(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158996
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】温室効果ガス排出量算出支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231024BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069134
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
(72)【発明者】
【氏名】永原 三博
(72)【発明者】
【氏名】児玉 春夫
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】 あらゆる温室効果ガス排出活動に基づき発生する温室効果ガス排出活動量から、温室効果ガス排出量を算出・取得できる温室効果ガス排出量算出支援システムの提供。
【解決手段】 温室効果ガス排出量算出支援システム100は、所定領域における温室効果ガス排出量の算出を支援する。温室効果ガス排出量算出支援システム100は、消費電力取得装置110、廃棄量取得装置130、及び、温室効果ガス排出量算出支援装置150を有している。温室効果ガス排出量算出支援システム100は、消費電力取得装置110から消費電力情報を、廃棄量取得装置130からペットボトルの廃棄量情報を、それぞれ取得し、温室効果ガス排出量情報を算出し、利用者に提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室効果ガス排出活動量取得装置、及び、温室効果ガス排出量算出支援装置を有する温室効果ガス排出量算出支援システムであって、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置は、
所定の温室効果ガス排出活動に基づき発生する温室効果ガス排出活動量を検知する検知部、
取得した前記温室効果ガス排出活動量を温室効果ガス排出活動量情報として送信する送信部、
を有し、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、
前記温室効果ガス排出活動量情報を受信する受信部、
受信した前記温室効果ガス排出活動量情報を用いて、前記温室効果ガスの排出量を算出する温室効果ガス排出量算出部、
算出した前記温室効果ガス排出量を温室効果ガス排出量情報として送信する送信部、
を有する、温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項2】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置は、
所定領域で使用される消費電力を検知すること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項3】
請求項1、又は、請求項2に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置は、
所定領域で廃棄される廃棄物の重量を検知すること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置の前記受信部は、さらに、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置から取得する前記温室効果ガス排出活動量以外の温室効果ガス排出活動量を前記温室効果ガス排出活動量情報として取得すること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項5】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属するネットワークとは異なるネットワークに属していること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項6】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属するネットワークと同じネットワークに属していること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項7】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、
前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属するネットワークと、前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属する前記ネットワークとを中継する中継装置に配置されていること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項8】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、
前記温室効果ガス排出活動量を発生する装置である温室効果ガス排出活動量発生装置を制御する制御装置へ送信し、前記制御装置に、前記温室効果ガス排出活動量発生装置の動作を制御させること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項9】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、
