(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159033
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】歯科用物体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61C 13/00 20060101AFI20231024BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20231024BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20231024BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231024BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20231024BHJP
【FI】
A61C13/00 Z
B29C64/40
B29C64/386
B33Y10/00
B33Y50/00
A61C13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023055760
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】22165823.0
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596032878
【氏名又は名称】イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】フレイ アレン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】シュルケ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヒェーノウ カーチャ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率的に製造することができるようにデジタル歯科用物体を配向する製造方法を提供する。
【解決手段】歯科用物体の製造方法に関し、歯科用物体を生成するステップと製造されるべき歯科オブジェクトの形状を記述する座標系におけるデジタル歯科オブジェクト、座標系におけるデジタル基準オブジェクトに基づいて座標系におけるデジタル歯科オブジェクトの空間配向を回転させるステップ、および回転された空間配向を有するデジタル歯科オブジェクトに基づいて歯科オブジェクトを製造するステップ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用物体(100-2)の製造方法であって、
製造される前記歯科オブジェクト(100-2)の形状を記述する座標系においてデジタル歯科オブジェクト(100-1)を生成するステップ(S101)と、
前記座標系におけるデジタル基準オブジェクトes(100-R)に基づいて、前記座標系における前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)の空間配向を回転させるステップ(S102)と、
前記回転された空間的配向を有する前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)に基づいて、前記歯科オブジェクト(100-2)を製造するステップ(S103)とからなる製造方法。
【請求項2】
前記デジタル基準オブジェクト(100-R)のサイズが前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)のサイズに適合され、および/または前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)のサイズが前記デジタル基準オブジェクト(100-R)のサイズに適合される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記座標系における前記デジタル歯科オブジェクト(100-R)の前記向きは、前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)と前記デジタル基準オブジェクト(100-R)との間の空間偏差が所定値未満になるまで回転される、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項4】
上記のいずれかに記載の製造方法であって、
前記座標系における前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)の位置が、前記座標系におけるデジタル基準オブジェクト(100-R)に基づいてシフトされる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記座標系における前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)の位置は、前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)と前記デジタル基準オブジェクト(100-R)との間の空間偏差が所定の値未満になるまでシフトされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記歯科用物体(100-2)は、付加製造方法によって製造される、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
