(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159109
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】抗CD8抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20231024BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231024BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231024BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231024BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231024BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231024BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231024BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12N15/13 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023123230
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2020507096の分割
【原出願日】2018-08-10
(31)【優先権主張番号】62/544,671
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/597,337
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イボンヌ エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ユージーン ユイ-チョアン
(72)【発明者】
【氏名】グローガン, ジェーン ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, サイモン‐ピーター
(72)【発明者】
【氏名】アルバート, マシュー ローレンス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インビボでCD8
+細胞の量及び時間の分布の変化をモニタリングするための方法及び試薬を提供する。
【解決手段】ヒトCD8と結合し、CD8
+T細胞の活性化を刺激または阻害しない、抗CD8抗体が、提供される。そのような抗CD8抗体をコードする核酸、そのような核酸を含むベクター、それを含む宿主細胞、及びそのような抗CD8抗体を作製する方法もまた、提供される。検出可能な標識にコンジュゲートした抗CD8抗体もまた、提供される。対象におけるCD8
+T細胞を検出し、がんに罹患している対象において疾患進行をモニタリングし、がんに罹患している対象において治療進行をモニタリングするために、そのような抗CD8抗体を使用する方法が、提供される。
【選択図】
図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD8と結合し、かつCD8+T細胞の活性化を刺激または阻害しない、抗CD8抗体。
【請求項2】
CD8+T細胞増殖を誘導しない、請求項1に記載の抗CD8抗体。
【請求項3】
CD8+T細胞によるIFN-γ産生を誘導しない、請求項1または2に記載の抗CD8抗体。
【請求項4】
CD4+T細胞と結合しない、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項5】
CD3-細胞と結合しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項6】
循環からCD8+T細胞を枯渇させない、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項7】
前記抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項8】
前記抗体が、一価抗体である、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項9】
前記一価抗体が、第1のFcドメインを含む抗体重鎖、抗体軽鎖、及び第2のFcドメインを含み、前記抗体重鎖が、前記抗体軽鎖と対合し、前記第1のFcドメイン及び前記第2のFcドメインが、二量体を形成する、請求項8に記載の抗CD8抗体。
【請求項10】
前記第1のFcドメインが、空洞を含み、前記第2のFcドメインが、前記第1のFcドメイン内の前記空洞に配置可能である突起部を含む、請求項9に記載の抗CD8抗体。
【請求項11】
前記第1のFcドメインが、T366S、L358A、及びY407V変異を含み、前記第2のFcドメインが、T366W変異を含み、前記アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される、請求項10に記載の抗CD8抗体。
【請求項12】
前記第2のFcドメインが、空洞を含み、前記第1のFcドメインが、前記第2のFcドメイン内の前記空洞に配置可能である突起部を含む、請求項9に記載の抗CD8抗体。
【請求項13】
前記第1のFcドメインが、T366W変異を含み、前記第2のドメインが、T366S、L358A、及びY407V変異を含み、前記アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される、請求項12に記載の抗CD8抗体。
【請求項14】
ヒトIgG抗体である、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗CD8抗体/方法。
【請求項15】
前記ヒトIgG抗体が、IgG1抗体である、請求項14に記載の抗CD8抗体。
【請求項16】
前記第1及び第2のFcドメインが、L234A及びL235A変異を含む、請求項9~13及び15に記載の抗CD8抗体。
【請求項17】
前記第1及び第2のFcドメインが、それぞれ、P329G変異を含む、請求項15または16に記載の抗CD8抗体。
【請求項18】
約10nM未満のKDでヒトCD8に結合する、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項19】
約200nM未満のKDを有するカニクイザルCD8に結合する、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項20】
約200nM未満のKDでアカゲザルCD8に結合する、請求項1~19のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項21】
マウスCD8またはラットCD8と結合しない、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項22】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項23】
抗CD8抗体であって、
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、前記抗CD8抗体。
【請求項24】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項25】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項26】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項27】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項28】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項29】
前記抗CD8抗体が、
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項30】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項31】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または
(1)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項32】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項33】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項34】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項35】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項36】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項37】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項38】
(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び
(1)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項39】
配列番号14、16、18、20、22、24、及び26のいずれか1つに記載される重鎖可変ドメイン、ならびに/または
配列番号15、17、19、21、23、25、及び27のいずれか1つに記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項22または23に記載の抗CD8抗体。
【請求項40】
配列番号14、16、18、20、22、24、及び26のいずれか1つに記載される重鎖可変ドメイン、ならびに
配列番号15、17、19、21、23、25、及び27のいずれか1つに記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項41】
配列番号14に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号15に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項42】
配列番号16に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号17に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項43】
配列番号18に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号19に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項44】
配列番号20に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号21に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項45】
配列番号22に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号23に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項46】
配列番号24に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号25に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項47】
配列番号26に記載される重鎖可変ドメイン、及び
配列番号27に記載される軽鎖可変ドメインを含む、請求項24に記載の抗CD8抗体。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか1項に記載の抗CD8抗体をコードする、単離核酸。
【請求項49】
請求項48に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項50】
請求項48に記載の核酸または請求項49に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項51】
請求項1~47のいずれか1項に記載の抗CD8抗体を作製する方法であって、
a)前記抗体が産生される条件下で、請求項49に記載の宿主細胞を培養することと、
b)前記宿主細胞によって産生される前記抗CD8抗体を回収することと、を含む、前記方法。
【請求項52】
前記宿主細胞が、真核細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記真核細胞が、CHO細胞である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記宿主細胞が、原核細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記原核細胞が、E.coli細胞である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体が、リンカーを含む、請求項1~47のいずれか1項に記載の抗CD8抗体。
【請求項57】
前記リンカーが、N-スクシニル-デスフェリオキサミンである、請求項56に記載の抗CD8抗体。
【請求項58】
標識にコンジュゲートされる、請求項1~47及び56~57のいずれか一項に記載の抗CD8抗体。
【請求項59】
前記標識が、蛍光色素、放射性核種または酵素である、請求項58に記載の抗CD8抗体。
【請求項60】
前記標識が、放射性核種である、請求項59に記載の抗CD8抗体。
【請求項61】
前記放射性核種が、89Zr、18F、64Cu、または124Iである、請求項60に記載の抗CD8抗体。
【請求項62】
対象におけるCD8+細胞を検出する方法であって、
a)前記対象に、請求項58に記載の標識された抗CD8抗体を投与することと、
b)前記対象におけるCD8+細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含み、前記結合の検出が、CD8+細胞の存在を示す、前記方法。
【請求項63】
前記対象におけるCD8+細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合の検出が、前記対象においてCD8+細胞を画像化することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記対象におけるCD8+細胞の画像化が、前記対象に陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記CD8+細胞が、CD8+T細胞である、請求項62~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、ヒトまたは非ヒト霊長類である、請求項62~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記非ヒト霊長類が、カニクイザルまたはアカゲザルである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、ヒトである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、がんを有する、請求項62~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
がんに罹患している対象の免疫療法またはがんワクチンに対する応答性を予測する方法であって、
a)前記対象に、請求項58に記載の標識された抗CD8抗体を投与することと、
b)前記対象における腫瘍組織中のCD8+T細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含み、前記結合の検出が、前記対象が前記免疫療法または前記がんワクチンに応答する可能性が高いことを示す、前記方法。
【請求項71】
前記対象の前記腫瘍組織中のCD8+T細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合の検出が、前記対象において前記CD8+T細胞を画像化することを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記対象における前記CD8+T細胞の画像化が、前記対象に陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
(c)前記結合が検出されている前記対象に治療上有効量の免疫治療剤またはがんワクチンを投与するステップをさらに含む、請求項70~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
がんに罹患している対象における疾患進行をモニタリングする方法であって、
a)前記対象に、請求項58に記載の前記標識された抗CD8抗体を投与することと、
b)第1の時点及び第2の時点で、前記対象における前記腫瘍組織中のCD8+T細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む、前記方法。
【請求項75】
前記対象における前記腫瘍組織中のCD8+T細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合の検出が、前記対象において前記CD8+T細胞を画像化することを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象における前記CD8+T細胞の画像化が、前記対象において陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
(c)前記対象に、治療上有効量の免疫治療剤またはがんワクチンを投与するステップをさらに含み、前記第2の時点での前記腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルが、前記第1の時点での前記腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルよりも高い、請求項74~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
免疫治療剤またはがんワクチンを有するかまたはそれを受けているがんに罹患している対象における治療進行をモニタリングする方法であって、
i)前記対象に、請求項58に記載の標識された抗CD8抗体を前記免疫治療剤または前記がんワクチンと併せて投与することと、
ii)第1の時点及び第2の時点で、前記腫瘍組織中のCD8+T細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む、前記方法。
【請求項79】
前記対象における前記腫瘍組織中のCD8+T細胞への前記標識された抗CD8抗体の結合の検出が、前記対象においてCD8+T細胞を画像化することを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記対象における前記CD8+T細胞の画像化が、前記対象において陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記標識された抗CD8抗体が、前記免疫治療剤または前記がんワクチンの前に投与され、前記第1の時点が、前記標識された抗CD8抗体の投与後及び前記免疫治療剤または前記がんワクチンの投与前であり、前記第2の時点が、前記免疫治療剤または前記がんワクチンの投与後である、請求項78~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記免疫治療剤または前記がんワクチンが、前記標識された抗CD8抗体の前に投与され、前記第1の時点が、前記免疫治療剤または前記がんワクチンの投与後及び前記標識された抗CD8抗体の投与後であり、前記第2の時点が、前記第1の時点の後である、請求項78~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記免疫治療剤が、前記対象に投与される、請求項73、77、及び78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記免疫治療剤が、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗TIGIT抗体、TIGITアンタゴニスト、抗CSF-1R抗体、抗CSF-1Rアンタゴニスト、抗CEA抗体、抗CEAアンタゴニスト、抗CTLA4抗体、CTLA4アンタゴニスト、抗OX40抗体、またはOX40アゴニストである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記免疫治療剤が、抗PD-L1抗体である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
請求項に記載の方法、及び前記抗PD-L1抗体が、1つ以上の治療剤と組み合わせて投与される。
【請求項87】
前記1つ以上の治療剤が、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Zelboraf(登録商標)(ベムラフェニブ)、Gazyva(登録商標)(オビヌツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Cotellic(登録商標)(コビメチニブ)、Zelboraf(登録商標)及びCotellic(登録商標)、Alecensa(登録商標)(アレクチニブ)、Kadcyla(登録商標)(アド-トラスツズマブエムタンシン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Perjeta(登録商標)(ペルツズマブ)、ポラツズマブ、INF-アルファ、抗CD40剤、抗OX40抗体、OX40アゴニスト、抗CSF-1R抗体、抗CEA抗体、IDO阻害剤、または抗TIGIT抗体である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記免疫治療剤が、CD3と特異的に結合する二重特異性抗原結合分子である、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記二重特異性抗原結合分子が、抗体またはその抗原結合断片である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記免疫治療剤が、CD16と特異的に結合する二重特異性抗原結合分子である、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記二重特異性抗原結合分子が、抗体またはその抗原結合断片である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記二重特異性抗原結合分子が、CD16Aと特異的に結合する、請求項90または91に記載の方法。
【請求項93】
前記がんワクチンが、前記対象に投与される、請求項66、68、及び70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記がんワクチンが、個人用がんワクチン(PCV)である、請求項79に記載の方法。
【請求項95】
免疫治療剤による治療に対する応答性と関連する腸内の微生物菌株を特定する方法であって、
a)がんに罹患している対象の集団から腸内の微生物叢試料を得ることであって、この集団が、前記免疫治療剤による治療に対して応答性がある対象及び前記免疫治療剤による治療に対して応答性がない対象を含む、得ることと、
b)前記治療に対して応答性がある前記対象の前記腸内の微生物叢試料及び前記治療に対して応答性がない前記対象の前記腸内の微生物叢試料を分析することと、
c)前記治療に対して応答性がある前記対象と関連する腸内の微生物菌株を特定することと、を含み、応答性が、前記対象における腫瘍組織中のCD8+T細胞への請求項58に記載の標識された抗CD8抗体の結合を検出することによって決定され、前記結合の検出が、前記対象が前記免疫治療剤に応答性があることを示す、前記方法。
【請求項96】
前記免疫治療剤に対する応答性と関連する腸内の微生物菌株を含む微生物叢ベースの薬物を調製することをさらに含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記免疫治療剤が、抗PD-1抗体である、請求項95または96に記載の方法。
【請求項98】
前記免疫治療剤が、抗PD-L1抗体である、請求項95または96に記載の方法。
【請求項99】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
免疫治療剤に対して応答性がないまたは前記免疫治療剤に対して応答性がないことが予測される対象においてがんを治療する方法であって、
a)前記対象に、前記免疫治療剤に対する患者の応答性と関連する腸内の微生物菌株を含む微生物叢ベースの薬物を投与することと、
b)前記対象に、前記免疫治療剤を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項101】
免疫治療剤に対して応答性がないまたは前記免疫治療剤に対して応答性がないことが予測される対象におけるがんを治療する方法であって、
a)患者の応答性と関連する腸内の微生物菌株を使用して、前記対象において糞便微生物移植(FMT)を実施することと、
b)前記対象に、前記免疫治療剤を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項102】
前記免疫治療剤が、抗PD-1抗体である、請求項100または101に記載の方法。
【請求項103】
前記免疫治療剤が、抗PD-L1抗体である、請求項100または101に記載の方法。
【請求項104】
前記抗PD-L1抗体がアテゾリズマブである、請求項103に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月11日に出願された米国仮特許出願第62/544,671号及び2017年12月11日に出願された同第62/597,337号の利益を主張し、当該出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、インビボでCD8+T細胞を画像化するための抗CD8抗体及びそのような抗体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍組織中の免疫細胞の数、タイプ、及び空間分布の特性評価は、がんの診断、予後、療法選択、及び療法への応答に関する極めて重要な情報を提供することができる。具体的には、CD8+細胞毒性リンパ球は、様々ながんにおける診断上及び予後診断上で意義を有することが一貫して報告されている。CD8+細胞を検出する現行の方法は、末梢血からの細胞または対象となる組織の単離を必要とする。このようなサンプリング法はエラーが生じやすく、インビボでCD8+細胞の数、局在化、及び移動に反映する動的情報を提供しない。インビボで免疫細胞を検出するための1つの例示的な非侵襲的方法は、放射性標識トレーサーを使用する陽電子放出断層撮影(PET)である。しかしながら、そのようなトレーサーの使用は、インビボでプローブの希釈をもたらす、放射性同位体の半減期及び細胞分裂によって制限される。したがって、当該技術分野には、インビボでCD8+細胞の量及び時間の分布の変化をモニタリングするための方法及び試薬に対する必要性が残されている。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、ヒトCD8と結合し、かつCD8+T細胞の活性化を刺激または阻害しない抗CD8抗体が、本明細書で提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、CD8+T細胞の増殖を誘導しない。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、CD8+T細胞によるIFN-γ産生を誘導しない。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、CD4+T細胞と結合しない。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、CD3-細胞と結合しない。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、循環からCD8+T細胞を枯渇させない。
【0005】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、一価抗体は、第1のFcドメインを含む抗体重鎖、抗体軽鎖、及び第2のFcドメインを含み、抗体重鎖は、抗体軽鎖と対合し、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、二量体を形成する。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、第1のFcドメインは、空洞を含み、第2のFcドメインは、第1のFcドメイン内の空洞に配置可能である突起部を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、第1のFcドメインは、T366S、L358A、及びY407V変異を含み、第2のFcドメインは、T366W変異を含み、ここでアミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、第2のFcドメインは、空洞を含み、第1のFcドメインは、第2のFcドメイン内の空洞に配置可能である突起部を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、第1のFcドメインは、T366W変異を含み、第2のドメインは、T366S、L358A、及びY407V変異を含み、ここでアミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、ヒトIgG抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、ヒトIgG抗体は、IgG1抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、第1及び第2のFcドメインは、L234A及びL235A変異を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、第1及び第2のFcドメインは、それぞれ、P329G変異を含む。
【0006】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、約10nM未満のKDでヒトCD8に結合する。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、約200nM未満のKDでカニクイザルCD8に結合する。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、約200nM未満のKDでアカゲザルCD8に結合する。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、マウスCD8またはラットCD8と結合しない。
【0007】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。
【0008】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4~8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメイン、及び/または(1)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインを含む。
【0009】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(1)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(2)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(3)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、を含む、重鎖可変ドメインと、(1)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(2)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(3)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、軽鎖可変ドメインと、を含む。
