(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158965
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】磁界センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/032 20060101AFI20231024BHJP
G01R 15/24 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01R33/032
G01R15/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069059
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】土屋 智春
(72)【発明者】
【氏名】饗場 哲也
(72)【発明者】
【氏名】須江 聡
【テーマコード(参考)】
2G017
2G025
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AD12
2G017BA05
2G017BA11
2G025AB10
2G025AC06
(57)【要約】
【課題】入射光の光量を制御するために使用される電気信号を生成可能な磁界センサ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】磁界センサ装置1は、入射光を出射する発光部10と、入射光が導入され、入射光に応じた戻り光を導出する磁界センサ14と、戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、S偏光成分及びP偏光成分に基づいて、戻り光の光量を示す光量信号を生成する信号生成部20と、光量信号に基づいて入射光の光量を制御する光量制御部15とを有し、信号生成部20は、S偏光成分の光量に応じた第1電流を出力する第1光電変換素子22と、P偏光成分の光量に応じた第2電流を出力する第2光電変換素子23と、第1電流を示す第1電流信号を生成する第1電流信号生成回路25と、第2電流を示す第2電流信号を生成する第2電流信号生成回路26と、第1電流信号と第2電流信号とを合成して光量信号を生成する光量信号生成回路27とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を出射する発光部と、
前記入射光が導入され、該入射光に応じた戻り光を導出し、且つ、少なくともその一部が所定の磁界内に配置可能な磁界センサと、
前記戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、前記S偏光成分及び前記P偏光成分に基づいて、前記磁界センサが配置される磁界に応じた検出信号、及び前記戻り光の光量を示す光量信号を生成する信号生成部と、
前記入射光を前記磁界センサへ透過させ、且つ、前記戻り光を前記信号生成部へ分岐する光分岐部と、
前記光量信号に基づいて前記入射光の光量を制御する光量制御部と、を有し、
前記信号生成部は、
前記S偏光成分を受光して、受光した前記S偏光成分の光量に応じた第1電流を出力する第1光電変換素子と、
前記P偏光成分を受光して、受光した前記P偏光成分の光量に応じた第2電流を出力する第2光電変換素子と、
前記第1電流を示す第1電流信号を生成する第1電流信号生成回路と、
前記第2電流を示す第2電流信号を生成する第2電流信号生成回路と、
前記第1電流信号と前記第2電流信号とを合成して前記光量信号を生成する光量信号生成回路と、
を有する、ことを特徴とする磁界センサ装置。
【請求項2】
前記第1電流信号生成回路は、前記第1光電変換素子に直列接続される第1変換抵抗、及び前記第1変換抵抗に印加される第1変換電圧と絶対値が等しい電圧を前記第1電流信号として抽出する第1電流信号抽出回路を有し、
前記第2電流信号生成回路は、前記第2光電変換素子に直列接続される第2変換抵抗、及び前記第2変換抵抗に印加される第2変換電圧と絶対値が等しい電圧を前記第2電流信号として抽出する第2電流信号抽出回路を有する、請求項1に記載の磁界センサ装置。
【請求項3】
前記第1電流信号抽出回路は、前記第1変換抵抗の一端の電圧から前記第1変換抵抗の他端の電圧を減算する減算回路であり、
