(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158949
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステムの管理支援装置及び管理支援プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/38 20180101AFI20231024BHJP
F25B 49/00 20060101ALI20231024BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20231024BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20231024BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20231024BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20231024BHJP
【FI】
F24F11/38
F25B49/00 Z
F24F11/49
F24F11/52
F24F11/88
F24F11/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069029
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】391040788
【氏名又は名称】三菱電機システムサービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 高平
(72)【発明者】
【氏名】末永 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】亀本 明
(72)【発明者】
【氏名】関野 知
(72)【発明者】
【氏名】小畑 智昭
(72)【発明者】
【氏名】増井 宏彰
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA32
3L260BA61
3L260CB90
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプシステムの管理者が、ユニットに故障が発生するに先立って、当該ユニットに故障の兆候が見られることを把握可能とし、且つ、系統に故障が発生するに先立って、当該系統に故障の兆候が見られることを把握可能とする。
【解決手段】ヒートポンプシステム12はユニット群14を含んで構成され、複数のユニット14aを含む系統16が定義される。状態データ取得部48は、ユニットセンサ18の検出値をユニット状態データとして取得し、系統センサ20の検出値を系統状態データとして取得する。プレアラーム出力部54は、ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たす場合に当該ユニット14aに故障が発生するに先立ってプレアラームを出力し、又は、系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たす場合に当該系統16に故障が発生するに先立ってプレアラームを出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を加熱又は冷却して循環させるユニット群を含んで構成され、複数のユニットを含む系統が定義されたヒートポンプシステムから、各ユニットの稼働状態を示すユニット状態データ、及び、前記系統の稼働状態を示す系統状態データを取得する状態データ取得部と、
前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たすか否か、及び、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たすか否かを判定する稼働状態判定部と、
前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該ユニットに故障が発生するに先立ってプレアラームを出力し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該系統に故障が発生するに先立ってプレアラームを出力するプレアラーム出力部と、
を備えることを特徴とするヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項2】
前記ユニット用プレアラーム条件と前記系統用プレアラーム条件は、互いに異なる条件である、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項3】
前記ヒートポンプシステムが設置された施設のレイアウト図をディスプレイに表示させ、前記ユニットの設置位置に応じた前記レイアウト図上の位置に当該ユニットを示すユニットアイコンを表示させる表示制御部、
をさらに備え、
前記プレアラーム出力部は、稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件を満たす前記ユニットに対応する前記ユニットアイコンを強調表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項4】
前記ヒートポンプシステムが設置された施設のレイアウト図をディスプレイに表示させ、前記系統に含まれる複数の前記ユニットの設置位置に応じた前記レイアウト図上の位置に当該系統を示す系統アイコンを表示させる表示制御部、
をさらに備え、
前記プレアラーム出力部は、稼働状態が前記系統用プレアラーム条件を満たす前記系統に対応する前記系統アイコンを強調表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項5】
前記ユニット用プレアラーム条件は、優先順位が付された複数の条件を含み、
前記プレアラーム出力部は、前記ユニット状態データが示す稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件の複数の条件を満たした場合に、当該稼働状態が満たした複数の条件の前記優先順位を示す態様でプレアラームを出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項6】
前記系統用プレアラーム条件は、優先順位が付された複数の条件を含み、
前記プレアラーム出力部は、前記系統状態データが示す稼働状態が前記系統用プレアラーム条件の複数の条件を満たした場合に、当該稼働状態が満たした複数の条件の前記優先順位を示す態様でプレアラームを出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項7】
前記プレアラーム出力部は、前記ユニット状態データが示す稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該ユニットについて確認すべき内容を示す情報を出力し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が前記系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該系統について確認すべき内容を示す情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項8】