【0010】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号14、16、18、20、22、24、及び26のうちのいずれか1つに記載の重鎖可変ドメイン、及び/または配列番号15、17、19、21、23、25、及び27のうちのいずれか1つに記載の軽鎖可変ドメインを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号14、16、18、20、22、24、及び26のうちのいずれか1つに記載の重鎖可変ドメインと、配列番号15、17、19、21、23、25、及び27のうちのいずれか1つに記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号14に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号15に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号16に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号17に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号18に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号19に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号20に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号21に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号22に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号23に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号24に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号25に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号26に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号27に記載の軽鎖可変ドメインと、を含む。
【0011】
ある特定の実施形態において、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)抗CD8抗体をコードする単離核酸が、提供される。ある特定の実施形態において、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)核酸を含む発現ベクターが、提供される。ある特定の実施形態において、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)核酸または発現ベクターを含む宿主細胞が、提供される。
【0012】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)抗CD8抗体を作製する方法であって、a)上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)宿主細胞を、抗体の産生に好適な条件下で培養することと、b)宿主細胞によって産生される抗CD8抗体を回収することと、を含む、方法もまた、提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞は、真核細胞である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、真核細胞は、CHO細胞である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、宿主細胞は、原核細胞である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、原核細胞は、E.coli細胞である。
【0013】
上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、リンカーを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、リンカーは、デスフェリオキサミン化合物(例えば、N-スクシニル-デスフェリオキサミン)である。ある特定の実施形態において、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)抗CD8抗体は、標識にコンジュゲートされる。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、リンカーを介して標識にコンジュゲートされる。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、標識は、蛍光色素、放射性核種、または酵素である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、標識は、放射性核種である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、放射性核種は、89Zr、18F、64Cu、または124Iである。
【0014】
対象におけるCD8+細胞を検出する方法であって、a)対象に、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)標識された抗CD8抗体を投与することと、b)対象におけるCD8+細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含み、結合の検出は、CD8+細胞の存在を示す、方法が、提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象におけるCD8+細胞への標識された抗CD8抗体の結合の検出は、対象におけるCD8+細胞を画像化することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象におけるCD8+細胞の画像化は、対象における陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、CD8+細胞は、CD8+T細胞である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、非ヒト霊長類は、カニクイザルまたはアカゲザルである。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象は、がんに罹患している。
【0015】
がんに罹患している対象の免疫療法またはがんワクチンへの応答性を予測する方法であって、a)対象に、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)標識された抗CD8抗体を投与することと、b)対象の腫瘍組織におけるCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含み、結合の検出は、対象が免疫療法またはがんワクチンに対して応答する可能性が高いことを示す、方法が、提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象の腫瘍組織におけるCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合の検出は、対象におけるCD8+T細胞を画像化することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象におけるCD8+T細胞の画像化は、対象に陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、(c)結合が検出されている対象に、治療上有効量の免疫治療剤またはがんワクチンを投与するステップをさらに含む。
【0016】
がんに罹患している対象における疾患進行をモニタリングする方法であって、a)対象に、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)標識された抗CD8抗体を投与することと、b)第1の時点及び第2の時点で、対象の腫瘍組織におけるCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む、方法もまた、提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象の腫瘍組織におけるCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合の検出は、対象におけるCD8+T細胞を画像化することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象におけるCD8+T細胞の画像化は、対象に陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、(c)対象に、治療上有効量の免疫治療剤またはがんワクチンを投与するステップをさらに含み、第2の時点での腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、第1の時点での腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルよりも高い。
【0017】
免疫治療剤またはがんワクチンを有するかまたはそれを受容している対象における治療進行をモニタリングする方法であって、i)免疫治療剤またはがんワクチンと併せて対象に、上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)標識された抗CD8抗体を投与することと、ii)第1の時点及び第2の時点で腫瘍組織におけるCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む、方法が、提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象の腫瘍組織におけるCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合の検出は、対象におけるCD8+T細胞を画像化することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、対象におけるCD8+T細胞の画像化は、対象に陽電子放出断層撮影(PET)スキャンまたは陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャンを実施することを含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、標識された抗CD8抗体は、免疫治療剤またはがんワクチンの前に投与され、第1の時点は、標識された抗CD8抗体の投与後及び免疫治療剤またはがんワクチンの投与前であり、第2の時点は、免疫治療剤またはがんワクチンの投与後である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤またはがんワクチンは、標識された抗CD8抗体の前に投与され、第1の時点は、免疫治療剤またはがんワクチンの投与後及び標識された抗CD8抗体の投与後であり、第2の時点は、第1の時点の後である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、対象に投与される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、抗PDL1抗体、抗PD1抗体、抗TIGIT抗体、TIGITアンタゴニスト、抗CSF-1R抗体、抗CSF-1Rアンタゴニスト、抗CEA抗体、抗CEAアンタゴニスト、抗CTLA4抗体、CTLA4アンタゴニスト、抗OX40抗体、またはOX40アゴニストである。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、抗PD-L1抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、1つ以上の治療剤と組み合わせて投与される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、1つ以上の治療剤は、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Zelboraf(登録商標)(ベムラフェニブ)、Gazyva(登録商標)(オビヌツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Cotellic(登録商標)(コビメチニブ)、Zelboraf(登録商標)及びCotellic(登録商標)、Alecensa(登録商標)(アレクチニブ)、Kadcyla(登録商標)(アド-トラスツズマブエムタンシン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Perjeta(登録商標)(ペルツズマブ)、ポラツズマブ、INF-アルファ、抗CD40剤、抗OX40抗体、OX40アゴニスト、抗CSF-1R抗体、抗CEA抗体、IDO阻害剤、または抗TIGIT抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、CD3と特異的に結合する二重特異性抗原結合分子である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、二重特異性抗原結合分子は、抗体またはその抗原結合断片である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、CD16と特異的に結合する二重特異性抗原結合分子である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、二重特異性抗原結合分子は、抗体またはその抗原結合断片である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、二重特異性抗原結合分子は、CD16Aと特異的に結合する。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、がんワクチンは、対象に投与される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、がんワクチンは、個人用がんワクチン(PCV)である。
【0018】
免疫治療剤による治療に対する応答性と関連する腸内の微生物菌株を特定する方法であって、a)がんに罹患している対象の集団から腸内の微生物叢試料を得ることであって、この集団が、免疫治療剤による治療に対して応答性がある対象及び免疫治療剤による治療に対して応答性がない対象を含む、得ることと、b)治療に対して応答性がある対象の腸内の微生物叢試料及び治療に対して応答性がない対象の腸内の微生物叢試料を分析することと、c)治療に対して応答性がある対象と関連する腸内の微生物菌株を特定することと、を含み、応答性が、対象における腫瘍組織中のCD8+T細胞への上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)標識された抗CD8抗体の結合を検出することによって決定され、結合の検出は、対象が免疫治療剤に応答性があることを示す、方法が、本明細書で提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、本方法は、免疫治療剤に対する応答性と関連する腸内の微生物菌株を含む微生物叢ベースの薬物を調製することをさらに含む。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、抗PD-1抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、抗PD-L1抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0019】
免疫治療剤に対して応答性がないまたは免疫治療剤に対して応答性がないことが予測される対象におけるがんを治療する方法であって、a)対象に、免疫治療剤に対する患者の応答性と関連する腸内の微生物菌株を含む微生物叢ベースの薬物を投与することと、b)対象に、免疫治療剤を投与することと、を含む、方法もまた、提供される。免疫治療剤に対して応答性がないまたは免疫治療剤に対して応答性がないことが予測される対象におけるがんを治療する方法であって、a)患者の応答性と関連する腸内の微生物菌株を使用して、対象における糞便微生物移植(FMT)を実施することと、b)対象に、免疫治療剤を投与することと、を含む、方法が、さらに提供される。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、抗PD-1抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、抗PD-L1抗体である。上記の実施形態のうちのいずれかに従う(またはそれに適用される)ある特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ノブ・イン・ホール変異及びLALAPGエフェクター機能変異を含むワンアームド抗CD8抗体の例示的な概略図を提供する。
【
図2A】ヒトCD8(配列番号32)、アカゲザルCD8(配列番号31)、及びカニクイザルCD8(配列番号32)のアミノ酸配列のアライメントを提供する。
【
図2B】huOKT8.v11が組換えヒトCD8、アカゲザルCD8、またはカニクイザルCD8を発現するCHO細胞に結合することができるかどうかを決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図3A】OKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)の存在下での、抗CD3を介したポリクローナルT細胞の刺激に対するCD8
+T細胞応答を評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図3B】OKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)の存在下での、抗CD3を介したポリクローナルT細胞の刺激に対するCD8
+T細胞のIFN-ガンマ応答を評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図3C】破傷風トキソイド刺激後のOKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)の存在下で、CD8
+T細胞の増殖を評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図3D】破傷風トキソイド刺激後のOKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)と共にインキュベートされたCD8
+T細胞のCD25発現のレベルを評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図3E】OKT8.v11-OA-LALAPGが循環からCD8
+T細胞を枯渇させるかどうかを決定するために実施された実験の結果を提供する。
【
図3F】OKT8.v11-OAがCD4
+T細胞またはCD3
-T細胞と結合するかどうかを決定するために実施されたFACS実験の結果を提供する。
【
図4A】OKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)の存在下での、抗CD3を介したポリクローナルT細胞の刺激に対するCD4
+T細胞応答を評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図4B】OKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)の存在下での、抗CD3を介したポリクローナルT細胞の刺激に対するCD4
+T細胞のIFN-ガンマ応答を評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図4C】破傷風トキソイド刺激後のOKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)の存在下での、CD4
+T細胞の増殖を評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図4D】破傷風トキソイド刺激後のOKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OA(アイソタイプ対照)と共にインキュベートされたCD4
+T細胞のCD25発現のレベルを評価するために実施された実験の結果を提供する。
【
図5A】HPB-ALL-またはDaudi-異種移植マウスの血液プール中に存在する
89Zr-huOKT8.v1-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図5B】HPB-ALL-またはDaudi-異種移植マウスの腫瘍組織に存在する
89Zr-huOKT8.v1-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図6A】HPB-ALL-異種移植マウスの血液プール中の
89Zr-huOKT8.v1-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図6B】HPB-ALL-異種移植マウスの腫瘍組織によって取り込まれた
89Zr-huOKT8.v1-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図6C】
89Zr-huOKT8.v1-OAを注射したHPB-ALL腫瘍異種移植マウスのPET MIPを示す。PETスキャンは、注射してから5日目に行われた。
【
図7A】HPB-ALL-異種移植マウスの血液プール中の
89Zr-huOKT8.v9-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図7B】HPB-ALL-異種移植マウスの腫瘍組織によって取り込まれた
89Zr-huOKT8.v1-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図8A】HPB-ALL-異種移植マウスの腫瘍組織及び血液プール(心臓含有量)中に存在する
89Zr-OA-CD8-FvFcの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図8B】
89Zr-OA-CD8-FvFcで注射してから0日目、1日目、2日目、及び5日目の、HPB-ALL腫瘍異種移植マウスのPET MIPを示す。
【
図9A】100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウスの血液プール中の
89Zr-huOKT8.v11-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図9B】100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウスにおける腫瘍組織によって取り込まれた
89Zr-huOKT8.v11-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図9C】100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウスの腎臓組織によって取り込まれた
89Zr-huOKT8.v11-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図9D】100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウスの肝臓組織によって取り込まれた
89Zr-huOKT8.v11-OAまたは
89Zr-gD-OAの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図9E】
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
89Zr-gD-OAを注射した100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウスのPET画像を提供する。PETスキャンは、注射してから7日目に行われた。
【
図10A】PF382-異種移植ヌードマウスまたはSCIDマウスの腫瘍組織によって取り込まれた
89Zr-OA-CD8-FvFcの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図10B】PF382-異種移植ヌードマウスまたはSCIDマウスからの血液プール中の
89Zr-OA-CD8-FvFcの量を決定するために実施された実験の結果を示す。
【
図11A】異種移植マウスにおけるHPB-ALL、PF382、TALL-1、及びDaudi腫瘍内の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGの取り込みの直接比較を提供する。
【
図11B】異種移植マウスにおけるHPB-ALL、PF382、TALL-1、及びDaudi腫瘍内の
89Zr-gD-OAの取り込みの直接比較を提供する。
【
図11C】HPB-ALL、PF382、TALL-1、またはDaudi腫瘍異種移植片を担持するマウスからの血液プール中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGの量の直接比較を提供する。
【
図11D】HPB-ALL、PF382、TALL-1、またはDaudi腫瘍異種移植片を担持するマウスからの血液プール中の
89Zr-gD-OAの量の直接比較を提供する。
【
図12】
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
124I-huOKT8.v11-OA-LALAPGが、HBP-ALL-異種移植マウスにおけるCD8
+腫瘍組織中で検出可能であるかどうかを評価するために実施された実験の結果を示す。
【
図13】Aは、2mg/mgの
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGを投与してから7日目のアカゲザルのPET MIP画像を示す。Bは、
89Zr-gD-OAを投与してから7日目のアカゲザルのPET MIP画像を示す。
【
図14】Aは、0.05mg/kgの
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGを投与してから5日目のカニクイザルのPET MIP画像を示す。Bは、0.23mg/kgの
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGを投与してから5日目のカニクイザルのPET MIP画像を示す。Cは、0.33mg/kgの
89Zr-gD-OAを投与してから3日目のカニクイザルのPET MIP画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ヒトCD8に特異的と結合するが、CD8+T細胞を活性化または枯渇させず、CD8+T細胞の増殖を誘導することもなく、IFNγ産生を刺激することもない、抗CD8抗体(ワンアームド抗体を含む)が、本明細書で提供される。このような抗CD8抗体は、アカゲザル及びカニクイザルなどの非ヒト霊長類においてCD8を結合することができる。これらの特性のうちの1つ以上を有する抗CD8抗体は、CD8+細胞(例えば、CD8+T細胞)の存在、局在化、及び/または量を検出するために有用であり得る。インビボでCD8+T細胞を検出するための方法において抗CD8抗体を使用する方法が、提供される。免疫治療剤による治療に対するがんに罹患している対象の応答性を予測する方法において本明細書で抗CD8抗体を使用する方法もまた、提供される。さらに、免疫治療剤による治療を受けている、がんに罹患している対象における疾患進行及び/または治療進行をモニタリングするための本明細書で抗CD8抗体を使用する方法が、提供される。
【0022】
定義
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性、すなわち、CD8(ヒトCD8、カニクイザルCD8、及び/またはアカゲザルCD8)への結合を呈する限り、モノクローナル抗体、一価抗体(例えば、ワンアームド抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
【0023】
完全長抗体は、典型的には、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、5個の基本的なヘテロ四量体単位とJ鎖と呼ばれるさらなるポリペプチドからなり、それ故に、10個の抗原結合部位を含み、一方、分泌性IgA抗体は、2~5個の基本的な4本鎖単位とJ鎖を含む多価集合体を形成するように重合することができる)。しかしながら、例えば、一価抗体、ワンアームド抗体、Fab、及び(Fab’)2を含むが、これらに限定されない、他の抗体形式もまた、企図される。IgGの場合、4本鎖ユニットは、通常、約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合し、一方、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに結合する。各H鎖及びL鎖はまた、鎖内ジスルフィド架橋を一定の間隔を置いて有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を、それに続いて、α及びγ鎖のそれぞれについては3つの定常ドメイン(CH)を、μ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を、それに続いて、もう一方の末端に定常ドメイン(CL)を有する。VLは、VHに沿って整列し、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)に沿って整列する。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VH及びVLの対合は、単一の抗原結合部位を一緒に形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th edition,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
【0024】
脊椎動物種由来のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κとλと呼ばれる2つの明確に異なる型のいずれかに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。5つのクラスの免疫グロブリン、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、それぞれ、α、δ、γ、ε、及びμと称される重鎖を有する。γ及びαクラスは、CH配列及び機能の比較的わずかな差異に基づいてサブクラスにさらに分割され、例えば、ヒトは、次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。
【0025】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は一般に、類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)。単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体からのVHドメインまたはVLドメインを使用して単離されて、それぞれ相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol 150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature352:624-628(1991)を参照されたい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が超可変であり(「相補性決定領域」または「CDR」)、及び/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成し、及び/または抗原接触残基(「抗原接触体」)を含有する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、抗体は6つのHVRを含み、3つがVH(H1、H2、H3)にあり、3つがVL(L1、L2、L3)にある。本明細書における例示的なHVRは、
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))、
(b)アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35b(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)で生じるCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))、
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、及び93~101(H3)で生じる抗原接触体(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))、ならびに
(d)HVRアミノ酸残基46~56(L2)、47~56(L2)、48~56(L2)、49~56(L2)、26~35(H1)、26~35b(H1)、49~65(H2)、93~102(H3)、及び94~102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/または(c)の組み合わせ、を含む。
【0027】
本明細書で別途示されない限り、可変ドメイン中のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、Kabat et al.,(上記参照)に従って本明細書において付番される。
【0028】
