(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159073
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】植物栽培機器及び方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/04 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A01G31/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120218
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2019518953の分割
【原出願日】2017-10-09
(31)【優先権主張番号】62/405,532
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/467,621
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/524,811
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】519120271
【氏名又は名称】マッセー、スコット
(71)【出願人】
【識別番号】519120282
【氏名又は名称】ハイドロ グロー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッセー、スコット
(57)【要約】
【課題】植物栽培機器を提供する。
【解決手段】植物栽培機器が、内側及び外側を有するエンクロージャであって、エンクロージャの内側が、エンクロージャ内の環境条件を保つように構成される、エンクロージャと、1つ又は複数の光源と、そこを通って延びるアパーチャを有する作付け支柱と、回転可能基部と、中心導管であって、中心導管が、作付け支柱のアパーチャを通って延び、作付け支柱が、中心導管の周りを回転可能に動くことができるように構成される、中心導管と、水源と、少なくとも1つのセンサと、灌水システムと、灌水システム、1つ又は複数のセンサ、光源、及び回転可能基部に通信可能に結合されるように構成される制御システムとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側及び外側を有するエンクロージャであって、前記エンクロージャの前記内側が、前記エンクロージャ内の所定の内部環境を保つように構成される、エンクロージャと、
1つ又は複数の光源と、
そこを通って形成される空洞を有する作付け支柱と、
前記作付け支柱の下方部に結合され、前記エンクロージャ内で前記作付け支柱を回転させるように構成される、駆動モータと、
取外し可能な貯水槽と、
中心導管であって、前記導管が、前記作付け支柱の前記アパーチャを通って延び、前記作付け支柱が、前記中心導管の周りを回転可能に動くことができるように構成される、中心導管と、
水源と、
少なくとも1つのセンサと、
灌水システムと、
前記灌水システム、1つ又は複数の前記センサ、前記光源、及び前記駆動モータに通信可能に結合されるように構成される制御システムと
を備える、植物栽培機器。
【請求項2】
前記エンクロージャが、上部、基部、及び少なくとも1つの壁部を備え、前記壁部が内側表面及び外側表面を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記壁部の前記内側表面が、前記エンクロージャ内で放射された光を反射するように構成される、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記作付け支柱が、植物を受けるように構成される1つ又は複数の開口をさらに備える、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記光源が発光ダイオード(LED)のライトからなる、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記水源が貯水槽である、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記槽が取外し可能である、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記水源、前記中心導管、及び前記灌水システムが流体接続された、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記灌水システムが水配給装置を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記導管が、1つ又は複数の一体化された水配給装置を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項11】
前記灌水システムが、前記水源から前記中心導管へと水を移送するように構成されるポンプ及び2次流体導管を備える、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
前記エンクロージャが、長方形であり、前記エンクロージャの前記内側にアクセスするための1つ又は複数の開口を有している、請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記回転可能基部が、前記作付け支柱の一部として組み込まれる、請求項1に記載の機器。
【請求項14】
前記作付け支柱の前記内部空洞が、らせん構成で配置される、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
前記エンクロージャ内で植物のデータを取得するように構成されるハイパースペクトル撮像カメラをさらに備える、請求項1に記載の機器。
前記制御システムが、前記エンクロージャ内の植物の成長を操作するように温度、湿度、及び光の色スペクトルを監視及び制御するように構成される、請求項1に記載の機器。
【請求項16】
前記ユニットの前記基部に形成されて前記取外し可能な貯水槽を収容する引出しをさらに備える、請求項15に記載の機器。
