(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158952
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】運行管理装置、運行管理装置の制御方法、及び運行管理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231024BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231024BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20231024BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231024BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231024BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/00 D
G16Y40/30
G16Y10/40
G16Y20/20
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069036
(22)【出願日】2022-04-19
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SWIFT
(71)【出願人】
【識別番号】517326475
【氏名又は名称】BOLDLY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】王 輝輝
(72)【発明者】
【氏名】関谷 博之
(72)【発明者】
【氏名】改發 壮
(72)【発明者】
【氏名】須山 温人
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA16
5H181BB04
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】運行管理センター側の判断で、自動運転車両の適切な制御を実行可能な運行管理装置等を提供すること
【解決手段】自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置は、車両の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得する取得部と、車両の走行中に走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定する判定部と、所定の条件が成立した場合、自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する生成部と、停止指示を自動運行装置に送信する送信部とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置であって、
前記車両の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得する取得部と、
前記車両の走行中に前記走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件が成立した場合、前記自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する生成部と、
前記停止指示を前記自動運行装置に送信する送信部と、
を備える、運行管理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記停止指示に、前記車両を、前記自動運行装置による制御から、前記運行管理装置による制御へ切り替える旨を含ませて生成する、
請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記停止指示に、前記車両を、前記自動運行装置による制御から、ユーザによる制御へ切り替える旨を含ませて生成する、
請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項4】
前記自動運行装置は、前記複数の走行環境情報のうち前記車両が備える情報取得装置が取得した走行環境情報に応じて、前記車両の走行を制御するものであって、
前記判定部は、前記取得部が取得した走行環境情報のうち、前記車両が備える情報取得装置によって取得されない走行環境情報について、前記所定の条件が成立したか否かを判定する、
請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項5】
前記車両の走行を制御する走行制御部をさらに備え、
前記走行制御部は、成立した前記所定の条件に応じて、制御を開始した際の前記車両の制御内容を決定する、
請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記走行制御部は、前記所定の条件が成立した際の前記車両の状況を、前記複数の走行環境情報に基づいて判定し、前記状況に応じて、制御を開始した際の前記車両の制御内容を決定する、
請求項5に記載の運行管理装置。
【請求項7】
前記走行制御部は、前記所定の条件が成立した場合の前記自動運行装置による前記車両の制御内容に応じて、前記自動運行装置による前記車両の制御を継続させる、
請求項5に記載の運行管理装置。
【請求項8】
自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置の制御方法であって、
前記車両の運行に関する複数の走行環境情報を取得するステップと、
前記車両の走行中に前記走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定するステップと、
前記所定の条件が成立した場合、前記自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成するステップと、
前記停止指示を前記自動運行装置に送信するステップと、
を含む、運行管理装置の制御方法。
【請求項9】
自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置の制御プログラムであって、
前記運行管理装置に、
前記車両の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得する機能と、
