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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158937
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ゲーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A63F9/00 508H
A63F9/00 512B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069008
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】庄司 亮太
(57)【要約】
【課題】通常のメダル貸出機でメダルを払い出す場合と比べて、ゲーム装置の内部にメダルを払い出すことの付加価値を高める。
【解決手段】メダルMを載置可能なフィールドFを備え、所定の払出率でプレイヤにメダルMを払い出すゲーム装置10であって、ゲーム装置10に対する投入金額と、FPOに基づく設定パラメータと、に基づき、ゲーム装置10の内部に払い出すメダルMの数を示す内部払出数を算出する算出手段46と、内部払出数のメダルMをゲーム装置10の内部に払い出す払出手段48と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を載置可能なゲームフィールドを備え、所定の払出率でプレイヤに遊技媒体を払い出すゲーム装置であって、
前記ゲーム装置に対する投入金額と、前記払出率に基づく設定パラメータと、に基づき、前記ゲーム装置の内部に払い出す遊技媒体の数を示す内部払出数を算出する算出手段と、
前記内部払出数の遊技媒体を前記ゲーム装置の内部に払い出す払出手段と、
を備える、ゲーム装置。
【請求項2】
前記設定パラメータは、前記払出率又は前記払出率に対応付けられた設定値である、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記算出手段は、遊技媒体の単価に基づき、前記投入金額に応じた遊技媒体の数を示す基準数を算出し、前記基準数と、前記設定パラメータと、に基づき、前記内部払出数を算出する、
請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記内部払出数が前記基準数よりも多く、且つ、前記内部払出数に前記払出率を乗じた数が前記基準数以下となるように、前記内部払出数を算出する、
請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記払出率が小さいほど多い数の前記内部払出数を算出する、
請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記算出手段は、ゲームの進行状況に基づき、前記内部払出数を算出する、
請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記払出手段による遊技媒体の払い出しは、前記ゲーム装置の内部メモリに遊技媒体を蓄積することを含み、
前記ゲーム装置に所定金額が投入された場合に前記払出手段によって払い出されることによって前記内部メモリに蓄積されている遊技媒体は、前記ゲーム装置の外部に払い出し不可とされている、
請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項8】
遊技媒体を載置可能なゲームフィールドを備え、所定の払出率でプレイヤに遊技媒体を払い出すゲーム装置としてのコンピュータを、
前記ゲーム装置に対する投入金額と、前記払出率に基づく設定パラメータと、に基づき、前記ゲーム装置の内部に払い出す遊技媒体の数を示す内部払出数を算出する算出手段、
前記内部払出数の遊技媒体を前記ゲーム装置の内部に払い出す払出手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技媒体としてメダルを用いたゲームとして、いわゆるプッシャーゲームと称されるメダルゲームを実行するゲーム装置が知られている。このゲーム装置は、例えば、複数のメダルが載置されたフィールドと、当該フィールド上を往復動するプッシャーと、を備える。このゲーム装置で実行されるプッシャーゲームでは、ユーザが手元のメダルをフィールドに投入すると、プッシャーによって押されてフィールドから落下口に落下したメダルが、ユーザに払い出される仕組みとなっている。
【0003】
当該ゲーム装置に関し、例えば下記特許文献1には、現金で購入した所定枚数のメダルを、ゲーム装置の内部に払い出すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6234050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示のゲーム装置では、ゲーム装置の外部に設置された通常のメダル貸出機によって現金に応じた所定枚数のメダルをプレイヤの手元に払い出す場合と同様に、所定枚数のメダルがゲーム装置の内部に払い出される。このため、通常のメダル貸出機でメダルを払い出す場合と比べ、ゲーム装置の内部にメダルを払い出すことの付加価値を提供することができていないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、通常のメダル貸出機で遊技媒体を払い出す場合と比べて、ゲーム装置の内部に遊技媒体を払い出すことの付加価値を高めることができるゲーム装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係るゲーム装置は、遊技媒体を載置可能なゲームフィールドを備え、所定の払出率でプレイヤに遊技媒体を払い出すゲーム装置であって、前記ゲーム装置に対する投入金額と、前記払出率に基づく設定パラメータと、に基づき、前記ゲーム装置の内部に払い出す遊技媒体の数を示す内部払出数を算出する算出手段と、前記内部払出数の遊技媒体を前記ゲーム装置の内部に払い出す払出手段と、を備える。
【0008】
本発明の第二態様に係るゲーム装置では、前記設定パラメータは、前記払出率又は前記払出率に対応付けられた設定値である。
【0009】
本発明の第三態様に係るゲーム装置では、前記算出手段は、遊技媒体の単価に基づき、前記投入金額に応じた遊技媒体の数を示す基準数を算出し、前記基準数と、前記設定パラメータと、に基づき、前記内部払出数を算出する。
【0010】
本発明の第四態様に係るゲーム装置では、前記算出手段は、前記内部払出数が前記基準数よりも多く、且つ、前記内部払出数に前記払出率を乗じた数が前記基準数以下となるように、前記内部払出数を算出する。