【請求項17】
前記LEDの色スペクトルが、植物の成長を操作するように制御される、請求項5に記載の機器。
【請求項18】
請求項1に記載の植物栽培機器内で栽培するための植物を栽培、監視、及び購入するシステムであって、
個々の植物種を有する作付けポッドにバーコードを割り当てることと、
前記特定の植物種について環境変数を分類することと、
前記植物栽培機器及び前記制御システム内に前記作付けポッドの位置を割り当てるための走査可能な識別コードと、
制御アルゴリズムを実装して最適な環境条件を決定することと、
前記システム内の植物種の組合せに基づく平均環境変数と、
前記選好を実現するように前記環境を調整することと
を含む、システム。
【請求項19】
水源と、
内部空洞、及び前記内部空洞へのアクセスを可能にするように構成された少なくとも1つの開口を有する栽培支柱と、
前記栽培支柱を囲むエンクロージャと、
導管を使用して水源及び配給手段に流体接続され、前記水源から前記内部空洞へと水を供給するように構成されるポンプと
を備える、植物を栽培するための機器。
【請求項20】
前記開口内に嵌合するように構成された上部リム及び下方部を備える植物栽培ポッドをさらに備え、前記下方部が、前記栽培支柱の前記内部空洞の中に延びるように構成される、請求項19に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本米国特許出願は、2016年10月7日出願の米国仮出願第62/405532号、2017年3月6日出願の米国仮出願第62/467621号、2017年6月26日出願の米国仮出願第62/524811号の優先権を主張し、これらの開示は本出願の開示の一部であると考えられ、参考として、本明細書に全体として援用される。
【0002】
本発明は、一般に、植物用に使用される栽培機器などの植物栽培システムに関する。一態様において、本発明は、詳細には、独立型の栽培構造体の中で植物を栽培するための噴霧耕栽培機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人口密集地域で新鮮な農産物を入手しづらくしている食の砂漠(food desert)に呼応して、共同住宅及び地域でのホーム・ガーデニング及びマイクロ菜園が、近年、米国全域で拡大してきている。より多くの消費者が、より新鮮な農産物を提供するため、並びに大型の食料品店で使用される保存料及び化学物質を制限するために、地元で栽培された新鮮な農産物及びハーブをとることを望んでいる。これらの菜園では大規模な土地は必要とされないが、依然として、農産物を栽培する菜園を作るために物理的な土地を準備する必要がある。世界の食糧需要を満たすことはできていないが、人口は増え続けており、次の30年以内には30億人増加することになっている。多くの都市環境では、不動産が、通常は菜園として専用に使用されることにはならないプレミアム価格になっている。さらに、菜園の気候及び季節的な気象変化によっては、多くの農産物品は、たとえ栽培できたとしても通年では栽培できない。この増加している人口のための住宅団地が建設されるにつれて、どちらも変化の激しい気象状況によって脅かされている、飲用水及び利用可能な農地の減少しつつある供給がますます不足し、それにより食糧価格は徐々に上昇することになる。現在、多くの水耕栽培システムは、その設置面積に比べて収穫高が少ない水平栽培法を使用している。既存の水耕栽培システムでは、水耕栽培培養液を循環させるためのポンプの大規模な組立体、並びに根を避けるように、十分に溶かした酸素を溶液に含ませるためのブロワが必要とされる。これらの追加のアクチュエータによって電力消費が増加し、これにより消費者がその投資に対する見返りを享受するまでの時間が長くなる。同様に、このシステムには、エネルギー消費、水及び養分の不十分な分配、並びに高いメンテナンス・コストに関係する、様々な不足がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
家庭内の最小限の空間しか取らずに新鮮な農産物を栽培する機器の必要性が存在している。本発明は、植物を栽培するための薄膜水耕栽培機器及び噴霧耕栽培機器に関し、この機器は、アパート又は家庭内に容易に据え付けられるように構成することができる。本発明の噴霧耕栽培機器は、完全に独立型でも、他の器具とともにキッチンに一体化されてもよく、ハーブ及び他の農産物を安定して栽培するための空間を提供する。さらに、本発明により、通常の成長のタイムラインとは対照的に、また殺虫剤及び除草剤の必要性なしに、種子又は小さい苗を短期間で成熟まで育成することが可能になる。この栽培システムにより、使用者は、自身の家庭で農産物又はハーブを栽培するために、小さい種子ポッドを購入してそれらを自身の家庭まで直接発送させることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は、内側及び外側を有するエンクロージャであって、エンクロージャの内側が、エンクロージャ内の環境条件を保つように構成される、エンクロージャと、1つ又は複数の光源と、そこを通って延びるアパーチャを有する取外し可能な作付け支柱と、回転可能な基部と、中心導管であって、前記導管が、作付け支柱のアパーチャを通って延び、前記作付け支柱が、前記中心導管の周りを回転可能に動くことができるように構成される、中心導管と、水源と、少なくとも1つのセンサと、灌水システムと、灌水システム、1つ又は複数のセンサ、光源、及び回転可能な基部に通信可能に結合されるように構成される制御システムとを備える、植物栽培機器に関する。
【0006】
別の態様では、本開示は、本発明の植物栽培機器内で栽培するための植物を栽培、監視、及び購入するシステムであって、作付けポッドにバーコードが割り当てられ、その特定の植物種について環境変数を分類し、バーコードを走査して植物栽培機器及び制御システム内に作付けポッドを割り当て、制御アルゴリズムを実行してシステム内の植物種の組合せに基づいて最適な環境変数を決定し、その環境選好を実現するように環境を調整する、システムに関する。
【0007】
