(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159031
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】外装品、吐出製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/20 20060101AFI20231024BHJP
B65D 83/14 20060101ALI20231024BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20231024BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20231024BHJP
【FI】
B65D83/20
B65D83/14
B05B11/00 101A
B05B11/00 102A
B05B11/10 101A
B05B11/10 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049996
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2022068660
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知之
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC02
3E014PD01
3E014PE14
3E014PE15
3E014PF05
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】簡単且つ確実な着脱が可能な外装品を提供する。
【解決手段】吐出容器2に外周側から係合する係合突起22cを備えたカバー部材20と、カバー部材20に回動可能に取り付けられた操作部材30とを備え、係合突起22cが、吐出容器2に対する近接離間方向に可撓性を有する内周壁22に設けられており、操作部材30が、操作部材30を回動操作することによって内周壁22を撓ませて、係合突起22cの吐出容器2との係合/非係合を切り替える当接部32cを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出容器に外周側から係合する係合突起を備えたカバー部材と、
カバー部材に回動可能に取り付けられた操作部材と、を備え、
係合突起が、吐出容器に対する近接離間方向に可撓性を有する又は揺動可能な撓み片に設けられており、
操作部材が、操作部材を回動操作することによって撓み片を撓ませて又は揺動させて、係合突起の吐出容器との係合/非係合を切り替える当接部を備えている、外装品。
【請求項2】
撓み片が、操作部材の回動方向に延びている、請求項1記載の外装品。
【請求項3】
撓み片が、操作部材の回動方向と略直交する方向に延びている、請求項1記載の外装品。
【請求項4】
当接部又は当接部と当接する撓み片の被当接部に、操作部材の回動量に合わせてなだらかに撓み片を撓ませる又は揺動させるための傾斜面が設けられている、請求項1記載の外装品。
【請求項5】
当接部が、被当接部の外周側に位置し、
傾斜面が被当接部の外周側に設けられている、請求項4記載の外装品。
【請求項6】
当接部が、被当接部の内周側に位置し、
傾斜面が当接部の外周側に設けられている、請求項4記載の外装品。
【請求項7】
当接部が、被当接部の外周側に位置し、
傾斜面が当接部の内周側に設けられている、請求項4記載の外装品。
【請求項8】
当接部が、被当接部の内周側と外周側とに位置している、請求項4記載の外装品。
【請求項9】
吐出容器と、請求項1記載の外装品と、を備えた吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器用の付け替え式の外装品と、この外装品を備える吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器体(エアゾール容器)と、容器体に取り付けられる筒状装着部材とからなる押し下げヘッド式噴出容器が開示されている。筒状装着部材は、容器体の係合条に係合する脚片を備えた筒状基体と、筒状基体に螺着することで脚片を係合条側に押し込み、脚片と係合条とを係合させる筒状操作体とからなり、筒状操作体を螺脱方向に回転させることで、容器体から筒状装着部材を取り外すことができるようになっている。
【0003】