【0011】
本発明の第五態様に係るゲーム装置では、前記算出手段は、前記払出率が小さいほど多い数の前記内部払出数を算出する。
【0012】
本発明の第六態様に係るゲーム装置では、前記算出手段は、ゲームの進行状況に基づき、前記内部払出数を算出する、
【0013】
本発明の第七態様に係るゲーム装置では、前記払出手段による遊技媒体の払い出しは、前記ゲーム装置の内部メモリに遊技媒体を蓄積することを含み、前記ゲーム装置に所定金額が投入された場合に前記払出手段によって払い出されることによって前記内部メモリに蓄積されている遊技媒体は、前記ゲーム装置の外部に払い出し不可とされている。
【0014】
本発明の第八態様に係るプログラムは、遊技媒体を載置可能なゲームフィールドを備え、所定の払出率でプレイヤに遊技媒体を払い出すゲーム装置としてのコンピュータを、前記ゲーム装置に対する投入金額と、前記払出率に基づく設定パラメータと、に基づき、前記ゲーム装置の内部に払い出す遊技媒体の数を示す内部払出数を算出する算出手段、前記内部払出数の遊技媒体を前記ゲーム装置の内部に払い出す払出手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通常のメダル貸出機で遊技媒体を払い出す場合と比べて、ゲーム装置の内部に遊技媒体を払い出すことの付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るゲーム装置の外観斜視図である。
図2図1のゲーム台の拡大図である。
図3】プッシャーゲームの特性について説明するための概念図である。
図4】ゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】ゲーム装置の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図6】設定パラメータがFPOである場合に算出される内部払出数の一例を説明するための表である。
図7】設定パラメータがFPOの1.5倍の設定値である場合に算出される内部払出数の一例を説明するための表である。
図8】ゲーム装置におけるゲーム実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、適宜、「本実施形態」と称す。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係るゲーム装置10の外観斜視図である。
【0019】
図1に示すように、ゲーム装置10は、遊技媒体として例えば同一形状の円盤状のメダルMを用いたいわゆるプッシャーゲームと称されるメダルゲームを実行するものである。本実施形態では、遊技媒体がメダルMである場合について説明するが、遊技媒体は、ボールBやコイン、硬貨、チップ、駒やトレーディングカード等であってもよい。
【0020】
ゲーム装置10は、直方体の筐体12と、筐体12の正面側に配置された複数のゲーム台10A,10Bと、を備える。筐体12の天井には、ゲーム音をゲーム装置10の外部に出力するスピーカー14が複数取り付けられている。ゲーム台10A,10Bは、複数のプレイヤが同時にメダルゲームをプレイすることが可能なように設けられたものである。図1の例では二台のゲーム台10A,10Bを図示するが、台数はこれに限らない。各ゲーム台10A,10Bは構成が同一であり、各ゲーム台10A,10Bが実行するメダルゲームも同一であるため、以下では、ゲーム台10Aについて詳細に説明し、ゲーム台10Bの説明は省略する。
【0021】
図2は、図1のゲーム台10Aの拡大図である。
【0022】
ゲーム台10Aは、フィールドF(ゲームフィールド)と、コントロールパネル18と、プッシャー20と、落下口22と、表示パネル24と、抽選機26と、タイミング検出機28と、フィールド払出口30と、プレイヤ払出口32と、メダル溜34と、入賞口36と、を備える。以下、ゲーム台10Aとプレイヤとが対向する方向を前後方向として、プレイヤ側を前方側、プレイヤから遠ざかる方向を後方側として説明する。また、前後方向と交差する方向を左右方向として、ゲーム台10Aに向かうプレイヤの左手側を左側(一端側)、当該プレイヤの右手側を右側(他端側)として説明する。
【0023】
フィールドFは、ゲーム台10Aにおける前後方向で略中央部に設けられている。フィールドFは、メダルMやボールBを載置可能な載置領域である。本実施形態では、フィールドF上には、ゲーム実行開始前から予め一又は複数のメダルMやボールBが載置されている。また、フィールドFは、メダルMやボールBが払い出される領域でもある。なお、ボールBは、予め載置されておらず、例えばメダルMが入賞口36を通過して入賞することによって初めてフィールドF上に払い出されてもよい。
【0024】
コントロールパネル18は、ゲーム台10Aにおける最も前方側に設けられている。コントロールパネル18は、プレイヤがゲームを開始及び進行するために操作する操作受付部である。プレイヤは、コントロールパネル18とフィールドFとの間に設けられた不図示の透明パネルを介してフィールドFを目視しながら、コントロールパネル18の操作によってメダルゲームをプレイする。
【0025】
コントロールパネル18は、例えば、硬貨投入口18Aと、メダル投入口18Bと、操作レバー18Cと、押しボタン18Dと、押しボタン18Eと、を含む。
【0026】
硬貨投入口18Aは、例えば、コントロールパネル18における左側に設けられている。硬貨投入口18Aは、プレイヤが硬貨を投入する部分であって、金銭受付部である。なお、金銭受付部は、現金に限らず、電子マネーを受け付けてもよい。例えば、コントロールパネル18は、硬貨投入口18Aに加えて又は代えて、金銭がチャージされたアプリや電子カードから所定金額の支払いを受け付ける金銭受付部を有していてもよい。
【0027】
メダル投入口18Bは、例えば、左右方向でメダル溜34を間に介して両側の位置に二つ設けられている。メダル投入口18Bは、プレイヤがメダルMを投入する部分であって、メダル受付部である。
【0028】
操作レバー18Cは、例えば、各メダル投入口18Bの近傍にそれぞれ位置するように二つ設けられている。操作レバー18Cは、プレイヤの操作に応じて、対応するフィールド払出口30からメダルMを払い出すフィールドF上での払出位置を調整するための操作受付部である。
【0029】
押しボタン18Dは、コントロールパネル18における左側、中央、及び右側に三つ設けられている。押しボタン18Dは、表示パネル24で行われるゲームの進行を操作するための操作受付部である。
【0030】