前記第2電流信号抽出回路は、前記第2変換抵抗の一端の電圧から前記第2変換抵抗の他端の電圧を減算する減算回路である、請求項2に記載の磁界センサ装置。
【請求項4】
前記第1電流信号生成回路は、前記第1電流と電流値が同一である電流を前記第1電流信号として抽出する第1電流信号抽出回路を有し、
前記第2電流信号生成回路は、前記第2電流と電流値が同一である電流を前記第2電流信号として抽出する第2電流信号抽出回路を有する、請求項1に記載の磁界センサ装置。
【請求項5】
前記第1電流信号抽出回路は、前記第1電流と電流値が同一である電流を前記第1電流信号として出力するカレントミラー回路であり、
前記第2電流信号抽出回路は、前記第2電流と電流値が同一である電流を前記第2電流信号として出力するカレントミラー回路である、請求項4に記載の磁界センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファラデー効果により磁界を検出するセンサ装置において、磁界が印加されるファラデー素子に入射される光の光量を、ファラデー素子からの戻り光の光量に基づいてフィードバック制御する磁界センサ装置が知られている(例えば、特許文献1及び2を参照)。特許文献1及び2は、戻り光の光量に基づいて入射光の光量を制御することで、発光素子及び光電変換素子とファラデー素子との間を光学的に接続する光ファイバ等の光路における減衰等のノイズを反映した入射光の光量の制御が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-119134号公報
【特許文献2】米国特許第11079412号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2には、ファラデー素子からの戻り光を、入射光の光量を制御するために使用される電気信号に変換する電気回路の具体的な構成は開示されていない。
【0005】
本発明は、入射光の光量を制御するために使用される電気信号を生成可能な磁界センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る磁界センサ装置は、入射光を出射する発光部と、入射光が導入され、入射光に応じた戻り光を導出し、且つ、少なくともその一部が所定の磁界内に配置可能な磁界センサと、戻り光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、S偏光成分及びP偏光成分に基づいて、磁界センサが配置される磁界に応じた検出信号、及び戻り光の光量を示す光量信号を生成する信号生成部と、入射光を磁界センサへ透過させ、且つ、戻り光を信号生成部へ分岐する光分岐部と、光量信号に基づいて入射光の光量を制御する光量制御部と、を有し、信号生成部は、S偏光成分を受光して、受光したS偏光成分の光量に応じた第1電流を出力する第1光電変換素子と、P偏光成分を受光して、受光したP偏光成分の光量に応じた第2電流を出力する第2光電変換素子と、第1電流を示す第1電流信号を生成する第1電流信号生成回路と、第2電流を示す第2電流信号を生成する第2電流信号生成回路と、第1電流信号と第2電流信号とを合成して光量信号を生成する光量信号生成回路とを有する。
【0007】
さらに、本発明に係る磁界センサ装置では、第1電流信号生成回路は、第1光電変換素子に直列接続される第1変換抵抗、及び第1変換抵抗に印加される第1変換電圧と絶対値が等しい電圧を第1電流信号として抽出する第1電流信号抽出回路を有し、第2電流信号生成回路は、第2光電変換素子に直列接続される第2変換抵抗、及び第2変換抵抗に印加される第2変換電圧と絶対値が等しい電圧を第2電流信号として抽出する第2電流信号抽出回路を有することが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係る磁界センサ装置では、第1電流信号抽出回路は、第1変換抵抗の一端の電圧から第1変換抵抗の他端の電圧を減算する減算回路であり、第2電流信号抽出回路は、第2変換抵抗の一端の電圧から第2変換抵抗の他端の電圧を減算する減算回路であることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る磁界センサ装置では、第1電流信号生成回路は、第1電流と電流値が同一である電流を第1電流信号として抽出する第1電流信号抽出回路を有し、第2電流信号生成回路は、第2電流と電流値が同一である電流を第2電流信号として抽出する第2電流信号抽出回路を有