えば樹木の種子や苗木である。植物体保持部134Aは、複数種類の植物体を保持してもよい。例えば、植物体保持部134Aは、木材に適した植物体と、対象地域Tの植生を構成する植物体とを保持してよい。本体部134Bは、植物体保持部134Aから植物体を取り出し、伸縮部134Cの先端へ移送する。伸縮部134Cは、先端部に植物体を保持しながら伸長することで土壌に植物体を植える。伸縮部134Cは、例えば油圧シリンダ等によって伸縮する。伸縮部134Cが伸縮することにより、土壌が平坦でなく本体部134Bと土壌との距離が変化する場合にも、植物体を土壌に植えることができる。
【0015】
制御装置14は、走行装置12および植付装置13を駆動させる駆動信号を生成し、走行装置12および植付装置13のアクチュエータを制御する。制御装置14は、通信網Nを介して植林計画装置50と通信を行う通信装置を備える。制御装置14は、通信網Nを介して植林計画装置50から受信した指示信号と、測位装置111から取得した位置データとに基づいて、走行装置12および植付装置13を制御する。植林計画装置50から受信される指示信号には、対象地域Tのマップと、植林機械10の走行ルートと、植物体の種類、植付範囲および植付間隔を示す情報が含まれる。制御装置14は、位置データと走行ルートとに基づいて植林機械10が走行ルートの始点まで移動するように走行装置12を駆動させ、走行ルートの始点に到達すると、植林機械10が走行ルートに沿って移動するように走行装置12を駆動させる。また制御装置14は、位置データに基づいて、植林機械10が植付範囲内に位置するか否かを判定し、植付範囲内に位置する場合に、植付間隔に従って植物体を植え付けるように植付装置13を駆動させる。例えば、制御装置14は、走行装置12の速度と植付間隔とに基づいて、次の植え付けを行うタイミングを決定してもよいし、前回に植付したときの位置データが示す位置からの距離に基づいて、次の植え付けを行う位置を決定してもよい。なお、制御装置14は、植林機械10が植付範囲内に位置しない場合に、植付装置13を駆動させない。
【0016】
《土工機械30の構成》
図3は、第一実施形態に係る土工機械30の外観図である。土工機械30は、例えばブルドーザであってよい。また他の実施形態においては、土工機械30は油圧ショベルやホイルローダであってもよい。土工機械30は、車体31、走行装置32、作業機33、制御装置34を備える。
【0017】
走行装置32は、車体31を走行可能に支持する。走行装置32は、エンジンの動力によって駆動する無限軌道である。他方、他の実施形態においては、走行装置32は、エンジンの動力によって駆動する車輪を備えるものであってもよい。
【0018】
車体31には、車体31の位置を計測するための測位装置311が設けられる。測位装置311は、GNSSからの測位信号を受信するアンテナを備え、アンテナを介して受信された測位信号に基づいて車体31の位置を計測する。測位装置311は、計測した位置を示す位置データを制御装置34に出力する。車体31の位置は、3次元のグローバル座標系で表される。
【0019】
作業機33は、土砂等の掘削対象の掘削および運搬に用いられる。作業機33は、車体31の前部に設けられる。作業機33は、リフトフレーム331、ブレード332、およびリフトシリンダ333を備える。
【0020】
リフトフレーム331の基端部は、車幅方向に伸びるピンを介して、車体31の側面に取り付けられる。リフトフレーム331の先端部は、ブレード332の裏面に球体関節を介して取り付けられる。これにより、ブレード332は、車体31に対して上下方向に移動可能に支持される。ブレード332の下端部には、刃先332eが設けられる。リフトシリンダ333は、油圧シリンダである。リフトシリンダ333の基端部は車体31の側面に取り付けられる。リフトシリンダ333の先端部はリフトフレーム331に取り付けられる。リフトシリンダ333が作動油によって伸縮することによって、リフトフレーム331およびブレード332が昇降する。
【0021】