押しボタン18Eは、コントロールパネル18における右側に二つ設けられている。押しボタン18Eは、プレイヤがプレイヤ払出口32からのメダルMの払い出しの操作等をするための操作受付部である。
【0031】
プッシャー20は、フィールドF上における後方部に配置されている。プッシャー20は、フィールドF上を前後方向に往復動する。プッシャー20の往復動によって、フィールドF上に載置されたメダルMやボールBを前方側にスライド移動させ、落下口22に落下させることができるようになっている。
【0032】
落下口22は、フィールドFよりも前方側で、当該フィールドFに隣接して設けられている。落下口22には、メダルMやボールBが落下する。なお、本実施形態では、落下口22にボールBが所定数以上落下した場合に入賞とされるため、落下口22は入賞口としての機能も兼ねている。
【0033】
表示パネル24は、フィールドFよりも後方側に立設されている。表示パネル24には、表示パネル24上でスロット抽選を実行するための抽選画像等、様々なゲーム画像が表示される。
【0034】
抽選機26は、複数の穴を有するクルーン(ルーレット)を用いた物理抽選を行う装置であって、表示パネル24の右側に設けられている。抽選機26は、ゲーム装置10の略中央部に設けられ、ゲーム台10Aとゲーム台10Bとで共用される。クルーンの穴は、当選穴及び落選穴を含む。抽選機26は、クルーンでボールBを転がし、所定時間経過後に、クルーンの回転が停止した際に当該ボールBが入って停止した穴が当選穴であるか落選穴であるかを特定することにより、クルーン抽選を行う。
【0035】
タイミング検出機28は、表示パネル24の下方に設けられている。タイミング検出機28は、波状の通路と、二つの落下口28Aと、を有する。タイミング検出機28は、通路に送出されたボールBが二つの落下口28Aの何れかに落ちるタイミングを検出する。
【0036】
フィールド払出口30は、フィールドFの上方に例えば二つ設けられている。フィールド払出口30は、プレイヤの操作やメダルゲームの進行状況に応じて、フィールドF上にメダルMを払い出す。
【0037】
プレイヤ払出口32は、フィールドFよりも前方側であって、メダル溜34の上方に設けられている。プレイヤ払出口32は、落下口22に落下したメダルMをプレイヤの手元に払い出す。なお、落下口22に落下したボールBは、プレイヤの手元に払い出すことなく、ゲーム台10Aの内部に収納される。
【0038】
メダル溜34は、フィールドFよりも前方側であって、左右方向で略中央部に設けられている。メダル溜34は、プレイヤ払出口32から払い出されたメダルMが溜められる部分である。なお、メダルMをプレイヤの手によって物理的に投入せずクレジットに蓄積されたメダルMを利用するクレジットプレイ方式の場合には、メダルMがプレイヤの手元に払い出されずにクレジットに蓄積される。
【0039】
入賞口36は、例えば、フィールドFに二つ設けられている。入賞口36は、フィールドF上で移動したメダルMが通過するように構成されている。メダルMが二つの入賞口36のうち少なくとも何れか一方の入賞口36を通過すると、入賞として検出され、抽選が実行される。
【0040】
<ゲーム概要>
本実施形態に係るゲーム装置10では、ゲーム装置10に投入されるメダルMに対し、ゲーム進行に応じて所定のペイアウト率(払出率)でメダルMをプレイヤに払い出す仕組みとなっている。以下、ペイアウト率を「PO」と称する。POは、メダルMの支出を示す指標である。プレイヤからゲーム装置10に投入されるメダルMの数を「IN数」とし、ゲーム装置10からプレイヤに払い出されるメダルMの数を「OUT数」として、POは、例えば以下の数式(1)で定義される。なお、以下の数式(1)はPOを割合として示すものであり、POを百分率で示す場合には、以下の数式(1)の右辺に100を乗じることで変換できる。
【0041】
(PO)=(OUT数)÷(IN数)・・・(1)
【0042】
本実施形態に係るメダルゲームは、プッシャーゲームであって、プレイヤの操作に応じてフィールドF上にメダルMが払い出される。また、メダルMが入賞口36を通過する等の抽選条件を満たすと抽選が実行され、抽選で当選した場合には、当選の種類に応じた数のメダルMやボールBがフィールドF上に払い出される。このようにフィールドF上にメダルMやボールBが払い出されることにより、当該フィールドFに既に載置されているメダルMがプッシャー20により押し出されて落下口22に落ち、プレイヤの手元に払い出される。
【0043】
図3は、プッシャーゲームの特性について説明するための概念図である。図3は、フィールドFを上面から見た概念図を示している。
【0044】
図3に示すように、フィールドF上には複数のメダルMとボールBとが載置されている。フィールドFにおける前後方向に沿った両側部には、フィールドF上に払い出されたメダルMをゲーム装置10の内部に回収するためのメダル回収機構である横穴23と、横穴23を目隠しするためのカバー21と、が設けられている。また、フィールドFの前方側に設けられた落下口22は、落下口22A、落下口22B、及び落下口22Cを含んでいてもよい。各落下口22A,22B,22Cの少なくとも何れか(例えば、落下口22B,22C)は、メダルMをゲーム装置10の内部に回収するためのメダル回収機構として機能できるように構成されていてもよい。
【0045】
プッシャーゲームでは、フィールドF上に払い出されたメダルMの一部が横穴23等のメダル回収機構に流れていくことによってゲーム装置10の内部に回収される仕組みとなっている。すなわち、プッシャーゲームでは、フィールドF上に払い出されるメダルMの全てがプレイヤに払い出されず、フィールドF上に払い出されるメダルMのうちの何割かのメダルMがプレイヤの手元に払い出される。このフィールドF上に払い出されるメダルMの数のうち、プレイヤ払出口32からプレイヤに払い出されるメダルMの数の割合を示す払出率を、フィールドペイアウト率という。
【0046】
以下、フィールドペイアウト率を「FPO」と称する。FPOは、プッシャーゲーム特有のペイアウト率であって、当選した場合にメダルMが直接プレイヤの手元に払い出されずフィールドFに払い出されるというプッシャーゲームの特性を考慮したものである。FPOは、フィールドFから落下口22へのメダルMの落ちやすさを示す指標である。FPOが大きいほどプレイヤの手元に払い出されるメダルMの数が多くなり、FPOが小さいほどプレイヤの手元に払い出されるメダルMの数が少なくなる。以下、フィールドFに払い出されるメダルMの数を「F_IN数」と称し、フィールドFから落下口22へ落ちることでプレイヤ払出口32からプレイヤの手元に払い出されるメダルMの数を「F_OUT数」とする。この場合に、FPOは、例えば以下の数式(2)によって定義される。なお、以下の数式(2)はFPOを割合として示すものであり、FPOを百分率で示す場合には、以下の数式(2)の右辺に100を乗じることで変換できる。
