(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159022
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20231024BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01N21/89 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012590
(22)【出願日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2022068680
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】中野 大輝
(72)【発明者】
【氏名】山根 誠一
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB01
2G051AB07
2G051BA02
2G051BB02
2G051CA03
2G051CC11
2G051DA08
2G051EB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送体の傷や汚れ等の撮像障害物を抽出してそのレベルを算出することができる外観検査装置を提供する。
【解決手段】外観検査装置100は、搬送体1と、搬送体1の第2の主面上に検査対象物20を供給する供給部2と、搬送体1を駆動することによって、搬送体1上の検査対象物20を搬送する駆動部3と、検査対象物20の外観検査を行うため、搬送体1を透過する波長を有する撮像光によって、搬送体1上の検査対象物20を撮像可能な第1の撮像部と、搬送体1に含まれる撮像障害物に関する光学特性値に基づいて、第1の撮像部によって撮像された画像に含まれる撮像障害物を抽出する撮像障害物抽出部と、撮像障害物抽出部によって抽出された撮像障害物のレベルを算出するレベル算出部とを備える。レベル算出部は、撮像障害物抽出部によって抽出された複数の撮像障害物のデータの累積値に基づいて、撮像障害物のレベルを算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の外観検査を行うための外観検査装置であって、
第1の主面、および、前記第1の主面と相対する第2の主面を有する搬送体と、
前記搬送体の前記第2の主面上に前記検査対象物を供給する供給部と、
前記搬送体を駆動することによって、前記搬送体上の前記検査対象物を搬送する駆動部と、
前記検査対象物の外観検査を行うため、前記搬送体を透過する波長を有する撮像光によって、前記搬送体上の前記検査対象物を撮像可能な第1の撮像部と、
前記搬送体に含まれる撮像障害物に関する光学特性値に基づいて、前記第1の撮像部によって撮像された画像に含まれる前記撮像障害物を抽出する撮像障害物抽出部と、
前記撮像障害物抽出部によって抽出された前記撮像障害物のレベルを算出するレベル算出部と、
を備え、
前記レベル算出部は、前記撮像障害物抽出部によって抽出された複数の前記撮像障害物のデータの累積値に基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記撮像障害物抽出部は、前記第1の撮像部によって撮像された画像に含まれる前記光学特性値に基づいて、前記撮像障害物を抽出することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記光学特性値は、輝度であることを特徴とする請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記第1の撮像部は、前記第1の主面側から前記搬送体上の前記検査対象物を撮像することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記第1の撮像部は、前記搬送体上に前記検査対象物が載置される範囲よりも広い範囲を撮像することを特徴とする請求項4に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記撮像障害物抽出部は、前記第1の撮像部によって撮像された画像から、前記検査対象物が載置されている範囲を除いた範囲内で、前記撮像障害物を抽出することを特徴とする請求項5に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記搬送体は、少なくとも前記検査対象物が載置される領域が透明であって、前記第1の主面および前記第2の主面と直交する中心軸を中心に回転可能な形状を有しており、
前記駆動部は、前記搬送体を前記中心軸を中心とした回転方向に駆動することによって、前記搬送体上の前記検査対象物を前記回転方向に搬送することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記レベル算出部は、前記搬送体が前記回転方向に1周する間に前記第1の撮像部によって撮像された複数の画像において、前記撮像障害物抽出部によって抽出された複数の前記撮像障害物のデータの累積値に基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする請求項7に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記レベル算出部は、前記第1の撮像部によって撮像された前記画像に含まれる前記撮像障害物の輝度と前記撮像障害物の面積とに基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項10】
前記レベル算出部によって算出された前記撮像障害物のレベルに基づいてアラートを発するアラート部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項11】
前記撮像障害物抽出部によって抽出された前記撮像障害物を、前記搬送体に付いた傷と前記搬送体に付着した汚れとに選別する選別部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項12】
前記第2の主面側から前記搬送体上の前記検査対象物を撮像する第2の撮像部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項13】
前記検査対象物の良品率を判定する良品率判定部をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の外観検査装置。
【請求項14】
前記良品率判定部は、前記第1の撮像部によって撮像された前記検査対象物の画像と、前記第2の撮像部によって撮像された前記検査対象物の画像とに基づいて、前記検査対象物の良品率を判定することを特徴とする請求項13に記載の外観検査装置。
【請求項15】
前記レベル算出部によって算出された前記撮像障害物のレベルに基づいてアラートを発するアラート部をさらに備え、
前記アラート部は、前記良品率判定部によって判定された良品率と、前記レベル算出部によって算出された前記撮像障害物のレベルとに基づいて、前記アラートを発することを特徴とする請求項13または14に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の外観を検査するための外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物を搬送テーブルなどの搬送体上に載置して搬送しながら、撮像装置で検査対象物を撮像して、検査対象物の外観を検査する装置が知られている。
【0003】