本開示の特徴及び利点、並びにそれらを得る方式は、開示されるシステム及び工程についての以下の説明を添付図面と併せて参照することによってさらに明らかになり、またよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】植物栽培機器の例示的な一実施例の斜視図である。
【
図2】植物栽培機器の例示的な一実施例の分解斜視図である。
【
図3】植物栽培機器の例示的な一実施例の断面図である。
【
図4A】植物栽培機器のモジュラ作付け支柱の例示的な一実施例の斜視図である。
【
図4B】
図4Bに示す植物栽培機器のモジュラ作付け支柱の例示的な一実施例の俯瞰図である。
【
図4C】
図4Bに示す植物栽培機器のモジュラ作付け支柱の例示的な一実施例の断面図である。
【
図4D】開口封止部材を有する植物栽培機器のモジュラ作付け支柱の例示的な一実施例の俯瞰図である。
【
図4E】
図4Dに示す開口封止部材を有する植物栽培機器のモジュラ作付け支柱の例示的な一実施例の俯瞰図である。
【
図5A】らせん構成を有する本発明の作付け支柱の例示的な一実施例の斜視図である。
【
図5B】らせん構成を有する本発明の作付け支柱の例示的な一実施例の側面斜視図である。
【
図5C】らせん構成を有する本発明の作付け支柱の例示的な一実施例の上面図である。
【
図5D】5Dに示すらせん構成を有する本発明の作付け支柱の例示的な一実施例の断面図である。
【
図6】本発明の植物栽培機器の例示的な一実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、添付図面に関連した実例の実施例についてのものである。こうした説明は例示的なものであり、考えられる実施例の範囲に関して限定的である意図はない。こうした実施例は、当業者がそれらを実践できるようにするのに十分に詳しく説明されており、またいくつかの変形形態を伴う他の実施例が実践されてもよいことが理解されよう。
【0010】
図1~
図6を参照すると、植物栽培機器1は、エンクロージャ・ハウジング3及び作付け支柱5を備えている。エンクロージャ・ハウジング3は、機器内で栽培することができる種々の植物のバラエティに理想的な栽培環境を提供するように、環境的に制御され得る。エンクロージャは、内側部7及び外側部9を有することができる。エンクロージャ3は、円筒形、三角形、角錐形、らせん形、及び長方形の構造を含めて、多数の形状をとってもよい。各形状は、対応する側壁部11並びに上部13及び底部15を有して、エンクロージャ3を形成することができる。例示的な一実施例では、エンクロージャは、上壁部13、底壁部15、及び4つの側壁部11a~11dを含めて、性質上6つの面を有する長方形であってもよい。例示的な一実施例では、壁部11は、エンクロージャ3の骨組みとして機能することができる支持構造体17に連結されてもよい。別の実施例では、壁部は、円形管の場合、又は壁部11が支持構造体として機能する場合などには、支持構造体なしで継ぎ目なく接合されてもよい。さらに、壁部11は、エンクロージャの1つ又は複数の壁部11に位置付けられるアクセス・ドア又はパネル19を含んでもよい。アクセス・ドア19により、使用者がエンクロージャを開いて栽培又は収穫のために植物を取り出す又は加えることが可能になる。同様に、アクセス・ドア19により、必要になる場合がある任意の植物の手入れのために使用者がアクセスすることが可能になる。
【0011】
エンクロージャの壁部は、任意の適した材料から作られてもよい。例示的な一実施例では、側壁部は、ガラス、プレキシグラス、又は他のポリマーなどの、透明な材料から作られてもよい。例示的な一実施例では、1つ又は複数の壁部の内側面は、エンクロージャ3の壁部の内側部7に接着又は塗布される反射性コーティング又は反射性材料を有してもよい。このコーティング又は反射性材料は、依然として外側からの透明性を保ち、それにより、使用者又は観察者が植物栽培機器1のエンクロージャ3の内側を見ることを可能にし得る。反射性の内部は鏡として機能し、エンクロージャ3にくまなく光を反射することにより、エンクロージャ3内の光源21の光効率を最大化することができる。例示的な一実施例では、透明な側壁部11には、エンクロージャ3内からの赤/青の栽培ライト21を除去するように、色の付いた色素が形成工程で与えられてもよい。さらに、例示的な一実施例では、エンクロージャ3は、シェル23によってさらに囲まれていてもよい。シェル23は、いくつかの用途において、エンクロージャの追加の構造的支持及び包装を提供することができる。例示的な一実施例では、シェル23は、上面や1つ又は複数の側などの、エンクロージャの1つ又は複数の側を囲むことができる。
図1に示すように、シェル23は、長方形の構成を有するエンクロージャの上面及び3つの側面11を覆ってもよい。側壁部11のうちの1つは、依然として使用者がアクセス可能になっており、可動ドア19を有することができる。ドア19は、蝶番又は摺動可能トラッキングなどの、可動であるための任意の適した手段を使用することができる。摺動可能ドア19を有する例示的な実施例では、側壁部11は2つの個別の部分を有することができる。各部分が運動可能でもよく、又は別法として、一方の部分は運動可能であり、他方の部分は固定されていてもよい。同様に、別の例示的な実施例では、側壁部は、ドア19によって覆われる開口27を有してもよい。さらに、ドア19及び側壁部11は、植物栽培機器1の内部環境25を維持するのを助けるガスケット又は封止材29をさらに含んでもよい。同様に、封止材29は、エンクロージャの内部環境25の陽圧を維持する助けとするために使用することもできる。いくつかの実施例では、側壁部11の1つが運動可能であり、ドアとして機能して、植物栽培機器1の内部環境25への使用者のアクセスを可能にしてもよい。本発明の種々の例示的な実施例では、植物栽培機器は、エンクロージャ3を連結又は載置することができる基部部分31をさらに含むことができる。基部部分31は、貯水槽、ポンプ、導管、駆動モータ及び他の構成要素を含めた、システム1の種々の構成要素のためのハウジングとして使用することができる。
【0012】
