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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015900
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】回転往復駆動アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20230125BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H02K33/16 A
H02K33/16 B
G02B26/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119976
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 雅春
(72)【発明者】
【氏名】正本 佳
【テーマコード(参考)】
2H045
5H633
【Fターム(参考)】
2H045AA13
2H045AB34
2H045AB44
2H045BA02
5H633BB08
5H633BB10
5H633BB18
5H633GG02
5H633GG04
5H633GG07
5H633GG17
5H633HH03
5H633HH06
5H633HH15
5H633JA02
5H633JA09
5H633JB05
(57)【要約】
【課題】コアの剛性を確保しつつ組み立てが容易であり、且つ、制作コストを抑えて、可動対象物をより高振幅で駆動すること。
【解決手段】可動対象物が接続される軸部と軸部に固定されたマグネットとを有する可動体と、複数の磁極を有するコア体と複数のコイルとを含むコア組立体を有し、複数の磁極をマグネットの外周に対向させてコア組立体を配置した固定体と、軸部の延在方向でコア組立体を挟持し、コア組立体の両側で夫々軸部を回転自在に支持する一対の軸支持体と、を有し、複数のコイルへの通電により、コア体を通過する磁束を発生させて、磁束とマグネットとの電磁相互作用により可動体を軸部の軸回りに往復回転させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動対象物が接続される軸部と前記軸部に固定されたマグネットとを有する可動体と、
複数の磁極を有するコア体と複数のコイルとを含むコア組立体を有し、前記複数の磁極を前記マグネットの外周に対向させて前記コア組立体を配置した固定体と、
前記軸部の延在方向で前記コア組立体を挟持し、前記コア組立体の両側で夫々前記軸部を回転自在に支持する一対の軸支持体と、
を有し、
前記複数のコイルへの通電により、前記コア体を通過する磁束を発生させて、前記磁束と前記マグネットとの電磁相互作用により前記可動体を前記軸部の軸回りに往復回転させる、
回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項2】
前記コア体は、
前記複数の磁極を含む一体構造の磁極コアと、
前記磁極コアとともに前記磁束の磁路を構成する磁路コアと、
を有し、前記磁極コアと前記磁路コアとは、前記軸部の延在方向で対面して面接触した状態で前記軸支持体に挟持されることにより互いに組み付けられている、
請求項1に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項3】
前記磁路コアは、前記軸部を中心に前記複数の磁極を位置決めした状態で、前記磁極コアと組み付けられる、
請求項2に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項4】
前記一対の軸支持体の少なくとも一方は、前記コア組立体の内側に突出して設けられ、前記複数の磁極と前記磁路コアとの間に介在して双方の位置を保持するコア保持部を有する、
請求項2または3記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項5】
前記固定体は、前記マグネットに対向して配置された磁性体であって、前記マグネットを基準位置に磁気吸引するマグネット位置保持部を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項6】
前記マグネット位置保持部が前記マグネットを磁気吸引する前記基準位置は、前記マグネットの往復回転の回転中心位置である、
請求項5に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項7】
前記複数のコイルは、前記複数の磁極それぞれに隣接し且つ互いに並行して配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項8】
前記一対の軸支持体は夫々、前記軸部が挿入される軸受部と、前記コア組立体を前記軸部の延在方向で被覆する電磁シールド材で構成される支持体本体部とを有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項9】
前記電磁シールド材はアルミ合金を含む、
請求項8記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項10】
前記コア体は積層部材で構成される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項11】
前記一対の軸支持体は、第1軸支持体及び第2軸支持体を含み、
前記第1軸支持体に対して前記コア組立体の反対側に、前記可動対象物が配置され、
前記第2軸支持体に対して前記コア組立体の反対側に、前記軸部の回転角度を検知する角度センサーが配置されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項12】
前記角度センサーを覆うように前記第2軸支持体に取り付けられたカバーを有する、
請求項11記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項13】
前記一対の軸支持体のうち第1軸支持体から突出する前記軸部の一端部に前記可動対象物が接続され、
前記軸部の一端部に固定された前記可動対象物の先端には、前記第1軸支持体とで前記可動対象物を挟むように配置された支持壁部に固定される回転支軸部が設けられている、
請求項1から12のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項14】
前記回転支軸部は、滑り軸受である、
請求項13記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項15】
前記回転支軸部は、樹脂からなるブッシュである、
請求項13記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項16】
前記軸部の前記コア組立体に対して回転往復動する際の最大回転角度を規制する回転角度規制部を有する、
請求項1から15のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項17】
前記コア組立体には、前記コア組立体を挟持する前記一対の軸支持体の位置を規定する位置決め部が設けられている、
請求項1から16のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【請求項18】
前記可動対象物は、走査光を反射するミラーである、請求項1から17のいずれか一項に記載の回転往復駆動アクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転往復駆動アクチュエーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機、レーザービームプリンタ等のスキャナーに使用されるアクチュエーターとして、回転駆動アクチュエーターが使用されている。具体的には、回転往復駆動アクチュエーターは、スキャナーのミラーを往復回転させることで、レーザー光の反射角度を変更して対象物に対する光走査を実現する。
【0003】
この種の回転往復駆動アクチュエーターとしてガルバノモーターを用いたものが、特許文献1に開示されている。ガルバノモーターとしては、特許文献1に開示された構造のタイプのものや、コイルをミラーに取り付けたコイル可動タイプの他、様々なタイプのものが知られている。