前記車両の走行中に前記走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定する機能と、
前記所定の条件が成立した場合、前記自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する機能と、
前記停止指示を前記自動運行装置に送信する機能と、
を実現させる、運行管理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理装置、運行管理装置の制御方法、及び運行管理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者による運転操作を必要とせずに走行する、いわゆる自動運転車両が広がりを見せている。自動運転は、運転の主体や走行可能な領域に応じたレベルが設定されており、レベル3以上の自動運転において、自動運行装置が運転操作の主体となることが定義されている。
【0003】
なお、自動運行装置とは、道路運送車両法の規程によれば、「プログラムにより自動的に自動車を運行させるために必要な、自動車の運行時の状態及び周囲の状況を検知するためのセンサー並びに当該センサーから送信された情報を処理するための電子計算機及びプログラムを主たる構成要素とする装置」であり、「運転者の操縦に係る認知、予測、判断及び操作に係る能力の全部を代替する機能を有し、かつ、当該機能の作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置を備えるもの」とされている。
【0004】
ここで、レベル3の自動運転車両は、乗車する運転者やオペレータ、又は、運行管理センターで車両を遠隔監視する運行管理者に対し、自動運行装置の作動状況を知らせるための機能を備えることが求められる。例えば、現在、客を乗せて走行する乗合バスを自動運転車両で実現したサービス(例えば、特許文献1)が開始されているが、このような自動運転車両による乗合バスは、必要に応じて、運転者又は運行管理者、あるいは、運行管理者が待機する運行管理センター側の運行管理システム(運行管理装置)による監視が行われることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような、自動運転車両による乗合バス(以降、「自動運転バス」とも称する)では、乗客の安全が最優先とされる。そのため、自動運転バスに搭載された自動運行装置では乗客の安全を守るのに十分な制御を実行し得ない事象が生じた場合に、運行管理センター側の判断で、自動運転を停止させるといった制御を実行することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る、自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置は、車両の運行に関する複数の走行環境情報を取得する取得部と、車両の走行中に走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定する判定部と、所定の条件が成立した場合、自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する生成部と、停止指示を自動運行装置に送信する送信部とを備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係る運行制御装置において、生成部は、停止指示に、車両を、自動運行装置による制御から、運行管理装置による制御へ切り替える旨を含ませて生成してよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る運行制御装置において、生成部は、停止指示に、車両を、自動運行装置による制御から、ユーザによる制御へ切り替える旨を含ませて生成してよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る運行制御装置は、複数の走行環境情報のうち車両が備える情報取得装置が取得した走行環境情報に応じて、車両の走行を制御するものであって、判定部は、取得部が取得した走行環境情報のうち、車両が備える情報取得装置によって取得されない走行環境情報について、所定の条件が成立したか否かを判定してよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る運行制御装置は、車両の走行を制御する走行制御部をさらに備え、走行制御部は、成立した所定の条件に応じて、制御を開始した際の車両の制御内容を決定してよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る運行制御装置において、走行制御部は、所定の条件が成立した際の車両の状況を、複数の走行環境情報に基づいて判定し、状況に応じて、制御を開始した際の車両の制御内容を決定してよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る運行制御装置において、走行制御部は、所定の条件が成立した場合の自動運行装置による車両の制御内容に応じて、自動運行装置による車両の制御を継続させてよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る、自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置の制御方法は、車両の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得するステップと、車両の走行中に走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定するステップと、所定の条件が成立した場合、自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成するステップと、停止指示を自動運行装置に送信するステップとを含む。
【0015】