エンクロージャ3は、温度、湿度、点灯サイクル、光スペクトル、光合成有効放射、培養液の電気伝導度の値、培養液のpH値、とりわけ酸素、CO2、VOCの含有量の環境PPMなどの、エンクロージャ内の環境的側面に関する情報を使用者に提供するためのディスプレイ33もさらに備えることができる。ディスプレイ33は、機器1の制御パネルとしても使用することができる。同様に、機器1は独立型の制御パネルを含んでもよく、独立型制御パネルは、この機器に通信可能に結合されてもよい。例示的な一実施例では、スマートフォンなどの無線装置が、ディスプレイ、制御パネル、又はその両方として動作してもよい。さらに、カメラ35により、使用者が機器内部の植物の成長を監視及び観察することが可能になるはずである。カメラ35は、機器1の中の植物の健康状態に関するデータを取得するハイパースペクトル・イメージングを取得することが可能であり、そのように構成され得る。植物健康状態データを使用すると、制御システム39は植物健康状態データを処理して栽培機器1内の内部環境25を最適化することができ、これには温度、湿度、又は水源57に加えることができる種々の養分の調節が含まれ得る。ディスプレイ33及び/又は制御パネル37は、制御システム39に通信可能に結合することができ、制御システム39は、マイクロコントローラなどの処理手段41、メモリ43、及び送受信装置45を含むことができる。別法として、ディスプレイ33及び制御システム39は、制御システム39に通信可能に結合され、デバイス上のアプリケーションを介して給電される、別個のコンピュータ又はモバイル・デバイスのディスプレイでもよい。これにより、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、NFC、インターネットなどの種々の無線規格を使用して制御システム39を遠隔使用して、使用者が植物栽培機器1を監視し、エンクロージャ3内の所望の内部環境25を調節することが可能になり得る。同様に、エンクロージャ3は、物理的ディスプレイとリモート・ディスプレイの組合せを使用して、使用者に内部環境35のデータを提供することもできる。データはメモリ43に記憶されてもよく、又は恒久的サーバ若しくはリモート・データベースを使用して制御システム39からデータ点を収集及び分析し、それによって市場調査及び植物成長調査が決まることになる。
【0013】
作付け支柱5は、上端部47及び下方部49を有することができる。下方部49は、エンクロージャ3の底壁部15に近接した回転台として動作することができ、作付け支柱5がエンクロージャ3内で回転することを可能にする。底壁部15はアパーチャを有して、駆動モータ51が作付け支柱5に結合されることを可能にし得る。作付け支柱5は手動で回転可能でもよく、使用者が作付け支柱を回転させるための駆動モータ51を使用してもよい。駆動モータ51は、エンクロージャ3の底壁部15に近接して位置決めすることができる。駆動モータ51は、制御システム39に通信可能に結合され得るステッピング・モータ・システム111に通信可能に結合され得る。駆動モータ51は、ベルト、チェーン、ダイレクト・ギヤ・ドライブによって駆動されてもよく、キャスター・ホイールを備えたシャーシ上で回転されてもよく、磁気浮上され、電磁石によって回転されてもよい。任意の時間設定で任意の継続時間の間、所望の通りに作付け支柱5を自動的に回転させるプログラムが、制御システム39のメモリ43に記憶されてもよい。同様に、制御システム39は制御パネル37に通信可能に結合されてもよく、使用者はそこで駆動モータ51を手動で起動して、時計回りと反時計回りの両方に作付け支柱5を回転させてもよい。
【0014】
作付け支柱5がエンクロージャ内で回転できるようにすることにより、植物栽培機器を多くの環境に置くことができ、使用者はエンクロージャの反対側に回る必要なく、また他の植物を傷つけることなく、エンクロージャ3内の植物に容易にアクセスできるようになる。同様に、作付け支柱5が回転できるようにし、また内容物を外側から観察できるようにすることにより、使用者はアクセス・ドア19を開く前に所望の位置まで作付け支柱5を回転させることができ、したがって所望の植物を取り出すのに必要な時間が抑えられる。ひいては、エンクロージャ3の内部環境25の大きな変動及びエンクロージャ3の外の環境への長時間の露出が避けられる。回転駆動モータ51に連結され、制御システム39に通信可能に結合されるステッピング・モータ・ドライブ59により、機器1が、何の植物がLEDアレイなどのどの特定の光源21のほうに向いているかという位置認識をもつことが可能になり得る。これにより、個々のLEDアレイ21がそのLEDアレイのほうに向いている植物について、特定の光合成有効放射と光合成光量子束密度の比を目標とすることが可能になり、したがってその光合成効率を最大化し、電力消費を低減することができる。
【0015】
例示的な一実施例では、作付け支柱5は、水などの水溶液を水源から受けるための内部空洞55を有することができる。作付け支柱5は、植物を受けるために支柱5に含められる1つ又は複数の作付け開口59をさらに備えることができ、植物の少なくとも一部は内部空洞55へと延びて、作付け培地、水溶液、又はその両方とかみ合うことができる。
【0016】
作付け支柱5はモジュラ性質でもよく、
図2に示すように1つ又は複数のセクションを備えることができる。作付け支柱5の各セクションは、所定の数及びサイズの作付け開口59を有することができる。使用者は、栽培したい植物及び/又はハーブのタイプに応じて、作付け支柱3の種々の部分から選択する。使用者が栽培したい植物種がより大きい場合、より大きくより少数の開口59を有する作付け支柱の一部を使用することができる。さらに、使用者が所望する植物種がより小さい性質の場合、エンクロージャ内の、開口59の数がより多い作付け支柱5の一部を使用することができる。使用者の所望の用途に応じて、エンクロージャ3内で作付け支柱5の1つ又は複数の部分を使用することができる。
【0017】
作付け開口59は、団粒培地若しくは土壌培地用に適合されてもよく、又は別法として、土壌、団粒、若しくは培養資材(growing medium)を使用せずに用いるべき噴霧耕栽培の作付けポート/アパーチャとして使用するために適合されてもよい。作付け開口59により、植物のタイプ及びその植物を最も適切に栽培するのに必要とされる空間に応じて、個々の開口内に植物を簡単に配置する、又は各開口内に複数の植物を簡単に配置することが可能になり得る。開口は作付け支柱5の内部空洞55へと延び、根などの植物の一部が作付け支柱の内部空洞へと延びる。作付け支柱の内部へと延びる部分は、養分豊富な水などの養分豊富な培地にさらされて、適切な養分を植物に供給することができる。