特許文献2には、エアゾール式製品のマウンティングカップに対して着脱可能な環状基部と、これに回動可能な形で取り付けられた肩カバーのユニットからなり、内容物消尽後の容器本体廃棄などの時には、前記ユニットの状態で取り外されて再利用される肩カバーユニット構造が開示されている。具体的には、環状基部は、マウンティングカップの内周側に設けられた環状のアンダーカットに嵌合される突状部分を備えており、肩カバーは、この突状部分が内側(すなわち、嵌合を解除する方向)に移動しないように阻止する縦柱状部を備えており、肩カバーを回転させることで縦柱状部の位置をずらし、突状部分の内側への移動を可能とし、ユニット全体を取り外すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-247470号公報
【特許文献2】特開2019-11094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の押し下げヘッド式噴出容器は、筒状操作体を筒状基体から螺脱させる際、筒状基体が一緒に回転(共回り)し易く、分離が確実ではない。
【0006】
特許文献2の肩カバーユニット構造は、マウンティングカップの内周側に設けられた環状のアンダーカットに嵌合することで容器本体に取り付けられているが、マウンティングカップの内周面は、例えば8分割のクリンプ爪で半径方向外側に拡げられるようにして形成されているため、完全な円形にはなっておらず、嵌合場所によって着脱のしやすさが変化する等、ユニットの着脱が安定しない。
【0007】
本発明は、簡単且つ確実な着脱が可能な外装品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の外装品は、吐出容器2に外周側から係合する係合突起22cを備えたカバー部材20と、カバー部材20に回動可能に取り付けられた操作部材30と、を備え、係合突起22cが、吐出容器2に対する近接離間方向に可撓性を有する又は揺動可能な撓み片(内周壁22、D)に設けられており、操作部材30が、操作部材30を回動操作することによって撓み片(内周壁22、D)を撓ませて又は揺動させて、係合突起22cの吐出容器2との係合/非係合を切り替える当接部32cを備えていることを特徴としている。
【0009】
上記外装品において、撓み片(内周壁22)が、操作部材30の回動方向に延びていることが好ましい。または、撓み片(内周壁22、D)が、操作部材30の回動方向と略直交する方向に延びていること好ましい。
【0010】
また、当接部32c又は当接部32cと当接する撓み片(内周壁22、D)の被当接部22dに、操作部材30の回動量に合わせてなだらかに撓み片(内周壁22、D)を撓ませる又は揺動させるための傾斜面S、S1、S2が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、当接部32cが、被当接部22dの外周側に位置し、傾斜面Sが被当接部22dの外周側に設けられていることが好ましい。もしくは、当接部32cが、被当接部22dの内周側に位置し、傾斜面Sが当接部32cの外周側に設けられていることが好ましい。もしくは、当接部32cが、被当接部22dの外周側に位置し、傾斜面Sが当接部32cの内周側に設けられていることが好ましい。もしくは、当接部32cが、被当接部22dの内周側と外周側とに位置していることが好ましい。
【0012】
本発明の吐出製品は、吐出容器2と、上記外装品10、10A、10B、10C、10D、10Eとを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の外装品は、カバー部材の係合突起を、精度良く形成し易い吐出容器の外周に係合させるため、係合突起の係合/非係合の切り替えが確実であり、また回動操作だけで簡単に着脱することができる。
【0014】
また、撓み片が、操作部材の回動方向に延びている場合、例えば回動方向と直交する方向に延ばす場合に比べて、外装品の高さ寸法を抑えながらも撓み片の長さを長くすることができ、撓み片が撓みやすくなって外装品を着脱し易くなる。撓み片が、操作部材の回動方向と略直交する方向に延びている場合、例えば操作部材の回動方向に延ばす場合に比べて、外装品の外径を抑えながらも撓み片を十分に撓ませることができ、例えば小径の吐出容器に好適な外装品とすることができる。
【0015】
当接部又は当接部と当接する撓み片の被当接部に、操作部材の回動量に合わせてなだらかに撓み片を撓ませる又は揺動させるための傾斜面が設けられている場合、係合突起の吐出容器への係合深さを回動量で調整し易くなる。
【0016】
当接部が、被当接部の外周側に位置し、傾斜面が被当接部の外周側又は当接部の内周側に設けられている場合、係合突起を吐出容器へ係合させるときに撓み片を撓ませる構成となり、係合突起が吐出容器に係合している間は常に撓み片からの反発力が当接部に加わるため、その反発力によって操作部材が押さえられ、意図しない操作部材の回転が制限される結果、外装品の吐出容器への取り付け状態を安定して維持することができる。当接部が、被当接部の内周側と外周側とに位置している場合は、係合突起が吐出部材に係合しているときも係合を解除するときも撓み片からの反発力を当接部に加えることができるため、意図しない操作部材の回転を制限することができる。
