IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 丸一株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158951
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20231024BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
A01G31/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069034
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 源希
(72)【発明者】
【氏名】武知 靖大
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314NA09
2B314NA33
2B314NA36
2B314PB02
2B314PB44
2B314PB47
2B314PD70
(57)【要約】
【課題】
水耕栽培装置に使用可能であって、栽培槽の段数や高さを容易に変更可能な配管構造の提供するものである。
【解決手段】
複数の栽培槽と、前記複数の栽培槽の内の一又は複数の栽培槽へ養液を供給するポンプとを備える水耕栽培装置に使用可能な配管構造であって、
前記栽培槽又は前記ポンプと接続または解除が可能な接続構造を両端に有するようにして構成する。また、前記接続構造が、一方の管体に設けられた挿入管部と、他方の管体に設けられた受入管部と、前記挿入管部が前記受入管部から抜脱することを防止する接続部材と、から構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の栽培槽と、前記複数の栽培槽の内の一又は前記複数の栽培槽へ養液を供給するポンプとを備える水耕栽培装置に使用可能な配管構造であって、
前記栽培槽又は前記ポンプと接続または解除が可能な接続構造を両端に有することを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記接続構造が、
一方の管体に設けられた挿入管部と、
他方の管体に設けられた受入管部と、
前記挿入管部が前記受入管部から抜脱することを防止する接続部材と、から成ることを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記複数の栽培槽を繋ぐ配管、又は前記ポンプから連続する配管が長さを変更可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の水耕栽培装置に使用可能な配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
植物が栽培される装置として水耕栽培装置が知られている。
特許文献1には複数の栽培槽を備える多段式の水耕栽培装置が記載されており、ポンプによって養液が各段の栽培槽を循環することで植物の育成が行われる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-106524号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、育成する植物の収穫量を増やすためには、栽培槽の段数を増加させる必要がある。一方で、育成する植物が大型である場合には栽培槽の段数を減らし、各栽培槽同士の距離を離間させる必要がある。又、植物の成長に応じて栽培槽同士の距離を適宜変更する場合がある。即ち、栽培規模や栽培する植物の大きさ、育成状況に応じて適宜栽培槽の段数を増減させることや、栽培槽同士の距離を変更することが望まれている。しかし、各栽培槽を繋ぐ配管やポンプと栽培槽を繋ぐ配管は、接続後に組み直しを行うことができないため、栽培槽の段数や高さを変更する都度、それまでに組まれていた配管を全て取り外して廃棄し、配管を新規なものと取り換え、一から組み直す必要があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、水耕栽培装置に使用可能であって、栽培槽の段数や高さやレイアウトを容易に変更可能な配管構造の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明は、複数の栽培槽と、前記複数の栽培槽の内の一又は複数の栽培槽へ養液を供給するポンプとを備える水耕栽培装置に使用可能な配管構造であって、前記栽培槽又は前記ポンプと接続または解除が可能な接続構造を両端に有することを特徴とする。