前記温室効果ガス排出量情報に基づき、温室効果ガスの排出量を軽減する資材購買方法を提案する温室効果ガス排出量改善情報を提供すること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項10】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置の前記温室効果ガス排出量算出部は、
前記温室効果ガス排出量情報に基づき、前記温室効果ガスの排出量の削減量を案出すること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【請求項11】
請求項1に係る温室効果ガス排出量算出支援システムにおいて、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、さらに
所定の装置を識別する識別情報を取得する装置識別情報取得部、
を有し、
前記温室効果ガス排出量算出支援装置の前記温室効果ガス排出量算出部は、
さらに、
前記識別情報を用いて、前記装置に関する前記温室効果ガスの排出量を算出すること、
を特徴とする温室効果ガス排出量算出支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室効果ガス排出量算出支援システムに関し、特に、温室効果ガス排出量の変化を簡単に監視するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温室効果ガス排出量算出支援システムについて、
図11に示す温室効果ガス排出量の予測算定方法を用いて説明する。従来の温室効果ガス排出量の予測算定方法では、算定には、装置の一例であるコンピュータを用いる。コンピュータは、入力手段の一例であるキーボードと、演算を実行する制御部とを有している。
図11に示すように、ステップS1では、減算ステップとして、制御部が、空気調和設備ACへの省エネルギー部材ESの取付前後のCO
2排出量の差を算出する。つまり、空気調和設備ACによる年間CO
2排出量から省エネルギー部材ESによる効果分を減算する。
【0003】
例えば、表計算アプリケーションで作成された計算シートを用いて、空気調和設備ACの台数、電力の出力数、1日あたりの稼働時間、1ヶ月あたりの稼働日数、設備の負荷率、使用電力料金の単価、省エネルギー部材ESによる削減率などをユーザーがキーボードを介してコンピュータに入力する。すると、コンピュータの制御部が、入力された条件に基づいて、空気調和設備ACについて、省エネルギー部材ESを用いることにより、どれだけのCO2排出量の削減を見込めるかを算出する。
【0004】
ステップS2では、全体量算出ステップとして、制御部が、事業者における全体排出量を算出する。つまり、省エネルギー部材ESの効果分を減算した後の空気調和設備ACのCO2排出量に空気調和設備AC以外の設備(LED照明設備などエネルギー起源CO2を排出する設備や、非エネルギー起源CO2を排出する設備であって廃棄物の原燃料使用のものを除くもの)による年間CO2排出量、および、その他のガス(CH4、N2O、HFC、PFC、SF6、NF3など)の排出量を加算して事業者における全体排出量を算出する。例えば、空気調和設備AC以外の設備として、LED照明設備によるCO2排出量などをユーザーがキーボードを介してコンピュータに入力する。すると、コンピュータの制御部が、入力された数値や条件に基づいて、全体排出量を算出する。
【0005】
ステップS3では、削減必須量算出ステップとして、制御部が、全体排出量に所定割合を乗じて削減必須量を算出する。例えば、削減必須量が、全体排出量の1%である場合、ユーザーがキーボードを介してコンピュータに1%である旨を入力する。すると、コンピュータの制御部が、入力された数値や条件に基づいて、削減必須量を算出する。
【0006】
ステップS4では、判定ステップとして、制御部が、クレジット化について可能か否かを判定する。つまり、制御部が、省エネルギー部材ESによる効果分の量および削減必須量からクレジット化の可否を判定する。制御部が、省エネルギー部材ESによる効果分の量と、削減必須量とを比べ、削減必須量よりも省エネルギー部材ESによる効果分の量の方が大きい場合、クレジット化可能と判定し、ステップS5へ進む。他方、削減必須量よりも省エネルギー部材ESによる効果分の量の方が小さい場合、クレジット化不可と判定し、エラーとなる。この場合、省エネルギー部材ESの数を多くして再度ステップS1からやり直せばよい。
【0007】
ステップS5では、クレジット分散ステップとして、制御部が、クレジット化の可能な場合に翌年以降の年間CO2排出量にクレジットを分散する。(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の温室効果ガス排出量の予測算定方法には、以下に示すような改善すべき点がある。前述の温室効果ガス排出量の予測算定方法は、省エネルギー部材ESを配置した特定の装置に関してのみについて、温室効果ガス排出量を予測算定するものである。つまり、あらゆる温室効果ガス排出活動に基づき発生する温室効果ガス排出活動量から、温室効果ガス排出量を算出・取得できるものではなく、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に対応できるものではない、という改善すべき点がある。
【0010】
