(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015899
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】荷物移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 67/02 20060101AFI20230125BHJP
B61D 15/00 20060101ALI20230125BHJP
B60P 1/54 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65G67/02
B61D15/00 A
B60P1/54 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119974
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】591153145
【氏名又は名称】ユニオン建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向山 薫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 貴史
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA01
3F076BA03
3F076CA03
3F076CA08
3F076DA12
3F076DB13
(57)【要約】
【課題】隙間と高低差がある軌陸車荷台とホーム間の荷物の移載を容易とする。
【解決手段】隙間と高低差がある場所の間で荷物を移載するための荷物移載装置において、一対の第1のガイドレール(12)と脚(16、18)を有し、一方側(100)に固定される第1フレーム(10)と、前記第1のガイドレール(12)に対向する、一対の第2のガイドレール(22)と脚(26)を有し、他方側(200)に載置される第2フレーム(20)と、前記第1のガイドレール(12)と前記第2のガイドレール(22)を連結してブリッジ状のフレームを仮設するための連結部材(30)と、前記連結されたガイドレール(12、22)上を移動するようにされた吊上げ具(42)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間と高低差がある場所の間で荷物を移載するための荷物移載装置において、
一対の第1のガイドレールと脚を有し、一方側に固定される第1フレームと、
前記第1のガイドレールに対向する、一対の第2のガイドレールと脚を有し、他方側に載置される第2フレームと、
前記第1のガイドレールと前記第2のガイドレールを連結してブリッジ状のフレームを仮設するための連結部材と、
前記連結されたガイドレール上を移動するようにされた吊上げ具と、
を備えたことを特徴とする荷物移載装置。
【請求項2】
前記荷物を移載する一方側が軌陸車、他方側がホームであることを特徴とする請求項1に記載の荷物移載装置。
【請求項3】
前記第1フレームを、軌陸車の荷台のあおりを利用して、荷台に固定するための荷台固定具を備えたことを特徴とする請求項2に記載の荷物移載装置。
【請求項4】
前記荷台固定具が、直交するあおりの両方に装着されることを特徴とする請求項3に記載の荷物移載装置。
【請求項5】
前記第2フレームを、前記第1フレームと連結されるまで、仮に支持するためのスタンドを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の荷物移載装置。
【請求項6】
前記第1フレームの第2フレーム側の中間脚が一本、取外し可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷物移載装置。
【請求項7】
前記取外し可能な中間脚が伸縮可能とされていることを特徴とする請求項6に記載の荷物移載装置。
【請求項8】
前記吊上げ具が、横行装置を介して、前記ガイドレール上を移動するようにされていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の荷物移載装置。
【請求項9】