【0047】
(FPO)=(F_OUT数)÷(F_IN数)・・・(2)
【0048】
ゲーム装置10の設計者等によって、結果的に所定のPOやFPOとなるように、ゲーム装置10が設計されている。例えば、ゲーム装置10は、横穴23等のメダル回収機構によってフィールドFに払い出されたメダルMを回収することで、所定のFPOでプレイヤにメダルMが払い出されるようにする。例えば、横穴23の大きさや傾き等によって、ゲーム装置10の内部に回収するメダルMの量を調整することにより、所定のFPOでプレイヤにメダルMが払い出されるように設定されている。また、各落下口22A,22B,22Cのうち、例えば落下口22Bと落下口22Cとをメダル回収機構として機能させて落下口22B,22Cに落下したメダルMはプレイヤに払い出さずに回収してゲーム装置10の内部に回収するメダルMの量を調整することにより、所定のFPOでプレイヤにメダルMが払い出されるように設定されていてもよい。また、POやFPOは、横穴23の大きさや傾きを可変とすることや、メダル回収機構として機能させる落下口22A,22B,22Cを選択的に可変とすること等によって、自動調整可能であってもよい。なお、POやFPOは、長期的に見た場合に収束する統計的確率であって、実際のゲームの支出結果としての実質値が必ずその値通りになるものではない。
【0049】
<ハードウェア構成>
図4は、ゲーム装置10のハードウェア構成を示す図である。
【0050】
図4に示すように、ゲーム装置10は、上記各種のハードウェア構成に加え、ゲーム装置10を統括的に制御するコンピューティング装置200を備える。
【0051】
コンピューティング装置200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201と、RAM(Random Access Memory)202と、ROM(Read Only Memory)203と、記憶装置204と、音声処理部205と、画像処理部206と、通信I/F207と、周辺機器I/F208と、これらを接続するシステムバス210と、を有する。
【0052】
CPU201は、RAM202上に展開されたゲームプログラムを実行し、コンピューティング装置200に後述する機能構成を実現させる。すなわち、コンピューティング装置200は、CPU201の制御下で、ゲームプログラムを実行することにより、他のハードウェア構成と協働してメダルゲームを実現する。RAM202は、CPU201の主記憶部として機能する。ROM203は、ブートプログラム等を記憶する。記憶装置204は、ハードディスク等で構成され、ゲームプログラムを含む各種プログラム、各種データ、及び処理結果を記憶する。
【0053】
音声処理部205は、CPU201の制御下で、各種のサウンド処理を行う。音声処理部205によってサウンド処理されることで生成された音声は、スピーカー14により出力される。画像処理部206は、CPU201の制御下で、各種のグラフィックス処理を行う。画像処理部206によってグラフィックス処理されることで生成された画像は、表示パネル24に出力される。通信I/F207は、他のゲーム装置やサーバ等の外部装置との通信を可能にするインターフェースである。周辺機器I/F208は、コントロールパネル18等の周辺機器との通信を可能にするインターフェースである。
【0054】
<機能構成>
図5は、ゲーム装置10の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0055】
図5に示すように、ゲーム装置10は、機能構成として、記憶手段40と、検出手段42と、進行手段44と、算出手段46と、払出手段48と、を備える。
【0056】
記憶手段40は、一又は複数の記憶装置204で実現される。記憶手段40以外の機能構成は、記憶装置204等に格納されたゲームプログラムをCPU201が実行することにより実現される。なお、ゲーム装置10は、記憶手段40と接続可能であればよく、ゲーム装置10内部で記憶手段40と接続されていても、ゲーム装置10外部で記憶手段40と接続されていてもよい。換言すれば、ゲーム装置10自体が記憶手段40を備えていなくてもよく、外部のサーバ装置等に記憶手段40が設けられていてもよい。
【0057】
記憶手段40は、例えば、設定パラメータ40Aと、単価40Bと、を記憶する。
【0058】
設定パラメータ40Aは、FPOに基づく設定値であって、具体的には、FPOそのもの、又は、当該FPOに対応付けられた設定値である。FPOに対応付けられた設定値とは、例えば、FPOに対して所定数を乗じた値や、所定数を加算又は減算した値である。設定パラメータ40Aは、例えば0~1の範囲で、ゲーム装置10の設計者や、ゲーム装置10が設置された店舗の店員や管理者等によって設定されている。単価40Bは、メダルM1枚当たりの金額であって、ゲーム装置10の設計者や、ゲーム装置10が設置された店舗の店員や管理者等によって設定されている。
【0059】
検出手段42は、プレイヤによる操作や、所定の物体(硬貨、メダルM、ボールB等)を検出する機能を有する。検出手段42は、ゲーム装置10の内部に設けられた不図示のスイッチや光学センサ等によって実現される。例えば、検出手段42は、コントロールパネル18における操作レバー18Cや押しボタン18D,18Eに対するプレイヤの操作を検出する。また、検出手段42は、硬貨投入口18Aに投入された硬貨や、メダル投入口18Bに投入されたメダルMを検出する。また、検出手段42は、入賞口36を通過したメダルMを検出する。また、検出手段42は、抽選機26のどの穴にボールBが入ったか(停止したか)を検出する。また、検出手段42は、落下口22に落下したボールBを検出する。検出手段42により検出された検出結果は、進行手段44、算出手段46、払出手段48等に出力される。
【0060】
進行手段44は、検出手段42により検出されたプレイヤの操作等に基づき、メダルゲームを進行させる機能を有する。例えば、進行手段44は、検出手段42により操作レバー18Cや押しボタン18D等の操作が検出された場合に、抽選イベント等を実行する。また、進行手段44は、検出手段42により入賞口36を通過したメダルMが検出された場合に、抽選条件を満たしたものとして、抽選イベントを実行する。また、進行手段44は、検出手段42により落下口22に落下した所定数(例えば10個)のボールBが検出された場合に、抽選条件を満たしたものとして、抽選イベントを実行する。進行手段44により抽選イベントが実行された場合には、当該実行を示す情報が算出手段46に出力される。