【0004】
特許文献1には、4つの永久磁石が、ミラーが取り付けられる回転軸に、回転軸径方向に着磁するように設けられ、コイルが巻回された磁極を有するコアが、回転軸を挟むように配置されたビームスキャナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4727509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コイル可動タイプの回転往復駆動アクチュエーターにおいては、駆動時のコイルの発熱により、ミラーの表面状態、回転軸へのミラーの接合状態、反りを含むミラーの形状等に悪影響を与えるおそれがある。また、コイル可動タイプの回転往復駆動アクチュエーターにおいては、通電時のコイルの発熱を考慮するとコイルへの入力電流も大きくしにくく、可動体であるミラーの大型化や高振幅化が困難であるという問題がある。さらに、可動体であるミラーに対して、コイルへの配線を固定体側に引き出す必要があり組み立て性が悪いという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の装置では、互いに離間して対向配置された一対の軸受壁間に、回転軸が架設されるとともに、可動体対象物であるミラーと、ミラーを回転往復移動させるコイル及びマグネットとが配設されている。
【0008】
近年、スキャナーに用いられる回転往復駆動アクチュエーターは、小型化されたスキャナー製品のサイズに応じて、小型化及び省スペース化が望まれている。
よって、
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、より小型化及び小スペースを図ることができ、耐衝撃性や耐振動特性を有し、軸部を介して可動対象物を、より安定した状態で、高振幅で駆動できる回転往復駆動アクチュエーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回転往復駆動アクチュエーターの一つの態様は、
可動対象物が接続される軸部と前記軸部に固定されたマグネットとを有する可動体と、
複数の磁極を有するコア体と複数のコイルとを含むコア組立体を有し、前記複数の磁極を前記マグネットの外周に対向させて前記コア組立体を配置した固定体と、
前記軸部の延在方向で前記コア組立体を挟持し、前記コア組立体の両側で夫々前記軸部を回転自在に支持する一対の軸支持体と、
を有し、
前記複数のコイルへの通電により、前記コア体を通過する磁束を発生させて、前記磁束と前記マグネットとの電磁相互作用により前記可動体を前記軸部の軸回りに往復回転させる構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より小型化及び小スペースを図ることができ、耐衝撃性や耐振動特性を有し、軸部を介して可動対象物を、より安定した状態で、高振幅で駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態の回転往復駆動アクチュエーターの外観斜視図である。
図2】回転往復駆動アクチュエーターの駆動ユニットの斜視図である。
図3】回転往復駆動アクチュエーターの駆動ユニットの縦断面図である。
図4】回転往復駆動アクチュエーターの正面側分解斜視図である。
図5】回転往復駆動アクチュエーターの背面側分解斜視図である。
図6】回転往復駆動アクチュエーターのコア組立体の要部構成を示す断面図である。
図7】コア体の分解図である。
図8】駆動ユニットの組み立ての説明に供する駆動ユニットの分解斜視図である。
図9】第1軸支持体の裏面側斜視図である。
図10】コア組立体におけるコア保持部の説明に供する図である。
図11】角度センサー装置の説明に供する図である。
図12】ストッパの斜視図である。
図13】回転往復駆動アクチュエーターの磁気回路の動作の説明に供する図である。
図14】回転往復駆動アクチュエーターの磁気回路の動作の説明に供する図である。
図15】変形例1の回転往復駆動アクチュエーターの外観斜視図である。
図16】回転往復駆動アクチュエーターの正面側分解斜視図である。
図17】回転往復駆動アクチュエーターを用いたスキャナーシステムの要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施の形態の回転往復駆動アクチュエーターの外観斜視図であり、図2は、回転往復駆動アクチュエーターの駆動ユニットの斜視図であり、図3は、同駆動ユニットの縦断面図である。また、図4は、回転往復駆動アクチュエーターの正面側分解斜視図である。また、図5は、回転往復駆動アクチュエーターの背面側分解斜視図である。
【0015】
回転往復駆動アクチュエーター1は、例えば、ライダー(LiDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)装置に用いられる。なお、回転往復駆動アクチュエーター1は、複合機、レーザービームプリンタ等の光走査装置にも適用可能である。
【0016】
図1に示す回転往復駆動アクチュエーター1は、大きく分けて、ミラー部22と、ミラー部22を回転自在に支持し且つ往復回転駆動する駆動ユニット10と、ミラー部22の回転角度位置を検出する角度センサー部70と、を有する。
【0017】
<ミラー部22>
ミラー部22は、回転往復駆動アクチュエーター1における可動対象物であり、回転軸24に接続される。ミラー部22は、例えば、ミラーホルダー222の一面にミラー221を貼り付けることで形成される。回転軸24は、その一端部を、ミラーホルダー222の挿通孔223に挿通され、固着される。なお、回転軸24において、駆動ユニット10のユニット固定部30内に配置される部位では、可動マグネット(以下、単に「マグネット」と称する)26が固着されている。マグネット26は、後述するユニット固定部30により発生される磁束によって往復回転駆動される。
【0018】
<駆動ユニット10>
駆動ユニット10は、図1図5に示すように、回転軸24及びマグネット26を有するユニット可動部20と、ユニット可動部20を往復回転駆動するユニット固定部30と、を備える。
【0019】
駆動ユニット10は、キューブ状のユニット固定部30から突出する回転軸24でミラー部22を支持し、回転軸24を介してミラー部22を往復回転駆動する。なお、ユニット固定部30は、柱状等どのような形状でもよく、直方体形状であってもよい。ユニット固定部30は、本実施の形態では、キューブ状であるので、配置スペースを小さくでき、対応する立方形状の隙間等、省スペースで配置させることができる。なお、駆動ユニット10では、回転軸24は、ユニット固定部30を挿通して両端部がユニット固定部30から突出した状態で往復回転自在に支持されている。なお、ユニット可動部20は、ミラー部22とともに、回転往復駆動アクチュエーター1の可動体を構成する。
【0020】
<ユニット固定部30>
ユニット固定部30は、図2図3に示すように、駆動ユニット10において、回転軸24及びマグネット26を除いた各部で構成される。
【0021】
ユニット固定部30は、回転往復駆動アクチュエーター1の固定体を構成する。
ユニット固定部30は、内部にユニット可動部20のマグネット26を収容し、ユニット可動部20の回転軸24が突出したコア組立体40と、第1軸支持体50と、第2軸支持体60とを有する。
【0022】
ユニット固定部30は、コア組立体40を、回転軸24の延在方向の両側から、第1軸支持体50及び第2軸支持体60で挟持して、第1軸支持体50及び第2軸支持体60がコア組立体40に固定することで構成されている。
【0023】
ユニット固定部30では、第1軸支持体50、コア組立体40及び第2軸支持体60は止着材32により、一体に固定される。ユニット固定部30では、直方形状のコア組立体40の回転軸24の延在方向の両側の端面が、第1軸支持体50及び第2軸支持体60によりそれぞれ全面的に被覆されている。
【0024】
<コア組立体40>
図6は、回転往復駆動アクチュエーターのコア組立体の説明に供する図であり、ユニット固定部30を軸方向中央で切断して第2軸支持体側からみた斜視図である。図6は、回転往復駆動アクチュエーターのコア組立体の要部構成を示す断面図であり、図3のA-A線断面図である。
【0025】