前記ユニット用プレアラーム条件又は前記系統用プレアラーム条件の少なくとも一方を設定するプレアラーム条件設定部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項9】
前記プレアラーム条件設定部は、正常動作時における前記ユニットの稼働状態に基づいて前記ユニット用プレアラーム条件を設定し、又は、正常動作時における前記系統の稼働状態に基づいて前記系統用プレアラーム条件を設定する、
ことを特徴とする請求項8に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項10】
前記ユニット状態データが示す稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該稼働状態に基づいて当該ユニットの動作条件を変更し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が前記系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該稼働状態に基づいて当該系統の動作条件を変更する動作条件変更部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプシステムの管理支援装置。
【請求項11】
コンピュータを、
熱媒体を加熱又は冷却して循環させるユニット群を含んで構成され、複数のユニットを系統が定義されたヒートポンプシステムから、各ユニットの稼働状態を示すユニット状態データ、及び、前記系統の稼働状態を示す系統状態データを取得する状態データ取得部と、
前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たすか否か、及び、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たすか否かを判定する稼働状態判定部と、
前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該ユニットに故障が発生するに先立ってプレアラームを出力し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該系統に故障が発生するに先立ってプレアラームを出力するプレアラーム出力部と、
として機能させることを特徴とするヒートポンプシステムの管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステムの管理支援装置及び管理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ又はこれに類似する装置の運転データに基づいて、当該ヒートポンプなどに故障が発生するに先立って予め通知を行うことが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、空調機の監視システムであって、空調機の運転データに基づいて、冷媒不足、フィルタの汚れ、その他の空調機の異常の兆候を判別して予備信号を出力する空調機の監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱媒体を加熱又は冷却して循環させるユニット群を含んで構成されるヒートポンプシステムであって、複数のユニットを含む系統が定義されたヒートポンプシステムを考える。系統とは、制御の単位となるユニットのグループを意味する。
【0006】
このようなヒートポンプシステムにおいても、各ユニットの稼働状態を示すデータに基づいて、当該ユニットに故障の兆候が見られた場合に、当該ユニットに故障が発生するに先立って、ヒートポンプシステムの管理者などに通知を行うことが有用である。これにより、各ユニットの故障を未然に防ぐなどすることができる。
【0007】
それと共に、このようなヒートポンプシステムにおいては、系統に故障の兆候が見られる場合に、当該系統に故障が発生するに先立って通知を行うことができるのが望ましい。なぜならば、系統としての稼働状態が正常状態ではなく故障の兆候を見せていたとしても、各ユニットとしては故障の兆候が見られない場合もあるし、系統に含まれるユニットに故障の兆候が見られても、それは必ずしも当該系統の故障の兆候とならない場合があるからである。
【0008】
なお、本明細書における故障とは、ユニット又は系統が期待される性能を発揮できなくなることを意味する。それには、ユニット又は系統が稼働を停止してしまうことが含まれる。
【0009】
本発明の目的は、ヒートポンプシステムの管理者などが、ユニットに故障が発生するに先立って、当該ユニットに故障の兆候が見られることを把握可能とし、且つ、系統に故障が発生するに先立って、当該系統に故障の兆候が見られることを把握可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、熱媒体を加熱又は冷却して循環させるユニット群を含んで構成され、複数のユニットを含む系統が定義されたヒートポンプシステムから、各ユニットの稼働状態を示すユニット状態データ、及び、前記系統の稼働状態を示す系統状態データを取得する状態データ取得部と、前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たすか否か、及び、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たすか否かを判定する稼働状態判定部と、前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該ユニットに故障が発生するに先立ってプレアラームを出力し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該系統に故障が発生するに先立ってプレアラームを出力するプレアラーム出力部と、を備えることを特徴とするヒートポンプシステムの管理支援装置である。
【0011】
望ましくは、前記ユニット用プレアラーム条件と前記系統用プレアラーム条件は、互いに異なる条件である、ことを特徴とする。
【0012】
望ましくは、前記ヒートポンプシステムが設置された施設のレイアウト図をディスプレイに表示させ、前記ユニットの設置位置に応じた前記レイアウト図上の位置に当該ユニットを示すユニットアイコンを表示させる表示制御部、をさらに備え、前記プレアラーム出力部は、稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件を満たす前記ユニットに対応する前記ユニットアイコンを強調表示させる、ことを特徴とする。
【0013】
望ましくは、前記ヒートポンプシステムが設置された施設のレイアウト図をディスプレイに表示させ、前記系統に含まれる複数の前記ユニットの設置位置に応じた前記レイアウト図上の位置に当該系統を示す系統アイコンを表示させる表示制御部、をさらに備え、前記プレアラーム出力部は、稼働状態が前記系統用プレアラーム条件を満たす前記系統に対応する前記系統アイコンを強調表示させる、ことを特徴とする。
【0014】
望ましくは、前記ユニット用プレアラーム条件は、優先順位が付された複数の条件を含み、前記プレアラーム出力部は、前記ユニット状態データが示す稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件の複数の条件を満たした場合に、当該稼働状態が満たした複数の条件の前記優先順位を示す態様でプレアラームを出力する、ことを特徴とする。
【0015】
望ましくは、前記系統用プレアラーム条件は、優先順位が付された複数の条件を含み、前記プレアラーム出力部は、前記系統状態データが示す稼働状態が前記系統用プレアラーム条件の複数の条件を満たした場合に、当該稼働状態が満たした複数の条件の前記優先順位を示す態様でプレアラームを出力する、ことを特徴とする。