そのような外観検査装置として、特許文献1には、透明なガラス体からなる円形の搬送テーブル上に検査対象物を載置し、搬送テーブルを回転させて検査対象物を搬送しながら、カメラで検査対象物の各表面を撮像する外観検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の外観検査装置では、搬送テーブルに付いた傷や汚れを検査対象物の傷や汚れと誤認して、良品の検査対象物を不良品と誤判定する可能性がある。すなわち、搬送テーブルに対して検査対象物とは反対側に位置する下面カメラで透明な搬送テーブル上の検査対象物を撮像したときに、検査対象物と重なる位置にある搬送テーブルの傷や汚れを、検査対象物の傷や汚れと誤認する可能性がある。このため、上述した外観検査の誤判定を防ぐため、搬送テーブルの傷や汚れ等の撮像障害物のレベルに応じて、搬送テーブルの清掃や交換を行うことが好ましいが、特許文献1には、撮像障害物のレベルを算出する方法等についての開示はない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、搬送体の傷や汚れ等の撮像障害物を抽出してそのレベルを算出することができる外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の外観検査装置は、検査対象物の外観検査を行うための外観検査装置であって、
第1の主面、および、前記第1の主面と相対する第2の主面を有する搬送体と、
前記搬送体の前記第2の主面上に前記検査対象物を供給する供給部と、
前記搬送体を駆動することによって、前記搬送体上の前記検査対象物を搬送する駆動部と、
前記検査対象物の外観検査を行うため、前記搬送体を透過する波長を有する撮像光によって、前記搬送体上の前記検査対象物を撮像可能な第1の撮像部と、
前記搬送体に含まれる撮像障害物に関する光学特性値に基づいて、前記第1の撮像部によって撮像された画像に含まれる前記撮像障害物を抽出する撮像障害物抽出部と、
前記撮像障害物抽出部によって抽出された前記撮像障害物のレベルを算出するレベル算出部と、
を備え、
前記レベル算出部は、前記撮像障害物抽出部によって抽出された複数の前記撮像障害物のデータの累積値に基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の外観検査装置によれば、撮像された画像に含まれる撮像障害物を抽出し、抽出した複数の撮像障害物のデータの累積値に基づいて、撮像障害物のレベルを算出するので、搬送体の傷や汚れ等の撮像障害物のレベルを適切に算出することができる。撮像障害物のレベルは、例えば、搬送体のメンテナンスの指標にすることができる。したがって、算出した撮像障害物のレベルに応じて、例えば、搬送体の清掃や交換を適切なタイミングで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態における外観検査装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】検査対象物の一例である積層セラミックコンデンサの外観形状を示す斜視図である。
【
図3】検査対象物の一例である積層セラミックコンデンサの第1の主面を撮像するための第1の撮像部、および、第2の主面を撮像するための第2の撮像部の配置位置を示す図である。
【
図4】検査対象物の一例である積層セラミックコンデンサの第1の端面を撮像するための第3の撮像部、および、第2の端面を撮像するための第4の撮像部の配置位置を示す図である。
【
図5】検査対象物の一例である積層セラミックコンデンサの第1の側面を撮像するための第5の撮像部、および、第2の側面を撮像するための第6の撮像部の配置位置を示す図である。
【
図6】処理部の機能を模式的に示すブロック図である。
【
図7】第1の撮像部によって撮像された画像のうち、検査対象物が載置されている範囲を除いた範囲を示す図である。
【
図8】抽出された撮像障害物を傷と汚れとに選別する方法の一例を説明するための図である。
【
図9】画像上の座標位置から、傷と汚れとを選別する方法の一例を説明するための図である。
【
図10】(a)は、第1の撮像部の光軸と第1の照明部の光軸とが一致している場合におけるR画像、G画像、B画像の輝度分布を模式的に示す図であり、(b)は、第1の照明部の照明光のうち、緑色の照明光の光軸がずれている場合におけるR画像、G画像、B画像の輝度分布を模式的に示す図であり、(c)は、第1の撮像部の光軸がずれている場合におけるR画像、G画像、B画像の輝度分布を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態における外観検査装置100の構成を模式的に示す図である。一実施形態における外観検査装置100は、検査対象物20の外観検査を行うための装置であって、搬送体1と、供給部2と、駆動部3と、処理部4と、第1の撮像部11とを備える。なお、第1の撮像部11は、搬送体1に対して第2の撮像部12とは反対側の位置に配置されている(
図3参照)。本実施形態における外観検査装置100はさらに、アラート部5と、整列部6と、排出部7と、第2の撮像部12と、第3の撮像部13と、第4の撮像部14と、第5の撮像部15と、第6の撮像部16とを備える。
【0012】
検査対象物20は、例えば、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、サーミスタ、モジュール基板などの電子部品や、電子部品の製造途中にある半製品である。ただし、検査対象物20が電子部品や半製品に限定されることはない。
【0013】
図2は、検査対象物20の一例である積層セラミックコンデンサ20Xの外観形状を示す斜視図である。
図2に示すように、積層セラミックコンデンサ20Xは、セラミック素体21と、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bとを有する。
【0014】
積層セラミックコンデンサ20Xは、6面体の形状を有する。すなわち、積層セラミックコンデンサ20Xは、互いに相対する第1の端面23aおよび第2の端面23bと、互いに相対する第1の主面24aおよび第2の主面24bと、互いに相対する第1の側面25aおよび第2の側面25bとを有する。
【0015】
搬送体1は、第1の主面1a、および、第1の主面1aと相対する第2の主面1bを有する(
図3~
図5参照)。搬送体1は、外観検査装置100に用いることで検査対象物20を搬送できるものであれば、その構造や形状に特に制約はない。本実施形態における搬送体1は、静電誘導による静電気力によって、搬送面である第2の主面1bに検査対象物20を吸着して搬送する静電誘導吸着式搬送体である。ただし、搬送体1は、検査対象物20を吸着せずに搬送するものであってもよい。
【0016】
本実施形態における搬送体1は、少なくとも検査対象物20が載置される領域が透明であって、第1の主面1aおよび第2の主面1bと直交する中心軸X1を中心に回転可能な形状を有している。具体的には、搬送体1は、透明で回転可能な円形テーブル状の形状を有しており、その直径は、例えば100mm以上1000mm以下である。
【0017】
本実施形態において、搬送体1は、透明な絶縁性材料、例えばホウケイ酸ガラス、石英ガラスやフロートガラスなどの透明ガラス材料や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂材料からなる。ただし、搬送体1の全体が透明な絶縁性材料からなる必要はなく、少なくとも検査対象物20が載置される領域が透明な絶縁性材料で構成されていればよい。なお、ここでの「透明」とは、後述の通り、検査対象物20を検査する際に照射される撮像光を透過し得る透過率を有することであり、必ずしも可視光にとって透明である必要はない。
【0018】
搬送体1は、単層構造でもよいし、複数層からなる構造であってもよい。また、搬送体1が静電誘導吸着式搬送体である場合、導電体層を含んでいてもよい。その場合、導電体層を、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化チタン、グラフェンなどからなる透明電極として構成することが可能である。
【0019】
本実施形態では、後述するように、搬送体1の第2の主面1b上に載置された検査対象物20は、外観検査のため、第1の主面1a側から第1の撮像部11によって撮像される。したがって、搬送体1のうち、少なくとも検査対象物20が載置される領域は、検査対象物20を検査する際に照射される撮像光を透過し得る透過率を有する。外観検査の精度向上のため、透過率は高い方が好ましい。
【0020】