そこで、本発明は、あらゆる温室効果ガス排出活動に基づき発生する温室効果ガス排出活動量から、温室効果ガス排出量を算出・取得できる温室効果ガス排出量算出支援システムを提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0012】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムは、温室効果ガス排出活動量取得装置、及び、温室効果ガス排出量算出支援装置を有する温室効果ガス排出量算出支援システムであって、前記温室効果ガス排出活動量取得装置は、所定の温室効果ガス排出活動に基づき発生する温室効果ガス排出活動量を検知する検知部、取得した前記温室効果ガス排出活動量を温室効果ガス排出活動量情報として送信する送信部、を有し、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、前記温室効果ガス排出活動量情報を受信する受信部、受信した前記温室効果ガス排出活動量情報を用いて、前記温室効果ガスの排出量を算出する温室効果ガス排出量算出部、算出した前記温室効果ガス排出量を温室効果ガス排出量情報として送信する送信部、を有する。
【0013】
これにより、利用者の要望に応じて、あらゆる温室効果ガス排出活動に基づき発生する温室効果ガス排出活動量から、温室効果ガス排出量を算出でき、また、取得できる。
【0014】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出活動量取得装置は、所定領域で使用される消費電力を検知すること、を特徴とする。
【0015】
これにより、消費電力に基づく温室効果ガス排出量を容易に取得できる。
【0016】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出活動量取得装置は、所定領域で廃棄される廃棄物の重量を検知すること、を特徴とする。
【0017】
これにより、廃棄量に基づく温室効果ガス排出量を容易に取得できる。
【0018】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置の前記受信部は、さらに、前記温室効果ガス排出活動量取得装置から取得する前記温室効果ガス排出活動量以外の温室効果ガス排出活動量を前記温室効果ガス排出活動量情報として取得すること、を特徴とする。
【0019】
これにより、温室効果ガス排出活動量取得装置から取得する温室効果ガス排出活動量情報だけでなく、他の温室効果ガス排出活動量情報に基づく温室効果ガス排出量も容易に取得できる。
【0020】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属するネットワークとは異なるネットワークに属していること、を特徴とする。
【0021】
これにより、温室効果ガス排出活動量取得装置が設置されているネットワークとは異なるネットワークに温室効果ガス排出量算出支援装置を配置できる。つまり、いわゆるクラウド装置として、温室効果ガス排出量算出支援装置を配置できる。
【0022】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属するネットワークと同じネットワークに属していること、を特徴とする。
【0023】
これにより、温室効果ガス排出活動量取得装置が設置されているネットワークと同じネットワークに温室効果ガス排出量算出支援装置を配置できる。つまり、容易に、温室効果ガス排出量算出支援装置を配置できる。
【0024】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属するネットワークと、前記温室効果ガス排出活動量取得装置が属する前記ネットワークとを中継する中継装置に配置されていること、を特徴とする。
【0025】
これにより、中継装置を設置するだけで、容易に、温室効果ガス排出量算出支援装置を配置できる。
【0026】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、前記温室効果ガス排出活動量を発生する装置である温室効果ガス排出活動量発生装置を制御する制御装置へ送信し、前記制御装置に、前記温室効果ガス排出活動量発生装置の動作を制御させること、を特徴とする。
【0027】
これにより、温室効果ガス排出活動量発生装置を制御し、温室効果ガスの排出量を低減できる。
【0028】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、前記温室効果ガス排出量情報に基づき、温室効果ガスの排出量を軽減する資材購買方法を提案する温室効果ガス排出量改善情報を提供すること、を特徴とする。
【0029】
これにより、温室効果ガスの排出量を軽減する資材購買方法によって、温室効果ガスの排出量を低減できる。
【0030】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置の前記温室効果ガス排出量算出部は、前記温室効果ガス排出量情報に基づき、前記温室効果ガスの排出量の削減量を表示すること、を特徴とする。
【0031】
これにより、削減した温室効果ガスの排出量を、容易に、確認することができる。
【0032】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムでは、前記温室効果ガス排出量算出支援装置は、さらに、所定の装置を識別する識別情報を取得する装置識別情報取得部、を有し、前記温室効果ガス排出量算出支援装置の前記温室効果ガス排出量算出部は、さらに、前記識別情報を用いて、前記装置に関する前記温室効果ガスの排出量を算出すること、を特徴とする。