コア組立体40は、コイル44、45、コイル44、45が巻回されるコア体K、及び、回転角度位置保持部48を有する。
【0026】
コア組立体40は、本実施の形態では、内側に磁極411a、412aが配設された直方形状に形成されている。
【0027】
<コア体K>
図7は、コア体の分解図である。
コア体Kは、本実施の形態では、2つの分割体を軸方向で組み合わせることで構成されている。コア体Kは、複数の磁極411a、412aを含む一体構造の磁極コア41と、磁極コア41と磁気的に結合されて一体化し、磁極コア41とともに磁路を構成する磁路コア42とを有する。
【0028】
コア体Kは、本実施の形態では、複数の磁極411a、412aを有する棒状体411、412と、棒状体411、412の四方を囲むように配置され、且つ磁極411a、412aの間を繋ぐ磁路を構成する包囲部420とを有する。なお、コア体Kは、本実施の形態では、磁極コア41及び磁路コア42を組み合わせることにより、磁路の幅よりも軸方向の長さの方が長く、直方体状の棒状体411、412と、長方体状の辺部で矩形枠状に形成される包囲部420と、から構成されている。
【0029】
磁極コア41及び磁路コア42は、コイル44、45に通電したときに発生する磁束を複数の磁極411a、412aに通過させる。磁極コア41及び磁路コア42は、例えば、ケイ素鋼板等の電磁鋼板(積層部材)を積層してなる積層コアである。磁極コア41及び磁路コア42を積層構造とすることにより、低コストで、且つ、複雑な形状に形成可能となっている。
【0030】
<磁極コア41>
磁極コア41は、複数の磁極411a、412aを先端部にそれぞれ有する複数の棒状体411、412と、複数の磁極411a、412aを接続する接続枠状体413とを一体構造で有する。
【0031】
棒状体411、412は、基端部411b、412bから先端部(磁極411a、412aを含む)まで互いに並行して延在し、中間部に複数のコイル44、45がそれぞれ外装される。
【0032】
コイル44、45への通電により励磁したときに、棒状体411、412の先端部の磁極411a、412aは、通電方向に応じた極性を生じる。
【0033】
棒状体411、412は、コア体Kの厚み(回転軸24の延在方向の長さ)と同様の厚みである。棒状体411、412は、接続枠状体413に対して、一方側(図1における下側)の面の面どうしでは面一であるが、他方側(図1における上側)の面どうしでは、棒状体411、412の方が接続枠状体413よりも突出する位置に配置されている。
【0034】
このように他方側の面には、棒状体411、412と接続枠状体413とにより段差部分が設けられ、この段差部分が、磁路コア42側の段差部分と係合する。これにより、棒状体411、412、包囲部とは軸方向の両側の面でそれぞれ略面一となっている。
【0035】
磁極411a、412aのマグネット26と対向する部分は、マグネット26の外周面に沿って湾曲する形状を有している。これら湾曲する形状は、例えば、棒状体411、412の延在方向と直交する方向で対向するように配置される。
【0036】
磁極411a、412aは、例えば、コイル44、45が巻回されたボビン46、47を、先端側から外挿可能な外形寸法を有する。これにより、棒状体411、412の延在方向の先端側、つまり、磁極411a、412aの先端から、ボビン46、47を外挿して、棒状体411、412を囲む位置まで位置させることができる。
【0037】
接続枠状体413は、U字状をなし、棒状体411、412どうしを接続して、複数の磁極411a、412aを一体化して接合している。なお、接続枠状体413は、磁極コア41が磁路コア42に組付けられた際に、磁路コア42の包囲部420に当接して囲み磁路を構成する。
接続枠状体413は、直方形状の接続辺部413aと、接続辺部413aの両端部から、接続辺部413aと直交する方向に延在する突出辺部413b、413cを有する。
【0038】
接続辺部413aは、棒状体411、412の並行方向と直交する方向に延在して配置され、両端部のそれぞれが棒状体411、412の基端部411b、412bと一体に設けられている。接続辺部413aでは、棒状体411、412は、突出辺部413b、413cの間で突出辺部413b、413cと並行に接合されている。
【0039】
接続辺部413aは、主に、棒状体411、412の基端部411b、412bと、磁路コア42の側辺部421、422の基端部421b、422bとを接続し、コイル44、45を囲むように配置される磁路を形成する。接続辺部413aと突出辺部413b、接続辺部413aと突出辺部413cとがそれぞれ接合する角部には、取付孔40aが設けられている。これら角部は、コア体Kにおいて平面視して四隅のうちの角部でもあり、取付孔40aに止着材32を挿入して、第1軸支持体50、磁路コア42、第2軸支持体60を固定する。
【0040】
突出辺部413b、413cは、接続辺部413aと、それぞれ磁路コア42の磁路側接触面420aと面接触する面状の磁極側接触面4130を有する。
【0041】
磁極側接触面4130は、U字状の接続枠状体413において磁路コア42と対向する部位に全面的に設けられている。接続枠状体413は、磁極側接触面4130を、磁路コア42の磁路側接触面420aに面接触させて接合することにより、磁路コア42の磁路側接続辺部424に全面的に積層した状態で接合される。
【0042】
また、接続辺部413aには、磁路コア42、第1軸支持体50及び第2軸支持体60を一体に接合する際に、各部を位置決めするための位置決め孔40cが設けられている。
【0043】
なお、磁極コア41では、棒状体411、412及び接続枠状体413が一体構造であるので、回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てる際に、複数の磁極411a、412aの位置関係が変化することがない。すなわち、磁路コア42とともにコア組立体40のコア体として、磁極411a、412aをマグネット26と向かい合う位置に配置してユニット固定部30を配置する場合、磁極411a、412aどうしを向かい合う正確な位置で互いにずれることなく位置させることができる。
【0044】
<磁路コア42>
磁路コア42は、磁極コア41に接続して、コイル44、45へ通電した際に、磁極411a、412aに磁束が通過する磁路を形成する。
【0045】
磁路コア42は、回転軸24の延在方向で磁極コア41の接続枠状体413と対面して互いに面接触し、且つ、回転軸24を中心に複数の磁極411a、412aを位置決めした状態で、磁極コア41と組み付けられる。
【0046】
磁路コア42は、包囲部420の他、磁路側接触面420a、切り欠き部420b、係合凹部40b、位置決め孔40dを有する。
【0047】
磁路コア42は、コイル44、45を包囲する包囲部420を有し、その包囲部420の一部の切り欠き部420bで、磁極コア41の接続枠状体413が係合して接続する。
包囲部420は、コイル44、45に加えて、磁極411a、412aも包囲するよう回転軸24の周囲に配置される。
【0048】
包囲部420は、例えば、矩形枠状に形成され、高い強度を有する。磁路コア42は、包囲部420に接続枠状体413が係合した際には、磁路側接触面420aと、磁極側接触面4130とで面接触して密着し、四方全て同じ厚み(軸方向の長さ)の一体化された矩形枠状体となる。
【0049】
包囲部420は、磁極コア41の磁極411a、412aを安定的に位置決めできる。また、磁路コア42の包囲部420は、コイル44、45を四方から包囲しているので、外部からコイル44、45への接触を防ぐことができる。
【0050】
包囲部420は、具体的には、枠状に接合された磁路側接続辺部424、両側辺部421、421及び橋架部423を有する。包囲部420では、切り欠き部420bは、磁路側接続辺部424と、両側辺部421、422のそれぞれの一部を、磁極コア41との対向面側を切り欠いて形成されている。
【0051】
磁路側接触面420aは、接続枠状体413に対応したU字状であり、切り欠き部420bの底面部分、すなわち、磁路側接続辺部424及び両側辺部421、422の磁極41側の面の一部に設けられている。磁路側接触面420aが、接続枠状体413の磁極側接触面4130と全面と重なるように接触することで、包囲部420と接続枠状体413との接合部分における磁気抵抗を減少できる。