搬送体1が静電誘導吸着式搬送体である場合、第1の主面1aは、帯電装置等によって、プラスまたはマイナスに帯電される。ここでは、第1の主面1aがプラスに帯電されるものとして説明する。この場合、搬送体1の内部のうち、第1の主面1a側にマイナスの電荷が現れ、第2の主面1b側にプラスの電荷が現れる。また、搬送体1の第2の主面1b上に載置された検査対象物20の第1の主面24a側にマイナスの電荷が現れる。これにより、検査対象物20と搬送体1との間には静電吸着力が発生し、検査対象物20は、搬送体1の第2の主面1bに吸着される。
【0021】
供給部2は、搬送体1の第2の主面1b上に検査対象物20を供給する。ただし、第2の主面1b上とは、鉛直方向における上方向ではなく、第2の主面1bの上であって、方向は問わない。供給部2として、例えば、振動により検査対象物20を供給する振動式パーツフィーダ、回転しながら検査対象物20を供給する回転式パーツフィーダ、エアの力により検査対象物20を供給するエア式パーツフィーダ、ベルトコンベアによって検査対象物20を供給するベルトコンベア式パーツフィーダ、1つずつ検査対象物20を供給するワン・バイ・ワン式搭載機構などを用いることができる。
【0022】
供給部2は、例えば、一定の時間間隔で検査対象物20を搬送体1の上に供給する。供給部2による供給量は、例えば1分間に50個~30000個である。供給部2は、検査対象物20が1列になるように供給してもよいし、2列以上の複数列になるように供給してもよい。
【0023】
本実施形態では、搬送体1の上に供給された検査対象物20は、静電誘導により搬送体1に吸着されながら、
図1に示すように、整列部6によって一列に整列させられる。すなわち、複数の検査対象物20はそれぞれ、整列部6と当接することによって向きが揃った状態で、一列に整列する。ここでは、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bが対向する方向が搬送方向と一致するように、検査対象物20である積層セラミックコンデンサ20Xの向きが揃えられる。
【0024】
上述したように、本実施形態における搬送体1は、回転可能な円形テーブル状の形状を有しており、回転することによって、第2の主面1b上の検査対象物20を搬送する。このとき、検査対象物20には遠心力が加わるため、検査対象物20の位置ずれや、第2の主面1b上からの落下を防止するためには、搬送体1を回転させる回転速度をあまり高速に出来ないが、検査対象物20は、静電誘導による静電気力によって、搬送体1の第2の主面1bに吸着された状態で搬送されるため、搬送時の検査対象物20の位置ずれや、第2の主面1b上からの落下を抑制できる。したがって、搬送体1の回転速度をより高速にすることができる。すなわち、検査対象物20は、搬送体1に吸着された状態で搬送されることが好ましい。
【0025】
なお、検査対象物20を静電誘導により吸着した状態で搬送する方法では、搬送体1を水平な状態ではなく、水平面に対して傾斜した状態で使用することも可能である。
【0026】
駆動部3は、搬送体1を駆動することによって、搬送体1上の検査対象物20を搬送する。駆動部3は、例えば、DCモータ、サーボモータ、ステッピングモータ、リニアモータなどの電磁モータや、超音波モータ、圧縮空気などである。搬送体1の駆動は、連続的に行ってもよいし、間欠的に行ってもよい。搬送体1を連続的に駆動する場合の速度は、例えば100mm/s以上2000mm/s以下であり、一例として800mm/sである。なお、駆動部3は、任意の位置に設けることができる。
【0027】
外観検査装置100は、搬送体1による検査対象物20の搬送時に、検査対象物20の外観検査を行うように構成されている。検査対象物20の外観検査は、第1の撮像部11~第6の撮像部16および処理部4によって行われる。
【0028】
第1の撮像部11~第6の撮像部16はそれぞれ、搬送体1の上の検査対象物20を撮像する。第1の撮像部11~第6の撮像部16は、検査対象物20を撮像できるものであれば特に制約はなく、例えばCCDカメラやCMOSカメラを用いることができる。第1の撮像部11~第6の撮像部16の撮像速度は、例えば、1秒当たり10枚以上400枚以下であり、一例として1秒当たり150枚である。撮像範囲は、例えば、1mm×1mm以上10mm×10mm以下であり、一例として5mm×5mmである。連続的に2枚の画像が撮像されたときに搬送体1が進む距離は、搬送体1の進行方向に沿った画像の寸法をWaとしたときに、0.5Wa以上5Wa以下の距離である。
【0029】
ここでは、検査対象物20が上述した積層セラミックコンデンサ20Xであり、第1の撮像部11~第6の撮像部16としてCCDカメラを用いるものとして説明する。なお、
図1では、搬送体1より上方(搬送体1の第2の主面1b側)に位置する第2の撮像部12~第6の撮像部16を示しており、搬送体1よりも下方(搬送体1の第1の主面1a側)に位置する第1の撮像部11は示していない。
【0030】
図1において、第1の撮像エリアSA1は、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の側面25aおよび第2の側面25bを撮像するエリアである。第2の撮像エリアSA2は、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の端面23aおよび第2の端面23bを撮像するエリアである。第3の撮像エリアSA3は、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の主面24aおよび第2の主面24bを撮像するエリアである。
【0031】
図3は、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の主面24aを撮像するための第1の撮像部11、および、第2の主面24bを撮像するための第2の撮像部12の配置位置を示す図である。第1の撮像部11は、搬送体1の第1の主面1aと直交する方向に離れた位置であって、第1の主面1a側に設けられている。第2の撮像部12は、搬送体1の検査対象物20の第2の主面1bと直交する方向に離れた位置であって、第2の主面1b側に設けられている。
【0032】
本実施形態では、
図3に示すように、搬送体1が水平に配設されており、第1の撮像部11は、搬送体1の下方に設けられ、第2の撮像部12は、搬送体1の上方に設けられている。したがって、第1の撮像部11は、搬送体1の第1の主面1a側である下方から、搬送体1の第2の主面1bの上に載置されている積層セラミックコンデンサ20Xの第1の主面24aを撮像する。また、第2の撮像部12は、搬送体1の第2の主面1b側である上方から、積層セラミックコンデンサ20Xの第2の主面24bを撮像する。
【0033】
本実施形態では、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の主面24aを光で照らすために、第1の照明部31が設けられ、第2の主面24bを光で照らすために、第2の照明部32が設けられている。第1の照明部31および第2の照明部32は、例えば、半球型のドーム照明であり、撮像光を通過させるための孔が中心付近に設けられている。
【0034】
図4は、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の端面23aを撮像するための第3の撮像部13、および、第2の端面23bを撮像するための第4の撮像部14の配置位置を示す図である。第3の撮像部13および第4の撮像部14は、搬送体1の検査対象物20の第2の主面1bと直交する方向に離れた位置であって、第2の主面1b側に設けられている。本実施形態では、
図4に示すように、搬送体1が水平に配設されているため、第3の撮像部13および第4の撮像部14は、搬送体1の上方に設けられている。
【0035】
本実施形態では、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の端面23aを光で照らすための第3の照明部33、および、第2の端面23bを光で照らすための第4の照明部34が設けられている。第3の照明部33および第4の照明部34は、第1の照明部31および第2の照明部32と同じ構造のものを用いることができる。
【0036】