デジタル支持構造(103)が、前記基準オブジェクト(100-R)の前記向きに基づいて前記回転された空間的向きで前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)に追加される、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記基準オブジェクト(100-R)は、どの領域に支持構造(103)を設けることができるかを指定する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記歯科用物体(100-2)は、削減的製造方法によって製造される、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法であって、デジタル保持構造(105)が、前記デジタル歯科用器具(1)に追加され、
前記基準オブジェクト(100-R)の前記向きに基づいて前記回転された空間的向きを有するオブジェクト(100-1)と製造方法。
【請求項11】
前記デジタル基準オブジェクト(100-R)は、複数のデジタル基準オブジェクト(100-R)を含むデータベース(107)から検索可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記基準物体(100-R)において、どの領域に保持構造(105)を設けることができるかが指定される、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記デジタル歯科オブジェクト(100-1)が、指標に関するデータを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記デジタル基準オブジェクト(100-1)は、前記指標に関する前記データに基づいてデータベース(107)から検索可能または割り当て可能である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムを含む、歯科用物体を製造するための製造システム(200)であって、前記コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータプログラムに請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用物品の製造方法及び歯科用物品を製造するための製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のデジタルワークフローでは、歯科修復物は、CADソフトウェアで生成され、3D CADファイルフォーマットで保存される。 使用されるCADソフトウェアおよび後続のワークフローに応じて、いわゆるメタデータを生成し、3D CADファイルと共に格納することができ、これは追加情報を含む。しかしながら、歯科用物体の製造のために、向きの調整が必要な場合がある。
【0003】
メタデータは、特定の修復タイプにミリング戦略を割り当てるなど、アブレーション製造プロセスを制御または最適化するのに役立つ可能性がある。 ステレオリソグラフィ、VAT重合、3D DLP印刷、または金属の選択的レーザ焼結など、支持構造が必要とされる3次元印刷プロセスでは、歯科修復物の特定の領域は、精度および表面品質にプラスの影響を与えるために、支持構造の接続から解放されるべきである。
【0004】
しかしながら、メタデータの場合には、それらが予めCADソフトウェアにおいて既に生成されており、それらが独自のデータフォーマットであるという欠点がある。 この場合、使用される任意のCAMソフトウェアは、関連付けられた専有メタデータをインポートし、解釈することができなければならない。 これらのメタデータフォーマットは普遍的ではないので、独自のメタデータフォーマットごとに別個のインターフェースをプログラムしなければならない。 オブジェクトに利用可能なメタデータがない場合、CAMソフトウェアは、インポート中にそれがどの表示であるかを決定することができない。
【0005】
特許文献1は、光ベースの3次元印刷装置を使用して製造するための義歯床の3次元デジタルモデルを生成する方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第10,856,957(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的目的は、後に製造方法において効率的に製造することができるようにデジタル歯科用物体を配向することである。
【0008】
この技術的目的は、独立請求項に記載の主題によって解決される。 技術的に有利な実施形態は、従属請求項、明細書および図面の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、技術的問題は、製造されるべき歯科オブジェクトの形状を記述する座標系においてデジタル歯科オブジェクトを生成するステップと、座標系におけるデジタル基準オブジェクトに基づいて、座標系におけるデジタル歯科オブジェクトの空間配向を回転させるステップと、回転された空間配向を有するデジタル歯科オブジェクトに基づいて歯科オブジェクトを製造するステップとを含む、歯科オブジェクトの製造方法によって解決される。 製造方法は、デジタル製造方法のための歯科指標の自動的に最適化された製造固有の配向を達成する。