【0061】
進行手段44は、抽選イベントの実行において、表示パネル24を用いたスロット抽選や、抽選機26を用いたクルーン抽選を実行する。また、進行手段44は、これらの抽選の結果、当選及び落選の何れか一方を判定する。なお、この判定は、タイミング検出機28で検出されるタイミングに基づくタイミングで行ってもよい。また、進行手段44は、当選と判定した場合には、その当選の種類を判定する。進行手段44によって判定された当選及び落選の何れか一方を示す情報や、当選の種類を示す情報は、算出手段46や払出手段48に出力される。
【0062】
算出手段46は、ゲーム装置10に対する投入金額と、設定パラメータ40Aと、に基づき、ゲーム装置10の内部に払い出すメダルMの数を示す内部払出数を算出する機能を有する。内部払出数は、ゲーム装置10に金銭が投入されたことに応じて、ゲーム装置10の外部すなわちプレイヤの手元に払い出す代わりに、ゲーム装置10の内部に払い出すメダルMの数である。
【0063】
具体的な算出方法として、算出手段46は、まず、メダルMの単価40Bに基づき、投入金額に応じたメダルMの数を示す基準メダル数(基準数)を算出する。基準メダル数は、ゲーム装置10外部において設置された通常のメダル貸出機によって、単価40Bと同じ設定単価に基づき投入金額に応じて払い出されるメダルMの数に相当する。基準メダル数は、例えば、検出手段42により硬貨投入口18Aに投入された硬貨が検出された場合に、検出された硬貨が示す投入金額を単価40Bで除することにより算出される。そして、算出手段46は、この基準メダル数と、設定パラメータ40Aと、に基づき、内部払出数を算出する。
【0064】
例えば、算出手段46は、内部払出数が基準メダル数よりも多く、且つ、内部払出数にFPOを乗じた数(内部払出数のうちFPOの還元率でプレイヤに還元される還元数)が基準メダル数以下となるように、内部払出数を算出する。また、算出手段46は、FPOが小さいほど多い数の内部払出数を算出する。より具体的には、算出手段46は、以下の数式(3)によって、内部払出数を算出する。
【0065】
(内部払出数)=(基準メダル数)÷(設定パラメータ)・・・・(3)
【0066】
図6は、設定パラメータ40AがFPOである場合に算出される内部払出数の一例を説明するための表である。図6の表300Aでは、メダル単価、投入金額、及び基準メダル数が対応付けられている。これは、記憶手段40に記憶された単価40Bが「5円」であって、かつ、硬貨投入口18Aに投入された硬貨が示す投入金額が「100円」である場合には、投入金額を単価40Bで除することにより、基準メダル数が「20」と算出されることを示している。
【0067】
図6の表300Bでは、FPO、内部払出数、及び手元払出数が対応付けられている。表300BにおけるFPOは、0.1~1の範囲の0.1刻みの値を示す。表300Bにおける内部払出数は、設定パラメータがFPOである場合に上記数式(3)により算出される内部払出数を示す。表300Bにおける手元払出数は、内部払出数のうちFPOの還元率でプレイヤに還元されるメダルMの数を示し、以下の数式(4)により算出される。
【0068】
(手元払出数)=(FPO)×(内部払出数)・・・・(4)
【0069】
表300Bに示すように、内部払出数は、FPOが小さいほど多くなっており、FPOが0.1~0.9の場合において何れも基準メダル数よりも多い数となっている。これに対し、手元払出数は、基準メダル数と同じ数となっている。よって、FPOが0.1~0.9の場合には、上記数式(3)によって内部払出数を算出することにより、内部払出数を基準メダル数よりも多くし、且つ、手元払出数を基準メダル数以下(ここでは、基準メダル数と同じ数)にできることが示されている。
【0070】
基準メダル数よりも多い内部払出数のメダルMがフィールドF上に払い出されることにより、フィールドF上に載置されたメダルMやボールBがフィールドF上をスライド移動し易くなり、抽選イベント等が生じ易くなる。すなわち、プレイヤにとっては、結果的に多くのメダルMを獲得し得る状況が作られるため、得しているように見せることができる。これに対し、手元払出数は基準メダル数と同じであるため、通常のメダル貸出機により投入金額に応じて払い出されるメダルMの数と同じ数のメダルがプレイヤに払い出される。すなわち、店舗側にとっては、メダルMの価値を、通常のメダル貸出機によりメダルMを貸し出す場合と実質的に同程度とすることができ、利益を維持できる。
【0071】
図7は、設定パラメータ40AがFPOの1.5倍の設定値である場合に算出される内部払出数の一例を説明するための表である。図7の表400Aは、図6の表300Aと同様であるため、説明を省略する。
【0072】
図7の表400Bは、図6の表300Bに対応する。表400BにおけるFPOは、表300BにおけるFPOと同様、0.1~1の範囲の0.1刻みの値を示す。表400Bにおける内部払出数は、設定パラメータをFPOの1.5倍の設定値とした場合に上記数式(3)により算出される内部払出数を示す。表400Bにおける手元払出数は、内部払出数のうちFPOの還元率でプレイヤに還元されるメダルMの数を示し、表300Aにおける手元払出数と同様、上記数式(4)により算出される。
【0073】
表400Bに示すように、内部払出数は、FPOが小さいほど多くなっており、FPOが0.1~0.6の場合において何れも基準メダル数よりも多い数となっている。これに対し、手元払出数は、基準メダル数よりも少ない数となっている。よって、FPOが0.1~0.6の場合には、上記数式(3)によって内部払出数を算出することにより、内部払出数を基準メダル数よりも多くし、且つ、手元払出数を基準メダル数以下(ここでは、基準メダル数よりも少ない数)にできることが示されている。
【0074】
表400Bに示す場合では、手元払出数が基準メダル数より少なくなるものの、基準メダル数よりも多くのメダルMがフィールドFに払い出されるため、表300Bに示す場合と同様、結果的に多くのメダルMを獲得し得る状況が作られる。よって、手元払出数が基準メダル数より少なくなることに対する不公平感をプレイヤが感じ難くすることができる。
【0075】
また、図5に戻り、算出手段46は、ゲームの進行状況に基づき、内部払出数を算出する。例えば、算出手段46は、抽選イベントの実行状況に応じて、算出する内部払出数を変化させる。抽選イベントの実行状況とは、抽選イベントの実行の有無や、実行回数、実行頻度、当選又は落選の判定結果等を含む。
【0076】