図4に示すように、第3の撮像部13の撮像面は、鉛直下方を向いている。第3の撮像部13の撮像面の鉛直下方には、光路を変更するための第1の反射体41が設けられている。第1の反射体41は、例えばミラーまたはプリズムである。第3の撮像部13は、第1の反射体41で光路が変更された光を受光することによって、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の端面23aを撮像する。
【0037】
図4に示すように、第4の撮像部14の撮像面は、鉛直下方を向いている。第4の撮像部14の撮像面の鉛直下方には、光路を変更するための第2の反射体42が設けられている。第2の反射体42は、例えばミラーまたはプリズムである。第4の撮像部14は、第2の反射体42で光路が変更された光を受光することによって、積層セラミックコンデンサ20Xの第2の端面23bを撮像する。
【0038】
図5は、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の側面25aを撮像するための第5の撮像部15、および、第2の側面25bを撮像するための第6の撮像部16の配置位置を示す図である。第5の撮像部15は、搬送体1の検査対象物20の第2の主面1bと直交する方向に離れた位置であって、第2の主面1b側に設けられている。本実施形態では、
図5に示すように、搬送体1が水平に配設されているため、第5の撮像部15は、搬送体1の上方に設けられている。また、第6の撮像部16は、搬送体1の径方向外側であって、かつ、積層セラミックコンデンサ20Xと略同じ高さの位置に設けられている。
【0039】
本実施形態では、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の側面25aを光で照らすために、第5の照明部35が設けられ、第2の側面25bを光で照らすために、第6の照明部36が設けられている。第5の照明部35および第6の照明部36は、第1の照明部31および第2の照明部32と同じ構造のものを用いることができる。
【0040】
図5に示すように、第5の撮像部15の撮像面は、鉛直下方を向いている。第5の撮像部15の撮像面の鉛直下方には、光路を変更するための第3の反射体43が設けられている。第3の反射体43は、例えばミラーまたはプリズムである。第5の撮像部15は、第3の反射体43で光路が変更された光を受光することによって、積層セラミックコンデンサ20Xの第1の側面25aを撮像する。
【0041】
図5に示すように、第6の撮像部16の撮像面は、積層セラミックコンデンサ20Xの第2の側面25bを向いている。すなわち、第6の撮像部16は、撮像光を直接受光して、積層セラミックコンデンサ20Xの第2の側面25bを撮像する。
【0042】
検査対象物20の外観検査は、第1の撮像部11~第6の撮像部16によって撮像された画像に基づいて、処理部4によって行われる。処理部4は、例えば、パソコンや専用の画像処理コントローラである。撮像画像に基づいた外観検査では、例えば、検査対象物20の外形寸法、特定部位の寸法、表面の凹凸の有無、異物の付着の有無、破損の有無、変色の有無などを調べる。
【0043】
なお、第1の撮像部11~第6の撮像部16のうち、第2の撮像部12~第6の撮像部16を省略した構成としてもよいし、第3の撮像部13~第6の撮像部16を省略した構成としてもよい。また、第1の撮像部11~第6の撮像部16とは別の撮像部を設けた構成としてもよい。
【0044】
外観検査のための撮像が行われた検査対象物20は、排出部7により、搬送体1の第2の主面1b上から排出される。検査対象物20が搬送体1の第2の主面1b上に供給されてから排出されるまでの搬送経路の長さは、例えば300mm以上2500mm以下である。
【0045】
本実施形態において、排出部7は、エア噴出部71を備える。すなわち、エア噴出部71が検査対象物20に向かってエアを噴出することによって、搬送体1の第2の主面1b上から検査対象物20を排出する。ただし、検査対象物20の排出方法がエアの噴出を利用する方法に限定されることはなく、例えば、図示しない吸引機構によって吸引することにより、排出するようにしてもよい。また、検査対象物20を1つずつピックアップして排出するようにしてもよい。また、外観検査の結果に応じて、良品と不良品とが別の容器に回収されるように排出してもよい。
【0046】
図6は、処理部4の機能を模式的に示すブロック図である。
図6では、処理部4とともに、後述するアラート部5も示している。処理部4は、搬送体1に含まれる撮像障害物に関する光学特性値に基づいて、第1の撮像部11によって撮像された画像に含まれる撮像障害物を抽出する撮像障害物抽出部4a、および、撮像障害物抽出部4aによって抽出された撮像障害物のレベルを算出するレベル算出部4cとしての機能を有する。処理部4は、後述する選別部4bおよび良品率判定部4dとしての機能を有していてもよい。処理部4は、さらに、第1の撮像部11によって撮像された画像を記憶する記憶部4eを有していてもよい。ただし、処理部4とは別に撮像障害物抽出部4aを設けてもよいし、処理部4とは別にレベル算出部4cを設けてもよい。また、処理部4とは別に選別部4bを設けてもよいし、処理部4とは別に良品率判定部4dを設けてもよい。
【0047】
上述した「搬送体1に含まれる撮像障害物」とは、検査対象物20の外観検査を行うための撮像の障害となる物であって、例えば、搬送体1に付いた傷や汚れ等である。また、「搬送体1に含まれる撮像障害物に関する光学特性値」とは、例えば、撮像された画像における撮像障害物の輝度である。得られた輝度の情報を使って、輝度の面積、輝度の座標、最大輝度、最小輝度、微分値(輝度の距離当たりの変化量)、色情報、背景平均輝度からの輝度の差分、任意の指定した輝度からの輝度の差分等を用いることができる。
【0048】
本実施形態において、撮像障害物抽出部4aは、第1の撮像部11によって撮像され、記憶部4eに記憶されている画像に含まれる光学特性値に基づいて、撮像障害物を抽出する。すなわち、第1の撮像部11は、検査対象物20の外観検査を行うためだけではなく、撮像障害物を抽出するためにも用いられる。したがって、撮像障害物を抽出するための新たなデバイスを設ける必要がないので、外観検査装置100の大型化を抑制することができる。
【0049】
また、第1の撮像部11は、搬送体1の第1の主面1a側から搬送体1上の検査対象物20を撮像するので、撮像障害物を抽出するための画像として、第1の主面1aにピントが合った画像を得ることができる。すなわち、第2の撮像部12は、搬送体1上の検査対象物20の第2の主面24bにピントが合った状態で撮像を行うので、検査対象物20の高さによっては、搬送体1の第2の主面1bに正確にピントが合っていない場合がある。しかしながら、第1の撮像部11は、搬送体1上の検査対象物20の第1の主面24aにピントを合わせた状態で撮像を行うので、第1の撮像部11からの距離が略同じである搬送体1の第1の主面1aにもピントが合った画像が得られる。
【0050】
撮像障害物の詳しい抽出方法を以下で説明する。
【0051】
撮像障害物を抽出するため、第1の撮像部11は、搬送体1上に検査対象物20が載置される範囲よりも広い範囲を撮像する。撮像障害物抽出部4aは、
図7に示すように、第1の撮像部11によって撮像された画像50から、検査対象物20が載置されている範囲を除いた範囲51内で、撮像障害物を抽出する。ただし、第1の撮像部11によって撮像された画像50に検査対象物20が写り込んでいない場合には、撮像された画像50の全範囲内で撮像障害物を抽出することが可能である。
【0052】
すなわち、第1の撮像部11が搬送体1上に検査対象物20が載置される範囲だけを撮像する場合、搬送体1上に検査対象物20が載置されていれば、搬送体1の第1の主面1a側から撮像された画像上の撮像障害物が搬送体1に由来するものなのか、検査対象物20に由来するものなのか判断することが困難である。しかしながら、第1の撮像部11が搬送体1上に検査対象物20が載置される範囲よりも広い範囲を撮像することにより、搬送体1上に検査対象物20が載置されている場合でも、検査対象物20が載置されている範囲を除いた範囲51内に存在する撮像障害物を撮像することができる。また、処理部4は、第1の撮像部11によって撮像された画像から、検査対象物20が載置されている範囲を除いた範囲51内で撮像障害物を抽出するので、搬送体1に含まれる撮像障害物を精度良く抽出することができる。