【0018】
例示的な一実施例では、植物は、種子発芽培地又は栽培ポッド61などの支持培地に事前に包装された状態で届き、使用者が植物栽培機器の作付け開口59に苗又は種子を容易に移送及び移植することを可能にしてもよい。別法として、作付け開口59は、支持培地を使用することなく苗を受け入れるように構成されてもよい。ポッドは、特に噴霧耕栽培の種子栽培用に構成され、植物の根系が増殖し、作付け支柱の内部空洞内に提供される養分へとアクセスするのを可能にしてもよい。例示的な一実施例では、開口59は、締結手段69を有して、栽培ポッド61が開口59にしっかりと連結するのを可能にすることができる。締結手段69は、ねじが切られた締結具、磁気締結具、スナップ・フィット締結具、又は他の適した締結手段など、任意の適した手段を使用してもよい。同様に、ポッドは、開口の締結手段69と相互に作用する対応する締結手段71を有することができる。この対応する締結手段により、栽培ポッドがしっかりと作付け支柱5の開口59に保持されることが確実となり、並びに封止関係を保って、水溶液が開口59を通って内部空洞55から漏れるのを抑えるか又は防止する。別法として、又は追加的に、支柱の開口59の近接部(proximate)は、支柱5の内部空洞55から湿気が漏れないようにするために使用され得る、蝶番付きの開口封止部材139でもよい。フラップは、開口59の形状に近づけるように、ポッド61の縁部及び開口59の周りに封止部を形成するように構成することができる。いくつかの実施例では、フラップは蝶番式でもよいが、ねじが切られたロッド、ナット及びボルト、又は任意の他のバリエーションなどの任意の適した手段を使用して開口に取り付けられ(coop)てもよい。さらに、開口封止部材139の下方部は、ガスケットでライニングされて、封止部の通気性を下げることができる。開口封止部材139は、ばねで負荷がかけられて追加の力を用いて閉じてもよく、ハンドル又は掛け金に嵌合して定位置にロックされ、使用者がより強くグリップできるようにしてもよい。
【0019】
植物栽培機器は、機器内に保持された植物に水及び他の養分を供給するように構成される灌水システム95をさらに備えることができる。灌水システム95は、部分的には、植物栽培機器内の相対湿度を保つ加湿装置としても使用することができる。灌水システムは、本開示の全体に水及び他の養分を移送する1つ又は複数の導管を含むことができる。
【0020】
灌水システムは、水源を使用して植物栽培機器内の植物に水を供給することができる。水源は、植物栽培機器が位置決めされることになる場所に近接して配管された近くの水から植物栽培機器へと直接接続されていてもよい。別法として、水源は、植物栽培機器の基部に位置付けられる貯水槽でもよい。例示的な一実施例では、貯水槽は植物栽培機器から取外し可能であり、植物栽培機器に直接連結される直接的な送水管を備える必要性をなくすことができる。これにより、新しい放水口を配管する必要性なしに、植物栽培機器が消費者の現行のキッチン又は住宅の構成に容易に適合可能になり得る。作付け支柱の基部31及び/又はエンクロージャ内の床部は排水システムを有して、灌水システムが再循環及び使用すべき溢れた水及び余分な水を受けることができる。水位センサ135が、制御システム39に通信可能に結合された弁リレーを作動させて槽を再び満たすように弁を起動し、それによって槽内の液体の所定の水位を保ってもよい。
【0021】
貯水槽は、貯水槽内の水位を監視するセンサ又は装置を使用してもよい。このセンサは、制御パネルと通信して、貯水槽を再び満たす必要がある、又は水位が低いという警告を使用者に与えることができる。さらに、植物栽培機器は、植物の養分などの他の材料及び液体を貯蔵する追加の槽をさらに備えてもよい。植物の成長のために使用者が使用する所望の養分の数に応じて、任意の数の槽を使用することができる。植物栽培機器内で配給される前に、貯水槽からの水が養分の所望の混合物と混ざることを可能にする、追加の混合槽が存在してもよい。
【0022】
灌水システム95は、機器内の植物に配給すべき水又は養分豊富な流体を導管65の全体にくまなく移送するように構成される、1つ又は複数のポンプ93をさらに含むことができる。ポンプ93は、使用者が所望したときに遠隔で起動されるように、制御パネル35に通信可能に結合されてもよい。例示的な一実施例では、ポンプ93を使用して槽63から2次槽へと材料をポンピングし、その後、その水溶液をポンピングして導管65から配給機器67へと配給してもよい。2次槽は、槽63からの水に加えられ、導管65を通してポンピングされて植物に供給され得る種々の養分を収容することができる、1つ又は複数のチャンバを有してもよい。
【0023】
図3に示す例示的な一実施例では、槽63は、機器1の基部31に収容される引出し131の中に位置付けられ得る。引出し131が開いているとき、使用者は、コンテナを洗浄する、空にする、又は交換するために水耕栽培培養液コンテナを取り出すことができる。ポンプ93は、浸漬されていても水源57とインラインでもよく、配給装置67を通して水耕栽培培養液をポンピングする吸入導管133に接続する。例示的な一実施例では、水源57は、槽63に貯蔵された水から得られてもよい。別法として、ポンプ93は、培養液の外に置かれ、配給装置を通して水耕栽培培養液を配給するようにインラインで直接配管されてもよい。吸入ホースは大きい排出ホースの内側を通ってもよく、この排出ホースは、重力により、水耕栽培培養液を槽63に戻るように循環させる。同様に、吸入導管133は槽又は流体源から配給機器67へと流体を移送するチャネルを提供することができ、配給機器67は、作付け支柱5の内部空洞55の上端部47に近接して懸架され得るノズル又は噴霧ヘッドを有してもよい。ノズルは、作付け支柱5の内部空洞55へと延びる根に水溶液を供給することができる。例示的な一実施例では、ノズルは噴霧ノズルでもよい。回転台リングにより、栽培チャンバの上部及び底部に作付け支柱5をマウントすることができる。別法として、作付け支柱5は、機器1の底部15にのみマウントされてもよい。回転台リングは、モータ若しくは任意の他のトルク生成アクチュエータ141によって駆動される軸受又は旋回軸受の内側に配置されるフランジ・ソケットを含んでもよい。