本発明の一実施形態に係る、自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置の制御プログラムは、運行管理装置に、車両の運行に関する複数の走行環境情報を取得する機能と、車両の走行中に走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定する機能と、所定の条件が成立した場合、自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する機能と、停止指示を自動運行装置に送信する機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、運行管理センター側の判断で、自動運転車両の適切な制御を実行可能な運行管理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る運行管理システム構成の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る自動運転車両の機能ブロック図の一例である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るサーバ(運行管理装置)の機能ブロック図の一例である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る運行管理システムにおける、所定の条件に関するテーブルの一例である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るサーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降、図を用いて、本開示に係る発明(本発明ともいう)の一実施形態を説明する。なお、図は一例であって、本発明は図に示すものに限定されない。例えば、図示した運行管理装置(サーバ)、自動運転車両(自動運転バス)、自動運行装置、記憶装置、情報提供装置(路側機等)の数、データセット(テーブル)、フローチャート、識別子等は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態による運行管理システム構成の概略図である。運行管理システム700は、自動運転車両による乗合バス(自動運転バス)を提供するサービスにおいて、自動運転バスの運行管理を実行するシステムである。すなわち、運行管理システム700は、複数の自動運転車両200(200A~200C)の運行を遠隔で監視・管理するシステムであってよい。なお、本発明の一実施形態において、自動運転車両200は、運転の主体が運転手ではなく自動運行装置であるレベル3以上の車両であってよいが、自動運転車両200は、運転手やオペレータ(以降、単に「オペレータ等」と称する)が乗車し、信号での停止操作等の補助的な運転操作が可能であってもよい。また、
図1では、自動運転車両として乗合バスを3台のみ示してあるが、運行管理システム700によって管理される自動運転車両は、これ以上存在してよい。以降では、特に区別する必要がない場合、自動運転車両200A~200Cを、単に自動運転車両200や、車両200と称することもある。
【0020】
なお、本明細書では、「自動運行装置」を、車両200に搭載され、各種センサや道路インフラ等から取得した情報に基づいて、車両200の操舵やブレーキ等を制御するシステムとして説明する。これに対し、「運行管理装置」を、車両200を遠隔から監視・制御する運行管理センター側のシステムとして説明する。さらに、車両200が自動運行装置の制御下で走行する状態を「自動運転」とし、運行管理装置の制御下で走行する状態を「遠隔制御」として、両者を区別する。また、「手動運転」を、車両200に乗車するオペレータ等や、運行管理センターに待機する運行管理者による、所定の入力装置を用いた制御下で走行する状態とする。
【0021】
運行管理システム700は、車両200A~200Cと、運行管理装置(サーバ)100とを少なくとも含んでよい。また、運行管理システム700は、地図データベース(DB)400、路側機や信号機等の道路付帯物(道路インフラ)に設置された情報提供装置500をさらに含んでよい。
【0022】
運行管理装置100、車両200、情報提供装置500は、ネットワーク300を介して、各種情報(データ)をやり取りしてよい。例えば、運行管理装置100は、車両200をネットワーク300を介して遠隔から監視・制御してよい。情報提供装置500は、路側機や信号機等に設置された無線通信機能を有する装置であって、路車間通信(V2I:Vehicle to Infrastructure)によって、信号の状態、他の車両の位置情報、歩行者に関する情報等を車両200に提供してよい。また、車両200A~200Cは、車車間通信(V2V:Vehicle to Vehicle)によって、通信圏内に存在する車両間で各種情報をやり取りしてよい。
【0023】
地図データベース400は、ダイナミックマップのデータベースであって、車両200やサーバ100は、地図データベース400から、車両200が走行する走行環境に関する走行環境情報の一部を取得し、走行速度や、車線等を制御してよい。従来、自動運転の実現には、高精度3次元地図(High Definition 3D Map)データが利用される。高精度3次元地図データは、車線数、区画線、幅といった道路の情報や、横断歩道、信号の停止線、標識、建物の位置情報等に関するデータである。ここで、車両を走行させるためには、静的情報である高精度3次元地図データに、準静的情報(交通規制や道路工事の予定、広域気象予報情報など)と、動的情報(周辺の車両・歩行者、信号機情報など)及び準動的情報(交通事故、交通規制、渋滞、狭域気象情報など)のリアルタイムで変化する情報とを組み合わせたダイナミックマップが用いられている。すなわち、走行環境に関する走行環境情報には、上述の静的情報、準静的情報、動的情報、及び準動的情報が含まれてよい。これらの情報は、道路を走行する各車両200からリアルタイムで取得されて更新されたり、外部サービスから提供される天候情報や交通情報を取得して更新されたりしてよい。
【0024】
ネットワーク300は、無線ネットワークや有線ネットワークを含む。具体的には、例えば、ネットワーク300は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、LTE(long term evolution)、第4世代通信(4G)、第5世代通信(5G)、及び第6世代通信(6G)以降の移動体通信システム等であってよい。なお、ネットワーク300は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber LINE)回線、衛星通信網等であってもよい。さらに、ネットワーク300は、例えば、NB-IoT(Narrow Band IoT)、eMTC(enhanced Machine Type Communication)等のIoT向けの無線通信方式を含んでもよい。また、ネットワーク300は、路車間通信や車車間通信で用いられる通信方式を含んでよい。なお、ネットワーク300は、これらの組み合わせであってもよい。