【0016】
望ましくは、前記プレアラーム出力部は、前記ユニット状態データが示す稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該ユニットについて確認すべき内容を示す情報を出力し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が前記系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該系統について確認すべき内容を示す情報を出力する、ことを特徴とする。
【0017】
望ましくは、前記ユニット用プレアラーム条件又は前記系統用プレアラーム条件の少なくとも一方を設定するプレアラーム条件設定部、をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
望ましくは、前記プレアラーム条件設定部は、正常動作時における前記ユニットの稼働状態に基づいて前記ユニット用プレアラーム条件を設定し、又は、正常動作時における前記系統の稼働状態に基づいて前記系統用プレアラーム条件を設定する、ことを特徴とする。
【0019】
望ましくは、前記ユニット状態データが示す稼働状態が前記ユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該稼働状態に基づいて当該ユニットの動作条件を変更し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が前記系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該稼働状態に基づいて当該系統の動作条件を変更する動作条件変更部、をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、コンピュータを、熱媒体を加熱又は冷却して循環させるユニット群を含んで構成され、複数のユニットを系統が定義されたヒートポンプシステムから、各ユニットの稼働状態を示すユニット状態データ、及び、前記系統の稼働状態を示す系統状態データを取得する状態データ取得部と、前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たすか否か、及び、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たすか否かを判定する稼働状態判定部と、前記ユニット状態データが示す稼働状態がユニット用プレアラーム条件を満たす場合に、当該ユニットに故障が発生するに先立ってプレアラームを出力し、又は、前記系統状態データが示す稼働状態が系統用プレアラーム条件を満たす場合に、当該系統に故障が発生するに先立ってプレアラームを出力するプレアラーム出力部と、として機能させることを特徴とするヒートポンプシステムの管理支援プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ヒートポンプシステムの管理者などは、ユニットに故障が発生するに先立って、当該ユニットに故障の兆候が見られることを把握することができ、且つ、系統に故障が発生するに先立って、当該系統に故障の兆候が見られることを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係るヒートポンプシステムの構成概略図である。
【
図2】本実施形態に係る管理支援装置の構成概略図である。
【
図4】ユニットダイアログの表示例を示す図である。
【
図6】プレアラームが示されたレイアウト図の表示例を示す図である。
【
図7】プレアラームが示されたユニットダイアログの表示例を示す図である。
【
図8】プレアラームが示された系統ダイアログの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本実施形態に係るヒートポンプ管理支援システム10の構成概略図である。ヒートポンプ管理支援システム10は、ヒートポンプシステム12を含んで構成される。ヒートポンプシステム12は、ユニット群14を含んで構成される。ユニット群14に含まれる各ユニット14aは、例えば、減圧器、圧縮機、及び熱交換器などを含んで構成され、熱媒体を加熱又は冷却して循環させる装置である。具体的には、ユニット14aは、対象物に向けて熱媒体を送り出し、対象物から戻って来た熱媒体を加熱又は冷却して再度対象物へ向けて送り出す。これにより、対象物と熱媒体との間で熱交換を行わせ、対象物の温度を一定に維持する機能を発揮する。なお、本実施形態では、ユニット群14に含まれる各ユニット14aは同じ型番の装置であるが、必ずしもそうである必要はない。
【0024】
本実施形態では、ヒートポンプシステム12は空調システムであり、上記の対象物は、冷暖房用室内機の熱交換器である。ただし、ヒートポンプシステム12は空調システムには限られず、対象物も熱交換器に限られるものではない。また、本実施形態では、熱媒体として水が用いられるが、熱媒体は水以外の流体であってもよい。
【0025】
ヒートポンプシステム12において、複数のユニット14aを含む系統16が定義される。系統16とは、後述のコントローラ22による制御の単位となるグループである。例えば、ヒートポンプシステム12が、複数の棟を有するショッピングセンターに設けられた場合、1つの棟に設けられた複数のユニット14aが1つの系統16として定義される。
図1に示すように、ヒートポンプシステム12には複数の系統16が定義されてよい。系統16は1つだけであってもよい。系統16の定義(どの系統16にどのユニット14aが含まれるか)は、ヒートポンプシステム12の管理者など(以下、単に「管理者など」と記載する)によって予め設定される。
【0026】
各ユニット14aには、当該ユニット14aの稼働状態を示すデータ(本明細書では「ユニット状態データ」と呼ぶ)を取得するための複数のユニットセンサ18が設けられる。ユニットセンサ18としては、例えば、ユニット14aに戻って来た熱媒体としての水(以下、単に「水」と記載する)の温度である入口水温を計測するセンサ、ユニット14aから送り出される水の温度である出口水温を計測するセンサ、ユニット14aから送り出される水の流量を計測するセンサ、ユニット14aが水の熱交換のために吸い込む空気の温度である吸込温度を計測するセンサ、ユニット14aの冷却又は加熱能力を示す運転容量を計測するセンサ、ユニット14aの高圧圧力を計測するセンサ、あるいは、ユニット14aの低圧圧力を計測するセンサなどが含まれる。なお、ユニットセンサ18はこれらに限られるものではない。
【0027】
また、ヒートポンプシステム12には、各系統16の稼働状態を示すデータ(本明細書では「系統状態データ」と呼ぶ)を取得するための複数の系統センサ20が設けられる。系統センサ20としては、例えば、系統16に戻って来た熱媒体としての水の温度である入口水温を計測するセンサ、系統16から送り出される水の温度である出口水温を計測するセンサ、あるいは、系統内の負荷を計測するセンサなどが含まれる。なお、系統センサ20はこれらに限られるものではない。
【0028】
さらに、ヒートポンプシステム12は、各ユニット14aを制御するコントローラ22を含んで構成される。コントローラ22は、LAN(Local Area Network)などの通信回線を介して、各ユニット14a、各ユニットセンサ18、及び各系統センサ20と通信可能に接続されている。コントローラ22は、管理者などによって設定された設定内容、ユニットセンサ18の検出値、又は、系統センサ20の検出値などに基づいて、各ユニット14aを制御する。