【0007】
第二の発明は、前記接続構造が、
一方の管体に設けられた挿入管部と、
他方の管体に設けられた受入管部と、
前記挿入管部が前記受入管部から抜脱することを防止する接続部材と、から成ることを特徴とする。
【0008】
第三の発明は、前記複数の栽培槽を繋ぐ配管、又は前記ポンプから連続する配管が長さを変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、栽培槽の配管又はポンプの配管と接続または解除が可能な接続構造を有する配管を用いることによって、必要に応じて適宜栽培槽の段数を増減させる際に、それまでに組まれていた配管を組み替えて使用することが可能となり、一から新規に配管を組み直す必要が無くなった。
又、接続部材を用いた接続構造とすることによって、組み換え時の労力を低減することが可能となる。又、複数の栽培槽を繋ぐ配管やポンプから連続する配管の長さが変更可能とすることにより、隣接する栽培槽の間隔を変更することが可能となる。特に、水耕栽培装置は植物が成長することで栽培槽の天地方向への位置調整や段数調整が頻繁に起きるため、天地方向に配管の長さ調整が容易であると有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態の水耕栽培装置を示す参考図である。
図2】第一実施形態の水耕栽培装置の配管構造を示す参考図である。
図3図2の実施形態の部材構成を示す参考図である。
図4】栽培槽を示す参考図である。
図5】L字形状の継手部材を示す参考図である。
図6】伸縮管を示す参考図である。
図7】伸縮管の接続部分を示す断面図である。
図8】タンクとポンプを示す参考図である。
図9】長さ調整管を示す参考図である。
図10】接続構造の部材構成を示す斜視図である。
図11】接続構造の部材構成を示す断面図である。
図12】接続部材の(a)平面図、(b)図12(a)のA-A断面図である。
図13】接続構造の接続の手順を示す断面図である。
図14】接続構造の接続の手順を示す断面図である。
図15】接続構造の接続が完了した状態を示す断面図である。
図16図15のB-B断面図である。
図17図2の水耕栽培装置から、栽培槽を増加する場合の手順を示す参考図である。
図18図2の水耕栽培装置から、栽培槽を増加する場合の手順を示す参考図である。
図19図2の水耕栽培装置から、栽培槽を増加した状態を示す参考図である。
図20図2の水耕栽培装置から、栽培槽を減少する場合の手順を示す参考図である。
図21図2の水耕栽培装置から、栽培槽を減少した状態を示す参考図である。
図22図19の水耕栽培装置の側面方向の参考図である。
図23図22の水耕栽培装置からレイアウトを変更した状態を示す参考図である。
図24】第二実施形態の水耕栽培装置の配管構造を示す参考図である。
図25図21の水耕栽培装置から、栽培槽を減少した状態を示す参考図である。
図26】他の伸縮管を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0012】
本発明の配管構造が取り付けられる水耕栽培装置100は、図1等に示した、収納棚110と、収納棚110に収納される複数の栽培槽120とを備えた多段式の水耕栽培装置である。上記水耕栽培装置100は最下段の栽培槽120の下方において、養液が貯留されたタンク130と、タンク130内の養液を最上段の栽培槽120へと供給するポンプ140を備えており、養液を循環させることによって植物200を育成する。
【0013】
収納棚110は複数の支柱によって直方体状に組み上げられた多段式であり、各段には夫々栽培槽120が載置されている。又、収納棚110の各段は支柱に対して固定される高さを変更することや、段数の増減が可能であり、これによって、育成する植物200の収穫量や種類、又は育成状況に応じて栽培槽120の高さや数量を変更可能となっている。
【0014】
栽培槽120は図4等に示すように、保持部121と養液槽122から成る。
保持部121は植物200を保持する開口が複数形成されたプレートであり、養液槽122の上面を覆うように取り付けられている。又、保持部121に保持された植物200は、栽培槽120の上方に配置された図示しないLEDランプによって照射されている。
養液槽122は上面が開放された箱状であって、内部に養液が流れる流路が形成されている。又、養液槽122は上流側端部及び下流側端部において、継手部材1の挿入管部6と接続可能な受入管部7を有する。
【0015】
上記水耕栽培装置100は、供給管2、連結管3、排出管4によって接続され、養液が循環する経路が形成されている。