前記吊上げ具がチェーンブロックであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の荷物移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物移載装置に係り、特に、ホーム修繕工事等の作業において、鉄道のレール上と道路上を両方走行可能な軌陸車の荷台とホームの間で、荷台とホーム間の隙間や高さの違いにかかわらず、資材や機材を安全に且つ効率良く搬入、搬出可能な荷物移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駅のホームなどの修繕工事においては、線路上を走行できる軌陸車(例えばダンプ方式のトラック)で資材や機材を運搬しホームに搬入出する際、軌陸車荷台とホームの間の隙間や高さの違いを克服する必要がある。このため従来は、軌陸車荷台とホームの間にベニヤ板などをかけ渡して資材や機材の搬入出を行っており、安全で且つ効率良い搬入出は困難であった。
【0003】
一方、軌陸車荷台とホーム間ではないが、連結式トレーラトラックにおける荷台間の橋渡し装置が特許文献1に記載されている。
【0004】
又、特許文献2には、プラットホームのレベルとトラックの荷台のレベルを合わせた後に荷積みを行う技術が記載されている。
【0005】
又、本発明に多少なりとも関連があると思われる技術として、特許文献3には、上昇リフトを備えた搬送装置が記載され、特許文献4には、コンテナを吊上げて積上げるコンテナ移載装置が記載され、特許文献5には、大型ジャッキを積降ろしする作業車が記載され、特許文献6には、陸と陸、船と陸、船と船の間の仮設ブリッジが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60-157304号公報
【特許文献2】特開2007-119238号公報
【特許文献3】特開平7-157062号公報
【特許文献4】特開平4-277127号公報
【特許文献5】特開2017-7534号公報
【特許文献6】実開昭59-80505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、いずれの技術も、隙間があって高さが違う軌陸車荷台とホーム間の荷物の移載に適したものではなかった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、隙間と高低差がある場所の間で荷物を容易に移載することが可能な荷物移載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、隙間と高低差がある場所の間で荷物を移載するための荷物移載装置において、一対の第1のガイドレールと脚を有し、一方側に固定される第1フレームと、前記第1のガイドレールに対向する、一対の第2のガイドレールと脚を有し、他方側に載置される第2フレームと、前記第1のガイドレールと前記第2のガイドレールを連結してブリッジ状のフレームを仮設するための連結部材と、前記連結されたガイドレール上を移動するようにされた吊上げ具と、を備えることにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
ここで、前記荷物を移載する一方側を軌陸車、他方側をホームとすることができる。
【0011】
又、前記第1フレームは、軌陸車の荷台のあおりを利用して、荷台に固定するための荷台固定具を備えることができる。
【0012】
又、前記荷台固定具を、直交するあおりの両方に装着することができる。
【0013】
又、前記第2フレームは、前記第1フレームと連結されるまで、仮に支持するためのスタンドを備えることができる。
【0014】
又、前記第1フレームの第2フレーム側の中間脚を一本、取外し可能とすることができる。
【0015】
又、前記取外し可能な中間脚を伸縮可能とすることができる。
【0016】
又、前記吊上げ具が、横行装置を介して、前記ガイドレール上を移動するようにされていることができる。
【0017】
又、前記吊上げ具をチェーンブロックとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、軌陸車荷台とホームのように隙間と高低差がある場所の間で荷物を容易に移載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る荷物移載装置の実施形態を組み立てた状態を示す斜視図
【
図2】前記実施形態使用時の取付け及び取外し手順を示す流れ図
【
図3】前記実施形態で軌陸車側の第1フレームを軌陸車荷台に載せて固定した状態を示す斜視図
【
図5】同じく軌陸車右前に中間脚を固定するための荷台固定具を示す(A)斜視図及び(B)要部拡大斜視図
【
図6】同じく軌陸車荷台の左後ろに端部脚を固定するための荷台固定具を示す斜視図
【
図7】同じく軌陸車荷台の右後ろであおりに中間脚を固定するための荷台固定具を示す(A)斜視図及び(B)要部拡大斜視図
【
図8】同じく中間脚の(A)上部及び(B)下部の固定状態を示す拡大斜視図
【
図9】同じく第1フレームと連結する前の第2フレームをホーム上に載置した状態を示す斜視図