リフトシリンダ333には、リフトシリンダ333のストローク量を計測するストロークセンサ334が設けられる。ストロークセンサ334が計測するストローク量は、車体31を基準とした刃先332eの位置に換算可能である。具体的には、リフトシリンダ333のストローク量に基づいて、リフトフレーム331の回転角を算出する。リフトフレーム331およびブレード332の形状は既知であるため、リフトフレーム331の回転角から、ブレード332の刃先332eの位置を特定することができる。なお、他の実施形態に係る土工機械30は、エンコーダ等の他のセンサで回転角を検出してもよい。
【0022】
制御装置34は、走行装置32および作業機33を駆動させる駆動信号を生成し、走行装置32および作業機33のアクチュエータを制御する。制御装置34は、通信網Nを介して植林計画装置50と通信を行う通信装置を備える。制御装置14は、通信網Nを介して植林計画装置50から受信した指示信号と、測位装置311が計測した位置データと、ストロークセンサ334の計測データから換算した刃先332eの位置とに基づいて、走行装置32および作業機33を制御する。植林計画装置50から受信される指示信号には、対象地域Tの現況地形と、対象地域Tの設計面とを示す情報が含まれる。制御装置14は、位置データに基づいて、現況地形と設計面の高さの差分が所定の閾値を超える位置へ向かって移動するように、走行装置12を駆動させる。また制御装置14は、位置データが示す現在位置における現況地形と設計面の高さの差分に従って刃先332eの目標高さを決定し、刃先332eの高さが目標高さになるようにリフトシリンダ333を駆動させる。制御装置34は、走行時の刃先332eの高さに基づいて現況地形を更新しながら、上記の制御を繰り返し実行する。
【0023】
《植林計画装置50の構成》
図4は、第一実施形態に係る植林計画装置50の構成を示す概略ブロック図である。
植林計画装置50は、プロセッサ51、メインメモリ53、ストレージ55、インタフェース57を備えるコンピュータである。ストレージ55は、プログラムを記憶する。プロセッサ51は、プログラムをストレージ55から読み出してメインメモリ53に展開し、プログラムに従った処理を実行する。
なお、他の実施形態においては、植林計画装置50は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0024】
植林計画装置50は、インタフェース57を介して通信網Nに接続される。また植林計画装置50は、インタフェース57を介して図示しない入出力装置に接続される。
ストレージ55の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリ等が挙げられる。ストレージ55は、植林計画装置50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース57を介して植林計画装置50に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ55は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0025】
プロセッサ51は、プログラムを実行することで、データ取得部511、データ変換部512、勾配特定部513、エリア分類部514、土工エリア特定部515、設計面生成部516、土工指示部517、植林エリア決定部518、林道決定部519、植林指示部520として機能する。
【0026】
データ取得部511は、対象地域Tの地形の測量によって得られた現況地形データを取得する。現況地形データは、例えば点群データなどの三次元データで表される。現況地形データは、例えば対象地域T上をくまなく走行するロボットの位置情報の履歴に基づいて生成されるものであってよい。この場合、対象地域Tに樹木が生えている場合にも、地表の高さを特定することができる。現況地形データは、LiDARやステレオカメラを搭載したドローンによって計測されるものであってよい。対象地域Tの収穫後など対象地域Tに樹木が生えていない場合、ドローンによって計測されたデータをそのまま現況地形データとして用いることができる。対象地域Tに樹木が生えている場合も、所定のアルゴリズムを用いてドローンによって計測されたデータから樹木などを除去することができる。データ取得部511は、例えばインタフェース57に有線または無線で接続された外部メモリ、ロボット本体、ドローン本体などから現況地形データを取得する。