【0025】
<自動運転車両>
次に、
図2を用いて、本発明の一実施形態に係る自動運転車両200のハードウェア構成、機能構成について説明する。自動運転車両200は、運転制御部210、監視制御部240を備える。これら制御部は、典型的には電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により実現されてよい。ここで、運転制御部210は、車両200の運転・走行に関する制御を行い、監視制御部240は、車内で実行される処理に関する制御を行ってよい。
【0026】
運転制御部210は、運転情報取得部211、駆動力制御部212、ブレーキ制御部213、及びステアリング制御部214を備える。運転情報取得部211は、情報取得装置として機能する運転制御用センサ群201や制御用車外撮像部202に接続され、これらで収集されたデータを取得する。運転制御用センサ群201は、自動運転の制御用に用いられる測定データを収集するセンサ等を含み、例えば、測位装置(GNSS(Global Navigation Satellite System)、オドメトリ等)、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、操舵角センサ、測距センサ(LiDAR(light detection and ranging)、ミリ波レーダー、超音波センサ、赤外線センサ等)、IMU(inertial measurement unit/慣性計測装置)、照度センサ、雨滴センサ等を含む。制御用車外撮像部207は、例えばカメラ(単眼カメラ、ステレオカメラ、マルチカメラ等)であって、車両の前後左右等に複数設けられ、車両200の外部を動画または静止画で撮影する。制御用車外撮像部202撮影する対象は、車線、障害物、道路の工事や交通規制、渋滞等、自動運転に必要な情報であってよい。さらに、運転情報取得部211は、情報取得装置として機能してよく、地図データベース400を参照して、車両200の制御に用いる、車両の走行環境に関する走行環境情報を取得してよい。
【0027】
車両200は、さらに、駆動力出力装置(エンジン/モーター)221、ブレーキ装置222、ステアリング装置223を備える。自動運行装置20は、これら駆動力出力装置(エンジン/モーター)221、ブレーキ装置222、ステアリング装置223を制御するためのシステムであってよい。駆動力制御部212、ブレーキ制御部213、ステアリング制御部214は、それぞれ、駆動力出力装置221、ブレーキ装置222、ステアリング装置223を制御する。運転制御部210は、上述した各種センサ等から取得した、車両200の現在位置、車速、操舵角、車外の動画像、障害物の有無等に基づいて、車両200を、予め設定された運行ルートで移動させたり、停止させたりする。運転制御部210は、車両200を経路上で移動・停止させるための制御信号を生成し、駆動力制御部212、ブレーキ制御部213、ステアリング制御部214へ出力する。駆動力制御部212、ブレーキ制御部213、ステアリング制御部214は、制御信号に基づいて、それぞれ、駆動力出力装置221、ブレーキ装置222、ステアリング装置223を制御する。なお、自動運転による車両の制御については、既存の技術が用いられてよい。
【0028】
監視制御部240は、車両200の監視に係る処理を実行し、通信制御部241、及び車内情報取得部242を備える。車内情報取得部242は、車両の制御に用いる、車両の走行環境に関する走行環境情報を取得してよい。
【0029】
例えば、車内情報取得部242は、情報取得装置として機能する、車両200に設けられた監視用センサ群203が収集したデータを取得する。監視用センサ群203は、車内及び車外の監視に用いられるデータを収集するセンサ群である。車内監視用のセンサとしては、例えば、人感センサ、呼気センサ、温度センサ、熱センサ、煙センサ等であってよい。また、車外監視用のセンサとしては、照度センサ、雨滴センサ、測距センサ(LiDAR、ミリ波レーダー、超音波センサ、赤外線センサ等)等であってよい。
【0030】
また、車内情報取得部242は、情報取得装置として機能する、監視用車外撮像部204によって撮像されたデータを取得する。監視用車外撮像部204は、例えばカメラ(単眼カメラ、ステレオカメラ、マルチカメラ等)であって、車両200外の例えば前後左右に複数設けられ、車外の動画像を撮像する。なお、監視用車外撮像部204によって撮像されたデータは、動画であってもよいし、静止画像であってもよい。
【0031】
さらに、車内情報取得部242は、情報取得装置として機能する車内撮像部205が撮像したデータを取得する。車内撮像部205は、例えばカメラであって、車両内の出入口ドア、車内を一瞥可能な場所等に複数設けられ、車両200内を撮影する。車内撮像部205によって撮影されたデータは、動画であってもよいし、静止画像であってもよい。車内撮像部205が撮像したデータは、車内の乗客の着席状況、乗車人数、高齢者又は小児といった属性の判定に用いられてよい。
【0032】
なお、車両200の車内には、各種装置として、車内撮像部205のほか、図示しないスピーカ、マイク、ディスプレイ等が備えられてもよい。
【0033】
監視制御部240は、取得した各種データを運行管理装置100へ送信する。なお、監視制御部240は、車両200において発生した急加減速や急旋回(急ハンドル)等が発生した場合、発生した旨のデータを取得し、運行管理装置100へ送信してよい。運行管理装置100へ送信された各種データは必要に応じて適宜加工され、または加工せずに、運行管理センターの表示装置に出力されてよい。例えば、表示装置に出力された車内又は車外の動画像データは、運行管理センターの運行管理者による遠隔監視に用いられてよい。なお、これら各種データは、車両200から運行管理装置100へ所定時間毎に送信されてよく、例えば、毎秒送信されてもよい。
【0034】
通信制御部241は、通信I/F(インタフェース)250による、車両200と運行管理装置100との間のネットワーク300を介した通信(データのやり取り)を制御する。また、通信制御部241は、車両200同士の車車間通信を制御してもよいし、道路に設置された路側機や信号等の道路付帯物に備えられた情報提供装置500と車両200との間の路車間通信を制御してもよい。
【0035】