【0024】
吸入ホース133及び排出ホース129は、回転台の内側を通って、システム又は植物を傷める可能性がある、栽培培地及び灌水システム95の損傷を防止する。配給手段67は、フランジ・ブラインド上でねじが切られた穴から取り外されて、使用者が装置を洗浄することを可能にし、それによって機器が完全に分解されないようにすることができる。別の例示的な実施例では、配給手段67は、作付け支柱5の中に、ねじが切られたレシーバを有してもよい。機器の上部と支柱5の上端部の間にガスケット127を使用して、水密封止部を形成してもよい。さらに、植物栽培機器1は水源57に直接接続されてもよく、1つ又は複数の作動可能弁を有し使用する弁システム97を使用して、槽63を指定された水位に保つように自動的に水を加えてもよい。例示的な一実施例では、作付け支柱5は、開かれて使用者がシャフト、ばね荷重軸受を取り外すのを可能にするアクセス可能な軸受によって取外し可能であってもよく、単に軸受の上に置かれており、持ち上げてシステムから取り外されてもよい。
【0025】
配給機器には、水源57から作付け支柱5の内部空洞55に、また水配給機器67に水を移送するように構成される導管65によって水が供給され得る。例示的な一実施例では、導管65は、作付け支柱の内部空洞55内の中心に位置付けられ、作付け支柱の上端部47で終端してもよい。別法として、導管65は、
図3に示すように、エンクロージャ壁部のうちの1つの壁部の内側又は外側に沿って延び、内側上壁部に近接して延び、支柱5の上端部47へと下向きに延びてもよい。作付け支柱5は、作付け支柱5の内部空洞55内の導管65の周りを回転可能な形で構成されてもよい。導管65は、槽63、ポンプ93を含み得る灌水システム95に流体接続されて、水源57から作付け支柱5の内部空洞55内の配給機器67へと水を移送する。例示的な一実施例では、導管65は、支柱の上部から底部へと軸方向に位置付けられて作付け支柱の内部空洞に流体を配給する、1つ又は複数の配給手段を有してもよい。この実施例では、ポンプ及び中心導管は、中心導管の高さ全体に沿って確実に流体が配給されるのに十分な水圧を保つことができる。噴霧耕栽培システムは、植物の根に由来するばらばらなったバイオマスの蓄積物が再循環システム内の噴霧ヘッドを塞ぐことによる故障をしばしば経験する。これは、使用者が機器を分解することなしにオリフィスを洗浄するのを可能にする、取外し可能な中心導管によって解決される。
【0026】
エンクロージャの内側は、1つ又は複数の光源をさらに備えることができる。例示的な一実施例では、光源は複数の発光ダイオード(LED)でもよい。LEDは、エンクロージャの内側に沿って位置決めされてもよい。例示的な一実施例では、LEDは、
図2に示すように、エンクロージャの隅部の垂直支持構造体に沿って延びてもよい。同様に、LEDなどの光源21は、エンクロージャ内の植物に適した光を提供するようにエンクロージャの内側全体を囲んでもよい。先に述べたように、壁部の内側は、エンクロージャの内側全体にわたって光をより効率的に行き渡らせるために反射性であってもよい。内側隅部パネルを使用して、植物栽培機器が、現在の接着性の裏張りとは対照的に垂直支持構造体17又は内側隅部パネルに機械的に締結され得るLEDライト・アレイ21を有するのを可能にすることができる。これにより、長寿命、耐久性、及び生産速度向上が確実になるはずである。さらに、光源は、ヒート・シンクに結合されてもよい。例示的な一実施例では、エンクロージャ3の内側隅部パネルは、容易な組立て、メンテナンス、又は光源21の交換を可能にするために取外し可能であり、並びにヒート・シンクとして機能することができる。さらに、隅部によって形成される空洞は、電線及び他の見かけの悪い電気構成要素を隠して、それらが湿気及び他の環境条件にさらされるのを防ぐことができる。別の実例では、光源21は、開口59内の特定の植物を特に標的するようにある植物のプロファイルの正確な形状及び寸法に向けて標的光度を放射する、一連のプロジェクタであってもよい。メモリ43に記憶されるカメラ・ビジョン・データベースが、カメラ35によって得られたデータから植物のプロファイルを分析するために使用され得る/使用されるはずである。
【0027】
植物栽培機器は、ファン、ブロワ、冷却装置、加湿装置、除湿装置、冷凍装置(refrigeration)、又は任意の空気推進装置の使用によって温度及び湿度を一定の閾値内に保つ、温度及び湿度(TH)システムなどの追加の環境システムも備えることができる。システム73は、ガス注入システムを使用して、CO2又は他のガスを放出し、エンクロージャ内の理想的なCO2レベル又は他のガスのレベルを保つこともできる。システム73は、1つ又は複数の温度センサ、湿度センサ、CO2センサ又は他の環境センサ77に結合されてもよい。同様に、他の環境システムが、数ある中でもとりわけ、ECセンサ83を有する電気伝導度(EC)システム81、pHセンサ87を有するpHシステム85、及びPARセンサ109を有する光合成有効放射(PAR)システム107を含んでもよい。
【0028】
図6に示すように、植物栽培機器1は、電源79を使用してシステムの種々の要素に給電することができる。電源79は、電力網、ソーラー・システムに直接配線されてもよく、バッテリ・システム又は他の給電方法を使用してもよい。例示的な一実施例では、植物栽培機器は、1次電源が動作不能になった場合のために、バッテリ・バックアップなどの2次電源を有してもよい。植物栽培機器は、処理手段41、メモリ43、送受信装置45、及びアンテナを備える制御システム39をさらに備えることができる。制御システム39は、植物を効率的に栽培するように構成される、1つ又は複数のポンプ93、ファン77、THシステム73、灌水システム95、センサ77、光源21、弁システム97、リレー99、ソレノイド101、駆動モータ51などの、植物栽培機器の種々の要素によって通信可能に結合され得る。使用者は、制御システム39に通信可能に結合されたメモリ43上に所定のプログラムを設定することができ、制御システム39は、機器1の種々の環境システム及び構成要素と通信することにより、日、週、又は月を通した1つ又は複数の所定の時間に所望のプログラムを実行することができる。