【0027】
データ変換部512は、現況地形データをメッシュデータに変換する。メッシュデータとは、水平に延びる平面格子で地形を区切った各メッシュ(格子)に、高さデータ等の各種データを格納したデータである。データ変換部512は、例えば各メッシュについて、点群データのうち当該メッシュの近傍の点の高さの平均値をそのメッシュの高さと設定することで、点群データをメッシュデータに変換する。なお、他の実施形態においては、メッシュデータの格子は正三角形や正六角形など、正方形以外の平面充填可能な多角形であってよい。なお、他の実施形態において、現況地形データがメッシュデータで与えられる場合、植林計画装置50はデータ変換部512を備えなくてもよい。
【0028】
勾配特定部513は、データ変換部512が変換したメッシュデータが示す各メッシュにおける勾配を特定する。勾配特定部513は、例えば、メッシュの法線ベクトル(頂点法線)を求めることで、勾配を特定することができる。メッシュの法線ベクトルは、例えば以下のように求めることができる。勾配特定部513は、法線ベクトルの算出対象のメッシュと、当該メッシュに隣接する他のメッシュとを結ぶの線分の法線ベクトルを算出する。そして、各辺の法線ベクトルの和のベクトルを求め、これを正規化することで、算出対象のメッシュの法線ベクトルを求めることができる。法線ベクトルと鉛直線(水平面の法線ベクトル)とのなす角が小さいほど、当該メッシュが表す地表の勾配が小さいことがわかる。
【0029】
図5は、第一実施形態における対象地域Tのエリアの例を示す図である。エリア分類部514は、勾配特定部513が特定した各メッシュの勾配に基づいて、対象地域Tを勾配が第一勾配閾値未満の第一エリアA1と、勾配が第一勾配閾値以上の第二エリアA2とからなる複数のエリアに分類する。第一エリアA1は、勾配が小さく、フェラーバンチャーなどの林業機械による収穫が比較的容易なエリアである。第二エリアA2は、勾配が大きく、林業機械による収穫が比較的困難なエリアである。エリア分類部514は、各メッシュを勾配が第一勾配閾値以上のものと第一勾配閾値未満のものとに分け、第一勾配閾値以上の勾配のメッシュで充填される地続きのエリアを第一エリアA1とし、第一勾配閾値未満の勾配のメッシュで充填される地続きのエリアを第二エリアA2とする。エリア分類部514は、二値化画像のラベリングアルゴリズムなどにより、エリアの分類を行うことができる。このとき、エリア分類部514は、第一エリアA1で囲まれた第二エリアA2であって、構成するメッシュ数が少ないもの(所定数以下のもの)を、第一エリアA1に属するものとみなしてもよい。同様に、エリア分類部514は、第二エリアA2で囲まれた第一エリアA1であって、構成するメッシュ数が少ないもの(所定数以下のもの)を、第二エリアA2に属するものとみなしてもよい。なお、エリア分類部514は、エリア分類にあたってその他のアルゴリズムを適用してもよい。なお、エリア分類部514は、複数のエリアのうち、第一エリアA1に分類された最も広いエリアを、植林の対象となるメインエリアA1mとして特定する。なお、他の実施形態においては、エリア分類部514は、複数のエリアのうち、第一エリアA1に分類された、既存の道路に最も近いエリアを、メインエリアA1mとしてもよい。また、他の実施形態においては、メインエリアA1mのみならず他の第一エリアA1も植林の対象としてもよい。
エリア分類部514は、対象地域Tから第一エリアA1および第二エリアA2を特定するエリア特定部の一例である。
【0030】
土工エリア特定部515は、第二エリアA2のうち勾配が第二勾配閾値未満の部分を、第三エリアA3として特定する。なお、第二勾配閾値は、第一勾配閾値より大きい値である。第三エリアA3は、土工機械30による施工で勾配を第一勾配閾値未満にすることが現実的に可能なエリアである。例えば、土工エリア特定部515は、第二エリアA2のうち、第一エリアA1に隣接し、かつ第二勾配閾値未満の勾配のメッシュで充填される地続きの部分を第三エリアA3とする。すなわち、勾配が第二勾配閾値未満であっても、施工後に第一エリアA1と地続きとならない場合には、林業機械を移動させることが困難であるため、施工の対象としない。