本明細書で提供される抗CD8抗体は、「キメラ」抗体を含み、これは、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは同種である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにこのような抗体の断片における対応する配列と同一であるかまたは同種であり、但しこのことは、これらの抗体が本発明の生物学的活性を呈する限りにおいてのことである(米国特許第4,816,567号及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)を参照されたい)。本明細書において対象となるキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が挙げられる。
【0029】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、ダイアボディ、線状抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2、Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]を参照されたい)、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0030】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して命名された1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共に全L鎖、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関しては一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きいF(ab’)2断片が産出され、これは、概して、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にさらなる数個の残基を有する点でFab断片とは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、Fab’断片の対として産生され、これらは、これらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合もまた公知である。
【0031】
Fc断片は、ジスルフィドにより一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域における配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見出されるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
【0032】
「バリアントFc領域」は、本明細書に定義されるような、少なくとも1つの「アミノ酸修飾」によって天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域中または親ポリペプチドのFc領域中に約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。一実施形態において、本明細書においてバリアントFc領域は、天然配列Fc領域と少なくとも約80%の相同性、少なくとも約85%の相同性、少なくとも約90%の相同性、少なくとも約95%の相同性、または約99%の相同性を有する。別の実施形態に従って、本明細書においてバリアントFc領域は、親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、少なくとも約85%の相同性、少なくとも約90%の相同性、少なくとも約95%の相同性、または約99%の相同性を有する。
【0033】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」型とは、非ヒト抗体に由来する配列を最小限含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、大部分は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の能力をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
【0034】
本明細書で特定されるポリペプチド配列及び抗体配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」または「相同性」とは、配列をアライメントした後に、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮した、比較されるポリペプチド内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合(%)として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当業者が備えている技能の範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁(Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaにより公開されている。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dで使用する場合はコンパイルしなければならない。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムにより設定されており、変動しない。
【0035】
本明細書で使用する場合、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的におけるエピトープの「特異的結合」またはそれに「特異的に結合する」またはそれに「特異的である」という用語は、例えば、標的に対して少なくとも約10-4M、あるいは、少なくとも約10-5M、あるいは、少なくとも約10-6M、あるいは、少なくとも約10-7M、あるいは、少なくとも約10-8M、あるいは、少なくとも約10-9M、あるいは、少なくとも約10-10M、あるいは、少なくとも約10-11M、あるいは、少なくとも約10-12M、またはそれ以上のKDを有する分子によって示され得る。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合する、結合を指す。KDは、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、または放射性免疫沈降(RIA)などの当該技術分野で既知の方法によって決定され得る。特異的結合は、例えば、一般に結合活性を有しない同様の構造の分子である対照分子の結合と比較して、分子の結合を決定することによって測定され得る。例えば、特異的結合は、標的に類似した対照分子、例えば、過剰な標識されていない標的との競合によって決定し得る。この場合、標識された標的のプローブへの結合が過剰な標識されていない標的によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。
【0036】
本明細書中で使用する場合、「治療」または「治療すること」は、臨床結果を含む有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない:疾患に起因する1つ以上の症状の緩和、疾患の程度の弱化、疾患の安定化(例えば、疾患の悪化の予防または遅延)、疾患の蔓延(例えば、転移)の予防または遅延、疾患の再発の予防または遅延、疾患進行の遅延または減速、病状の改善、疾患の寛解(部分的または全体的)の提供、疾患の治療に必要な1つ以上の他の薬剤の用量の低減、疾患進行の遅延、生活の質の増大もしくは向上、体重増加の増加、及び/または生存期間の延長。がん(例えば、腫瘍体積など)の病理学的帰結の軽減も「治療」に包含される。本明細書で提供される方法は、治療のこれらの態様のうちの任意の1つ以上を企図する。
【0037】
本明細書に開示されている抗CD8抗体(もしくはその断片)または組成物の「有効量」は、例えば、インビボでCD8+T細胞を画像化するための具体的に述べられた目的を実施するのに十分な量である。「有効量」は、実験的に及び述べられた目的に関連する既知の方法によって(インビボでCD8+T細胞を画像化することなど)決定され得る。
【0038】
「治療上有効量」という用語は、例えば、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)における疾患または障害を「治療する」のに有効な免疫治療剤(本明細書の他の箇所に記載される免疫治療剤など)の量を指す。がんの場合、免疫治療剤の治療上有効量は、がん細胞の数を低減する、腫瘍サイズまたは重量を低減する、末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止させる)、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止)、腫瘍成長をある程度阻害する、及び/またはがんと関連付けられた症状のうちの1つ以上をある程度緩和することができる。免疫治療剤が既存のがん細胞の成長の予防及び/またはそれらの殺滅を行うことができる限り、これは、細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性であり得る。一実施形態において、治療有効量は、成長阻害量である。別の実施形態において、治療上有効量は、患者の生存を延長させる量である。別の実施形態において、治療上有効量は、患者の無増悪生存率を改善させる量である。
【0039】
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、ならびにアカゲサル及びカニクイザルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
【0040】
本明細書で使用する場合、「応答性」は、対象が治療剤(例えば、免疫治療剤)による治療を受けているか、またはそれを受けたときの、好ましい応答の発生を指す。好ましい応答の一例は、治療剤(例えば、免疫治療剤)による治療中または治療後の対象における腫瘍増殖の阻害であるが、一方、好ましくない一例は、治療剤(例えば、免疫治療剤)による治療中または治療後の対象における腫瘍の継続成長または加速成長である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「疾患進行をモニタリングすること」は、疾患の症状が悪化した、安定化した、または改善した(すなわち、重症度が低減した)かどうかを決定するために、連続的時間間隔で対象(例えば、がんと診断された対象)を評価することを指す。例えば、対象におけるがんの進行のモニタリングは、ある特定の場合では、腫瘍の重量またはサイズの変化(腫瘍退縮または腫瘍増殖など)、進行までの時間、生存期間、無増悪生存期間、全奏効率、応答の持続時間、及び生活の質、疾患マーカーの発現及び/または活性(例えば、ある特定の遺伝子及び/またはタンパク質の発現)、または当該技術分野で公知の他の基準を含み得る。例えば、本明細書に他の箇所にさらなる詳述される、画像化技術を介した治療に対する応答の測定を含む、がんに罹患している患者における疾患進行をモニタリングするためのさらなるアプローチが用いられ得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「治療進行をモニタリングすること」は、疾患の症状が治療の結果として悪化した、安定化した、または改善した(すなわち、あまり重症でない)かどうかを決定するために、治療(例えば、免疫治療剤による治療)中または治療後の連続的時間間隔で対象(例えば、がんと診断された対象)を評価することを指す。例えば、対象(例えば、免疫治療剤による治療を受けるまたは受容している対象)における治療進行は、疾患進行をモニタリングするために使用されたものと同じ基準を使用してモニタリングされ得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」または「薬理学的に適合する」とは、生物学的にまたは別様に望ましくないものではない物質を意味し、例えば、該物質は、いかなる顕著な望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれる組成物の他の成分のいずれとも有害に相互作用することなく患者に投与される薬学的組成物に組み込まれ得る。薬学的に許容される担体または賦形剤は、好ましくは、毒物学的及び製造試験の要求される基準を満たしており、及び/または米国食品医薬品局により作成された不活性成分に関する指針(Inactive Ingredient Guide)に含まれている。
【0044】
本明細書で使用する場合、「と併せて」とは、第2の薬剤、例えば、免疫治療剤の投与に対する、例えば、本明細書に記載の抗CD8抗体の投与のタイミングを指す。例えば、免疫治療剤またはがんワクチン(例えば、個人用がんワクチンまたは「PCV」)と併せて本明細書に記載の抗CD8抗体の投与は、免疫治療剤またはがんワクチンに投与される前に、免疫治療剤またはがんワクチンが投与された後に、免疫治療剤またはがんワクチンの投与と併行して、あるいは免疫治療剤またはがんワクチンの投与と同時に、抗CD8抗体が投与され得ることを意味する。さらなる薬剤は、抗CD8抗体及び免疫治療剤またはがんワクチンが投与される前またはその後に投与され得る。さらにまたはあるいは、他の薬剤は、抗CD8抗体及び免疫治療剤またはがんワクチンの連続投与の間に投与され得る。
【0045】
「検出すること」という用語は、物質の存在もしくは不在を決定することまたは物質(CD8など)の量を定量化することを含むことが意図されている。したがって、この用語は、定性的及び定量的決定のための本発明の物質、組成物、及び方法の使用を指す。一般に、検出のために使用された特定の技術は、本発明の実践において重要ではない。例えば、本発明に従う「検出すること」は、CD8ポリペプチドの存在もしくは不在またはCD8ポリペプチドのレベルの変化を観察することを含み得る。いくつかの実施形態において、「検出すること」は、野生型CD8レベル(例えば、mRNAまたはポリペプチドレベル)を検出することを含み得る。検出は、対照と比較する場合、10%~90%の任意の値、または30%~60%の任意の値、または100%を超える値の変化(増加または低下)を定量化することを含み得る。検出は、2倍~10倍を含む、またはそれ以上の任意の値、例えば、100倍の変化を定量化することを含み得る。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「標識」という語は、抗体へ直接的に、または間接的にコンジュゲートされる、検出可能な化合物または組成物を指す。標識自体は、それ自体(たとえば、放射性同位体標識または蛍光標識)によって検出可能であり得る、または酵素標識の場合、検出可能である基質化合物もしくは組成物の化学変成を触媒し得る。
【0047】
本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、当業者に容易に公知であるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする態様を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」を指す説明には、「X」の説明を含む。
【0048】
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0049】
特許出願及び公報を含む本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
抗CD8抗体
a.機能的特性
本明細書で提供される抗CD8抗体は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:(a)抗体はCD8+T細胞の活性化を阻害または刺激しない、(b)抗体はCD8+T細胞の増殖を誘導しない、(c)抗体はIFNγ産生を誘導しない、(d)抗体はヒトCD8と特異的に結合する、(e)抗体はアカゲザルCD8と特異的に結合する、(f)抗体はカニクイザルCD8と特異的に結合する、(g)抗体はCD4+細胞と結合しない、(g)抗体はCD3-細胞と結合しない、及び(h)抗体は循環からCD8+T細胞を枯渇させない。このような特性は、公知の方法、例えば、以下の実施例に使用される方法を使用して評価され得る。ある特定の実施形態において、CD8+T細胞によるIFN-γの放出が、本明細書で提供される、精製したCD8+T細胞、抗CD3抗体、及び抗CD8抗体の存在下でインビトロで評価される。ある特定の実施形態において、CD8+T細胞の増殖が、本明細書で提供される、精製したCD8+T細胞、抗CD3抗体、及び抗CD8抗体の存在下でインビトロで評価される。ある特定の実施形態において、CD8+T細胞の増殖が、本明細書で提供される、末梢血単核細胞(PBMC)、破傷風トキソイド、及び抗CD8抗体の存在下でインビトロで評価される。ある特定の実施形態において、CD8+T細胞の活性化が、本明細書で提供される抗CD8抗体の存在下で、破傷風トキソイドで末梢血単核細胞(PBMC)の刺激後に、(例えば、FACSを介して)T細胞におけるCD25の発現を測定することによって評価される。ある特定の実施形態において、循環からのCD8+T細胞の非枯渇が、FACSを介して評価される。例えば、対象(非ヒト霊長類など)への本明細書で提供される抗CD8抗体の投与(注射など)後に、FACSが、標識された抗CD8抗体を使用して全リンパ球集団を含む試料において行われる。
【0051】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、ヒトCD4+T細胞に結合(例えば、特異的に結合)しない。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、ヒトCD3-細胞に結合(例えば、特異的に結合)しない。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、ヒトCD4+T細胞またはヒトCD3-細胞のいずれにも結合(例えば、特異的に結合)しない。いくつかの実施形態において、ヒトCD4+T細胞またはヒトCD3-細胞への本明細書で提供される抗CD8抗体による特異的結合の欠如は、実施例において論じられるように、蛍光活性化細胞選別(FACS)を介して検出される。
【0052】
抗CD8抗体は、十分な親和性及び特異性でCD8に結合する抗体である。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、または0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)のうちの任意の1つのKD(これらの値の間の任意の範囲を含む)でヒトCD8と結合する。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、または0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)のうちの任意の1つのKD(これらの値の間の任意の範囲を含む)でアカゲザルCD8と結合する。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、または0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)のうちの任意の1つのKD(これらの値の間の任意の範囲を含む)でカニクイザルCD8と結合する。
【0053】
ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、(a)約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、もしくは0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)のKD(これらの値の間の任意の範囲を含む)でヒトCD8と、(b)約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、もしくは0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)のKD(これらの値の間の任意の範囲を含む)でアカゲザルCD8と、及び(c)約1μM、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、もしくは0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)のKD(これらの値の間の任意の範囲を含む)でカニクイザルCD8と結合する。ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8に対する本明細書で提供される抗CD8抗体のKDは、例えば、ELISA、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、放射性免疫沈降(RIA)、及び表面プラズモン共鳴(SPR)を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の方法によって決定され得る。ある特定の実施形態において、ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8に対する本明細書で提供される抗CD8抗体のKDは、SPRにより決定される。ある特定の実施形態において、ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8に対する本明細書で提供される抗CD8抗体のKDは、FACSにより決定される。
【0054】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、マウスCD8と結合(例えば、特異的に結合)しない。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、ラットCD8と結合(例えば、特異的に結合)しない。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、例えば、SPR及び/またはFACSを介して決定して、マウスCD8またはラットCD8のいずれにも結合(例えば、特異的に結合)しない。
【0055】
上記の機能的特性のうちの1つ以上を有する例示的な抗CD8抗体が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0056】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、から選択される6つのCDRを含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0057】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDRを含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0058】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号1または2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(b)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(c)配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDRを含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0059】
いくつかの実施形態において、(a)(i)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(ii)配列番号10または配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(iii)配列番号12または配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDRを含むVHドメインと、(b)(iv)配列番号1または配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(v)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(vi)配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDRを含むVLドメインと、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0060】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0061】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0062】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0063】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0064】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0065】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0066】
いくつかの実施形態において、(a)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1と、(b)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H2と、(c)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H3と、(d)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1と、(e)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L2と、(f)配列番号8に記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L3と、を含む、抗CD8抗体が、提供される。
【0067】
配列番号1~13のアミノ酸配列が、以下の表1に提供される。
【0068】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26のうちの任意の1つに記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27のうちの任意の1つに記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26のうちの任意の1つに記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)と、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27のうちの任意の1つに記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、上記に提供される実施形態のいずれかにあるようなVHと、上記に提供される実施形態のいずれかにあるようなVLと、を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号14及び配列番号15に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号16及び配列番号17に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号18及び配列番号19に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号20及び配列番号21に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号22及び配列番号23に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号24及び配列番号25に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号26及び配列番号27に記載される、VH及び/またはVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号14及び配列番号15に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号16及び配列番号17に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号18及び配列番号19に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号20及び配列番号21に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号22及び配列番号23に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号24及び配列番号25に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、それぞれ、配列番号26及び配列番号27に記載される、VH及びVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0072】
配列番号14~27のアミノ酸配列が、以下に提供される。
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSS(配列番号14)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNENPLTFGQGTKVEIK(配列番号15)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSS SLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号16)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEFPVTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVV CLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号17)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSS SLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号18)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEFPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVV CLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号19)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSS SLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号20)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQVNEFPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVV CLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号21)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSS(配列番号22)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQVNEFPVTFGQGTKVEIK(配列番号23)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYARK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCTRGYGYYVFDTWGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSS SLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号24)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQVNEFPVTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVV CLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号25)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSS SLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHT(配列番号26)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISKYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQVNEFPVTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVV CLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号27)