【
図10】同じく第1フレームと第2フレームを連結した状態を示す斜視図
【
図11】同じく第1フレームと第2フレームの連結部を拡大して示す斜視図
【
図13】同じく長尺物運搬のため後方の中間脚を撤去した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0021】
本発明の実施形態は、
図1に全体構成を示す如く、隙間と高低差がある軌陸車荷台100とホーム200(
図10参照)の間で荷物を移載するための荷物移載装置であって、一対の第1のガイドレール12A、12B(12と総称する場合もある)と連結ビーム14と端部脚16A、16B(16と総称する場合もある)と中間脚18A、18B(18と総称する場合もある)を有し、例えば図の左側の軌陸車荷台(100)に固定される第1フレーム10と、前記第1のガイドレール12A、12Bに対向する、一対の第2のガイドレール22A、22B(22と総称する場合もある)と連結ビーム24と端部脚26A、26B(26と総称する場合もある)を有し、例えば図の右側のホーム(200)上に載置される第2フレーム20と、前記第1のガイドレール12A、12Bと前記第2のガイドレール22A、22Bをそれぞれ連結してブリッジ状のフレームを仮設するための連結具であるガセットプレート30A、30B(30と総称する場合もある)と、前記端部脚16A、16Bの上部を連結する連結ビーム14上に配設された、吊上げ具である、例えば2つのチェーンブロック42A、42B(42と総称する場合もある)を軌陸車の前後方向に移動させるための横行装置40と、該横行装置40と共に、連結された前記ガイドレール12、22上を図の左右に移動するようにされた前記チェーンブロック42A、42Bとを備えている。
【0022】
前記実施形態使用時の取付け及び取外し手順を
図2に示す。
【0023】
使用に際しては、まず
図2のステップ1000で、
図3に示す如く、第1フレーム10を軌陸車荷台100に固定する。軌陸車荷台100は、下方のヒンジにより開閉可能な後ろあおり110Bと、左右のあおり110L及び110Rを備えている。
【0024】
詳細には、
図4に示す如く、軌陸車荷台100から見て前方左側の端部脚16Aを左前用の荷台固定具50ALを用いて軌陸車荷台100の前方左側に固定する。
【0025】
前記左前用の荷台固定具50ALは、
図4に示した如く、ブラケット52ALと、引っ掛け板54ALと、アジャスター56とを用いて構成されており、引っ掛け板54ALを軌陸車荷台100の前方上端左側に引っ掛けてアジャスター56を締めることにより、軌陸車荷台100を傷付けることなく、前方の端部脚16Aを軌陸車荷台100の前方左側に固定できるようにされている。
【0026】
又、
図5(A)、(B)に示す如く、前方の中間脚18Aを右前用の荷台固定具50ARを用いて軌陸車荷台100の前方右側に固定する。
【0027】
前記右前用の荷台固定具50ARは、
図5(A)、(B)に示した如く、ブラケット52ARと、引っ掛け板54ARと、アジャスター56を用いて構成されており、引っ掛け板54ARを軌陸車荷台100の前方上端右側に引っ掛けてアジャスター56を締めることにより、軌陸車荷台100を傷付けることなく、前方の中間脚18Aを軌陸車荷台100の前方右側に固定できるようにされている。
【0028】
又、
図6に示す如く、後方左側の端部脚16Bを、左後方用の荷台固定具50BLを用いて左あおり110Lの後方に固定する。
【0029】
前記左後方用の荷台固定具50BLは、
図6に示した如く、ブラケット52BLと、引っ掛け板54BLと、アジャスター56を用いて構成されており、引っ掛け板54BLを左あおり110Lの後方上端に引っ掛けてアジャスター56を締めることにより、軌陸車荷台100を傷付けることなく、後方の端部脚16Bを軌陸車荷台100の後方左側に固定できるようにされている。
【0030】
又、
図7(A)、(B)に示す如く、後方の中間脚18Bを右後方用の2つの荷台固定具50BR1、50BR2を用いて、右あおり110Rと後ろあおり110Bの両方に固定する。
【0031】
前記右後方用の2つの荷台固定具50BR1と50BR2は、いずれも
図7(A)に示した如く、ブラケット52BR1、52BR2と、引っ掛け板54BR1、54BR2と、アジャスター56を用いて構成されており、引っ掛け板54BR1、54BR2を、それぞれ右あおり110Rの後方上端と後ろあおり110Bの右側上端に引っ掛けてアジャスター56を締めることにより、軌陸車荷台100を傷付けることなく、後方の中間脚18Bを軌陸車荷台100の後方右側に固定できるようにされている。この際、