【0031】
設計面生成部516は、第三エリアA3の勾配が第一勾配閾値未満となり、かつ作業する土砂の量が最小となるように、第三エリアA3の設計面を生成する。例えば、設計面生成部516は、少なくとも第三エリアA3のすべてのメッシュが第一勾配閾値未満となり、かつ現況地形からの変化量(掘削量)が最小となるように設計面を生成してよい。また例えば、設計面生成部516は、少なくとも第三エリアA3のすべてのメッシュが第一勾配閾値未満となり、かつ掘削量と盛土量の和がゼロに近づくように設計面を生成してよい。また例えば、設計面生成部516は、施工後に勾配が第一勾配閾値未満となるエリアの面積が最大となるように、第三エリアA3の設計面を生成してもよい。例えば、設計面生成部516は、少なくとも第三エリアA3について、すべてのメッシュが第一勾配閾値未満となるように設計面を生成し、さらに第三エリアA3に隣接する第二エリアA2について、第三エリアA3で掘削される土砂を盛土して少なくとも一部のメッシュが第一勾配閾値未満となるように設計面を生成してよい。設計面は、土工機械30の施工後の目標地形を示す面である。
【0032】
土工指示部517は、設計面に従った第三エリアA3の施工を指示する土工指示信号を、土工機械30に送信する。土工指示信号には、データ変換部512が生成した現況地形のメッシュデータと、設計面生成部516が生成した設計面を表す設計面データとが含まれる。なお、土工機械30が現況地形のデータを別途取得することができる場合、土工指示信号は、現況地形のメッシュデータを含まず、設計面データのみを含むものであってもよい。
【0033】
植林エリア決定部518は、メインエリアA1mと、第三エリアA3と、第三エリアA3に隣接する第一エリアA1(サブエリアA1s)とからなる地続きのエリアを、植林エリアに決定する。サブエリアA1sは、メインエリアA1mとの間に第三エリアA3を挟む第一エリアA1である。第三エリアA3が施工されて勾配が第一勾配閾値未満となる場合、メインエリアA1mと第三エリアA3とサブエリアA1sからなる植林エリアは、第一勾配閾値未満の地続きのエリアとなる。
【0034】
林道決定部519は、植林エリア決定部518が決定した植林エリア内に、林業機械が通行するための林道を形成する林道エリアA1rを配置する。林道エリアA1rは、所定の幅を有する帯状のエリアであって、林業機械が植林エリアの全域に移動可能となるように設けられる。例えば、林道決定部519は、植林エリアの中央を通るように林道エリアA1rを配置してよい。この場合、林道決定部519は、細線化アルゴリズムなどによって林道エリアA1rを決定することができる。なお、他の実施形態において、林道エリアA1rが予め定められている場合、植林計画装置50は林道決定部519を備えなくてよい。
【0035】
植林指示部520は、植林エリアのうち林道エリアA1rを除くエリアへの植物体の植え付けを指示する植林指示信号を、植林機械10に送信する。植林指示信号には、対象地域Tのメッシュデータと、植林機械10の走行ルートと、植物体の種類、植付深さ、植付範囲および植付間隔等を示す情報とが含まれる。走行ルートは、植林エリアと、植林機械10の幅とに基づいて決定される。例えば、植林指示部520は、以下の手順で走行ルートを決定する。植林指示部520は、植林エリアのうち林道エリアA1rを除くエリアに、互いに平行して延びる複数の植林目標ラインを設定する。隣り合う植林目標ラインの間隔は、植林機械10の植付部134の間隔と等しい。植林指示部520は、隣接する3つの植林目標ラインを1組として、各組に係る植林目標ラインの中央を植林機械10の走行ルートとする。植付間隔は、植林機械10の走行方向において植物体を植え付ける間隔である。植付間隔は、植付部134の間隔と等しい物であってもよいし、利用者によって定められたものであってもよい。なお、走行ルートは植林エリアに基づいて利用者によって設定されたものであってもよいし、植林エリアに基づいて植林計画装置によって自動的に設定されたものであってもよい。
【0036】