【0053】
本実施形態では、第1の撮像部11によって撮像され、記憶部4eに記憶されている画像50から、検査対象物20が載置されている範囲を除いた範囲51の平均輝度を算出し、算出した平均輝度よりも輝度が所定値以上高く、かつ、その面積が所定面積以上の領域を、撮像障害物として抽出する。所定値は、例えば10であり、所定面積は、例えば10μm2である。ここでは、撮像障害物の輝度と、検査対象物20が載置されている範囲を除いた範囲51の平均輝度との差を、撮像障害物の輝度差と呼ぶ。
【0054】
選別部4bは、撮像障害物抽出部4aによって抽出された撮像障害物を、搬送体1に付いた傷と搬送体1に付着した汚れとに選別する。選別部4bは、例えば、
図8に示すように、撮像障害物抽出部4aによって抽出された撮像障害物30のうち、細長い形状の撮像障害物30aを傷として選別する。すなわち、細長い形状の撮像障害物30aは、搬送体1の表面を拭き取る清掃を行ったときに付いた傷であるものとして、汚れと区別する。具体的には、細長く延びる方向を第1の方向、第1の方向と直交する方向を第2の方向としたときに、撮像障害物30の第2の方向における寸法L2に対する第1の方向における寸法L1の割合L1/L2が3以上の撮像障害物30aを、搬送体1に付いた傷として選別する。また、選別部4bは、抽出された撮像障害物30のうち、傷として選別されなかった撮像障害物30bを、搬送体1に付着した汚れとして選別する。
【0055】
なお、抽出された撮像障害物を傷と汚れとに選別する方法が上述した方法に限定されることはない。例えば、搬送体1の表面を拭き取る清掃を行っても残っている撮像障害物を傷として選別してもよい。また、複数色の照明を用いて撮像を行い、撮像された画像をR画像、G画像、B画像のように、色毎に分けて、傷と汚れを選別するようにしてもよい。すなわち、R画像、G画像、B画像のように、特定の色画像において傷を検出しやすい、または、汚れを検出しやすいということが予め分かっている場合には、特定の色画像から、傷と汚れを選別することができる。
【0056】
また、画像上の座標位置から、傷と汚れとを選別することも可能である。例えば、
図9に示すように、検査対象物20が載置される位置のうち、搬送方向に沿った検査対象物20のエッジの位置に傷が付きやすい傾向にあるのであれば、その座標位置における撮像障害物30aを傷として選別する。このとき、搬送方向に沿った検査対象物20のエッジの位置にあり、かつ、細長い形状の撮像障害物30aを傷として選別するようにしてもよい。
【0057】
また、撮像障害物を抽出するための撮像を行う際、外観検査に用いる第1の照明部31とは別の専用の照明部を用いてもよい。すなわち、特定の色の照明を用いて撮像された画像において傷を検出しやすい、または、汚れを検出しやすいということが予め分かっている場合には、専用の照明を用いて撮像を行うことにより、傷と汚れとを精度良く選別することが可能となる。
【0058】
また、搬送体1の表面の清掃後に、検査対象物20の搬送を行わない状態で、傷を選別するための専用の検査を実施してもよい。搬送体1の表面の清掃後は、搬送体1の汚れが無いか、ほとんど無い状態であるから、撮像障害物抽出部4aによって抽出された撮像障害物を傷として精度良く選別することが可能となる。
【0059】
このように、選別部4bが撮像障害物抽出部4aによって抽出された撮像障害物を、搬送体1に付いた傷と搬送体1に付着した汚れとに選別することにより、搬送体1の清掃と交換とを適切に行うことができる。すなわち、搬送体1に傷が含まれている場合には、搬送体1を交換する必要があるが、傷が含まれていない場合には、搬送体1を交換せずに、清掃するだけで対応が可能である。
【0060】
上述したように、レベル算出部4cは、撮像障害物抽出部4aによって抽出された複数の撮像障害物のデータの累積値に基づいて、撮像障害物のレベルを算出する。撮像障害物のレベルは、撮像障害物の量や大きさなど、撮像障害物の程度を意味する。本実施形態において、レベル算出部4cは、選別部4bによって選別された傷と汚れのそれぞれについて、撮像障害物のレベルを算出する。
【0061】
ここでは、第1の撮像部11によって撮像された複数の画像から複数の撮像障害物を抽出して、撮像障害物のレベルを算出する。撮像障害物のレベルを算出するために用いる複数の画像の枚数は、多い方が好ましく、例えば、100枚以上10000枚以下の枚数の画像であって、一例として1000枚の画像である。この枚数は、例えば、搬送体1が回転方向に1周する間に第1の撮像部11によって撮像される画像の数である。ただし、撮像障害物のレベルを算出する際に、必ずしも搬送体1が回転方向に1周する間に第1の撮像部11によって撮像される画像を全て用いる必要はなく、撮像された画像を一定周期で抜き取る等の方法で選択してもよい。搬送体1が1周する間に撮像される複数の画像において抽出された複数の撮像障害物のデータの累積値に基づいて、撮像障害物のレベルを算出することにより、撮像障害物のレベルを精度良く算出することができる。
【0062】
本実施形態において、レベル算出部4cは、第1の撮像部11によって撮像された画像に含まれる撮像障害物の輝度と、撮像障害物の面積とに基づいて、撮像障害物のレベルを算出する。具体的には、レベル算出部4cは、抽出された各撮像障害物の輝度差と面積との積の累積値に基づいて、撮像障害物のレベルを算出する。例えば、1000枚の画像から、100個の撮像障害物が抽出され、各撮像障害物の輝度差が10、面積が1000μm2である場合、各撮像障害物の輝度差と面積との積の累積値は、10×1000×100で1000000となる。この累積値は、撮像障害物の数が多いほど、また、撮像障害物の面積が広いほど、大きい値となる。1000枚の画像を用いた場合、上記累積値は、例えば、1000以上100万以下である。
【0063】
上述した各撮像障害物の輝度差と面積との積の累積値は、撮像された画像のサイズによって値が変わるため、各撮像障害物の輝度差と面積との積を、撮像された画像のサイズ、より詳しくは、撮像障害物を抽出する領域の面積で除算する正規化を行うことが好ましい。正規化を行うことにより、画像サイズによらずに単位面積あたりの撮像障害物の累積値を抽出可能となる。
【0064】
レベル算出部4cが撮像障害物の輝度と撮像障害物の面積とに基づいて、撮像障害物のレベルを算出することにより、撮像障害物のレベルをより精度良く求めることができる。
【0065】
例えば、外観検査を行う所定の数の検査対象物20を1ロットと呼ぶ場合に、1ロットの外観検査の開始から所定枚数の画像を用いて累積値を算出してもよいし、1ロットの外観検査の終了後に、終了から過去にさかのぼって所定枚数の画像を用いて累積値を算出してもよい。また、搬送体1の回転は、中心軸X1を中心とする回転角で制御されているので、回転角に基づいて、搬送体1が1周する間に撮像された画像を用いて累積値を算出してもよい。また、複数の画像を取得して各画像の同一画素の最大輝度に基づいて画像を1枚に再合成して累積値としてもよいし、複数の画像の各画素の輝度を合算して枚数で除算することによって累積値を算出してもよい。
【0066】
続いて、レベル算出部4cは、撮像障害物のレベルを算出する際に用いた画像の枚数に基づいて、累積値を1枚の画像あたりに振り分けた平均値を算出し、算出した平均値を、撮像障害物のレベルとする。撮像障害物のレベルは、傷や汚れ等の撮像障害物の量が多いほど、また、撮像障害物のサイズが大きいほど、大きい値となる。上述した例では、1000枚の画像を用いているので、撮像障害物のレベルは、1000000/1000=1000となる。これによって、搬送体1全体としての撮像障害物のレベルを数値化できる。
【0067】
上述したように、本実施形態におけるレベル算出部4cは、選別部4bによって選別された傷と汚れごとに、撮像障害物のレベルを算出するが、傷と汚れごとではなく、傷と汚れを含む撮像障害物のレベルを算出するようにしてもよい。
【0068】