例えば、算出手段46は、進行手段44によって抽選イベントが実行されている最中には、抽選イベントが実行されていない場合に比して多い内部払出数を算出する。より具体的には、算出手段46は、抽選イベントが実行されている場合には、設定パラメータをFPOそのものとして、内部払出数を算出する(表300Bに対応)。これに対し、算出手段46は、抽選イベントが実行されていない場合には、設定パラメータをFPOの所定倍数として、内部払出数を算出する(表400Bに対応)。また、算出手段46は、抽選イベントにおいて当選した場合と落選した場合とで、算出する内部払出数を上記同様に変化させてもよい。すなわち、算出手段46は、抽選イベントに当選した場合には、落選した場合に比して多い内部払出数を算出する。
【0077】
また、算出手段46は、例えば、所定期間(例えば、一日)内における抽選イベントの実行回数に応じて、算出する内部払出数を上記同様に変化させてもよい。例えば、算出手段46は、所定期間内における抽選イベントの実行回数が多くなるほど、多くの内部払出数を算出してもよい。また、算出手段46は、所定期間内における抽選イベントの実行回数が閾値(例えば、10回)以上である場合に、当該実行回数が閾値未満である場合に比して多い内部払出数を算出してもよい。算出手段46により算出された内部払出数の算出結果は、払出手段48に出力される。
【0078】
払出手段48は、ゲーム装置10の内部にメダルMを払い出す機能を有する。例えば、払出手段48は、メダル投入口18Bに投入されたメダルMが検出手段42により検出された場合に、投入された数のメダルMをゲーム装置10の内部に払い出す。また、払出手段48は、硬貨投入口18Aに投入された硬貨が検出された場合に、投入された硬貨が示す投入金額に応じて算出手段46により算出された内部払出数のメダルMを、ゲーム装置10の内部に払い出す。また、払出手段48は、進行手段44によって実行される抽選イベントにおいて当選した場合には、当選の種類に応じた数のメダルM又はボールBを、ゲーム装置10の内部に払い出す。
【0079】
払出手段48によるゲーム装置10の内部へのメダルMの払い出しは、フィールド払出口30からフィールドF上にメダルMを払い出すこと、及び、ゲーム装置10の内部メモリであるRAM202に貯留メダルとしてメダルMを蓄積することを含む。ゲーム装置10の内部へのメダルMの払い出しを、フィールドF上の払い出しとするか、RAM202への蓄積とするかは、プレイヤの操作等に基づき選択可能とされている。また、払出手段48は、RAM202にメダルMを蓄積した場合には、プレイヤの操作等に応じて、蓄積されているメダルMのうち一又は複数ずつのメダルMを、フィールド払出口30からフィールドF上に払い出す。なお、フィールド払出口30からフィールドF上に払い出されるメダルMは、プレイヤにより直接投入されたメダルMそのものであってもよく、ゲーム装置10の内部に予め貯留されておりゲーム装置10の内部でのみ循環するメダルMであってもよい。
【0080】
ここで、ゲーム装置10に直接メダルMが投入された場合(メダル投入口18BにメダルMが投入された場合)に払出手段48によって払い出されることによってRAM202に蓄積されているメダルMは、ゲーム装置10の外部に払い出しが可能である。例えば、押しボタン18E等に対するプレイヤの操作に応じて、プレイヤ払出口32からメダルMの払い出しができる。これに対し、ゲーム装置10に所定金額が投入された場合(硬貨投入口18Aに硬貨が投入された場合)に払出手段48によって払い出されることによってRAM202に蓄積されているメダルMは、ゲーム装置10の外部に払い出し不可とされている。すなわち、ゲーム装置10に所定金額が投入された場合には、メダルMの払い出しはゲーム装置10の内部のみ可能とされ、フィールドF上への払い出し以外にはメダルMを利用することができないように構成されている。
【0081】
<処理の流れ>
図8は、ゲーム装置10におけるゲーム実行時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、例えばゲーム装置10の電源がオフにされるまで繰り返し行われる。なお、以下の処理の順番又は内容は、適宜、変更することができる。
【0082】
(ステップSP10)
進行手段44は、プレイヤがメダル投入口18BにメダルMを投入したか否かを判定する。具体的には、進行手段44は、メダル投入口18Bに投入されたメダルMを検出手段42が検出したか否かを判定する。当該判定を肯定判定した場合には、処理は、ステップSP12の処理に移行し、当該判定を否定判定した場合には、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
【0083】
(ステップSP12)
払出手段48は、ゲーム装置10の内部に、ステップSP10の処理で投入された数のメダルMを払い出す。具体的には、払出手段48は、フィールド払出口30からフィールドF上にメダルMを払い出す。これにより、フィールドF上に払い出されたメダルMや予めフィールドF上に載置されたメダルMは、フィールドF上を往復動するプッシャー20によって押されることによりフィールドF上をスライド移動可能となる。また、払出手段48は、RAM202にメダルMを蓄積し、蓄積したメダルMを、プレイヤの操作等に応じて一又は複数ずつフィールドF上に払い出してもよい。なお、この場合にRAM202に蓄積されているメダルMは、プレイヤの操作に応じてゲーム装置10の外部に払い出しが可能である。そして、処理は、ステップSP14の処理に移行する。
【0084】
(ステップSP14)
進行手段44は、プッシャー20により押し出されたメダルMが、入賞口36を通過したか否かを判定する。具体的には、進行手段44は、入賞口36を通過したメダルMを検出手段42が検出したか否かを判定する。当該判定を肯定判定した場合には、処理は、ステップSP16の処理に移行し、当該判定を否定判定した場合には、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
【0085】
(ステップSP16)
進行手段44は、抽選イベントを実行する。具体的には、進行手段44は、スロット抽選又はクルーン抽選を実行する。そして、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
【0086】
(ステップSP18)
進行手段44は、ステップSP16の処理において実行した抽選の結果が当選であるか落選であるかを判定する。当該判定を肯定判定した場合には、処理は、ステップSP20の処理に移行し、当該判定を否定判定した場合には、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
【0087】
(ステップSP20)