また、植林機械10が第二エリアA2を走行することができる場合、植林指示部520は、植林エリア以外のエリアへ、対象地域Tの環境に応じた植生を構成する植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する。植林指示部520は、例えば気温、降水量、高度などの環境を表す情報と、当該環境における植生を構成する植物体とを関連付けたテーブルを予め持っておき、対象地域の環境から植生を構成する植物体を特定してもよい。また例えば、環境に応じた植生を構成する植物体は専門家等によって決定されてもよい。
【0037】
《植林計画装置50の処理》
図6は、第一実施形態に係る植林計画装置50の処理を示すフローチャートである。
利用者は、植林計画装置50を起動し、対象地域Tの現況地形データを植林計画装置50に入力する。データ取得部511が現況地形データを取得すると(ステップS1)、データ変換部512は、取得した現況地形データをメッシュデータに変換する(ステップS2)。次に、勾配特定部513は、ステップS2で変換したメッシュデータが示す各メッシュにおける勾配を特定する(ステップS3)。
【0038】
エリア分類部514は、ステップS3で特定した勾配に基づいて対象地域Tを第一エリアA1と第二エリアA2とからなる複数のエリアに分類する(ステップS4)。エリア分類部514は、複数のエリアのうち、第一エリアA1に分類された最も広いエリアを、植林の対象となるメインエリアA1mとして特定する(ステップS5)。
【0039】
土工エリア特定部515は、ステップS4で分類された第二エリアA2のうち、メインエリアA1mに隣接し、かつ第二勾配閾値未満の勾配のメッシュで充填される地続きの部分である第三エリアA3が存在するか否かを判定する(ステップS6)。第三エリアA3が存在する場合(ステップS6:YES)、設計面生成部516は、ステップS6で特定した第三エリアA3の設計面を生成する(ステップS7)。土工指示部517は、ステップS2で変換した現況地形のメッシュデータと、ステップS7で生成した設計面データとを含む土工指示信号を、土工機械30に送信する(ステップS8)。
【0040】
土工機械30の制御装置34が土工指示信号に従って走行装置32および作業機33を制御することで、土工機械30は第三エリアA3の施工を行う。第三エリアA3の地形と設計面データが示す地形の差分が所定の閾値未満になると、すなわち第三エリアA3の施工が完了すると、土工機械30の制御装置34は完了信号を植林計画装置50に送信する。
【0041】
植林エリア決定部518は、第三エリアA3に隣接する第一エリアA1であってメインエリアA1mでないエリアであるサブエリアA1sが存在するか否かを判定する(ステップS9)。サブエリアA1sが存在しない場合(ステップS9:NO)、植林エリア決定部518は、メインエリアA1mと第三エリアA3とからなる地続きのエリアを植林エリアに決定する(ステップS10)。他方、サブエリアA1sが存在する場合(ステップS9:YES)、植林エリア決定部518は、メインエリアA1mと第三エリアA3とサブエリアA1sとからなる地続きのエリアを植林エリアに決定する(ステップS11)。
他方、第三エリアA3が存在しない場合(ステップS6:NO)、植林エリア決定部518は、メインエリアA1mを植林エリアに決定する(ステップS12)。
【0042】
林道決定部519は、ステップS10、ステップS11またはステップS12で決定した植林エリア内に林道エリアA1rを配置する(ステップS13)。植林指示部520は、利用者から、植林機械10による植林の仕様の入力を受け付ける(ステップS14)。具体的には、植林指示部520は、植林機械10の走行ルート、植林エリアに植える植物体の種類、植林エリアでないエリアに植える植物体の種類、植物体の植付深さ、および植物体の植付間隔の入力を受け付ける。走行ルートは、植林エリアと、植林機械10の幅とに基づいて自動的に決定されてもよいし、利用者によって指示されてもよい。植林指示部520は、植林エリアに植える植物体の種類の選択肢として、材木に適した植物体の種類を提示し、植林エリアでないエリアに植える植物体の種類の選択肢として、植生を構成する植物体の種類を提示する。