【0017】
当接部が、被当接部の内周側に位置し、傾斜面が当接部の外周側に設けられている場合、係合突起と吐出容器との係合を解除するときに撓み片を撓ませる構成となり、操作部材を回転操作しない限りは係合状態が維持されるため、外装品の吐出容器への取り付け状態を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吐出製品の側面図である。
【
図3】吐出容器から外装品を取り外した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る吐出製品1について図面に基づいて詳細に説明する。
図1~
図3に示すように、吐出製品1は、吐出容器2と、吐出容器2に付け替え可能に取り付けられた外装品10とを備えている。
【0020】
吐出容器2は、容器本体3と、エアゾールバルブ4とを備えた、所謂エアゾール缶である。
【0021】
容器本体3は、例えばブリキやアルミニウム等の金属製であって、底部3aと、底部3aの外周端から立ち上がる略円筒状の胴部3bと、胴部3bの上端から徐々に縮径しながら上方に延びる肩部3cと、肩部3cの上端に下端が巻き締め固定されたドーム部3dとを備えている。ドーム部3dの上端は開口しており、この開口を縁取るようにしてビード部3e(
図2、
図3参照)が設けられている。ビード部3eの外形は平面視円形である。
【0022】
エアゾールバルブ4は、側面にステム孔を有する有底筒状のステム4aと、ステム4aを上下動可能に収容するハウジングと、ステム4aを常時上方に付勢する弾性体(バネ)と、ステム4aが押し下げられる又は傾倒する前はステム孔を塞ぎ、ステム4aが押し下げられた又は傾倒したときには変形してステム孔を開放するステムラバーと、ハウジングを容器本体に固定するマウンティングカップ4bとを備えている。
【0023】
エアゾールバルブ4は、マウンティングカップ4bの外周縁4b1を容器本体3のビード部3eに被せ、カシメることで容器本体3に固定されている。カシメに際しては、複数のクリンプ爪を径外方向に拡げて、マウンティングカップ4bの内周壁を径外方向に押しやるため、内周壁の平面形状は略多角形状となるが、マウンティングカップ4bの外周縁4b1は平面視円形を保っている。なお、マウンティングカップ4bの外周縁4b1と、後述する外装品10のカバー部材20の内周壁22とは平面視同心(軸心)上に位置している。
【0024】
上記構成の吐出容器2には、原液と、原液を吐出するための噴射剤とが充填されている。
【0025】
外装品10は、
図2に示すように、吐出容器2に外周側から係合する係合突起22cを備えたカバー部材20と、カバー部材20に回動可能に取り付けられ、外装品10の着脱操作を行うための操作部材30とを備えている。なお、回動は吐出製品1の中心軸(吐出容器2の中心軸、カバー部材20の中心軸)N回りに行われる。
【0026】
カバー部材20は、外周壁21と、外周壁21の内側に位置する内周壁22と、内周壁22の内側に位置する取付部23とを備えている。
【0027】
外周壁21はカバー部材20の外形を形成するものであって略円筒状であり、外周面には、回動操作の目安となるマーク21a、21bが、操作部材30の回動方向に間隔をあけて2つ設けられている。後述する操作部材30の針32aの位置が、前方側のマーク21aを指している場合、外装品10が吐出容器2に固定されていることを示す。後方側のマーク21bを指している場合は、外装品10が吐出容器2に対して着脱可能な状態であることを示す(
図1、
図3参照)。また、操作部材30の後部形状と合致するように、後方に突出する突出部21cが設けられている。
【0028】
内周壁22は、外周壁21の内周面から径内方向に延びる接続壁22aと、接続壁22aの先端から周方向(操作部材30の回動方向)に延びる環状壁22bとを備えている。この内周壁22は、吐出容器2に対する近接離間方向(半径方向)に可撓性を有している。要は、外力を受けると半径方向(特に径内方向)に撓み、外力が無くなると元の位置に戻る撓み片として機能する。この内周壁22は、平面視120度毎に3つ設けられている。
【0029】
平面視略円弧状の環状壁22bの先端近傍には、マウンティングカップ4bの外周縁4b1と係合する係合突起22cと、後述する操作部材30の当接部32cと当接する被当接部22dとが設けられている。平面視、係合突起22cは径内方向に突出しており、被当接部22dは径外方向に突出している。係合突起22cの径内方向への突出長さは、内周壁22を径内方向へ撓ませない状態(