記憶部270は、典型的には、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、SDカード、フラッシュメモリなど各種の記録媒体により実現され、車両200が動作するうえで必要とする各種プログラム及びデータを記憶(格納)する機能を有する。また、記憶部270は、上述した各種センサから取得したデータや、各撮像部によって撮影された動画像を一時的に記憶してもよい。
【0036】
なお、上述では、自動運転に利用するデータを収集するセンサ及び撮像部と、監視に利用するデータを収集するセンサ及び撮像部を分離した態様について説明したが、これらは同一のハードウェアまたはソフトウェアで実現されてもよい。また、上述では、運転制御部210と監視制御部240とを分離した態様について説明したが、これらは一の制御部で実現されてもよい。
【0037】
<運行管理装置>
次に、
図3を用いて、本発明の一実施形態に係る運行管理装置100のハードウェア構成、機能構成について説明する。
【0038】
(1)運行管理装置のハードウェア構成
運行管理装置100は、制御部110、通信部120、入出力部130、及び記憶部170を備える。
【0039】
制御部110は、典型的にはプロセッサであって、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現される。なお、運行管理装置100は、大量のデータを処理するための演算能力の高いプロセッサを有することが好ましい。
【0040】
通信部120は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装されてよい。通信部120は、ネットワーク300を介して、車両200との間でそれぞれ各種データの送受信を行う。
【0041】
入出力部130は、運行管理装置100に対する各種操作を入力する入力装置(キーボード、タッチパネル、マイク等)、及び、運行管理装置100で処理された処理結果を出力する出力装置(表示装置、スピーカ等)を含んでよい。
【0042】
記憶部170は、運行管理装置100が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部170は、後述する走行環境情報に関する所定の条件を記憶してよい。記憶部170は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含んでよい。また、記憶部170は、制御部110に対する作業領域を提供するメモリ(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等)を含んでよい。
【0043】
(2)運行管理装置の機能構成
運行管理装置100は、制御部110によって実現される機能として、通信制御部111、入出力制御部112、取得部113、判定部114、生成部115、及び走行制御部116を含んでよい。なお、
図3に記載の各機能部は必須ではなく、これ以降に説明する各実施形態において、必須でない機能部はなくともよい。また、各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAIにより実現されてもよい。
【0044】
通信制御部111は、通信部120を介した車両200や情報提供装置500との間の通信を制御する。入出力制御部112は、入出力部130を介した外部装置との有線又は無線を介した情報の入出力を制御する。例えば、入出力制御部112は、車両200から送信された各種データに基づいた管理画面を、運行管理センターに設置された図示しない表示装置へ出力してよい。
【0045】
取得部113は、車両200の制御に用いる、車両200の走行環境に関する複数の走行環境情報を、車両200や情報提供装置500等から取得してよい。走行環境情報とは、車両200が置かれている環境、または、車両200が将来置かれ得る環境に関する情報であって、道路、道路周辺の環境、車両200の状態等に関するあらゆる情報であってよい。車両200から取得される走行環境情報としては、走行する車両200の各種センサや撮像部で収集される情報であって、例えば、車内外の画像、走行位置、走行時間、走行速度、乗客人数、乗客の種別、車内の温湿度、二酸化炭素量、走行時の天候、走行する道路周辺の明るさ、走行する道路の標識、操舵履歴、ブレーキ履歴、道路上の障害物、歩行者情報等であってよい。また、情報提供装置500から取得される走行環境情報としては、信号情報、工事や事故による臨時の交通規制、渋滞、天候、緊急車両の接近等であってよい。
【0046】
判定部114は、車両200の走行中に、走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定してよい。走行環境情報に関する所定の条件とは、車両200の自動運行装置20による制御を停止させる予め設定された条件であってよい。すなわち、所定の条件は、車両200の乗客の安全を守るのに十分な制御を、自動運行装置20では実行できない事象が生じ得ることを、判定可能な条件であってよい。
【0047】
図4に、記憶部170に記憶された所定の条件テーブルTB10の一例を示す。所定の条件テーブルTB10は、各条件を識別する識別子(条件ID(IDentifieer))に、走行環境情報の種類、所定の条件が成立したと判定すべき内容が関連付けられて記憶される。判定部114は、所定の条件テーブルTB10を参照して、車両200A~200Cごとに、走行環境情報が所定の条件を満たすか否かを判定してよい。運行管理装置100は、様々な場所を走行する各車両200や、様々な場所に設置された情報提供装置500から、上述の走行環境情報を取得する。このため、運行管理装置100が取得する情報量は、車両200単体が取得する情報量よりも多く、また地理的に広範囲の走行環境情報を取得することができる。このことを踏まえ、所定の条件テーブルTB10は、走行速度を下げたり、車線を変更する必要があるなど、車両200の走行に留意すべき事象であるにも関わらず、車両200単体では認識できない可能性のある事象を、運行管理装置100が取得した走行環境情報を元に判定可能とする情報を格納してよい。
【0048】