植林指示部520は、ステップS14で入力された仕様での植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する(ステップS15)。ステップS8で土工指示信号を送信している場合、植林指示部520は、土工機械30の制御装置34は完了信号を受信した後に植林指示信号を送信する。
【0043】
植林機械10の制御装置14が植林指示信号に従って走行装置12および植付装置13を制御することで、植林機械10は植林を行う。植林指示信号が示す走行ルートをすべて走行すると、すなわち植林処理が完了すると、植林機械10の制御装置14は完了信号を植林計画装置50に送信する。
【0044】
《作用・効果》
このように、第一実施形態によれば、植林計画装置50は、対象地域Tの地形を表す地形データに基づいて、対象地域Tを第一勾配閾値未満の勾配を有する第一エリアA1と、第一勾配閾値以上の勾配を有する第二エリアA2とに分類し、植林機械10に、第一エリアA1への植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する。第一エリアA1は、対象地域Tのうち勾配が小さいエリアであるため、第一エリアA1に植物体を植え付けることで、将来の林業機械による作業、すなわち間伐などのメンテナンスや、材木の収穫などを容易にすることができる。
【0045】
また第一実施形態によれば、植林計画装置50は、第一エリアA1のうち林道を形成する林道エリアA1rを決定し、第一エリアA1のうち林道エリアA1r以外のエリアへの植物体の植え付けを指示する。これにより、植林計画装置50は、林業機械の通路を確保しながら、植物体を植え付けることができる。なお、他の実施形態において、予め林道が決まっている場合には植林計画装置50は林道エリアA1rを決定しなくてもよい。また他の実施形態において林道を設ける必要がない場合には、植林計画装置50は第一エリアA1の全体に植物体の植え付けを指示してもよい。
【0046】
また第一実施形態によれば、植林計画装置50は、第二エリアA2に、対象地域Tの環境に応じた植生を構成する植物体の植え付けを指示する植林指示信号を植林機械10に送信する。これにより、植林計画装置50は、将来の収穫が困難となるようなエリアに、植生を構成する植物体を植え付けることで、対象地域Tの植生の維持を促進することができる。なお、他の実施形態において、植林機械10による第二エリアA2の走行が困難な場合などには、植林計画装置50は、第二エリアA2への植物体の植え付けを指示する植林指示信号を植林機械10に送信しなくてよい。
【0047】
また、第一実施形態によれば、植林計画装置50は、第二エリアA2のうち第二勾配閾値未満の勾配を有する第三エリアA3を特定し、第三エリアA3の勾配が第一勾配閾値未満となるように設計面を生成し、土工機械30に、設計面に従った第三エリアA3の施工を指示する土工指示信号を送信する。また植林計画装置50は、施工後の第三エリアA3への植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する。これにより、植林計画装置50は、土工機械30により将来の収穫に適したエリアを拡大させ、植え付けられる植物体を増やすことができる。すなわち、植林計画装置50は、将来の収穫量を増加させることができる。なお、他の実施形態において、第一エリアA1への植林で収穫量が十分見込める場合や、土工機械30による施工コストが収穫によるインカムを上回る場合などには、植林計画装置50は、土工機械30に第三エリアA3の施工を指示しなくてもよい。
【0048】
また第一実施形態によれば、植林指示部520は、植林機械10による前記植物体の植付のための走行ルートに基づいて植林指示を出すとされていたが、それ以外の形態であってもよい。例えば、植林機械10の走行ルートに代えて植林エリアに基づいて植林指示を出してもよいし、植林機械の走行ルートおよび植林エリアに基づいて植林指示を出してもよい。
【0049】
〈第二実施形態〉
第一実施形態に係る植林システム1を構成する植林機械10および土工機械30は、いずれも無人車両である。これに対し、第二実施形態に係る植林システム1を構成する植林機械10および土工機械30は、有人車両である。