【0029】
同様に、制御システム39は、エンクロージャ3内の1つ又は複数のセンサを介してリアルタイムに取得された環境データを使用してもよい。これらのセンサには、数ある他のセンサの中でも温度センサ103、相対湿度センサ105、pHセンサ87、電気伝導度センサ83、PARセンサ107、光量子束密度センサ、赤外線カメラ35、スペクトル・イメージングが含まれ得る。これらのセンサは、リアルタイムでエンクロージャ3の内部環境25を監視及び制御するために記憶及び統合することができる。さらに、いくつかの所定のパラメータが、所定のパラメータに応答するように植物栽培機器1の種々の構成要素を作動させる制御システム39に通信可能に結合されるメモリ43に保存されてもよい。一実例には、灌水システム95の弁101及びポンプ93を作動させて、導管65からエンクロージャ内の支柱5の内部空洞55を通って露出した植物の根へと水を配給することが含まれる。同様に、導管65は、配給手段を使用して、内部環境、及び作付け支柱5の外側に露出した葉に湿気を与えることができる。例示的な一実施例では、導管は、支柱の内部空洞55を通り、支柱5の上端部47に近接した配給手段67まで垂直に上方へと伸びてもよい。支柱の下方部49は、水溶液を槽63へと排出できるようにする排水通路125を含んでもよい。排水通路125は、排水導管127に連結されて、水溶液を槽63に導くことができる。
【0030】
さらに、例示的な一実施例では、1つ又は複数のカメラ35がエンクロージャ3内に位置付けられて、個々の作付け開口59の映像データ/画像データを取得することができる。画像データは、その位置を再び埋める新しい植物がいつ必要になるか、又は植物が枯れている/しおれている様子かどうかを決定するために、制御システムによって分析されてもよい。制御システム39は、次いで、使用者のディスプレイ33又はモバイル・デバイスへの警告を開始することができる。制御システム39は、さらに、駆動モータ51に通信可能に結合された駆動モータ・システム、LEDアレイ・スペクトル制御装置、撮像システム112、及びエンクロージャ用の種々のファン75に通信可能に結合されてもよい。いくつかの実施例では、ファン75は、上壁部13及び底壁部15を含めたエンクロージャ3の種々の壁部11に近接して位置付けられてもよい。ファン75は、ファン制御システム53に通信可能に結合されてもよい。いくつかの実施例では、ファン75は、内部環境25が陽圧であるのを可能にするように封止されてもよい。さらに、ファンは、害虫が内部環境25に入ることを防止する防虫システムを有してもよい。制御システム39は、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)・ユニット117とアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)・ユニット119の両方に通信可能に結合されて、植物栽培機器1の様々なシステムからの種々の信号を処理してもよい。
【0031】
ハイパースペクトル撮像カメラ35により、大規模な表現型実験(phenotyping experiment)のために各ユニットが情報を収集することが可能になり得る。カメラ35を使用して、植物内の湿気の不足を検出し、それに応じてポンプ93で水を与えるというフィードバック・ループを作成し、それによって電力消費を減らすことができる。さらに、カメラ35を使用して、栽培している植物の栄養含有量を監視し、メモリ43に記憶された同様のフィードバック・ループ及びアルゴリズムを使用することにより、制御システム39によって配給される培養液の内容を修正することができる。湿気、CO2、及び他の養分の不足のいずれも監視するフィードバック・ループがより反応的(reactionary)であり得るとき、これにより、日常的に故障し定期的に交換又は再較正する必要がある場合があるpHセンサ87及びECセンサ83をシステムが備える必要性を排除することができる。さらに、カメラ35は、RFIDタグ又はバーコード・システムの代わりに使用されて、栽培チャンバの実際の内容物を監視し、それぞれの個々の植物の位置及び健康状態のデータを使用者に提供することができる。アルゴリズム/フィードバック・システムは、植物の枯死、植物の収穫、又は予測される植物の収穫に際し、ディスプレイ33などのインターフェースを使用して、新しい苗を購入するように使用者に指示又は警告するように確立されてもよい。
【0032】
植物栽培機器1の制御システム39は、制御アルゴリズムを使用し、種々の環境システムを使用して、システム内の気体の交換、湿度、点灯サイクル、培養液のpH、培養液の電気伝導度を監視及び調整することができる。各栽培ポッド61にはバーコードが割り当てられて、その特定の植物種についてこれらの変数を分類してもよい。栽培ポッド61が走査され、システム内に配置されると、制御アルゴリズムはシステム内の植物種の組合せに基づいて最適な平均環境変数を決定し、その選好を実現するように環境を調整することができる。同様に、制御システム39は、ガス・システム89、ECシステム81、pHセンサ・システム85、撮像システム113、PARセンサ・ユニット107、及びTHシステム73を含むがこれらに限定されない機器1の種々のシステムによって得られたデータを取得及び記憶することができる。これらのシステムによって得られたデータに基づいて、制御システム39は、機器1内の個々の植物について植物の健康状態を決定し、並びにエンクロージャ3内のすべての植物の平均的な植物健康状態を決定することができる。制御システム39は、1つ又は複数のアルゴリズムを使用して、種々の他のシステムへのコマンドを実装してエンクロージャ3内の内部環境25を変更し、それによって植物からよりよい栽培環境を提供することができる。これらのシステムには、エンクロージャ3内の内部環境25の変化をもたらす、ファン制御システム74、ステッピング・モータ・システム11、灌水システム95、弁システム97、及び光スペクトル制御システム114が含まれてもよい。
【0033】