【0073】
b.薬物動態学的特性
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、腎臓及び肝臓で代謝される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、腎臓または肝臓で代謝される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、腎臓系によって代謝される(例えば、主に代謝される)。
【0074】
c.一価抗CD8抗体
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗体は、完全長重鎖、軽鎖、及びFcを含むワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗体は、配列番号14、16、18、20、22、24、及び26のうちの任意の1つに記載されるアミノ酸配列を含むVHドメインを含む完全長重鎖を含む。さらにまたはあるいは、ワンアームド抗体は、配列番号15、17、19、21、23、25、及び27のうちの任意の1つに記載されるアミノ酸配列を含むVLドメインを含む完全長軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号14に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号15に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号16に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号17に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号18に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号19に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号20に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号21に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号22に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号23に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号24に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号25に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、配列番号26に記載されるVH配列を含み、完全長軽鎖は、配列番号27に記載されるVL配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、1つ以上の「ノブ」変異を含み、Fcは、1つ以上の「ホール」変異を含む。いくつかの実施形態において、完全長重鎖は、1つ以上の「ホール」変異を含み、Fcは、1つ以上の「ノブ」変異を含む。本明細書で提供されるワンアームド抗CD8抗体の例示的な概略図を、
図1に提供する。
【0076】
ある特定の実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、L234A変異を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、L235A変異を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含み(例えば、さらに含み)、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、P329G変異を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含み(例えば、さらに含み)、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、L234A、L235A、及びP329G変異を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、L234A、L235A、及びP329G変異のうちの1つ以上(例えば、L234A、L235A、及びP329G変異のうちの任意の2つまたは3つすべて)を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(からなるような)完全長重鎖を含む。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(からなるような)軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(からなるような)Fcを含む。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(からなるような)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(からなるような)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(からなるような)Fcを含む。配列番号28、29、及び30に記載のアミノ酸が、以下に提供される。
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDTYIHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANDNTLYASK FQGRATITADTSTSTAYLELSSLRSEDTAVYYCGRGYGYYVFDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVF PLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSS SLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRT PEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGK EYKCKVSNKALGAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEW ESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLS PGK(配列番号28)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRTSRSISQYLAWYQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGS GTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQVNEFPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVV CLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACE VTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号29)
DKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEV HNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALGAPIEKTISKAKGQPREPQ VYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLT VDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号30)
【0078】
d.抗体断片
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体の断片が、提供される。いくつかの実施形態では、抗体断片は、抗原結合断片である。いくつかの実施形態において、抗原結合断片は、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH、F(ab’)2断片、scFv、またはFvからなる群より選択される。
【0079】
抗体断片を産生するための様々な技術が開発されている。従来、これらの断片は、無傷抗体のタンパク質分解消化により得られた(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117(1992)及びBrennan et al.,Science 229:81(1985)を参照のこと)。しかしながら、これらの断片は、現在では、組換え宿主細胞により直接産生することができる。例えば、抗体断片は、上記で考察された抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいは、Fab’-SH断片は、E.coliから直接回収され、化学的にカップリングされて、F(ab’)2断片を形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992))。別のアプローチに従って、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片を産生するための他の技術は、当業者に明らかである。他の実施形態では、好まれる抗体は、一本鎖Fv断片(scFv)である。WO 93/16185、米国特許第5,571,894号、及び米国特許第5,587,458号を参照のこと。抗体断片は、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されるような、「線状抗体」でもあり得る。かかる線状抗体断片は、単一特異性であっても、または二重特異性であってもよい。
【0080】
ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、また、WO93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有する、Fab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0081】
e.抗体バリアント及び抗体修飾
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される抗CD8抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗CD8抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗CD8抗体のアミノ酸配列バリアントは、タンパク質をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによるか、またはペプチド合成により調製され得る。かかる修飾としては、例えば、抗CD8抗体のアミノ酸配列(例えば、1つ以上のCDR及び/またはフレームワーク配列またはVH及び/またはVLドメイン)内における、残基からの欠失、及び/または残基への挿入、及び/または残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが行われて、最終構築に到達することができるが、但し、最終構築物が所望の特性(例えば、本明細書に他の箇所で記載される)を有することを条件とする。
【0082】
「抗CD8抗体バリアント」は、ポリペプチド、例えば、本明細書に記載の所望の特性を有する抗CD8抗体であって、本明細書に記載の抗CD8抗体のVH及び/またはVLで少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するVH及び/またはVLを含むものを意味する。かかる抗CD8抗体バリアントは、例えば、1つ以上のアミノ酸残基がVH及び/またはVLドメインに付加されるかまたはそれから欠失される抗体を含む。通常、抗CD8抗体バリアントは、本明細書に記載の抗CD8抗体に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のうちのいずれかのアミノ酸配列同一性を有する。任意に、バリアント抗CD8抗体は、本明細書で提供される抗CD8抗体配列と比較して1つを超えない保存的アミノ酸置換を有し、あるいは本明細書で提供される抗CD8抗体配列と比較して約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10個のうちのいずれかの個数を超えない保存的アミノ酸置換を有する。
【0083】
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、及び/または欠失を有する抗CD8抗体バリアントが提供される。置換変異原性のための目的の部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換が、「保存的置換」という見出しで表2に示される。より大幅な変化は、表2において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。アミノ酸置換が目的とする抗体に導入され、生成物が所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低減、またはADCCまたはCDCの改善についてスクリーニングされ得る。
【0084】
抗CD8抗体バリアントの生物学的特性の大幅な修飾は、置換を選択することにより達成され得、これらは、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シートもしくは螺旋立体配座、(b)標的部位における分子の荷電もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクの維持に対するそれらの影響が著しく異なる。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従って群分けされ得る(A.L.Lehninger,Biochemistry second ed.,pp.73-75,Worth Publishers,New York(1975)):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
【0085】
あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群分けされてもよい。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0086】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0087】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗CD8抗体は、CD8(例えば、ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8)に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態において、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26において置換、挿入、及び/または欠失されている。ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、その配列の翻訳後修飾を含む、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26に記載されるVH配列を含む。
【0088】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗CD8抗体は、CD8(例えば、ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8)に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態において、合計で1~10個のアミノ酸が、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27において置換、挿入、及び/または欠失されている。ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27に記載されるVH配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、配列番号20と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗CD8抗体は、CD8(例えば、ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8)に結合する能力を保持する。いくつかの実施形態では、配列番号20において合計で1~10個のアミノ酸が置換、挿入、及び/または欠失している。ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。任意に、抗CD8抗体重鎖は、配列番号20におけるVH配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。さらにまたはあるいは、本明細書で提供される抗CD8抗体は、配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)配列を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、配列番号21と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、その配列を含む抗CD8抗体は、CD8(例えば、ヒトCD8、アカゲザルCD8、及び/またはカニクイザルCD8)に結合する能力を保持する。いくつかの実施形態では、配列番号21において合計で1~10個のアミノ酸が置換、挿入、及び/または欠失している。ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、CDRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。任意に、抗CD8抗体重鎖は、配列番号21におけるVL配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。
【0090】
ある種類の置換型変異型は、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる試験のために選択される結果として生じる変異体(複数可)は、親抗体と比較してある特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、及び/または実質的に保持された親抗体のある特定の生物学的特性を有する。例示的な置換型バリアントは、例えば、本明細書に記載の技術などのファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して好都合に生成され得る親和性成熟抗体である。簡言すれば、1つ以上のHVR残基が変異され、変異形抗体がファージ上にディスプレイされ、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0091】
改変(例えば、置換)は、HVRにおいて、例えば抗体親和性を改善するために行われ得る。かかる改変は、HVR「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を経るコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/またはSDR(a-CDR)で行われてもよく、得られた変異形VHまたはVLが結合親和性に関して試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが創出される。次いで、ライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体変異型を同定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6つの残基)が無作為化されるHVR指向手法を伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特に、CDR-H3及びCDR-L3は、多くの場合に標的とされる。
【0092】
ある特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、かかる改変がCD8への抗体の能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のCDR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)がCDR内で行われ得る。かかる改変は、CDR「ホットスポット」またはSDRの外側であり得る。上で提供される変異型VH及びVL配列のある一定の実施形態では、各HVRは、改変されていないか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0093】
変異誘発の標的とされ得る抗体の残基または領域の識別のための有用な方法は、「アラニンスキャニング変異誘発」と称され、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されている。この方法では、標的残基の残基または基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)を特定し、中性または負に荷電されたアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)で置き換え、抗体の抗原との相互作用が影響を受けたか否かを決定する。さらなる置換が、最初の置換に対する機能感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との間の接触点を特定する。かかる接触残基及び隣接する残基は置換の候補として標的とされてもよく、または排除されてもよい。変異型を、スクリーニングして、それらが所望の特性を有するかどうかを決定してもよい。
【0094】
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドの範囲であるアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異型としては、酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドへの抗体のN末端もしくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増大させる。
【0095】
f.Fcバリアント
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書で提供される抗体のFc領域に導入され、それによりFc領域バリアントが生成され得る。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0096】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、すべてではないが、いくつかのエフェクター機能を有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要ではあるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不要または有害である用途に望ましい候補となるFcバリアントを含む。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/欠乏を確認してもよい。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠く(故にADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にし得る。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞がFc(RIIIのみを発現する一方で、単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIII)を発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表2に要約されている。対象となる分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照されたい)、及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、または加えて、目的とする分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示される動物モデルにおいて評価することができる。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qと結合することができないためにCDC活性を欠くことを確認してもよい。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイが行われ得る(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定はまた、当該技術分野で既知の方法を使用して行うこともできる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006))。
【0097】
低減したエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基234、235、237、238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(例えば、米国特許第6,737,056号を参照されたい)。かかるFc変異体は、アミノ酸265、269、270、297、及び327位のうちの2つ以上での置換を有するFc変異体を含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番され、例えば、アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0098】
ある特定の実施形態において、かかるFc変異体は、アミノ酸234、235、及び329位のうちの2つ以上における置換を含む。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、L234A変異を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、L235A変異を含む(をさらに含む)バリアントIgG1 Fcドメインを含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、P329G変異を含む(をさらに含む)バリアントIgG1 Fcドメインを含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、L234A、L235A、及びP329G変異を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。ある特定の実施形態において、抗CD8抗体は、L234A、L235A、及びP329G変異のうちの1つ以上(例えば、L234A、L235A、及びP329G変異のうちの任意の2つまたは3つすべて)を含むバリアントIgG1 Fcドメインを含む。
【0099】
母体IgGの胎児への移入に関与する、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)、及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))については、US2005/0014934A1(Hintonら)に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する、1つ以上の置換を内部に有するFc領域を含む。かかるFcバリアントは、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7,371,826号)。
【0100】
Fc領域バリアントの他の例に関して、Duncan & Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
【0101】
g.「ノブ・イン・ホール」バリアント
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体のFcドメインは、「ノブ・イン・ホール」変異を含む。「ノブ・イン・ホール」は、ヘテロ二量化のための抗体重鎖ホモ二量体を操作するために(例えば、二重特異性抗体、多特異性抗体、またはワンアームド抗体の十分な産生のための)設計戦略である。一般に、かかる技術は、第1のポリペプチド(第1の抗体重鎖中の第1のCH3ドメインなど)の界面で突起部(「ノブ」)、及び第2のポリペプチド(第2の抗体重鎖中の第2のCH3ドメインなど)の界面で対応する空洞(「ホール」)を導入することを含み、そのため、突起部は、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げるように、空洞中に位置付けられ得る。突起部は、第1のポリペプチド(第1の抗体重鎖中の第1のCH3ドメインなど)の界面からのアミノ酸側鎖を、より大きい側鎖(例えば、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファン)で置き換えることによって構築される。突起部への同一のまたは類似のサイズの代償性空洞が、大型アミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニン、セリン、バリン、またはトレオニン)で置き換えることによって第2のポリペプチド(第2の抗体重鎖中の第2のCH3ドメインなど)の界面中に形成される。突起部及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を改変することによって、例えば、部位特異的変異誘発によって、またはペプチド合成によって作製され得る。いくつかの実施形態において、ノブ修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの1つにアミノ酸置換T366Wを含み、ホール修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの他方にアミノ酸置換T366S、L368A、及びY407Vを含む。いくつかの実施形態において、ノブ修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換S354Cをさらに含み、ホール修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換Y349Cをさらに含む。これらの2つのシステイン残基の導入は、Fc領域の2つのサブユニット間のジスルフィド架橋の形成をもたらし、それ故に、二量体をさらに安定化する(Carter,J Immunol Methods 248,7-15(2001))。ノブ・イントゥ・ホール変異の例示的なセットには、以下の表3に示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
![](/Kouhou/img?c=P_A1&n=2023159109&FileName=2023159109000004.tif&ImageFormatCategory=tif)
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、第1のFcドメインを含む抗体重鎖、抗体軽鎖、及び第2のFcドメインを含み、抗体重鎖は、抗体軽鎖と対合し、第1のFcドメイン及び第2のFcドメインは、界面で会合する。いくつかの実施形態において、第1のFcドメインの界面は、空洞を含み、第2のFcドメインの界面は、第1のFcドメインの界面の空洞に配置可能である突起部を含むか、または第2のFcドメインの界面は、空洞を含み、第1のFcドメインの界面は、第2のFcドメインの界面の空洞に配置可能である突起部を含む。いくつかの実施形態において、第1のFcドメインは、T366S、L358A、及びY407V変異を含み、第2のFcドメインは、T366W変異を含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。いくつかの実施形態において、第1のFcドメインは、T366W変異を含み、第2のFcドメインは、T366S、L358A、及びY407V変異を含み、アミノ酸残基は、EU付番方式に従って付番される。
【0103】
「ノブ・イントゥ・ホール」技術に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第5,731,168号、米国特許第7,695,936号、WO 2009/089004、US 2009/0182127、Marvin and Zhu,Acta Pharmacologica Sincia(2005)26(6):649-658、Kontermann Acta Pharmacologica Sincia(2005)26:1-9、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)、及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載されている。