【0052】
側辺部421、422は、一対の棒状体411、412を挟むように、且つ、一対の棒状体411、412の並行方向に沿って延在して配置されている。側辺部421、422は、基端部421b、422bで磁路側接続辺部424の両端部がそれぞれ接合され、先端部間には、磁路側接続辺部424と並行な橋架部423が架設されている。
【0053】
磁路側接続辺部424は、接続枠状体413に当接して重なるように積層した状態において、磁路側接続辺部424のマグネット26側の面に、複数の棒状体411、412の基端面が当接し、磁束が通過し易くなっている。
【0054】
係合凹部40bは、包囲部420の四隅、つまり、磁路の角部の屈曲部分のそれぞれに、軸方向に延在するように設けられている。なお、係合凹部40bには、第1軸支持体50の取付脚部56が嵌合する。
【0055】
位置決め孔40d、40eは、ユニット固定部30を構成する軸方向で積層する各部の位置決めのために用いられる孔である。位置決め孔40dは、磁極コア41の位置決め孔40c、第1軸支持体50の位置決め孔501、第2軸支持体60の位置決め孔60aのそれぞれと軸一軸心を有し同径で形成され、軸方向に連続する位置決め貫通孔を形成する。
【0056】
位置決め孔40eは、第1軸支持体50の位置決め孔502、第2軸支持体60の位置決め孔60bのそれぞれと軸一軸心を有し同径で形成され、軸方向に連続する位置決め貫通孔を形成する。磁路コア42の位置決め孔40e、第1軸支持体50の位置決め孔502、第2軸支持体60の位置決め孔60bは、本実施の形態では長穴である。
【0057】
図8は、駆動ユニットの組み立ての説明に供する駆動ユニットの分解斜視図である。
この構成において、コア組立体40、第1軸支持体50及び第2軸支持体60を接合する際には、図8に示すように、位置決め孔40c、40d、501、60aを軸方向で連続するように配置して位置決め用の棒体を挿通させる。加えて、位置決め孔40e、502、60bを軸方向で連続するように配置して位置決め用の棒体を挿通させことで、コア組立体40、第1軸支持体50及び第2軸支持体60を接合する際の位置決めを行うことができる。
【0058】
このようにコア組立体40を、第1軸支持体50及び第2軸支持体60で夫々位置決めした状態で挟む。次いで、止着材32を、第2軸支持体60側から、第2軸支持体60の止着孔60c、コア組立体40の取付孔40a、第1軸支持体50の止着孔503の順に挿入して締め付ける。これにより、第1軸支持体50及び第2軸支持体60は、コア組立体40を挟んだ状態で、コア組立体40に固定される。
【0059】
このように、位置決め孔40c、40d、501、60aと、位置決め孔40e、502、60bが、それぞれ共通の位置決め孔として機能する。これら共通の位置決め貫通孔に棒体を挿入して、これを基準して各部を位置決めでき、その後、回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てるので、組立精度の向上を図ることができ、往復回転性能の低下を抑制し、往復回転出力のばらつき発生の抑制を図ることができる。
【0060】
回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態では、磁極411a、412aで囲まれた空間に回転軸24が挿通される。また、この空間に、回転軸24に取り付けられたマグネット26が位置し、このマグネット26に対して、正確な位置で磁極411a、412aがエアギャップGを介して対向する。
【0061】
コイル44、45は、筒状のボビン46、47に巻回される。コイル44、45及びボビン46,47からなるコイル体が、磁極コア41の棒状体411、412に外挿されることにより、コイル44、45は、棒状体411、412を巻回するように配置される。こうして、コイル44、45は、棒状体411、412の先端部の磁極411a、412aに隣接配置されている。
【0062】
コイル44、45の巻線方向は、通電が行われた際に、磁極コア41の磁極411a、412aの一方から他方に向かって好適に磁束が生じるように設定される。
【0063】
<回転角度位置保持部(マグネット位置保持部)48>
回転角度位置保持部48は、回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態において、マグネット26とエアギャップGを介して対向するようにコア組立体40に組み込まれる。回転角度位置保持部48は、ユニット固定部30、例えば、コア組立体40に固定されてもよい。回転角度位置保持部48は、例えば、磁路コア42の橋架部423(磁極コア41の棒状体411、412の上方の部分)に、磁極がマグネット26に対向する姿勢で取り付けられる。
【0064】
回転角度位置保持部48は、例えば、マグネット26とは別のマグネットにより構成され、マグネット26との間に磁気吸引力を生じさせ、マグネット26を吸引する。すなわち、回転角度位置保持部48は、棒状体411、412とともに、マグネット26との間に磁気バネを形成する。この磁気バネにより、コイル44、45への通電が行われていない常態時(非通電時)には、マグネット26の回転角度位置、すなわち、回転軸24の回転角度位置が中立位置に保持される。
【0065】
中立位置とは、マグネット26の往復回転動作の回転中心位置であり、マグネット26の揺動の中心位置である基準位置である。マグネット26が、回転角度保持部48との間の磁気吸引力により、中立位置に保持されているとき、マグネット26の境界部分26c、26dは、棒状体411、412の磁極411a、412aと正対する。また、マグネット26が中立位置にある状態を基準にして、ミラー部22の取付け姿勢が調整される。なお、回転角度位置保持部48は、マグネットでなくてもよく、マグネット26との間に磁気吸引力を発生する磁性体で構成されてもよい。
【0066】
<第1軸支持体50及び第2軸支持体60>
図2図6及び図8に示す第1軸支持体50及び第2軸支持体60は、電磁シールドとして機能するとともに、回転軸24を回動自在に支持し、コア組立体40を挟持して、コア組立体40に固定される。
【0067】
第1軸支持体50及び第2軸支持体60は、コア組立体40のコア体Kの軸方向の両側に、それぞれ配置されている。第1軸支持体50及び第2軸支持体60により、外部からコア体Kへのノイズの入射及びコア体Kから外部へのノイズの出射を抑制することができる。なお、第1軸支持体50及び第2軸支持体60には、それぞれ側面に、回転往復駆動アクチュエーター1自体を製品に実装する際の位置決めとして機能する位置決め凹部15が設けられている。これにより、例えば、製品の実装箇所に設けた係合部に、位置決め凹部15に係合することで、回転往復駆動アクチュエーター1の位置決めを行うことができる。
【0068】
第1軸支持体50及び第2軸支持体60は、貫通孔521、62aが設けられた支持本体部52、62と、貫通孔521、62aに嵌合する軸受54、64とを有する。
【0069】
支持本体部52、62は、それぞれ電気伝導材からなり、コア組立体40、具体的には、コア体Kの軸方向で離間する端面のそれぞれを被覆する。第1軸支持体50及び第2軸支持体60の支持本体部52、62は、例えば、アルミ合金により形成されるのが好ましい。アルミ合金は設計の自由度が高く、容易に所望の剛性を付与することができる。したがって、回転軸24を受けて支持する軸受支持体として第1軸支持体50、第2軸支持体60を機能させる場合に好適である。
【0070】
図9は、第1軸支持体50の裏面側斜視図である。
図2図6図8及び図9に示すように、第1軸支持体50は、回転軸24の一端側からコア組立体40を覆うようにコア組立体40に取り付けられる。
【0071】
第1軸支持体50は、支持本体部52の貫通孔521に嵌入された第1軸受54を有する。第1軸受54には、回転軸24が回転自在に挿通されている。第1支持体50は、回転軸24を、その一端部側を突出させた状態で、支持本体部52に設けられた第1軸受54を介して、往復回転自在に支持している。なお、貫通孔521には、裏面側(コア組立体40側)に軸受取付部が形成されている。
【0072】