【0010】
製造方法の技術的に有利な実施形態では、デジタル基準オブジェクトのサイズはデジタル歯科オブジェクトのサイズに適合され、および/またはデジタル歯科オブジェクトのサイズはデジタル基準オブジェクトのサイズに適合される。デジタル基準オブジェクトおよびデジタル歯科オブジェクトのサイズは、それらが可能な限り類似するように、均一なスケーリングによって互いに適合される。これは、例えば、デジタル歯科オブジェクトとデジタル基準オブジェクトとの間のより高い一致または重複が達成されるという技術的利点を達成する。
【0011】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、座標系におけるデジタル歯科オブジェクトの向きは、デジタル歯科オブジェクトとデジタル基準オブジェクトとの間の空間偏差が所定の値を下回るまで回転される。 偏差の値は、2つの物体の空間的重なり領域から決定することができる。 これは、例えば、デジタル歯科オブジェクトおよびデジタル基準オブジェクトが反復プロセスにおいて互いに近似され得るという技術的利点を達成する。
【0012】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、座標系におけるデジタル歯科オブジェクトの位置は、座標系におけるデジタル基準オブジェクトに基づいてシフトされる。 これはまた、例えば、デジタル歯科オブジェクトとデジタル基準オブジェクトとの間のより高い一致または重複が達成されるという技術的利点を達成する。
【0013】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、座標系におけるデジタル歯科オブジェクトの位置は、デジタル歯科オブジェクトとデジタル基準オブジェクトとの間の空間偏差が所定の値を下回るまでシフトされる。 これはまた、例えば、デジタル歯科オブジェクトおよびデジタル基準オブジェクトが反復プロセスにおいて互いに近似され得るという技術的利点を達成する。
【0014】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、歯科用物体は、付加製造方法によって製造される。 これにより、例えば、歯科用物品を任意の所望の形状で簡単に製造することができるという技術的利点が達成される。
【0015】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、デジタル支持構造は、基準オブジェクトの向きに基づいて回転された空間的向きを有するデジタル歯科オブジェクトに追加される。支持構造の追加は、基準物体とは独立して行うことができる。これは、例えば、デジタルサポート構造が、提供された適切な場所に自動的に追加されるという技術的利点を達成する。これは、歯科用物体の製造を改善および加速することができる。 これにより、例えば、支持構造体を意図された適切な領域に自動的に配置することができるという追加の技術的利点が達成される。
【0016】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、歯科用物体は、削減的製造方法によって製造される。 これはまた、例えば、歯科用物を簡単な方法で製造できるという技術的利点がある。
【0017】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、デジタル保持構造は、基準オブジェクトの向きに基づいて回転された空間的向きを有するデジタル歯科オブジェクトに追加される。 これにより、例えば、フライス削りされた歯科用対象物を保持するための保持バーが歯科用対象物上の適切な位置にのみ自動的に配置されるという技術的利点が達成される。 これにより、例えば、保持構造を意図された適切な領域に自動的に配置することができるという技術的利点が達成される。
【0018】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態において、デジタル基準オブジェクトは、いくつかのデジタル基準オブジェクトを有するデータベースから検索可能である。 異なる基準物体は、3D印刷法、プレス法、鋳造法、またはポストテンパリング法などの異なる製造方法のために取り出すことができる。 この場合、製造方法が最初に選択され、製造方法のための基準オブジェクトがデータベースから検索され、これは、例えば、製造方法に応じて歯科用オブジェクトの最適な向きが達成されるという技術的利点を達成する。
【0019】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、デジタル歯科オブジェクトは、表示に関するデータを含む。 これにより、例えば、指標に応じて適切な基準オブジェクトを選択することができるという技術的利点が達成される。
【0020】
製造方法のさらなる技術的に有利な実施形態では、デジタル基準オブジェクトは、表示に関するデータに基づいてデータベースから検索可能であるか、または割り当てることができる。デジタル基準オブジェクトは、手動で選択または決定することもできる。これは、例えば、異なる指示のための異なる基準オブジェクトが検索され、および/またはデジタル歯科オブジェクトに割り当てられ得るという技術的利点を達成する。