【0104】
抗体誘導体
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野で公知であり、容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾され得る。抗体の誘導体化に好適な部分としては、限定するものではないが、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレン(propropylene)グリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、いずれの分子量のものであってもよく、分岐状であっても非分岐状であってもよい。抗体に結合するポリマーの数は異なり得、2つ以上のポリマーが結合する場合、それらは同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、改善される抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下である療法に使用されるかなどを含むが、これらに限定されない、考慮すべき事項に基づいて決定され得る。
【0105】
別の実施形態において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る、抗体及び非タンパク質性部分の複合体が提供される。一実施形態において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、いずれの波長のものであってもよく、これには、限定するものではないが、通常の細胞を傷つけないが、抗体-非タンパク質性部分に近接する細胞が殺滅される温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長が挙げられる。
【0106】
検出可能な標識を含む免疫コンジュゲート
検出可能な標識にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗CD8抗体を含む免疫コンジュゲートが、提供される。「標識」または「検出可能な標識」という用語は、細胞、組織、臓器などにおける標的分子(CD8など)の位置及び/または量を診断、検出、または可視化/画像化するのに有用である原子、分子、または化合物を指す。本明細書の実施形態に従って使用することができる検出可能な標識には、放射性物質(例えば、放射性同位体、放射性核種、無線標的、または放射性トレーサー)、色素(例えば、インドシアニングリーン(ICG))、造影剤、蛍光化合物または分子、生物発光化合物または分子、酵素、及び増強剤(例えば、常磁性イオン)が含まれるが、これらに限定されない。さらに、いくつかのナノ粒子、例えば、量子ドット及び金属ナノ粒子は、検出剤として使用するのに好適であり得る。
【0107】
本明細書に実施形態に従って検出可能な標識として使用することができる放射性物質には、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、75Sc、77As、86Y、89Sr、89Zr、90Y、90Nb、94Tc、99Tc、99mTc、99Mo、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、及び225Acが含まれるが、これらに限定されない。検出可能な標識として使用することができる例示的な常磁性イオンには、遷移及びランタニド金属(例えば、6~9、21~29、42~44、または57~71の原子番号を有する金属)のイオンが含まれるが、これらに限定されない。これらの金属には、Cr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuのイオンが含まれる。
【0108】
検出可能な標識が放射性金属または常磁性イオンであるとき、いくつかの実施形態において、標識は、これらのイオンに結合するためのロングテールに付着した1つ以上のキレート基を有するロングテールを有する試薬と反応することができる。ロングテールは、(すなわち、イオンに結合するための)キレート基に結合することができるペンダント基を有するポリリジン鎖、多糖鎖、または他の誘導体化されたもしくは誘導体化可能な鎖などのポリマーであり得る。本明細書の実施形態に従って使用することができるキレート基の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、DOTA、NOIA、NOGADA、NETA、NODA、NOTA、デフェロキサミン(DfO)、DFO*(すなわち、DFO-星印)、DFO-スクワラミド、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス-チオセミカルバゾン、ポリオキシム、及び類似の基が含まれるが、これらに限定されない。キレート剤は、通常は、免疫反応性の減少が最小限ならびに凝集及び/または内部架橋が最小限の状態で分子への結合の形成を可能にする基によって、本明細書で提供される抗CD8抗体に連結され得る。非放射性金属(例えば、マンガン、鉄、及びガドリニウム)と複合される場合、同じキレート剤は、本明細書に記載される抗CD8抗体と一緒に使用される場合に磁気共鳴画像法(MRI)に有用である。NOIA、NOGADA、DOTA、NODA、NOTA、及びTETAなどの大環状キレート剤は、例えば、ガリウム、イットリウム、及び銅の放射性核種を含むが、これらに限定されない、様々な金属及び放射性金属と共に有用である。放射性ヨウ素処理(RAIT)用のラジウム-223などの放射性核種を安定に結合するための対象となる大環状ポリエーテルなどの他のリング型キレート剤が使用されてもよい。ある特定の実施形態において、キレート部分は、アルミニウム-18F複合体などの陽電子放出断層撮影(PET)画像化剤を、PET分析のために、抗CD8抗体に付着させるために使用してもよい。
【0109】
本明細書の方法及び組成物の実施形態に従って検出可能な標識として使用することができる例示的な造影剤には、バリウム、ジアトリゾ酸、エチルヨウ化油(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド(iogulamide)、イオヘキシル、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸(ioprocemic acid)、イオセファム酸(iosefamic acid)、イオセル酸(ioseric acid)、イオスラミドメグルミン(iosulamide meglumine)、イオセメチン酸(iosemetic acid)、イオタズル(iotasul)、イオテトル酸(iotetric acid)、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸(ioxotrizoic acid)、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾ酸、プロピリオドン、塩化タリウム(thallous chloride)、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
本明細書の方法及び組成物に従って検出可能な標識として使用することができる生物発光及び蛍光化合物または分子ならびに色素には、例えば、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OREGON GREEN(商標)、ローダミン、テキサスレッド、IRDye800CW、AlexaFluor 647、テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC)、Cy3、Cy5など)、蛍光マーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、フィコエリスリンなど)、腫瘍関連プロテアーゼにより活性化される自己消光蛍光化合物、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、ナノ粒子、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
本明細書の方法及び組成物に従って検出可能な標識として使用することができる酵素には、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルコロニダーゼ、またはベータ-ラクタマーゼが含まれるが、これらに限定されない。かかる酵素は、検出可能なシグナルを生成するための色素原、蛍光発生化合物、または発光発生(luminogenic)化合物と組み合わせて使用することができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、ナノ粒子、すなわち、サイズがナノメートルで測定される微視的粒子にコンジュゲートされる。例えば、ナノ粒子は、少なくとも1つの寸法が約100nm未満の粒子である。ナノ粒子は、可視光を吸収するよりむしろ散乱させるのに十分な小ささであるため、検出可能な物質として使用することができる。例えば、金ナノ粒子は、著しい可視光消光特性を有し、溶液中では深紅から黒に見える。結果として、ナノ粒子にコンジュゲートされた本明細書で提供される抗CD8抗体は、対象におけるT細胞のインビボで画像化するために使用することができる。粒径範囲の小端では、ナノ粒子は、クラスターと呼ばれることが多い。金属、誘電体、及び半導体ナノ粒子が形成されているほか、ハイブリッド構造(例えばコアシェルナノ粒子)も形成されている。ナノスフェア、ナノロッド、及びナノカップ(nanocup)は、成長した形状のほんのいくつかである。半導体量子ドット及びナノ結晶は、別のタイプのナノ粒子の例である。本明細書で提供される抗CD8抗体にコンジュゲートされた場合、このようなナノスケールの粒は、本明細書に記載のT細胞のインビボでの検出用の画像化剤として使用することができる。
【0113】
抗体及び標識の複合体は、N-サクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)、サクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHClなど)、活性エステル(スベリン酸ジサクシニミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素を、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されるように調製することができる。炭素-14で標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性核種の抗体への複合体化のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞内において細胞毒性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992)、米国特許第5,208,020号)を使用してもよい。本明細書の免疫コンジュゲートには、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、ならびに市販されるSVSB(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aからの)(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)が含まれるが、これらに限定されない架橋剤試薬で調製されたかかる複合体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、デスフェリオキサミン化合物であるリンカーを含む(例えば、Vugts et al.(2017)Eur J Nucl Med Mol Imaging.44:286-295 and Rudd et al.(2016)Chem Commun.52:11859-12000を参照されたい)。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、N-スクシニル-デスフェリオキサミン(DFO)リンカーを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、デスフェリオキサミン化合物(例えば、N-スクシニル-デスフェリオキサミン)のために放射性核種(例えば、89Zr、124I、または18Fが含まれるが、これらに限定されない)にコンジュゲートされる。
【0114】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される抗CD8抗体は、検出可能な標識(すなわち、リンカーを用いずに)に直接カップリングされる。
【0115】
抗CD8抗体の産生方法
本明細書に記載の抗CD8抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される、組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。一実施形態において、本明細書に記載の抗CD8抗体をコードする単離核酸が、提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、この核酸は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26をコードする核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。ある特定の実施形態において、抗CD8軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、この核酸は、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27をコードする核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0116】
ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び抗CD8軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖可変領域をコードする核酸が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26をコードする核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含み、かつ軽鎖可変領域をコードする核酸が、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27をコードする核酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、この核酸は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、または配列番号26をコードする配列を含む。ある特定の実施形態において、抗CD8軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、この核酸は、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27をコードする配列を含む。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号14をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号15をコードする。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号16をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号17をコードする。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号18をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号19をコードする。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号20をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号21をコードする。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号22をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号23をコードする。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号24をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号25をコードする。ある特定の実施形態において、抗CD8重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする単離核酸が、提供され、重鎖をコードする核酸は、配列番号26をコードし、軽鎖をコードする核酸は、配列番号27をコードする。
【0117】
さらなる一実施形態において、本明細書に記載の核酸(複数可)を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が、提供される。さらなる一実施形態において、そのような核酸(複数可)またはベクター(複数可)を含む宿主細胞が、提供される。そのような一実施形態において、宿主細胞は、(1)抗CD8抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗CD8抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗CD8抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗CD8抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態において、宿主細胞は、真核生物のもの、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態において、宿主細胞は、原核細胞、例えば、E.coli細胞である。一実施形態において、抗CD8抗体を作製する方法が、提供され、本方法は、上で提供される、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む。
【0118】
抗CD8抗体の組換え産生のために、例えば、上述のものなどの抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/または発現のために、1つ以上のベクター中に挿入される。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
【0119】
抗体をコードするベクターのクローン化または発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載される原核生物細胞または真核生物細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌中で産生され得る。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(E.coliにおける抗体断片の発現について説明している、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)。発現後、抗体は、可溶性画分中で細菌細胞ペーストから単離され得、更に精製され得る。
【0120】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターにとって好適なクローニングまたは発現宿主であり、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株を含む。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0121】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞と組み合わせて使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
【0122】
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
【0123】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するように適合される哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例としては、SV40(COS-7)で形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、TRI細胞、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるもの)、MRC5細胞、及びFS4細胞が挙げられる。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0124】
抗CD8抗体を使用した、CD8+細胞の検出、局在化、及び/または画像化方法
抗CD8抗体を使用した、CD8+細胞の検出、局在化、及び/または画像化方法、または本明細書で抗CD8抗体及び検出可能な標識を含む免疫コンジュゲートが、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、インビトロまたはエクスビボで試料中のCD8の存在を検出することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、抗CD8抗体または免疫コンジュゲートをインビトロまたはエクスビボで試料に添加することを含む。例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学的分析、ELISAアッセイなどを含むが、これらに限定されない、かかる方法は、任意に、洗浄を行い、その後、抗CD8抗体または免疫コンジュゲートをインビトロまたはエクスビボで試料に添加することを含む。いくつかの実施形態において、CD8への抗CD8抗体の結合の検出が、免疫コンジュゲートに付着した標識を検出することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、抗CD8:CD8複合体に結合する本明細書に検出可能な標識を含む二次薬剤に適用することと、CD8への抗CD8抗体の結合の検出が、二次薬剤の検出可能な標識を検出することを含む。二次薬剤が、CD8への結合のために抗CD8抗体と競合しないか、または抗CD8抗体への結合のためにCD8と競合することが当業者によって容易に理解されよう。
【0125】
いくつかの実施形態において、本方法は、インビボでCD8の存在を検出し、局在化するか、または画像化することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象に、抗CD8抗体または本明細書に記載の免疫コンジュゲートを投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタ、サル、類人猿、または他の非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態において、非ヒト霊長類は、アカゲザルまたはカニクイザルである。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体または免疫コンジュゲートは、対象に、経口に、局所に、または局所的に投与される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体または免疫コンジュゲートは、注入(静脈内注入など)を介して対象に投与される。いくつかの実施形態において、注入は、腹腔内である。いくつかの実施形態において、本方法は、対象に、抗CD8抗体または免疫コンジュゲートを投与することと、分析のために対象から試料を除去することと(すなわち、CD8への抗CD8抗体または免疫コンジュゲートの結合の検出)、を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、CD8+細胞の検出、局在化、及び/または画像化は、例えば、本明細書に他の箇所にさらなる詳細の技術を使用して、インビボで行われる。
【0127】
いくつかの実施形態において、インビボでCD8の存在の検出は、臓器または組織に、CD8(CD8+細胞など)を局在化することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象における臓器または組織中のCD8+細胞の数を決定することを含む。ある特定の実施形態において、対象は、がんに罹患しており、インビボでのCD8の存在の検出は、腫瘍へのCD8+細胞を局在化することを含む。いくつかの実施形態において、CD8+細胞は、CD8+T細胞、例えば、腫瘍を浸潤するCD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、本方法は、がんに罹患している対象における腫瘍内のCD8+T細胞の数を決定することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、複数の連続する時点でがんに罹患している対象における腫瘍内のCD8+T細胞の数を決定することを含む。
【0128】
CD8のインビボでの検出のための技術
いくつかの実施形態において、インビボでのCD8(CD8+細胞、例えば、CD8+T細胞など)への抗CD8抗体の結合は、免疫PET(陽電子放出断層撮影)、SPECT(単光子放出コンピュータ断層撮影)、NMR(核磁気共鳴)としても知られているMRI(磁気共鳴画像)、近赤外(NIR)、またはチェレンコフ発光画像化(CLI)のうちの少なくとも1つを介して検出される。いくつかの実施形態において、CD8への抗CD8抗体の結合は、2つ以上の画像化の形態を介して検出される。いくつかの実施形態において、CD8への抗CD8抗体の結合は、近赤外(NIR)及び/またはCLIを介して検出される。いくつかの実施形態において、CD8への抗CD8抗体の結合は、免疫SPECT及び/またはNIR蛍光を介して検出される。いくつかの実施形態において、CD8への抗CD8抗体の結合は、免疫SPECT及びコンピュータ断層撮影を介して検出される。
【0129】
免疫-PETは、陽電子放出核種で標識された抗体(例えば、本明細書で提供される抗CD8抗体)またはその断片の同時検出に基づいている。このような放射性核種には、例えば、18F、64Cu、76Br、86Y、88Y、89Zr、99mTc、111In、177Lu、123I、124I、125I、及び131Iが含まれるが、これらに限定されない。放出された陽電子は、初期陽電子エネルギー及び周囲の密度に応じて、数ミリメートルの距離を移動する(例えば、Guus et al.(2007)The Oncologist,12:1379-1389の表2を参照のこと)。その運動エネルギーを喪失した後、陽電子は、電子と組み合わせて、いわゆる、消滅プロセスをもたらし、2つの光子(それぞれ、511keVのエネルギーを有する)を得る。2つの光子は、それぞれ反対の方向に同時に放出される。患者における陽電子放出核種で標識された抗CD8抗体の分布は、PETカメラを用いて消滅光子対の検出によってモニタリングされ得る。PETカメラは、患者の身体周辺に置かれた検出器のリングからなる。2つの光子が非常に短い時間間隔(典型的には、5~15ナノ秒)内の身体の反対側に検出器によって示される場合、2つの検出器の間の回線に沿ったある場所で、消滅事象が行われると仮定される。すべての回線の交差を計算することによって、放射線源の位置(放射性標識されたモノクローナル抗体)が、決定され得る。定量化のために、PETは、適切な補正が行わるときの信頼できる情報を提供し得る(Verel et al.(2005)J Nucl Med,46 suppl 1:164S-171Sを参照されたい)。免疫PETに関するさらなる詳細は、例えば、van Dongen et al.(2007)The Oncologist,12(12):1379-1389、Reddy et al.(2010)Semin Nucl Med.40(3):182-189、Boerman et al.(2011)J.Nucl Med.52(8):1171-1172、Santangelo et al.(2015)Nature Methods,12:427-432において提供される。
【0130】
免疫SPECTの画像化は、典型的には、血流への注射を通して、対象へのガンマ線放射核種で標識された抗体(例えば、本明細書で提供される抗CD抗体)またはその断片の投与を必要とする。ガンマ線放射核種の例には、例えば、99mTc、111In、123I、131I、153Sm、または186Reが含まれるがこれらに限定されない。次に、ガンマカメラが、複数の角度から複数の2次元画像を取り込むために使用される。次いで、コンピュータを使用して、複数の投影図に対してトモグラフィー再構成アルゴリズムを適用し、3次元データセットを生じる。次いで、このデータセットを、他のトモグラフィー技術から得られたものと同様に、身体の任意の得られた軸に沿って薄切片を示すように操作してもよい。SPECT画像を取り込むために、ガンマカメラを、患者の周辺に回転させる。典型的には、3~6度毎に、回転中、規定された点で投影図を取り込む。ほとんどの場合、全360度の回転を使用して、最適再構成を得る。各投影図を得るために要する時間もまた、変動するが、15~20秒が、典型的である。これにより、15~20分の全スキャン時間を得る。場合によっては、SPECTガンマスキャナーは、画像のコアのグリコシル化を有する従来のCTスキャナーで動作するように構築され得る。これは、SPECTシンチグラフィーにおいて見出され得る腫瘍または組織の位置を可能にするが、他の解剖学的構造に関しては正確に位置付けることが困難である。免疫SPECTに関するさらなる詳細は、例えば、Laverman et al.(2015)J Nucl Med,56(5):778-783、Lutje et al.(2014)Cancer Res,74(21):6216-6223、Muselaers et al.(2013)Eur Urology 64(4):1101-1106などに見出され得る。
【0131】
NMR(核磁気共鳴)としても知られているインビボでのMRI(磁気共鳴画像法)の原理は、対象の身体(通常、水素の原子に見出されるもの)を存在する原子核に含まれる陽子及び中性子の磁気特性を操作することに基づいている。これらの核の動きは、少量の磁気モーメントを生じる。対象の身体が、MRIスキャナーの磁場に置かれる場合、これらの核の磁気モーメントは、磁場の方向と一致する。次いで、無線周波数(RF)パルスを、より低いエネルギースピン状態とより高いエネルギースピン状態間の遷移があるように、スキャナーにおいて対象の身体に印加する。一旦RFパルスが与えられると、核がそれらの平衡状態(緩和と呼ばれるプロセス)に戻し、それらの吸収されたさらなるエネルギーを放出し、RFシグナルを発する。このシグナルは、スキャナーのRFコイルによって検出され、身体の組織の詳細な画像を生成するために使用される。MRI造影剤を使用することによって、この画像の造影、及び特定の身体構造の可視性は、改善され得る。MRIを介して検出可能である標識の例には、例えば、超常磁性酸化鉄(Molday IONローダミン-Bカルボキシルなどの酸化鉄ナノ粒子を含む)、19Fベースのプローブ、常磁性金属(例えば、ガドリニウム、マンガン、酸化マンガン、ジスプロシウム)、(U)SPIO、PARA(CEST)、DIA(CEST)、及びPFCが含まれるが、これらに限定されない。MRIを介して検出可能であるインビボでのMRI及び/または標識のための標識された抗体を使用することについてさらなる情報は、例えば、Srivastava(2015)Dis Model Mech.8(4):323-336、Zhou et al.(2013)Wiley Interdiscip Rev Nanomed Nanobiotechnol.5(1):1-18、Sohn et al.(2015)Nanomedicine.11(1):127-135、Bates et al.(2014)PloS ONE 9(5):e97220、Zhu et al.(2015)Int.J.Mol.Sci.16:9573-9587、及びZhang et al.(2014)IntJ.Medicine.9:33-41において論じられる。
【0132】