供給管2はポンプ140から連続する配管であって、ポンプ140と最上段の栽培槽120とを繋いでいる。
連結管3は栽培槽120同士を繋ぐ配管であって、上下に隣接する栽培槽120同士を接続している。
排出管4は栽培槽120の養液をタンク130に排出する配管であって、最下段の栽培槽120とタンク130とを接続している。
【0016】
上記供給管2、連結管3、排出管4は継手部材1と、直管である伸縮管9と、から成る。以下に、継手部材1と伸縮管9について説明する。
【0017】
継手部材1は本実施形態における配管構造を成す配管であって、図5に示したようなL字形状の管体等からなり、内部に流路を形成する断面視円筒状となっている。又、継手部材1は他の部材のとの接続又は解除が可能な接続構造5を構成する挿入管部6を両端に有する。
また、L字形状の継手部材1は、使用する箇所に合わせて長さの異なる数種類がある。
【0018】
伸縮管9は、図6図7等に示したような、円筒状の内管91と外管92が同軸上に配置された2重配管であって、天地方向に長さを変更可能となっている。又、内管91と外管92の間には止水部材93が配置されており、当該止水部材93によって内管91と外管92の側面同士が水密な状態で接続されている。
内管91は上端に挿入管部6と接続可能な受入管部7を有し、下端は外管92に挿入可能な挿し口911が形成されている。又、内管91は外管92に対して水密な状態を維持したまま上下に変位可能となっている。
外管92は下端に挿入管部6と接続可能な受入管部7を有し、上端には内管91よりも大径の受け口921が形成されている。又、受け口921の内側面には止水部材93が嵌着されている。
止水部材93はゴム等の弾性部材から成る環状であって、内管91の外側面と外管92の内側面に当接している。
上記伸縮管9は、内管91を変位させ、受け口921に対する挿し口911の挿入量を調整することで、内管91と外管92との間の水密を維持したまま、伸縮管9の長さを調整可能となっている。また、伸縮管9は、供給管2に使用するための長大なもの、連結管3に使用するための比較的短いもの等、長さの異なる数種類がある。
【0019】
次に、本発明の接続構造5について詳述する。尚、本実施形態において、接続構造5は図10乃至図16に図示した、挿入管部6、受入管部7、接続部材8より構成されている。
【0020】
挿入管部6は継手部材1の両端部に取り付けられており、第一鍔部61、第二鍔部62、リング63を有する。又、挿入管部6の下端にはゴム等の弾性部材から成る環状の止水部材64が嵌着されている。
第一鍔部61、第二鍔部62は挿入管部6の上部に形成され、全周に亘って外側に向けて突出する鍔状であって、その外径は受入管部7の上端とほぼ同径となっている。又、第一鍔部61と第二鍔部62との間にはリング63が取り付けられている。
リング63は他の部材とは異なる色相を有する材質によって形成されており、挿入管部6と受入管部7が接続部材8によって接続された状態において、接続部材8によって覆い隠されている。
【0021】
受入管部7は栽培槽120の両端部、及び伸縮管9の両端部に取り付けられている。又、受入管部7は上端が拡径されることによって挿入管部6が挿入可能な内径を有し、外周にはスリット71が形成されている。又、受入管部7の内径は基端側に進むにつれて漸次縮径し、挿入管部6の外径と略同一の内径を有する当接部72が形成されている。
【0022】
接続部材8は図12(a)に示すように、切り欠き部81及び爪部82を有する平面視略C字状であって、断面視において上下対象形状となっている。
爪部82は接続部材8の上端及び下端より内側に向けて突出する、断面視略三角形状を成し、挿入管部6と受入管部7とが接続された状態において、スリット71内に配置される。又、上方の爪部82の上面及び下方の爪部82の下面は、接続部材8の中心へ向かうテーパ状となっている。
【0023】
上記接続構造5は以下の手順によって部材同士を接続する。
【0024】
まず、図13に示したように、挿入管部6に対して受入管部7を挿入する。挿入管部6が図14に示した適切な位置まで挿入されると、挿入管部6の端部に嵌着された止水部材64が当接部72に当接することによって、挿入管部6と受入管部7との間が水密な状態となる。この時、挿入管部6の第二鍔部62が受入管部7の上端に当接することにより、挿入管部6が適切な位置よりも深く挿入されることを防止する。