進行手段44は、ステップSP16の処理で実行した抽選の結果としての当選の種類を判定する。続いて、払出手段48は、この判定結果に基づき、当選の種類に応じた数のメダルM又はボールBを、フィールド払出口30からフィールドF上に払い出す。そして、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
【0088】
(ステップSP22)
進行手段44は、プレイヤが硬貨投入口18Aに硬貨を投入したか否かを判定する。具体的には、進行手段44は、硬貨投入口18Aに投入された硬貨を検出手段42が検出したか否かを判定する。当該判定を肯定判定した場合には、処理は、ステップSP24の処理に移行し、当該判定を否定判定した場合には、図8に示す一連の処理を終了する。
【0089】
(ステップSP24)
算出手段46は、内部払出数を算出する。具体的には、まず、算出手段46は、ステップSP22の処理で投入された硬貨が示す投入金額と、記憶手段40に記憶されたメダルMの単価40Bとに基づき、基準メダル数を算出する。続いて、算出手段46は、算出した基準メダル数と、記憶手段40に記憶された設定パラメータ40Aと、に基づき、上記数式(3)により、内部払出数を算出する。この際、算出手段46は、ゲームの進行状況に基づき内部払出数を算出してもよい。例えば、当日における抽選イベントの実行回数が10回以上である場合には設定パラメータをFPOとして、当該実行回数が10回未満である場合には設定パラメータをFPOの所定倍数として、内部払出数を算出してもよい。そして、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
【0090】
(ステップSP26)
払出手段48は、ゲーム装置10の内部に、ステップSP24の処理より算出された内部払出数のメダルMを払い出す。具体的には、払出手段48は、フィールド払出口30からフィールドF上に内部払出数のメダルMを払い出す。これにより、フィールドF上に払い出されたメダルMや予めフィールドF上に載置されたメダルMは、フィールドF上を往復動するプッシャー20によって押されることによりフィールドF上をスライド移動可能となる。また、払出手段48は、RAM202に内部払出数のメダルMを蓄積し、蓄積したメダルMを、プレイヤの操作等に応じて一又は複数ずつフィールドF上に払い出してもよい。この場合にRAM202に蓄積されているメダルMは、ゲーム装置10の外部に払い出しが不可とされている。そして、処理は、ステップSP28の処理に移行する。
【0091】
続くステップSP28~34の処理は、上記したステップSP14~ステップSP20の処理と同様であるため、説明を省略する。以上によって、図8に示す一連の処理が終了する。
【0092】
<作用効果>
以上、本実施形態に係るゲーム装置10は、メダルMを載置可能なフィールドFを備え、所定のFPOでプレイヤにメダルMを払い出すゲーム装置10であって、ゲーム装置10に対する投入金額と、FPOに基づく設定パラメータ40Aと、に基づき、ゲーム装置10の内部に払い出すメダルMの数を示す内部払出数を算出する算出手段46と、内部払出数のメダルMをゲーム装置10の内部に払い出す払出手段48と、を備える。
【0093】
本実施形態に係るゲーム装置10では、ゲームの進行に応じて、所定のFPOでプレイヤにメダルMが払い出される。このゲーム特性を利用して、ゲーム装置10では、ゲーム装置10への投入金額だけでなく所定のFPOを考慮して算出された内部払出数を、ゲーム装置10の内部に払い出す。このように所定のFPOを考慮して内部払出数を算出することによって、例えば、内部払出数のうちFPOの還元率でプレイヤに還元される手元払出数を基準メダル数(通常のメダル貸出機により払い出されるメダルMの数)と同程度以下にできる範囲で、内部払出数を基準メダル数よりも多くすることができる。これにより、ゲーム装置10の内部に払い出される見かけ上のメダルMの数を多くしてプレイヤには得に見せつつ、内部払出数のうちプレイヤの手元に払い出されるメダルMの数は基準メダル数と同程度以下としてメダルMの実質的な価値を下げないようにすることができる。以上より、通常のメダル貸出機でメダルを払い出す場合と比べて、ゲーム装置10の内部にメダルMを払い出すことの付加価値を高めることができる。
【0094】
また、本実施形態において、設定パラメータは、FPO又はFPOに対応付けられた設定値である。
【0095】
この構成によれば、設定パラメータをFPOとすることでFPOを直接的に考慮した内部払出数を算出したり、設定パラメータをFPOに対応付けられた設定値とすることでFPOを間接的に考慮した内部払出数を算出したりすることができる。
【0096】
また、本実施形態において、算出手段46は、メダルMの単価に基づき、投入金額に応じたメダルMの数を示す基準メダル数を算出し、基準メダル数と、設定パラメータと、に基づき、内部払出数を算出する。
【0097】
この構成によれば、基準メダル数と設定パラメータに基づき、例えば上記数式(3)によって内部払出数を算出することができ、上記効果を好適に奏する。
【0098】
また、本実施形態において、算出手段46は、内部払出数が基準メダル数よりも多く、且つ、内部払出数にFPOを乗じた手元払出数が基準メダル数以下となるように、内部払出数を算出する。
【0099】
この構成によれば、ゲーム装置10の内部に払い出される見かけ上のメダルMの数を基準メダル数よりも増やしてプレイヤには得に見せつつ、手元払出数を基準メダル数以下としてメダルMの実質的な価値を下げないようにすることができる。更に、手元払出数を基準メダル数よりも少なくする場合には、店舗側の利益を向上させることができる。
【0100】
また、本実施形態において、算出手段46は、FPOが小さいほど多い数の内部払出数を算出する。
【0101】
この構成によれば、FPOが小さいほど手元払出数は少なくなるので、その分多い数のメダルを内部に払い出すことによって、上記効果を好適に奏する。
【0102】
また、本実施形態において、算出手段46は、ゲームの進行状況に基づき、内部払出数を算出する。
【0103】
この構成によれば、例えば抽選に当選した場合には内部払出数を多くする等、ゲームの進行状況に応じて内部払出数を変化させることができるので、ゲーム趣向性を高めることができる。
【0104】
また、本実施形態において、払出手段48によるメダルMの払い出しは、ゲーム装置10の内部メモリであるRAM202にメダルMを蓄積することを含み、ゲーム装置10に所定金額が投入された場合に払出手段48によって払い出されることによってRAM202に蓄積されているメダルMは、ゲーム装置10の外部に払い出し不可とされている。
【0105】