続いて、良品率判定部4dによって、外観検査による検査対象物20の良品率を算出する。一例として、検査対象物20の良品率は、(1-不良品数/検査数)×100によって算出することができる。ここでの不良品数とは、第1の撮像部11~第6の撮像部16によってそれぞれ撮像された画像に基づいて行われた外観検査において、検査対象物20の第1の端面23a、第2の端面23b、第1の主面24a、第2の主面24b、第1の側面25aおよび第2の側面25bのうちの少なくとも1つの面が「不良」と判定された検査対象物20の数である。ただし、検査対象物20の第1の端面23a、第2の端面23b、第1の主面24a、第2の主面24b、第1の側面25aおよび第2の側面25bのうちの任意の面を撮像した画像に基づいて、任意の面の良品率を算出してもよい。
【0069】
本実施形態において、良品率判定部4dは、記憶部4eに記憶されている、第1の撮像部11によって撮像された検査対象物20の画像と第2の撮像部12によって撮像された検査対象物20の画像とに基づいて、検査対象物20の良品率を判定する。具体的には、良品率判定部4dは、第1の撮像部11によって撮像された検査対象物20の画像に基づいて、検査対象物20の第1の主面24aの良品率(以下、下面良品率と呼ぶ)を算出するとともに、第2の撮像部12によって撮像された検査対象物20の画像に基づいて、検査対象物20の第2の主面24bの良品率(以下、上面良品率と呼ぶ)を算出する。下面良品率および上面良品率はともに、検査対象物20の良品率の一例である。撮像障害物が存在する場合、下面良品率は、撮像障害物の影響を受けるため、上面良品率と比べて、低い値となる傾向がある。なお、ここで上面良品率および下面良品率を求めるのに用いる、良品と不良品を選別する基準は、必ずしも検査対象物20の外観検査に用いる基準と同じである必要はなく、撮像障害物に関する情報を取得するための異なる基準を用いてもよい。
【0070】
下面良品率は、(1-下面不良数/下面検査数)×100によって算出する。下面検査数は、検査対象物20の第1の主面24aの外観検査を行った数であり、下面不良数は、第1の主面24aの外観検査で不良と判断された数である。また、上面良品率は、(1-上面不良数/上面検査数)×100によって算出する。上面検査数は、検査対象物20の第2の主面24bの外観検査を行った数であり、上面不良数は、第2の主面24bの外観検査で不良と判断された数である。例えば、1000個の検査対象物20に対して外観検査を行い、第1の撮像部11によって撮像された画像に基づいて、20個の検査対象物20の第1の主面24aが不良と判断された場合の下面良品率は98%である。また、1000個の検査対象物20のうち、第2の撮像部12によって撮像された画像に基づいて、10個の検査対象物20の第2の主面24bが不良と判断された場合の上面良品率は99%である。
【0071】
アラート部5は、レベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルに基づいてアラートを発する。アラート部5がアラートを発するか否かを判断するために用いる撮像障害物のレベルは、撮像障害物のうちの傷のレベルでもよいし、汚れのレベルでもよいし、傷と汚れを含む撮像障害物のレベルでもよい。アラート部5がレベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルに基づいてアラートを発することにより、例えば、搬送体1の清掃や交換を適切なタイミングで行うことが可能となる。
【0072】
本実施形態において、アラート部5は、良品率判定部4dによって判定された良品率と、レベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルとに基づいて、アラートを発する。アラート部5が良品率判定部4dによって判定された良品率と、レベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルとに基づいて、アラートを発することにより、より適切なタイミングでアラートを発することができる。
【0073】
具体的には、撮像障害物のレベルが第1の閾値以上であり、かつ、下面不良率と上面不良率との差が第2の閾値以上である場合に、アラート部5はアラートを発する。第1の閾値は、例えば1000であり、第2の閾値は、例えば3%である。その場合、アラート部5は、撮像障害物のレベルが1000以上であり、かつ、下面不良率と上面不良率との差が3%以上である場合に、アラートを発する。上述したように、撮像障害物が存在する場合、下面良品率は、撮像障害物の影響を受けて上面良品率より低い値となるため、下面不良率と上面不良率との差と、撮像障害物のレベルとに基づいてアラートを発することにより、より適切なタイミングでアラートを発することができる。
【0074】
アラート部5がアラートを発する方法に特に制約はなく、例えば、ディスプレイへの表示や、アラート音を発する等の方法で行うことができる。
【0075】
ただし、アラート部5がアラートを発する条件が上述した条件に限定されることはない。例えば、アラート部5は、レベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルが第1の閾値以上であり、かつ、検査対象物20の良品率が第3の閾値以下の場合に、アラートを発してもよい。上述したように、検査対象物20の良品率は、(1-不良品数/検査数)×100によって算出することが可能である。
【0076】
また、アラート部5は、レベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルが第1の閾値以上であり、かつ、検査対象物20の下面良品率が第4の閾値以下の場合に、アラートを発してもよい。
【0077】
なお、撮像障害物の輝度差と面積との積の値から撮像障害物のレベルを求める方法として、上述した累積値から画像あたりの平均値を求める代わりに、複数の画像の全てから、撮像障害物の輝度差と面積との積の値を集めて、その平均値、中央値、最大値、四分位点などの値を求めて撮像障害物のレベルとしてもよい。その際、一定期間における検査対象物20の良品率等の指標を適宜組み合わせて、アラートを発する判断を行ってもよい。
【0078】
アラート部5がアラートを発すると、搬送体1の清掃や交換を行うことが好ましい。すなわち、搬送体1の傷や汚れ等の撮像障害物のレベルが高くなると、外観検査を精度良く行えない可能性があるため、アラートが発せられると、搬送体1の清掃や交換を行うようにする。搬送体1の清掃や交換を行うことにより、その後の検査対象物20の外観検査を精度良く行うことができる。
【0079】
本実施形態における外観検査装置100によれば、レベル算出部4cは、撮像障害物抽出部4aによって抽出された複数の撮像障害物のデータの累積値に基づいて、撮像障害物のレベルを算出するので、搬送体1の傷や汚れ等の撮像障害物のレベルを適切に算出することができる。したがって、算出された撮像障害物のレベルに応じて、例えば、搬送体1の清掃や交換を適切なタイミングで行うことができる。
【0080】
また、搬送体の清掃や交換を適切なタイミングで行うことができない従来の装置では、傷や汚れが付いた搬送テーブル上に検査対象物を供給した際、傷や汚れが原因で検査対象物の姿勢が乱れ、検査対象物の外観検査を誤判定する可能性がある。しかしながら、本実施形態における外観検査装置100では、上述したように、撮像障害物のレベルに応じて、搬送体1の清掃や交換を適切なタイミングで行うことができるので、傷や汚れに起因する検査対象物20の姿勢の乱れを抑制することができ、検査対象物20の外観検査を精度良く行うことができる。また、アラート部5は、レベル算出部4cによって算出された撮像障害物のレベルと、姿勢不良により正しく検査されなかった検査対象物20の数・割合とに基づいて、アラートを発してもよい。なお、姿勢不良により正しく検査されなかった検査対象物20とは、姿勢不良に起因して画像処理による検査が正しく行われなかった検査対象物20のことである。例えば、姿勢不良に起因して、センサによって検出される検査対象物20の長さが基準とする長さよりも短い場合には、検査対象物20が姿勢不良であると判断する。
【0081】