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る磁界センサ装置では、第1電流信号抽出回路は、第1電流と電流値が同一である電流を第1電流信号として出力するカレントミラー回路であり、第2電流信号抽出回路は、第2電流と電流値が同一である電流を第2電流信号として出力するカレントミラー回路であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る磁界センサ装置は、入射光の光量を制御するために使用される電気信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る磁界センサ装置を示すブロック図である。
【
図3】第2実施形態に係る磁界センサ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明に係る磁界センサ装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
(第1実施形態に係る磁界センサ装置の構成及び機能)
図1は、第1実施形態に係る磁界センサ装置を示すブロック図である。
【0015】
磁界センサ装置1は、発光部10と、サーキュレータ11と、第1光学素子12と、光路部13と、磁界センサ14と、光量制御部15と、信号生成部20とを有する干渉型光磁界センサ装置である。発光部10、サーキュレータ11、第1光学素子12、光路部13、磁界センサ14及び信号生成部20の間の光路は、PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバ16によって形成される。PANDAファイバ16の外径は、一例では125μmである。なお、第1光学素子12、光路部13、磁界センサ14及び信号生成部20の間の光路は、ボウタイ(Bow-tie)ファイバ及び楕円ジャケット(Elliptical Jacket)ファイバ等の偏波保持型の光ファイバによって形成されてもよい。
【0016】
発光部10は、発光素子10aと、アイソレータ10bと、偏光子10cとを有する。発光素子10aは、一例では半導体レーザ又は発光ダイオードであり、サーキュレータ11、第1光学素子12及び光路部13を介して磁界センサ14に入射する入射光を出射する。具体的には、発光素子10aとして、ファブリペローレーザー、スーパールミネッセンスダイオード等を好ましく用いることができる。発光素子10aから出射される入射光の光量は、光量制御部15によって制御される。
【0017】
アイソレータ10bは、発光素子10aから入射された光をサーキュレータ11側に透過すると共に、サーキュレータ11から入射された光を発光素子10a側に透過しないことで、発光素子10aを保護する。アイソレータ10bは、一例では偏光依存型光アイソレータであり、偏光無依存型光アイソレータであってもよい。
【0018】
偏光子10cは、発光素子10aが発した光を直線偏波光にするための光学素子であり、その種類は特に限定されない。偏光子10cで得られる第1直線偏波光は、サーキュレータ11を介して第1光学素子12に入射される。
【0019】
サーキュレータ11は、発光部10から出射された第1直線偏波光を第1光学素子12に透過すると共に、第1光学素子12から出射された第2直線偏波光を信号生成部20に分岐する光分岐部である。サーキュレータ11は、一例ではファラデー回転子、1/2波長板、偏光ビームスプリッタ、及び反射ミラーによって形成される。
【0020】
第1光学素子12は、一例ではサーキュレータ11から入射される第1直線偏波光の偏光面に対して方位角が22.5度になるように配置された1/2波長板である。第1光学素子12は、サーキュレータ11から入射される第1直線偏波光の偏光面を45度回転し、光路部13に第1直線偏波光を出射する。第1光学素子12で偏光面が45度回転した第1直線偏波光は、P偏光である第1直線偏光CW1と、第1直線偏光CW1に直交するS偏光である第2直線偏光CCW1とを有する。
【0021】
また、第1光学素子12は、光路部13から入射される直線偏波光である第2直線偏波光の偏光面を45度回転し、サーキュレータ11に出射する。
【0022】
光路部13は、第1ビームスプリッタ13aと、第2ビームスプリッタ13bと、第1光路13cと、第2光路13dと、第2光学素子13eとを有する。
【0023】