次に、挿入管部6及び受入管部7の側方より、接続部材8の切り欠き部81を押し付ける。この時、接続部材8が撓むことによって切り欠き部81が外側に押し広げられる。そして、受入管部7の外径よりも切り欠き部81が押し広げられると、上方の爪部82が第一鍔部61と第二鍔部62との間に配置されるとともに、下方の爪部82がスリット71内に配置される。この時、拡径されていた接続部材8は自身の弾性によって復元し、上下の爪部82によって第二鍔部62とスリット71が挟持され、挿入管部6と受入管部7とが抜脱不能となることで、図15に示したように、接続構造5の接続が完了する。
【0025】
上記接続完了状態において、リング63は接続部材8によって覆い隠されており、使用者から視認することはできない。一方、挿入管部6と受入管部7との接続が完了していない状態においては、リング63の一部又は全部が外部に露出する。これにより、使用者はリング63を視認することで接続状態が判断可能となっている。
尚、上記手順はあくまで例であり、受入管部7に対して先に接続部材8を取り付け、挿入管部6を受入管部7に挿入しても良い。この場合においても、リング63によって接続状態を視認することが可能となっている。
【0026】
また、図16に示した断面図のように、接続構造5の接続が完了した状態において、挿入管部6と受入管部7の接続部分は軸方向視円形の部材が同心円状に配置されており、また挿入管部6と受入管部7の接続に接着等の固定の作業は行われておらず、止水部材64は側面方向に当接することで水密的な接続を行っている。このため接続が完了した状態において、挿入管部6は受入管部7に対し水密状態のまま管体の中心軸を中心として回転させることが可能である。
【0027】
上記接続構造5の分解を行う際には、接続部材8を取り付け時とは逆方向に引き抜くことで取り外し、挿入管部6を受入管部7から引き抜くだけで接続を解除することができる。
【0028】
上記構成を備える水耕栽培装置100において、ポンプ140によって圧送されたタンク130内の養液は、供給管2を通じて最上段の栽培槽120へと供給される。次に、栽培槽120内を流れた養液は連結管3を通じて隣接する下段の栽培槽120へと流入し、順次上段から下段の栽培槽120へと流れる。そして、全ての栽培槽120内を流れた養液は排出管4を通じてタンク130内に排出される。タンク130内に排出された養液はポンプ140によって汲み上げられ、再び最上段の栽培槽120へと供給される。
【0029】
以下に、配管構造によって接続された水耕栽培装置100の段数を増加又は減少させる際の手順を、図2及び図17乃至図21に基づき説明する。図2の水耕栽培装置100は、栽培槽120を縦1列であって上下方向3段に配置したものである。尚、図1の水耕栽培装置100の栽培槽120が5段の構成であるのに対し、図2の水耕栽培装置100の栽培槽120は3段とし、以降の図面や説明でも3段の水耕栽培装置100を始まりとして説明しているが、これは説明を容易にするため簡略な構成としたためである。又、以下の説明において、図2の栽培槽120の内、図2の時点における最上段の栽培槽120を説明のため「当初最上段の栽培槽120a」とする。
【0030】
以下に、配管構造によって接続された水耕栽培装置100の段数を増加させる際の手順を、図2及び図17乃至図19に基づき説明する。
尚、以下に記載する手順では栽培槽120の段数を1段増加させるが、2段以上増加させても良い。
尚、栽培槽120の増加や減少を行う作業において、開始から完了するまでの間は、当然ながらポンプ140を停止させている。作業の完了後にポンプ140を再度作動させる。
又、以下のように、栽培槽120を奇数段増加(又は減少)させる場合、長さが栽培槽120の幅と同じであって、両端に受入管部7を備えた管体である長さ調整管123を用いる。
まず、図2の状態の水耕栽培装置100の配管から、最上段の栽培槽120aとポンプ140とを繋ぐ供給管2から接続部材8を取り外し、図17に示したように、継手部材1と最上段の栽培槽120との接続を解除する。この時、最上段の栽培槽120aとポンプ140との間に配置されていた継手部材1は、接続部材8を取り外すだけで最上段の栽培槽120との接続を解除することができる。
次に、図18に示したように、最上段の栽培槽120aの上方に、新規な栽培槽120bを載置する。
次に、新規な栽培槽120bの下流側端部と当初最上段の栽培槽120aの上流側端部を、連結管3によって接続する。この時、継手部材1の挿入管部6を各栽培槽120の受入管部7に挿入し、接続部材8を取り付けるだけで接続が完了する。