図2D)ではマウンティングカップ4bの外周縁4b1に係合せず、撓ませる(
図2B)ことで係合するように調整されている。被当接部22dは、当接部32cが当接してくる方向から当接部32cの進行方向に向かって徐々に径外方向へと突出する傾斜面Sを備えている。これは、操作部材30の回動量に合わせてなだらかに内周壁22を撓ませるためのものである。また、傾斜面Sの径外側の終端から当接部32cの進行方向に延びる平坦面Fが設けられている。
【0030】
符号22eは、操作部材30の過度な回動を規制する規制片である。
【0031】
取付部23は略筒状であって、径外方向に延びる連結部23aによって外周壁21に固定されている。この取付部23は、主として操作部材30を回動可能にカバー部材20に取り付けるための土台として機能する。
【0032】
操作部材30は、ステム4aに取り付けられるノズル部31と、ノズル部31を支持する基部32とを備えている。
【0033】
ノズル部31は、原液を霧状や泡状等、所望の状態で吐出するための吐出ノズル31aと、原液を吐出する吐出操作を行うための操作レバー31bとを備えている(
図1参照)。吐出ノズル31aの下端は略筒状とされており、ステム4aと連通している。操作レバー31bは、基部32に対して回動可能に軸支されており、操作レバー31bに指をかけ、後方に引くようにして動かすと、吐出ノズル31aを介してステム4aを押し下げてエアゾールバルブ4を開放するようになっている。なお、押し下げられたステム4aから吐出される原液は、吐出ノズル31aを介して外部に吐出される。
【0034】
基部32の上側は、前方から見ると略山形であって、前方に設けられた開口から吐出ノズル31aと操作レバー31bの一部が突出している。外周には、カバー部材20の2つのマーク21a、21bに対応する針32aが1つ設けられている。基部32の下側は、略円筒状であって取付部23に回動可能に外嵌する外嵌部32bと、環状壁22bの外周面に沿うようにして設けられた当接部32cと、操作部材30を所定量回動させたときに、カバー部材20の規制片22eと当接する当接片32dとが設けられている。当接部32cは、被当接部22dに合わせて平面視120度毎に3つ設けられている。
【0035】
次に、外装品10の動作について説明する。上述の通り、係合突起22cは、内周壁22を径内方向へ撓ませない状態ではマウンティングカップ4bの外周縁4b1に係合しないよう、径内方向への突出長さが調整されている。そのため、被当接部22dに当接部32cが当接していない初期状態(
図2C、
図2D)では、カバー部材20とマウンティングカップ4bとは係合しておらず、自由に着脱することができる。この際、針32aは後方側のマーク21bを指している(
図3参照)。なお、針32aを後方側のマーク21bよりもさらに後方に回そうとしても、当接片32dが規制片22eに当接して回動させることはできない。
【0036】
針32aを前方側のマーク21aに合わせるように操作部材30を回動させていくと、やがて被当接部22dの外周側に設けられている当接部32cが被当接部22dと当接する。被当接部22dは外周側(当接部32c側)に傾斜面Sを備えているため、内周壁22は傾斜面Sの勾配に合わせて徐々に径内方向へ撓む。その結果、係合突起22cが径内方向へ徐々に移動し、マウンティングカップ4bの外周側からマウンティングカップ4bの外周縁4b1に係合する。すなわち、外装品10が吐出容器2に固定される(
図2A、
図2B参照)。また、当接部32cは内周壁22から径外方向への付勢力(反発力)を受けているため、その付勢力によって操作部材30が押さえ付けられ、意図しない操作部材30の回動が制限される。針32aが前方側のマーク21aを指すまで回動させると、当接部32cは傾斜面Sを越えて平坦面Fと当接するようになる。
【0037】
内容物を使い切る等して、外装品10を新たな吐出容器2に付け替えたい場合は、針32aを後方側のマーク21bに合わせるように操作部材30を回動させる。すると、当接部32cが被当接部22dに当接しなくなり、内周壁22は撓む前の元の位置に戻って係合突起22cとマウンティングカップ4bとの係合が解消される。係合が解消された状態で空になった古い吐出容器2から取り外し、新たな吐出容器2のマウンティングカップ4bを内周壁22の内側に入れ込んだ状態で、針32aを前方側のマーク21aに合わせるように操作部材30を回動させれば、外装品10を新たな吐出容器2に固定することができる。
【0038】