【0033】
これにより、所定の装置に関する温室効果ガスの排出量を、容易に、算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムの一実施例である温室効果ガス排出量算出支援システム100を示す図である。
【
図2】消費電力取得装置110のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】廃棄量取得装置130を底面から見た図である。
【
図5】廃棄量取得装置130のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】温室効果ガス排出量算出支援装置150のハードウェア構成を示す図である。
【
図7】消費電力取得処理を示すフローチャートである。
【
図8】廃棄量取得処置を示すフローチャートである。
【
図9】温室効果ガス排出量算出処理を示すフローチャートである。
【
図10】温室効果ガス排出量算出処理を示すフローチャートである。
【
図11】従来の温室効果ガス排出量算出支援システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例0036】
本発明に係る温室効果ガス排出量算出支援システムについて、一実施例である温室効果ガス排出量算出支援システム100を例に説明する。
【0037】
第1 温室効果ガス排出量算出支援システム100
図1に温室効果ガス排出量算出支援システム100の概要を示す。温室効果ガス排出量算出支援システム100は、所定領域における温室効果ガス排出量の算出を支援するものである。温室効果ガス排出量算出支援システム100について、利用者が、温室効果ガス排出活動 として、電力会社から供給された電力の使用、及び、ペットボトルのリサイクルのための回収を実施する場合を例に説明する。なお、電力会社から供給された電力の使用は、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度におけるscope2に、ペットボトルのリサイクルのための回収は、同制度のscope3に属する。また、温室効果ガス排出量算出支援システム100では、温室効果ガスとして二酸化炭素を設定している。
【0038】
温室効果ガス排出量算出支援システム100は、消費電力取得装置110、廃棄量取得装置130、及び、温室効果ガス排出量算出支援装置150を有している。温室効果ガス排出量算出支援システム100では、消費電力取得装置110、及び、廃棄量取得装置130は、所定領域に配置されている通信用の中継装置(ゲートウェイ)GWを介して、温室効果ガス排出量算出支援装置150に接続する。
【0039】
1.消費電力取得装置110の構成
消費電力取得装置110は、利用者が予め設定した所定領域、例えば、企業全体や特定の事業所等において、電力会社から供給された電力の使用に基づき発生する温室効果ガス排出活動量としての消費電力を取得する。消費電力取得装置110としては、いわゆるスマート電力計を用いることができる。消費電力取得装置110について、
図2を用いて説明する。消費電力取得装置110は、消費電力取得部111、通信部113、電源部117、及び、制御部119を有している。
【0040】
消費電力取得部111は、使用されている電力量を計測する。消費電力取得部111は、所定時間ごとに、計測した消費電力を、消費電力情報として、制御部119へ送信する。
【0041】
通信部113は、所定のネットワーク、例えば、無線LANネットワーク、に接続し、温室効果ガス排出量算出支援装置150等、所定の通信装置と通信し、消費電力取得部111から取得した消費電力情報を送信する。
【0042】
電源部117は、消費電力取得装置110の動作に必要な電力を供給する。
【0043】
制御部119は、消費電力取得部111、通信部113の動作を制御する。制御部119は、CPU119a、メモリ119b、及び、インターフェイス119cを有している。
【0044】
CPU119aは、メモリ119bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、又は、ファームウェア、及び、消費電力計プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ119bは、CPU119aに対して作業領域を提供する。メモリ119bは、OS、消費電力取得プログラム等その他のアプリケーション、及び、各種データを記録保持する。
【0045】
インターフェイス119cは、消費電力取得部111、通信部113、及び、電源部117と接続される。インターフェイス119cは、CPU119aと消費電力取得部111との間、CPU119aと通信部113との間、それぞれの情報の送受信を中継する。また、インターフェイス119cは、電源部117に接続し、電源部117から所定の電力を受給する。インターフェイス119cを介して取得した電力は、各構成要素に供給される。
【0046】
2.廃棄量取得装置130の構成
廃棄量取得装置130は、利用者が予め設定した所定領域、例えば、企業全体や特定の事業所等において、ペットボトルのリサイクルのための回収に基づき発生する温室効果ガス排出活動量としてのペットボトルの廃棄量を取得する。廃棄量取得装置130は、ゴミ箱T等、廃棄するペットボトルの収集領域に配置される。
【0047】
廃棄量取得装置130の構成について、
図3を用いて説明する。