NIRの画像化は、1cm未満の深さで内因性及び/または外因性造影の画像化を提供するために生きている組織に近赤外線の深い光子浸透をうまく利用する。この磁場内に、NIR蛍光画像化は、700~900nmの蛍光を発光する外因性造影剤で標識された抗体の検出に焦点を合わせる。典型的な蛍光画像化システムは、他で詳述されている(De Grand et al.(2003)Technol Cancer Res Treat,2:553-62、Nakayama et al.(2002)Mol Imaging,1:365-77、Ntziachristos et al.(2003)Eur Radiol,13:195-208、Tanaka et al.(2006)Ann Surg Oncol,13:1671-81、Themelis et al.(2009)J Biomed Opt,4:064012、及びTroyan et al.(2009)Ann Surg Oncol,16:2943-52。簡言すれば、混濁培地内のフルオロフォアを励起する、スペクトル的に分解された光源(フィルター広帯域源、発光ダイオード[LED]、または半導体レーザー)からなる。次いで、このフルオロフォアから発する光は、電荷結合素子(CCD)カメラに画像化され、特に注意して、強力な励起光を除去する。赤外色素の例には、Tracy652、Tracy645、ローダミン色素、シアニン色素、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor(登録商標)、CyDye(登録商標)、IRDye(登録商標)、DyLight、及びATTOが含まれるがこれらに限定されない。約650~約950nmの近赤外(NIR)波長の細胞及び組織の画像化は、この領域内の生体分子の低い吸収のため、インビボでの画像化に有利である。インビボでのNIRの画像化に対して標識された抗体及びインビボでのNIRの画像化に対して検出可能な標識の使用に関するさらなる詳細は、Cillers et al.(2017)Mol Pharmaceuticals 14(5):1623-1633、Hilderbrand et al.(2010)Curr Opin Chem Biol.14(1):71-79、Hong et al.(2017)Nat Biomed Eng.1,0010 DOI:10.1038/s41551-016-0010、Pansare et al.(2012)Chem Mater.24(5):812-827、Hickson(2009)Urol Oncol Semin Orig Invest.27:295-297、Zhang et al.(2012)Curr Protoc Cytom.Chapter 12:Unit 12.7、Quek et al.(2012)Nanomaterials.2:92-112、Luker et al.(2008)J Nucl Med 49:1-4、及びLiu et al.(2016)NPG Asia Materials.8,e295に提供される。
【0133】
チェレンコフ発光画像化(CLI)は、陽電子放出断層撮影(PET)造影剤(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるもの)によって放出される光学的チェレンコフ光子の検出に基づいている分子光学的画像化技術である。他のCLI造影剤には、例えば、
131I、
18F、及び
90Yが含まれるが、これらに限定されない。チェレンコフ放射線は、荷電粒子が誘電体媒質(すなわち、磁場によって偏光され得る媒質)を通して、その媒質での光の速度よりも速い速度で移動するときに生成される。伝搬中、荷電粒子(正に荷電した陽電子または負に荷電した陽電子)は、媒質中の原子の正及び負の荷電を置換することによって局所的に偏光を誘発する。例えば、Grootendorst et al.(2016)Clin Transl Imaging.4(5):353-366)の
図1を参照されたい。粒子の速度が光の速度を超えるとき、偏光は、粒子の追跡に沿って非対称になり、粒子からより大きな距離で双極子磁場をもたらす。粒子が通過するにつれて、原子の電子がそれらの基底状態に戻り、それによって光学光子として移動エネルギーを発する。CLI画像は、電子増倍電荷結合素子(EMCCD)カメラなどの超高感度の光学カメラを使用してPETトレーサーからのチェレンコフ光を検出することによって取り込まれ得る。CLI画像は、光子放射輝度において半定量的に分析され得る。CLI及びPETは、陽電子放射性医薬品によって生成される光子を測定する両方の技術のため、直接相関し、PETは、消滅光子を測定し、CLIは、チェレンコフ光子を測定する。いくつかの研究は、インビトロ、エクスビボ、及びインビボでの異なる放射性医薬品に対してCLIとPETとの間の強力な相関関係を示し、そのため、生体の分子画像のためのCLIの実行可能性を実証している。CLIに関するか、またはCLIとPETの間の相関関係を詳述する刊行物は、例えば、Xu et al.(2012)J Nucl Med,53(2):312-317、Liu et al.(2010)PLoS ONE.5(3):e9470、Zhang et al.(2013)PLoS ONE.8(4):e62007、Hu et al.(2015)Eur Radiol.25(6):1814-1822、Robertson et al.(2011)J Nucl Med.52(11):1764-1769、Timmermand et al.(2015)J Nucl Med.56(3):444-449、Cao et al.(2014)Biomed Opt Express.5(10):3660-3670、及びThorek et al.(2014)J Nucl Med.55(1):95-98を含む。
【0134】
免疫治療剤による治療に対するがんに罹患している対象の応答性を予測する方法
免疫治療剤による治療に対するがんに罹患している対象の応答性を予測する方法もまた、提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、標識された抗CD8抗体(例えば、本明細書の他の箇所に記載される検出可能な標識を含む免疫コンジュゲート)を投与することと、対象における腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、とを含み、結合の検出は、対象が免疫療法に応答する可能性が高いことを示す。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、検出可能な標識(例えば、89Zr、124I、18Fなど)で標識され、腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合は、PETまたはPET/CTを介して検出される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、本方法は、腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合が検出されている対象に、治療上有効量の免疫治療剤またはがんワクチン(例えば、個人用がんワクチンまたは「PCV」)を投与することを含む。
【0136】
ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))などの治療用抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、治療用抗PD-1抗体である。ある特定の実施形態において、治療用抗PD-1抗体は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。ある特定の実施形態において、治療用抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))である。ある特定の実施形態において、治療用抗PD-1抗体は、ピドリズマブである。
【0137】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、治療用抗PD-L1抗体である。ある特定の実施形態において、治療用抗PD-L1抗体は、BMS-936559である。ある特定の実施形態において、治療用抗PD-L1抗体は、アベルマブ(Banvencio(登録商標))である。ある特定の実施形態において、治療用抗PD-L1抗体は、デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))である。いくつかの実施形態において、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))である。
【0138】
免疫チェックポイント阻害剤に関するさらなる詳細は、例えば、Byun et al.(2017)Nat Rev Endocrinol.13:195-207、La-Beck et al.(2015)Pharmacotherapy.35(10):963-976、Buchbinder et al.(2016)Am J Clin Oncol.39(1):98-106、Michot et al.(2016)Eur J Cancer.54:139-148、及びTopalian et al.(2016)Nat Rev Cancer.16:275-287に提供される。
【0139】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、1つ以上のさらなる治療法(例えば、化学療法)薬剤と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、1つ以上のさらなる治療法(例えば、化学療法)薬剤と組み合わせて対象に投与される免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)である。化学療法薬剤の例には、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、ジスルフィラム、没食子酸エピガロカテキン、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、17-AAG(ゲルダナマイシン)、ラディシコール、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、スニチブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer/Sugen)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、フィナスネート(VATALANIB(登録商標)、Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファミブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、アルキル化剤(チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなど)、アルキルスルホネート(ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど)、アジリジン(ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなど)、エチレンイミン及びメチラメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミンを含む)、アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン)、カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065(そのアゾゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む)、クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8)、副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む)、酢酸シプロテロン、5α-還元酵素(フィナステリド及びデュタステリドを含む)、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン、アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCB1-TM1を含む)、エリュテロビン、パンクラチスタチン、サルコジクチイン、スポンギスタチン、ナイトロジェンマスタード(クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど)、ニトロソ尿素(カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチンなど)、エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンω1I(AngewChem.Intl.Ed.Engl.1994 33:183-186);ダイネミシンAを含むダイネミシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連するクロモプロテイン・エンジイン・アンチバイオティック・クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシン、例えば、ミトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン(puromycin)、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベンメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メソトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メソトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシナビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補給剤、例えば、葉酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシン;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;ガリウムニトレート;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイズ、例えば、メイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジクオン;2,2’-2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン(特に、T-2トキシン、ヴェルラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ヴィンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(クレモホールフリー)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル、doxetaxel、Sanofi-Aventis);クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が含まれる。
【0140】
化学療法剤には、(i)抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)などの、腫瘍に対してホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤(例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン(iodoxyfene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミファイン(toremifine citrate)を含む)、(ii)副腎におけるエストロゲン産生を制御するアロマターゼ酵素を阻害する、アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca)など、(iii)抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなど、ブセレリン、トリプテレリン(tripterelin)、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、すべてのトランスレチオニン酸(transretionic acid)、フェンレチニド、ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体)、(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤、(v)脂質キナーゼ阻害剤、(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Ralf、及びH-Ras、(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤、(viii)遺伝子療法ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)、PROLEUKIN(登録商標)、rIL-2、トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LURTOTECAN(登録商標)など、ABARELIX(登録商標)rmRH、ならびに(ix)上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体も含まれる。
【0141】
化学療法剤にはまた、抗体、例えば、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体薬物複合体、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も含まれる。本発明の化合物と組み合わせて薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体には:アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピネオズマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ(erlizumab)、フェルビズマブ(felvizumab)、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ(motovizumab)、ナタリズマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ(pascolizumab)、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、パキセリズマブ、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ(rovelizumab)、ルプリズマブ(ruplizumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(tadocizumab)、タリズマブ、テフィバズマブ(tefibazumab)、トシリズマブ、トラリズマブ(toralizumab)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ(tucusituzumab)、ウマビズマブ(umavizumab)、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びインターロイキン-12 p40タンパク質を認識するように遺伝子修飾された排他的にヒト配列の組換え完全長IgG1λ抗体である、抗インターロイキン-12(ABT-874/J695、Wyeth Research and Abbott Laboratories)が含まれる。
【0142】
化学療法剤には、EGFRに結合するか、またはそうでなければそれと直接相互作用し、そのシグナル伝達活性を阻止または低減する化合物を指す「EGFR阻害剤」も含まれ、これは代替的に「EGFRアンタゴニスト」とも称される。かかる薬剤の例には、EGFRに結合する抗体及び小分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例としては、MAb579(ATCC CRL HB 8506)、MAb455(ATCC CRL HB8507)、MAb225(ATCC CRL 8508)、MAb528(ATCC CRL 8509)(Mendelsohnらの米国特許第4,943,533号を参照されたい)、ならびにこれらのバリアント(例えば、キメラ化225(C225またはセツキシマブ、ERBUTIX(登録商標))及び再成形ヒト225(H225)(WO96/40210を参照されたい、Imclone Systems Inc.)、IMC-11F8、完全ヒトEGFR標的抗体(Imclone);II型変異EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載のEGFRに結合するヒト化抗体及びキメラ抗体;ならびにEGFRに結合するヒト抗体、例えば、ABX-EGFまたはパニツムマブ(WO98/50433、Abgenix/Amgenを参照されたい);EMD55900(Stragliotto et al.Eur.J.Cancer 32A:636-640(1996));EGFR結合においてEGF及びTGF-アルファの両方と競合するEGFRに対して指向されたヒト化EGFR抗体EMD7200(マツズマブ)(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、及びE7.6.3として既知であり、かつUS6,235,883に記載の完全ヒト抗体;MDX-447(Medarex Inc);ならびにmAb806またはヒト化モノクローナル抗体806(Johns et al.,J.Biol.Chem.279(29):30375-30384(2004))が挙げられる。抗EGFR抗体は、細胞傷害性剤にコンジュゲートされ、それにより免疫コンジュゲートを生成することができる(例えば、EP659439A2,Merck Patent GmbHを参照されたい)。EGFRアンタゴニストには、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、ならびに以下のPCT公開WO98/14451、WO98/50038、WO99/09016、及びWO99/24037に記載されている化合物などの小分子が含まれる。特定の小分子EGFRアンタゴニストには、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)Genentech/OSI Pharmaceuticals)、PD183805(CI 1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、二塩酸塩、Pfizer Inc.)、ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca)、ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca)、BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim)、PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール)、(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)、CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド)、EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth)、AG1478(Pfizer)、AG1571(SU 5271、Pfizer)、及び二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016またはN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2-メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が挙げられる。
【0143】
化学療法剤はまた、上述の段落に述べられたEGFRを標的とした薬物;Takedaから入手可能なTAK165などの小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤;CP-724、714、ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤(Pfizer及びOSI);EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能)などの二重HER阻害剤;経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるラパチニブ(GSK572016;Glaxo-SmithKlineから入手可能);PKI-166(Novartisから入手可能);カネルチニブ(canertinib)などの汎HER阻害剤(CI-1033;Pharmacia);Raf-1阻害剤、例えば、Raf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス薬剤ISIS-5132;非HER標的TK阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ(Glaxo SmithKlineから入手可能なGLEEVEC(登録商標));多標的チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(Pfizerから入手可能なSUTENT(登録商標));VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バタラニブ(Novartis/Schering AGから入手可能なPTK787/ZK222584);MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤であるCI-1040(Pharmaciaから入手可能);キナゾリン、例えば、PD153035、4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP 59326、CGP 60261、及びCGP 62706などのピルロロピリミジン;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピルロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ディフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン成分を含むトリホスチン;PD-0183805(Warner-Lambert);アンチセンス分子(例えば、HERコード化核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033(Pfizer)などの汎HER阻害剤;Affinitac(ISIS 3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標));PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標));または以下の特許文献のうちのいずれかに記載されているもの:米国特許第5,804,396号;WO1999/09016(American Cyanamid);WO1998/43960(American Cyanamid);WO1997/38983(Warner Lambert);WO1999/06378(Warner Lambert);WO1999/06396(Warner Lambert);WO1996/30347(Pfizer,Inc);WO1996/33978(Zeneca);WO1996/3397(Zeneca)、及びWO1996/33980(Zeneca)を含む「チロシンキナーゼ阻害剤」も含む。
【0144】
化学療法剤はまた、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、生BCG、ベバクジマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エロチニブ、フィルグラスチム、ヒストレリンアセテート、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド2ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、及びゾレドロン酸、ならびにそれらの薬学的に許容される塩も含まれる。
【0145】
化学療法剤はまた、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、コルチゾンアセテート、チキソコルトールピバレート、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ベタメタゾンナトリウムホスフェート、デキサメタゾン、デキサメタゾンナトリウムホスフェート、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、アクロメタゾンジプロピオネート、ベタメタゾンバレレート、ベタメタゾンジプロピオネート、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾール-17-プロピオネート、フルオコルトロンカプロエート、フルオコルトロンピバレート及びフルプレドニデンアセテート;免疫選択的抗炎症性ペプチド(ImSAID)、例えばフェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)及びそのD-異性体型(feG)(IMULAN BioTherapeutics,LLC);抗リウマチ薬、例えばアザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノサイクリン、スルファサラジン、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)ブロッカー、例えばエタネルセプト(Enbrel)、インフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、セルトリズマブペゴール(Cimzia)、ゴリムマブ(Simponi)、インターロイキン1(IL-1)ブロッカー、例えばアナキンラ(Kineret)、T細胞共刺激ブロッカー、例えばアバタセプト(Orencia)、インターロイキン6(IL-6)ブロッカー、例えばトシリズマブ(ACTEMERA(登録商標));インターロイキン13(IL-13)ブロッカー、例えばレブリキズマブ;インターフェロンアルファ(IFN)ブロッカー、例えばロンタリズマブ;ベータ7インテグリンブロッカー、例えばrhuMAb Beta7;IgE経路ブロッカー、例えば抗M1プライム;分泌型ホモトリマーLTa3及び膜結合型ヘテロトリマーLTa1/β2ブロッカー、例えば抗リンホトキシンアルファ(LTa);放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素);様々な治療剤、例えば、チオプラチン、PS-341、フェニルブチレート、ET-18-OCH3、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832);ポリフェノール、例えば、ケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸及びその誘導体;自食作用阻害剤、例えばクロロキン;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標));及び上皮成長因子阻害剤(EGF-R);ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチン;ペリホシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えばPS341);CCI-779;チピファルニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;Bcl-2阻害剤、例えば、オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標));ピキサントロン;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばロナファルニブ(SCH 6636、SARASAR(商標));及び上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに上記の2つ以上の組み合わせ、例えば、シクロホストファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの組み合わせ療法の略語であるCHOP;ならびに5-FU及びロイコボリンと組み合わされたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いた治療レジメンの略語であるFOLFOXも含まれる。
【0146】
化学療法剤としてはまた、鎮痛効果、解熱効果、及び抗炎症効果を有する非ステロイド抗炎症薬が挙げられ得る。NSAIDには、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤が含まれる。NSAIDの具体的な例としては、アスピリン、プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びナプロキセン、酢酸誘導体、例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク、エノール酸誘導体、例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソキシカム、フェナム酸誘導体、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ならびにCOX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが挙げられる。
【0147】
いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブなど)は、以下の化学療法薬剤:抗HER2抗体(例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)またはペルツズマブ(PERJETA(登録商標)、Genentech))、PD1結合型アンタゴニスト(例えば、MDX-1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ、ランブロリズマブ)、CT-011(ピジリズマブ)、またはAMP-224)、及びPD-L2結合型アンタゴニストのうちの1つ以上と組み合わせて投与される。
【0148】
いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、成長阻害剤と組み合わせて投与される。本明細書で使用されるとき、「成長阻害剤」とは、インビトロまたはインビボのいずれかで細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。例示的な成長阻害剤には、例えば、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン(ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)及びパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb))、ならびにトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1で停止させるこれらの薬剤はまた、S期での停止、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びara-CなどのDNAアルキル化剤にも及ぶ。さらなる情報は、MurakamiらによるMendelsohn and Israel,eds.,The Molecular Basis of Cancer,Chapter 1、表題「Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs」(W.B.Saunders,Philadelphia,1995)、例えばp.13に見出すことができる。
【0149】
いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、樹状細胞アクチベーターまたは樹状細胞成長因子である。いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、ワクチンアジュバントである。いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、T細胞刺激物質または成長因子である。いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、抑制免疫細胞、サイトカイン、及び/または酵素を中和するまたは阻害する薬剤である。
【0150】
いくつかの実施形態において、本方法は、抗TIGIT抗体、TIGITアンタゴニスト、抗CSF-1R抗体、抗CSF-1Rアンタゴニスト、抗CEA抗体、抗CEAアンタゴニスト、抗CTLA4抗体、CTLA4アンタゴニスト、抗OX40抗体、OX40アゴニストからなる群から選択される免疫治療剤、1つ以上の化学療法剤と組み合わされた任意の抗PDL1抗体、1つ以上の化学療法剤と組み合わされた任意の抗PD1抗体、ならびに1つ以上の化学療法剤と組み合わされたアテゾリズマブを投与することを含む。いくつかの実施形態において、抗PD1または抗PDL1抗体は、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Zelboraf(登録商標)(ベムラフェニブ)、Gazyva(登録商標)(オビヌツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Cotellic(登録商標)(コビメチニブ)、Zelboraf(登録商標)及びCotellic(登録商標)、Alecensa(登録商標)(アレクチニブ)、Kadcyla(登録商標)(アド-トラスツズマブエムタンシン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Perjeta(登録商標)(ペルツズマブ)、ポラツズマブ、INF-アルファ、抗CD40剤、抗OX40抗体(例えば、OX40アゴニスト)、抗CSF-1R抗体、抗CEA抗体、IDO阻害剤、または抗TIGIT抗体のうちの1つ以上と組み合わされる。いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブであり、アテゾリズマブは、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Zelboraf(登録商標)(ベムラフェニブ)、Gazyva(登録商標)(オビヌツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Cotellic(登録商標)(コビメチニブ)、Zelboraf(登録商標)及びCotellic(登録商標)、Alecensa(登録商標)(アレクチニブ)、Kadcyla(登録商標)(アド-トラスツズマブエムタンシン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Perjeta(登録商標)(ペルツズマブ)、ポラツズマブ、INF-アルファ、抗CD40剤、抗OX40抗体(例えば、OX40アゴニスト)、抗CSF-1R抗体、抗CEA抗体、IDO阻害剤、抗CTLA4抗体、または抗TIGIT抗体のうちの1つ以上と組み合わされる。
【0151】
疾患進行をモニタリングする方法
がんに罹患している対象において疾患進行をモニタリングする方法が、本明細書で提供される。このような方法は、対象に、標識された抗CD8抗体を投与することと、第1の時点及び第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、疾患が、対象において進行している対象に、治療上有効量の免疫治療剤(例えば、本明細書の他の箇所に記載される免疫治療剤)を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、(a)対象に、標識された抗CD8抗体を投与し、免疫治療剤を投与する前に腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、(b)免疫治療剤を投与することと、(c)対象に、標識された抗CD8抗体を投与し、免疫治療剤を投与した後の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、(d)免疫治療剤の投与前及び後に腫瘍組織中のCD8+T細胞の標識の差を測定することと、を含む。
【0152】
ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD1抗体(本明細書に記載される抗PD1抗体などであるが、これらに限定されない)である。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体(本明細書に記載される抗PD-L1抗体などであるが、これらに限定されない)である。ある特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブなど)は、対象に、第2の治療剤(本明細書の他の箇所に記載される免疫治療剤及び/または化学療法剤)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、第2の治療剤は、免疫治療剤である。いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、抗PD-L1抗体、または抗TIGIT抗体のうちの1つ以上とさらに組み合わされる抗PD1抗体、TIGITアンタゴニスト、抗CSF-1R抗体、抗CSF-1Rアンタゴニスト、抗CEA抗体、抗CEAアンタゴニスト、抗OX40抗体、OX40アゴニスト、抗CTLA4抗体、CTLA4アンタゴニスト、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Zelboraf(登録商標)(ベムラフェニブ)、Gazyva(登録商標)(オビヌツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Cotellic(登録商標)(コビメチニブ)、Zelboraf(登録商標)及びCotellic(登録商標)、Alecensa(登録商標)(アレクチニブ)、Kadcyla(登録商標)(アド-トラスツズマブエムタンシン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Perjeta(登録商標)(ペルツズマブ)、ポラツズマブ、INF-アルファ、抗CD40剤、またはIDO阻害剤である。
【0153】
いくつかの実施形態において、疾患進行は、第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルが、第1の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルよりも高いときに検出される。ある特定の実施形態において、腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、第3、第4、または第5の後続の時点で検出される。いくつかの実施形態において、この時点は、1日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ月間、12カ月間、1.5年間、2年間、2.5年間、3年間、または3年以上離れたうちの少なくとも任意の1つである。いくつかの実施形態において、腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、患者への免疫治療剤の投与後に検出される。
【0154】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、検出可能な標識(例えば、89Zr、124I、18F、または本明細書の他の箇所に記載される別の検出可能な標識)で標識され、腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、PETまたはPET/CTを介して検出される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。
【0155】
治療進行をモニタリングする方法
免疫治療剤(例えば、本明細書の他の箇所に記載される免疫治療剤)を今まで受けたことがあるか、または現在受けているがんに罹患している対象における治療進行をモニタリングする方法が、本明細書で提供される。このような方法は、免疫治療剤に併せて標識された抗CD8抗体を投与することと、第1の時点及び第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、標識された抗CD8抗体は、免疫治療剤の前に投与され、第1の時点は、標識された抗CD8抗体の投与後及び免疫治療剤の投与前であり、第2の時点は、免疫治療剤の投与後である。いくつかの実施形態において、第1の時点と比較して第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞のより低いレベルは、肯定的な治療進行(例えば、有益なまたは所望の臨床結果)を示す。いくつかの実施形態において、第1の時点と比較して第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞のより高いレベルは、治療進行の欠如(例えば、有益なまたは所望の臨床結果の欠如)を示す。いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、標識された抗CD8抗体の前に投与され、第1の時点は、免疫治療剤の投与後及び標識された抗CD8抗体の投与後であり、第2の時点は、第1の時点の後である。いくつかの実施形態において、第1の時点と比較して第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞のより低いレベルは、肯定的な治療進行(例えば、有益なまたは所望の臨床結果)を示す。いくつかの実施形態において、第1の時点と比較して第2の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞のより高いレベルは、治療進行の欠如(例えば、有益なまたは所望の臨床結果の欠如)を示す。ある特定の実施形態において、腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、第3、第4、または第5の後続の時点で検出される。いくつかの実施形態において、この時点は、1日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ月間、12カ月間、1.5年間、2年間、2.5年間、3年間、または3年以上離れたうちの少なくとも任意の1つである。
【0156】
ある特定の実施形態において、免疫治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。ある特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体(例えば、本明細書の他の箇所に記載される)である。ある特定の実施形態において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブなど)は、対象に、第2の治療剤(例えば、本明細書の他の箇所に記載される)と組み合わせて投与される。
【0157】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、本明細書に記載される検出可能な標識(例えば、89Zr、124I、18Fなど)で標識され、腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、PETまたはPET/CTを介して検出される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。
【0158】
がんワクチンによる治療に対するがんに罹患している対象の応答性を予測する方法及びがんワクチンが投与されているがんに罹患している対象における疾患進行をモニタリングする方法
がんワクチンによる治療に対するがんに罹患している対象の応答性を予測する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、がんワクチンは、個人用がんワクチン(「PCV」)である。例示的なPCVは、例えば、Ott et al.(2017)Nature 547,217-221及びSahin et al.(2017)Nature 547,222-226において記載されている。いくつかの実施形態において、本方法は、標識された抗CD8抗体(例えば、本明細書に記載される抗CD8抗体及び本明細書に記載される検出可能な標識を含む免疫コンジュゲート)を投与することと、対象における腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含み、結合の検出は、対象が免疫療法に応答する可能性が高いことを示す。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、例えば、89Zr、124I、18F、または別の検出可能な標識で標識され、腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合は、PETまたはPET/CTを介して検出される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。いくつかの実施形態において、がんワクチンは、本明細書に記載される1つ以上の免疫治療剤及び/または化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0159】
がんに罹患している対象において疾患進行をモニタリングする方法もまた、本明細書で提供される。このような方法は、対象に、抗CD8抗体(本明細書の他の箇所に記載される検出可能な標識で標識されている抗CD8抗体など)を投与することと、第1の時点及び第2の時点で対象における腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、治療上有効量のがんワクチンを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、がんワクチンは、個人用がんワクチン(「PCV」)である。
【0160】
がんワクチンでの治療を今まで受けたことがあるか、または現在受けているがんに罹患している対象における治療進行をモニタリングする方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、がんワクチンは、個人用がんワクチン(「PCV」)である。いくつかの実施形態において、本方法は、(a)対象に、標識された抗CD8抗体を投与し、がんワクチン(例えばPCV)を投与する前に腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、(b)がんワクチン(例えばPCV)を投与することと、(c)対象に、標識された抗CD8抗体を投与し、がんワクチン(例えばPCV)の投与後の時点で腫瘍組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、(d)がんワクチン(例えばPCV)の投与前及び後に腫瘍組織中のCD8+T細胞の標識の差を測定することと、を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、例えば、89Zr、124I、18F、または本明細書に記載される別の検出可能な標識で標識され、腫瘍組織中のCD8+T細胞のレベルは、PETまたはPET/CTを介して検出される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。
【0162】
自己免疫疾患、移植片拒絶、及び移植片対宿主病をモニタリングする方法
自己免疫疾患(例えば自己免疫関節炎)、移植片拒絶、または移植片対宿主病に罹患している対象における治療進行及び疾患進行をモニタリングする方法が、本明細書で提供される。このような疾患はすべて、有害な炎症プロセスの一環としてCD8+T細胞を含む。Petrelli & Femke,CD8+T cells in human autoimmune arthritis:the usual suspects;Nature Reviews Thumatology 12:421-428(2016)を参照されたい。このような方法は、介入治療を伴ってまたは伴わずに、対象に、標識された抗CD8抗体を投与することと、第1の時点及び第2の時点で組織中のCD8+T細胞への標識された抗CD8抗体の結合を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、第1の時点及び第2の時点からのCD8+T細胞の増加は、自己免疫疾患、移植片拒絶、または移植片対宿主病が進行している兆候である。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患、移植片拒絶、または移植片対宿主病を治療するための介入療法は、標識された抗CD8抗体の前に投与され、第1の時点は、自己免疫疾患、移植片拒絶、または移植片対宿主病を治療するための介入療法剤の投与後及び標識された抗CD8抗体の投与後であり、第2の時点は、第1の時点の後である。いくつかの実施形態において、第1の時点と比較して第2の時点で組織中のCD8+T細胞のより低いレベルは、肯定的な治療進行(例えば、有益なまたは所望の臨床結果)を示す。いくつかの実施形態において、第1の時点と比較して第2の時点で組織中のCD8+T細胞のより高いレベルは、治療進行の欠如(例えば、有益なまたは所望の臨床結果の欠如)を示す。ある特定の実施形態において、組織中のCD8+T細胞のレベルは、第3、第4、または第5の後続の時点で検出される。いくつかの実施形態において、この時点は、1日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ月間、12カ月間、1.5年間、2年間、2.5年間、3年間、または3年以上離れたうちの少なくとも任意の1つである。
【0163】
いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、本明細書に記載される検出可能な標識(例えば、89Zr、124I、18Fなど)で標識され、組織中のCD8+T細胞のレベルは、PETまたはPET/CTを介して検出される。いくつかの実施形態において、抗CD8抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。
【0164】
薬学的組成物
抗CD8抗体、または抗CD8抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む、薬学的製剤を含む、組成物もまた、提供される。ある特定の実施形態において、組成物は、CD8に結合する1つ以上の抗体、またはCD8に結合する1つ以上の抗体をコードする配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当該技術分野で公知である、緩衝液を含む薬学的に許容される賦形剤などの適切な担体をさらに含んでもよい。
【0165】
本明細書に記載される抗CD8抗体の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するような抗体と、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))とを混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体は一般に、レシピエントに対し、用いられる投薬量及び濃度で無毒であり、緩衝液(リン酸、クエン酸、及び他の有機酸など)、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチルもしくはプロピルパラベンなど)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤(EDTAなど)、糖類(スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど)、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び/または非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコール(PEG)など)を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
【0166】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び同第WO2006/044908号に記載されるものが含まれ、後者の製剤は、ヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
【0167】
本明細書における製剤はまた、治療される特定の適応症(例えばがん)に必要な1つを超える活性成分(例えば、免疫治療剤)、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、スタチンをさらに提供することが望ましい場合がある。このような活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0168】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、またはマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)において開示されている。
【0169】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0170】
インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌性は、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に達成され得る。
【0171】
製品及びキット
別の態様において、がんに罹患している対象の免疫治療剤に対する応答を予測する、がんに罹患している対象における疾患進行をモニタリングする、及び/またはがんに罹患している対象における治療進行をモニタリングするのに有用な材料を含む、製品またはキットが、提供される。
【0172】
ある特定の実施形態において、製品またはキットは、本明細書に記載される抗CD8抗体または組成物のうちの1つ以上を含む容器を含む。ある特定の実施形態において、製品またはキットは、本明細書に記載される抗CD8抗体または組成物のうちの1つ(またはそれ以上)をコードする核酸(複数可)を含む容器を含む。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載される抗CD8抗体を産生する細胞株の細胞を含む。いくつかの実施形態において、キットは、一価抗CD8抗体を含む。いくつかの実施形態において、一価抗CD8抗体は、1つのワンアームド抗体である。いくつかの実施形態において、ワンアームド抗CD8抗体は、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)完全長重鎖、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)軽鎖、及び配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)Fcを含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上の陽性対照、例えば、CD8(もしくはその断片)またはCD8+細胞を含む。いくつかの実施形態において、キットは、陰性対照、例えば、CD8を実質的に含まない表面または溶液を含む。
【0174】
ある特定の実施形態において、製品またはキットは、容器と、容器上のもしくは容器に関連するラベルまたは添付文書と、を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈注射用溶液バッグなどが挙げられる。これらの容器は、ガラスまたはプラスチックなどのさまざまな材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物との組み合わせで、がんの治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって穿孔可能な栓を有するバイアルであり得る)。本組成物中の少なくとも1つの薬剤は、本明細書に記載される抗CD8抗体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が、がんに罹患している対象の免疫治療剤に対する応答性を予測するために、がんに罹患している対象における疾患進行をモニタリングする、及び/またはがんに罹患している対象における治療進行をモニタリングするために使用されることを示す。
【0175】
さらに、製品またはキットは、(a)本組成物が本明細書に記載される抗CD8抗体を含む、その中に含まれた組成物を含む第1の容器、及び(b)本組成物がさらなる細胞毒性薬剤、またはそうでなければ治療剤を含む、その中に含まれた組成物を含む第2の容器を含み得る。いくつかの実施形態において、治療剤は、本明細書に記載される免疫治療剤である。
【0176】
本明細書で提供される製品またはキットは、組成物(複数可)を、がんに罹患している対象の免疫治療剤に対する応答性を予測するため、がんに罹患している対象における疾患進行をモニタリングするため、及び/またはがんに罹患している対象における治療進行をモニタリングするために使用することができることを示す添付文書を含んでもよい。加えて、製品は、静菌性注射用水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む、第2の(または第3の)容器をさらに有していてもよい。さらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及び注射器を含む、商業的及びユーザの観点から望ましい他の物質を含んでいてもよい。
【0177】
上記の製品またはキットはいずれも、抗CD8抗体の代わりに(またはそれに加えて)、本明細書で提供される免疫コンジュゲートを含み得ることが理解される。ある特定の実施形態において、キットは、デスフェリオキサミン(例えば、N-スクシニル-デスフェリオキサミン)を含む本明細書で提供される抗CD8抗体を含む。例えば、Vugts et al.(2017)Eur J Nucl Med Mol Imaging.44:286-295、及びRudd et al.(2016)Chem Commun.52:11859-12000を参照されたい。ある特定の実施形態において、キットは、免疫コンジュゲート、すなわち、検出可能な標識、例えば本明細書の他の箇所に記載される検出可能な標識にコンジュゲートされた抗CD8抗体を含む。ある特定の実施形態において、検出可能な標識は、89Z、124I、または18Fである。
【実施例0178】
実施例1:OKT8のヒト化及び親和性成熟
OKT8抗体のマウス可変領域を、ヒトカッパIを使用するヒトフレームワーク/VH1フレームワークにマウスCDRを移植することによってヒト化した。ヒト化OKT8抗体は、改善された結合性能を有するバリアントを生成するために、インビトロファージディスプレイに基づいた親和性成熟の基準としての役割を果たした。このようなバリアントを、以下の表4及び5に示す。
【0179】
バリアントhuOKT8.v9~huOKT8.v12及びhuOKT8.A~huOKT8.MのK
Dを、表面プラズモン共鳴(SPR)を介して決定した。SPR分析の結果を、表6に示す。
huOKT8.v9及びhuOKT8.v11を、さらなる特徴付けのために選択した。
【0180】
実施例2:ヒト化親和性成熟OKT8バリアント抗体の特徴付け
ヒトCD8、アカゲザルCD8、及びカニクイザルCD8のアミノ酸配列のアライメントを提供する、
図2Aは、ヒトCD8とカニクイザルCD8(すなわち、カニクイザルCD8)との間に94%のアミノ酸同一性、ならびにヒトCD8とアカゲザルCD8との間に94%のアミノ酸同一性があることを示す。
【0181】
OKT8.v9及びOKT8.v11抗体を、一連の表面プラズモン共鳴(SPR)及びFACS分析において、ヒトCD8と比較して、カニクイザルCD8及びアカゲザルCD8に対する結合について評価した。結果を以下の表7に示す。
【0182】
SPRによって決定されたように、OKT.v9 Fabは、huOKT8.v1(すなわち、早期の親和性成熟中に生成されたバリアント)と比較して、ヒトCD8への結合において37倍の改善、及びカニクイザルCD8への結合において50倍の改善を示した。SPRによって決定されたように、OKT.v11 Fabは、huOKT8.v1と比較して、ヒトCD8への結合において55倍の改善、及びカニクイザルCD8への結合において230倍の改善を示した。マウス血液またはラット血液から単離されたCD8+細胞を用いたFACSを介して決定して、OKT8.v11は、マウスCD8またはラットCD8との交差活性を示さなかった。
【0183】
相補的なSPR及びFACS分析を、ヒト、アカゲザル、またはカニクイザルから得られた新鮮な血液から単離された一次末梢血単核細胞(PBMC)を使用して実施した。
図2Bに示すように、huOKT8.v11は、ヒトCD8、カニクイザルCD8、及びアカゲザルCD8と結合する。
【0184】
huOKT8.v11を、huOKT8.v11-OA-LALAPGを産生するために、ノブ・イン・ホール変異(すなわち、「ホール」重鎖内のT366S L358A Y407V及び「ノブ」Fc内のT366W)、ならびにL234A、L235A、及びP329Gエフェクター機能変異を含む、ワンアームドIgG1抗体として再形成した。次いで、huOKT8.v11-OA-LALAPGを、一連のインビトロでのT細胞機能及びサイトカイン放出アッセイにおいてさらに特徴付けた。
【0185】
第一に、抗CD3によるポリクローナルT細胞刺激へのCD8+T細胞応答を、huOKT8.v11-OA-LALAPGの存在下で評価した。CD8+T細胞は、製造業者の取扱説明書に従ってヒトCD8+T細胞濃縮キット(STEMCELL(商標)Technologies;Seattle,WA)を使用してヒト軟膜から単離した。簡言すれば、RosetteSep(商標)Enrichment Cocktailを、血液に50μL/血液mLで添加し、徐々に混合し、室温で20分間インキュベートした。試料を、2%のウシ胎仔血清を補充した等体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した。次いで、希釈試料を、等体積のFicoll(登録商標)Paque Plus(GE Healthcare;St.Louis,MO)上に層状にし、ブレーキオフで室温にて1200×gで20分間遠心分離した。勾配遠心分離後、界面を回収し、ペレット化し、赤血球を、塩化アンモニウムカリウム溶解緩衝液で溶解した。単離されたCD8+細胞集団の純度を、フローサイトメトリーによって評価した。細胞を、BD Biosciences(San Jose,CA)からの抗CD8抗体(クローンRPA T8)フィコエリトリン(PE)で染色した。細胞を、4℃暗所中で20分間インキュベートし、蛍光活性化細胞分類(FACS)染色緩衝液(BD Biosciences)で2回洗浄した。試料を、BD Biosciences FACSCalibur(商標)フローサイトメーターに流した。単離されたCD8+T細胞の純度は、各ドナーに対して95%超であった。ポリクローナルT細胞の刺激に対して指定されているウェルを、100μL/ウェルの体積で、PBS中の5μg/mLの開始濃度で抗CD3抗体(クローンSP34、BD Biosciences)で予めコーティングし、3倍連続希釈法を用いて、7ng/mL~5μg/mLの範囲である7点滴定曲線を得た。予めコーティングするために、プレートを、4℃で一晩インキュベートした。細胞の添加前に、抗CD3抗体を、吸引によりウェルから除去した。精製されたCD8+細胞を、5×106個の細胞/mLの濃度で調製し、次いで、1ウェル当たり200μLの最終体積で1μg/mLの濃度で調製された抗CD28抗体(クローンCD28.2、BD Biosciences)を補充した100μLの体積で0.5×106個の細胞/mLで96ウェル平底ポリスチレン組織培養プレートに添加した。プレートを、5% CO2で加湿したインキュベーター中で3日間インキュベートした。3日後、100μLの上清を、インターフェロンガンマ(IFN-γ)濃度の測定のために回収した。ELISAを、DuoSetヒトIFN-γキット(R&D Systems;Minneapolis,MN)を使用して実施した。次に、50μLの体積で1μCi[3H]チミジンを、ウェルに添加し、プレートをインキュベーターに戻した。16時間の一晩培養後、細胞を収穫し、[3H]チミジンの取り込みを、液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。OKT8.v11-OA-LALAPGの効果は、100μg/mLの高濃度でのみ試験した。