このように上記構成の外装品10は、操作部材30を回動操作することによって内周壁22を撓ませて、吐出容器2への係合突起22cの係合/非係合を切り替えることができるため、消費者でも簡単に着脱することが可能で、吐出容器2と外装品10の分別処理や、外装品10のリユースの促進を図ることができる。また、係合突起22cを半径方向に出退できるため、着脱時の係合突起22cの破損を抑制することができ、外装品10の長期使用が可能となる。
【0039】
図4は別の外装品10Aを示している。図に示すように、この外装品10Aは全体として略円柱状であって、突出部21cを備えておらず、また、操作レバー31bはトリガー式ではなく押し下げ式になっている。内部構造は、
図5に示すように、係合突起22cの径内方向への突出長さが、内周壁22を撓ませない状態(
図5B)でマウンティングカップ4bの外周縁4b1に係合し、径外方向へ撓ませる(
図5D)ことで係合が解除されるよう調整されている点で、
図1の外装品10と相違している。その他、被当接部22dが内周壁22の径内方向に突出している点、当接部32cが被当接部22dの内周側に位置している点、当接部32cの外周側(被当接部22d側)に傾斜面Sが設けられている点、内周壁22の先端が規制片22eを兼ねている点、ノズル部31がカバー部材20と連結している点、係合突起22cや被当接部22d、当接部32cが平面視90度毎に設けられている(4つある)点で、
図1の外装品10と相違している。
【0040】
この外装品10Aは、被当接部22dに当接部32cが当接していない初期状態(
図5B)で、カバー部材20とマウンティングカップ4bが係合しており、自由に着脱することはできない。この際、針32aは前方側のマーク21aを指している。針32aを前方側のマーク21aよりもさらに前方に回そうとすると、当接片32dが規制片22eに当接して回動させることができない。
【0041】
針32aを後方側のマーク21bに合わせるように操作部材30を回動させていくと、やがて当接部32cが被当接部22dと当接する。当接部32cが傾斜面Sを備えているため、内周壁22は傾斜面Sの勾配に合わせて徐々に径外方向へ撓む。その結果、係合突起22cが徐々に径外方向へ移動し、マウンティングカップ4bの外周縁4b1との係合が解除される(
図5D参照)。すなわち、外装品10を吐出容器2から取り外せるようになる。針32aが後方側のマーク21bを指すまで回動させると、被当接部22dは傾斜面Sを越えて平坦面Fと当接するようになる。
【0042】
内容物を使い切る等して、外装品10Aを新たな吐出容器2に付け替えたい場合は、針32aを後方側のマーク21bに合わせた状態で取り外し、新たな吐出容器2のマウンティングカップ4bを内周壁22の内側に入れ込んだ状態で、針32aが前方側のマーク21aを指すまで回動させれば、当接部32cによって径外方向に撓んでいた内周壁22が撓む前の元の位置に戻り、係合突起22cがマウンティングカップ4bの外周縁4b1に係合する。すなわち、外装品10Aが吐出容器2に取り付けられる。
【0043】
図6は、さらに別の外装品10Bを示している。図に示すように、外観は
図4の外装品10Aと似ており、全体として略円柱状である。また、操作レバー31bも押し下げ式である。一方、内部構造は、
図7及び
図8に示すように、
図1の外装品10と似ている。すなわち、操作部材30の内周面に当接部32cが設けられ、カバー部材20の内周壁22に被当接部22dが設けられている。撓み片Dとして機能するのは、内周壁22の一部である。具体的には、内周壁22の一部(周方向に3か所)が径内方向に張り出しており、その張り出した部分が撓み片Dとなっている。
【0044】
撓み片Dは側面視略板状であって、上端近傍が固定され、側端や下端は固定されておらず自由端になっている。この状態は、撓み片Dが、操作部材30の回動方向と略直交する方向(下方向)に延びていると言い換えることもできる。この撓み片Dは、当接部32が当接すると下端側が吐出容器2(径内方向)に向かって撓むことになる。撓み片Dの被当接部22dの外周面には傾斜面Sが設けられている。傾斜面Sは、
図1や
図4の外装品10、10Aと同様に、操作部材30の回動方向で傾斜している。換言すれば、外径が時計回りに徐々に大きくなっている(
図8D参照)。そのため、操作部材30をカバー部材20の中心軸回りに回動させることで、当接部32cによる撓み片Dの押し込み(撓み)の有無及び押し込み量(撓み量)を調整することができる。なお、傾斜面Sは上下方向でも傾斜している(
図7参照)。具体的には、外径が、撓み片Dの延出方向(下方)に向かうに従って徐々に径外方向に大きくなるよう傾斜している。このように撓み片Dの上端近傍では傾斜面Sによる張り出しを小さくし、撓み片Dの下端近傍では傾斜面Sによる張り出しを大きくすることによって、係合突起22cが設けられている撓み片Dの下端近傍を大きく撓ませつつも、上端近傍の撓みを抑えることができる。