第1ビームスプリッタ13aは、第1直線偏光CW1を第1光路13cに出射すると共に、第2直線偏光CCW1を第2光路13dに出射する。また、第1ビームスプリッタ13aは、第3直線偏光CW2が第2光路13dから入射されると共に、第4直線偏光CCW2が第1光路13cから入射される。第3直線偏光CW2及び第4直線偏光CW2は、第1光学素子12に出射される第2直線偏波光の互いに直交する偏光成分である。
【0024】
第2ビームスプリッタ13bは、第1直線偏光CW1が第1光路13cから入射されると共に、第2直線偏光CCW1が第2光路13dから入射される。また、第2ビームスプリッタ13bは、第3直線偏光CW2を第2光路13dに出射すると共に、第4直線偏光CCW2を第1光路13cに出射する。
【0025】
第1ビームスプリッタ13a及び第2ビームスプリッタ13bは、入射光をP偏光成分とS偏光成分とに分離し、且つ、P偏光成分とS偏光成分とを合成し出射する。第1ビームスプリッタ13a及び第2ビームスプリッタ13bは、一例ではプリズム型ビームスプリッタであるが、平面型ビームスプリッタ又はウェッジ型ビームスプリッタであってもよい。
【0026】
第1光路13cは、第1ビームスプリッタ13aから導入された第1直線偏光CW1を第2ビームスプリッタ13bに導出すると共に、第2ビームスプリッタ13bから導入された第4直線偏光CCW2を第1ビームスプリッタ13aに導出する。第2光路13dは、第1ビームスプリッタ13aから導入された第2直線偏光CCW2を第2ビームスプリッタ13bに導出すると共に、第2ビームスプリッタ13bから導入された第3直線偏光CW2を第1ビームスプリッタ13aに導出する。
【0027】
第1光路13cは、一端が第1ビームスプリッタ13aに光学的に接続され且つ他端が第2ビームスプリッタ13bに光学的に接続されたPANDAファイバである。第2光路13dは、一端が第1ビームスプリッタ13aに光学的に接続され且つ他端が第2ビームスプリッタ13bに光学的に接続されたPANDAファイバである。なお、第1光路13c及び第2光路13dは、ボウタイファイバ及び楕円ジャケットファイバ等の偏波保持ファイバであってもよい。第2光路13dには、第2光学素子13eが配置される。
【0028】
第2光学素子13eは、第1(1/4)波長板13fと、第2(1/4)波長板13gと、45度ファラデー回転子13hとを有する。
【0029】
第1(1/4)波長板13fは、第2光路13dを形成するPANDAファイバの遅相軸及び進相軸に対して光学軸が45度傾斜して配置される1/4波長板である。第1(1/4)波長板13fは、直線偏光を円偏光に変換すると共に、円偏光を直線偏光に変換する。
【0030】
第2(1/4)波長板13gは、第2光路13dを形成するPANDAファイバの遅相軸及び進相軸に対して光学軸が-45度傾斜して配置される1/4波長板である。第2(1/4)波長板13gは、45度ファラデー回転子13hから円偏光を直線偏光に変換すると共に、直線偏光を円偏光に変換する。
【0031】
45度ファラデー回転子13hは、第1(1/4)波長板13f及び第2(1/4)波長板13gのそれぞれから入射される円偏光の位相を変化させるファラデー回転子である。
【0032】
45度ファラデー回転子13hは、第2(1/4)波長板13gから出射される第2直線偏光CCW1の位相が第1(1/4)波長板13fに入射される直線偏光である第2直線偏光CCW1の位相から45シフトするように、第1(1/4)波長板13fから入射される円偏光の位相を変化させる。また、45度ファラデー回転子13hは、第1(1/4)波長板13fから出射される第3直線偏光CW2の位相が第2(1/4)波長板13gに入射される第3直線偏光CW2の位相から-45シフトするように、円偏光の位相を変化させる。
【0033】
磁界センサ14は、PANDAファイバ16の先端に配置され、PANDAファイバ16を介して第2ビームスプリッタ13bに光学的に接続される。磁界センサ14は、第2ビームスプリッタ13bとの間を光学的に接続される1/4波長板と、1/4波長板に光学的に接続されるファラデー回転子と、ファラデー回転子に光学的に接続されるミラー素子とを有する。1/4波長板は、PANDAファイバ16の遅相軸及び進相軸に対して光学軸が45度傾斜して配置され、直線偏光である入射光の偏光状態を円偏光に変換すると共に、ファラデー回転子から円偏光として入射される戻り光の偏光状態を直線偏光に変換する。ファラデー回転子は、誘電体と、誘電体から安定的に相分離した状態で誘電体中に分散しているナノオーダの磁性体粒子とを有するグラニュラー膜であり、印加される磁界に応じたファラデー回転角だけ円偏光の位相を変化させる。磁界センサ14は、発光部10が出射した直線偏波光が入射光として入射されると共に、光ファイバ16を介して入射光が入射されたときに、印加される磁界に応じた戻り光を出射する。