【0050】
第二実施形態に係る植林機械10および土工機械30は、それぞれ運転室70を備える。図7は、第二実施形態に係る運転室70の構成を示す図である。
運転室70は、オペレータが搭乗し、当該運転室70を備える作業機械(植林機械10または土工機械30)の操作を行うためのスペースである。運転室70は、車体の上部に設けられる。
運転室70の内部には、シート71、コンソール72、作業機操作レバー73、走行操作レバー74、ブレーキペダル75、およびデセルペダル76が設けられる。
【0051】
コンソール72には、操作パネル、計器類およびスイッチ類が取り付けられる。オペレータは、コンソール72を視認して作業機械の状態を確認することができる。作業機械の制御装置は、コンソール72に作業すべきエリアを示す画面を表示させる。例えば、土工機械30の制御装置34は、コンソール72に、第三エリアの色を異ならせた対象地域Tのマップと、設計面の高さを表す線と作業機33との位置関係を表す側面図とを表示させるものであってよい。例えば、植林機械10の制御装置34は、コンソール72に、植林エリアの走行経路を表す対象地域Tのマップを表示させるものであってよい。
【0052】
作業機操作レバー73は、植林機械10における植付装置13、または土工機械30における作業機33を操作するための操作装置である。植林機械10の作業機操作レバー73は、植付装置13の昇降、植物体の選択、植物体の植え付けなどのために操作される。土工機械30の作業機操作レバー73は、作業機の上げ操作または下げ操作の移動量を設定するために操作される。作業機操作レバー73は、前方へ傾けられることにより下げ操作を受け付け、後方へ傾けられることにより上げ操作を受け付ける。
走行操作レバー74は、走行装置の進行方向を設定するために操作される。走行操作レバー74は、前方へ傾けられることにより前進操作を受け付け、後方へ傾けられることにより後進操作を受け付ける。また走行操作レバー74は、左方へ傾けられることにより左旋回操作を受け付け、右方へ傾けられることにより右旋回操作を受け付ける。
【0053】
ブレーキペダル75は、走行装置を制動させるために操作される。
デセルペダル76は、走行装置の回転数を低減させるために操作される。
【0054】
なお、第二実施形態に係る植林計画装置50の処理は第一実施形態と同様である。ただし、図6に示すフローチャートのステップS14において、植林計画装置50の植林指示部520は、土工機械30の制御装置34は完了信号の受信を待たずに植林指示信号を送信してよい。
【0055】
このように、第二実施形態に係る植林システム1は、植林機械10および土工機械30がオペレータによって操作される場合にも、将来の林業機械による材木の収穫が容易になる第一エリアへの植林をオペレータに指示することができる。
【0056】
なお、第二実施形態に係る植林システム1を構成する植林機械10および土工機械30は、いずれも有人車両であるが、これに限られず、植林機械10および土工機械30のいずれか一方が有人車両で、他方が無人車両であってもよい。また、植林機械10または土工機械30は、遠隔操作によって稼働するものであってもよい。
【0057】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0058】
上述した実施形態に係る植林計画装置50は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、植林計画装置50の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで植林計画装置50として機能するものであってもよい。このとき、植林計画装置50を構成する一部のコンピュータが植林機械10または土工機械30の内部に搭載され、他のコンピュータが外部に設けられてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、樹木が生えていないエリアへの植林を行う例について説明した。他方、他の実施形態においては、既に樹木が生えているエリアへの植林を行ってもよい。この場合、植林計画装置50は、植林機械10へ植林指示信号を送信する前に、林業機械への伐採指示信号および土工機械30への整地指示信号を送信する。この場合、植林計画装置50は、植林機械10による植林の対象となるエリアのみを、林業機械および土工機械30の作業対象としてよい。また、他の実施形態においては、植林計画装置50は、対象地域T全域を、林業機械および土工機械30の作業対象とし、林業機械および土工機械30による作業が終わってから、現況地形データの取得を行ってもよい。