次に、追加した新規な栽培槽120bとポンプ140を供給管2によって接続することで図19に示した状態となり、全ての作業が完了する。この時、栽培槽120は奇数段となる1段の増加のため、新規な栽培槽120bの上流側の端部と、当初最上段の栽培槽120aに接続されていた継手部材1端部との間は栽培槽120の幅分距離が離れることとなるが、供給管2に長さ調整管123を接続した上で、継手部材1や伸縮管9を使用することで、支障なく新規な栽培槽120bの上流側の端部に供給管2を接続することができる。
尚、供給管2は伸縮管9の長さを調整可能となっていることから、内管91を引き上げ天地方向に延長することで追加した新規な栽培槽120の位置まで供給管2を延長することができ、容易に接続することが可能となっている。
即ち、追加した新規な栽培槽120bは、当初最上段に載置されていた栽培槽120aよりも更に上方に載置されるが、供給管2を伸張させることで、配管を分解することなく新規な栽培槽120bと継手部材1とを容易に接続することが可能となる。
【0031】
次に、配管構造によって接続された水耕栽培装置100の段数を減少させる際の手順を、図2図20図21に基づき説明する。尚、以下に記載する手順では栽培槽120の段数を2段減少させるが、1段減少させても良く、3段以上減少させても良い。また、奇数段減少させる場合は、長さ調整管123を用いて接続位置の調整を行っても良い。
尚、図20及び図21の図示においては、供給管2や排出管4に用いている伸縮管9の高さ方向の図示を一部省略しており、図面上内管91の収納に外管92の長さが足りないように見えても、実際の収納には特に支障が無いよう構成されている。
まず、図2の状態から当初最上段の栽培槽120aとポンプ140とを繋ぐ供給管2の接続部材8を取り外し、継手部材1と当初最上段の栽培槽120aとの接続を解除する。
次に、二段目の栽培槽120と三段目の栽培槽120とを繋ぐ連結管3を、接続構造5を解除することによって取り外し、図20に示した状態とする。
次に、当初最上段の栽培槽120a及び二段目の栽培槽120を収納棚110から取り除く。
次に、当初三段目であった、残った栽培槽120と供給管2とを接続構造5によって接続することで、図21に示したように、全ての作業が完了する。
上記水耕栽培装置100の段数を減少させる場合においては、伸縮管9を押し下げて供給管2を天地方向に収縮させることで、配管を分解・増設することなく栽培槽120と継手部材1とを容易に接続することが可能となる。
【0032】
ここで、水耕栽培装置100は、収納棚110に栽培槽120が載置された状態で、各段の高さを変更することが可能となっている。即ち、供給管2、連結管3、排出管4は夫々、天地方向に長さを変更可能な伸縮管9を備えていることから、変更した各段の高さに合わせて伸縮管9が伸縮することによって、配管を分解・増設することなく各段の高さを調整することができる。
【0033】
上記本発明によれば、配管構造である継手部材1が両端に接続構造5を構成する挿入管部6を有するとともに、挿入管部6に対応する受入管部7を栽培槽120やポンプ140、伸縮管9の夫々が有することから、必要に応じて適宜配管を組み替えることが可能となる。これにより、栽培槽120を増減させる際の作業が容易となるとともに、段数を増減させる際に新規な配管構造を用意する必要が無い。
又、供給管2、連結管3、排出管4が、天地方向に長さを調整可能な伸縮管9を有することにより、部材同士の接続を解除したり配管を分解・増設したりすることなく栽培槽120の段数を増減することや栽培槽120の間隔を調整することが可能となる。
【0034】
次に、配管構造によって接続された水耕栽培装置100のレイアウトを変更して列数を変更する際の手順を、図19図22図23に基づき説明する。
図19の水耕栽培装置100は、段落0030に記載したように、栽培槽120を、1列4段に配置した水耕栽培装置100である。図22は、図19の水耕栽培装置100を、図19の左手方向から見た側面図である。植物200が成長した結果、1段当たりの高さがより必要になった場合に、2段目及び4段目の栽培槽120を水平方向に移動させる。連結管3や排出管4に採用されている継手部材1及び伸縮管9の接続に採用されている接続構造5は、段落0026に記載のように管体の中心軸を中心として、水密状態を維持しつつ、受入管部7に対し挿入管部6を回動可能に構成されており、また伸縮管9も段落0018に記載した通り伸長が可能なため、配管の接続を解除することなく、図23に示した2列2段とすることができる。この時の伸縮管9の伸長の方向はレイアウトに併せて天地方向や水平方向等必要な方向に向けて伸長させるものである。また、最も高い位置にある、植物200の上方に位置する配管については、植物200の邪魔とならない位置まで伸縮管200を延長するか、または植物200の上方とならない水平位置にずらすことで、植物200の成長の邪魔とならないようにできる。尚、伸縮管9を伸長させても長さが不足する場合は、より長い伸縮管9に交換して接続を行う。この伸縮管9を交換する場合でも、前述の通り接続構造5を利用することで簡単に接続の解除と交換した伸縮管9との接続を容易に行うことができる。