図7(B)に詳細に示す如く、舌付きピン58を用いて引っ掛け板54BR1、54BR2の脱着が容易とされている。
【0032】
後方中間脚18Bの固定状態を
図8(A)上部及び(B)下部に示す。後方中間脚18Bの上部は、舌付きピン58により脱着が容易化とされている。又、後方中間脚18Bの下部には、伸縮自在な接地脚18C及び位置決め用の舌付きピン58が設けられており、例えば後方中間脚18Bの下部を10cm縮めて脱着が容易化されている。
【0033】
第1フレーム10の軌陸車荷台100への固定が終わった後、
図2のステップ1100に進み、
図9に示す如く、第2フレーム20をホーム200上に載置する。
【0034】
この際、第2のガイドレール22A、22Bの軌陸車側(図の左側)は、運搬時ホルダー60によりボルトで締結された状態で運搬され、ホーム200上に載せたときには、待受け時スタンド62A、62B上に載せられているだけの状態となる。
【0035】
次いで、
図2のステップ1200に進み、
図10に示す如く、第1フレーム10のガイドレール12A、12Bと第2フレーム20のガイドレール22A、22Bを、それぞれ連結具であるガセットプレート30A、30Bで連結する。
【0036】
ガセットプレート30の詳細を
図11(ガセットプレート30Bの例)に示す。ガセットプレート30A、30Bは、例えばボルト32により強固に締結されている。
【0037】
次いで、
図2のステップ1300に進み、
図12に例示するような、例えばブロック(滑車に代わる歯車)44の回動により手動で上下されるチェーン(図示省略)の先端(図の下端)にフック46が備えられたハンドチェーン仕様のブレーキ48付きのチェーンブロック42の位置を横行装置40上で調整した後、ステップ1400に進み、チェーンブロック42のフック46に荷物を吊下げて第1フレーム10から第2フレーム20へ、又は、第2フレーム20から第1フレーム10へ荷物を移載する。
【0038】
荷物の移載が終わった後は、
図2のステップ1500に進み、ステップ1200とは逆にガセットプレート30を外して第1フレーム10と第2フレーム20を分離する。
【0039】
次いで、ステップ1600に進み、第2フレーム20をホーム200上から撤去する。
【0040】
次いで、ステップ1700に進み、第1フレーム10を軌陸車荷台100から取外して作業を終了する。
【0041】
なお、レールなどの長尺物を移載したい場合には、
図13に示す如く、後方の中間脚18Bを撤去することによって対応可能である。
【0042】
本実施形態においては、引っ掛け板を用いて、軌陸車荷台とあおりに第1フレームを引っ掛けて固定するようにしているので、レンタカーであっても、車に傷を付けることなく容易に対応できる。なお、軌陸車荷台に第1フレームを固定する方法はこれに限定されない。
【0043】
又、取外し可能な後方中間脚が伸縮可能とされていたので、中間脚の取外しが容易である。なお、中間脚の構成もこれに限定されない。
【0044】
更に、舌付きピンを用いているので、着脱を容易且つ迅速に行える。なお、固定ピンの構成もこれに限定されない。
【0045】
前記実施形態においては、前向きの軌陸車の右側にホームがあったが、軌陸車の前後とホームの位置関係はこれに限定されない。
【0046】
又、前記実施形態においては、本発明がダンプ方式のトラックでなる軌陸車に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、ダンプ方式のトラック以外の軌陸車、又は、軌陸車以外のトラックにも同様に適用できる。移載対象も荷台とホーム間に限定されず、隙間と高低差がある任意の場所の間の移載にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
10…第1フレーム
12、12A、12B…第1のガイドレール
14、24…連結ビーム
16、16A、16B、26、26A、26B…端部脚
18、18A、18B…中間脚
18C…接地脚
20…第2フレーム
22、22A、22B…第2のガイドレール
30、30A、30B…ガセットプレート(連結具)
40…横行装置
42、42A、42B…チェーンブロック(吊上げ具)
44…ブロック
46…フック
48…ブレーキ
50AL、50AR、50BL、50BR1、50BR2…荷台固定具
52AL、52AR、52BL、52BR1、52BR2…ブラケット
54AL、54AR、54BL、54BR1、54BR2…引っ掛け板
56…アジャスター
58…舌付きピン
60…運搬時ホルダー
62A、62B…待受け時スタンド
100…軌陸車荷台
110B、110L、110R…あおり
200…ホーム