例えば、車両200Aに関する走行環境情報のうち「道路情報」の内容が、「緊急車両の接近」を示すものである場合、判定部114は、車両200Aについて所定の条件が成立したと判定してよい。また、車両200Aに関する走行環境情報のうち「天候情報」の内容が、「〇mm/h以上の降雨」を示すものである場合、判定部114は、車両200Aについて所定の条件が成立したと判定してよい。例えば、ゲリラ豪雨や急な降雪、日射角度による西日の照射等は、車両200の測距センサや車外撮像部が取得する情報の精度を低下させたり、誤動作を引き起こすおそれがある。このため、本発明の一実施形態によれば、所定の条件を設定し、ある車両200の走行時に、他の車両200や情報提供装置500が取得した情報に基づいて、前もってこれらの事象を検出させてよい。なお、所定の条件テーブルTB1における、「車両への指示」については後述する。
【0049】
また、車両200Aに関する走行環境情報のうち「車内情報」の内容が、「コントローラによる異常操作」を示すものである場合、判定部114は、車両200Aについて所定の条件が成立したと判定してよい。これは例えば、車両200にオペレータが乗車し、車両200への制御信号を入力するコントローラを操作している場合に、急激なハンドル操作や、信号情報に反する制御(例えば、赤信号にも関わらず停止操作がない等)が行われた場合を検出可能な条件であってよい。
【0050】
なお、
図4は一例であって、所定の条件テーブルTB10に格納される情報はこれ以上でもこれ以下であってよい。また、運行管理装置100が図示しない学習部をさらに備え、自動運行装置20による自動運転から、運行管理装置100による遠隔操作や、オペレータ等による手動運転に切り替わった際の走行環境情報を学習して、所定の条件テーブルTB10を更新してもよい。
【0051】
生成部115は、所定の条件が成立した場合、自動運行装置20による制御を停止する旨を示す停止指示(停止信号)を生成してよい。通信制御部111は、通信部120を介して、生成部115が生成した停止指示を車両200に送信してよい。車両200の運転制御部210は、受信した停止指示に応じて、ブレーキ装置222やステアリング装置223を制御し、車両200を停止させてよい。
【0052】
このように、本発明の一実施形態によれば、自動運行装置20単体では適切に対処し得ない事象が生じ得ることを、運行管理装置100が遠隔で判定し、車両200を停止させる停止指示を車両200に送信することができる。これにより、自動運転車両200のより安全な走行に資するとともに、車両200による判定処理にかかる負荷を低減させることができる。
【0053】
なお、生成部115は、停止指示に、車両200を、自動運行装置20による制御から、運行管理装置100による制御へ切り替える旨を含ませて生成してよい。所定の条件テーブルTB1は、
図4に示すように、所定の条件が成立した場合の車両への指示内容がさらに記憶されてよい。例えば、判定部114によって判定された所定の条件が、「道路情報」の内容が「〇km先の交通整理」を示すものである場合、生成部115は、所定の条件テーブルTB1を参照して、自動運行装置20による制御から、運行管理装置100による遠隔制御へ切り替える旨を含ませてよい。
【0054】
これにより、自動運行装置20による制御を停止すべき事象が生じた場合に、運行管理装置200による制御にスムーズに移行させることができる。
【0055】
さらに、生成部115は、停止指示に、車両200を、自動運行装置20による制御から、ユーザ(運行管理者、オペレータ等)による制御へ切り替える旨を含ませて生成してよい。すなわち、所定の条件テーブルTB1は、自動運行装置20による制御から、ユーザによる制御へ切り替える場合の条件をさらに含み、生成部115は、所定の条件テーブルTB1を参照して、自動運行装置20による制御から、ユーザによる手動運転へ切り替える旨を含ませてよい。なお、停止指示には、車両200の制御の主体を切り替える旨を、ユーザに通知する情報が含まれてもよい。例えば、自動運転から手動運転に切り替える旨を、音声によって通知させるようにしてもよい。
【0056】
これにより、自動運行装置20による制御を停止すべき事象が生じた場合に、ユーザによる制御にスムーズに移行させることができる。
【0057】
なお、上述のように、自動運行装置20は、複数の走行環境情報のうち、車両200が備える情報取得装置が取得した走行環境情報に応じて、車両の走行を制御するものである。なお情報取得装置とは、例えば、上述した運転制御用センサ群201、制御用車外撮像部202、監視用センサ群203、監視用車外撮像部204、車内撮像部205、運転情報取得部211を含んでよい。運行管理装置100の判定部114は、取得部113が取得した走行環境情報のうち、車両200が備える情報取得装置によって取得されない走行環境情報について、所定の条件が成立したか否かを判定してよい。
【0058】
上述のように、運行管理装置100は、様々な場所を走行する各車両200や、様々な場所に設置された情報提供装置500から、大量の走行環境情報を取得できるため、運行管理装置100が取得する情報量は、車両200単体が取得する情報量よりも多くなり得る。例えば、車両200A単体では、緊急車両の接近を検知できないが、運行管理装置100は、他の車両200B,200Cや路側機500等から取得した情報に基づいて、車両200Aが走行予定の経路上に緊急車両がいることを検出し得る。また、車両200が走行予定の経路上での事故や、局地的な天候の急変等が、運行管理装置100によって、車両200よりも先んじて取得され得る。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、車両200では取得されていない走行環境情報に基づいて、上述した所定の条件の成立が判定されてよい。このため、車両200が将来遭遇し得る事象を前もって検出し、車両200を停止させることができ、より安全な走行に資することが可能となる。
【0060】
運行管理装置100の走行制御部116は、車両200の走行を遠隔で制御してよい。すなわち、走行制御部116は、自動運転を停止させてから遠隔制御に移行した後の車両200の走行を制御してよい。ここで、本発明の一実施形態によれば、走行制御部116は、成立した所定の条件に応じて、制御を開始した際の車両200の制御内容を決定してよい。例えば、所定の条件テーブルTB1における「車両への指示」に、制御開始時の制御内容に関する情報として、停止させる際の速度や、停止位置についての情報がさらに記憶されてよい。走行制御部116は、成立した所定の条件に関連付けられた制御内容に関する情報を参照して、車両200を制御してよい。例えば、緊急車両の接近によって自動運転が停止された場合、走行制御部116は、車両200を、路肩に寄せて急いで停止させてよい。また、降雪によって自動運転が停止された場合、走行制御部116は、車両200を緩やかに停止させてよい。なお、ブレーキの緩急は、加速度の変動具合を予め設定しておくことで実現できてよい。なお、車両200の停止は、車両200の周囲の交通を配慮して行われてよい。例えば、所定の条件が成立した際の車両200の走行場所が交差点であった場合は、走行制御部115は、急ブレーキで停止させることなく、交差点を通過させてから車両200を停止させてよい。