【0035】
本発明の第一実施形態は以上であるが、本発明の配管構造は上記第一実施形態の構造に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更が可能である。
例えば、第一実施形態に記載の配管構造が取り付けられる水耕栽培装置100は、各栽培槽120が連結管3によって繋がれており、最上段の栽培槽120に供給された養液は各段に配置された栽培槽120を全て流れた後にタンク130へと排出される構造となっていたが、本発明の配管構造は上記水耕栽培装置100とは異なる構造の水耕栽培装置100に採用されても良い。
【0036】
図24及び図25に示す第二実施形態に記載の水耕栽培装置100は、各栽培槽120が夫々に供給管2と接続されており、各栽培槽120に対して直接ポンプ140から養液が供給される。又、排出管4は各栽培槽120から排出される養液が合流する集合配管となっている。
上記第二実施形態においても、配管構造として、両端に接続構造5を有する接続部材8によって配管が接続されている。従って、配管を組み替えることによって容易に栽培槽120の段数の増減が可能となる。例えば、図24の実施形態から、2段目の栽培槽120を取り外し、2段目の栽培槽120に接続されていた継手部材1の挿入管部6部分に、配管を閉塞するキャップ部材11を接続することで、図25に示したように、容易に栽培槽120の段数を減らすことができる。また、栽培槽120の段数を増加させることが事前に計画されていれば、最終的な段数の数以上に挿入管部6が多い継手部材1を用意し、当初使用しない挿入管部9にキャップ部材11を接続して閉塞した状態で水耕栽培装置100を組み立てて使用し、栽培槽120の段数を増加させる際に挿入管部9からキャップ部材11を外して増加した栽培槽120に配管を行うことで容易に栽培槽120の段数を増加させることができる。
【0037】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明の配管構造は発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更を加えても良い。例えば、上記実施形態において、配管構造は両端に接続構造5を備えた略L字状の継手部材1であったが、供給管2や連結管3、排出管4の全体を指して配管構造としても良い。
又、接続構造5において、実施形態では、継手部材1に挿入管部6を、栽培槽120や伸縮管9や長さ調整管123に受入管部7を、それぞれ構成しているが、継手部材1に受入管部7を、栽培槽120や伸縮管9や長さ調整管123に挿入管部6を、それぞれ構成するなど、挿入管部6と受入管部7を設ける部材は、一方を挿入管部6、他方を受入管部7とした上であれば、必要に応じて適宜変更しても良い。
【0038】
また、上記実施形態の説明では、伸縮管9を二重管の構造とすることで伸長する構成としているが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、例えば管体を弾性体の蛇腹構造にて構成することで伸長する構成とする場合や、図26に示したように、伸縮管9の両端及び途中部分を、可撓性を備えた屈曲可能な可撓管94とし、伸縮管9を「く」の字形状に配置することで、図26(a)から図26(b)のように変形させて伸長する構成としても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 継手部材
11 キャップ部材
2 供給管
3 連結管
4 排出管
5 接続構造
6 挿入管部
61 第一鍔部
62 第二鍔部
63 リング
64 止水部材
7 受入管部
71 スリット
72 当接部
8 接続部材
81 切り欠き部
82 爪部
9 伸縮管
91 内管
911 挿し口
92 外管
921 受け口
93 止水部材
94 可撓管
100 水耕栽培装置
110 収納棚
120 栽培槽
120a 当初最上段の栽培槽
120b 新規な栽培槽
121 保持部
122 養液槽
123 長さ調整管
130 タンク
140 ポンプ
200 植物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26