第1軸受54は、支持本体部52において裏面の軸受取付部にコア組立体40側(裏面側)から貫入することで、貫通孔521の開口縁部に、第1軸受54のフランジ部が係合して嵌入方向への移動が規制された状態で貫通孔521内に取り付けられる。軸受取付部は、例えば、第1軸支持体50の裏面に、貫通孔51aに連続した凹状に形成され、第1軸受54は、この凹状内に嵌入される。なお、第1軸受54は、例えば、転がり軸受や滑り軸受で構成される。
【0073】
図10は、コア組立体40におけるコア保持部の説明に供する図であり、コア組立体40をコア保持部58の先端部分で軸方向と直交する方向で切断した状態を示す図である。
第1軸支持体50は、本実施の形態では、支持本体部52からコア組立体40の内側に突出して設けられたコア保持部58を有する。
【0074】
コア保持部58は、コア組立体40のコア体Kの磁路間に配置されて介在し、磁路の移動を抑制する。コア保持部58は、磁極411a、412aと磁路を構成する側辺部421、422、突出辺部413b、413cとの間に介在する。これにより、コア組立体40において、磁極411a、412aが、磁極411a、412aと磁路を構成する側辺部421、422、突出辺部413b、413cに対して移動することを防止してその位置で保持することができる。
【0075】
よって、コア組立体40におけるコア体Kの衝撃や振動に対する変形等を抑制できる。なお、コア保持部58は、磁極411a、412aと、一体化された側辺部421、422及び突出辺部413b、413cからなる大包囲部の両側辺部のそれぞれとの間に介在すればよい。コア保持部58は、図10に示すように、第1軸支持体50の支持本体部52の裏面から突出して、磁極411a、412aの中央部分までの高さまで突出するように配置されている。
【0076】
また、第1軸支持体50の支持本体部52には、位置決め孔501、502と取付脚部56とが、設けられている。
【0077】
位置決め孔501、502は、支持本体部52に、対向する辺部のそれぞれの中央部にそれぞれ軸方向に貫通して形成されている。
【0078】
取付脚部56は、支持本体部52の裏面側で、四隅から突出して設けられている。取付脚部56は、第1軸支持体50、第2軸支持体60、コア組立体40を一体に接合するために用いられる。
【0079】
取付脚部56の形状は、例えば、コア体Kの係合凹部40bの形状に対応している。取付脚部56には、それぞれ軸方向に貫通する止着孔503が形成されている。この止着孔503には、第1軸支持体50を第2軸支持体60に止着するための止着材32が挿通される。止着孔503に挿通される止着材32を介して第1軸支持体50及び第2軸支持体60は、コア組立体40に固定される。
【0080】
取付脚部56は、立方体形状、直方体形状等を含む矩形柱状、例えば、立方体形状のユニット固定部30において、回転軸24の軸方向に沿って延在する四隅の辺部に配置され、コア組立体40の係合凹部40bに係合する。この係合状態で、取付脚部56内の止着孔503に止着材32が挿入されて、対応するコア組立体40の四隅の取付孔40aを挿通して第2軸支持体60に止着される。
【0081】
これにより、第1軸支持体50は、コア体K、ひいてはコア組立体40を、第1軸支持体50に対して軸方向で離脱するのみに移動するように規制し、止着材32により軸方向への移動も規制して固定される。つまり、第1軸支持体50とコア組立体40とは互いに回転軸24の軸方向と交差する方向への移動が規制され、確実に一体的に取り付けられる。
【0082】
第2軸支持体60は、回転軸24の他端側からコア組立体40を覆うようにコア組立体40に取り付けられる。
【0083】
第2軸支持体60は、支持本体部62の貫通孔62aに嵌入された第2軸受64を有する。第2軸受64には、回転軸24が回転自在に挿通されている。第2軸支持体60は、回転軸24を、その他端部側を突出させた状態で、支持本体部62に設けられた第2軸受64を介して、往復回転自在に支持している。なお、貫通孔62aには、裏面側(コア組立体40側)に軸受取付部が形成されている。
【0084】
第2軸受64は、軸受取付部にコア組立体40側から貫入することで、貫通孔62aの開口縁部でフランジ部が係合して嵌入方向への移動が規制された状態で取り付けられる。軸受取付部は、例えば、第2軸支持体60の裏面に、貫通孔61aに連続した凹状に形成され、第2軸受64は、この凹状内に嵌入される。なお、第2軸受64は、例えば、転がり軸受で構成されるが滑り軸受等の軸受で構成されてもよい。
【0085】
これら第1軸支持体50及び第2軸支持体60は、止着材32により、磁極コア41及び磁路コア42からなるコア体Kを有するコア組立体40を挟持し、且つ、コア組立体40に固定されて、駆動ユニット10のユニット固定部30として一体化される。
【0086】
第2軸支持体60は、止着材32を介して、第1軸支持体50とともに、コア組立体40を構成として、止着材32とともに用いられる止着部としての止着孔60cを有する。
【0087】
止着孔60cは、支持本体部62において、第1軸支持部50の止着孔503とコア組立体40の取付孔40aと対応する位置、つまり、軸方向で対向する位置に設けられている。支持本体部62では、四隅に夫々形成され、止着材32が挿入されて止着材32のそれぞれの一部、ここでは頭部のフランジ部が係合するように形成されている。なお、支持本体部62には、止着材32がねじ等の場合、ねじ頭部(止着材32の頭部)を逃がす凹部が設けられ、止着孔60cは凹部に配置されている。これにより、支持本体部62では、ボルトやねじ等の止着材32の軸を止着孔60cから挿通し、止着材32の頭部を止着孔60cの周囲で係合させる場合でも、止着材32の頭部を逃がして頭部が外方に突出することがない。
【0088】
<ユニット可動部20>
マグネット26は、S極26a及びN極26bが周方向に交互に配置されているリング型マグネットである。マグネット26は、回転往復駆動アクチュエーター1を組み立てた状態において、コア体Kの磁極411a、412aで囲まれた空間に位置するように、回転軸24の周面に取り付けられる。コイル44、45に通電が行われると、棒状体411、412及び磁路コア42が励磁されて磁極411a、412aに通電方向に応じた極性が生じ、磁極411a、412aとマグネット26との間で磁気力(吸引力及び反発力)が生じる。
【0089】
本実施の形態では、マグネット26は、回転軸24の軸方向に沿う平面を境界として異なる極性に着磁されている。すなわち、マグネット26は、S極26aとN極26bに等分割されるように着磁された2極マグネットである。マグネット26の磁極の数(本実施の形態では2つ)は、コア体Kの磁極411a、412aの数と等しい。なお、マグネット26は、可動時の振幅に応じて2極以上に着磁されていてもよい。この場合、コア体Kの磁極部は、マグネット26の磁極に対応して設けられる。
【0090】
また、図3図5に示すように、マグネット26は、第1軸支持体50の軸受54と、第2軸支持体60の軸受64との間で、環状のスペーサ25と、予圧バネ27との間に配置されている。また、マグネット26は、回転軸24に固着されている。回転軸24には、第2軸受64を挿通してコア組立体40の外側に突出する他端部側の部位に、軸支持リング28が放射方向に突出するように設けられている。軸支軸リング28は、具体的には、回転軸24に形成された切り欠き246に嵌め込まれることで取りつけられており、第2軸受64に対して、回転軸24の他端側で隣接する。
【0091】
マグネット26は、回転軸24を、ユニット固定部30に取り付けると、軸方向においてユニット固定部30内では、回転軸24の他端部側で、第2軸受64との間にスペーサ25を介して配置される。一方、マグネット26は、回転軸24の一端部側では、第1軸受54との間で、ワッシャー27a、27aで挟まれた予圧バネ27を介して、スペーサ側に予圧を付与された状態で配置される。
【0092】
このように、マグネット26はユニット固定部30内で位置決めされた状態で配置される。この状態において、予圧バネ27に対して予圧バネ27の圧縮方向に外力が加わる場合に、軸支持リング28は、回転軸24及びマグネット26のユニット固定部30に対するスラスト方向(例えば図3上側)への移動を規制する。よって、特に、回転軸24の他端部側に設けられる角度センサー部70の部品(エンコーダディスク74等)が、回転軸24とともに移動して、他の部品、例えば、第2軸受64に衝突したりすることがなく、損傷することがない。
【0093】