【0029】
上述のように、ヒートポンプシステム12においては、系統16が定義されているから、コントローラ22は系統16単位で各ユニット14aの制御を行う。系統16単位で各ユニット14aを制御するとは、系統16として所望の機能を発揮するように当該系統16に含まれる複数のユニット14aを制御することを意味する。例えば、系統16として出口水温を所定の温度に制御したい場合、コントローラ22は、系統16の出口水温が所定の温度になるように当該系統16に含まれる複数のユニット14aを制御する。その場合、当該複数のユニット14aの中には稼働しないユニット14aがあってもよい。また、稼働させるユニット14aをローテーションさせるようにしてもよい。
【0030】
ヒートポンプ管理支援システム10は、ヒートポンプシステム12の管理支援装置30を含んで構成される。管理支援装置30は、通信回線を介して、各ユニットセンサ18、各系統センサ20、及びコントローラ22と通信可能に接続されている。なお、管理支援装置30はヒートポンプシステム12に組み込まれていてもよい。例えば、コントローラ22が管理支援装置30としての機能を有していてもよい。以下、管理支援装置30の詳細を説明する。
【0031】
図2は、管理支援装置30の構成概略図である。管理支援装置30は、例えばヒートポンプシステム12が設置された施設の管理室などに設けられるコンピュータなどから構成される。しかしながら、管理支援装置30としては、以下に説明する機能を発揮可能な限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0032】
詳しくは後述するが、管理支援装置30は、ユニット14aの稼働状態に基づいて、当該ユニット14aに故障が発生するに先立って、管理者などに対して通知を行う。また、管理支援装置30は、系統16の稼働状態に基づいて、当該系統16に故障が発生するに先立って、管理者などに対して通知を行う。このように、ユニット14a又は系統16に故障が発生するに先立って行う通知を、本明細書ではプレアラームと呼ぶ。
【0033】
通信インターフェース32は、例えばNIC(Network Interface Card)を含んで構成される。通信インターフェース32は、通信回線を介して、各ユニットセンサ18、各系統センサ20、及びコントローラ22と通信可能に接続される。
【0034】
入力インターフェース34は、例えば、マウス、キーボード、又はタッチパネルを含んで構成される。入力インターフェース34は、管理者などからの指示を管理支援装置30に入力するために用いられる。
【0035】
ディスプレイ36は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネルを含んで構成される。ディスプレイ36には、後述のプロセッサ46(特に表示制御部50)からの指示に応じて種々の画面が表示される。
【0036】
メモリ38は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)、ROM(Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成される。メモリ38には、管理支援装置30の各部を動作させるための管理支援プログラムが記憶される。なお、管理支援プログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納することもできる。管理支援装置30は、そのような記憶媒体から管理支援プログラムを読み取って実行することができる。また、
図2に示す通り、メモリ38には、システム情報40、ユニット用プレアラーム条件42、及び、系統用プレアラーム条件44が記憶される。
【0037】
システム情報40は、管理支援装置30が対象とするヒートポンプシステム12に関する情報である。例えば、システム情報40には、ヒートポンプシステム12が設置された施設のレイアウトを示すレイアウト情報、及び、ヒートポンプシステム12に含まれる各ユニット14aに関するユニット情報が含まれる。ユニット情報は、例えば、ユニット14aを識別するユニットID、当該ユニット14aの設置位置、当該ユニット14aが所属する系統16を識別する系統IDなどが互いに関連付けられたものである。ユニット群14に複数種類のユニット14aが含まれている場合には、ユニット情報として、当該ユニット14aの型番が含まれているとよい。
【0038】
ユニット用プレアラーム条件42は、ユニット14aの稼働状態にて規定された、プレアラームを出力するための条件である。ユニット用プレアラーム条件42は、管理者などによって予め定められてもよいが、後述のプレアラーム条件設定部56によって設定(変更)することも可能である。
【0039】
ユニット用プレアラーム条件42としては複数の条件を含んでいてよい。例えば、ユニット用プレアラーム条件42は、以下のような各条件であってよい。
(1)水流量下限
ユニット14aの運転容量が設定値A1(%)以上、且つ、水流量が設定値B1(m3/h)以下の状態が設定値C1(分)以上継続
(2)供給水温下限
冷房時のユニット14aの運転容量が設定値A2(%)以上、且つ、出口水温が冷房時設定水温より設定値B2(℃)以上低い
(3)高圧上昇1
冷房時のユニット14aの運転容量が設定値A3(%)以上、且つ、高圧圧力が設定値B3(MPa)以上の状態が設定値C3(分)以上継続
(4)高圧上昇2
暖房時のユニット14aの運転容量が設定値A4(%)以上、且つ、高圧圧力が設定値B4(MPa)以上の状態が設定値C4(分)以上継続
(5)低圧低下1
冷房時のユニット14aの運転容量が設定値A5(%)以上、且つ、低圧圧力が設定値B5(MPa)以下の状態が設定値C5(分)以上継続
(6)低圧低下2
暖房時のユニット14aの運転容量が設定値A6(%)以上、且つ、低圧圧力が設定値B6(MPa)以下の状態が設定値C6(分)以上継続
(7)冷房時吸込み温度
冷房時のユニット14aの運転容量が設定値A7(%)以上、且つ、外気温度(吸込温度)が設定値B7(℃)以上の状態が設定値C7(分)以上継続
(8)暖房時吸込み温度
暖房時のユニット14aの運転容量が設定値A8(%)以上、且つ、外気温度(吸込温度)が設定値B8(℃)以下の状態が設定値C8(分)以上継続
(9)起動回数大
圧縮機の起動回数が設定値A9(時間)内に設定値B9(回)以上
(10)除霜回数過多
暖房時、設定値A10(時間)内に設定値B10(回)以上除霜運転した
(11)メンテナンス時期予告
圧縮機の積算運転時間が設定値A11(時間)以上
【0040】
ユニット用プレアラーム条件42は、ユニット14aに故障が発生するに先立ったプレアラームを行うための条件であるため、ユニット用プレアラーム条件42として規定された上記の各条件は、ユニット14aに故障が発生したとは言えない稼働状態であることに留意されたい。換言すれば、ユニット用プレアラーム条件42で規定されているユニット14aの稼働状態は、正常動作と言える範囲内の稼働状態である。
【0041】
ユニット用プレアラーム条件42に含まれる複数の条件には、管理者などによって、優先順位が付されているとよい。例えば、上記(1)~(11)の各条件において、(1)>(2)>(3)=(4)>(5)=(6)>(7)>(8)>(9)>(10)>(11)の順番に優先順位が付されている。すなわち、(1)水流量下限の条件が最も優先順位が高く、(11)メンテナンス時期予告の条件が最も優先順位が低くなっている。各条件の優先順位は、当該条件を満たした場合における当該ユニット14aに故障が生じる可能性の大きさ、あるいは、上位の条件を満たしたときの修理によって下位の条件が自動的に解消され得るなどの観点に基づいて決定される。