【0021】
第2の態様によれば、技術的問題は、コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータプログラムに第1の態様による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムを含む、歯科用物体を製造するための製造システムによって解決される。これにより、第1の態様による方法と同じ技術的利点が達成される。
【0022】
本発明の実施形態の例が図面に示され、以下でより詳細に説明される。
図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】支持または保持構造を有する歯科用物体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、デジタル歯科オブジェクト100-1に基づく実際の歯科オブジェクト100-2の製造方法の概略図を示す。実際の歯科オブジェクト100-2は、例えば、クラウン、ブリッジ、ベニア、アバットメント、インレー、アンレー、スプリント、または部分もしくはフルデンチャーである。一般に、歯科用物体100-2は、3Dプリンティング法またはミリング法などの3次元製造方法を使用して製造される、歯科分野における任意の物体であり得る。
【0025】
最初に、CADソフトウェアは、製造される歯科オブジェクト100-2の形状を記述する座標系においてデジタル歯科オブジェクト100-1を生成する。デジタル歯科オブジェクト100-1は、最初に、座標系において任意の向きに向けられる。デジタル歯科オブジェクト100-1は、特定の表示のために役立つ。例えば、デジタル歯科オブジェクト100-1の形状は、デジタル歯科オブジェクト100-1の表面を定義する三角形または座標のセットによって示される。デジタル歯科オブジェクト100-1は、データセットに記憶されてもよい。
【0026】
データベース107は、複数のデジタル基準オブジェクト100-Rを含み、デジタル基準オブジェクト100-Rの各々は、例えば、表示および製造方法に関連付けられる。
【0027】
基準オブジェクト100-Rは、座標系内の特定の基準位置および向きを有する基準形状を指定する。例えば、デジタル歯科オブジェクト100-Rの形状は、基準オブジェクト100-Rの表面を定義する三角形または座標のセットによっても示される。デジタル基準オブジェクト100-Rは、データセットに格納されてもよい。
【0028】
指示に加えて、以下の情報が基準オブジェクト100-Rについてデータベース107に記憶され得る。
歯科技術用語による100-R基準物体の向きの説明。
どの領域109-1に支持または保持構造103または105を設けることができるか(支持要件)。
どの領域109-2が支持または保持構造103または105によって提供されなくてもよい(支持禁止)。
【0029】
基準オブジェクト100-R上の支持または保持構造のための規定および禁止を記述する領域109-1および109-2は、デジタル歯科オブジェクト100-1に移すことができる。
【0030】
デジタル歯科オブジェクト100-1の表示に対応する表示のデジタル基準オブジェクト100-Rが、データベース107からロードされる。 デジタル歯科オブジェクト100-1の表示が、例えば、インレーである場合、インレーのデジタル基準オブジェクト100-Rは、例えば、データベース107からロードされる。
【0031】
デジタル歯科オブジェクト100-1および基準オブジェクト100-Rの両方がロードされるとき、デジタル歯科オブジェクト100-1は、基準オブジェクト100-Rと同様のサイズにスケーリングされ、またはその逆も同様である。 代替として、歯科オブジェクト100-1および基準オブジェクト100-Rは、共通の類似サイズにスケーリングされることができる。 アスペクト比は、プロセス中に変化してはならない。 次いで、デジタル歯科オブジェクト100-1をY軸の周りに回転させるなど、異なる回転または平行移動動作がデジタル歯科オブジェクト100-1に対して実行される。 変位動作では、デジタル歯科オブジェクト101-1および基準オブジェクト101-Rの質量中心を重ね合わせることができる。 スケーリングならびに回転およびシフトは、デジタル歯科オブジェクト100-1と基準オブジェクト100-Rとの間の最大重複を達成する目的に役立つ。
【0032】
重複は、デジタル歯科オブジェクト101-1および基準オブジェクト101-RのJaccard係数を調整することによって計算することができる。 重複を計算するために、デジタル歯科オブジェクト100-1と基準オブジェクト100-Rとの間の空間交差を計算することができる。
【0033】
この目的のために、デジタル歯科オブジェクト100-1とデジタル基準オブジェクト100-Rとの間の空間偏差が所定の値を下回るまで、スケーリングおよび回転または変位動作を反復的に繰り返すことができる。 ずれは、体積に基づく重複率として算出されてもよい。 重複の程度は、0と1との間の比率スケーリングされた数であり得、これは、パーセンテージと見なされ得る。
【0034】