【0034】
光量制御部15は、信号生成部20から入力される光量信号VLに応じて、ACC(Automactic Current Control)方式及びAPC(Automotic Power Control)方式等の制御手段によりにより発光素子10aが出射する入射光の光量をフィードバック制御する。ACC方式及びAPC方式等の発光素子10aの制御手段は、よく知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0035】
信号生成部20は、第3ビームスプリッタ21と、第1光電変換素子22と、第2光電変換素子23と、検出信号生成回路24と、第1電流信号生成回路25と、第2電流信号生成回路26と、光量信号生成回路27とを有する。信号生成部20は、サーキュレータ11で分岐された第2直線偏波光をS偏光成分及びP偏光成分に分離し、分離したS偏光成分及びP偏光成分から、磁界センサ14に印加される磁界に応じた検出信号Ed、及び戻り光の光量を示す光量信号VLを生成する。
【0036】
第3ビームスプリッタ21は、プリズム型、平面型、ウェッジ基板型及び光導波路型等の偏光ビームスプリッタ(PBS)であり、サーキュレータ11で分岐された第2直線偏波光をS偏光成分PSとP偏光成分PPとに分離する。
【0037】
第1光電変換素子22及び第2光電変換素子23のそれぞれは、一例ではPINフォトダイオードである。第1光電変換素子22はS偏光成分PSを受光し、第2光電変換素子23はP偏光成分PPを受光する。第1光電変換素子22は、S偏光成分PSを受光して、受光したS偏光成分PSの光量に応じた第1電流I1を検出信号生成回路24及び第1電流信号生成回路25に出力する。第2光電変換素子23は、P偏光成分PPを受光して、受光したP偏光成分PPの光量に応じた第2電流I2を検出信号生成回路24及び第2電流信号生成回路26に出力する。
【0038】
【0039】
検出信号生成回路24は、可変抵抗30と、検出バッファ回路31と、検出増幅回路32と、検出減算回路33とを有する。可変抵抗30は、一端が一例では5Vである第1電源電圧VDDに接続され、他端が接地される。検出バッファ回路31は、第1検出オペアンプ31aと、第1検出抵抗31bとを有し、可変抵抗30の一点に接続され、0Vと電源電圧VDDとの間の電圧を選択して検出減算回路33に出力する。第1検出オペアンプ31aの非反転入力端子は可変抵抗30の一点を選択可能に接続され、第1検出オペアンプ31aの反転入力端子は第1検出抵抗31bを介して第1検出オペアンプ31aの出力端子に接続される。
【0040】
検出増幅回路32は、第2検出オペアンプ32aと、第2検出抵抗32bとを有し、第1電流I1と第2電流I2との差に応じた差動電圧Vdiffを反転増幅して検出減算回路33に出力する。第2検出オペアンプ32aの非反転入力端子は接地され、第2検出オペアンプ32aの反転入力端子は第1光電変換素子22のアノード、第2光電変換素子23のカソード及び第2検出抵抗32bの一端に接続される。第2検出オペアンプ32aの出力端子は、第2検出抵抗32bの他端及び検出減算回路33に接続され、差動電圧Vdiffを検出減算回路33に出力する。
【0041】
検出減算回路33は、第3検出オペアンプ33aと、第3検出抵抗33bと、第4検出抵抗33cと、第5検出抵抗33dと、第6検出抵抗33eとを有する。第3検出オペアンプ33aの非反転入力端子は第3検出抵抗33b及び第4検出抵抗33cの一端に接続され、第3検出オペアンプ33aの反転入力端子は第5検出抵抗33d及び第6検出抵抗33eの一端に接続される。第3検出オペアンプ33aの出力端子は、第6検出抵抗33eの他端に接続され、検出信号Edを出力する。第3検出抵抗33bの他端は第2検出オペアンプ32aの出力端子の一端に接続され、第4検出抵抗33cの他端は接地され、第5検出抵抗33dの他端は第1検出オペアンプ31aの出力端子に接続される。
【0042】