【0061】
このように、本発明の一実施形態によれば、自動運転から遠隔制御に切り替わった際の車両200の挙動が、自動運転を停止させる事象の内容に応じて決定される。したがって、車両200のより安全な走行を実現させることができる。
【0062】
また、走行制御部116は、複数の走行環境情報に基づいて判定される所定の条件が成立した際の、車両200の状況に応じて、制御を開始した際の車両200の制御内容を決定してよい。車両200の状況とは、車両200の車内外の様子や、車両200の走行する道路の状態等を示す情報であって、例えば、車両200の乗客の様子(乗客数、起立/着座、高齢者/子供等)や、交差点、信号待ち等を示す情報であってよい。車両200の状況は、上述した車内撮像部205、制御用車外撮像部202、監視用車外撮像部204等から取得することができてよい。
【0063】
例えば、走行制御部116は、所定の条件が成立した際に、車両200内に起立している乗客が存在する場合は、緩やかに停止させてよい。また、所定の条件が成立した際に、車両200が交差点内を走行している場合は、交差点を通過してから車両200を停止させてよい。
【0064】
このように、本発明の一実施形態によれば、自動運転から遠隔制御に切り替わった際の車両200の挙動が、自動運転を停止させると判定された際の車両200の状況に応じて決定される。したがって、交通に影響を与えることなく、車両200のより安全な走行を実現させることができる。
【0065】
なお、走行制御部116は、所定の条件が成立した場合の自動運行装置20による車両200の制御内容に応じて、自動運行装置20による車両200の制御を継続させてよい。すなわち、所定の条件が成立したことを判定部114が判定した際に、自動運行装置20によって、車両200を停止させる制御が行われたことをサーバ100が検出した場合は、走行制御部116による遠隔制御を行わず、自動運行装置20による自動運転を継続させてよい。
【0066】
自動運行装置20による自動運転を停止させて、制御の主体を移行させる場合、通信の遅延や、切替処理等により、少なからずタイムラグが生じるおそれもある。したがって、所定の条件が成立しても、自動運行装置20による制御を継続することにより安全性が担保される場合は、そのまま自動運行装置20による制御が継続されてよい。これにより、運転主体の不要な切替を行わず、切替による負荷を発生させなくて済むとの利点がある。
【0067】
<運行管理装置の制御フローチャート>
ここで、運行管理装置100の制御方法について、
図5のフローチャートを用いて説明する。まず、運行管理装置100の取得部113は、車両200の制御に用いる、車両200の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得してよい(ステップS11)。なお、取得した走行環境情報は、記憶部170や図示しない外部の記憶装置に記憶されてもよい。運行管理装置100の判定部114は、車両200の走行中に走行環境情報に関する所定の条件が成立したか否かを判定してよい(ステップS12)。所定の条件が成立しないと判定された場合(ステップS12でNO)、ステップS11へ戻り、走行環境情報の取得を継続してよい。所定の条件が成立したと判定された場合(ステップS12でYES)、生成部115は、自動運行装置20による制御を停止する旨を示す停止指示を生成してよい(ステップS13)。そして、通信制御部111は、停止指示を自動運行装置20に送信してよい(ステップS14)。なお、車両200の停止制御は、上述のように、車両200の周囲の交通に影響を及ぼさないように行われてよい。
【0068】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、運行管理装置100が備えるとして説明した各構成部は、複数のサーバに分散されて実現されてもよい。
【0069】
例えば、上述では、自動運行装置20による自動運転を停止させた後に、運行管理装置100による遠隔制御が行われる態様について説明した。しかしながら、自動運転を停止させた後に、車両200に乗車するオペレータ等によるコントローラを介した手動運転や、運行管理センターに待機する運行管理者による遠隔での手動運転が行われてもよい。
【0070】
なお、上述では、運行管理装置100による判定によって、自動運行装置20による自動運転が停止される態様について説明した。しかしながら、所定の条件の内容によっては、自動運転を停止させるか否かを判定する主体の優先度が異なってもよい。例えばオペレータ等が車両200に乗車している場合、車両200の走行環境を最も把握できるものはオペレータ等となる。したがって、運行管理装置100によって自動運転を停止すべきと判定された場合でも、オペレータ等の入力操作により、自動運転を継続させるように制御されてもよい。
【0071】
運行管理装置100、車両200の各機能部は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1または複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。さらに、上述した運行管理装置100は、複数の運行管理装置コンピュータで実現してもよいし、機能によっては、外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)等で呼び出して実現してもよい。
【0072】
運行管理装置100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、運行管理装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。すなわち、本発明に係る運行管理装置100は、CPUがRAM上にロードされたプログラムを実行することにより、上述した各構成部として機能する。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0073】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)、Python、Rubyなどのスクリプト言語、C言語、C++、C#、Objective-C、Swift、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装されてよい。さらに、特許請求の範囲における「部(section、module、unit)」との記載は、「手段」や「回路」に読み替えてもよい。例えば、通信部は、通信手段や通信回路に読み替えることができる。