同様に、栽培ポッド61は、チャンバ内の種々の植物のタイプ及び位置を追跡するために、種々のタイプのタグを使用してもよい。例示的な一実施例では、種子ポッドは、エンクロージャ3内の植物のタイプ及び位置を追跡するために、無線自動識別(RFID)タグを有してもよい。個々のポッド61を受け入れる対応開口/ポート59は、ポッドのタグを読み取る読取り装置を有してもよい。これらには、数ある読取り装置の中でもバーコード読取り装置及びRFID読取り装置が含まれ得る。栽培ポッド61は、任意の適した寸法又は形状でもよい。
図4A~
図4Cに示す例示的な一実施例では、ポッド61は、連結締結手段71を有する上部リム121を有することができる。ポッド61は、穴が開けられ得る下方部123も有して、根の成長がポッド61の下方部123から延びるのを可能にすることができる。例示的な一実施例では、
図4Cに示すように、ポッド61の少なくとも一部は作付け支柱5の内部空洞55へと延びることができる。
【0034】
角錐の設計を有する、使用されるポッド61の別の例示的な実施例では、同様に、作付け支柱は、ポッド61を受ける対応する開口59の形状を有することができる。作付け支柱のレシーバ・ポートにより、苗を作付けする、角錐ベースの再使用可能な苗ポッドをシステムに直接入れることが可能になり得る。非円形の設計により、苗のポッドがしっかりと配置されることが確実となり、作付け支柱59からの起こり得る落下が防止される。角錐の設計は、作付け支柱のアパーチャ内でしっかりと定位置にポッド61を保持する助けとなる場合があり、またポッド61が回転する、又は開口59から落下するのを抑えるのに役立つ。
【0035】
例示的な一実施例では、角錐61の底部は、アパーチャを備えた実質的に平面の底部を有してもよい。このアパーチャは、根の成長を可能にし、促進するのに十分な大きさであるが、苗がそこを通って作付け支柱の内側に落下しないようにするのに十分な小ささのサイズに構成され得る。ポッドは、栽培培地とともに、又は栽培培地なしで使用することができる。さらに、
図4Bに示すように、作付けポッドの例示的な一実施例は、円形の上端部を有してもよい。この上端部は、ポッドと作付け支柱をしっかりと係合させるために使用される係合機構をさらに備えてもよい。一実施例では、係合機構は、ポッドを作付け支柱の対応する磁石に連結させる磁石でもよい。1つ又は複数の磁石が利用されてもよい。例示的な一実施例では、1つ又は複数の磁石は、ポッドの上端部の裏面に位置付けられてもよい。
【0036】
作付け支柱5は、
図1~
図4に示す円形の構成、又は
図5A~DDに示すらせん状の作付け支柱5の構成などの、種々の構成を有してもよい。
図5A~5Dに示すように、本発明の例示的な一実施例では、回転作付け支柱の形状はらせん状でもよい。円筒形の作付け支柱と同様に、らせん状作付け支柱は、主にらせん状の構成の内部空洞55を有することができる。内部空洞55により、水溶液の流れが空洞及びポッド61との界面を通って流れることが可能になり得る。いくつかの実施例では、内部空洞は垂直に構成され、噴霧機能を使用して内部空洞55内に水を含ませることができる。他の例示的な実施例では、内部空洞55は、重力を用いて水が流れる流路を形成することができる。この回転式の培養液水耕栽培らせん体により、水溶液を供給する中心導管65内で詰まりが発生する可能性を抑えながら、植物が十分な培養液を受け取ることが可能になり得る。水は、中心導管を通って支柱5の上端部47へと上方にポンピングされ得る。次いで、水は、支柱5の下方部に近接した排水開口125を通って槽63へと戻るまで、重力を用いてらせん状内部空洞55を下向きに流れ、そこで、溶液は支柱5の上端部47に戻るように上向きにポンピングされ得る。内部空洞55は、らせん状の流路に形成されて、水が内部空洞55を通って絶えず流れ、開口59に位置決めされた植物に養分豊富な溶液を供給するのを可能にする。再循環プロセスは、適切な養分及び水が植物に供給されるまで、手動で、又は制御システム39からの機械学習に基づいて、所定の期間継続することができる。らせん状支柱5は、端部でフランジ・ブラインドに取り付けられて、水密封止を引き続き保つ、取外し可能なタワーを形成することができる。さらに、らせん状の形状により、らせん状支柱を通して水を分配するために低圧ポンプ93を使用するのを可能にすることができ、場合によっては詰まり及び機能の低下を生じさせることがある噴霧用高圧ポンプの必要性をなくすことができる。また、らせん状支柱5では、効率が高まり、従来の水耕栽培/噴霧耕栽培システムで起こり得るいかなる詰まりの問題もほぼ解消される。さらに、らせん状の設計は、薄膜技法を使用する作付け支柱上で使用できる植物の数の効率を最大化する助けとなる場合があり、空間のより効率的な使用を可能にする。同様に、作付け支柱は、さらに、エンクロージャの外側、及び屋外環境で使用することもできる。例示的な一実施例では、作付け支柱は、風、内燃機関、又は任意の他の熱サイクルなどの電源によって給電されるタービンに取り付けられてもよい。
【0037】
本出願は、本主題の適合形態又は変形形態を含むことを意図している。上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を、こうした特許請求の範囲が得る権利のある法的均等物の範囲全体とともに参照して決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側及び外側を有するエンクロージャであって、前記エンクロージャの前記内側が、前記エンクロージャ内の所定の内部環境を保つように構成される、エンクロージャと、
1つ又は複数の光源と、
そこを通って形成される空洞を有する作付け支柱と、
前記作付け支柱の下方部に結合され、前記エンクロージャ内で前記作付け支柱を回転させるように構成される、駆動モータと、
取外し可能な貯水槽と、
中心導管であって、前記導管が、前記作付け支柱の前記アパーチャを通って延び、前記作付け支柱が、前記中心導管の周りを回転可能に動くことができるように構成される、中心導管と、
水源と、
少なくとも1つのセンサと、
灌水システムと、
前記灌水システム、1つ又は複数の前記センサ、前記光源、及び前記駆動モータに通信可能に結合されるように構成される制御システムと
を備える、植物栽培機器。
【外国語明細書】