図3に、廃棄量取得装置130の斜視図を示す。廃棄量取得装置130は、廃棄量取得部131、制御部135、及び、電源部137を有している。
【0048】
廃棄量取得部131は、計測対象物載置部131a、及び、重量計測部131bを有している。計測対象物載置部131aは、廃棄物であるペットボトルの重量を安定的に計測できるような所定の大きさの平面により形成されている。なお、廃棄量取得装置130では、計測対象物載置部131aは、制御部135等を内部空間に内包する筐体部C130の一部として形成されている。
【0049】
図4に、廃棄量取得装置130を底面側から見た状態を示す。重量計測部131bは、計測対象物載置部131a(
図3参照)に載置されたペットボトル等、破棄物の重量を検知する、いわゆる、重量センサである。重量計測部131bは、計測対象物載置部131aの所定の位置に配置され、廃棄物の重量を計測する。重量計測部131bは、例えば、歪みセンサを有し、計測対象物載置部131aの歪みを計測する。重量計測部131bは、廃棄物の重量を検知すると、重量検知情報として、制御部135へ送信する。なお、歪みセンサは、増幅回路や高精度分解能を有するADコンバータを使用するため、消費電力が大きくなる傾向がある。
【0050】
制御部135は、筐体部C130の内部空間に配置される。制御部135の構成について
図5を用いて説明する。制御部135は、CPU135a、メモリ135b、通信部135c、情報取得インターフェイス135d、及び、電力受給インターフェイス135eを有している。
【0051】
CPU135aは、メモリ135bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、又は、ファームウェア、廃棄量取得プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ135bは、CPU135aに対して作業領域を提供する。メモリ135bは、OS、廃棄量取得プログラム等その他のアプリケーション、及び、各種データを記録保持する。
【0052】
通信部135cは、所定のネットワーク、例えば、無線LANネットワーク、に接続し、温室効果ガス排出量算出支援装置150等、所定の通信装置と通信し、廃棄量取得部131から取得した廃棄量情報を送信する。
【0053】
情報取得インターフェイス135dは、重量計測部131bに接続される。CPU135aは、情報取得インターフェイス135dを介して、重量計測部131bとの間で、所定の情報を送受信する。
【0054】
電力受給インターフェイス135eは、電源部137に接続される。電力受給インターフェイス135eを介して取得された電力は、CPU135a等、各構成要素に供給される。
【0055】
図4に示すように、電源部137は、筐体部C130の内部空間に配置される。電源部137は、制御部135等に、所定の電力を供給する。
【0056】
3.温室効果ガス排出量算出支援装置150の構成
温室効果ガス排出量算出支援装置150のハードウェア構成について
図6を用いて説明する。温室効果ガス排出量算出支援装置150は、CPU150a、メモリ150b、ハードディスクドライブ150c(以下、HDD150cとする)、及び、通信回路150hを有する。
【0057】
CPU150aは、HDD150cに記録されているオペレーティング・システム(OS)、温室効果ガス排出量算出支援プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。
【0058】
メモリ150bは、CPU150aに対して作業領域を提供する。HDD150cは、オペレーティング・システム(OS)、温室効果ガス排出量算出支援プログラム等その他のアプリケーションのプログラム、その他のデータを記録保持する。メモリ150bは、利用者ごとに温室効果ガスを算出する際に用いる各種条件を示す温室効果ガス排出量算出支援テーブルを有している。
【0059】
通信回路150hは、所定のネットワーク、例えば、無線LANネットワーク、に接続し、消費電力取得装置110等、外部の通信機器と情報の送受信を行う。なお、通信回路150hには、予め、ネットワーク上の位置を一意に特定するアドレスが設定されている。なお、温室効果ガス排出量算出支援装置150は、消費電力取得装置110、及び、廃棄量取得装置130が属するネットワークとは異なるネットワークに属し、いわゆるクラウド装置として配置される。
【0060】
第2 消費電力取得処理、廃棄量取得処理、温室効果ガス排出量算出支援処理
消費電力取得装置110のCPU119aが消費電力取得プログラムに基づき実行する明るさ取得処理、及び、温室効果ガス排出量算出支援装置150のCPU150aが温室効果ガス排出量算出支援プログラムに基づき実行する温室効果ガス排出量算出支援処理について、
図7~
図9を用いて説明する。
【0061】
1.消費電力取得処理
消費電力取得処理について、
図7のフローチャートを用いて説明する。消費電力取得装置110のCPU119aは、電源が入ると(S701)、消費電力を計測する(S703)。
【0062】
CPU119aは、計測した消費電力の値、自身を一意に特定する消費電力取得装置特定情報、取得時間等を含めた消費電力情報を生成する(S705)。CPU119aは、生成した消費電力情報を、温室効果ガス排出量算出支援装置150へ送信する(S707)。
【0063】
CPU119aは、ステップS703~S707の処理を所定時間ごとに(S709)、電源がオフになるまで繰り返す(S711)。
【0064】
2.廃棄量取得処理