【0074】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、運行管理装置100に提供されてもよい。
【0075】
上述のように、本発明に関して、特定の実施形態に関して説明したが、本発明が開示された実施形態に限定されないことを述べる。また、特許請求の範囲は、それぞれ、組み合わせた構成を包含であって、特許請求の範囲の変更及び類似の構成を包含するものであってもよい。
【0076】
以上説明した本開示の各態様によれば、安全な自動運転車両の運行が可能となることにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0077】
100 運行管理装置(サーバ)
110 制御部
111 通信制御部
112 表示処理部
113 取得部
114 判定部
115 生成部
116 走行制御部
120 通信部
130 入出力部
170 記憶部
200 自動運転車両
201 運転制御用センサ群
202 制御用車外撮像部
203 監視用センサ群
204 監視用車外撮像部
205 車内撮像部
210 運転制御部
211 運転情報取得部
212 駆動力制御部
213 ブレーキ制御部
214 ステアリング制御部
221 駆動力出力装置
222 ブレーキ装置
223 ステアリング装置
240 監視制御部
241 通信制御部
242 車内情報取得部
250 通信I/F
260 表示部
270 記憶部
300 ネットワーク
400 地図データベース
500 情報提供装置
700 運行管理システム
【手続補正書】
【提出日】2023-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置であって、
前記自動運行装置による制御を停止する予め設定された所定の条件を記憶する記憶部と、
前記車両の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得する取得部と、
前記車両の走行中に、前記走行環境情報について前記所定の条件が成立したか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件が成立した場合、前記自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する生成部と、
前記停止指示を前記自動運行装置に送信する送信部と、
前記車両の走行を制御する走行制御部と、
を備え、
前記生成部は、前記停止指示に、前記車両を、前記自動運行装置による制御から、前記走行制御部による制御へ切り替える旨を含ませて生成する、運行管理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記停止指示に、前記車両を、前記自動運行装置による制御から、ユーザによる制御へ切り替える旨を含ませて生成する、請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記自動運行装置は、前記複数の走行環境情報のうち前記車両が備える情報取得装置が取得した走行環境情報に応じて、前記車両の走行を制御するものであって、
前記判定部は、前記取得部が取得した走行環境情報のうち、前記車両が備える情報取得装置によって取得されない走行環境情報について、前記所定の条件が成立したか否かを判定する、請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項4】
前記走行制御部は、成立した前記所定の条件に応じて、制御を開始した際の前記車両の制御内容を決定する、請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項5】
前記走行制御部は、前記所定の条件が成立した際の前記車両の状況を、前記複数の走行環境情報に基づいて判定し、前記状況に応じて、制御を開始した際の前記車両の制御内容を決定する、請求項4に記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記走行制御部は、前記所定の条件が成立した場合の前記自動運行装置による前記車両の制御内容に応じて、前記自動運行装置による前記車両の制御を継続させる、請求項4に記載の運行管理装置。
【請求項7】
自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置の制御方法であって、
運行管理装置が、
前記自動運行装置による制御を停止する予め設定された所定の条件を記憶するステップと、
前記車両の運行に関する複数の走行環境情報を取得するステップと、
前記車両の走行中に前記走行環境情報について前記所定の条件が成立したか否かを判定するステップと、
前記所定の条件が成立した場合、前記自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示であって、前記車両を、前記自動運行装置による制御から、前記運行管理装置による制御へ切り替える旨を含む停止指示を生成するステップと、
前記停止指示を前記自動運行装置に送信するステップと、
前記車両の走行を制御するステップと、
を実行する、運行管理装置の制御方法。
【請求項8】
自車両が備える自動運行装置の制御により走行する車両を遠隔で管理する運行管理システムに係る運行管理装置の制御プログラムであって、
前記運行管理装置に、
前記自動運行装置による制御を停止する予め設定された所定の条件を記憶する機能と、
前記車両の走行環境に関する複数の走行環境情報を取得する機能と、
前記車両の走行中に前記走行環境情報について前記所定の条件が成立したか否かを判定する機能と、
前記所定の条件が成立した場合、前記自動運行装置による制御を停止する旨を示す停止指示を生成する機能と、
前記停止指示を前記自動運行装置に送信する機能と、
前記車両の走行を制御する走行制御機能と、
を実現させ、
前記生成する機能は、前記停止指示に、前記車両を、前記自動運行装置による制御から、前記走行制御機能による制御へ切り替える旨を含ませて生成する、運行管理装置の制御プログラム。