この構成によれば、所定金額が投入された場合にRAM202に蓄積されたメダル(基準メダル数よりも多いメダル)をそのまま外部に払い出し可能としてしまうと、通常のメダル貸出機によりメダルを払い出す場合よりも多くのメダルがプレイヤの手元に払い出されてしまうこととなり、不公平感が生じる。そこで、所定金額が投入された場合にRAM202に蓄積された内部払出数のメダルMは外部に払い出し不可とすることで、この不公平感を是正することができる。
【0106】
<変形例>
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記の実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0107】
算出手段46は、上記数式(3)により算出された値に限らず、投入金額と設定パラメータとに基づく種々の算出方法で内部払出数を算出することができる。例えば、算出手段46は、上記数式(3)により算出された値に所定数(例えば、1~10)を加算又は減算した値を内部払出数として算出してもよい。具体的に、設定パラメータ40AがFPOであり且つFPOが「0.5」の場合において、上記数式(3)により算出される内部払出数は「40」であるが(表300B参照)、この値に所定数として「10」を加算した「50」を内部払出数としてもよい。この場合、上記数式(4)によって算出される手元払出数(以下、「理論上の手元払出数」と称する。)は「25」となり、基準メダル数よりも多少多くなる。ここで、上記した通りFPOはあくまでも長期的に見た場合に収束する統計的確率であるため、現実の手元払出数は理論上の手元払出数と必ずしも同じにならない。このことを考慮すると、理論上の手元払出数が基準メダル数に対して増減していても、多少の範囲であれば、現実の手元払出数は基準メダル数と同程度になるものとみなし、メダルMの実質的な価値を下げずに済むものとしてもよい。よって、算出手段46は、必ずしも理論上の手元払出数(内部払出数にFPOを乗じた数)が基準メダル数以下となるように内部払出数を算出しなくてもよい。
【0108】
また、設定パラメータ40Aとしては上記したものに限らず、例えばFPOに所定数を乗じたり所定数を加算又は減算したりした値を設定パラメータ40Aとしてもよい。また、設定パラメータ40Aを、PO又はPOに対応付けられた値等、POに基づく設定パラメータとしてもよい。FPOではなくPOに基づく設定パラメータを用いることにより、フィールドFからのメダルMの落ちやすさではなく、抽選を含めたメダルMの支出を考慮した内部払出数を算出することができる。すなわち、抽選で当選したことによるメダルMの払い出し数を踏まえても、プレイヤの手元に払い出されるメダルMの数が基準メダル数と同程度以下となるように(店舗側の利益を損ねないように)、内部払出数を算出してもよい。より具体的に、設定パラメータがPOであり且つPOが「0.8」である場合には、上記数式(3)により内部払出数は「25」と算出することができる。
【0109】
また、上記数式による算出方法に限らず、上記数式とは異なる数式によって内部払出数を算出してもよい。また、例えば人口知能等を用いて、投入金額及び設定パラメータ40Aに基づき、手元に払い出されるメダルMの数が基準メダル数と同程度以下の範囲で内部払出数が基準メダル数より多くなるような内部払出数を解析又は算出してもよい。
【0110】
また、ゲーム装置10は、算出手段46によって算出された内部払出数を表示パネル24に表示させる表示制御手段を備えてもよい。この際、表示制御手段は、基準メダル数とともに内部払出数を表示することによって、プレイヤが内部払出数と基準メダル数とを視覚的に対比可能となるようにしてもよい。これにより、プレイヤは、基準メダル数よりも多くの内部払出数のメダルMがフィールドFに払い出されていることを実感することができる。
【0111】
また、払出手段48は、メダルMをゲーム装置10の内部に払い出す場合に、フィールドF上に限らず、プッシャー20上に払い出してもよい。払出手段48による払出位置は、プレイヤの操作に応じて調整可能であってもよく、プレイヤの操作に応じて払出位置を調整する場合に、当該払出位置を調整しない場合よりも算出手段46により算出される内部払出数を小さくしてもよい。すなわち、ゲーム装置10の内部に払い出す内部払出数を少なくする代わりに、メダルMの払出位置を調整することが可能であってもよい。
【0112】
また、払出手段48は、所定金額がゲーム装置10に投入された場合に、ゲーム装置10の内部に内部払出数のメダルMを払い出すか、ゲーム装置10の外部に(プレイヤの手元に)所定金額に応じたメダルMを払い出すかを、プレイヤの操作等に応じて選択可能であってもよい。この場合、ゲーム装置10の外部に払い出すか内部に払い出すかによって、払い出すメダルMの枚数を選択的に変えることができる。例えば、ゲーム装置10の外部にメダルMを払い出す場合のメダルMの枚数は20枚であるが、ゲーム装置10の内部にメダルMを払い出す場合のメダルMの枚数は40枚とするなど、外部にメダルMを払い出す枚数より内部に払い出すメダルMのほうが多くなるように内部払出枚数または外部払出枚数を設定するようにすることで、プレイヤに遊べる選択肢を増やすことができる。このように、プレイヤは、ゲーム装置10の外部への払い出しを選択することでゲーム装置10を通常のメダル貸出機のように使用することができる一方で、ゲーム装置10の内部への払い出しを選択することで見かけ上多くのメダルMでゲームを楽しむことができる。
【0113】
また、硬貨等の現金に限らず、電子マネーによる所定金額の金銭がゲーム装置10に投入されたことに応じて、内部払出数を算出し、算出した内部払出数のメダルMをゲーム装置10の内部に払い出してもよい。この場合に、現金による場合よりも内部払出数を多くしてもよい。また、フィールドF上には、ボールBが載置されていなくてもよく、ボールBが払い出されなくてもよい。また、本発明に係るゲーム装置は、上記実施形態に係るゲーム装置10に限らず、遊技媒体を載置可能なゲームフィールドを備え、所定の払出率でプレイヤに遊技媒体を払い出すものであればよく、ゲーム装置が実行するゲームもプッシャーゲームに限定されない。また、実機としてのゲーム装置10で実行される場合に限らず、例えばプレイヤが有するスマートフォンやパソコン等の端末装置を用いてオンライン上で実行されるゲームであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
10:ゲーム装置(コンピュータ)、46:算出手段、48:払出手段、F:ゲームフィールド(フィールド)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8