廃棄量取得処理について、
図8のフローチャートを用いて説明する。廃棄量取得装置130のCPU135aは、電源が入ると(S801)、その時点で廃棄されている廃棄物の重量を計測する(S803)。
【0065】
CPU135aは、計測した廃棄量の値、自身を一意に特定する廃棄量取得装置特定情報、取得時間等を含めた廃棄量情報を生成する(S805)。CPU135aは、生成した廃棄量情報を、温室効果ガス排出量算出支援装置150へ送信する(S807)。
【0066】
CPU135aは、ステップS803~S807の処理を所定時間ごとに(S809)、電源がオフになるまで繰り返す(S811)。
【0067】
3.温室効果ガス排出量算出支援処理
温室効果ガス排出量算出支援処理について、
図9のフローチャートを用いて説明する。温室効果ガス排出量算出支援装置150のCPU150aは、消費電力取得装置110から、消費電力情報を取得すると(S901)、取得した消費電力情報を、HDD150cに記憶保持する(S903)。CPU150aは、取得した消費電力情報の値に基づき、温室効果ガス排出量を算出する(S905)。
【0068】
消費電力に基づく温室効果ガス排出量の算出については、例えば、利用者、利用者が使用する消費電力取得装置110、及び、消費電力取得装置110で取得する消費電力に対応する温室効果ガス排出活動の排出係数を関連付けた温室効果ガス排出算出テーブルを用いる。
【0069】
温室効果ガス排出算出テーブルを
図10に示す。温室効果ガス排出算出テーブルは、利用者識別情報記述領域、装置識別情報記述領域、及び、排出係数記述領域を有している。利用者識別情報記述領域には、利用者を一意に識別する、予め定められた利用者識別番号が記述される。装置識別情報記述領域には、利用者識別番号記述領域で識別される利用者が使用する温室効果ガス排出活動量取得装置の識別情報が記述される。排出係数記述領域には、装置識別情報記述領域で識別される温室効果ガス排出活動量取得装置で使用する排出係数が記述される。なお、排出係数については、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」における排出係数一覧から取得し、記述する。
【0070】
CPU150aは、取得した消費電力情報における消費電力に、温室効果ガス排出算出テーブルから取得した対応する排出係数を乗算し、温室効果ガス排出量を算出する。
【0071】
図9に戻って、CPU150aは、算出した温室効果ガス排出量を用いて温室効果ガス排出量情報を生成し(S907)、所定の通信装置へ、生成した温室効果ガス排出量情報を送信する(S909)。
【0072】
また、CPU150aは、廃棄量取得装置130から、廃棄量情報を取得すると(S911)、取得した廃棄量情報を、HDD150cに記憶保持する(S913)。CPU150aは、取得した廃棄量情報の値に基づき、温室効果ガス排出量を算出する(S915)。
【0073】
ペットボトルの廃棄量に基づく温室効果ガス排出量の算出については、消費電力に基づく温室効果ガス排出量の算出と同時に、温室効果ガス排出算出テーブルを用いる。
【0074】
CPU150aは、取得した廃棄量情報における廃棄量に、温室効果ガス排出算出テーブルから取得した対応する排出係数を乗算し、温室効果ガス排出量を算出する。
【0075】
CPU150aは、算出した温室効果ガス排出量を用いて温室効果ガス排出量情報を生成し(S917)、所定の通信装置へ、生成した温室効果ガス排出量情報を送信する(S919)。
【0076】
なお、温室効果ガス排出量情報を取得した通信装置において、例えば、取得した温室効果ガス排出量情報に基づき、その時点での温室効果ガス排出量を、所定のディスプレイに表示させることによって、当該ディスプレイ表示を見る者に対して、温室効果ガスの排出を抑制するような行動をとるように啓発できる。
【0077】
このように、利用者は、温室効果ガス排出量算出支援システム100を利用することによって、容易に、温室効果ガス排出量情報を取得できる。また、利用者は、温室効果ガス排出量情報を取得することによって、温室効果ガスの排出量を低減したり、温室効果ガスの排出量を低減するように啓発できたりできる。
【0078】
[その他の実施形態]
(1)温室効果ガス:前述の実施例1においては、温室効果ガスを二酸化炭素としたが、その他の温室効果ガスであってもよい。例えば、メタンや、一酸化炭素であってもよい。
【0079】
(2)温室効果ガス排出活動:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出活動として、第三者から提供された電力の使用、及び、ペットボトルのリサイクル回収を示したが、その他の排出活動であってもよい。例えば、第三者から提供されたガスの使用や、従業員の移動等であってもよい。
【0080】
(3)温室効果ガス排出活動量取得装置:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出活動量取得装置として消費電力取得装置110、及び、廃棄量取得装置130を示したが、温室効果ガス排出活動にともない、対応する温室効果ガス排出活動量を取得できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、ガスに関するスマートメータであってもよい。
【0081】