検出減算回路33は、第2検出オペアンプ32aから入力される差動電圧Vdiffから、検出バッファ回路31によって選択される可変抵抗30の電圧を減算することで、検出信号Edを生成し、生成した検出信号Edを出力する。検出バッファ回路31によって選択される可変抵抗30の電圧を、第2検出オペアンプ32aにおいて発生するノイズ電圧と一致するように設定することで、第2検出オペアンプ32aにおいて発生するノイズ電圧を補償することができる。
【0043】
第1電流信号生成回路25は、第1基準抵抗40と、第1変換抵抗41と、第1電流信号抽出回路42とを有し、第1光電変換素子22が受光するS偏光成分PSの光量に応じた第1電流I1を示す第1電流信号V1を生成する。第1基準抵抗40は、一例では1kΩである第1基準抵抗値RB1を有し、一端が第1電源電圧VDDに接続され、他端が第1変換抵抗41の一端及び第1電流信号抽出回路42に接続される。第1変換抵抗41は、一例では100Ωである第1変換抵抗値RC1を有し、他端が第1光電変換素子22のカソード及び第1電流信号抽出回路42に接続される。第1基準抵抗40及び第1変換抵抗41は、第1光電変換素子22に直列接続され、S偏光成分PSを受光することに応じて第1光電変換素子22に流れる第1電流I1に応じた電圧が印加される。第1基準抵抗40には第1基準抵抗値RB1と第1電流I1とを乗じた第1基準電圧VB1が印加され、第1変換抵抗41には第1変換抵抗値RC1と第1電流I1とを乗じた第1変換電圧VC1が印加される。
【0044】
第1電流信号抽出回路42は、第1生成オペアンプ43と、第1生成抵抗44と、第2生成抵抗45と、第3生成抵抗46と、第4生成抵抗47とを有する減算回路である。第1電流信号抽出回路42は、第1変換抵抗41に印加される第1変換電圧VC1を反転した電圧を第1電流信号V1として抽出する。第1生成抵抗44、第2生成抵抗45、第3生成抵抗46及び第4生成抵抗47の抵抗値は、一例では10kΩである。第1電流信号抽出回路42の構成は、検出減算回路33と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。第1電流信号抽出回路42は、第1変換抵抗41の一端の電圧から第1変換抵抗41の他端の電圧を減算することで、第1変換抵抗41に印加される第1変換電圧VC1を反転した電圧を第1電流信号V1として抽出する。
【0045】
第2電流信号生成回路26は、第2基準抵抗50と、第2変換抵抗51と、第2電流信号抽出回路52とを有し、第2光電変換素子23が受光するP偏光成分PPの光量に応じた第2電流I2を示す第2電流信号V2を生成する。第2基準抵抗50は、第1基準抵抗値RB1と等しい第2基準抵抗値RB2を有し、一端が第2電源電圧VSSに接続され、他端が第2変換抵抗51の一端及び第2電流信号抽出回路52に接続される。第2基準抵抗50の一端が接続される第2電源電圧VSSは、一例では-5Vである。第2変換抵抗51は、第1変換抵抗値RC1と等しい第2変換抵抗値RC2を有し、他端が第2光電変換素子23のアノード及び第2電流信号抽出回路52に接続される。第2基準抵抗50及び第2変換抵抗51は、第2光電変換素子23に直列接続され、P偏光成分PPを受光することに応じて第2光電変換素子23に流れる第2電流I2に応じた電圧が印加される。第2基準抵抗50には第2基準抵抗値RB2と第2電流I2とを乗じた第2基準電圧VB2が印加され、第2変換抵抗51には第2変換抵抗値RC2と第2電流I2とを乗じた第2変換電圧VC2が印加される。
【0046】
第2電流信号抽出回路52は、第2生成オペアンプ53と、第5生成抵抗54と、第6生成抵抗55と、第7生成抵抗56と、第8生成抵抗57とを有する減算回路であり、第2変換抵抗51に印加される第2変換電圧VC2を第2電流信号V2として抽出する。第5生成抵抗54、第6生成抵抗55、第7生成抵抗56及び第8生成抵抗57の抵抗値は、一例では10kΩである。第2電流信号抽出回路52の構成は、検出減算回路33と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。第2電流信号抽出回路52は、第2変換抵抗51の一端の電圧から第2変換抵抗51の他端の電圧を減算することで、第2変換抵抗51に印加される第2変換電圧VC2を第2電流信号V2として抽出する。
【0047】
光量信号生成回路27は、光量減算回路61と、光量バッファ62とを有し、第1電流信号V1と第2電流信号V2とを合成して光量信号VLを生成し、生成した光量信号VLをする光量制御部15に出力する。