また、本実施形態における外観検査装置100では、搬送体1は、少なくとも検査対象物20が載置される領域が透明であって、中心軸X1を中心に回転可能な形状を有しており、駆動部3は、搬送体1を、中心軸X1を中心とした回転方向に駆動することによって、検査対象物20を回転方向に搬送するように構成されている。したがって、搬送体1の位置を管理しやすいため、抽出された撮像障害物の位置を特定しやすい。搬送体1の位置は、例えば、駆動部3がサーボモータである場合に、エンコーダで管理することが可能である。
【0082】
また、搬送体1が回転可能な形状を有している場合、直線状等の他の形状の場合と比べて搬送経路が短くなる傾向があるため、1つの撮像障害物が外観検査に与える影響が大きくなる。したがって、本実施形態における外観検査装置100によって、撮像障害物を抽出し、抽出した撮像障害物のレベルを算出することによる効果は大きい。
【0083】
なお、本実施形態における外観検査装置100で取得した情報(ロット名、品種名、検査日時、設備番号、光量設定値、検査項目の設定値等)および外観検査装置100・撮像部・検査項目毎の良品率と検査結果の統計値、検査対象物20の全検査項目の出力値を、サーバやデータベース等に集約し、複数の外観検査装置100毎にデータを参照または比較して、撮像障害物のレベルを算出してもよい。
【0084】
本実施形態における外観検査装置100は、上述した搬送体1に含まれる撮像障害物の抽出以外に、下記の(i)~(iv)に示す用途に使用することが可能である。
【0085】
(i)撮像部のレンズに付着する異物の検出
本実施形態における外観検査装置100によって、第1の撮像部11~第6の撮像部16のレンズに付着する異物の検出を行うことが可能である。
【0086】
上述したように、撮像障害物抽出部4aは、第1の撮像部11によって撮像された画像に含まれる光学特性値に基づいて、撮像障害物を抽出する。レンズに付着する異物の検出を行う場合、上述したように、撮像された画像から検査対象物20が載置されている範囲を除いた範囲内で撮像障害物を抽出してもよいし、検査対象物20が載置されている範囲を含む範囲内で撮像障害物を抽出してもよい。ここでは、撮像障害物を抽出した後、抽出した撮像障害物の面積、輝度および座標を記録しておく。
【0087】
処理部4は、第1の撮像部11によって撮像された複数の画像において、略同一の座標で同程度の面積および輝度を有する撮像障害物が存在する場合、その撮像障害物は、第1の撮像部11のレンズに付着した異物と判断する。すなわち、第1の撮像部11のレンズに異物が付着した場合、撮像された複数の画像には、略同一の座標位置に、同程度の面積および輝度を有する撮像障害物が映り込む。したがって、略同一の座標で同程度の面積および輝度を有する撮像障害物が複数の画像に存在する場合に、その撮像障害物は、第1の撮像部11のレンズに付着した異物と判断することが可能である。なお、撮像の度に、照明の光量が変化したり、他の撮像障害物と結合した状態の撮像障害物が抽出されること等があることから、「同一の座標で同一の面積および輝度を有する撮像障害物」ではなく、「略同一の座標で同程度の面積および輝度を有する撮像障害物」としている。
【0088】
同様の判断を、第1の撮像部11以外の撮像部、すなわち、第2の撮像部12、第3の撮像部13、第4の撮像部14、第5の撮像部15、および、第6の撮像部16で撮像された画像に基づいて行うことによって、それぞれの撮像部に付着した異物を検出することが可能である。
【0089】
上述した方法によって、撮像部のレンズに付着した異物を検出した場合、アラート部5によってアラートを発するようにしてもよい。アラート部5によってアラートを発することにより、レンズの清掃または交換を促すことができ、レンズの清掃または交換を適切なタイミングで行うことが可能となる。また、撮像部のレンズに付着した異物を検出することにより、撮像部のレンズに付着した異物に起因する、検査対象物20の外観検査の誤判定を抑制することができる。さらに、画像上の撮像障害物を、撮像部のレンズに起因するものであるか、搬送体1に起因するものであるかを区別することが可能となる。
【0090】
(ii)撮像部と照明部の相対位置ずれを検出
本実施形態における外観検査装置100によって、撮像部の光軸と照明部の光軸との相対的な位置ずれを検出することが可能である。
【0091】
第1の照明部31が複数色の照明光を照射する場合、第1の撮像部11の光軸と第1の照明部31の光軸とは一致させておく必要があるが、調整ミスなどの理由で、一致しない場合がある。第1の撮像部11と第1の照明部31の光軸が一致している場合、撮像された画像の輝度分布は、視野に対して上下左右対称となるが、光軸が一致していない場合、画像の輝度分布は非対称となる。
【0092】
図10(a)は、第1の撮像部11の光軸と第1の照明部31の光軸とが一致している場合におけるR画像、G画像、B画像の輝度分布を模式的に示す図である。
図10(b)は、第1の照明部31の照明光のうち、緑色の照明光の光軸がずれている場合におけるR画像、G画像、B画像の輝度分布を模式的に示す図である。
図10(c)は、第1の撮像部11の光軸がずれている場合におけるR画像、G画像、B画像の輝度分布を模式的に示す図である。なお、
図10では、
図3に示す位置関係に対して、第1の撮像部11と検査対象物20の位置関係を上下逆にした状態を示している。
【0093】
図10(a)に示すように、第1の撮像部11の光軸と第1の照明部31の光軸とが一致している場合、R画像、G画像、B画像の輝度分布は、左右対称であり、また、図示は省略するが、R画像、G画像、B画像の輝度分布は、上下対称である。
【0094】
これに対して、第1の照明部31の照明光のうち、緑色の照明光の光軸がずれている場合には、
図10(b)に示すように、G画像の輝度分布は左右非対称となる。また、第1の撮像部11の光軸がずれている場合には、
図10(c)に示すように、R画像、G画像およびB画像の輝度分布が全て、左右非対称となる。
【0095】
このように、複数色の照明光のうちの1つの色の照明光の光軸だけがずれている場合、その色画像の輝度分布だけが左右非対称となる。これに対して、第1の撮像部11の光軸がずれている場合、全ての色画像の輝度分布が左右非対称となる。したがって、色画像の輝度分布に基づいて、特定の色の照明光の光軸がずれている場合と、第1の撮像部11の光軸がずれている場合とを区別することが可能である。
【0096】
上述した光軸の相対的な位置ずれは、他の撮像部と他の照明部との間でも同様に検出することが可能である。すなわち、同様の方法によって、第2の撮像部12の光軸と第2の照明部32の光軸との位置ずれ、第3の撮像部13の光軸と第3の照明部33の光軸との位置ずれ、第4の撮像部14の光軸と第4の照明部34の光軸との位置ずれ、第5の撮像部15の光軸と第5の照明部35の光軸との位置ずれ、第6の撮像部16の光軸と第6の照明部36の光軸との位置ずれを検出することが可能である。
【0097】
(iii)照明部の照明光の光量の管理
本実施形態における外観検査装置100によって、第1の照明部31~第6の照明部36の光量を管理することが可能である。例えば、第1の撮像部11によって撮像された画像の背景領域における平均輝度を算出し、算出した平均輝度に基づいて、第1の照明部31の照明光の光量を管理することが可能である。画像の背景領域とは、画像の全領域のうち、検査対象物20が写り込んでいる領域を除いた領域である。
【0098】
具体的には、撮像された画像の背景領域における平均輝度を算出して記録する。一定枚数毎、一定期間毎、または、ロット毎に、画像の背景領域における平均輝度の推移を観察し、新たに算出された背景領域の平均輝度が所定の範囲内に含まれているか確認する。第1の照明部31の照明光の光量が適切である場合には、画像の背景領域における平均輝度は、所定の範囲内に含まれるが、光量が少ないまたは多いなどの場合には、画像の背景領域における平均輝度は所定の範囲内に含まれなくなる。その場合には、第1の照明部31の照明光の光量が適切ではないと判断する。この判断は、処理部4によって行うことが可能である。第1の照明部31の照明光の光量が適切ではないと判断した場合には、例えば、アラート部5によってアラートを発するようにしてもよいし、適切な光量となるように第1の照明部31の光量を制御するようにしてもよい。
【0099】