【0186】
精製されたCD8
+T細胞を、100μg/mlのOKT8.v11-OA-LALAPGまたは100μg/mlのアイソタイプ対照(抗糖タンパク質D-OAまたは「抗gD-OA」)の存在下で抗CD3抗体の様々な濃度でインビトロにて活性化した。OKT8.v11-OA-LALAPGは、いかなる抗CD3の濃度でもCD8
+T細胞の増殖(
図3A)またはCD8
+T細胞によるIFN-γ応答(
図3B)に影響を及ぼさなかった。OKT8.v11-OA-LALAPGの存在下でCD8
+T細胞の増殖及びIFN-γ応答は、試験したすべての濃度でアイソタイプ対照と同等であった。
【0187】
次に、CD8+T細胞を、抗原提示細胞依存性の様式で抗原特異的な刺激においてOKT8.v11-OA-LALAPGの効果を評価するために、破傷風トキソイドでインビトロにて活性化した。簡言すれば、末梢血単核細胞(PBMC)を、上述のように軟膜から単離した。PBMCを、2.5μMの濃度で、カルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルエステル(CFSE)で室温にて5分間標識し、次いで、刺激前にPBS中で5回洗浄した。抗原特異的細胞刺激を、以下のように、破傷風トキソイド(破傷風菌由来;Calbiochem,EMD Millipore;Billerica,MA)を使用してインビトロで実施した。PBMC(100μLの体積で1×106)を、96ウェル平底ポリスチレン組織培養プレートに添加した。抗原特異的な刺激に対して指定されているウェルは、200μL/ウェルの最終体積で、5μg/mLの濃度で破傷風トキソイドを含んだ。OKT8.v11-OA-LALAPGまたはアイソタイプ対照抗gD-OAを、200μg/mLの2倍の濃度で調製し、次いで、それぞれ、10倍連続希釈した。次いで、100μLの抗体を、適切なウェルに添加し、200μLに最終ウェル体積にした。得られた10点滴定曲線は、3ng/mL~100μg/mLの範囲内であった。プレートを、5% CO2で加湿したインキュベーター中で6日間インキュベートした。フローサイトメトリーを用いて、CFSE希釈による増殖を評価した。細胞を、それぞれ、抗CD8 PEで共染色して、CD8+T細胞の増殖を評価した。細胞を、抗CD25(クローンM-A251)アロフィコシアニン(APC)(BD Biosciences)でさらに染色して、CD25高発現マーキングの活性化を有する、細胞の活性化状態を評価した。
【0188】
CD8
+T細胞を、OKT8.v11-OA-LALAPGまたはアイソタイプ対照抗gD-OAの存在下で、
図3C及び3Dに示された濃度にて、破傷風トキソイドで刺激した。
図3Cに示す、増殖応答を、カルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルエステル(CFSE)の希釈によって評価した。1ラウンドを超えるCFSEの希釈を行う細胞によって決定して、CD8
+T細胞を増殖する頻度を、ビヒクル処理した細胞に対して正規化し、データは、ビヒクルに対する割合(%)として表す。OKT8.v11-OA-LALAPGは、試験した最高濃度(100μg/mL)で増殖に影響を及ぼさなかった。
図3Cを参照されたい。OKT8.v11-OA-LALAPG及び抗gD-OAの効果は、すべての濃度で同等であった。
図3Dにおいて、CD8
+T細胞を増殖する活性化状態を、活性化のためのマーカーとしてCD25発現を測定することによって評価した。CD25
高細胞の頻度を、ビヒクル処理した細胞に対して正規化し、データは、ビヒクルに対する割合(%)として表す。OKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OAはいずれも、試験したいかなる濃度でもCD8
+T細胞の活性化に影響を及ぼさなかった。
【0189】
抗CD3によるポリクローナルT細胞刺激に対するCD4
+T細胞応答を、上記のように(CD4
+T細胞を、ヒトCD4
+T細胞濃縮キット(STEMCELL Technologies)を使用して単離し、BD Biosciences(San Jose,CA)からの抗CD4(クローンSK3)-PerCP抗体を使用してフローサイトメトリーを介して評価)、OKT8.v11-OA-LALAPG及び抗gD-OAアイソタイプ対照の存在下で評価した。OKT8.v11-OA-LALAPGは、いかなる抗CD3の濃度でもCD4
+T細胞によるCD4
+T細胞の増殖(
図4Aを参照のこと)またはIFN-γ(
図4B)の応答に影響を及ぼさなかった。OKT8.v11-OA-LALAPG及び抗gD-OAアイソタイプ対照の効果は、すべての濃度で同等であった。
【0190】
抗原提示細胞依存性の様式での抗原特異的な刺激におけるOKT8.v11-OA-LALAPGの効果を決定するために、上記のように、破傷風トキソイドでCD4
+T細胞をインビトロで活性化した。(CD4
+T細胞を、ヒトCD4
+T細胞濃縮キット(STEMCELL Technologies)を使用して単離し、BD Biosciences(San Jose,CA)からの抗CD4(クローンSK3)-PerCP抗体を使用してフローサイトメトリーを介して評価した。CD4
+T細胞の刺激を、上記のように、指示された濃度のOKT8.v11-OA-LALAPGまたはアイソタイプ対照gD-OAの存在下で実施した。1ラウンドを超えるCFSEの希釈を行う細胞によって決定して、増殖するCD4
+T細胞の頻度を、ビヒクル処理した細胞に対して正規化し、データは、ビヒクルに対する割合(%)として表す。OKT8.v11-OA-LALAPGは、試験した最高濃度(100μg/mL)で増殖に影響を及ぼさなかった。
図3Cを参照されたい。OKT8.v11-OA-LALAPG及び抗gD-OAの効果は、すべての濃度に相当した。
図3Dにおいて、増殖するCD4
+T細胞の活性化状態を、活性化のためのマーカーとしてCD25発現を測定することによって評価した。CD25
高細胞の頻度を、ビヒクル処理した細胞に対して正規化し、データは、ビヒクルに対する割合(%)として表す。OKT8.v11-OA-LALAPGまたは抗gD-OAはいずれも、試験したいかなる濃度でもCD4
+T細胞の活性化に影響を及ぼさなかった。
【0191】
さらなる実験を、OKT8.v11-OA-LALAPGが循環からCD8
+T細胞を枯渇させるかどうかを決定するために実施した。簡言すれば、血液試料を、100mg/kgのOKT8.v11-OA-LALAPGで注射する前に、注射してから1日目及び注射してから15日目に、カニクイザルから得た。試料分析中、全リンパ球集団を、リンパ球集団を限界するために、CD45蛍光染料及び側方散乱光特性(SSC)限界(CD45
明SSC
暗)からなるリンパ球ゲーティング戦略を使用してフローサイトメトリーを介して特定した。次に、B細胞集団を、蛍光標識された抗CD8または蛍光標識された抗CD4抗体の使用を通して特定した。
図3Eに示すように、経時的にCD8
+ゲートに対して平均蛍光強度(MIF)の有意な差がなく、OKT8.v11-OA-LALAPGが循環からCD8
+T細胞を枯渇させることを示す。
【0192】
さらなるFACS分析は、OKT8.v11が、CD4
+T細胞またはCD3
-T細胞と結合しないことを確認した(
図3Fを参照のこと)。
【0193】
実施例3:分子画像化のために様々な抗体フォーマットの評価
パイロット免疫PET試験を、標識された抗CD8抗体を使用して実施して、マウスにおける分子画像化のための異なる抗体フォーマットの適合性を評価した。
【0194】
2つのマウス抗CD8構築物、すなわち、89Zr-mCD8-DANA(すなわち、DANAエフェクター機能変異を有するIgG1フォーマット)または89Zr-mCD8-(Fab’)2を、21ED3、すなわちハムスター抗マウス抗体を使用して作製した。各構築物を、CD8+T細胞の浸潤の増加によって特徴付けられる、マウスCT26結腸がん腫瘍を担持するマウスに注射した。CD8+T細胞の腫瘍浸潤は、DANA及び(Fab’)2 フォーマットの不良な安定性のため検出されなかった。
【0195】
ヒトCD8モデルにおいて、18F-OKT8.v11-Fabを、SCIDベージュマウスへのヒトPBMCの膵臓内注射後に試験した。しかしながら、18F-CD8-Fabの可視的取り込みが、ヒトPBMC移植マウスの膵臓内に検出されなかった。
【0196】
さらなるヒトCD8モデルにおいて、
89Zr-huOKT8.v1-OA(すなわち、ワンアームド抗体)を、HPB-ALL(ヒトT細胞性白血病)CD8
+異種移植片腫瘍またはDaudi(ヒトバーキットリンパ腫)CD8
-異種移植片腫瘍を担持するマウスに注射した。次いで、マウスを、初期投与から1日目、2日目、及び5日目の投与でPETスキャンを介してモニタリングした。
図5A及び5Bは、それぞれ、腫瘍組織及び心臓組織における時間の関数としての組織中の1グラム当たり初期投与の割合(%)として
89Zr-huOKT8.v1-OAの取り込みを示す。
89Zr-huOKT8.v1-OAは、腫瘍組織中のCD8依存性の取り込みを示した。
図5Aを参照されたい。それと対照的に、
89Zr-OA-CD8.v1の最小取り込みが、HPB-ALL異種移植片マウスまたはDaudi異種移植片マウスのいずれかで非腫瘍組織中で測定された。
図5Bを参照されたい。
【0197】
89Zr-huOKT8.v1-OAの取り込みのCD8特異性を確認するために、相補的実験を、
89Zr-huOKT8.v1-OA、
89Zr-huOKT8.v9-OA、または糖タンパク質Dを標的とする対照抗体、
89Zr-gD-OAを注射したHPB-ALL異種移植片マウスにおいて実施した。注射後、マウスを、初期投与から1日目、2日目、及び5日目の投与でPETスキャンを介してモニタリングした。最小の
89Zr-huOKT8.v1-OA、
89Zr-huOKT8.v9-OA、または
89Zr-gD-OAが、2日後血液プール中で検出された。血液中の時間の関数としての組織中の1グラム当たり初期投与の割合(%)として
89Zr-huOKT8.v1-OA、
89Zr-huOKT8.v9-OA、及び
89Zr-gD-OAの取り込みを示す
図6A及び7Aを参照されたい。
89Zr-huOKT8.v1-OAの取り込みが、約25%のピーク取り込みで、CD8
+HPB-ALL腫瘍組織中で観察された。
図6Bを参照されたい。同等のピークの取り込みが、
89Zr-huOKT8.v9-OAで観察された。
図7Bを参照されたい。それと対照的に、対照
89Zr-gD-OAの唯一の残渣の取り込みが、HPB-ALL腫瘍組織中で観察された。
図6B及び7Bを参照されたい。さらに、腎臓による
89Zr-huOKT8.v1-OA及び
89Zr-huOKT8.v9-OAのクリアランスが主であった(
89Zr-huOKT8.v1-OAについては、
図4Cを参照されたい)。肝臓により主に除去されている画像化ツールとは異なって、
89Zr-huOKT8.v1-OAまたは
89Zr-huOKT8.v9-OAの使用は、肝臓または腹部領域内のCD8
+細胞の検出が明確であり得る。さらに、バックグラウンドマウス組織への交差応答性は、観察されなかった(
図6Cを参照されたい)。
【0198】
89Zr-OA-CD8-FvFc、すなわち、一価単一鎖Fc-Fv融合物もまた、上記のように、試験された。
89Zr-OA-CD8-FvFcは、CD8
+腫瘍組織中の取り込みを示したが、心臓組織中の取り込みを示さなかった。
図8Aを参照されたい。腫瘍組織中の
89Zr-OA-CD8-FvFcのピークの取り込みは、
89Zr-huOKT8.v1-OA及び
89Zr-huOKT8.v9-OAの取り込みと同等である。しかしながら、腎臓よりも肝臓による
89Zr-OA-CD8-FvFcのクリアランスが主であり(
図8Bを参照のこと)、
89Zr-OA-CD8-FvFcが肝臓または腹部領域内のCD8
+細胞の検出を曖昧にし得ることを示した。
【0199】
実施例4:マウスモデルにおける
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGの検出の感受性及び範囲の評価
上に論じられたように、huOKT8.v11は、huOKT8.v11-OA-LALAPGを産生するために、ノブ・イン・ホール変異(すなわち、「ホール」重鎖内のT366S L358A Y407V及び「ノブ」Fc内のT366W)、ならびにL234A、L235A、及びP329Gエフェクター機能変異を含む、ワンアームドIgG1抗体として再形成された(概略図については
図1を参照のこと)。放射性標識されたhuOKT8.v11-OA-LALAPGの検出の感受性及び範囲を、キメラHPB-ALL/Daudi異種移植片を使用して一連の免疫PET実験において評価した。簡言すれば、表8に示すように、特定された比のHPB-ALL細胞とDaudi細胞を注射したマウスは、異なるレベルでCD8を発現する腫瘍を発症することを示す。
【0200】
【0201】
100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウス(n=4/群)に、
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
89Zr-gD-OAを注射した。注射後、マウスを、初期投与から1日目、2日目、5日目、7日目、及び9日目の投与でPETスキャンを介してモニタリングし、腫瘍組織、肝臓組織、腎臓組織、及び血液プール中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
89Zr-gD-OAの取り込みを、測定した。
図9Bに示すように、腫瘍組織中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGの取り込みは、腫瘍組織中のCD8
+細胞のレベルに応じて異なった。
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGのピーク取り込みは、100%のHPB-ALL腫瘍で40%超、25%のHPB-ALL腫瘍で約20%、5%のHPB-ALL腫瘍で約15%、及び0%のHPB-ALL腫瘍で0%であった。
89Zr-gD-OAの最小取り込みが、キメラ腫瘍の組織で検出された。最小
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
89Zr-gD-OAが、キメラHPB-ALL/Daudi腫瘍を担持するマウスの血液中で検出された。
図9Aを参照されたい。
9Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG及び
89Zr-gD-OAの中程度の取り込みが、キメラHPB-ALL/Daudi腫瘍を担持するマウスの腎臓組織で検出され(
図9Cを参照のこと)、一方、
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG及び
89Zr-gD-OAの最小取り込みが、肝臓組織で検出された(
図9Dを参照のこと)。
図9C及び9Dに示す結果は、腎臓による
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG及び
89Zr-gD-OAのクリアランスが主であることを示す。
図9Eは、
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
89Zr-gD-OAを注射した100%のHPB-ALL、25%のHPB-ALL、5%のHPB-ALL、または0%のHPB-ALLキメラ腫瘍を担持するマウス(n=4/群)のPET画像を提供する。PETは、注射から7日目に行われた。総合すれば、
図9A~9Eに示す結果は、CD8濃度の2倍の変化を、
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGを使用して測定することができることを示す。
【0202】
相補的実験を、SCIDマウス、及び100%のHPB-ALL腫瘍のレベルの約20%でCD8を発現する、PF382(ヒトT細胞白血病)異種移植片腫瘍を担持するヌードマウスにおいて実施した。マウス(n=4/群)に、
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGまたは
89Zr-gD-OAを注射し、初期投与から1日目、2日目、5日目、7日目、及び9日目の投与でPETスキャンを介してモニタリングした。
図10Aに示すように、SCID及びヌード異種移植片マウスの両方からのPF382腫瘍組織中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGのレベルは、時間の関数として増加し、5日目に約15%のピーク取り込みを有した。それと対照的に、
89Zr-gD-OAの最小取り込みが、PF382腫瘍組織で検出された。血液プール中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG及び
89Zr-gD-OAのレベルは、経時的に減少した(
図10Bを参照のこと)。
【0203】
図11Aは、異種移植片マウスにおけるHPB-ALL、PF382、TALL-1、及びDaudi腫瘍中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG及び
89Zr-gD-OAの取り込みの直接比較を提供する。TALL-1腫瘍中のCD8レベルは、PF382腫瘍中のものよりも低い。
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGのピーク取り込みは、HPB-ALL腫瘍で40%超、PF382腫瘍で約15%、TALL-1腫瘍で約12%、及びDaudi腫瘍で5%未満であった。
89Zr-gD-OAを使用した対照実験の結果を、
図11Bに示す。異種移植片マウスからの血液プール中の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG及び
89Zr-gD-OAのレベルは、最小であり、経時的に減少した(
図11C及び11Dを参照のこと)。
【0204】
総合すれば、上で論じられた結果は、組織のCD8濃度を89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGで測定することができることを確認する。
【0205】
さらなる画像化実験を、
89Zrで標識されたhuOKT8.v17ベースの試薬または
124Iで標識されたhuOKT8.v17ベースの試薬を使用してHPB-ALL腫瘍異種移植片を担持するマウスにおいて実施した。3mg/kgで標識された抗体を、各マウスに投与した。HPB-ALL-異種移植片マウスが3mg/kgの
89Zr-gDまたは
124I-gDを施されたアイソタイプ対照実験を、並行して実施した。
図12に示すように、
89Zrで標識されたhuOKT8.v17及び
124Iで標識されたhuOKT8.v17の両方が、CD8
+腫瘍組織で両方とも検出可能であった。非特異的シグナルは、
124Iで標識された抗体を施されたマウスにおいてはあまり観察されなかった。
【0206】
実施例5:
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGを用いた非ヒト霊長類における分子画像化
画像化実験を、取り込みが、通常、CD8に富む組織中で検出され得るかどうかを決定するために、アカゲザルにおいて
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGで実施した。アカゲザル(5kg)に、1mCiの放射線量を含む10mgの
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGを注射した。
図13Aは、2mg/kgの初期投与から7日目のPET MIP画像を示す。CD8に富むリンパ節、脾臓、及び胸腺は、明確に可視化され得る。肝臓及び腎臓への
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGのクリアランスもまた、可視である。それと対照的に、CD8に富む組織は、
89Zr-gD-OAを注射してから5日目にPET MIP画像において可視ではない。(
図13Bを参照のこと)。肝臓及び腎臓へのクリアランスのみが、見られ得る。
【0207】
さらなる組織分布画像化実験もまた、表9に概説されるように、画像化感受性のためのダイナミックレンジを見出すために、カニクイザルにおいて実施した。
【0208】
0.05mg/kgの
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG、0.23mg/kgの
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPG、及び
89Zr-gD-OAを初期投与してから5日目におけるPET MIP画像を、それぞれ、
図14A、14B、及び14Cに提供する。CD8に富むリンパ節及び脾臓は、
図14A及び14Bに使用された公称投与の
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGで使用して可視化され得る。このようなCD8に富む組織は、0.3mg/kgの
89Zr-gD-OAを注射したサルにおいて可視的ではない(
図14Cを参照のこと)。
【0209】
実施例6:マウス及び非ヒト霊長類における薬物動態及び毒物動態分析
huOKT8.v1-OA-LALAPG、huOKT8.v9-OA-LALAPG、及びhuOKT8.v11-OA-LALAPGの薬物動態試験を、マウスにおいて実施した。表10に示すように、Cmax、AUCinf、CL、半減期、及びVssは、3つすべてのバリアントに対して同様であった。
【0210】
カニクイザルにおいて実施されたさらなる薬物動態試験の結果を、以下の表11に提供する。
【0211】
89Zr-huOKT8.v11-OA-LALAPGは、0.05mg/kg~1mg/kgの用量範囲にわたって線形薬物動態を示した。CLは、約15mL/日/kgであった。サイトカイン血漿中濃度の変化は、観察されなかった。
【0212】
次に、実験を、カニクイザルにおける非標識huOKT8.v11-OA-LALAPG(すなわち、N-スクシニル-デスフェリオキサミンリンカーを含むhuOKT8.v11-OA-LALAPG)の毒性及び毒物動態を評価するために実施した。非標識huOKT8.v11-OA-LALAPGを、表12に示す用量レベル及び用量濃度で遅延ボーラス静脈内注入を介して1日目及び15日目に1回、サルに投与した。
【0213】
huOKT8.v11-OA-LALAPGは、最大100mg/kgの濃度(すなわち、試験された最高用量)で良好な耐容性を示し、無影響量(NOAEL)が少なくとも100mg/kg/用量であることを示した。測定された安全エンドポイントのうちのいずれの効果も、観察されなかった。huOKT8.v11-OA-LALAPGを投与した12匹のサルのうちの10匹のサルが、抗薬物抗体(ADA)に対して陽性であった。
【0214】
実施例7:ヒト薬物動態の予測及び安全因子の推定
huOKT8.v11-OA-LALAPGは、CLの0.85及び分布容積の1.0の固定指数の、種-不変時間法(species-invariate time method)によるカニクイザルの薬物動態パラメータからの予測に基づいて、ヒトにおいて約6.3mL/日/kgのCL及び10.4日の半減期を有すると予測される。これらの予測は、ヒトの約70kgの仮定体重及びカニクイザルの約3.0kgの仮定体重に基づいている。
【0215】
ヒトにおけるhuOKT8.v11-OA-LALAPGの、さらに予測された薬物動態計量値(pharmacokinetic metrics)を、下の表13に提供する。
【0216】
表12中の予測は、0.85の指数での種-不変時間法を使用した実施例6のカニクイザルTKデータに基づいている。これらの予測は、ヒトの約70kgの仮定体重及びカニクイザルの約3.0kgの仮定体重に基づいている。カニクイザルにおける用量及び用量レジメン=100mg/kg;2週1回;ヒト用量レジメン=3週1回。安定因子の推定は、必要とされる安全を網羅する因子(10倍)及び親和性補償(13倍)に及ぶ。
【0217】
実施例8:微生物叢研究及び免疫表現型の特定のためにCD8画像化を使用する方法
(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分を、CD8+細胞による腫瘍及びリンパ節の浸潤を評価するために使用することができる。そのような画像化は、患者の予後及び/またはがん免疫療法に対する応答を予測する微生物叢シグネチャの根底にある免疫表現型を特定するために使用される。
【0218】
さらに、(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分を、CD8+T細胞の生体内分布における特定の全身パターンと関連する微生物叢シグネチャを特定するために使用することができる。そのような画像化は、例えば、腫瘍及び他のリンパ節におけるCD8+T細胞の割合を決定するために使用される。そのような画像化は、結果との直接関連が、ノイズが多いまたは弱いときでさえ、最も堅固な微生物叢バイオマーカーを選択するために使用される。
【0219】
腸内常在細菌は、がん免疫療法に対する患者応答に影響を及ぼし得る。例えば、Gopalakrishnan et al.(2018)Science.359(6371):97-103を参照されたい。したがって、がん免疫療法に対する患者応答性と関連する主要な微生物菌株の特定は、がん患者のための適切な治療レジメンを特定するために有用であり得る。(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分は、免疫療法(例えば、本明細書に論じられる免疫療法)に対する患者応答性と相関する微生物叢プロファイル(複数可)(例えば、腸管内菌叢組成物(複数可))を特定するために使用され得る。
【0220】
簡言すれば、腸微生物叢試料(例えば、糞試料)を、免疫療法(例えば、本明細書の他の箇所に記載される免疫療法)を受けているがん患者から得る。(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分を、がん免疫療法を受ける前に、患者の各々に投与し、CD8+細胞による腫瘍及びリンパ節浸潤を各患者において評価する。次に、患者はそれぞれ、がん免疫療法(例えば、本明細書に記載されるがん免疫療法)を受ける。(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分を、がん免疫療法後に再度患者に投与し、CD8+細胞による腫瘍及びリンパ節浸潤を各患者において2回目に評価する。免疫療法後の患者の腫瘍(複数可)及びリンパ節におけるCD8浸潤のレベルが評価され、各患者の微生物叢プロファイル(例えば、微生物のタイプ、ならびに腸微生物叢試料に存在する微生物の各タイプの量)が、決定される。腫瘍(複数可)及びリンパ節に対するCD8+T細胞の浸潤を示す患者の腸微生物叢試料に存在する主な微生物菌株が、特定される。
【0221】
リンパ節及び/または腫瘍に対するCD8+T細胞の浸潤を有する患者における主な微生物菌株の特定の後、主要な微生物菌株を含む微生物叢薬物が、このような患者から得られたドナー便から作製される。微生物叢薬物が、リンパ節または腫瘍へのCD8+T細胞の浸潤を示さない患者に投与される。あるいは、FMT(糞便微生物移植)の手順が、リンパ節及び/または腫瘍へのCD8+T細胞の浸潤を示す患者から回収されたドナー便を使用して、リンパ節及び/または腫瘍へのCD8+T細胞の浸潤を示さない患者において実施される。ある特定の実施形態において、FMTまたは微生物叢薬物は、がん免疫療法の際にリンパ節及び/または腫瘍へのCD8+の浸潤を示さない患者を、がん免疫療法に応答する患者に変える。
【0222】
ある特定の実施形態において、CD8画像化を、FMTへの前または微生物叢薬物の投与前に、リンパ節及び/または腫瘍へのCD8+の浸潤を示さない患者において実施する。FMTまたは微生物叢薬物の投与後に、患者は、免疫療法を受ける。免疫療法後に、画像化を、FMTまたは微生物叢薬物がリンパ節及び/または腫瘍へのCD8+の浸潤の増加をもたらすかどうかを決定するために患者において実施する。ある特定の実施形態において、CD8+の浸潤の増加が、FMTまたは他の微生物叢薬物後のがん免疫療法の治療に応答して観察される場合、FMTまたは他の微生物叢薬物は、成功したと見なされる。
【0223】
微生物叢研究及び発見と併せて使用されるCD8画像化剤は、本明細書に開示されている任意の抗CD8抗体(例えば、huOKT8v.1、huOKT8v.9、huOKT8v.10、huOKT8v.11、huOKT8v.12、huOKT8v.15、及びhuOKT8v.17)であり得る。
【0224】
ある特定の実施形態において、がん免疫療法は、チェックポイント阻害剤である。ある特定の実施形態において、がん免疫療法は、T細胞標的療法剤である。ある特定の実施形態において、T細胞標的療法剤は、T細胞二特異性、三特異性、もしくは多重特異性抗体またはこれらの抗原結合断片である。ある特定の実施形態において、がん免疫療法は、NK細胞標的療法剤である。ある特定の実施形態において、NK細胞標的療法剤は、二特異性、三特異性、もしくは多重特異性抗体またはこれらの抗原結合断片である。
【0225】
ある特定の実施形態において、(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分を使用するCD8画像化は、CD16またはCD3標的部分などのチェックポイント阻害剤または免疫調節分子の投与前、投与中、及び投与後の腫瘍及びリンパ節CD8+浸潤を評価するために使用することができる。このような画像化は、CD16またはCD3標的部分などのチェックポイント阻害剤または免疫調節分子の有効性と関連する微生物叢を決定するために使用される。
【0226】
この実施例において使用されるチェックポイント阻害剤は、任意のチェックポイント阻害剤であり得る。ある特定の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、抗PD1または抗PDL1抗体である。ある特定の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))である。
【0227】
免疫調節分子は、CD8細胞の増殖及び浸潤に影響を及ぼす任意の分子であり得る。例には、T細胞二特異性分子、例えば、CD3と結合する抗体、CD16と結合する腫瘍関連抗原及び分子、ならびに腫瘍関連抗原を含む。
【0228】
実施例9:がん免疫療法の有効性を決定するためのCD8画像化を使用する方法
(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分は、CD8+細胞による腫瘍及びリンパ節への浸潤を評価するために使用される。このような画像化は、患者の予後及び/またはがん免疫療法に対する応答を予測する免疫表現型を特定するために使用される。このような画像化は、例えば、腫瘍及び他のリンパ節におけるCD8+T細胞の割合を決定するために使用される。このような画像化は、免疫療法剤、または1つ以上のがん免疫療法剤を含むがん併用がん薬剤を選択するために使用される。
【0229】
本明細書に開示されているすべての実施形態において、がん免疫療法は、例えば、本明細書に開示されている任意の抗PD1剤または抗PDL1剤、例えば、がんを治療するためのモノクローナル抗体、T細胞及び腫瘍関連タンパク質に結合する二特異性抗体、NK細胞及び腫瘍関連タンパク質に結合する二特異性抗体、CAR-T細胞療法、非特異がん免疫療法及びアジュバント、ならびに免疫チェックポイント阻害剤である。T細胞及び腫瘍関連タンパク質に結合する二特異性抗体は、例えば、抗CD3二特異性抗体を含む。NK細胞及び腫瘍関連タンパク質に結合する二特異性抗体は、例えば、抗CD16(FcガンマRIII)二特異性抗体、抗CD16A二特異性抗体、抗CD56二特異性抗体、抗NKp46二特異性抗体、及び任意の他のNK細胞二特異性抗体を含む。
【0230】
ある特定の実施形態において、(例えば、本明細書に記載される)抗CD8抗体または他のCD8画像化部分を使用するCD8画像化は、本明細書に記載される、がんの治療、診断、予後、併用診断、及び進行/寛解のモニタリングのために使用することができる。
【0231】
実施例は、例証目的で提示されるにすぎず、決して本発明の範囲を限定するようには意図されていない。実際、本明細書に示され、記載される修正に加えて、種々の修正が前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内にある。