【0048】
光量減算回路61は、第1光量オペアンプ63と、第1光量抵抗64と、第2光量抵抗65と、第3光量抵抗66と、第4光量抵抗67とを有する減算回路であり、第2電流信号V2から第1電流信号V1を減算し、光量信号VLを生成する。第1光量抵抗64、第2光量抵抗65、第3光量抵抗66及び第4光量抵抗67の抵抗値は、一例では1kΩである。光量減算回路61の構成は、検出減算回路33と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0049】
光量減算回路61は、第2電流信号抽出回路52において第2電流信号V2として抽出された第2変換電圧VC2から、第1電流信号抽出回路42において第1電流信号V1として抽出された第1変換電圧VC1を反転した電圧を減算する。光量減算回路61は、第2変換電圧VC2から第1変換電圧VC1を反転した電圧を減算することで、第1変換電圧VC1と第2変換電圧VC2とを加算して、光量信号VLを生成する。
【0050】
光量バッファ62は、第2光量オペアンプ68を有し、光量減算回路61から入力される光量信号VLを光量制御部15に出力する。光量制御部15は、光量信号VLが入力されることに応じて、発光素子10aが出射する入射光の光量をフィードバック制御する。
【0051】
(第1実施形態に係る磁界センサ装置の作用効果)
磁界センサ装置1は、第1光電変換素子22及び第2光電変換素子23のそれぞれから出力される第1電流I1及び第2電流I2を示す第1電流信号V1及び第2電流信号V2を合成して光量信号VLを生成するので、簡便な構成により光量信号VLを生成できる。
【0052】
磁界センサ装置1は、減算回路である第1電流信号抽出回路42によって第1変換抵抗41に印加される第1変換電圧VC1を反転した電圧を第1電流信号V1として抽出する。また、磁界センサ装置1は、減算回路である第2電流信号抽出回路52によって第2変換抵抗51に印加される第2変換電圧VC2を第2電流信号として抽出する。磁界センサ装置1は、第1電流信号抽出回路42及び第2電流信号抽出回路52を簡便な回路構成で実現可能な減算回路により形成するので、簡便な構成により光量信号VLを生成できる。
【0053】
(第2実施形態に係る磁界センサ装置の構成及び機能)
図3は、第2実施形態に係る磁界センサ装置を示すブロック図である。
【0054】
磁界センサ装置2は、信号生成部70を信号生成部20の代わりに有することが磁界センサ装置1と相違する。信号生成部70は、第1電流信号生成回路71及び第2電流信号生成回路72を第1電流信号生成回路25及び第2電流信号生成回路26の代わりに有することが信号生成部20と相違する。第1電流信号生成回路71及び第2電流信号生成回路72以外の磁界センサ装置2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された磁界センサ装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0055】
【0056】
第1電流信号生成回路71は、第1基準抵抗73と、第1電流信号抽出回路74とを有し第1光電変換素子22が受光するS偏光成分PSの光量に応じた第1電流I1を示す第1電流信号IO1を生成する。第1基準抵抗73は、一例では1kΩである第1基準抵抗値RB1を有し、一端が第1電流信号抽出回路74に接続され、他端が第1光電変換素子22のアノードに接続される。
【0057】
第1電流信号抽出回路74は、pMOSFETである第1トランジスタ75及び第2トランジスタ76を有し、第1電流信号IO1を抽出する。第1トランジスタ75及び第2トランジスタ76のゲート並びに第1トランジスタ75のドレインは第1基準抵抗73の一端に接続され、第1トランジスタ75及び第2トランジスタ76のソースは第1電源電圧VDDに接続される。第2トランジスタ76のドレインは第3光量抵抗66の一端に接続される。第1トランジスタ75及び第2トランジスタ76は、カレントミラー回路を形成する。S偏光成分PSを受光することに応じて第1光電変換素子22に第1電流I1が流れることに応じて、第1トランジスタ75のドレイン電流として第1電流I1が流れる。第1トランジスタ75のドレイン電流として第1電流I1が流れると、第1電流I1と電流量が同一である第1電流信号IO1が第2トランジスタ76のドレイン電流として流れる。