【0060】
(付記1)
対象地域の地形を表す地形データを取得するデータ取得部と、
前記地形データに基づいて、前記対象地域から第一勾配閾値未満の勾配を有する第一エリアを特定するエリア特定部と、
前記第一エリアからなる植林エリアへの植物体の植え付けを指示する信号であって、前記植林エリアおよび植林機械による前記植物体の植付のための前記植林エリアにおける走行ルートの少なくとも一方を含む植林指示信号を送信する植林指示部と
を備える植林計画装置。
【0061】
(付記2)
前記第一エリアのうち林道を形成する林道エリアを決定する林道決定部を備え、
前記植林指示部は、前記植林機械に、前記第一エリアのうち前記林道エリア以外のエリアへの植物体の植え付けを指示する前記植林指示信号を送信する
請求項1に記載の植林計画装置。
【0062】
(付記3)
前記エリア特定部は、さらに前記第一勾配閾値以上の勾配を有する第二エリアを特定し、
前記植林指示部は、前記第二エリアへの、前記第一エリアに植え付ける前記植物体と異なる種類の植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する
付記1または付記2に記載の植林計画装置。
【0063】
(付記4)
前記第一勾配閾値以上かつ第二勾配閾値未満の勾配を有する第三エリアを特定する土工エリア特定部と、
勾配が前記第一勾配閾値未満となる前記第三エリアの設計面を生成する設計面生成部と、
土工機械に、前記設計面に従った前記第三エリアの施工を指示する土工指示信号を送信する土工指示部と
を備え、
前記植林指示部は、前記土工機械による前記設計面に従った施工後の前記第三エリアへの植物体の植え付けを指示する植林指示信号を送信する
付記1から付記3のいずれかに記載の植林計画装置。
【0064】
(付記5)
前記第三エリアは、前記第一エリアに隣接するエリアである
付記4に記載の植林計画装置。
【0065】
(付記6)
請求項1から付記5の何れかに記載の植林計画装置と、前記植林機械とを備え、
前記植林機械は、
土壌に植物体を植え付ける植付装置と、
前記植付装置と共に走行する走行装置と、
前記走行装置に前記植林指示信号が示すエリアを走行させながら、前記植付装置に前記植物体を植え付けさせる制御装置と
を備える植林システム。
【0066】
(付記7)
付記4または付記5に記載の植林計画装置と、前記植林機械と、前記土工機械とを備え、
前記植林機械は、
土壌に植物体を植え付ける植付装置と、
前記植付装置と共に走行する走行装置と、
前記走行装置に前記植林指示信号が示すエリアを走行させながら、前記植付装置に前記植物体を植え付けさせる制御装置と
を備え、
前記土工機械は、
土壌を掘削する作業機と、
前記作業機と共に走行する走行装置と、
前記地形データと前記土工指示信号が示す前記第三エリアの前記設計面とに基づいて、前記作業機および前記走行装置に土壌を施工させる制御装置と
を備える植林システム。
【符号の説明】
【0067】
1…植林システム 10…植林機械 30…土工機械 50…植林計画装置 51…プロセッサ 511…データ取得部 512…データ変換部 513…勾配特定部 514…エリア分類部 515…土工エリア特定部 516…設計面生成部 517…土工指示部 518…植林エリア決定部 519…林道決定部 520…植林指示部 53…メインメモリ 55…ストレージ 57…インタフェース A1…第一エリア A1m…メインエリア A1r…林道エリア A1s…サブエリア A2…第二エリア A3…第三エリア N…通信網 T…対象地域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7