マグネット26は、図6に示すように、S極26aとN極26bとの境界部分26c、26d(以下、「磁極切替部」と称する)で極性が切り替わる。磁極切替部26c、26dは、マグネット26が中立位置で保持されているとき、磁極411a、412aのそれぞれと正対する。
【0094】
中立位置において、マグネット26の磁極切替部26c、26dが、磁極411a、412aと正対することにより、ユニット固定部30は最大トルクを発生して可動体を安定して駆動することができる。
【0095】
また、マグネット26を2極マグネットで構成することにより、コア体Kとの協働により、可動対象物を高振幅で駆動しやすくなるとともに、駆動性能の向上を図ることができる。なお、実施の形態では、マグネット26が一対の磁極切替部26c、26dを有する場合について説明したが、二対以上の磁極切替部を有していてもよい。
【0096】
図11は、角度センサー装置の説明に供する図である。
図1図4図5及び図11に示すように、角度センサー部70は、回路基板71と、回路基板71に実装された光センサー73と、エンコーダーディスク74とセンサー取付部78と、を有する。回路基板71は止着材33によりセンサー取付部78に固定される。センサー取付部78は、光センサー73を覆うカバーとしても機能し、センサー取付部78は、止着材34により第2軸支持体60の支持本体部62に固定される。センサー取付部78は、光センサー73を覆う。これにより、光センサー73へのごみ等の不純物の侵入を防ぎ、また光の干渉を防ぐことができ、安定した検出を行うことができる。
【0097】
エンコーダーディスク74は、円環状をなし内周部分の円筒部を介して回転軸24に固着して取り付けられ、マグネット26及びミラー部22と一体に回転する。エンコーダーディスク74の回転位置が回転軸24の回転位置と同一となるように設けられ、光センサー73は、エンコーダーディスク74に光を出射しその反射光に基づいてエンコーダーディスク74の回転位置(角度)を検出する。これにより、光センサー73によってマグネット26及びミラー部22の回転位置を検出できる。
【0098】
本実施の形態の回転往復駆動アクチュエーター1においては、ミラー部22を、回転軸24により往復回転駆動する駆動する駆動ユニット10を有する。駆動ユニット10は、マグネット26や、ミラー部22に接続される回転軸24を有するユニット可動部20と、第1軸支持体50、コア組立体40及び第2軸支持体60を有するユニット固定部30とを有する。
【0099】
ユニット固定部30では、第1軸支持体50側から突出する回転軸24でミラー部22を支持し、第2軸支持体60に、第2軸支持体60側から突出する回転軸24の回転角度を検知する角度センサー部70が設けられている。角度センサー部70は、第2軸支持体60と回転軸24とに跨って第2軸支持体60の外面側に取り付けられている。
【0100】
角度センサー部70は、マグネット26及び回転軸24を含む可動体の回転角度を検知可能とし、駆動時の可動体、具体的には、可動対象物であるミラー部22の回転角度位置及び回転速度を制御する。
【0101】
角度センサー部70の光センサー73は、第2軸支持体60に取り付けられるセンサー取付部78に取り付けられている。センサー取付部78を第2軸支持体60から取り外すだけで、光センサー73の取り外しを容易に行うことができる。なお、センサー取付部78には、振動アクチュエーター1の駆動電源用の基板79が取り付けられている。この基板79にコイル44、45が接続され、コイル44、45に電源供給する。
【0102】
これにより、角度センサー部70に不具合が生じた場合に容易に交換できるようになる。また、角度センサー部70の組み付けを組み立ての最終段階で行うことが可能となる。この結果、他の部品の組み立てが正常であることを確認してから高価な角度センサー部70を組み付けることができるので、高価な角度センサー部70、特に光センサー73を、他の部品の組み立て不良が原因で無駄にするといったリスクを抑制することができる。また、取付後、アクチュエーターに不具合があった場合でも、センサー取付部78を外すことで光センサー73をすぐに取り外すことができる。
【0103】
図12は、ストッパを示す斜視図である。
回転軸24において、ミラー部22が接続された一端部とは反対側の端部は、センサー取付部78から突出して配置され、回転軸24の回転を規制するストッパ部75が設けられている。ストッパ部75には半径方向に突出する突部76が設けられている。センサー取付部78の外面において、突部76の回転範囲内に、規制部77が配置されている。ストッパ部75は、回転した際に、突部76が規制部77に当接することにより、その回転範囲が規制される。これにより回転軸24の最大回転角度を限定し、他部品との干渉を防ぐことができ、干渉による変形・破損を防ぐことができる。
【0104】
次に、往復回転駆動アクチュエーター1の動作について、図6図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は、回転往復駆動アクチュエーター1の磁気回路の動作の説明に供する図であり、図3のB-B線断面図に基づいた磁気回路構成を示す図である。
【0105】
コア組立体40のコア体Kの2つの磁極411a、412aは、エアギャップGを空けてマグネット26を挟むように配置されている。コイル44、45への非通電時は、図3に示すように、マグネット26は、回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力により、中立位置に保持される。
【0106】
この中立位置では、マグネット26のS極26a及びN極26bの一方(図13でS極26a)が回転角度位置保持部48に吸引される(図13の磁気バネトルクFM、図14の磁気バネトルク-FM参照)。このとき、磁極切替部26c、26dは、コア体Kの磁極411a、412aの中心位置と対向する。
【0107】
コイル44、45に対して通電が行われると、コア体Kが励磁され、磁極411a、412aに通電方向に応じた極性が生じる。図13に示すようにコイル44、45への通電が行われると、コア体Kの内部に磁束が生じ、磁極411aはS極、磁極412aはN極となる。これにより、S極に磁化された磁極411aは、マグネット26のN極26bと引き合い、N極に磁化された磁極412aは、マグネット26のS極26aと引き合う。そして、マグネット26には回転軸24の軸回りにF方向のトルクが発生し、マグネット26はF方向に回転する。これに伴い、回転軸24もF方向に回転し、回転軸24に固定されているミラー部22もF方向に回転する。
【0108】
次に、図14に示すように、コイル44、45に対して逆向きに通電が行われると、コア体Kの内部に生じる磁束の流れは逆方向になり、磁極411aは、N極、磁極412aはS極となる。N極に磁化された磁極411aは、マグネット26のS極26aと引き合い、S極に磁化された磁極412aは、マグネット26のN極26bと引き合う。そして、マグネット26には回転軸24の軸回りにF方向とは逆向きのトルク-Fが発生し、マグネット26は-F方向に回転する。これに伴い、回転軸24も回転し、回転軸24に固定されるミラー部22も回転する。
回転往復駆動アクチュエーター1は、以上の動作を繰り返すことで、ミラー部22を回転往復駆動する。
【0109】
実際上、回転往復駆動アクチュエーター1は、電源供給部(例えば図17の駆動信号供給部103に相当)からコイル44、45に入力される交流波によって駆動される。つまり、コイル44、45の通電方向は周期的に切り替わる。通電方向の切り替わり時には、回転角度位置保持部48とマグネット26との間の磁気吸引力、つまり磁気バネの復元力(図13及び図14で示す磁気バネトルクFM、-FM)により、マグネット26は中立位置に戻るように付勢される。これにより、可動体には、軸回りにF方向のトルクと、F方向とは逆の方向(-F方向)のトルクが交互に作用する。これにより、可動体は、往復回転駆動される。
【0110】
以下に、回転往復駆動アクチュエーター1の駆動原理について簡単に説明する。本実施の形態の回転往復駆動アクチュエーター1では、可動体(可動体)の慣性モーメントをJ[kg・m]、磁気バネ(磁極411a、412a、回転角度位置保持部48及びマグネット26)のねじり方向のバネ定数をKspとした場合、可動体は、固定体(ユニット固定部30)に対して、式(1)によって算出される共振周波数F[Hz]で振動(往復回転)する。