計算のために、デジタル歯科オブジェクト100-1および基準オブジェクト100-Rは、ボクセル表現に変換される。 続いて、両方のオブジェクト内の全ての空のボクセルが充填される。 両方のオブジェクトによって占有されるボクセルの数は、充填されたボクセルの総数によって除算される。 これは、和集合の交差(LOu)としても知られる2つの集合のJaccard係数の計算に対応する。 0と1の間の計算された値は、2つの3次元オブジェクトがどの程度一致するかを示す。 この値は、オブジェクトの平行移動および回転によって最大化することができる。
【0035】
重ね合わせおよび反復マッチングは、ベストフィット法に従って実行される。デジタル歯科オブジェクト100-1は、基準オブジェクト100-Rとの最大重複が達成されるまで、スケーリングされ、回転および並進変換される。 このようにして、座標系における基準オブジェクト100-Rの向きおよび位置に一致するデジタル歯科オブジェクト100-1の向きおよび位置を決定することが可能である。
【0036】
このように変換されたデジタル歯科オブジェクト100-1は、基準オブジェクト100-Rの座標系に保存される。 デジタル歯科オブジェクト100-1は、次いで、座標系におけるこの新しい配向および位置で記憶され、それに応じて、生産準備のためのCAMソフトウェアにおける後続の処理ステップのために利用可能にされる。 製造後の具体的なデータ準備の後、実際の歯科オブジェクト100-2が生成される。
【0037】
例えば、製造システム200は3Dプリンターである。 一般に、製造システム200は、歯科用物体を製造するのに適した任意のシステムである。 例えば、製造システム200は、デジタルメモリを有するコンピュータと、製造方法の個々のステップが実施されるコンピュータプログラムを実行するプロセッサとを備える。
【0038】
基準物体100-Rの座標系は、3D DLP印刷において理想的には、製造システム200の座標系、例えば3Dプリンターのビルドスペースの座標系と同一である。製造方法において、歯科オブジェクト100-2は、下から上(ボトムアップ)に層ごとに構築される。
【0039】
ここで、X軸およびY軸を有する共通座標系は、構築プラットフォームに広がり、Z軸は、構築プラットフォームから離れる方向を指す。この座標系において、位置合わせされたデジタル歯科オブジェクト100-1は、さらなるビルドジョブ準備のためにCAMソフトウェアに提供される。 プロビジョニングは、データ修復、支持または保持構造103または105の作成、ネスティング、および/またはスライシングを含むが、これらに限定されない。
【0040】
全体として、デジタル歯科オブジェクト100-1の自動および製造固有の配向は、デジタル歯科オブジェクト100-1を適切な指標の基準オブジェクト100-Rと重ね合わせ、整合させ、比較し、変換することによって実行される。歯科指標の選択または決定は、手動で行うこともできる。
【0041】
基準オブジェクト100-Rに基づくデジタル歯科オブジェクト100-1の最適化された位置合わせは、歯科オブジェクト100-1が可能な限り迅速に製造されることを可能にし、保持または支持構造のための規定および禁止が可能な限り最良に観察されることを可能にし、それは可能な限り少ない保持または支持構造103または105を必要とし、歯科オブジェクト100-2の表示関連表面が再加工される必要がない。
【0042】
CAMソフトウェアを通じて、歯科知識を最適なデジタル製造方法に実装することができる。 CAMソフトウェアは、付加的または削減的製造方法などのそれぞれの製造方法に対して歯科用物体100-1の最適な向きを提供する。 製造時間、結果 フィット及び表面品質のための品質、並びにユーザのための再加工における最小限の労力を考慮することができる。
【0043】
これらの結果は、次に、ルックアップテーブルなどのデータベース107にフィードバックされてもよく、それにより、新しい3次元基準物体100-Rが、製造方法にとって最適な位置および向きで当業者によって座標系に記憶される。
【0044】
図2は、支持または保持構造103および105を有する歯科用物体101-1を示す。 歯科ワークフローは、歯科オブジェクト101-1のための支持または保持構造103または105を生成するための規則も定義することによって、CAMソフトウェアによってさらに改善することができる。 これらの支持構造または保持構造103または105は、指示に依存することができ、すなわち指示固有であることができる。 インポートされた歯科オブジェクト101-1の指示がCADまたはCAMソフトウェアに知られている場合、さらなるワークフローにおいて対応するデータセットを用いて最適化措置を実行することができる。 特定の指示の基準オブジェクト100-Rは、歯科作業プロセスを考慮または最適にサポートし、保持または支持構造103または105のための規定および禁止が可能な限り遵守されるように、すでに配向および位置決めされている。 例えば、歯冠は、咬合面および窩洞が側面に面し、最も厚い壁厚が構築プラットフォームに面するように配向される。 この場合、咬合面および窩洞は禁止領域の中にあり、最も厚い壁厚を有する外面は、支持構造(複数可)を作製するための許容表面の中にある。
【0045】
支持構造体103は、3D印刷中に製作された歯科用物体100-2を構築プラットフォームに対して支持して、印刷の成功を確実にする。支持構造体105は、フライス加工方法の間及び後に、製造された歯科用物体100-2をブランク内の定位置に保持する。
【0046】