【0058】
第2電流信号生成回路72は、第2基準抵抗77と、第2電流信号抽出回路78とを有し第2光電変換素子23が受光するP偏光成分PPの光量に応じた第2電流I2を示す第2電流信号IO2を生成する。第2基準抵抗77は、第1基準抵抗値RB1と等しい第2基準抵抗値RB2を有し、一端が第2光電変換素子23に接続され、他端が第2電流信号抽出回路78に接続される。
【0059】
第2電流信号抽出回路78は、nMOSFETである第3トランジスタ79及び第4トランジスタ80を有し、第2電流信号IO2を抽出する。第3トランジスタ79及び第4トランジスタ80のゲート並びに第3トランジスタ79のドレインは第2基準抵抗77の他端に接続され、第3トランジスタ79及び第4トランジスタ80のソースは第2電源電圧VSSに接続される。第4トランジスタ80のドレインは第1光量抵抗64の一端に接続される。第3トランジスタ79及び第4トランジスタ80は、第1トランジスタ75及び第2トランジスタ76と同様に、カレントミラー回路を形成する。P偏光成分PPを受光することに応じて第2光電変換素子23に第2電流I2が流れることに応じて、第3トランジスタ79のドレイン電流として第2電流I2が流れる。第3トランジスタ79のドレイン電流として第2電流I2が流れると、第2電流I2と電流量が同一であり且つ第1電流I1と反対の方向に流れる第2電流信号IO2が第4トランジスタ80のドレイン電流として流れる。
【0060】
光量減算回路61は、第1電流I1と電流値が同一である第1電流信号IO1から、第2電流I2と電流値が同一であり且つ第1電流I1と反対の方向に流れる第2電流信号IO2を減算する。光量減算回路61は、第1電流信号IO1から第1電流I1と反対の方向に流れる第2電流信号IO2を減算することで、第1電流信号IO1と第2電流信号IO2とを加算して、光量信号VLを生成する。
【0061】
(第2実施形態に係る磁界センサ装置の作用効果)
磁界センサ装置2は、カレントミラー回路である第1電流信号抽出回路74によって第1電流I1と電流量が同一である第1電流信号IO1を抽出する。また、磁界センサ装置1は、カレントミラー回路である第2電流信号抽出回路78によって第2電流I2と電流量が同一であり且つ第1電流I1と反対の方向に流れる第2電流信号IO2を抽出する。磁界センサ装置1は、第1電流信号抽出回路42及び第2電流信号抽出回路52を簡便な回路構成で実現可能なカレントミラー回路により形成するので、簡便な構成により光量信号VLを生成できる。
【0062】
(実施形態に係る磁界センサ装置の変形例)
磁界センサ装置1及び2は、干渉型光磁界センサ装置であるが、実施形態に係る磁界センサは、干渉型光磁界センサ装置以外の磁界センサであってもよい。
【0063】
また、磁界センサ装置1及び2では、光量信号生成回路27は、減算処理を実行する光量減算回路61を有するが、実施形態に係る磁界センサでは、光量信号生成回路は、第1電流信号及び第2電流信号を加算する加算回路を有してもよい。
【0064】
また、磁界センサ装置2では、第1電流信号抽出回路74及び第2電流信号抽出回路78は、MOSFETにより形成される。しかしながら、実施形態に係る磁界センサでは、第1電流信号抽出回路及び第2電流信号抽出回路は、バイポーラトランジスタによって形成されてもよい。
【0065】
また、磁界センサ装置1では、第1電流信号抽出回路42及び第2電流信号抽出回路52は、減算回路として形成されるが、実施形態に係る磁界センサでは、第1電流信号抽出回路及び第2電流信号抽出回路は、加算回路として形成されてもよい。
【0066】
また、磁界センサ装置2では、第1電流信号抽出回路74及び第2電流信号抽出回路78は、MOSFETにより形成される。しかしながら、実施形態に係る磁界センサでは、第1電流信号抽出回路及び第2電流信号抽出回路は、バイポーラトランジスタによって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、2 磁界センサ装置
10 発光部
11 サーキュレータ
12 1/2波長板
13 光路部
14 磁界センサ
15 光量制御部
20、70 信号生成部
21 第3ビームスプリッタ
22 第1光電変換素子
23 第2光電変換素子
24 検出信号生成回路
25、71 第1電流信号生成回路
26、72 第2電流信号生成回路
27 光量信号生成回路