【0111】
【数1】
【0112】
可動体は、バネマス系の振動モデルにおけるマス部を構成するので、コイル44、45に可動体の共振周波数Fに等しい周波数の交流波が入力されると、可動体は共振状態となる。すなわち、電源供給部からコイル44、45に対して、可動体の共振周波数Fと略等しい周波数の交流波を入力することにより、可動体を効率良く振動させることができる。
【0113】
回転往復駆動アクチュエーター1の駆動原理を示す運動方程式及び回路方程式を以下に示す。回転往復駆動アクチュエーター1は、式(2)で示す運動方程式及び式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0114】
【数2】
【0115】
【数3】
【0116】
すなわち、回転往復駆動アクチュエーター1における可動体の慣性モーメントJ[kg・m]、回転角度θ(t)[rad]、トルク定数K[N・m/A]、電流i(t)[A]、バネ定数Ksp[N・m/rad]、減衰係数D[N・m/(rad/s)]、負荷トルクTLoss[N・m]等は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力定数K[V/(rad/s)]は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0117】
このように、回転往復駆動アクチュエーター1は、可動体の慣性モーメントJと磁気バネのバネ定数Kspにより決まる共振周波数Fに対応する交流波によりコイルへの通電を行った場合に、効率良い大きな振動出力を得ることができる。
【0118】
(変形例1)
図15は、変形例1の回転往復駆動アクチュエーターの外観斜視図であり、図16は回転往復駆動アクチュエーターの正面側分解斜視図である。
【0119】
図15及び図16に示す回転往復駆動アクチュエーター1Aは、回転往復駆動アクチュエーター1と比較して、可動対象物が大型化した場合等の可動対象物を往復回転動自在に支持する回転往復駆動アクチュエーターである。
【0120】
回転往復駆動アクチュエーター1Aは、回転往復駆動アクチュエーター1と比較して、補助フレーム80を有する点と、補助フレーム80が取り付けられる第1軸支持体50Aの構成と、回転軸24Aの長さが異なり、その他の構成は同様である。よって、以下では、回転往復駆動アクチュエーター1Aについて、回転往復駆動アクチュエーター1と比較して、異なる構成のみ説明し、その他、同様の構成についての説明は省略する。
【0121】
回転往復駆動アクチュエーター1Aは、回転往復駆動アクチュエーター1と同様の機能を有し、駆動ユニット10Aと、ミラー部22Aと、補助フレーム80と、角度センサー部70と、を有する。
【0122】
駆動ユニット10Aは、駆動ユニット10と比較して、ユニット固定部30における第1軸支持体50の構成が異なる。駆動ユニット10Aでは、ユニット固定部30Aの第1軸支持体50Aの支持本体部52Aの天面は、補助フレーム80の一対の壁部81a、81bのうちの一側壁部81aが固定されるフレーム固定面57を有する。
【0123】
フレーム固定面57には、補助フレーム80が止着材36を介して固定される。駆動ユニット10Aは、駆動ユニット10と比較して、ユニット可動部20の回転軸24Aは長く、第1軸支持体50Aと、第2軸支持体60とで、コア組立体40を挟持して構成される。
回転軸24Aは、補助フレーム80の壁部81a、81b間を架設するような長さを有し、連通孔82bから連通孔82aにまで延在するように配置される。
【0124】
回転往復駆動アクチュエーター1Aは、駆動ユニット10Aに、補助フレーム80を取り付けて、可動対象物であるミラー部22Aを往復回転駆動自在に支持する。
【0125】
補助フレーム80は、一対の壁部81a、81bを有する断面が略コ字状の部材である。一対の壁部81a、81bにはそれぞれ回転軸24Aが挿通される挿通孔82a、82bが形成されている。連通孔82aには、回転軸24Aの先端が回動自在に挿通される回転支持部39が嵌合されている。さらに、一対の壁部81a、81bにはそれぞれ挿通孔82a、82bと壁部81a、81bの外縁とを連通する切欠穴83a、83bが形成されている。
【0126】
回転支持部39は、挿入される回転軸24Aを、回転自在に支持すればどのように構成されてもよく、すべり軸受、樹脂からなるブッシュ等で構成されてもよい。回転支持部39は、補助フレーム80の一対の壁部81a、81b間でミラー部22Aが取り付けられた回転軸24Aの先端部242を支持する。
【0127】
これにより、回転軸24Aにミラー部22Aを固着させた状態で、回転軸24Aを切欠穴83a、83bを介して回転軸24Aの位置に配置させることができる。
また、回転軸24Aは、補助フレーム80の壁部81a、81b間に配置される。
【0128】
切欠穴83a、83bが無い場合には、一対の壁部81a、81bの間にミラー部22Aを配置させた状態で、回転軸24Aを壁部81a、81bの挿通孔82a、82bの両方に挿通し、さらに回転軸24Aとミラー部22Aを固着させるといった煩雑な組立て作業が必要となる。これに対して、本実施の形態においては、切欠穴83a、83bを形成したので、予めミラー部22Aを固着させた回転軸24Aを、簡単に挿通孔82a、82bに挿通させることができる。
【0129】
この構成によれば、可動対象物が大型化した場合、つまり、ミラー部22Aを、片持ち構造の駆動ユニット10Aで支持する場合であっても、ミラー部22Aの挙動を安定させて、耐衝撃性や振動特性を確保して、安定して往復回転動自在に支持させることができる。
【0130】
図17は、回転往復駆動アクチュエーター1を用いたスキャナーシステム100の要部構成を示すブロック図である。
【0131】
スキャナーシステム100は、回転往復駆動アクチュエーター1に加えて、レーザー発光部101、レーザー制御部102、駆動信号供給部103及び位置制御信号計算部104を有する。
【0132】
レーザー発光部101は、例えば、光源となるLD(レーザーダイオード)と、この光源から出力されるレーザー光を収束するためのレンズ系などを有する。レーザー制御部102は、レーザー発光部101を制御する。レーザー発光部101から照射されたレーザー光は、回転往復駆動アクチュエーター1のミラー221に入射される。
【0133】
位置制御信号計算部104は、角度センサー部70により取得された回転軸24(ミラー221)の角度位置と、目標角度位置とを参照して、回転軸24(ミラー221)を目標角度位置となるように制御する駆動信号を生成して出力する。例えば、位置制御信号計算部104は、取得した回転軸24(ミラー221)の角度位置と、図示しない波形メモリに格納されているのこぎり波形データ等を用いて変換された目標角度位置を示す信号とに基づいて位置制御信号を生成して、この位置制御信号を駆動信号供給部103に出力する。
【0134】
駆動信号供給部103は、位置制御信号に基づいて、回転往復駆動アクチュエーター1のコイル44、45に、回転軸24(ミラー221)の角度位置が所望の角度位置となるような駆動信号を供給する。これにより、スキャナーシステム100は、回転往復駆動アクチュエーター1から所定の走査領域に走査光を出射することができる。
【0135】
<まとめ>
以上説明したように、本実施の形態に係る回転往復駆動アクチュエーター1は、ミラー部(可動対象物)が接続される回転軸(軸部)24と、回転軸24に固定されたマグネット26とを有する可動部20を有する。なお、マグネット26は、外周面においてS極26a及びN極26bが周方向に交互に配置されているリング型マグネットである。
【0136】
加えて、回転往復駆動アクチュエーター1は、ユニット固定部30を有する。ユニット固定部30は、複数の磁極411a、412aを有するコア体K及び通電時にコア体Kに磁束を発生させる複数のコイル4、45を含むコア組立体40を有する。ユニット固定部30は、複数の磁極411a、412aをマグネット26の外周に対向させ且つ複数のコイル44、45を互いに並行にして、コア組立体4を配置している。
【0137】
コア組立体40の回転軸24の延在方向の両側には、それぞれ回転軸24を回転自在に支持する一対の軸支持体である第1軸支持体50、第2軸支持体60が設けられている。これら一対の軸支持体50、60は、コア組立体40を挟持して固定され、磁束とマグネット26との電磁相互作用により可動部20を回転軸24の軸回りに往復回転させる。