【0045】
上記構成の外装品10Bは、カバー部材20の外周壁21の外周面に、操作部材30を回動操作する際の目安となるマークとして「SET」、「REUSE」の文字が設けられている。操作部材30の針32aが「REUSE」を指している状態では、当接部32cは撓み片Dを撓ませておらず、撓み片Dの下端に設けられた係合突起22cは吐出容器2とは係合しておらず、従って外装品10Bは吐出容器2から着脱可能な状態である(
図8D参照)。そのため、使い終わった吐出容器2から外装品10Bを取り外したり、新たな吐出容器2に外装品10Bを被せたりすることができる。操作部材30の針32aが「SET」を指している状態では、当接部32が撓み片Dを径内方向に撓ませており、係合突起22cがマウンティングカップ4bと係合している(
図8B参照)。従って、外装品10Bを吐出容器2から取り外すことはできない。このようにこの外装品10Bにおいても、操作部材30を回動操作することによって撓み片Dを撓ませて、吐出容器2への係合突起22cの係合/非係合を切り替えることができる。
【0046】
図9は、さらに別の外装品10Cを示している。図に示すように、この外装品10Cでは操作レバー31bが無く、ノズル部31としていわゆる押しボタンを採用している。操作部材30には、押しボタンの上下動をガイドするガイド筒部33が設けられている(
図11A参照)。カバー部材20は、内周壁22と取付部23を備えていない。外周壁21は、
図10に示すように、下側の下筒部24と、下筒部24よりも小径で、下筒部24の上端から上方に延びる上筒部25とを備えており、上筒部25の一部が撓み片Dになっている。撓み片Dは
図6の外装品10Bと同様の構成である。すなわち、側面視略板状であって、上端近傍が固定され、側端や下端は固定されておらず自由端になっている。上筒部25の撓み片Dではない部分には、操作部材30の回動方向に延びる長孔25aが設けられている。操作部材30の内周面にはこの長孔25aに嵌め込まれる凸部34が設けられている。凸部34を長孔25aに嵌め込むと、操作部材30の回動は許容されるが、操作部材30のカバー部材20からの取り外しは規制される。なお、操作部材30は長孔25aの範囲内で回動することになり、過度な回動は規制される。
【0047】
上記構成の外装品10Cは、
図6の外装品10Bとは異なり、操作部材30の外周面に、操作部材30を回動操作する際の目安となるマークとして「SET」、「REUSE」の文字が設けられている。また、「REUSE」が「SET」の前方に位置している。カバー部材20の針32aが「REUSE」を指している状態では、当接部32cは撓み片Dを撓ませておらず、撓み片に設けられた係合突起22cは吐出容器2とは係合しておらず、従って外装品10Cは吐出容器2から着脱可能な状態である(
図11D参照)。そのため、使い終わった吐出容器2から外装品10Cを取り外したり、新たな吐出容器2に外装品10Cを被せたりすることができる。カバー部材20の針32aが「SET」を指している状態では、当接部32が撓み片Dを径内方向に撓ませており、係合突起22cがマウンティングカップ4bと係合している。従って、外装品10Cを吐出容器2から取り外すことはできない(
図11B参照)。このようにこの外装品10Cにおいても、操作部材30を回動操作することによって撓み片Dを撓ませて、吐出容器2への係合突起22cの係合/非係合を切り替えることができる。
【0048】
図12は、さらに別の外装品10Dを示している。この外装品10Dは、
図13に示すように、傾斜面Sが操作部材30の当接部32cの内周側(内周面)に設けられている点で、他の外装品10、10A、10B、10Cと異なっている。この傾斜面Sは、操作部材30の壁厚を徐々に薄くするようにして設けられている。このような傾斜面Sであれば、外装品10Dの外径を小さくすることができ、小径(例えば直径40mm)の吐出容器2と外径を合せることも可能になる。傾斜面Sに当接する被当接部22dは、カバー部材20の外周面に設けられており、リブ状であって上下方向に延びている。被当接部22dは、上下方向で傾斜している。具体的には、外径が、撓み片Dの延出方向(下方)に向かうに従って徐々に径外方向に大きくなるよう傾斜している。傾斜面Sも上下方向で傾斜しているため、
図14Cに示すように、被当接部22dは、傾斜面Sによって形成された凹部にその一部が収容されたような状態となる。他の構成は
図9の外装品10Cと同様である。すなわち、
図14に示すように、操作部材30を回動操作することによって撓み片Dを撓ませて係合突起22cの係合/非係合を切り替えることができる。
【0049】
図15は、さらに別の外装品10Eを示している。この外装品10Eでは、