【0042】
系統用プレアラーム条件44は、系統16の稼働状態にて規定された、プレアラームを出力するための条件である。系統用プレアラーム条件44も、管理者などによって予め定められてもよいが、後述のプレアラーム条件設定部56によって設定(変更)することも可能である。
【0043】
系統用プレアラーム条件44としても複数の条件を含んでいていよい。例えば、系統用プレアラーム条件44は、以下のような各条件であってよい。
(21)供給水温上限
冷房時且つ群発停オン時において、出口水温の代表値(例えば平均値)が設定値A21(℃)以上の状態が設定値B21(分)以上継続
なお、群発停オンとは、当該系統16に含まれる複数のユニット14aが制御されている状態を意味する。
(22)供給水温下限
暖房時且つ群発停オン時において、出口水温の代表値が設定値A22(℃)以下の状態が設定値B22(分)以上継続
(23)高負荷
群発停オン時において、系統16の運転容量が設定値A23(%)以上の状態が設定値B23(分)以上継続
(24)低負荷
群発停オン時において、系統16の運転容量が設定値A24(%)以下の状態が設定値B24(分)以上継続
(25)温水過熱
暖房時且つ群発停オン時において、系統16の運転容量が0(%)、出口水温の代表値が設定値A25(℃)以上の状態が設定値B25(分)以上経過した時
(26)運転積算偏り
系統16内の各ユニット14aについての圧縮機の平均積算運転時間の最大時間と最小時間との差分が設定値A26(時間)を超える
【0044】
系統用プレアラーム条件44は、系統16に故障が発生するに先立ったプレアラームを行うための条件であるため、系統用プレアラーム条件44として規定された上記の各条件は、系統16に故障が発生したとは言えない稼働状態であることに留意されたい。換言すれば、系統用プレアラーム条件44で規定されている系統16の稼働状態は、正常動作と言える範囲内の稼働状態である。
【0045】
系統用プレアラーム条件44に含まれる複数の条件にも、管理者などによって、優先順位が付されているとよい。例えば、上記(21)~(26)の各条件において、(21)>(22)>(23)>(24)>(25)>(26)の順番に優先順位が付されている。すなわち、(22)供給水温下限の条件が最も優先順位が高く、(26)運転積算偏りの条件が最も優先順位が低くなっている。各条件の優先順位は、当該条件を満たした場合における当該系統16に故障が生じる可能性の大きさ、あるいは、上位の条件を満たしたときの修理によって下位の条件が自動的に解消され得るなどの観点に基づいて決定される。
【0046】
ユニット用プレアラーム条件42と系統用プレアラーム条件44は、互いに異なる条件となっている。すなわち、各ユニット14aについてのプレアラームと、各系統16についてのプレアラームは、互いに異なる条件で出力されることになる。これにより、例えばヒートポンプシステム12の利用環境などに応じて、ユニット用プレアラーム条件42を各ユニット14aに適した条件としつつ、系統用プレアラーム条件44を各系統に16に適した条件とすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、各ユニット14aについてのユニット用プレアラーム条件42は同一となっているが、複数のユニット14aについてのユニット用プレアラーム条件42が互いに異なる条件であってもよい。その場合は、ユニットIDとユニット用プレアラーム条件42とが関連付けられてメモリ38に記憶される。また、本実施形態では、各系統16についての系統用プレアラーム条件44は同一となっているが、複数の系統16についての系統用プレアラーム条件44が互いに異なる条件であってもよい。その場合は、系統IDと系統用プレアラーム条件44とが関連付けられてメモリ38に記憶される。
【0048】
プロセッサ46は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ46としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
図2に示すように、プロセッサ46は、メモリ38に記憶された管理支援プログラムに従って、状態データ取得部48、表示制御部50、稼働状態判定部52、プレアラーム出力部54、プレアラーム条件設定部56、及び、動作条件変更部58としての機能を発揮する。
【0049】
状態データ取得部48は、ヒートポンプシステム12から、ユニット状態データ及び系統状態データを取得する。
【0050】
詳しくは、状態データ取得部48は、ユニット14aに設けられた複数のユニットセンサ18の検出値を、当該ユニット14aのユニット状態データとして取得する。具体的には、各ユニットセンサ18は、定期的に、当該ユニットセンサ18が取り付けられたユニット14aのユニットID、当該ユニットセンサ18の検出項目、及び、当該ユニットセンサ18の検出値を管理支援装置30に送信する。これにより、状態データ取得部48は、ユニットセンサ18から受信したユニットIDが示すユニット14aについてのユニット状態データ(当該ユニットセンサ18の検出値)を取得することができる。また、状態データ取得部48は、各ユニットセンサ18にデータ送信依頼を送信することで、各ユニットセンサ18にユニットIDと検出値を送信させるようにしてもよい。
【0051】
また、状態データ取得部48は、系統センサ20の検出値を系統状態データとして取得する。具体的には、各系統センサ20は、定期的に、当該系統センサ20が取り付けられた系統16の系統ID、当該系統センサ20の検出項目、及び、当該系統センサ20の検出値を管理支援装置30に送信する。これにより、状態データ取得部48は、系統センサ20から受信した系統IDが示す系統16についての系統状態データ(当該系統センサ20の検出値)を取得することができる。また、状態データ取得部48は、各系統センサ20にデータ送信依頼を送信することで、各系統センサ20に系統IDと検出値を送信させるようにしてもよい。
【0052】
さらに、状態データ取得部48は、コントローラ22から、各ユニット14a及び各系統16についての制御状態を示す情報を取得する。ユニット14aについての制御状態とは、例えば、運転制御状態(例えば運転制御中/稼働停止中)、運転モード(例えば冷房/暖房)、あるいは、除霜モード(例えばオン/オフ)などである。系統16についての制御状態とは、運転制御状態(例えば運転制御中/稼働停止中)、運転モード(例えば冷房/暖房)、あるいは、冷房時設定水温、暖房時設定水温などである。
【0053】
表示制御部50は、ディスプレイ36に種々の画面を表示させる制御を行う。特に、表示制御部50は、ヒートポンプシステム12が設置された施設のレイアウト、及び、各ユニット14a及び系統16の配置位置を示すレイアウト図をディスプレイ36に表示させる。
【0054】
図3は、レイアウト
図60の表示例を示す図である。表示制御部50は、システム情報40に含まれるレイアウト情報に基づいて、ヒートポンプシステム12が設置された施設(
図3の例ではショッピングセンター)のレイアウト
図60をディスプレイ36に表示させる。さらに、表示制御部50は、システム情報40に含まれる各ユニット14aの設置位置を示す情報に基づいて、各ユニット14aの設置位置に応じたレイアウト