【0138】
このように可動対象物であるミラー部22は、コア組立体40を挟み固定された一対の軸支持部50、60の双方で回動自在に支持され、ユニット固定部30から一方に突出した回転軸24を介して、往復回転自在に支持されている。これにより、回転往復駆動アクチュエーター1では、片持ちであっても回転軸24を介して、ミラー部22を確実に安定して可動可能に支持できる。
【0139】
すなわち、ユニット固定部30では、回転軸24のマグネット26が配置されている部分は、第1軸支持体50と第2軸支持体60によってコア組立体40を挟んで2点支持されている。これにより、マグネット26と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなっても、回転軸24の直線性を確保することができる。つまり、回転軸24のマグネット26が配置されている部分が、第2軸支持体60だけで支持され片持ちとなっている場合には、マグネット26と回転角度位置保持部48との間の磁気吸引力が大きくなると、回転軸24が回転角度位置保持部48側に撓んで直線性が低下する虞があるが、このような問題は生じない。
【0140】
このように、回転往復駆動アクチュエーター1によれば、より小型化及び小スペースを図ることができ、耐衝撃性や耐振動特性を有し、軸部を介して可動対象物を、より安定した状態で、高振幅で駆動できる
【0141】
なお、変形例1の回転往復駆動アクチュエーター1Aのように、第1軸支持体50と略同様に構成された第1軸支持体50Aと、回転軸24の先端が第1軸受54から離れた構成でも、補助フレーム80、回転支持部39により好適に支持できる。
【0142】
コア体Kを、磁極コア41と磁路コア42の別体で構成し、磁極コア41では磁極411a、412aがマグネット26の外周に対向させた位置で一体構造であるので、磁極コア41及び磁路コア42を有するコア体Kの形状が複雑であっても、複数の磁極411a、412aの配置精度を下げることなく容易に製造できる。
【0143】
なお、マグネット26の磁極の数と磁極411a、412aの数は等しい。ユニット固定部30は、マグネット26にエアギャップGを介して対向して設けられた回転角度位置保持部(マグネット位置保持部)48を有する。回転角度位置保持部48は、マグネット26、を基準位置、つまり、回転軸24またはマグネット26の回転角度位置を中立位置に、マグネット26との間で発生する磁気吸引力により保持する。基準位置は、マグネット26の往復回転の回転中心位置である。
【0144】
複数のコイル44、45への通電方向を切り替えることにより、一体構造の磁極コア41及び磁路コア42を通過する磁束の流れを切り替えてコア組立体40に発生させて、磁束とマグネット26との電磁相互作用により、可動体は、回転軸24の軸回りに往復回転する。
【0145】
磁極コア41および磁路コア42は積層部材であるので、製造に手間がかからず、低コストで複雑な形状の磁極コア41及び磁路コア42を構成することができる。
磁極コア41は、複数の棒状体411、412と、複数の棒状体411、412を互いに接続する接続枠状体413と、を一体構造で有する。複数の棒状体411、412は、先端部に複数の磁極411a、412aをそれぞれ有し、基端部411b、412bから先端部まで互いに並行して延在し、中間部に複数のコイル44、45がそれぞれ外装される。接続枠状体413は、基端部411b、412bで棒状体411、412の並行方向と交差する方向に延在する。
【0146】
磁路コア42は、回転軸24の延在方向で接続枠状体413と対面して互いに面接触し、且つ、回転軸24を中心に複数の磁極411a、412aを、コイル44、45を隣接させた安定した状態で位置決めして、磁極コア41が組み付けられる。
【0147】
これにより、マグネット26を挟んで向かい合うように配置される磁極411a、412aを有するコアであっても、高出力化を実現しつつ、製造コストの低廉化を図り、磁極411a、412aの配置精度を高めて、ばらつきなく配置することができる。よって、回転往復駆動アクチュエーター1の信頼性の向上を図ることができる。
【0148】
また、磁路コア42は、棒状体411、412の外側に延長する延長部(側辺部421、422、橋架部423)を有し、延長部は、接続枠状体413とともにコイル44、45を包囲するよう回転軸24の周囲に配置されている。これにより、通電されるコイル44、45から発生する電磁ノイズを抑制することができ、さらにコイル44、45およびマグネット26からの漏れ磁束を抑制することができ、外部機器への電磁的な影響を防ぐことができる。
【0149】
また、回転角度位置保持部48が、マグネットであれば、可動体を往復回転駆動する際の可動体の基準位置へ、より正確に位置させ、その位置から往復駆動させることができ、確実に往復駆動させることができる。
【0150】
また、可動対象物は、走査光を反射するミラー部22(特にミラー221)である。これにより、回転往復駆動アクチュエーター1を、光走査を行うスキャナーの用途に使用することができる。
【0151】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0152】
例えば、実施の形態では、可動対象物がミラー部22である場合について述べたが、可動対象物はこれに限らない。可動対象物は、例えば、カメラなどの撮像装置であってもよい。
【0153】
また例えば、実施の形態では、回転往復駆動アクチュエーター1を共振駆動する場合について説明したが、本発明は、非共振駆動する場合にも適用できる。
【0154】
また、ユニット固定部30の構成は、実施の形態で説明したものに限定されない。例えば、コアは、コイルへの通電により励磁され極性を生じる磁極部を有し、回転軸をユニット固定部に取り付けたときに、磁極部とマグネットの外周面とがエアギャップを介して対向するようになっていればよい。また、コイルは、通電したときに、コアの磁極部の一方から他方に向かって好適に磁束を生じさせる構成を有していればよい。
【0155】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は、例えばLiDAR装置やスキャナーシステム等に好適である。
【符号の説明】
【0157】
1、1A 回転往復駆動アクチュエーター
10、10A 駆動ユニット
20 ユニット可動部
22、22A ミラー部
24、24A 回転軸
25 スペーサ
26 マグネット
26a、26b 極
26c、26d 境界部分(磁極切替部)
27 予圧バネ
27a ワッシャー
28 軸支持リング
30、30A ユニット固定部
32、33、34、36 止着材
39 回転支持部
40 コア組立体
40a 取付孔
40b 係合凹部
40c、40d、40e、60a、60b、501、502 位置決め孔
41 磁極コア
42 磁路コア
44、45 コイル
46、47 ボビン
48 角度位置保持部
50、50A 第1軸支持体
51a、61a 貫通孔
52、52A、62 支持本体部
54 第1軸受(軸受部)
56 取付脚部
57 フレーム固定面
58 コア保持部
60 第2軸支持体
64 第2軸受(軸受部)
70 角度センサー部
71 回路基板
73 光センサー
74 エンコーダーディスク
75 ストッパ部
76 突部
77 規制部
78 センサー取付部
79 基板
80 補助フレーム
81a、81b 壁部
82a、82b 挿通孔
83a、83b 切欠穴
100 スキャナーシステム
101 レーザー発光部
102 レーザー制御部
103 信号供給部
104 信号計算部
221 ミラー
222 ミラーホルダー
223 挿通孔
242 先端部
242a 切り欠き面
411、412 棒状体
411a、412a 磁極
411b、412b、421b、422b 基端部
413 接続枠状体
413a 接続辺部
413b、413c 突出辺部
420 包囲部
420a 磁路側接触面
420b 切り欠き部
421、422 側辺部
423 橋架部
424 磁路側接続辺部
503、60c 止着孔
521、62a 貫通孔
4130 磁極側接触面
K コア体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17