上述した照明光の光量の管理は、第2の照明部32~第6の照明部36のそれぞれについても同様に行うことができる。
【0100】
なお、搬送体1に撮像障害物が含まれる場合、搬送体1が回転駆動されることによって、第1の撮像部11によって撮像される画像上の撮像障害物も移動していく。このため、撮像障害物に起因して、画像の背景領域における平均輝度が変化することがあるが、撮像障害物のレベルと背景領域における平均輝度との相関関係を把握しておくことによって、照明光の光量変化に起因する背景領域の平均輝度の変化と、撮像障害物に起因する背景領域の平均輝度の変化とを区別することが可能である。
【0101】
(iv)照明の劣化の検出
本実施形態における外観検査装置100によって、第1の照明部31~第6の照明部36の劣化を検出することが可能である。
【0102】
第1の照明部31が複数のLEDを含む場合、劣化具合はLEDによって異なる。このため、撮像された画像の背景領域における輝度分布をヒートマップで作成し、ある領域における輝度が低下している場合には、その領域に対応するLEDが劣化していると判断する。この判断は、処理部4で行うことが可能である。LEDが劣化していると判断した場合、例えば、アラート部5によってアラートを発して、LEDの交換を促すことが可能である。これにより、劣化したLEDの検出および交換を容易に行うことができる。
【0103】
なお、特定のLEDが劣化した場合、毎回同じ領域の輝度が低下するため、輝度が低下している位置の座標を記録しておくことにより、LEDの劣化に起因する外観検査の誤判定を抑制することができる。
【0104】
上述した照明の劣化の検出は、第2の照明部32~第6の照明部36についても同様に行うことができる。
【0105】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態において、撮像障害物抽出部4aは、第1の撮像部11によって撮像された画像に含まれる光学特性値に基づいて撮像障害物を抽出するものとして説明したが、光学特性値が第1の撮像部11によって撮像された画像に含まれるものに限定されることはない。例えば、搬送体1に向けて光線を発する光学センサを設け、光学センサから発せられ、搬送体1で反射した光線に含まれる光学特性値に基づいて、撮像障害物を抽出することも可能である。
【0106】
上述した一実施形態における搬送体1は、少なくとも検査対象物20が載置される領域が透明であるものとして説明したが、検査対象物20が載置される領域が透明でなくてもよい。その場合、第1の撮像部11は、赤外光等の搬送体1を透過する波長を有する撮像光によって、搬送体1上の検査対象物20を撮像すればよい。
【0107】
上述した一実施形態における搬送体1は、透明で回転可能な円形テーブル状の形状を有しているものとして説明したが、折り曲げ可能なフィルム状の形状を有していてもよいし、連続無端形状を有していてもよい。
【0108】
本出願における外観検査装置は、以下の通りである。
<1>.検査対象物の外観検査を行うための外観検査装置であって、
第1の主面、および、前記第1の主面と相対する第2の主面を有する搬送体と、
前記搬送体の前記第2の主面上に前記検査対象物を供給する供給部と、
前記搬送体を駆動することによって、前記搬送体上の前記検査対象物を搬送する駆動部と、
前記検査対象物の外観検査を行うため、前記搬送体を透過する波長を有する撮像光によって、前記搬送体上の前記検査対象物を撮像可能な第1の撮像部と、
前記搬送体に含まれる撮像障害物に関する光学特性値に基づいて、前記第1の撮像部によって撮像された画像に含まれる前記撮像障害物を抽出する撮像障害物抽出部と、
前記撮像障害物抽出部によって抽出された前記撮像障害物のレベルを算出するレベル算出部と、
を備え、
前記レベル算出部は、前記撮像障害物抽出部によって抽出された複数の前記撮像障害物のデータの累積値に基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする外観検査装置。
<2>.前記撮像障害物抽出部は、前記第1の撮像部によって撮像された画像に含まれる前記光学特性値に基づいて、前記撮像障害物を抽出することを特徴とする<1>に記載の外観検査装置。
<3>.前記光学特性値は、輝度であることを特徴とする<1>または<2>に記載の外観検査装置。
<4>.前記第1の撮像部は、前記第1の主面側から前記搬送体上の前記検査対象物を撮像することを特徴とする<1>~<3>のいずれか一つに記載の外観検査装置。
<5>.前記第1の撮像部は、前記搬送体上に前記検査対象物が載置される範囲よりも広い範囲を撮像することを特徴とする<4>に記載の外観検査装置。
<6>.前記撮像障害物抽出部は、前記第1の撮像部によって撮像された画像から、前記検査対象物が載置されている範囲を除いた範囲内で、前記撮像障害物を抽出することを特徴とする<5>に記載の外観検査装置。
<7>.前記搬送体は、少なくとも前記検査対象物が載置される領域が透明であって、前記第1の主面および前記第2の主面と直交する中心軸を中心に回転可能な形状を有しており、
前記駆動部は、前記搬送体を前記中心軸を中心とした回転方向に駆動することによって、前記搬送体上の前記検査対象物を前記回転方向に搬送することを特徴とする<1>~<6>のいずれか一つに記載の外観検査装置。
<8>.前記レベル算出部は、前記搬送体が前記回転方向に1周する間に前記第1の撮像部によって撮像された複数の画像において、前記撮像障害物抽出部によって抽出された複数の前記撮像障害物のデータの累積値に基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする<7>に記載の外観検査装置。
<9>.前記レベル算出部は、前記第1の撮像部によって撮像された前記画像に含まれる前記撮像障害物の輝度と前記撮像障害物の面積とに基づいて、前記撮像障害物のレベルを算出することを特徴とする<1>~<8>のいずれか一つに記載の外観検査装置。
<10>.前記レベル算出部によって算出された前記撮像障害物のレベルに基づいてアラートを発するアラート部をさらに備えることを特徴とする<1>~<9>のいずれか一つに記載の外観検査装置。
<11>.前記撮像障害物抽出部によって抽出された前記撮像障害物を、前記搬送体に付いた傷と前記搬送体に付着した汚れとに選別する選別部をさらに備えることを特徴とする<1>~<10>のいずれか一つに記載の外観検査装置。
<12>.前記第2の主面側から前記搬送体上の前記検査対象物を撮像する第2の撮像部をさらに備えることを特徴とする<1>~<9>のいずれか一つに記載の外観検査装置。
<13>.前記検査対象物の良品率を判定する良品率判定部をさらに備えることを特徴とする<12>に記載の外観検査装置。
<14>.前記良品率判定部は、前記第1の撮像部によって撮像された前記検査対象物の画像と、前記第2の撮像部によって撮像された前記検査対象物の画像とに基づいて、前記検査対象物の良品率を判定することを特徴とする<13>に記載の外観検査装置。
<15>.前記レベル算出部によって算出された前記撮像障害物のレベルに基づいてアラートを発するアラート部をさらに備え、
前記アラート部は、前記良品率判定部によって判定された良品率と、前記レベル算出部によって算出された前記撮像障害物のレベルとに基づいて、前記アラートを発することを特徴とする<13>または<14>に記載の外観検査装置。
【符号の説明】
【0109】
1 搬送体
2 供給部
3 駆動部
4 処理部
4a 撮像障害物抽出部
4b 選別部
4c レベル算出部
4d 良品率判定部
4e 記憶部
5 アラート部
6 整列部
7 排出部
11 第1の撮像部
12 第2の撮像部
13 第3の撮像部
14 第4の撮像部
15 第5の撮像部
16 第6の撮像部
20 検査対象物
20X 積層セラミックコンデンサ
30 撮像障害物
30a 傷として選別される撮像障害物
30b 汚れとして選別される撮像障害物
31 第1の照明部
32 第2の照明部
33 第3の照明部
34 第4の照明部
35 第5の照明部
36 第6の照明部
41 第1の反射体
42 第2の反射体
43 第3の反射体
50 画像
51 画像のうち、検査対象物が載置されている範囲を除いた範囲
71 エア噴出部
100 外観検査装置