図16に示すように、略円柱状の被当接部22dが撓み片Dから上方に突出するようにして設けられている。当接部32cは、この被当接部22dの上部を内周側と外周側とから挟むようにして2つ設けられている(
図16、
図17D参照)。内周側の当接部32c1と外周側の当接部32c2は、それぞれ傾斜面S1、S2を備えている。内周側の当接部32c1の傾斜面S1は、操作部材30の回動操作に合わせて、被当接部22dを径外方向に徐々に押しやるためのものである。対して外周側の当接部32c2の傾斜面S2は、被当接部22dを径内方向に徐々に押しやるためのものである。傾斜面S1と傾斜面S2は同じ方向に傾斜している。例えば時計回りに外径を小さくするように傾斜している。
【0050】
図16に示すように、撓み片Dは上端近傍が固定され、側端や下端は固定されておらず自由端になっているが、被当接部22dがその固定されている部分(固定部D1)よりも上方に突出しているため、被当接部22dが径内方向に移動すると撓み片Dの下端が径外方向に移動し、被当接部22dが径外方向に移動すると撓み片Dの下端が径内方向に移動する。すなわち、撓み片Dは、固定部D1を回転軸としてシーソーのように揺動可能とされている。このように固定部D1を中心に撓み片Dを揺動させることで、係合突起22cの、吐出容器2に対する近接離間方向の移動量を大きくすることができる。例えば他の外装品10、10A、10B、10C、10Dでは、係合突起22cを、初期状態から径内方向又は径外方向のどちらかにしか移動させることしかできないが、この外装品10Eでは、初期状態から径内方向と径外方向のどちらにも移動させることができる。そのため、外装品10Eの外径が小さくても、吐出容器2への係合/非係合を切り替えるために必要な係合突起22cの移動量を確保し易い。
【0051】
上記構成の外装品10Eでは、操作部材30を回動させ、操作部材30の外周面に設けられている針32aを、カバー部材20の外周面に設けられている「SET」に合わせると、被当接部22dが内周側の当接部32c1によって径外方向に押しやられる。その結果、撓み片Dの下端が径内方向へ移動し、下端に設けられている係合突起22cが吐出容器2に係合する(
図17A、B参照)。操作部材30の針32aを「REUSE」に合わせると、被当接部22dが外周側の当接部32c2によって径内方向に押しやられる。その結果、撓み片Dの下端が径外方向へ移動し、係合突起22cと吐出容器2との係合が解除される(
図17C、D参照)。すなわち、操作部材30を回動操作することによって係合突起22cの係合/非係合を切り替えることができる。
【0052】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、当接部32cと被当接部22dの双方に傾斜面Sを設けてもよい。マーク21a、21bを操作部材30に設け、針32aをカバー部材20に設けてもよい。係合突起22cや被当接部22d、当接部32cの数は3つや4つに限らず、5つ以上設けてもよい。針32aを後方側のマーク21bに合わせたときに固定状態となるようにし、針32aを前方側のマーク21aに合わせたときに解除状態となるようにしてもよい。撓み片Dは、下方向に限らず、上方向に延びていてもよい。この場合、傾斜面Sの上下方向の傾斜も併せて反転させる。また、係合突起22cが係合する場所としては、係合可能な凹部であればマウンティングカップ4bに限らず、容器本体3のビード部3e等、適宜変更可能である。
図16において、被当接部22dを固定部D1よりも上方に突出させていたが、下方に突出させてもよい。この場合、被当接部22dを径内方向に移動させれば、係合突起22cも径内方向に移動し、被当接部22dを径外方向に移動させれば、係合突起22cも径外方向に移動するようになる。
【符号の説明】
【0053】
1 吐出製品
2 吐出容器
3 容器本体
3a 底部
3b 胴部
3c 肩部
3d ドーム部
3e ビード部
4 エアゾールバルブ
4a ステム
4b マウンティングカップ
4b1 外周縁
10、10A、10B、10C、10D、10E 外装品
20 カバー部材
21 外周壁
21a 前方側のマーク
21b 後方側のマーク
21c 突出部
22 内周壁
22a 接続壁
22b 環状壁
22c 係合突起
22d 被当接部
S 傾斜面
S1 内周側の当接部の傾斜面
S2 外周側の当接部の傾斜面
F 平坦面
22e 規制片
23 取付部
23a 連結部
24 下筒部
25 上筒部
25a 長孔
30 操作部材
31 ノズル部
31a 吐出ノズル
31b 操作レバー
32 基部
32a 針
32b 外嵌部
32c 当接部
32c1 内周側の当接部
32c2 外周側の当接部
32d 当接片
33 ガイド筒部
34 凸部
N 回動の中心軸
D 撓み片
D1 固定部