(4)温室効果ガス排出量算出支援装置150:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出量算出支援装置150は、消費電力取得装置110、及び、廃棄量取得装置130が属するネットワークとは異なるネットワークに属し、いわゆるクラウド装置として配置されるとしたが、消費電力取得装置110、及び、廃棄量取得装置130が属するネットワークと同じネットワークに配置するようにしてもよい。
【0082】
また、温室効果ガス排出量算出支援装置150を、消費電力取得装置110、及び、廃棄量取得装置130が属するネットワークと、温室効果ガス排出量算出支援装置150が属する前記ネットワークとを中継する中継装置GWに配置するようにしてもよい。
【0083】
(5)温室効果ガス排出量情報の送信:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出量算出支援装置150が算出した温室効果ガス排出量情報を、所定の通信装置へ送信するとしたが、温室効果ガス排出量算出支援装置150が取得した消費電力情報、廃棄量情報を、所定の通信装置へ送信するようにしてもよい。
【0084】
(6)温室効果ガス排出量情報の利用:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出量情報を、当該情報を取得した装置のディスプレイに表示するとしたが、その他の処理、例えば、紙媒体へ印刷したり、スマートフォン等の通信装置へ送信したりするようにしてもよい。
【0085】
また、温室効果ガス排出量情報を、消費電力を発生する装置(以下、消費電力発生装置)を制御する制御装置へ送信し、消費電力発生装置の動作を制御するようにしてもよい。
【0086】
さらに、温室効果ガス排出量算出支援装置150は、温室効果ガス排出量情報に基づき、温室効果ガスの排出量を軽減する適切な資材購買方法を提案する温室効果ガス排出量改善情報を提供するようにしてもよい。温室効果ガス排出量改善情報の提供にさいしては、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いるようにしてもよい。
【0087】
(7)温室効果ガスの排出量の削減量の算出:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出量算出支援装置150は、温室効果ガスの排出量を算出するとしたが、温室効果ガスの排出量の削減量を算出するようにしてもよい。これにより、利用者は、削減量を、容易に、確認できるとともに、削減に対する啓発を行うこともできる。
【0088】
(8)所定の装置に関する温室効果ガスの排出量の算出:前述の実施例1においては、音質効果ガス排出活動に関して温室効果ガスの排出量を算出したが、さらに、所定の装置に関する温室効果ガスの排出量を算出するようにしてもよい。例えば、利用者が事業活動において使用する自社製造の装置、第三者から購入の装置に関して、温室効果ガスの排出量を算出する場合、当該装置の識別情報を取得するために、バーコード取得装置や、RFID取得装置、装置の全部、又は、一部の外観を取得する撮像装置を、温室効果ガス排出量算出支援装置150に配置するようにしてもよい。これにより、各装置を容易に識別でき、装置ごとの排出量情報を予めデータベースとして用意しておいたり、第三者から提供される排出量情報を取得したりすることによって、各装置に関する温室効果ガスの排出量を容易に算出することができる。
【0089】
(9)各通信部:前述の実施例1においては、消費電力取得装置110、廃棄量取得装置130、温室効果ガス排出量算出支援装置150、それぞれの通信部は、無線LANを用いて通信するとしたが、携帯電話回線等を用いて、基地局を介して通信するようにしてもよい。また、Sigfox(登録商標)等、いわゆるLPWA (Low Power, Wide Area)に対応した「低消費電流」で「長距離のデータ通信」ができる通信方式を用いてもよい。
【0090】
また、無線通信ではなく、EthernetやModBusのような有線通信を用いるようにしてもよい。
【0091】
(10)消費電力取得装置110、廃棄量取得装置130、温室効果ガス排出量算出支援装置150の構成:前述の実施例1においては、消費電力取得装置110、廃棄量取得装置130、温室効果ガス排出量算出支援装置150は、それぞれ所定のCPU119aを用いて、各処理を実行するとしたが、各処理を実行するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、専用のロジック回路を用いて、各処理を実行するようにしてもよい。
【0092】
(11)温室効果ガス排出量算出支援装置150の構成:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出量算出支援装置150は、CPU150aを用いて、温室効果ガス排出量算出支援処理を実行するとしたが、温室効果ガス排出量算出支援処理を実行するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、専用のロジック回路を用いて、温室効果ガス排出量算出支援処理を実行するようにしてもよい。
【0093】
(12)消費電力取得処理、廃棄量取得処理:前述の実施例1においては、消費電力取得処理として
図7のフローチャートを、廃棄量取得処理として
図8のフローチャートを、それぞれ示したが、例示のフローチャートに限定されない。
【0094】
(13)温室効果ガス排出量算出支援処理:前述の実施例1においては、温室効果ガス排出量算出支援処理として、
図9のフローチャートを示したが、例示のフローチャートに限定されない。