図60上の位置に当該ユニット14aを示すユニットアイコン62を表示させる。
【0055】
表示制御部50は、コントローラ22から得た各ユニット14aの制御状態に応じた態様で各ユニットアイコン62を表示させるとよい。例えば、正常稼働中のユニット14aに対応するユニットアイコン62を、稼働停止中であるユニット14aに対応するユニットアイコン62とは異なる態様で表示させるとよい。
図3の例では、正常稼働中のユニット14aに対応するユニットアイコン62は網掛けで示されており、稼働停止中のユニット14aに対応するユニットアイコン62は白抜きで示されている。
【0056】
また、表示制御部50は、システム情報40に含まれる、各ユニット14aが所属する系統16を示す情報に基づいて、系統16含まれる複数のユニット14aの設置位置に応じたレイアウト
図60上の位置に当該系統16を示す系統アイコン64を表示させる。
図3の例では、示された5つのユニットアイコン62に対応するユニット14aが、同一の系統16に所属しているため、当該5つのユニットアイコン62の近傍に当該系統に対応する系統アイコン64が表示されている。
図3では1つの系統16に対応する1つの系統アイコン64しか表示されていないが、複数の系統アイコン64が表示されてもよい。
【0057】
表示制御部50は、コントローラ22から得た各系統16の制御状態に応じた態様で各系統アイコン64を表示させるとよい。例えば、正常稼働中の系統16に対応する系統アイコン64を、稼働停止中である系統16に対応する系統アイコン64とは異なる態様で表示させるとよい。
【0058】
ディスプレイ36に表示されたユニットアイコン62が管理者などによって選択されると、表示制御部50は、
図4に示すような、選択されたユニットアイコン62に対応するユニット14aに関する情報が集約されたユニットダイアログ70をディスプレイ36に表示させる。
【0059】
ユニットダイアログ70には、当該ユニット14aに関するユニット状態データ及び制御状態が示されている。具体的には、管理者などによってユニットアイコン62が選択されると、表示制御部50は、コントローラ22から取得した当該ユニット14aについての制御状態(例えば稼働状態、運転モード、除霜など)を示す情報をユニットダイアログ70に表示させると共に、ユニット状態データ、すなわち、当該ユニット14aに設けられた各ユニットセンサ18からの検出値をユニットダイアログ70に表示させる。定期的にユニット状態データがユニットセンサ18から送信されてくる場合は、表示制御部50は、ユニットダイアログ70に表示されるユニット状態データを逐次更新するとよい。
【0060】
ユニットダイアログ70には、プレアラーム条件設定ボタン72が含まれていてもよい。プレアラーム条件設定ボタン72を操作することで、管理者などは、ユニット用プレアラーム条件42を設定することができる。プレアラーム条件設定ボタン72が操作された場合の処理については後述する。
【0061】
また、ディスプレイ36に表示された系統アイコン64(
図3参照)が管理者などによって選択されると、表示制御部50は、
図5に示すような、選択された系統アイコン64に対応する系統16に関する情報が集約された系統ダイアログ80をディスプレイ36に表示させる。
【0062】
系統ダイアログ80には、当該系統16に関する系統状態データ及び制御状態が示されている。具体的には、管理者などによって系統アイコン64が選択されると、表示制御部50は、コントローラ22から取得した当該系統16についての制御状態(例えば稼働状態、運転制御状態、運転モード、設定水温など)を示す情報を系統ダイアログ80に表示させると共に、系統状態データ、すなわち、当該系統16に設けられた各系統センサ20からの検出値を系統ダイアログ80に表示させる。定期的に系統状態データが系統センサ20から送信されてくる場合は、表示制御部50は、系統ダイアログ80に表示される系統状態データを逐次更新するとよい。
【0063】
系統ダイアログ80には、プレアラーム条件設定ボタン82が含まれていてもよい。プレアラーム条件設定ボタン82を操作することで、管理者などは、系統用プレアラーム条件44を設定することができる。プレアラーム条件設定ボタン82が操作された場合の処理については後述する。
【0064】
図2に戻り、稼働状態判定部52は、各ユニット14aに設けられた複数のユニットセンサ18から送信されてくる検出値(換言すればユニット状態データ)が示す、当該ユニット14aの稼働状態と、ユニット用プレアラーム条件42とを比較して、当該ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たすか否かを判定する。稼働状態判定部52は、定期的に取得される各ユニット14aの稼働状態に基づいて、当該判定を定期的に行うとよい。複数のユニット14aについてのユニット用プレアラーム条件42が互いに異なる条件となっている場合は、稼働状態判定部52は、ユニット14aの稼働状態と、当該ユニット14a用のユニット用プレアラーム条件42とを比較すればよい。
【0065】
上述のように、ユニット用プレアラーム条件42で規定されているユニット14aの稼働状態は、ユニット14aが正常動作していると言える稼働状態である。したがって、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たしていたとしても、当該ユニット14aが未だ正常動作している場合がある。
【0066】
また、稼働状態判定部52は、各系統16に設けられた複数の系統センサ20から送信されてくる検出値(換言すれば系統状態データ)が示す、当該系統16の稼働状態と、系統用プレアラーム条件44とを比較して、当該系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たすか否かを判定する。稼働状態判定部52は、定期的に取得される各系統16の稼働状態に基づいて、当該判定を定期的に行うとよい。複数の系統16についての系統用プレアラーム条件44が互いに異なる条件となっている場合は、稼働状態判定部52は、系統16の稼働状態と、当該系統16用の系統用プレアラーム条件44とを比較すればよい。
【0067】
上述のように、系統用プレアラーム条件44で規定されている系統16の稼働状態も、系統16が正常動作していると言える稼働状態である。したがって、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たしていたとしても、当該系統16が未だ正常動作している場合がある。
【0068】
プレアラーム出力部54は、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たすと稼働状態判定部52が判定した場合に、当該ユニット14aに故障が発生するに先立ってプレアラームを出力する。
【0069】
プレアラームの出力態様としては、種々の態様があってよい。例えば、プレアラーム出力部54は、
図6に示すように、レイアウト
図60において、ユニット用プレアラーム条件42を満たしたユニット14aに対応するユニットアイコン62を強調表示させることで、プレアラームを出力してもよい。具体的には、ユニット用プレアラーム条件42を満たしたユニット14aに対応するユニットアイコン62を、正常稼働中及び稼働停止中のユニット14aに対応するユニットアイコン62とは異なる態様で表示させるとよい。
図6の例では、ユニット用プレアラーム条件42を満たしたユニット14aに対応するユニットアイコン62が斜線のハッチングで示されているが、強調表示の態様はこれには限られない。なお、プレアラームは、ディスプレイ36への表示に代えて又は加えて、音声により出力されてもよい。