例えば、支持または保持構造103または105が設けられる領域109-1(支持または保持構造要件)を基準オブジェクト100-Rに設けることができ、または支持または保持構造103または105が設けられてはならない領域109-2(支持または保持構造禁止)を設けることができる。歯科技術の専門知識およびそれぞれの製造方法(減法または加法)の知識に起因して、基準物体100-Rは、支持または保持構造103または105のための規定および禁止を可能な限り考慮するように、それに応じて配向および位置決めされる。基準オブジェクト100-Rの仕様に従ってデジタル歯科オブジェクト101-1の適応された自動配向に起因して、これらの規定および禁止はまた、新しい配向によってデジタル歯科オブジェクト101-1において間接的に考慮される。
【0047】
したがって、歯科オブジェクト101-1は、指示および製作に特有の同様の支持または保持構造103または105をもたらす。 支持または保持構造103および105の特徴(厚さ、接触面積)および/または密度/数などの、支持または保持構造103および105に使用されるパラメータも、基準オブジェクト100-Rに記憶され得る。
【0048】
CAMソフトウェアは、次いで、指定されたパラメータに基づくその規則/アルゴリズムに従って、必要な支持または保持構造103または105を自動的に生成することができ、その結果、構築ジョブは、可能な限り少ない支持または保持構造103または105を用いて可能な限り迅速かつ安定して製造することができる。
【0049】
図3は、歯科用物100-2の製造方法のブロック図を示す。 製造方法は、製造される歯科オブジェクト100-2の形状を記述する座標系においてデジタル歯科オブジェクト100-1を生成するステップS101を含む。 例えば、デジタル歯科オブジェクト100-1は、コンピュータ支援設計(CAD)プロセスにおいて生成されてもよい。 このCADプロセスでは、デジタル歯科オブジェクト100-1の形状および外観が決定される。 デジタル歯科オブジェクト100-1は、実際の歯科オブジェクト100-1を製造するための基礎を形成する。
【0050】
3Dモデリングにおいて、デジタル歯科オブジェクト100-1は、3次元形態で構築され、保存される。このようにして、現実的な表現を達成することができる。デジタル歯科オブジェクト100-1は、データセットとして、例えばSTLフォーマットのファイルとして保存および転送することができる。
【0051】
ステップS102において、座標系におけるデジタル歯科オブジェクト100-1の空間配向は、座標系におけるデジタル基準オブジェクト100-Rに基づいて再配向および/または再配置される。この目的のために、例えば、座標系において定義された向きを有するデジタル基準オブジェクト100-Rが、デジタル歯科オブジェクト100-1と共にメモリにロードされる。デジタル歯科オブジェクト101-1および基準オブジェクト100-Rは、最初に、均一スケーリングによって同様のサイズにされる。次に、例えば、デジタル歯科オブジェクト100-1とデジタル基準オブジェクト100-Rとの間の空間偏差が最小になるか、または所定の値未満になるまで、座標系におけるデジタル歯科オブジェクト100-Rの向きを回転させるか、または座標系におけるデジタル歯科オブジェクト100-1の位置をシフトさせる。
【0052】
ステップS103において、実際の歯科オブジェクト100-2は、適切な製造方法を使用して、回転された空間的配向を有するデジタル歯科オブジェクト100-1に基づいて製造される。
【0053】
デジタル歯科オブジェクト101-1は、例えば、指示および選択された製造方法に応じて、フライス削りなどのブランクで、または3D印刷などのビルドスペースで配向され得る。 配向は、実際の歯科対象の形態および機能のための重要な表面が、CAMソフトウェアにおいて自動的に生成される保持または支持構造103または105によって歪められず、安定した製造方法が保証され、歯科技工士または歯科医のための再加工が最小限に抑えられるように行われる。
【0054】
デジタル歯科オブジェクト101-1への指示の割り当ては、CADソフトウェアによって既に自動的に行われてもよく、例えば、ファイル名に含まれてもよく、またはCAMソフトウェアにおいてユーザによって後で識別され、デジタル歯科オブジェクト101-1に割り当てられてもよい。
【0055】
本発明の個々の実施形態に関連して説明され示された全ての特徴は、それらの有益な効果を同時に実現するために、本発明の主題において異なる組み合わせで提供されてもよい。
【0056】
すべての方法ステップは、それぞれの方法ステップを実行するのに適した手段によって実施することができる。 客観的特徴によって実行されるすべての機能は、方法の方法ステップとすることができる。
【0057】
本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって与えられ、明細書に説明された特徴または図面に示された特徴によって限定されない。
参考文献 LIST
100-1 デジタル歯科用物体
100-2 実際の歯科対象物
100-R デジタル基準オブジェクト
103 支持構造
105 保持構造
107 データベース
109-1 支持または保持構造のための提供領域
109-2 支持または保持構造のための禁止領域
200 製造システム
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】