【0070】
これにより、管理者などは、少なくとも、ユニット用プレアラーム条件42を満たしたユニット14aが存在すること、及び、当該ユニット14aの設置位置を把握することができる。したがって、管理者などは、当該ユニット14aに故障が発生するに先立って、当該ユニット14aの故障を予防するための処置(例えばメンテナンスなど)を行うことができる。つまり、当該ユニット14aの故障が未然に防止され、当該ユニット14aの継続した稼働が可能となる。
【0071】
プレアラーム出力部54は、ユニット用プレアラーム条件42を満たしたユニット14aに対応するユニットアイコン62が管理者などによって選択されることで表示されるユニットダイアログ70において、より詳細なプレアラームを出力するとよい。
【0072】
具体的には、
図7に示すように、プレアラーム出力部54は、ユニットダイアログ70の稼働状態欄90において、複数の条件を含むユニット用プレアラーム条件42のうち、当該ユニット14aの稼働状態が満たした条件を表示させるとよい。
【0073】
ここで、ユニット14aの稼働状態が、ユニット用プレアラーム条件42に含まれる複数の条件を満たしてしまう場合が考えられる。その場合、プレアラーム出力部54は、ユニット14aの稼働状態が満たした複数の条件の優先順位を示す態様でプレアラームを出力するとよい。代表的には、プレアラーム出力部54は、ユニット14aの稼働状態が満たした複数の条件のうち、最も優先順位が高い条件のみを稼働状態欄90に表示させる。例えば、ユニット14aの稼働状態が、ユニット用プレアラーム条件42のうち(2)供給水温下限及び(9)起動回数大の2つの条件を満たした場合、(2)供給水温下限の方が(9)起動回数大よりも優先順位が高いため、プレアラーム出力部54は、稼働状態欄90に「供給水温下限」のみを表示する。又は、プレアラーム出力部54は、ユニット14aの稼働状態が満たした複数の条件を優先順位の順に並べて表示させるなどしてもよい。これにより、管理者などは、ユニット14aの稼働状態が満たした複数の条件のうち、優先して対応する必要がある条件を把握することができる。
【0074】
また、プレアラーム出力部54は、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たす場合に、当該ユニット14aについて確認すべき内容を示す情報を出力するとよい。例えば、
図7に示すように、プレアラーム出力部54は、ユニットダイアログ70において、当該ユニット14aの稼働状態が満たしたユニット用プレアラーム条件42に基づく、確認すべき内容を示すメッセージ92を表示させるとよい。これにより、ユニット14aのメンテナンスに不慣れな管理者などであっても、確認すべき内容を容易に把握することができる。
【0075】
具体的には、ユニット用プレアラーム条件42に含まれる各条件と、当該条件を満たしたときに確認すべき内容とが関連付けられたユニット用確認内容情報(不図示)を予め用意してメモリ38に記憶させておく。プレアラーム出力部54は、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42に含まれるいずれかの条件を満たした場合、ユニット用確認内容情報を参照して、満たした条件に関連付けられた確認すべき内容を特定し、特定した内容を管理者などに通知する。
【0076】
また、プレアラーム出力部54は、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たすと稼働状態判定部52が判定した場合に、当該系統16に故障が発生するに先立ってプレアラームを出力する。
【0077】
この場合も、プレアラームの出力態様としては、種々の態様があってよい。例えば、プレアラーム出力部54は、
図6に示すように、レイアウト
図60において、系統用プレアラーム条件44を満たした系統16に対応する系統アイコン64を強調表示させることで、プレアラームを出力してもよい。具体的には、系統用プレアラーム条件44を満たした系統16に対応する系統アイコン64を、正常稼働中及び稼働停止中の系統16に対応する系統アイコン64とは異なる態様で表示させるとよい。なお、この場合も、プレアラームは、ディスプレイ36への表示に代えて又は加えて、音声により出力されてもよい。
【0078】
これにより、管理者などは、少なくとも、系統用プレアラーム条件44を満たした系統16が存在すること、及び、当該系統16の設置位置を把握することができる。したがって、管理者などは、当該系統16に故障が発生するに先立って、当該系統16の故障を予防するための処置(例えばメンテナンスなど)を行うことができる。つまり、当該系統16の故障が未然に防止され、当該系統16の継続した稼働が可能となる。
【0079】
プレアラーム出力部54は、系統用プレアラーム条件44を満たした系統16に対応する系統アイコン64が管理者などによって選択されることで表示される系統ダイアログ80において、より詳細なプレアラームを出力するとよい。
【0080】
具体的には、
図8に示すように、プレアラーム出力部54は、系統ダイアログ80の稼働状態欄100において、複数の条件を含む系統用プレアラーム条件44のうち、当該系統16の稼働状態が満たした条件を表示させるとよい。
【0081】
ここで、系統16の稼働状態が、系統用プレアラーム条件44に含まれる複数の条件を満たしてしまう場合が考えられる。その場合、プレアラーム出力部54は、系統16の稼働状態が満たした複数の条件の優先順位を示す態様でプレアラームを出力するとよい。代表的には、プレアラーム出力部54は、系統16の稼働状態が満たした複数の条件のうち、最も優先順位が高い条件のみを稼働状態欄100に表示させる。例えば、系統16の稼働状態が、系統用プレアラーム条件44のうち(21)供給水温上限及び(23)高負荷の2つの条件を満たした場合、(21)供給水温上限の方が(23)高負荷よりも優先順位が高いため、プレアラーム出力部54は、稼働状態欄100に「供給水温上限」のみを表示する。又は、プレアラーム出力部54は、系統16の稼働状態が満たした複数の条件を優先順位の順に並べて表示させるなどしてもよい。これにより、管理者などは、系統16の稼働状態が満たした複数の条件のうち、優先して対応する必要がある条件を把握することができる。
【0082】
また、プレアラーム出力部54は、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たす場合に、当該系統16について確認すべき内容を示す情報を出力するとよい。例えば、
図8に示すように、プレアラーム出力部54は、系統ダイアログ80において、当該系統16の稼働状態が満たした系統用プレアラーム条件44に基づく、確認すべき内容を示すメッセージ102を表示させるとよい。これにより、系統16のメンテナンスに不慣れな管理者などであっても、確認すべき内容を容易に把握することができる。
【0083】
具体的には、系統用プレアラーム条件44に含まれる各条件と、当該条件を満たしたときに確認すべき内容とが関連付けられた系統用確認内容情報(不図示)を予め用意してメモリ38に記憶させておく。プレアラーム出力部54は、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44に含まれるいずれかの条件を満たした場合、系統用確認内容情報を参照して、満たした条件に関連付けられた確認すべき内容を特定し、特定した内容を管理者などに通知する。
【0084】
再度
図2に戻り、プレアラーム条件設定部56は、ユニット用プレアラーム条件42を設定する。詳しくは、プレアラーム条件設定部56は、管理者などからの入力に基づいて、ユニット用プレアラーム条件42を設定することができる。例えば、
図4に示されたユニットダイアログ70において、管理者などがプレアラーム条件設定ボタン72を操作すると、表示制御部50は、ユニット用プレアラーム条件42を入力するための画面をディスプレイ36に表示させる。管理者などは、当該画面に所望の条件を入力し、プレアラーム条件設定部56は、当該入力に応じてユニット用プレアラーム条件42を設定する。
【0085】
また、プレアラーム条件設定部56は、正常動作時におけるユニット14aの稼働状態に基づいてユニット用プレアラーム条件42を自動設定するようにしてもよい。詳しくは、まず、状態データ取得部48は、正常動作していると確認されたユニット14aに設けられたユニットセンサ18から、正常動作時におけるユニット14aのユニット状態データを取得する。なお、正常動作時におけるユニット状態データは、ヒートポンプシステム12又は各ユニット14aの利用環境などによって変動し得る。プレアラーム条件設定部56は、正常動作時におけるユニット14aのユニット状態データに基づいて、ユニット用プレアラーム条件42を設定する。例えば、
(1)水流量下限
ユニット14aの運転容量が設定値A1(%)以上、且つ、水流量が設定値B1(m3/h)以下の状態が設定値C1(分)以上継続
という条件において、設定値B1を、正常動作時における水流量Xよりも所定値低い値とすることができる。
これにより、ヒートポンプシステム12又はユニット14aの利用環境に応じた適切なユニット用プレアラーム条件42が設定され得る。
【0086】
また、プレアラーム条件設定部56は、系統用プレアラーム条件44を設定する。詳しくは、プレアラーム条件設定部56は、管理者などからの入力に基づいて、系統用プレアラーム条件44を設定することができる。例えば、
図5に示された系統ダイアログ80において、管理者などがプレアラーム条件設定ボタン82を操作すると、表示制御部50は、系統用プレアラーム条件44を入力するための画面をディスプレイ36に表示させる。管理者などは、当該画面に所望の条件を入力し、プレアラーム条件設定部56は、当該入力に応じて系統用プレアラーム条件44を設定する。
【0087】
また、プレアラーム条件設定部56は、正常動作時における系統16の稼働状態に基づいて系統用プレアラーム条件44を自動設定するようにしてもよい。詳しくは、まず、状態データ取得部48は、正常動作していると確認された系統16に設けられた系統センサ20から、正常動作時における系統16の系統状態データを取得する。なお、正常動作時における系統状態データは、ヒートポンプシステム12又は各系統16の利用環境などによって変動し得る。プレアラーム条件設定部56は、正常動作時における系統16の系統状態データに基づいて、系統用プレアラーム条件44を設定する。例えば、
(21)供給水温上限
冷房時且つ群発停オン時において、出口水温の代表値(例えば平均値)が設定値A21(℃)以上の状態が設定値B21(分)以上継続
という条件において、設定値A21を、正常動作時における出口水温の代表値Yよりも所定値高い値とすることができる。
これにより、ヒートポンプシステム12又は系統16の利用環境に応じた適切な系統用プレアラーム条件44が設定され得る。
【0088】
動作条件変更部58は、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たすと稼働状態判定部52が判定した場合に、当該稼働状態に基づいて当該ユニット14aの動作条件を変更する。詳しくは、動作条件変更部58は、ユニット用プレアラーム条件42を満たした稼働状態に基づいて、当該ユニット14aに故障が生じにくいような、換言すれば、故障発生までの稼働時間が延びるような動作条件に当該ユニット14aの動作条件を変更する。これにより、プレアラームが出力されてから当該ユニット14aに故障が発生するまでの稼働時間を引き延ばすことができる。
【0089】
具体的には、ユニット用プレアラーム条件42に含まれる各条件と、当該条件を満たしたときのユニット14aの動作条件とが関連付けられたユニット用動作条件情報(不図示)を予め用意してメモリ38に記憶させておく。動作条件変更部58は、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42に含まれるいずれかの条件を満たした場合、ユニット用動作条件情報を参照して、満たした条件に関連付けられた動作条件を特定し、特定した動作条件で当該ユニット14aを動作させる。
【0090】
なお、ユニット14aの利用環境によっては、ユニット14aの稼働状態がユニット用プレアラーム条件42を満たしたときであっても、当該ユニット14aの動作条件が変わらないことが望まれる場合が考えられる。したがって、動作条件変更部58によるユニット14aの動作条件の変更を許可するか否かを管理者などが設定可能であるとよい。
【0091】
また、動作条件変更部58は、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たすと稼働状態判定部52が判定した場合に、当該稼働状態に基づいて当該系統16の動作条件を変更する。詳しくは、動作条件変更部58は、系統用プレアラーム条件44を満たした稼働状態に基づいて、当該系統16に故障が生じにくいような、換言すれば、故障発生までの稼働時間が延びるような動作条件に当該系統16の動作条件を変更する。これにより、プレアラームが出力されてから当該系統16に故障が発生するまでの稼働時間を引き延ばすことができる。
【0092】
具体的には、系統用プレアラーム条件44に含まれる各条件と、当該条件を満たしたときの系統16の動作条件とが関連付けられた系統用動作条件情報(不図示)を予め用意してメモリ38に記憶させておく。動作条件変更部58は、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44に含まれるいずれかの条件を満たした場合、系統用動作条件情報を参照して、満たした条件に関連付けられた動作条件を特定し、特定した動作条件で当該系統16を動作させる。
【0093】
なお、系統16の利用環境によっては、系統16の稼働状態が系統用プレアラーム条件44を満たしたときであっても、当該系統16の動作条件が変わらないことが望まれる場合が考えられる。したがって、動作条件変更部58による系統16の動作条件の変更を許可するか否かを管理者などが設定可能であるとよい。
【0094】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 ヒートポンプ管理視線システム、12 ヒートポンプシステム、14 ユニット群、14a ユニット、16 系統、18 ユニットセンサ、20 系統センサ、22 コントローラ、30 管理支援装置、32 通信インターフェース、34 入力インターフェース、36 ディスプレイ、38 メモリ、40 システム情報、42 ユニット用プレアラーム条件、44 系統用プレアラーム条件、46 プロセッサ、48 状態データ取得部、50 表示制御部、52 稼働状態判定部、54 プレアラーム出力部、56 プレアラーム条件設定部、58 動作条件変更部、60 レイアウト図、62 ユニットアイコン、64 系統アイコン、70 ユニットダイアログ、72,82 プレアラーム条件設定ボタン、80 系統ダイアログ、90,100 稼働状態欄、92,102 メッセージ。